【解決手段】展開状態において長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液吸収性の吸収体(21)と、吸収体(21)よりも厚さ方向の非肌側に、便のみに反応する便インジケータ(40)とを有する吸収性物品(1)であって、便インジケータ(40)は、吸収性物品(1)の非肌側から視認可能であり、吸収性物品(1)の長手方向の中央よりも、着用時に着用者の腹側となる方を前側とし、着用者の背側となる方を後側とすると、前側における便インジケータ(40)の形状と、後側における便インジケータ(40)の形状とが異なっている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
展開状態において長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液吸収性の吸収体と、前記吸収体よりも前記厚さ方向の非肌側に、便のみに反応する便インジケータと、を有する吸収性物品であって、前記便インジケータは、前記吸収性物品の非肌側から視認可能であり、前記吸収性物品の前記長手方向の中央よりも、着用時に着用者の腹側となる方を前側とし、前記着用者の背側となる方を後側とすると、前記前側における前記便インジケータの形状と、前記後側における前記便インジケータの形状とが異なっていることを特徴とする吸収性物品である。
【0010】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の長手方向の中央は、吸収性物品を二つ折りにする位置であり、当該位置を基準に吸収性物品の前側及び後側が区別される。便インジケータの前側と後側との形状が異なることで、吸収性物品の使用前の二つ折り状態において、製品の前側及び後側の判別が外観からしやすくなる。装着時において、容易に吸収性物品の前側及び後側の認識ができることから、使用者(例えば、吸収性物品の交換者)が誤って装着する可能性を低減できる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記長手方向において、前記便インジケータの前記前側の長さと、前記便インジケータの前記後側の長さとが異なっていることが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、交換者は、便インジケータの長さの違いにより、視覚的にどちらが前側或いは後側であるかを判断でき、誤装着の可能性を低減できる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記便インジケータは、図形、文字、又は、図形と文字の組み合わせからなる図柄であり、前記前側に設けられる前記便インジケータの前記図柄と、前記後側に設けられる前記便インジケータの前記図柄とが異なっていることが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、便インジケータの図柄が吸収性物品の前側及び後側で異なることで、吸収性物品の交換者は、前側或いは後側であるかの判断がし易くなり、誤装着の可能性を低減できる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記後側に設けられる前記図柄は、使用者に排泄物を想起させる図柄であることが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の後側に設けられる便インジケータの図柄が「便」を想起させるような図形や、「うんち」等の文字からなる図柄であることで、使用者は便を連想し、当該図柄が配置されている側が吸収性物品の背側であることを判断し易い。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体よりも前記厚さ方向の非肌側に、尿のみに反応する尿インジケータを有し、前記前側における前記便インジケータと前記尿インジケータとを合わせた前側インジケータ形状と、前記後側における前記便インジケータと前記尿インジケータとを合わせた後側インジケータ形状とを有し、前記前側インジケータ形状と、前記後側インジケータ形状とが異なっていることが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、便インジケータと尿インジケータとを合わせたインジケータの形状が、吸収性物品の前側と後側とで異なることで、交換者は、吸収性物品の前側及び後側の判別を外観からし易くなる。装着時に、容易に吸収性物品の前後の認識ができることから、交換者が誤って装着する可能性を低減できる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記前側インジケータ形状において、前記尿インジケータの前記長手方向の長さは、前記便インジケータの前記長手方向の長さよりも長く、前記後側インジケータ形状において、前記尿インジケータの前記長手方向の長さは、前記便インジケータの前記長手方向の長さよりも短いことが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、使用者は、尿インジケータが長い方が前側、便インジケータが長い方が後側であると判断しやすくなり、誤装着の可能性を低減する。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記尿インジケータは、前記便インジケータよりも前記幅方向の外側に複数配置され、前記前側インジケータ形状の前記長手方向の外側端における前記便インジケータ及び前記尿インジケータの合計数と、前記後側インジケータ形状の前記長手方向の外側端における前記便インジケータ及び前記尿インジケータの合計数とが異なっていることが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、例えば、前側インジケータ形状の長手方向の外側端に便インジケータ及び尿インジケータが合わせて2つ(本)あり、後側インジケータ形状の長手方向の外側端に便インジケータ及び尿インジケータが合わせて3つ(本)ある場合、使用者は、インジケータの数の違いでどちらが前側或いは後側であるかの認識がしやすくなる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体は、前記幅方向の中央部に低坪量部を有し、前記低坪量部の坪量は、前記低坪量部に前記幅方向の外側から隣接する領域の坪量よりも小さく、前記長手方向及び前記幅方向において、前記低坪量部と前記便インジケータとが重複する部分を有しており、前記前側における前記重複する部分の前記長手方向の長さと、前記後側における前記重複する部分の前記長手方向の長さとが異なっていることが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、排泄された便(便汁)が吸収体の低坪量部を透過して肌側から非肌側へ移動し、便インジケータに到達しやすくなることで、便の検出性をより高めることができる。また、低坪量部は、隣接する領域との坪量の違いにより、その部分だけ外観上が異なって見えやすく、そのような低坪量部と便インジケータとが重複する部分の長さが吸収性物品の前側と後側とで異なることで、使用者(交換者)は、視覚的に吸収性物品の前後の判断がしやすくなる。また、低坪量部は触った時の感覚が隣接する吸収体の触感と違うため、触感でも前側及び後側の認識がしやすくなる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体よりも前記厚さ方向の非肌側に、尿のみに反応する尿インジケータを有し、前記厚さ方向に見たときに、前記便インジケータと前記低坪量部とが重複する部分の面積は、前記尿インジケータと前記低坪量部とが重複する部分の面積よりも大きいことが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、低坪量部では便(便汁)が厚さ方向に透過しやすいため、低坪量部と便インジケータとが重複する領域を大きくすることによって、便インジケータに便(便汁)が到達しやすくなり、便の検出精度を高めることができる。低坪量部と尿インジケータとが重複する領域を小さくすることによって、尿が吸収体を過度に透過して尿漏れが生じてしまうことを抑制することができる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、着用する際に着用者の腹側の胴回りに位置する腹側胴回り部と、着用する際に前記着用者の背側の胴回りに位置する背側胴回り部とを有し、前記便インジケータは、前記厚さ方向に見て、前記背側胴回り部と重なる部分を有することが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、胴回り部まで便インジケータが存在している側が、吸収性物品の後側であると判断することができる。また、背側胴回り部は肌と密着する部分であり、着用中の適度な圧迫により便が吸収体の下層にまで到達し易くなるため、便インジケータが反応しやすい部分である。そのような部分に便インジケータを設けることで、便の検出性も高まる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体よりも前記厚さ方向の非肌側に、尿のみに反応する尿インジケータを有し、前記尿インジケータは、前記厚さ方向に見て、前記腹側胴回り部と重なる部分を有し、前記便インジケータは、前記厚さ方向に見て、前記腹側胴回り部と重ならないことが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、使用者は、胴回り部まで尿インジケータが存在している側が、吸収性物品の前側であると判断できる。また、腹側は、尿漏れが発生する可能性が背側よりも高いため、腹側胴回り部まで尿インジケータを配置することで、尿の検出性を高める。
【0031】
かかる吸収性物品であって、前記便インジケータよりも前記厚さ方向の非肌側にバックシートを有し、前記バックシートは、前記吸収性物品の非肌側から視認可能な模様を有しており、前記便インジケータと前記模様とが前記厚さ方向に見て重複する重複部を有し、前記便インジケータと前記模様との重なり方が、前記前側と前記後側とで異なっていることが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品によれば、便インジケータとバックシートとの模様との被り方によって、前側の重複部と後側の重複部とに違いができ、交換者は、視覚的に吸収性物品の前側及び後側の判別がし易くなる。それにより、使用者(交換者)が誤って装着する可能性を低減できる。
【0033】
===実施形態===
本発明に係る吸収性物品として、乳幼児用のテープ型使い捨ておむつを例に挙げて実施形態を説明する。ただし、これに限らず、例えば、パンツ型やパッドタイプの使い捨ておむつ、大人用のテープ型使い捨ておむつ等にも本発明を適用できる。
【0034】
<テープ型使い捨ておむつ1の基本構成>
図1は、展開かつ伸長された状態におけるテープ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ」ともいう)の平面図である。
図2は、
図1に示す線A−Aでの断面図である。おむつ1を展開させた状態とは、おむつ1をその長手方向に開くことで、おむつ1を平面上に展開した状態のことである。また、おむつ1を伸長させた状態とは、おむつ1の展開状態において、おむつ1に生じていた皺が実質的に視認されなくなる程に伸長させた状態であり、おむつ1を構成する各部材(例えば後述するトップシート22等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまでおむつ1が伸長した状態である。
【0035】
本実施形態のおむつ1は、所謂オープンタイプの使い捨ておむつであり、
図1に示すように、長手方向において腹側部3と、股下部5と、背側部7とを有する。腹側部3は、おむつ1を着用する際に着用者の腹側(前側)に位置する部分である。背側部7は、おむつ1を着用する際に着用者の背側(後側)に位置する部分である。そして、腹側部3と背側部7との間に股下部5が設けられる。
【0036】
以下の説明では、
図1に示すように、各方向を定義する。すなわち、展開状態の平面視にて、腹側部3から背側部7に向かう方向を「長手方向」とし、長手方向と直交する方向を「幅方向」とする。
図1に示されている線A−Aは、長手方向におけるおむつ1の中心を示す線である。また、
図2に示すように、長手方向及び幅方向と直交する方向を「厚さ方向」とし、着用者の肌の側を「肌側」とし、その逆側を「非肌側」とする。
【0037】
おむつ1は、中央帯状領域12と、サイドフラップ14と、レッグギャザー16と、レッグサイドギャザー17とを有する。一対のサイドフラップ14は、背側部7において、ファスニングテープ30がそれぞれ取り付けられている。
【0038】
中央帯状領域12は、腹側部3、股下部5及び背側部7によって構成された幅方向の中央部に位置する帯状の領域である(
図1参照)。中央帯状領域12は、着用者によって排泄された尿等の液体を吸収し保持する部位である。中央帯状領域12は、液保持性の吸収体21を含む縦長の形状(長手方向に沿った形状)を有する。中央帯状領域12は、主に、液吸収性の吸収体21と、同吸収体21を肌側から覆う液透過性のトップシート22と、同吸収体21を非肌側から覆う液不透過性のバックシート23、及び、おむつ1の外装をなす外装シート27(例えば不織布)とを有する(
図2参照)。中央帯状領域12には、さらに、液透過性であるセカンドシート35が設けられているが、セカンドシート35を必ずしも設けなくても良い。
【0039】
本実施形態の吸収体21は、
図2に示すように、尿等の排泄物を吸収する吸収性コア24と、吸収性コア24を厚さ方向の肌側及び非肌側の両側からそれぞれ覆う液透過性のコアラップシート25とを有している。コアラップシート25に好適な材料としては、ティッシュペーパーや不織布等を例示できる。但し、これらコアラップシート25は必須の構成ではない。
【0040】
吸収体21(吸収性コア24)は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって配置されている。本実施形態の吸収性コア24は、所定形状の一例としての平面視略砂時計形状を有する。吸収性コア24を構成する液体吸収性素材としては、例えばパルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を使用することができる。また、液体吸収性繊維及び液体吸収性粒状物以外の液体吸収性素材を含んでいても良い。
【0041】
また、吸収体21は、幅方向の中央部に低坪量部21Aを有している(
図1及び
図2参照)。低坪量部21Aにおいては、坪量が、低坪量部21Aに幅方向の外側から隣接する領域21B、21Bの坪量よりも低くなっている。ここで、坪量とは、単位面積当たりの質量のことである。ただし、おむつ1において、低坪量部21Aは必ずしも設けられていなくても良い。すなわち、吸収体21が全体に亘って均等な坪量を有するように構成されていても良い。
【0042】
サイドフラップ14は、中央帯状領域12の幅方向の両側部に位置する部位である。サイドフラップ14は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって形成されている(
図1参照)。股下部5におけるサイドフラップ14の幅方向の長さ(幅)は、腹側部3及び背側部7におけるサイドフラップ14の幅方向の長さ(幅)よりも狭い。サイドフラップ14は、主に、肌側シート26とバックシート23から構成されている(
図2参照)。肌側シート26は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって形成された肌側の部材であり、例えば不織布で構成されている。肌側シート26は、レッグサイドギャザー17(立体ギャザー)を構成する部材でもあり、肌側シート26の外側の部位(
図1の破線で表示された接合部26Aより外側の部位)がサイドフラップ14を構成する。
【0043】
中央帯状領域12のうち少なくとも股下部5には、肌側シート26とトップシート22との間に、長手方向に伸縮可能な一対の脚周り弾性部材28(例えば糸ゴム)が設けられている。脚周り弾性部材28は、股下部5の中央帯状領域12に伸縮性を付与する部材であり、長手方向に伸長させた状態で取り付けられる。これにより、脚周り弾性部材28は中央帯状領域12の股下部5に対して長手方向に沿った収縮力を発現する。
【0044】
一対のサイドフラップ14には、長手方向に沿って伸縮するレッグギャザー弾性部材15がそれぞれ設けられている。レッグギャザー弾性部材15は、長手方向に沿って伸縮する弾性部材であり、おむつ1の着用時において、脚回り開口部に伸縮性を付与する部材である。すなわち、レッグギャザー弾性部材15はおむつ1の脚繰り部を着用者の脚に合わせてフィットさせる脚回り弾性部材である。レッグギャザー弾性部材15は、例として、伸縮性を有する帯状の弾性シートや、複数の糸ゴム等であってもよい。そして、レッグギャザー弾性部材15が股下部5の肌側シート26及びバックシート23に伸縮性を付与することによって、レッグギャザー16が構成される。
【0045】
レッグサイドギャザー17は、脚繰りの隙間からの液漏れを防ぐための立体ギャザーである。一対のレッグサイドギャザー17は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって長手方向に沿って形成されている(
図1参照)。レッグサイドギャザー17は、サイドフラップ14の内側で中央帯状領域12の両縁を覆うように形成されている。
【0046】
レッグサイドギャザー17(立体ギャザー)は、主に肌側シート26の幅方向内側の部位から構成されている(
図2参照)。股下部5の肌側シート26の内縁は糸ゴム等のレッグサイドギャザー弾性部材18によって伸縮性を有している。肌側シート26は、中央帯状領域12とサイドフラップ14との間の接合部26Aで長手方向に沿って接合されている。おむつ1の着用時には、レッグサイドギャザー弾性部材18の伸縮性によって肌側シート26の接合部26Aよりも幅方向内側の領域が、接合部26Aを基点として着用者の肌側に立ち上がり、排泄物等の横漏れを抑制する。
【0047】
背側部7は、着用する際に着用者の背側の胴回りに位置する背側胴回り部7Bを有している(
図1参照)。該背側胴回り部7Bは、背側部7における長手方向の外側端から、サイドフラップ14が幅方向に延出している部分の長手方向の内側端までである。ファスニングテープ30は、おむつ1の背側胴回り部7Bにおいて、サイドフラップ14が幅方向に延出している部分の幅方向の両側部に配置されている(
図1参照)。そして、後述するターゲットテープ29(
図1)に各ファスニングテープ30を係止することにより、おむつ1の胴回り開口及び脚回り開口が形成され、着用者の身体(胴)に対しておむつ1の位置を固定することができる。
【0048】
腹側部3は、着用する際に着用者の腹側の胴回りに位置する腹側胴回り部3Fを有している(
図1参照)。腹側胴回り部3Fは、着用時に、前述の背側胴回り部7Bに対応する領域である。そして、中央帯状領域12の腹側胴回り部3Fには、ターゲットテープ29が設けられている。ターゲットテープ29は、腹側胴回り部3Fの外装シート27の非肌側に配置されている。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30と係合可能な部材であり、例えば不織布によって形成されている。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30を係合させるターゲット領域を構成する。なお、外装シート27の非肌側にターゲットテープ29を配置する代わりに、外装シート27を構成している最外層の不織布にターゲット領域を直接形成しても良い。そして、ファスニングテープ30をターゲットテープ29に係合させることによって、おむつ1を着用させることになる。
【0049】
本実施形態のおむつ1は、
図1及び
図2に示すように、吸収体21よりも厚さ方向の非肌側に、便のみに反応する便インジケータ40と、尿のみに反応する尿インジケータ50とを有している。便インジケータ40と尿インジケータ50とは、幅方向に離間し、長手方向に沿って帯状に配置されているが、幅方向に離間していなくてもよい。
【0050】
尿インジケータ50は、従来の一般的なおむつに採用されているpH指示薬を含むインジケータとして構成されている。例えば、尿インジケータ50は、尿のpHを反応因子(尿インジケータ反応因子)として、尿と接触することによって所定の反応(例えば呈色反応)を呈することにより、尿が排出されたことを検知する。便インジケータ40の詳細については後述する。
【0051】
<便インジケータ40の原理>
便インジケータ40は、おむつ1等の吸収性物品用の便インジケータであって、便中に含まれる所定の反応因子(便インジケータ反応因子)と接触することによって所定の反応(例えば呈色反応)を呈することにより、便が排出されたことを検知する。本実施形態では、便インジケータ40が便中の生体物質を検知する化学成分を含み、この化学成分の便への応答と、尿への応答が異なることにより、便の排出のみを検出することを可能としている。
【0052】
例えば、便インジケータ40に含まれる化学成分が検知する生体物質(便インジケータ反応因子)をたんぱく質とする場合、当該化学成分としては、pH指示薬を用いることができる。一般に、たんぱく質は、アミノ酸が重合した構造を有しており、たんぱく質の主鎖の両末端や側鎖に酸性及び塩基性の官能基を有しているため、一定以上のたんぱく質が存在する場合、pH指示薬を変色させることができる(たんぱく誤差法)。本実施形態では、便中の食物由来の未消化のたんぱく質や、腸内細菌から分泌されるたんぱく質等を検知することで、pH指示薬が便に応答するようにしている。
【0053】
具体的なpH指示薬としては、例えば、テトラフェノールブルーを使用することができる。この場合、たんぱく質が存在すると、たんぱく質中の遊離アミノ基と結合して塩様青色化合物を形成し、真のpHより高めのpHに相当する青色を呈する。よって、テトラフェノールブルーを含んだ便インジケータ40が便と接触することで、黄色から青色を呈色する。なお、pH指示薬の変色を起こしやすくするためには、予めpH3程度の酸性側にしておくことが望ましい。そのため、pH指示薬にクエン酸緩衝剤等を含ませても良い。
【0054】
このように、所定のpH指示薬を用いることにより、尿や便自体のpH変化によって、pH指示薬が呈色せず、たんぱく質に応答して当該pH指示薬を呈色させることができる。なお、たんぱく誤差法に用いられるpH指示薬は、上記のテトラフェノールブルーに限定されるものではなく、他のpH指示薬を用いることもできる。例えば、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン、チモールフタレイン等、若しくはその他の指示薬を用いることができる。さらに、pH指示薬は、肌に対して安全であり、湿気や日光による保管性に優れたものであることが望ましい。
【0055】
また、便インジケータ40では、排泄物が便であるか尿であるかを誤検出しないように、便インジケータ40に含まれる化学成分が便に応答し、尿には応答しないようにすることが望ましい。そこで、本実施形態における便インジケータ40は、所定濃度以上の便インジケータ反応因子(たんぱく質等)に応答して呈色反応等の反応を示し、便インジケータ反応因子が所定濃度よりも小さい場合には、反応を生じ難くしている。
【0056】
一般に、健常者の尿中には、たんぱく質は含まれておらず、非健常者であっても、尿中のたんぱく質は、10,000mg/Lを下回る。よって、本実施形態においては、pH指示薬を使用したたんぱく質誤差法により、便インジケータ40が、150mg/L以上のたんぱく質に応答することが好ましく、5,000mg/L以上のたんぱく質に応答することがより好ましく、10,000mg/L以上のたんぱく質に応答することが更に好ましい。例えば、化学成分としてブロモフェノールブルーを使用する条件で、便インジケータ40が150mg/L以上のたんぱく質に応答する場合、便インジケータ40における1cm
2あたりのpH指示薬の適用量を、16.3μgとすることが好ましく、便インジケータ40が5,000mg/L以上のたんぱく質に応答する場合、便インジケータ40における1cm
2あたりのpH指示薬の適用量を、0.5μgとすることが好ましく、便インジケータ40が10,000mg/L以上のたんぱく質に応答する場合、便インジケータ40における1cm
2あたりのpH指示薬の適用量を、0.25μgとすることが好ましい。なお、pH指示薬の適用量を17.0μg以下とすることにより、吸収性物品の着用者に対する便インジケータ40の安全性が高まる。
【0057】
本実施形態では、このようにpH指示薬の塗布量を調整することによって、便インジケータ40が便に対して反応可能な範囲と比較して、尿に対して反応可能な範囲を相対的に小さくすることができる。言い換えると、便インジケータ40の便に対する反応と、便インジケータ40の尿に対する反応とを異ならせることができる。これにより、便インジケータ40を尿に対して反応し難くすることができる。
【0058】
また、便インジケータ40は、上述したたんぱく質を反応因子として限定するものではない。例えば、便中に含まれる腸内細菌や、便の比重と相関関係がある便のイオン強度、胆汁色素のビリルビン等、便に由来する物質に反応するようにしても良い。これらの成分は、一般に、尿に含まれていない、若しくは便と比較して尿に含有される量や比重が非常に小さい。したがって、たんぱく質を反応因子とする場合と同様に、便インジケータ40が尿に対して反応し難く、便に対して反応しやすくなる。したがって、おむつ1において排泄された便を精度よく検出することができる。
【0059】
<便インジケータ40の具体的構成>
便インジケータ40は、上述のような化学成分(例えばpH指示薬)を含んだ接着剤(例えばホットメルト接着剤HMA)をおむつ1のバックシート23の肌側面に塗工することによって形成されている。本実施形態では、
図1に示されるように、股下部5及び背側部7にわたって、長手方向に沿った帯状(若しくは線状)の領域に、コーターを用いてホットメルト接着剤(HMA)を塗工することによって便インジケータ40が形成されている。このようなコーター塗工によれば、均等な膜厚でムラの少ない便インジケータ40を形成することが可能となり、便の検出精度を高めることができる。また、製造コストを抑えることができる。なお、尿インジケータ50についても同様にして形成することができる。
【0060】
また、化学成分をインクと混ぜて、バックシート23やコアラップシート25に印刷塗工することによって便インジケータ40が形成されるのであっても良い。また、化学成分を染みこませた濾紙や不織布を、ホットメルト接着剤(HMA)や超音波溶着でバックシート23やコアラップシート25に接合固定することによって便インジケータ40が形成されるのであっても良い。
【0061】
また、本実施形態では、幅方向の中央部に便インジケータ40が配置されているため、おむつ1を着用した際に、幅方向において着用者の肛門の位置と便インジケータ40の位置とが重なりやすい。したがって、おむつ1に便が排泄された場合に、便中に含まれる水分(便汁)が便インジケータ40に到達しやすく、便を精度良く検出できるようになっている。なお、便は尿と比較して流動性が低いため、肛門から排泄された便は、長手方向や幅方向に流動し難い。したがって、
図1に示されるように便インジケータ40が一つ(一本)だけ設けられている場合であっても、便の検出精度は悪化しにくい。
【0062】
これに対して、尿は流動性が高く、長手方向や幅方向に流動・拡散しやすい。そこで、おむつ1では、尿インジケータ50を2つ以上設けることにより、尿が流動した場合でも、いずれかの尿インジケータ50によって検出できるようにしている。
【0063】
このように、排便及び排尿をそれぞれ検知できる各インジケータ(40、50)を設けることによって、おむつ1の使用者(例えば、交換者)は、おむつ1の外観から各インジケータ(40、50)を視認し、排便又は排尿の有無を確認し易くなるものの、外観ではおむつの前後判断が難しいことがあり、前後を逆に装着してしまう虞があった。
【0064】
この点に対し、本実施形態では、以下のような工夫を施している。まず、おむつ1の長手方向の中央(
図1の線A−A)よりも、着用時に着用者の腹側となる方を前側とし、着用者の背側となる方を後側とする。また、当該長手方向の中央は、おむつ1を二つ折りにする位置でもある。
図3Aは、
図1の便インジケータ40のみを概略的に説明する図であり、
図3Bは、使用前の折り畳まれた状態のおむつ1を後側から見た概略図であり、
図3Cは、使用前の折り畳まれた状態のおむつ1を前側から見た概略図である。
図3B及び
図3Cでは、説明の便宜上、必要な構成のみを示している。
【0065】
本実施形態では、便インジケータ40は、おむつ1の非肌側から視認可能であり、便インジケータ40のうち、前側に位置する部分を前部40a、後側に位置する部分を後部40bとすると(
図1及び
図3A参照)、長手方向において、前部40aの長さL1と、後部40bの長さL2とが異なっている(
図3A)。具体的には、後部40bの長さL2のほうが前部40aの長さL1よりも長くなっている。通常、着用者の肛門位置に対向するのはおむつ1の後側であり、そのような後側の便インジケータ40の長さが長いことで、より効率的に便を検出し易い。そして、
図3B及び
図3Cの使用前の折り畳まれた状態のおむつ1を見ると、前部40aと後部40bの長さの違いにより、使用者(交換者)は、便インジケータ40の長さが長い方が後側、長さが短い方が前側であることを視覚的に判断できる。
【0066】
本実施形態では、前部40aの長さL1と、後部40bの長さL2との違いによって、おむつ1の前後を判別できるようにしているが、長さの違いに限らず、前側における便インジケータ40の形状と、後側における便インジケータ40の形状とが異なっていればよい。便インジケータ40の前側(40a)の形状と後側(40b)の形状とが異なることで、おむつ1の使用前の二つ折り状態において、おむつ1の前側及び後側の判別が外観から視認し易くなる。装着時に、容易に前後の認識ができることから、交換者が誤って装着する可能性を低減できる。尚、上述の「形状が異なる」とは、おむつ1の使用者(交換者)が視覚的に異なっていると判断し得る程度に違いがあることが好ましく、また、前側に便インジケータ40を設けない(前部40aの形状がない)場合も含む。
【0067】
次に、便インジケータ40の様々な形状の具体例を説明する。
図4A〜
図4Eは、それぞれ、便インジケータ40の変形例1〜5について説明する図である。
図4A〜
図4Eは、便インジケータ40をおむつ1の非肌側から見た状態を示している。
【0068】
図4Aの変形例1では、便インジケータ40が長手方向に非連続的に設けられている。非連続状である便インジケータ40の後部40bの長さは、前部40aの長さよりも長く、交換者は、非連続状の便インジケータ40の長さが長い方が、後側であると判断することができる。また、前部40aにおける便インジケータ40の数(
図4Aでは2個)と後部40bにおける便インジケータ40の数(
図4Aでは7個)との比較でも判別可能であり、便インジケータ40の数が多い方が後側であると判断することもできる。
【0069】
図4Bに示す変形例2においては、前部40aが丸型の図柄で示され、後部40bが星型の図柄で示されている。これにより、交換者は、便インジケータ40の形状が丸型であるのが前側、星型であるのが後側と判断できる。また、
図4Cの変形例3においては、長手方向に沿った帯状の便インジケータ40の他に、前側には「まえ」という文字と、後側には「うしろ」という文字からなる便インジケータ40が設けられている。このような直接的に前後を表現する文字を用いることにより、おむつ1の交換者は、より確実に前後判断がしやすくなる。尚、変形例2及び3の便インジケータ40に限らず、便インジケータ40は、図形、文字、又は、図形と文字の組み合わせからなる図柄であってよく、前側に設けられる便インジケータ40(40a)の図柄と、後側に設けられる便インジケータ40(40b)の図柄とが異なっていればよい。便インジケータ40の図柄がおむつ1の前後で異なることで、交換者は、前後の判断がし易くなり、誤装着の可能性を低減できる。
【0070】
また、
図4Dに示す変形例4及び
図4Eに示す変形例5では、便インジケータ40が、使用者(交換者)に排泄物を想起させる図柄になっている。図柄が「便」を想起させるようなもの(
図4D)や、「うんち」等の文字からなる図柄(
図4E)であることで、交換者は便を連想しやすく、便インジケータ40を認識し易い。また、変形例4及び変形例5では、排泄物を想起させる図柄からなる便インジケータ40の前部40aと後部40bとの長さが異なるため、長さの違いによって前後の判別が可能である。また、変形例4及び変形例5では、前部40a及び後部40bにおいて排泄物を想起させる図柄を使用しているが、少なくとも後側(後部40b)に設けられる図柄が、使用者に排泄物を想起させる図柄であればよい。それにより、交換者は、「便」を想起させる図柄が設けられている側が後側であることを判断しやすい。
【0071】
次に、便インジケータ40と尿インジケータ50とを合わせて外観から視認した場合について説明する。
図5は、
図1の便インジケータ40及び尿インジケータ50のみを概略的に説明する図である。
図5に示すように、おむつ1の前側における便インジケータ40と尿インジケータ50とを合わせた形状を前側インジケータ形状Xとし、おむつ1の後側における便インジケータ40と尿インジケータ50とを合わせた形状を後側インジケータ形状Yとすると、前側インジケータ形状Xにおいては、尿インジケータ50の長手方向の長さN1は、便インジケータ40の長手方向の長さL1よりも長く、後側インジケータ形状Yにおいては、尿インジケータ50の長手方向の長さN2は、便インジケータ40の長手方向の長さL2よりも短くなっている。これにより、おむつ1の交換者は、尿インジケータ50の長さが長い方が前側、便インジケータ40の長さが長い方が後側であると判断しやすくなる。その結果、おむつ1の前後を誤って装着する可能性を低減する。
【0072】
このように、本実施形態の前側インジケータ形状Xと後側インジケータ形状Yにおいては、各インジケータ(40,50)の長さの違いによっておむつ1の前後を判別し易くしているが、前側インジケータ形状Xと後側インジケータ形状Yとが異なっていればよい。それによって、交換者は、おむつ1の前後の区別が外観から視認し易くなる。例えば、上述の変形例1から5等に示したように、一方或いは両方のインジケータ形状において異なる図形、文字、又は、図形と文字の組み合わせからなる図柄等を用いてもよい。また、後側インジケータ形状Yにのみ排泄物を想起させる図柄を用いて、後側インジケータ形状Yをより視覚的に判別し易くさせてもよい。おむつ1の装着時に容易に前後の認識ができることで、使用者(交換者)が誤って装着する可能性を低減できる。
【0073】
図6は、便インジケータ40と尿インジケータ50の変形例を示す図である。ここでも、便インジケータ40よりも幅方向の外側に尿インジケータ50を複数配置している。そして、便インジケータ40と尿インジケータ50とを合わせた前側インジケータ形状Xの長手方向の外側端Xeにおける両インジケータ(40、50)の本数は、尿インジケータ50の2本である。また、後側インジケータ形状Yの長手方向の外側端Yeにおける両インジケータ(40、50)の本数は、便インジケータ40が1本、尿インジケータ50が2本の合計3本である。すなわち、前側インジケータ形状Xの長手方向の外側端Xeにおける便インジケータ40及び尿インジケータ50の合計数と、後側インジケータ形状Yの長手方向の外側端Yeにおける便インジケータ40及び尿インジケータ50の合計数とが異なっている。
図6の変形例の場合、おむつ1の交換者は、インジケータの本数が多い方が後側である、或いは、インジケータの本数が少ない方が前側であると認識し易くなる。
【0074】
同様に、
図1の実施形態においても、
図5に示すように、前側インジケータ形状Xの長手方向の外側端Xeにおける両インジケータ(40、50)の合計数は2本であり、後側インジケータ形状Yの長手方向の外側端Yeにおける両インジケータ(40、50)の合計数は1本であることから、インジケータの数が少ない方が後側(或いは、インジケータの数が多い方が前側)であると認識することができる。
【0075】
また、便インジケータ40は、
図1に示すように、長手方向及び幅方向において、低坪量部21Aと重複する部分を有するように配置されている。そして、本実施形態では、おむつ1の前側における重複する部分の長手方向の長さ(
図1に示すS1)と、後側における重複する部分の長手方向の長さ(
図1に示すS2)とが異なっている。低坪量部21Aは、隣接する領域との坪量の違いにより、低坪量部21Aの部分だけ外観上が異なって見えやすく、そのような低坪量部21Aと便インジケータ40とが重複する部分の長さが前側と後側とで異なることで、おむつ1の交換者は、視覚的におむつ1の前後の判断がしやすくなる。また、低坪量部21Aは触った時の感覚が隣接する吸収体21の触感と違うため、異なる触感が長い方が後側である等のように、触感でも前後の認識がしやすくなる。
【0076】
また、厚さ方向に見たときに、便インジケータ40と低坪量部21Aとが重複する部分の面積は、尿インジケータ50と低坪量部21Aとが重複する部分の面積よりも大きい。
図1では、おむつ1(吸収体21)の幅方向中央部に、長手方向の股下部5から背側部7に亘って略長方形状の低坪量部21Aが設けられており、便インジケータ40の一部が当該と低坪量部21Aと重複して配置されている。吸収体21のうち、低坪量部21Aが設けられている部分はその他の部分と比較して、便(便汁)が厚さ方向に透過しやすい。そのため、排泄された便が、厚さ方向の肌側から非肌側へ透過しやすく、吸収体21の非肌側に配置されている便インジケータ40に便(便汁)が到達しやすくなる。したがって、便インジケータ40と低坪量部21Aとが重複している領域では、便インジケータ40による便の検出精度を高めることができる。
【0077】
一方、
図1では、厚さ方向に見たときに、尿インジケータ50と低坪量部21Aとは重複していない(重複する部分の面積がゼロである)。尿は便と比較して流動性が高いため、低坪量部21Aと重複しない領域であっても吸収体21の内部を厚さ方向に透過しやすく、吸収体21の非肌側に配置されている尿インジケータ50に到達しやすい。逆に低坪量部21Aと尿インジケータ50との重複部分の面積が大きいと、尿が吸収体21を過度に透過してしまい、尿漏れの原因となるおそれがある。
【0078】
そこで、便インジケータ40と低坪量部21Aとが重複する部分の面積を、尿インジケータ50と低坪量部21Aとが重複する部分の面積よりも大きくすることによって、排便及び排尿をそれぞれ検出しやすくすると共に、尿漏れを抑制することができる。
【0079】
このように、排便と排尿とをそれぞれ精度良く検出できるようにすることで、使用者は、おむつ1の交換のタイミングを正確に判断しやすくなり、着用者に不快感を生じ難くさせることができる。
【0080】
また、
図1の本実施形態において、便インジケータ40は、厚さ方向に見て、背側胴回り部7Bと重なる部分を有している。これにより、胴回り部分まで便インジケータ40が存在している側が、おむつ1の後側であると判断することもできる。また、背側胴回り部7Bは使用者の肌と密着する部分であり、着用中の適度な圧迫により便が吸収体21の下層にまで到達し易くなるため、便インジケータ40が反応しやすい部分である。そのような部分に便インジケータ40を設けることで、便の検出性も高まる。
【0081】
また、
図1の本実施形態において、尿インジケータ50は、厚さ方向に見て腹側胴回り部3Fと重なる部分を有し、便インジケータ40は、厚さ方向に見て、腹側胴回り部3Fと重なっていない。従って、おむつ1の交換者は、胴回り部まで尿インジケータ50が存在している側が、おむつ1の前側であると判断できる。また、腹側は、尿漏れが発生する可能性が背側よりも高いため、腹側胴回り部3Fまで尿インジケータ50を配置することで、尿の検出性を高める。
【0082】
図7は、模様60を設けた、展開かつ伸長された状態のテープ型使い捨ておむつ1を非肌側から見た平面図である。おむつ1は、便インジケータ40よりも厚さ方向の非肌側にバックシート23を有している(
図2参照)。そして、ここでは、
図7に示すように、バックシート23が模様60を有しており、使用者(交換者)は、おむつ1の非肌側から当該模様60を視認できる。尚、模様60は、
図7に示す模様に限らず、任意の模様や文字等であってよい。
【0083】
図7に示すように、おむつ1は、便インジケータ40と模様60とが厚さ方向に見て重複する重複部を有しており、おむつ1の前側の重複部を60a、後側の重複部を60bとすると、重複部60aと重複部60bとでは、便インジケータ40と模様60との重なり方が異なっている。すなわち、前側の重複部60aでは、便インジケータ40に対して星型の模様60が僅かに重複しているのに対し、後側の重複部60bでは、模様60の中央部分に便インジケータ40が重なり、重複する部分が大きい。このことから、おむつ1の交換者は、便インジケータ40と模様60との重なりが大きい方が後側である等の認識が可能となる。従って、前側の重複部60aと後側の重複部60bと重なり方の違いにより、交換者は、視覚的におむつ1の前後の判断がし易くなる。尚、前側の重複部60a及び後側の重複部60bのうち、少なくとも一方が模様60と重なっていればよい。
【0084】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0085】
また、上述の実施形態においては、セカンドシート35を厚さ方向においてトップシート22とコアラップシート25との間に配置しているが、吸収体21と便インジケータ40との間に、液体を拡散させる拡散シートとして配置してもよい。そうすることで、便の水分を吸収体21の下層で拡散させ、便インジケータ40をより広い範囲で反応させることができる。それにより、おむつ1外面からの視認性を高めることができる。
【0086】
また、トップシート22は、開口を有していてもよい。開口を有することによって、セカンドシート35と便との接地面積を増やし、セカンドシート35への便の透過性を向上させることができる。
【0087】
また、上述の実施形態においては、便インジケータ40を長手方向に沿って1本配置していたが、これに限らず、幅方向において複数本配置してもよい。便インジケータ40を複数配置することよって、排便の検知をより向上させることもできる。