【解決手段】吸収性物品用のセンサーユニット(80)であって、尿と接触することで視覚的に色が変化する尿インジケータの色が変化したことを検出する尿変化検出部(822r)と、便と接触することで視覚的に色が変化する便インジケータの色が変化したことを検出する便変化検出部(812r)とを備えることを特徴とするセンサーユニット(80)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品用のセンサーユニットであって、尿と接触することで視覚的に色が変化する尿インジケータの色が変化したことを検出する尿変化検出部と、便と接触することで視覚的に色が変化する便インジケータの色が変化したことを検出する便変化検出部とを備えることを特徴とするセンサーユニットである。
【0010】
このようなセンサーユニットによれば、着用者が尿を排泄したか、便を排泄したかの認識が容易になる。
【0011】
かかるセンサーユニットであって、前記尿変化検出部及び前記便変化検出部が検出した検出結果を無線で出力する出力部を有することが望ましい。
【0012】
このようなセンサーユニットによれば、有線の場合のような手間や煩わしさがなく、容易にセンサーユニットの装着や取り外しを行うことができる。
【0013】
かかるセンサーユニットであって、前記吸収性物品に装着したときに、前記吸収性物品の上下方向に沿う方向を第1方向とし、前記吸収性物品の左右方向に沿う方向を第2方向とした場合に、前記第1方向において、前記尿変化検出部の中心の位置と前記便変化検出部の中心の位置とが異なることが望ましい。
【0014】
このようなセンサーユニットによれば、第1方向において、尿変化検出部の中心の位置と便変化検出部の中心の位置を同じ位置に設けた場合より、尿インジケータの色の変化と便インジケータの色の変化を第1方向における異なる位置で検出しやすいセンサーユニットとすることができる。
【0015】
かかるセンサーユニットであって、前記吸収性物品に装着したときに、前記吸収性物品の上下方向に沿う方向を第1方向とし、前記吸収性物品の左右方向に沿う方向を第2方向とした場合に、前記第2方向において、前記尿変化検出部の中心の位置と、前記便変化検出部の中心の位置とが異なることが望ましい。
【0016】
このようなセンサーユニットによれば、第2方向において、尿変化検出部の中心の位置と便変化検出部の中心の位置を同じ位置に設けた場合より、尿インジケータの色の変化と便インジケータの色の変化を第2方向における異なる位置で検出しやすいセンサーユニットとすることができる。
【0017】
かかるセンサーユニットであって、前記吸収性物品に装着したときに、前記吸収性物品の上下方向に沿う方向を第1方向とし、前記吸収性物品の左右方向に沿う方向を第2方向とした場合に、前記便変化検出部の前記第2方向における両側に前記尿変化検出部が設けられていることが望ましい。
【0018】
このようなセンサーユニットによれば、便インジケータの左右方向における両側に尿インジケータが設けられているような吸収性物品に装着する場合でも、各インジケータの色の変化を検出することができる。
【0019】
かかるセンサーユニットであって、前記吸収性物品に対して着脱可能な着脱機構を有し、前記吸収性物品に装着される側から見たときに、前記尿変化検出部及び前記便変化検出部が、前記着脱機構と重ならない部分を有することが望ましい。
【0020】
このようなセンサーユニットによれば、仮に、尿変化検出部の全域又は便変化検出部の全域に亘って着脱機構が設けられた場合のように、着脱機構によって各インジケータの色の変化の検出が妨げられないようにすることができる。
【0021】
かかるセンサーユニットであって、前記センサーユニットは、可撓性を有することが望ましい。
【0022】
このようなセンサーユニットによれば、着用時に肌当たりがよい。
【0023】
かかるセンサーユニットであって、前記吸収性物品に装着される側の反対側に、前記センサーユニットを前記吸収性物品に装着するための位置を示す印が設けられていることが望ましい。
【0024】
このようなセンサーユニットによれば、センサーユニットを印に従って吸収性物品に装着することで、センサーユニットを吸収性物品の正しい位置に装着させやすくなり、より正確に着用者が尿を排泄したか、便を排泄したかの認識ができる。
【0025】
かかるセンサーユニットであって、前記印は、尿インジ印と便インジ印を有し、前記尿インジ印は、前記尿変化検出部に対応する位置に設けられており、前記便インジ印は、前記便変化検出部に対応する位置に設けられていることが望ましい。
【0026】
このようなセンサーユニットによれば、吸収性物品の尿インジケータ及び便インジケータに対応する位置にセンサーユニットを装着することができるため、各インジケータの色の変化を検出しやすくなる。
【0027】
かかるセンサーユニットであって、前記尿インジ印と前記便インジ印とは、互いに、少なくとも形状、模様、色彩の何れかが異なる図柄を有することが望ましい。
【0028】
このようなセンサーユニットによれば、センサーユニットを、尿インジケータと便インジケータの位置を区別しやすくなる。
【0029】
かかるセンサーユニットであって、前記尿インジ印の色が、前記尿インジケータが前記尿との接触で変化する前の色と同じであり、前記便インジ印の色が、前記便インジケータが前記便との接触で変化する前の色と同じであることが望ましい。
【0030】
このようなセンサーユニットによれば、センサーユニットを各インジケータに対応する位置に装着しやすくなる。
【0031】
かかるセンサーユニットであって、前記印の色が、前記尿インジケータが前記尿との接触で変化した後の色と異なり、前記印の色が、前記便インジケータが前記便との接触で変化した後の色と異なることが望ましい。
【0032】
このようなセンサーユニットによれば、印の色が変化後の各インジケータの色と異なることで、直接インジケータを見たときに、各インジケータの色が変化したことを、認識しづらくなってしまう恐れを軽減させる。
【0033】
吸収性物品とセンサーユニットを有する吸収性物品キットであって、前記吸収性物品は、尿と接触することで視覚的に色が変化する、前記吸収性物品の上下方向に沿った尿インジケータと、便と接触することで視覚的に色が変化する、前記吸収性物品の上下方向に沿った便インジケータとを備え、前記センサーユニットは、前記尿インジケータの色が変化したことを検出する尿変化検出部と、前記便インジケータの色が変化したことを検出する便変化検出部とを備えることを特徴とする吸収性物品キットである。
【0034】
このような吸収性物品キットによれば、吸収性物品へのセンサーユニットの装着が容易とあり、且つ、着用者が尿を排泄したか、便を排泄したかの認識が容易になる。
【0035】
かかる吸収性物品キットであって、前記吸収性物品に装着される側を前記尿インジケータ及び前記便インジケータに対向させて、前記センサーユニットを前記吸収性物品に装着した状態において、前記センサーユニットの前記上下方向の長さは、前記尿インジケータの前記上下方向の長さより短く、前記センサーユニットの前記上下方向の長さは、前記便インジケータの前記上下方向の長さより短いことが望ましい。
【0036】
このような吸収性物品キットによれば、尿インジケータと便インジケータを直接視認することも可能なので、センサーユニットによる検出結果を併せて着用者の排泄を確認することができる。
【0037】
かかる吸収性物品キットであって、前記センサーユニットは、可撓性を有し、前記センサーユニットのうち、前記尿変化検出部及び前記便変化検出部が設けられていない部分の剛性が、前記吸収性物品の上下方向の中央部且つ左右方向の中央部の剛性より低いことが望ましい。
【0038】
このような吸収性物品キットによれば、着用時における肌当たりを向上させることができる。
【0039】
包装材に、複数の吸収性物品と、前記吸収性物品より少ない数のセンサーユニットとが収容された吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、尿と接触することで視覚的に色が変化する、前記吸収性物品の上下方向に沿った尿インジケータと、便と接触することで視覚的に色が変化する、前記吸収性物品の上下方向に沿った便インジケータとを備え、前記センサーユニットは、前記尿インジケータの色が変化したことを検出する尿変化検出部と、前記便インジケータの色が変化したことを検出する便変化検出部とを備えることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0040】
このような吸収性物品包装体によれば、複数の吸収性物品に対して、1つのセンサーユニットを装着することができるため、吸収性物品包装体のコストを削減することができる。
【0041】
===実施形態===
本発明に係る吸収性物品として、乳幼児用のテープ型使い捨ておむつを例に挙げて実施形態を説明する。ただし、これに限らず、例えば、パンツ型やパッドタイプの使い捨ておむつ、大人用のテープ型使い捨ておむつ等の吸収性物品にも本発明を適用できる。
【0042】
<テープ型使い捨ておむつ1の基本構成>
図1は、展開かつ伸長された状態におけるテープ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ」ともいう。)の肌側から見た平面図である。
図2は、
図1に示す線A−Aでの断面図である。おむつ1を展開させた状態とは、おむつ1をその長手方向に開くことで、おむつ1を平面上に展開した状態のことである。また、おむつ1を伸長させた状態とは、おむつ1の展開状態において、おむつ1に生じていた皺が実質的に視認されなくなる程に伸長させた状態であり、おむつ1を構成する各部材(例えば後述するトップシート22等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまでおむつ1が伸長した状態である。
【0043】
本実施形態のおむつ1は、所謂オープンタイプの使い捨ておむつであり、
図1に示すように、長手方向において腹側部3と、股下部5と、背側部7とを有する。腹側部3は、おむつ1を着用する際に着用者の腹側(前側)に位置する部分である。背側部7は、おむつ1を着用する際に着用者の背側(後側)に位置する部分である。そして、腹側部3と背側部7との間に股下部5が設けられる。
【0044】
以下の説明では、
図1に示すように、各方向を定義する。すなわち、展開状態の平面視にて、腹側部3から背側部7に向かう方向を「長手方向」とし、長手方向と直交する方向を「左右方向」とする。
図1に示されている線A−Aは、長手方向におけるおむつ1の中心を示す線である。また、
図2に示すように、長手方向及び左右方向と直交する方向を「厚さ方向」とし、着用者の肌の側を「肌側」とし、その逆側を「非肌側」とする。展開状態の「長手方向」は、おむつ1の着用状態における「上下方向」に沿う方向である。
【0045】
おむつ1は、中央帯状領域12と、サイドフラップ14と、レッグギャザー16と、レッグサイドギャザー17とを有する。一対のサイドフラップ14は、背側部7において、ファスニングテープ30がそれぞれ取り付けられている。
【0046】
中央帯状領域12は、腹側部3、股下部5及び背側部7によって構成された左右方向の中央部に位置する帯状の領域である(
図1参照)。中央帯状領域12は、着用者によって排泄された尿等の液体を吸収し保持する部位である。中央帯状領域12は、液保持性の吸収体21を含む縦長の形状(長手方向に沿った形状)を有する。中央帯状領域12は、主に、液吸収性の吸収体21と、同吸収体21を肌側から覆う液透過性のトップシート22と、同吸収体21を非肌側から覆う液不透過性のバックシート23、及び、おむつ1の外装をなす外装シート27(例えば不織布)とを有する(
図2参照)。中央帯状領域12には、さらに、液透過性であるセカンドシート35が設けられているが、セカンドシート35を必ずしも設けなくても良い。
【0047】
本実施形態の吸収体21は、
図2に示すように、尿等の排泄物を吸収する吸収性コア24と、吸収性コア24を厚さ方向の肌側及び非肌側の両側からそれぞれ覆う液透過性のコアラップシート25とを有している。コアラップシート25に好適な材料としては、ティッシュペーパーや不織布等を例示できる。但し、これらコアラップシート25は必須の構成ではない。
【0048】
吸収体21は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって配置されている。本実施形態の吸収性コア24は、所定形状の一例としての平面視略砂時計形状を有する。吸収性コア24を構成する液体吸収性素材としては、例えばパルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を使用することができる。また、液体吸収性繊維及び液体吸収性粒状物以外の液体吸収性素材を含んでいても良い。
【0049】
サイドフラップ14は、中央帯状領域12の左右方向の両側部に位置する部位である。サイドフラップ14は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって形成されている(
図1参照)。股下部5におけるサイドフラップ14の左右方向の長さ(幅)は、腹側部3及び背側部7におけるサイドフラップ14の左右方向の長さ(幅)よりも狭い。サイドフラップ14は、主に、肌側シート26とバックシート23から構成されている(
図2参照)。肌側シート26は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって形成された肌側の部材であり、例えば不織布で構成されている。肌側シート26は、レッグサイドギャザー17(立体ギャザー)を構成する部材でもあり、肌側シート26の外側の部位(
図1の破線で表示された接合部26Aより外側の部位)がサイドフラップ14を構成する。
【0050】
中央帯状領域12のうち少なくとも股下部5には、肌側シート26とトップシート22との間に、長手方向に伸縮可能な一対の脚周り弾性部材28(例えば糸ゴム)が設けられている。脚周り弾性部材28は、股下部5の中央帯状領域12に伸縮性を付与する部材であり、長手方向に伸長させた状態で取り付けられる。これにより、脚周り弾性部材28は中央帯状領域12の股下部5に対して長手方向に沿った収縮力を発現する。
【0051】
一対のサイドフラップ14には、長手方向に沿って伸縮するレッグギャザー弾性部材15がそれぞれ設けられている。レッグギャザー弾性部材15は、長手方向に沿って伸縮する弾性部材であり、おむつ1の着用時において、脚回り開口部に伸縮性を付与する部材である。すなわち、レッグギャザー弾性部材15はおむつ1の脚繰り部を着用者の脚に合わせてフィットさせる脚回り弾性部材である。レッグギャザー弾性部材15は、例として、伸縮性を有する帯状の弾性シートや、複数の糸ゴム等であってもよい。そして、レッグギャザー弾性部材15が股下部5の肌側シート26及びバックシート23に伸縮性を付与することによって、レッグギャザー16が構成される。
【0052】
レッグサイドギャザー17は、脚繰りの隙間からの液漏れを防ぐための立体ギャザーである。一対のレッグサイドギャザー17は、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって長手方向に沿って形成されている(
図1参照)。レッグサイドギャザー17は、サイドフラップ14の内側で中央帯状領域12の両縁を覆うように形成されている。
【0053】
レッグサイドギャザー17(立体ギャザー)は、主に肌側シート26の左右方向内側の部位から構成されている(
図2参照)。股下部5の肌側シート26の内縁は糸ゴム等のレッグサイドギャザー弾性部材18によって伸縮性を有している。肌側シート26は、中央帯状領域12とサイドフラップ14との間の接合部26Aで長手方向に沿って接合されている。おむつ1の着用時には、レッグサイドギャザー弾性部材18の伸縮性によって肌側シート26の接合部26Aよりも左右方向内側の領域が、接合部26Aを基点として着用者の肌側に立ち上がり、排泄物等の横漏れを抑制する。
【0054】
背側部7は、着用する際に着用者の背側の胴回りに位置する背側胴回り部7Bを有している(
図1参照)。該背側胴回り部7Bは、背側部7における長手方向の外側端から、サイドフラップ14が左右方向に延出している部分の長手方向の内側端までである。ファスニングテープ30は、おむつ1の背側胴回り部7Bにおいて、サイドフラップ14が左右方向に延出している部分の左右方向の両側部に配置されている(
図1参照)。そして、後述するターゲットテープ29(
図1)に各ファスニングテープ30を係止することにより、おむつ1の胴回り開口及び脚回り開口が形成され、着用者の身体(胴)に対しておむつ1の位置を固定することができる。
【0055】
腹側部3は、着用する際に着用者の腹側の胴回りに位置する腹側胴回り部3Fを有している(
図1参照)。腹側胴回り部3Fは、着用時に、前述の背側胴回り部7Bに対応する領域である。そして、中央帯状領域12の腹側胴回り部3Fには、ターゲットテープ29が設けられている。ターゲットテープ29は、腹側部3の外装シート27の非肌側に配置されている。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30と係合可能な部材であり、例えば不織布によって形成されている。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30を係合させるターゲット領域を構成する。なお、外装シート27の非肌側にターゲットテープ29を配置する代わりに、外装シート27を構成している最外層の不織布にターゲット領域を直接形成しても良い。そして、ファスニングテープ30をターゲットテープ29に係合させることによって、おむつ1を着用させることになる。
【0056】
本実施形態のおむつ1は、
図1及び
図2に示すように、吸収体21よりも厚さ方向の非肌側に、便と接触することにより視覚的に色が変化する便インジケータ40と、尿と接触することにより視覚的に色が変化する尿インジケータ50とを有している。便インジケータ40と尿インジケータ50とは、左右方向に離間し、長手方向に沿って帯状に配置されているが、左右方向に離間していなくてもよい。また、長手方向に非連続的に配置されていてもよい。
【0057】
尿インジケータ50は、従来の一般的なおむつに採用されているpH指示薬を含むインジケータとして構成されている。例えば、尿インジケータ50は、尿のpHを反応因子(尿インジケータ反応因子)として、尿と接触することによって所定の反応(例えば呈色反応)を呈することにより、尿が排出されたことを検知する。便インジケータ40の詳細については後述する。
【0058】
<便インジケータ40の原理>
便インジケータ40は、おむつ1等の吸収性物品用の便インジケータであって、便中に含まれる所定の反応因子(便インジケータ反応因子)と接触することによって所定の反応(例えば呈色反応)を呈することにより、便が排出されたことを検知する。本実施形態では、便インジケータ40が便中の生体物質を検知する化学成分を含み、この化学成分の便への応答と、尿への応答が異なることにより、便の排出のみを検出することを可能としている。
【0059】
例えば、便インジケータ40に含まれる化学成分が検知する生体物質(便インジケータ反応因子)をたんぱく質とする場合、当該化学成分としては、pH指示薬を用いることができる。一般に、たんぱく質は、アミノ酸が重合した構造を有しており、たんぱく質の主鎖の両末端や側鎖に酸性及び塩基性の官能基を有しているため、一定以上のたんぱく質が存在する場合、pH指示薬を変色させることができる(たんぱく誤差法)。本実施形態では、便中の食物由来の未消化のたんぱく質や、腸内細菌から分泌されるたんぱく質等を検知することで、pH指示薬が便に応答するようにしている。
【0060】
具体的なpH指示薬としては、例えば、テトラフェノールブルーを使用することができる。この場合、たんぱく質が存在すると、たんぱく質中の遊離アミノ基と結合して塩様青色化合物を形成し、真のpHより高めのpHに相当する青色を呈する。よって、テトラフェノールブルーを含んだ便インジケータ40が便と接触することで、黄色から青色を呈色する。なお、pH指示薬の変色を起こしやすくするためには、予めpH3程度の酸性側にしておくことが望ましい。そのため、pH指示薬にクエン酸緩衝剤等を含ませても良い。
【0061】
このように、所定のpH指示薬を用いることにより、尿や便自体のpH変化によって、pH指示薬が呈色せず、たんぱく質に応答して当該pH指示薬を呈色させることができる。なお、たんぱく誤差法に用いられるpH指示薬は、上記のテトラフェノールブルーに限定されるものではなく、他のpH指示薬を用いることもできる。例えば、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン、チモールフタレイン等、若しくはその他の指示薬を用いることができる。さらに、pH指示薬は、肌に対して安全であり、湿気や日光による保管性に優れたものであることが望ましい。
【0062】
また、便インジケータ40では、排泄物が便であるか尿であるかを誤検出しないように、便インジケータ40に含まれる化学成分が便に応答し、尿には応答しないようにすることが望ましい。そこで、本実施形態における便インジケータ40は、所定濃度以上の便インジケータ反応因子(たんぱく質等)に応答して呈色反応等の反応を示し、便インジケータ反応因子が所定濃度よりも小さい場合には、反応を生じ難くしている。
【0063】
一般に、健常者の尿中には、たんぱく質は含まれておらず、非健常者であっても、尿中のたんぱく質は、10,000mg/Lを下回る。よって、本実施形態においては、pH指示薬を使用したたんぱく質誤差法により、便インジケータ40が、150mg/L以上のたんぱく質に応答することが好ましく、5,000mg/L以上のたんぱく質に応答することがより好ましく、10,000mg/L以上のたんぱく質に応答することが更に好ましい。例えば、化学成分としてブロモフェノールブルーを使用する条件で、便インジケータ40が150mg/L以上のたんぱく質に応答する場合、便インジケータ40における1cm
2あたりのpH指示薬の適用量を、16.3μgとすることが好ましく、便インジケータ40が5,000mg/L以上のたんぱく質に応答する場合、便インジケータ40における1cm
2あたりのpH指示薬の適用量を、0.5μgとすることが好ましく、便インジケータ40が10,000mg/L以上のたんぱく質に応答する場合、便インジケータ40における1cm
2あたりのpH指示薬の適用量を、0.25μgとすることが好ましい。なお、pH指示薬の適用量を17.0μg以下とすることにより、吸収性物品の着用者に対する便インジケータ40の安全性が高まる。
【0064】
本実施形態では、このようにpH指示薬の塗布量を調整することによって、便インジケータ40が便に対して反応可能な範囲と比較して、尿に対して反応可能な範囲を相対的に小さくすることができる。言い換えると、便インジケータ40の便に対する反応と、便インジケータ40の尿に対する反応とを異ならせることができる。これにより、便インジケータ40を尿に対して反応し難くすることができる。
【0065】
また、便インジケータ40は、上述したたんぱく質を反応因子として限定するものではない。例えば、便中に含まれる腸内細菌や、便の比重と相関関係がある便のイオン強度、胆汁色素のビリルビン等、便に由来する物質に反応するようにしても良い。これらの成分は、一般に、尿に含まれていない、若しくは便と比較して尿に含有される量や比重が非常に小さい。したがって、たんぱく質を反応因子とする場合と同様に、便インジケータ40が尿に対して反応し難く、便に対して反応しやすくなる。したがって、おむつ1において排泄された便を精度よく検出することができる。
【0066】
<便インジケータ40の具体的構成>
便インジケータ40は、上述のような化学成分(例えばpH指示薬)を含んだ接着剤(例えばホットメルト接着剤HMA)をおむつ1のバックシート23の肌側面に塗工することによって形成されている。本実施形態では、
図1に示されるように、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって、長手方向に沿った帯状(若しくは線状)の領域に、コーターを用いてホットメルト接着剤(HMA)を塗工することによって便インジケータ40が形成されている。このようなコーター塗工によれば、均等な膜厚でムラの少ない便インジケータ40を形成することが可能となり、便の検出精度を高めることができる。また、製造コストを抑えることができる。なお、尿インジケータ50についても同様にして形成することができる。
【0067】
また、化学成分をインクと混ぜて、バックシート23やコアラップシート25に印刷塗工することによって便インジケータ40が形成されるのであっても良い。また、化学成分を染みこませた濾紙や不織布を、ホットメルト接着剤(HMA)や超音波溶着でバックシート23やコアラップシート25に接合固定することによって便インジケータ40が形成されるのであっても良い。
【0068】
<便インジケータ40及び尿インジケータ50の呈色反応について>
図1に示すように、本実施形態では、便インジケータ40と、便インジケータ40の左右方向における両側に尿インジケータ50が、左右方向に離間しつつ、長手方向に沿って帯状に設けられている。便インジケータ40は、便と接触することにより視覚的に色が変化する(所謂、呈色反応する)インジケータであり、色が変化する前の変化前色と、便との接触により色が変化した後の変化後色とを有している。尿インジケータ50は、尿と接触することにより視覚的に色が変化する(所謂、呈色反応する)インジケータであり、同様に、色が変化する前の変化前色と、尿との接触により色が変化した後の変化後色を有している。
【0069】
本実施形態では、呈色後の色が異なるように各々のインジケータ40,50に含まれる化学成分を調整している。例えば、便インジケータ40の化学成分(pH指示薬)としてテトラフェノールブルーを用いた場合、便と反応した後の色は「青」である。この場合、尿インジケータ50の化学成分として、尿と反応した後の色が青とは異なる色(例えば緑)となる化学成分を用いて尿インジケータ50を形成すると良い。
【0070】
便インジケータ40及び尿インジケータ50の各々の変化前色及び変化後色を、オストワルト色相環の24色の色相において、それぞれ最も近い色相に特定した場合において、色が「同じ」又は「類似」とは、オストワルト色相環において同じ色相である状態をいい、色が「異なる」とは、オストワルト表色系の色相環において、互いの色相番号が1つ以上ずれている状態を言う。
【0071】
本実施形態では、便インジケータ40と尿インジケータ50のそれぞれの変化前色及び変化後色が次のような構成となっている。
図3A、
図3B及び
図3Cは、それぞれ、
図1の便インジケータ40及び尿インジケータ50の一部をおむつ1の非肌側から見た状態を示している。
図3Aの左図は、便インジケータ40及び尿インジケータ50の色が変化する前(すなわち、使用前)の状態を示している。同図に示すように、本実施形態では、便インジケータ40の変化前色(例えば、白)と、尿インジケータの変化前色(例えば、白)とが同じ色又は類似色である。
図3Aの右図では、尿インジケータ50が尿に反応して色が変化し(例えば、緑)、同じ色又は類似色であった便インジケータ40と尿インジケータ50とが、異なる色となったことが分かる。これを見たおむつ1の交換者は、排尿が行われたことを認識できる。
【0072】
図3Bでは、使用前において、便インジケータ40及び尿インジケータ50のそれぞれの変化前色が同じ色又は類似色(例えば、白)であったが(
図3Bの左図)、
図3Bの右図においては、便インジケータ40が便に反応して色が変化し(例えば、青)、便インジケータ40と尿インジケータ50とが異なる色となったことが分かる。これを見たおむつ1の交換者は、排便が行われたことを認識できる。
【0073】
図3Cでは、便インジケータ40及び尿インジケータ50のそれぞれの変化前色が同じ色又は類似色(例えば、白)であったが(
図3Cの左図)、便インジケータ40及び尿インジケータ50がそれぞれ排便及び排尿を検知し、
図3Cの右図において、各インジケータ(40,50)は変化前色から色が変化している。便インジケータ40及び尿インジケータ50のそれぞれの変化後色(例えば、便インジケータ40の変化後色が青、尿インジケータの変化後色が緑)は、非類似色になっている。これを見たおむつ1の交換者は、排便及び排尿の両方が行われたことを認識できる。
【0074】
本実施形態では、便インジケータ40及び尿インジケータ50の変化前色を、おむつ1と同じ色又は類似色である白色としたが、これに限られない。便インジケータ40及び尿インジケータ50の変化前色をそれぞれおむつ1と同じ色又は類似色とは異なる色(例えば、赤)としてもよい。また、便インジケータ40及び尿インジケータ50の変化後色をそれぞれ原色とすることがより好ましい。変化後色を原色とすることで、後述のセンサーユニット80による各変化後色をより正確に検出することができる。
【0075】
<センサーユニット80>
センサーユニット80は、吸収性物品用のユニットであり、前記おむつ1とは別体で、おむつ1の非肌側面に装着して用いる。
図4Aは、センサーユニット80の上面図である。
図4Bは、センサーユニット80の側面図である。
図4Cは、センサーユニット80の底面図である。
図5は、センサーユニット80の装着例を示す図である。なお、おむつ1等の吸収性物品とセンサーユニット80とを合わせて、吸収性物品キット(おむつキット)ともいう。
【0076】
本実施形態のセンサーユニット80は、例えば、水色のプラスチック製の外装体を有している。センサーユニット80は、水色のように淡色であることが好ましい。おむつ1の交換者に、おむつ1に装着したセンサーユニット80に対して柔らかい雰囲気であるとの印象を与えやすくなる。また、便インジケータ40及び尿インジケータ50の各変化後色を原色とした場合には、淡色のセンサーユニット80と隣接する各インジケータ40、50の変化後色の変化を、おむつ1の交換者により認識させやすくなる。
【0077】
図4Aに示すように、センサーユニット80の上面80aは、円形状の外形を備える。
図4Bに示すように、センサーユニット80の側面80bは、略矩形面と湾曲面とが合わせられている。
図4Cに示すように、センサーユニット80の底面80cには、側面80bの略矩形面が設けられている側であり、おむつ1に装着される側の面である。底面80cは、上面80aと同形状の円形であり、透明部81、2つの透明部82、2つの着脱機構83が設けられている。
【0078】
透明部81及び透明部82は、円形の透明なガラスやプラスチックが設けられた部分であり、透明部81、透明部82を通して、センサーユニット80の内部を視認可能である。着脱機構83は、面ファスナー等のおむつ1の非肌側面(外装シート27)に対して着脱可能な着脱機構である。
図5に示すように、センサーユニット80の底面80cをおむつ1の外装シート27に対向するようにセンサーユニット80をおむつ1に押さえることで、着脱機構83が外装シート27に固定されて、センサーユニット80がおむつ1に装着された状態となる。なお、センサーユニット80をおむつ1から引きはがすように引っ張ると、おむつ1から取り外しが可能である。
【0079】
底面80cの側から見たときに、透明部81及び透明部82が着脱機構83と重なると、着脱機構83が透明部81、透明部82を覆ってしまい便インジケータ40と尿インジケータ50の各色の変化の検出が妨げられてしまう恐れがある。そのため、透明部81及び透明部82が、着脱機構83と重ならない部分を有することが好ましく、より好ましくは、透明部81と透明部82と着脱機構83とが完全に重ならないことが好ましい。これによって、着脱機構83によって、便インジケータ40と尿インジケータ50の各色の変化の検出が妨げられてしまう恐れを軽減させることができる。また、同様に、底面80cから見たときに、後述の便変化検出部812r及び尿変化検出部822rが、着脱機構83と重ならないことが好ましい。便変化検出部812rの全域又は尿変化検出部822rの全域が着脱機構83と重なると、便インジケータ40と尿インジケータ50の各色の変化の検出が妨げられてしまうため、その恐れを軽減させることができる。
【0080】
図6は、センサーユニット80の内部を底面側から見た概略説明図である。
図6は、センサーユニット80の底面80c(透明部81、透明部82を含む)を取り除いた状態を示している。センサーユニット80は内部に、発光装置811、発光装置821、便変化検出装置812、尿変化検出装置822、制御部84、基板85を有している。なお、
図6に示すように、センサーユニット80を底面側から見て、発光装置811及び便変化検出装置812は、透明部81と厚さ方向で重なる位置に設けられており、発光装置821及び尿変化検出装置822は、透明部82と厚さ方向で重なる位置に設けられている。なお、
図6は、透明部81、透明部82を取り除いた状態であり、便宜上、透明部81、透明部82に対応する位置を点線で示している。
【0081】
基板85は、各発光装置811、821や各検出装置812、822等の電子部品を実装するためのものである。制御部84は、各装置811、821、812、822のデータの受け渡しを行うとともに、センサーユニット80の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。制御部84は、発光装置811、821に光を投光させる指示を行う指示部(不図示)と、各検出装置812、822が検出した結果を受信する受信部(不図示)、各検出装置812、822が検出した結果を出力する出力部(不図示)を有している。
【0082】
発光装置811は、測定面に対して光を当てる光源811eを備える。発光装置821は、測定面に対して光を当てる光源821eを備える。光源811e、光源821eは、例えば、LED等の発光部品である。
【0083】
便変化検出装置812は、測定面で反射した光源811eからの光を受光することで、その測定面の色を検出する便変化検出部812rを備える。尿変化検出装置822は、測定面で反射した光源821eからの光を受光することで、その測定面の色を検出する尿変化検出部822rを備える。
【0084】
図7は、センサーユニット80による便インジケータ40の色の測定原理を説明する図である。
図7において、便インジケータ40の上方にセンサーユニット80を配置した状態を示している。
図5及び
図7を用いて便インジケータ40の色の測定原理を説明するが、尿インジケータ50の色の測定原理も同様である。
【0085】
本実施形態では、光源811e、光源821eが、R(赤)、G(緑)、B(青)の3LED光(白色光)を測定面に投光する。便変化検出装置812及び尿変化検出装置822は、デジタルで色判別可能なセンサーであり、所謂RGBカラーセンサーである。便変化検出装置812及び尿変化検出装置822は、測定面から反射される光のRGBの各色成分の光量の比率を検出する。測定面の色によって、反射される赤・緑・青の色の比率が異なるため、各色の比率から測定面の色を判定する。
【0086】
まず、
図5に示すように、透明部81と便インジケータ40の少なくとも一部が対向し、透明部82と尿インジケータ50の少なくとも一部が対向するように、着脱機構83を用いておむつ1の非肌側面である外装シート27に取付けることでセンサーユニット80をおむつ1に装着させる。本実施形態では、着用者の前側(腹側)にセンサーユニット80を装着させる。センサーユニット80をおむつ1に装着させた状態において、上面80a側から又は底面80c側から見て、着脱機構83が便インジケータ40及び尿インジケータ50と重なる部分が少ないことが好ましい。着脱機構83が便インジケータ40及び尿インジケータ50を覆ってしまうことで、それぞれ色の変化を正確に検出できなくなってしまう恐れを軽減させるためである。
【0087】
制御部84の指示部からの指示に応じて、発光装置811は、光源811eから透明部81を通して便インジケータ40に向かって光を発光させる。そして、便変化検出部812rが便インジケータ40の面で反射した光を、透明部81を通して受光する。この受光した光が、便インジケータ40の色によって、赤・青・緑の色の比率が変わるため、その受光した光の比率を検出することで、色を判別する。
【0088】
例えば、便インジケータ40の色が変化前色である白色の場合、赤・緑・青の光は全て反射しやすい。そのため、便変化検出部812rは、赤・緑・青の比率が1:1:1である光を検出する。この比率から、便変化検出装置812は、便インジケータ40の色が白であると判別する。
【0089】
一方、便インジケータ40の色が変化後色である青の場合、青の光は反射しやすいが、赤・緑の光は反射しづらい。そのため、便変化検出部812rは、赤・緑・青の比率が1:1:4である光を検出する。この比率から、便変化検出装置812は、便インジケータ40の色が青であると判別する。
【0090】
出力部は、判定した測定面の色を、おむつ1の交換者等が所有する予め無線通信の設定がなされたタブレットやスマートフォン、コンピュータ等の端末に出力する。出力部は、予め便変化検出装置812において、測定面に青色を検出した場合、及び尿変化検出装置822において測定面に緑色を検出した場合に、それぞれの結果を出力するための設定を行っておく。出力部から出力された端末には、便インジケータ40の色が変化したこと、又は尿インジケータ50の色が変化したことを、画面に表示させる。測定結果を無線で出力することで、有線の場合のような配線の手間や煩わしさをおむつ1の交換者に煩わせる恐れがない。また、センサーユニット80のおむつ1への装着が容易となる。
【0091】
おむつ1の交換者は、受信した測定結果を視認することで、おむつ1の便インジケータ40又は尿インジケータ50のいずれか一方、若しくは、便インジケータ40及び尿インジケータ50の両方の色の変化の発現を認識でき、排便が行われたか又は排尿が行われたかを知ることができる。端末等の確認によって、排便と排尿の状態を知ることができるため、おむつ1の交換者は、着用者が着衣を着ている状態でも排泄状態を確認することが可能となる。
【0092】
センサーユニット80をおむつ1に装着した状態において、おむつ1の上下方向に沿う方向をセンサーユニット80の「第1方向」とし、おむつ1の左右方向に沿う方向を「第2方向」とした場合に、第1方向において、便変化検出部812rの中心の位置と、尿変化検出部822rの中心の位置を同じにする場合よりも、便変化検出部812rの中心の位置と、尿変化検出部822rの中心の位置とが異なることが好ましい。
図6に示すセンサーユニット80の第1方向及び第2方向は、
図5に示すセンサーユニット80をおむつ1に装着した状態における第1方向及び第2方向に対応する方向である。つまり、装着状態において、便変化検出部812rの上下方向における中心の位置と尿変化検出部822rの上下方向における中心の位置とが異なることが好ましい。第1方向において、便変化検出部812rの中心の位置と、尿変化検出部822rの中心の位置とが異なることに伴い、第1方向において、透明部81の中心の位置と透明部82の中心の位置とが異なることが好ましい。これによって、第1方向(上下方向)において、便変化検出部812rの中心の位置と尿変化検出部822rの中心の位置が同じ位置に設けられた場合より、上下方向において、便インジケータ40の色の変化と尿インジケータ50の色の変化を異なる位置で検出しやすくすることができる。
【0093】
例えば、おむつ1の前側(腹側)にセンサーユニット80を装着させる場合において、身体の構造上、便は、尿より下側で排泄されやすいため、便インジケータ40の色の変化は、尿インジケータ50の色の変化より下側で発現しやすい。そのため、
図5及び
図6に示すように、センサーユニット80において、便変化検出部812rを、尿変化検出部822rより下側に設けることで、便インジケータ40の色の変化と尿インジケータ50の色の変化をそれぞれより正確に検出しやすくなる。
【0094】
また、センサーユニット80をおむつ1に装着した状態において、第2方向において、便変化検出部812rの中心の位置と、尿変化検出部822rの中心の位置を同じにする場合よりも、便変化検出部812rの中心の位置と、尿変化検出部822rの中心の位置が異なることが好ましい。つまり、装着状態において、便変化検出部812rの左右方向における中心の位置と尿変化検出部822rの左右方向における中心の位置とが異なることが好ましい。第2方向において、便変化検出部812rの中心の位置と、尿変化検出部822rの中心の位置が異なることに伴い、第2方向において、透明部81の中心の位置と透明部82の中心の位置も異なることが好ましい。これによって、第2方向(左右方向)において、便変化検出部812rの中心の位置と尿変化検出部822rの中心の位置が同じ位置に設けられた場合より、左右方向において、便インジケータ40の色の変化と尿インジケータ50の色の変化を異なる位置で検出しやすくなる。
【0095】
さらに、便変化検出部812rの第2方向(左右方向)における両側に、尿変化検出部822r、822rが設けられていることが好ましい。本実施形態のように、便インジケータ40の左右方向における両側に尿インジケータ50が設けられているおむつ1に装着する場合でも、センサーユニット80が、便インジケータ40及び尿インジケータ50の色の変化をより正確に検出しやすくなる。
【0096】
センサーユニット80において、便変化検出部812r及び尿変化検出部822rは、底面80cに設けられ、底面80cは、おむつ1に対向して装着される面であるため、便インジケータ40及び尿インジケータ50に対して、センサーユニット80の装着位置を定めることが難しい場合がある。そのため、センサーユニット80は、おむつ1に装着される側(底面80c)とは反対側の上面80aに、センサーユニット80をおむつ1に装着させるための位置を示す印(M1、M2)を備えていることが好ましい。おむつ1の交換者は、印(M1、M2)に従っておむつ1にセンサーユニット80を装着することで、正しい位置への装着が可能となり、より正確に排便が行われたか、排尿が行われたかを認識することができる。
【0097】
具体的には、印(M1、M2)として、本実施形態の
図4及び
図5に示すように、便インジ印M1と尿インジ印M2が設けられている。便インジ印M1と尿インジ印M2は、それぞれ底面80cと反対側の上面80aに設けられている。
【0098】
便インジ印M1は、便変化検出部812rに対応する位置に設けられており、本実施形態では、透明部81に対応する位置に設けられ、上面80a側から見て、透明部81と同じ形状、同じ大きさである。便インジ印M1には、所定の形状、模様、色彩を設けることができ、例えば、本実施形態では、便インジ印M1は白色で黄色の網目模様が施されている。
【0099】
尿インジ印M2は、尿変化検出部822rに対応する位置に設けられており、本実施形態では、透明部82に対応する位置に設けられ、上面80aから見て、透明部82と同じ形状、同じ大きさである。尿インジ印M2には、所定の形状、模様、色彩を設けることができ、例えば、本実施形態では、尿インジ印M2は、白色で、黄色の斜線模様が施されている。なお、便インジ印M1と尿インジ印M2とは、互いに少なくとも形状、模様、色彩の何れかが異なっていることが好ましい。異なる印(M1、M2)を視認したおむつ1の交換者は、便インジケータ40に対応する位置か、尿インジケータ50に対応する位置かを容易に区別することができる。
【0100】
便インジ印M1及び尿インジ印M2を設けることで、おむつ1の交換者は、適切なセンサーユニット80の装着位置を認識することができるため、おむつ1への取付けが容易となり、且つ、正確な位置で便インジケータ40と尿インジケータ50の色の変化を検出することができる。
【0101】
また、便インジ印M1の色を、便インジケータ40の変化前色と同じ色である白色とし、尿インジ印M2の色を、尿インジケータ50の変化前色と同じ色である白色としている。これによって、各印(M1、M2)を便インジケータ40及び尿インジケータ50に対応した位置に設置しやすくなる。
【0102】
なお、本実施形態では、便インジケータ40の変化前色と尿インジケータ50の変化前色を同じとしたが、便インジケータ40の変化前色を例えば白色とし、尿インジケータ50の変化前色を例えば黄色とする異なる色としてもよい。このような場合に、便インジ印M1の色を便インジケータ40の変化前色と同じ色である白色とし、尿インジ印M2の色を尿インジケータ50の変化前色と同じ色である黄色とするものであってもよい。おむつ1の交換者は、各インジケータ40、50の色と同じ色に印(M1、M2)を合わせることで、適切な位置にセンサーユニット80を装着することができる。
【0103】
さらに、便インジ印M1及び尿インジ印M2の色が、便インジケータ40の変化後色と異なり、便インジ印M1及び尿インジ印M2の色が尿インジケータ50の変化後色と異なることが好ましい。おむつ1の交換者は、センサーユニット80による検出結果だけでなく、便インジケータ40及び尿インジケータ50の色の変化を、おむつ1を直接視認することで認識する場合もある。そのとき、便インジ印M1及び尿インジ印M2が、便インジケータ40の変化後の色と尿インジケータ50の変化後の色とが異なることで、おむつ1の交換者は、各インジケータ40、50の色の変化を認識しやすくなる。
【0104】
さらに、
図5に示すように、センサーユニット80をおむつ1に装着させた状態において、センサーユニット80の上下方向(第1方向)の長さが、便インジケータ40の上下方向の長さより短く、センサーユニット80の上下方向(第1方向)の長さが、尿インジケータ50の上下方向の長さより短いことが好ましい。これによって、おむつ1の交換者は、センサーユニット80をおむつ1に装着させた状態でも、便インジケータ40及び尿インジケータを直接視認することが可能であるため、センサーユニット80による検出結果と併せて着用者が排便したか、排尿したかを確認することができる。
【0105】
<パッケージ100>
図8は、パッケージ100の斜視図である。
図8に示すように、パッケージ(吸収性物品包装体)100は、包装用の包装材101に、複数のおむつ1、1・・・と、おむつ1より少ない数のセンサーユニット80が収容されたものである。本実施形態においては、1つのパッケージ100に16個のおむつ1が収容され、1つのセンサーユニット80が収容されている。センサーユニット80の数は、おむつ1の数16個に対して、1個に限られず、1〜15個の任意の数のセンサーユニット80を収容することができる。センサーユニット80は、おむつ1の着用時に装着し、おむつ1を交換する際に、取り外して、新しいおむつ1に装着することができる。つまり、複数のおむつ1に対して1つのセンサーユニット80を装着することが可能である。そのため、パッケージ100には、おむつ1の数に対して少ないセンサーユニット80を収容することが可能となり、製品としてのパッケージ100のコストを削減することができる。
【0106】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0107】
上述の実施形態においては、センサーユニット80は、非可撓性のプラスチック製の素材で形成したが、これに限られない。センサーユニット80が可撓性を有するものであってもよい。
図9は、センサーユニット80の変形例を示す図である。
図9には、可撓性を有するシート状のセンサーユニット80を示しており、便インジケータ40及び尿インジケータ50の全域を覆う大きさの矩形状の有している。例えば、不織布やナイロン製のシート部材に、光源811e(不図示)、821e(不図示)及び検出部812r(不図示)、822r(不図示)を固定したセンサーユニット80とすることができる。このセンサーユニット80は、可撓性を有することから、着用者への肌当たりが良く、また、着用者の動きを制限する恐れが少ない。
【0108】
また、可撓性を有するセンサーユニットにおいて、便変化検出部812r及び尿変化検出部822rが設けられていない部分の剛性が、おむつ1の上下方向の中央部且つ左右方向の中央部の剛性より低いことがより好ましい。これによって、着用者への肌当たりをより一層向上させることができる。
【0109】
上述の実施形態においては、着用者の前側(腹側)にセンサーユニット80を装着したが、これに限られない。例えば、
図10に示すように、着用者の股下部、つまり、腹側から背側に亘って設けるものであってもよい。
図10は、センサーユニット80の変形例を示す図である。股下部のように湾曲した部分に装着する場合には、センサーユニット80が可撓性を有していることが好ましい。着用者の身体や姿勢に応じて、おむつ1に対するセンサーユニット80の装着位置を決定することができる。また、
図10に示すように、おむつ1が、上下方向に沿った1つの便インジケータ40と上下方向に沿った1つの尿インジケータ50を備えるものであってもよい。便インジケータ40及び尿インジケータ50の形状や個数が異なるおむつ等の吸収性物品に対しても適用可能である。
【0110】
上述の実施形態では、センサーユニット80が、無線通信の設定がなされた端末に検出結果を出力し、端末の画面にその検出結果を表示させることとしたがこれに限られない。センサーユニット80が、出力結果を任意の端末に対して出力する際に、任意の端末とは異なる装置(例えばサーバや中継装置等)を介して出力するものであってもよい。この場合、異なる装置に出力結果を記憶させておき、端末は、この異なる装置から出力された出力結果を得るものとしてもよい。
【0111】
また、複数回の検出結果による出力結果の累積情報を端末、又は端末とは異なる装置に記憶させて、記憶した累積情報から、排泄(排便や排尿等)の時間や量を予測するものであってもよい。
【0112】
さらに、上述の実施形態においては、端末が、便インジケータ40の色が変化したこと、又は尿インジケータ50の色が変化したことを、端末の画面に表示させることとしたが、これに限られない。例えば、端末のスピーカーにより音楽や音声等の音、匂い、光、といった他の出力方法によってユーザに排便や排尿を通知するようにしてもよい。
【0113】
なお、出力部による出力は有線、無線を問わず、センサーユニット80と接続された装置に対して情報を出力できればよい。また、出力部が出力する情報は、各検出装置812、822(各検出部812r、822r)により検出された信号であってもよいし、各検出装置812、822(各検出部812r、822r)で検出された信号をセンサーユニット80内(制御部84等)で信号処理した情報であってもよい。
【0114】
上述の実施形態においては、出力部が無線で、任意の端末に出力結果を出力するものとしたが、これに限られない。例えば、センサーユニット80がスピーカーを備えて、出力結果を音(アラーム)として出力するものであってもよい。このとき、便インジケータ40の色が変化したことの検出結果を出力する音と尿インジケータ50の色が変化したことの検出結果を出力する音とを異なる音とすることで、おむつ1の交換者は、排便が行われたか又は排泄が行われたかを知ることができる。例えば、排便が行われて、便変化検出部812rが便インジケータ40の色の変化を検出した場合には、出力部が「うんちが出たよ」という音声を出力し、排尿が行われて、尿変化検出部822rが尿インジケータ50の色の変化を検出した場合には、出力部が「おしっこが出たよ」という音声を出力するものであってもよい。このような場合には、おむつ1の交換者は、任意の端末等を用いなくても、おむつ1の着用者が便を排泄したか、尿を排泄したかを知ることができる。
【0115】
さらに、センサーユニット80に、便変化検出装置812(便変化検出部812r)及び尿変化検出装置822(尿変化検出部822r)以外のセンサー(検出部や検出装置)が搭載されていてもよい。例えば、便変化検出装置812及び尿変化検出装置822がそれぞれ便インジケータ40又は尿インジケータ50の色変化を検出した時間を掲示する計時装置、センサーユニット80の位置や速度、加速度、角度や角速度、角加速度、センサーユニット80の周囲温度や湿度、臭気等を測定する計測装置が含まれていてもよい。これらのセンサー(計時装置や計測装置)で検出された情報を出力部が出力するものであってもよい。
【0116】
上述の実施形態においては、光源811e、光源821eをR(赤)、G(緑)、B(青)の3LED光(白色光)とし、便変化検出装置812及び尿変化検出装置822をRGBカラーセンサーとしたが、これに限られない。例えば、光源811e、光源821e及び便変化検出装置812及び尿変化検出装置822を、それぞれ便インジケータ40の変化後色、尿インジケータ50の変化後色に感度を持つ単色のカラーセンサーであってもよい。
【0117】
上述の実施形態では、着脱機構83として、おむつ1の非肌側面(外装シート27)に着脱可能な部材を用いたがこれに限られない。例えば、おむつ1の非肌側面に着脱機構83と着脱可能な部材を別途貼付してもよい。また、センサーユニット80が、着脱機構83を有さず、センサーユニット80をおむつ1に取り外し不能に固定する固定部材を有するものであってもよい。
【0118】
上述の実施形態では、センサーユニット80をおむつ1に装着するための位置を示す印(M1、M2)をそれぞれ円形状としたが、これに限られない。印(M1、M2)は、任意の形状とすることができる。例えば、便インジケータ40の形状に沿った形状の便インジ印M1や、尿インジケータ50の形状に沿った形状の尿インジ印M2としてもよい。
【0119】
また、上述の実施形態では、印(M1、M2)の色を、便インジケータ40の変化前色及び尿インジケータ50の変化前色と同じ色である白としたが、これに限られない。便インジ印M1と尿インジ印M2の色を、便インジケータ40の変化前色及び尿インジケータ50の変化前色とそれぞれ異なる色としてもよい。
【0120】
さらに、便インジ印M1の色と便インジケータ40の変化後色とを同じ色とし、尿インジ印M2と尿インジケータ50の変化後色とを同じ色としてもよい。このようにすることで、おむつ1を直接視認した交換者は、便インジケータ40の色が便インジ印M1の色と同じなったことで排便が行われたことを認識することができ、尿インジケータ50の色が尿インジ印M2の色と同じなったことで排尿が行われたことを認識することができる。
【0121】
上述の実施形態では、包装用の包装材101に、複数のおむつ1、1・・・と、おむつ1より少ない数のセンサーユニット80が収容されたパッケージ100としたが、これに限られない。おむつ1の数と同じ数のセンサーユニット80が収容されたパッケージ100であってもよい。例えば、1個のおむつ1と、1個のセンサーユニット80とが収容されたパッケージ100であってもよい。