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特開2021-77716プリント基板およびプリント基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-77716(P2021-77716A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】プリント基板およびプリント基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20210423BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
   H05K3/46 T
   H05K3/46 G
   H05K3/46 Z
   H05K1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-201856(P2019-201856)
(22)【出願日】2019年11月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】中島 滉
(72)【発明者】
【氏名】鳥光 悟
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA13
5E316AA15
5E316AA16
5E316AA33
5E316BB02
5E316BB04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC14
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD12
5E316EE09
5E316EE12
5E316EE13
5E316HH03
5E316HH06
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB63
5E338CC01
5E338CC06
5E338CD02
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用すること。
【解決手段】少なくとも1の誘電体層と、少なくとも1の導体層とが積層されて構成されるプリント基板(多層プリント基板10)において、導体層14と誘電体層12との間に介在する接着層13を有し、接着層13の厚さt(μm)は、導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように構成されている、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の誘電体層と、少なくとも1の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、
前記導体層と前記誘電体層との間に介在する接着層を有し、
前記接着層の厚さt(μm)は、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように構成されている、
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
少なくとも1の誘電体層と、少なくとも2の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、
最外層に位置する前記導体層が、前記誘電体層に対して接着層を介して積層されており、
前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たす、
(関係式1) X<Y<AX+B
(関係式2) A=(0.19t−5.25t+43.5)p/100+1
(関係式3) B=(−0.8t+22)p/100
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項3】
少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、
2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層が、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層され、
前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たす、
(関係式1) X<Y<AX+B
(関係式2) A=(0.44t−12.8t+108)p/100+1
(関係式3) B=(−0.2t+26)p/100
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項4】
少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、
最外層に位置する2つの前記導体層が、前記誘電体層に対して接着層を介してそれぞれ積層されるとともに、2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層が、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層され、
前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たす、
(関係式1) X<Y<AX+B
(関係式2) A=(0.3t−8.7t+78)p/100+1
(関係式3) B=(−0.2t+10)p/100
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項5】
前記インピーダンス変化率pが3.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項6】
前記インピーダンス変化率pが2.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項7】
前記インピーダンス変化率pが2.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項8】
前記t(μm)は、15(μm)以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項9】
前記t(μm)は、10(μm)以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項10】
前記t(μm)は、5(μm)以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項11】
前記導体層の表面粗さを示すRz値が1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項12】
前記誘電体層の比誘電率をYとし、前記接着層の比誘電率をXとしたとき、Y=3.35以上3.85以下であり、X=2.25以上2.75以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項13】
少なくとも1の誘電体層と、少なくとも1の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、
前記誘電体層に対して接着層を介して前記導体層を積層し、
前記接着層の厚さt(μm)は、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項14】
少なくとも1の誘電体層と、少なくとも2の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、
最外層に位置する前記導体層を接着層を介して前記誘電体層に積層し、
前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、
(関係式1) X<Y<AX+B
(関係式2) A=(0.19t−5.25t+43.5)p/100+1
(関係式3) B=(−0.8t+22)p/100
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項15】
少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、
2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層を、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層し、
前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜4を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、
(関係式1) X<Y<AX+B
(関係式2) A=(0.44t−12.8t+108)p/100+1
(関係式3) B=(−0.2t+26)p/100
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項16】
少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、
最外層に位置する2つの前記導体層が、前記誘電体層に対して接着層を介してそれぞれ積層されるとともに、2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層が、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層され、
前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、
(関係式1) X<Y<AX+B
(関係式2) A=(0.3t−8.7t+78)p/100+1
(関係式3) B=(−0.2t+10)p/100
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板およびプリント基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多層構造の接着層に、高周波特性が優れた材料を用いることで、高周波特性のよいプリント基板を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2017/130945公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術を用いるとともに、接着層を高性能にすることで、高周波特性を改善することができる。しかしながら、接着層の材料を変更すると、プリント基板全体の誘電率が変化する。
【0005】
例えば、接着層に高性能なものを使用しない従来のプリント基板用に設計した回路パターンを、接着層に高性能なものを使用したプリント基板に用いると、高周波の特性インピーダンスが変化し、インピーダンス不整合による反射損失が増大するため、再度回路パターンの設計を行う必要があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能なプリント基板およびプリント基板の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも1の誘電体層と、少なくとも1の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、前記導体層と前記誘電体層との間に介在する接着層を有し、前記接着層の厚さt(μm)は、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように構成されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0008】
また、本発明は、少なくとも1の誘電体層と、少なくとも2の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、最外層に位置する前記導体層が、前記誘電体層に対して接着層を介して積層されており、前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たす、(関係式1) X<Y<AX+B(関係式2) A=(0.19t−5.25t+43.5)p/100+1(関係式3) B=(−0.8t+22)p/100 ことを特徴とする。
このような構成によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0009】
また、本発明は、少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層が、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層され、前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たす、(関係式1) X<Y<AX+B(関係式2) A=(0.44t−12.8t+108)p/100+1(関係式3) B=(−0.2t+26)p/100 ことを特徴とする。
このような構成によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0010】
また、本発明は、少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とが積層されて構成されるプリント基板において、最外層に位置する2つの前記導体層が、前記誘電体層に対して接着層を介してそれぞれ積層されるとともに、2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層が、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層され、前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たす、(関係式1) X<Y<AX+B(関係式2) A=(0.3t−8.7t+78)p/100+1(関係式3) B=(−0.2t+10)p/100ことを特徴とする。
このような構成によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0011】
また、本発明は、前記インピーダンス変化率pが3.5%以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、インピーダンス変化率を一層抑制することで、再設計の必要性を一層低減することができる。
【0012】
また、本発明は、前記インピーダンス変化率pが2.5%以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、インピーダンス変化率をより一層抑制することで、再設計の必要性をより一層低減することができる。
【0013】
また、本発明は、前記インピーダンス変化率pが2.0%以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、インピーダンス変化率をきわめて小さくすることで、再設計の必要性をきわめて小さくすることができる。
【0014】
また、本発明は、前記t(μm)は、15(μm)以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、誘電体層と導体層との接着強度を確保することができる。
【0015】
また、本発明は、前記t(μm)は、10(μm)以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、誘電体層と導体層との接着強度を確保することができる。
【0016】
また、本発明は、前記t(μm)は、5(μm)以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、誘電体層と導体層との接着強度を確保することができる。
【0017】
また、本発明は、前記導体層の表面粗さを示すRz値が1μm以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、高周波特性が良好な表面粗さが小さい導体層を用いた場合であっても、再設計の必要性を低減することができる。
【0018】
また、本発明は、前記誘電体層の比誘電率をYとし、前記接着層の比誘電率をXとしたとき、Y=3.35以上3.85以下であり、X=2.25以上2.75以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、インピーダンス変化率を抑制し、再設計の必要性を確実に低減することができる。
【0019】
また、本発明は、少なくとも1の誘電体層と、少なくとも1の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、前記誘電体層に対して接着層を介して前記導体層を積層し、前記接着層の厚さt(μm)は、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、ことを特徴とする。
このような方法によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0020】
また、本発明は、少なくとも1の誘電体層と、少なくとも2の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、最外層に位置する前記導体層を接着層を介して前記誘電体層に積層し、前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、(関係式1) X<Y<AX+B(関係式2) A=(0.19t−5.25t+43.5)p/100+1(関係式3) B=(−0.8t+22)p/100 ことを特徴とする。
このような方法によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0021】
また、本発明は、少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層を、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層し、前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜4を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、(関係式1) X<Y<AX+B(関係式2) A=(0.44t−12.8t+108)p/100+1(関係式3) B=(−0.2t+26)p/100 ことを特徴とする。
このような方法によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【0022】
また、本発明は、少なくとも2の誘電体層と、少なくとも3の導体層とを積層してプリント基板を製造するプリント基板製造方法において、最外層に位置する2つの前記導体層が、前記誘電体層に対して接着層を介してそれぞれ積層されるとともに、2つの前記誘電体層の間に位置する前記導体層が、2つの前記誘電体層のいずれか一方に対して接着層を介して積層され、前記誘電体層の比誘電率Yと、前記接着層の比誘電率Xと、前記接着層の厚さt(μm)と、前記導体層に形成される線路のインピーダンスをt=0(μm)の場合と比較した際のインピーダンス変化率pと、が以下の関係式1〜3を満たし、前記インピーダンス変化率pが0%<p≦5%を満たすように前記プリント基板を製造する、(関係式1) X<Y<AX+B(関係式2) A=(0.3t−8.7t+78)p/100+1(関係式3) B=(−0.2t+10)p/100 ことを特徴とする。
このような方法によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、再設計を行うことなく、高周波特性が優れた接着層を利用可能なプリント基板およびプリント基板の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリント基板の構成例を示す断面図である。
図2図1に示す第1実施形態のインピーダンス変化率を調べるためのシミュレーションの構成例を示す図である。
図3図2におけるTDR波形の一例を示す図である。
図4】TaおよびTbの決定方法の一例を示す図である。
図5図2におけるシミュレーション結果を示す図である。
図6】プリント基板の誤差について説明するための図である。
図7図2におけるシミュレーション結果を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るプリント基板の構成例を示す断面図である。
図9図8に示す第2実施形態のインピーダンス変化率を調べるためのシミュレーションの構成例を示す図である。
図10図9におけるシミュレーション結果を示す図である。
図11図9におけるシミュレーション結果を示す図である。
図12図9におけるシミュレーション結果を示す図である。
図13】本発明の第3実施形態に係るプリント基板の構成例を示す断面図である。
図14図13に示す第3実施形態のインピーダンス変化率を調べるためのシミュレーションの構成例を示す図である。
図15図14におけるTDR波形の一例を示す図である。
図16】TaおよびTbの決定方法の一例を示す図である。
図17図14におけるシミュレーション結果を示す図である。
図18図14におけるシミュレーション結果を示す図である。
図19図14におけるシミュレーション結果を示す図である。
図20図14におけるシミュレーション結果を示す図である。
図21】本発明の第4実施形態に係るプリント基板の構成例を示す断面図である。
図22】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図23】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図24】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図25】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図26】インピーダンスを実測する際の基板の断面図である。
図27】インピーダンスを実測する際の基板の断面図である。
図28】インピーダンスを実測する際の測定装置の構成例である。
図29図28による実測結果を示す図である。
図30】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図31】接着層の厚さを実測する際の基板のSEM像である。
図32】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図33】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図34】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図35】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図36】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図37】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図38】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図39】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
図40】本発明の変形実施形態のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
(A)本発明の第1実施形態の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント基板の構成例を示す断面図である。図1に示す構成例では、プリント基板10は、グランド層11、誘電体層12、接着層13、および、導体層14を有している。なお、第1実施形態は、マイクロストリップ線路を有する実施形態である。
【0027】
ここで、グランド層11は、例えば、銅等の伝導性の高い金属によって構成され、回路のグランドとして機能する。
【0028】
誘電体層12は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、および、これらにガラス繊維を混合した樹脂を用いることができる。また、これらの素材を適宜混合して用いるようにしてもよい。もちろん、これら以外の素材を用いるようにしてもよい。
【0029】
接着層13は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂ポリマー、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリオレフィン樹脂、または、ポリフェニレンエーテル樹脂等によって構成され、導体層14を誘電体層12に接着する機能を有する。
【0030】
導体層14は、例えば、銅等の伝導性の高い金属によって構成され、種々の配線パターンが形成される。
【0031】
なお、図1に示すプリント基板10を製造する方法としては、まず、接着層13を有する導体層14を形成する。より詳細には、表面粗さを示すRz値が1μm以下の電解銅箔または圧延銅箔の一方の面に対して接着層13を塗布または吹きつけ等によって形成する。ここで、Rz値とは、JIS規格B0601に基づき、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。なお、Rz値が1μm以下の電解銅箔または圧延銅箔を用いるのは、Rz値が小さい電解銅箔または圧延銅箔は、Rz値が大きいものに比較して、高周波特性が良好だからである。具体的には、Rz値が小さい銅箔は、大きいものに比較して、表皮効果による信号の伝送損失が低減される。
【0032】
つぎに、電解銅箔または圧延銅箔によって構成されるグランド層11と、誘電体によって構成される誘電体層12と、接着層13が形成された導体層14とを、この順番に積層した後、プレス加工等によって貼り合わせる。
【0033】
つぎに、導体層14の上に図示しないフォトレジスト層を形成し、例えば、露光装置によって回路パターンに応じて、紫外線を照射する。これにより、回路パターンに応じてフォトレジスト層を硬化させることができる。
【0034】
つぎに、フォトレジスト層が硬化されたプリント基板10を溶剤の中に入れることで、硬化していないフォトレジスト層を除去する。これにより、回路パターンに応じたフォトレジスト層が導体層14の上に形成される。
【0035】
つぎに、プリント基板10をエッチング液の中に入れる。これにより、フォトレジスト層が存在しない部分は、エッチング液による腐食によって除去されるため、回路パターンに応じた導体層14が形成される。なお、図1の例では、マイクロストリップ線路が形成されている。
【0036】
つぎに、溶剤等を用いて、硬化して残ったフォトレジスト層を剥離する。これにより、図1に示すプリント基板10を得ることができる。
【0037】
つぎに、本発明の第1実施形態の詳細について説明する。
【0038】
図1に示すように、接着層13の厚さが15μmであり、接着層13と誘電体層12の合計の厚さが150μmであるとする。このとき、同様の厚さを有する誘電体層12、接着層13、および、導体層14を有する図2に示すような回路を用いて、例えば、ANSYS社製、HFSS(High Frequency Structure Simulator)等、有限要素法を利用した電磁界シミュレータにより、シミュレーションを行う。
【0039】
より詳細には、図2に示す例では、x−y平面に、y軸方向の長さが10mmのグランド層11(不図示)を長手方向の中心がy軸に沿うように配置し、その上(z軸方向の上方)に、y軸方向の長さが10mmの誘電体層12を配置し、その上に、y軸方向の長さが6mmの接着層13を配置し、その上に、y軸方向の長さが10mmの導体層14をy軸に沿って配置する。
【0040】
そして、立ち上がり時間が25psのパルス信号を印加して、TDR(Time Domain Reflectometry)波形を測定する。
【0041】
図3は、シミュレーション結果を示す図である。より詳細には、図3は、座標の原点付近から入力した信号の反射波を示している。図3の横軸は時間(ps)を示し、縦軸はインピーダンス(Ω)を示している。また、TaはA点からの反射波の受信時間を示し、TbはB点からの反射波の受信時間を示している。Ta,Tbの取り方としては、例えば、Taについては原点の近傍(Ta=0近傍)とすることができる。また、Tbについては、TDR波形のピーク近傍において、一般的に比誘電率が高い材料と、低い材料とで共通してTDR波形の傾きが小さくなる箇所を選択することができる。本実施形態ではその一例として、図4に示すように、解析範囲内で、誘電体層12の主基材の比誘電率の最も高いもの(Y=5)のTDR波形(破線の曲線)と、最も低いもの(Y=2)のTDR波形(実線の曲線)とで共通してフラットな領域の任意の点をTbとしている。フラットな領域は、主基材の比誘電率の最も高いもの(Y=5)のTDR波形の傾き(Ω/ns)を示す曲線(二点鎖線の曲線)と、最も低いもの(Y=2)のTDR波形の傾き(Ω/ns)を示す曲線(一点鎖線の曲線)とが、例えば、ともに10Ω/ns以下となる領域とすることができる。例えば、Tbについては、図4に示す0.56〜0.63nsの範囲に属する0.062nsとすることができる。図3に記載する例ではTa=0ns、Tb=0.062nsとし、時刻TaのときのインピーダンスをZa、時刻TbのときのインピーダンスをZbとすることで、ZaはA点からの反射波のインピーダンス、ZbはB点からの反射波のインピーダンスとして扱うことができる。尚、上述のZa、Zbの取り方は一例であり、例えばYの値に応じて個別にフラットな領域を選択してZa、Zbを得るようにしてもよい。また、実際にプリント基板のインピーダンスを測定して得られたTDR波形を用い、上述の手順によりプリント基板のインピーダンスを得る様にしてもよい。
【0042】
このようなシミュレーション結果に対して、インピーダンス変化率[%]を以下のように定める。
【0043】
インピーダンス変化率=(Zb−Za)/Za×100 ・・・(1)
【0044】
より詳細には、式(1)は、接着層13を有しない部分(A点)のインピーダンスをZaとし、接着層13を有する部分(B点)のインピーダンスをZbとするとき、これらの間のインピーダンスの変化率を示している。
【0045】
図5は、図2において、誘電体層12の比誘電率と、接着層13の比誘電率とを変化させた場合のインピーダンス変化率を示す図である。図5において、横軸は接着層13を構成するプライマーの比誘電率を示し、縦軸は誘電体層12を構成する主基材の比誘電率を示している。
【0046】
また、図5において、細線の曲線は、インピーダンスの変化率が所定の範囲内に収まる領域を区分する境界線を示している。例えば、左上から2番目の曲線は、インピーダンスの変化率が20.0%以上になる比誘電率の領域を区分する境界線である。
【0047】
太線の直線L1は、プライマーと主基材の比誘電率が等しい位置を示す線分である。太線の直線L2は、インピーダンス変化率が5%となる位置を示す直線である。太線の直線L3は、主基材の比誘電率が3.00となる位置を示す線分である。
【0048】
接着層13を構成するプライマーの比誘電率をXとし、誘電体層12を構成する誘電体の比誘電率をYとすると、これらは、以下の2つの関係式(2),(3)を満たす必要がある。
【0049】
Y>X ・・・(2)
【0050】
すなわち、接着層13の比誘電率を誘電体層12の比誘電率よりも大きくなるように材料を選択すると、導体層14を流れる信号の遅延が大きくなるため、式(2)を満たすように材料を選択する必要がある。
【0051】
Y<1.38X+0.50 ・・・(3)
【0052】
式(3)の右辺は、図5に示す太線の直線L2を示している。式(3)を満たすように設定することで、特性インピーダンスの変化率が5%以下に抑えられる。一般的な高周波用基板の特性インピーダンスは±5%に管理されており、5%以下の変化であれば、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを用いても反射損失の少ない伝送が可能となる。
【0053】
反射ノイズを信号振幅の5%以下に抑えるためには、特性インピーダンスの変化を10%以内に抑える必要がある。そのため、基板のインピーダンス調整スペックは±10%が標準とされている(エリック・ボガティン 高速デジタル信号の伝送技術 シグナルインテグリティ入門(2010)須藤俊夫 監訳 p.271)。
【0054】
線路幅はエッチングの精度により一般的に銅箔厚さの2倍程度ばらつき、それにより線路のインピーダンスは±5%程度ばらつく。前述したように、特性インピーダンスの変化を±10%内に収めるためには、5%以内の変化にとどめることが求められる。例えば、図6において、w=0.324mmで50Ωとなるように設計する場合に、w±銅箔厚さ0.012mm×2ばらついたとすると、w=0.324+0.024mmで47.9Ω、w=0.324−0.024mmで52.4Ω程度になり、インピーダンスは±5%程度ばらつく。
【0055】
また、誘電体層12を構成する主基材としては、エポキシ系の基材を想定しているので、その比誘電率は、以下の式(4)の範囲となる。もちろん、エポキシ系以外を用いる場合には、この範囲外であってもよい。
【0056】
3≦Y≦5 ・・・(4)
【0057】
図7は、図2において、誘電体層12を構成する主基材の比誘電率を3または5とし、接着層13を構成するプライマーの比誘電率を変化させた場合のインピーダンス変化率、信号の遅延、既存設計への適用のしやすさの関係を示す図である。図5において、「実施例」は、本発明の第1実施形態に係る結果を示し、「比較例」は第1実施形態とは異なる実施形態を示している。
【0058】
図7に示すように、式(2)〜式(4)を満たす「実施例」では、信号の遅延はすべて「なし」であり、また、既存設計への適用のしやすさは、インピーダンス変化率が「3.5〜5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用できることを示している「〇」、インピーダンス変化率が「2.5〜3.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用しやすいことを示す「◎」、インピーダンス変化率が「2〜2.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンをさらに適用しやすい「◎◎」、インピーダンス変化率が「〜2%」となり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを特に適用しやすい事を示す「◎◎◎」のいずれかとなっている。
【0059】
一方、比較例では、例えば、試料番号「293」の例では、主基材の比誘電率Yが3であるのに対して、プライマーの比誘電率Xが3.5であるので、式(2)を満たしていない。この場合、既存設計への適用のしやすさは「◎◎◎」であるが、信号の遅延が「あり」になっているため好ましくない。
【0060】
また、試料番号「378」〜「387」では、式(2)は満たしているが、式(3)を満たしていないので、信号の遅延は「なし」であるが、既存設計への適用のしやすさは、インピーダンス変化率が「5〜7.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用しにくいことを示す「△」、インピーダンス変化率が「7.5〜10%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用することが困難であることを示す「×」、インピーダンス変化率が「10%〜」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用することが特に困難であることを示す「××」のいずれかとなっている。このため、これらについては既存設計への適用が困難となることから、再度の設計が必要になる可能性が高い。
【0061】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態では、図1に示す構成において、接着層13を構成するプライマーの比誘電率をXとし、誘電体層12を構成する誘電体の誘電率をYとするとき、X,Yが前述した式(2)〜式(4)を満たすように部材の選択を行うことで、インピーダンスの変化率を5%以下にすることができる。この結果、特に、高周波特性が良好な、Rz値が1μm以下の導体層14を用いる場合には、接合強度を高めるために接着層13を用いる必要が生じるが、そのような場合であっても、前述した式(2)〜式(4)を満たすように材料の選択を行うことで、設計変更を行うことなく、従前の回路パターンを流用することができる。
【0062】
(B)本発明の第2実施形態の説明
図8は、本発明の第2実施形態に係るプリント基板の構成例を示す図である。図1に示す第1実施形態では接着層13を15μmで固定としたが、図8の例では、接着層13がtμmとされている。また、インピーダンス変化率をp%とし、X,Y,t,pの関係を求める。
【0063】
図9は、第2実施形態において用いたシミュレーションの対象となる構成例を示している。図9の例では、図2と比較すると、接着層13の厚さが15μmからtμmに変更されている。すなわち、第2実施形態では、接着層13の厚さtを変更しながらシミュレーションを行った。
【0064】
図10は、t=15μmの場合のシミュレーション結果を示している。また、図11は、t=10μmの場合のシミュレーション結果を示している。さらに、図12は、t=5μmの場合のシミュレーション結果を示している。これらの比較から、接着層13の厚さtが薄くなるに従って、インピーダンス変化率の境界線を示す細線の曲線が左上の点(1.00,5.00)に向かって移動するとともに曲線の間隔が広がっている。この結果、接着層13の厚さtが薄いほど、インピーダンス変化率が所望の範囲(例えば、インピーダンス変化率pが0%<p≦5%、即ち0%を超え5%以下となる範囲)となる領域は広くなり、設計変更を不要とすることができる材料選択の幅を広げることができる。この観点から、t=10μm以下がより好ましく、t=5μm以下がさらに好ましい。
【0065】
また、図10図12に基づいて、X,Y,t,pの関係を求めると以下の式(5)〜式(7)となる。
【0066】
X<Y<AX+B ・・・(5)
【0067】
A=(0.19t−5.25t+43.5)p/100+1 ・・・(6)
【0068】
B=(−0.8t+22)p/100 ・・・(7)
【0069】
以上の式によって求めたインピーダンス変化率pが所定の範囲となる境界を、太線の直線として図10図12に示す。これらの図の計算結果を示す太線の直線と、シミュレーションによって得られた結果を示す細線の曲線とはよく一致している。このため、以上の式(5)〜式(7)に対して、接着層13の厚さtと、所望のインピーダンス変化率pを代入して計算することで、接着層13の比誘電率Xと、誘電体層12の比誘電率Yの範囲を求めることができる。
【0070】
以上に説明したように、本発明の第2実施形態では、図8に示す構成において、接着層13を構成するプライマーの比誘電率をXとし、誘電体層12を構成する誘電体の誘電率をYとし、接着層13の厚さをtとし、インピーダンス変化率をpとするとき、X,Y,tが前述した式(5)〜式(7)を満たすように部材の選択を行うことで、インピーダンスの変化率pを所望の範囲に収めることができる。このため、高周波特性が良好な、特に、Rz値が1μm以下の導体層14を用いる場合には、接合強度を高めるために接着層13を用いる必要が生じるが、そのような場合であっても、前述した式(5)〜式(7)を満たすように材料の選択を行うことで、設計変更を行うことなく、従前の回路パターンを流用することができる。
【0071】
(C)本発明の第3実施形態の説明
図13は、本発明の第3実施形態に係るプリント基板の構成例を示す図である。図13に示す構成例では、図8と比較すると、導体層14および接着層13の上に誘電体層15とグランド層16が新たに追加されている。これら以外の構成は、図8と同様である。なお、第3実施形態は、ストリップ線路を有する実施形態である。
【0072】
ここで、誘電体層15は、誘電体層12と同様の素材によって構成されている。すなわち、誘電体層15は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、および、これらにガラス繊維を混合した樹脂を用いることができる。また、これらの素材を適宜混合して用いるようにしてもよい。もちろん、これら以外の素材を用いるようにしてもよい。
【0073】
グランド層16は、グランド層11と同様に、銅等の伝導性の高い金属によって構成され、グランドとして機能する。なお、グランド層ではなく、プラス電源を供給する電源層として構成するようにしてもよい。
【0074】
なお、図13に示すプリント基板10の製造方法としては、前述した図8のプリント基板に対して、誘電体層15とグランド層16とをプレス工程によって積層することによって製造することができる。
【0075】
図14は、第3実施形態において用いたシミュレーション対象の構成を示している。図14の例では、x−y平面に、y軸方向の長さが20mmのグランド層11(不図示)を長手方向の中心がy軸に沿うように配置し、その上(z軸方向)に、y軸方向の長さが20mmの誘電体層12を配置し、その上に、y軸方向の長さが10mmの接着層13を図の下半分に配置し、その上に、x軸方向の長さが0.09〜0.29mmであって、y軸方向の長さが20mmの導体層14を配置し、その上に、y軸方向の長さが20mmの誘電体層15を配置し、その上に、y軸方向の長さが20mmのグランド層16を配置する。
【0076】
図14の下にA点とB点の断面図を示す。A点では、誘電体層12と誘電体層15は一体の構成とされている。一方、B点では、厚さがtμmの接着層13が誘電体層12と誘電体層15の間に介在している。なお、誘電体層12、接着層13、および、誘電体層15の厚さは318μmとされ、グランド層16の厚さは18μmとされている。また、接着層13が存在しない領域のインピーダンスが50Ωになるように調整されている。
【0077】
図14に示す構成を対象とし、立ち上がり時間が25psのパルス信号を印加して、TDR波形を測定する。
【0078】
図15は、シミュレーション結果のTDR波形を示す図である。図15は、座標の原点付近から入力した信号の反射波を示している。この図の横軸は時間を示し、縦軸はインピーダンスを示している。また、TaはA点からの反射波の受信時間を示し、TbはB点からの反射波の受信時間を示している。Ta,Tbの取り方としては、TDR波形において、一般的に比誘電率が高い材料と、低い材料とで共通してTDR波形の傾きが共通して小さくなる箇所を選択することができる。本実施形態ではその一例として、例えば、図16に示すように、解析範囲内で、誘電体層12の主基材の比誘電率の最も高いもの(Y=5)のTDR波形(破線の曲線)と、最も低いもの(Y=2)のTDR波形(実線の曲線)とで共通してフラットとなる最初の領域内の任意の点をTaとすることができ、解析範囲内で、誘電体層12の主基材の比誘電率の最も高いもの(Y=5)のTDR波形(破線の曲線)と、最も低いもの(Y=2)のTDR波形が共通して上昇した後、共通してフラットとなる最初の領域内の任意の点をTbとすることができる。フラットな領域は、主基材の比誘電率の最も高いもの(Y=5)のTDR波形の傾き(Ω/ns)を示す曲線(二点鎖線の曲線)と、最も低いもの(Y=2)のTDR波形の傾き(Ω/ns)を示す曲線(一点鎖線の曲線)とが、例えば、ともに10Ω/ns以下となる領域とすることができる。例えば、Taについては図16の0.026〜0.088nsの範囲に属する0.050nsとすることができる。また、Tbについては、図16に示す0.180〜0.188nsの範囲に属する0.180nsとすることができる。図15に記載する例ではTa=0.050ns、Tb=0.180nsとし、時刻TaのときのインピーダンスをZa、時刻TbのときのインピーダンスをZbとすることで、ZaはA点からの反射波のインピーダンス、ZbはB点からの反射波のインピーダンスとして扱うことができる。尚、上述のZa、Zbの取り方は一例であり、例えばYの値に応じて個別にフラットな領域を選択してZa、Zbを得るようにしてもよい。また、実際にプリント基板のインピーダンスを測定して得られたTDR波形を用い、上述の手順によりプリント基板のインピーダンスを得る様にしてもよい。
【0079】
図17は、接着層13の厚さt=15μmに設定した場合の図14のシミュレーション結果を示している。図17において、細線の曲線はインピーダンス変化率が所定の範囲となる領域を区分する境界を示している。例えば、左上から2番目の細線はインピーダンス変化率が7.5%以上の境界を示している。
【0080】
図18は、接着層13の厚さt=10μmに設定した場合の図14のシミュレーション結果を示している。図18において、細線の曲線はインピーダンス変化率が所定の範囲となる領域を区分する境界線を示している。例えば、左上から2番目の細線はインピーダンス変化率が5.0%以上の境界を示している。
【0081】
図19は、接着層13の厚さt=5μmに設定した場合の図14のシミュレーション結果を示している。図19において、細線の曲線はインピーダンス変化率が所定の範囲となる領域を区分する境界線を示している。例えば、左上の細線はインピーダンス変化率が2.5%以上の境界を示している。
【0082】
これらの比較から、接着層13の厚さtが薄くなるに従って、インピーダンス変化率の範囲を示す曲線が左上の点(1.00,5.00)に向かって移動するとともに曲線の間隔が広がっている。この結果、接着層13の厚さtが薄いほど、インピーダンス変化率が所望の範囲(例えば、インピーダンス変化率pが0%<p≦5%、即ち0%を超え5%以下となる範囲)となる領域は広くなる。この観点から、t=10μm以下がより好ましく、t=5μm以下がさらに好ましい。
【0083】
また、図17図19に基づいて、X,Y,t,pの関係を求めると以下の式(8)〜式(10)となる。
【0084】
X<Y<AX+B ・・・(8)
【0085】
A=(0.44t−12.8t+108)p/100+1 ・・・(9)
【0086】
B=(−0.2t+26)p/100 ・・・(10)
【0087】
以上の式によって求めたインピーダンス変化率pの境界を、太線の直線として図17図19に示す。これらの図の計算結果を示す太線の直線と、シミュレーションによって得られた結果を示す細線の曲線とはよく一致している。このため、以上の式(8)〜式(10)に対して、接着層13の厚さtと、所望のインピーダンス変化率pを代入して計算することで、接着層13の比誘電率Xと、誘電体層12の比誘電率Yの範囲を求めることができる。これにより、インピーダンス変化率を抑制することで、既存の設計を変更することなく流用することができる。
【0088】
図20は、図14において、誘電体層12を構成する主基材の比誘電率を3または5とし、接着層13を構成するプライマーの比誘電率を変化させた場合のインピーダンス変化率、信号の遅延、既存設計への適用のしやすさの関係を示す図である。図20において、「実施例」は、本発明の第3実施形態に係る結果を示し、「比較例」は第3実施形態とは異なる実施形態を示している。
【0089】
図20に示すように、式(8)〜式(10)を満たす「実施例」では、信号の遅延はすべて「なし」であり、また、既存設計への適用のしやすさは、インピーダンス変化率が「3.5〜5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用できることを示している「〇」、インピーダンス変化率が「2.5〜3.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用しやすいことを示す「◎」、インピーダンス変化率が「2〜2.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンをさらに適用しやすい「◎◎」、インピーダンス変化率が「〜2%」となり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを特に適用しやすい事を示す「◎◎◎」のいずれかとなっている。
【0090】
一方、比較例では、例えば、試料番号「686」の例では、主基材の比誘電率Yが3であるのに対して、プライマーの比誘電率Xが3.5であるので、X<Yを満たしていない。この場合、既存設計への適用のしやすさは「◎◎◎」であるが、信号の遅延が「あり」になっているため好ましくない。
【0091】
また、試料番号「771」〜「775」では、X<Yは満たしているが、X<Y<AX+Bを満たしていないので、信号の遅延は「なし」であるが、既存設計への適用のしやすさは、インピーダンス変化率が「5〜7.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用しにくいことを示す「△」、インピーダンス変化率が「7.5〜10%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用することが困難であることを示す「×」、インピーダンス変化率が「10%〜」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用することが特に困難であることを示す「××」のいずれかとなっている。このため、これらについては既存設計への適用が困難となることから、再度の設計が必要になる可能性が高い。
【0092】
以上に説明したように、本発明の第3実施形態では、図13に示す構成において、接着層13を構成するプライマーの比誘電率をXとし、誘電体層12を構成する誘電体の誘電率をYとし、接着層13の厚さをtとし、インピーダンス変化率をpとするとき、X,Y,pが前述した式(8)〜(10)を満たすように部材の選択を行うことで、インピーダンスの変化率pを所望の範囲に収めることができる。このため、高周波特性が良好な、Rz値が1μm以下の導体層14を用いる場合には、接合強度を高めるために接着層13を用いる必要が生じるが、そのような場合であっても、前述した式(8)〜(10)を満たすように材料の選択を行うことで、設計変更を行うことなく、従前の回路パターンを流用することができる。
【0093】
(D)本発明の第4実施形態の説明
図21は、本発明の第4実施形態の構成例を示す図である。図21において、図13に示す第3実施形態と対応する部分には同一の符号を付してその説明は省略する。図21では図13と比較すると、接着層31および接着層32が追加されている。これら以外は、図13と同様である。ここで、接着層31は、グランド層11と誘電体層12を接着する層である。接着層32は、誘電体層15とグランド層16を接着する層である。なお、接着層31および接着層32は、接着層13と同様の部材によって構成される。
【0094】
図22は、接着層13の厚さt=15μmに設定した場合の図21のシミュレーション結果を示している。図22において、細線の曲線はインピーダンス変化率が所定の範囲となる領域を区分する境界を示している。例えば、左上から2番目の細線はインピーダンス変化率が15.0%以上の境界を示している。
【0095】
図23は、接着層13の厚さt=10μmに設定した場合の図21のシミュレーション結果を示している。図23において、細線の曲線はインピーダンス変化率が所定の範囲となる領域を区分する境界線を示している。例えば、左上から2番目の細線はインピーダンス変化率が10.0%以上の境界を示している。
【0096】
図24は、接着層13の厚さt=5μmに設定した場合の図21のシミュレーション結果を示している。図35において、細線の曲線はインピーダンス変化率が所定の範囲となる領域を区分する境界線を示している。例えば、左上から2番目の細線はインピーダンス変化率が5.0%以上の境界を示している。
【0097】
これらの比較から、接着層13の厚さtが薄くなるに従って、インピーダンス変化率の範囲を示す曲線が左上の点(1.00,5.00)に向かって移動するとともに曲線の間隔が広がっている。この結果、接着層13の厚さtが薄いほど、インピーダンス変化率が所望の範囲(例えば、インピーダンス変化率pが0%<p≦5%、即ち0%を超え5%以下となる範囲)となる領域は広くなる。この観点から、t=10μm以下がより好ましく、t=5μm以下がさらに好ましい。
【0098】
また、図22図24に基づいて、X,Y,t,pの関係を求めると以下の式(11)〜式(13)となる。
【0099】
X<Y<AX+B ・・・(11)
【0100】
A=(0.3t−8.7t+78)p/100+1 ・・・(12)
【0101】
B=(−0.2t+10)p/100 ・・・(13)
【0102】
以上の式によって求めたインピーダンス変化率pの境界を、太線の直線として図22図24に示す。これらの図の計算結果を示す太線の直線と、シミュレーションによって得られた結果を示す細線の曲線とはよく一致している。このため、以上の式(11)〜式(13)に対して、接着層13の厚さtと、所望のインピーダンス変化率pを代入して計算することで、接着層13の比誘電率Xと、誘電体層12の比誘電率Yの範囲を求めることができる。これにより、インピーダンス変化率を抑制することで、既存の設計を変更することなく流用することができる。
【0103】
図25は、図21において、誘電体層12を構成する主基材の比誘電率を3または5とし、接着層13を構成するプライマーの比誘電率を変化させた場合のインピーダンス変化率、信号の遅延、既存設計への適用のしやすさの関係を示す図である。図25において、「実施例」は、本発明の第4実施形態に係る結果を示し、「比較例」は第4実施形態とは異なる実施形態を示している。
【0104】
図25に示すように、式(11)〜式(13)を満たす「実施例」では、信号の遅延はすべて「なし」であり、また、既存設計への適用のしやすさは、インピーダンス変化率が「3.5〜5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用できることを示している「〇」、インピーダンス変化率が「2.5〜3.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用しやすいことを示す「◎」、インピーダンス変化率が「2〜2.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンをさらに適用しやすい「◎◎」、インピーダンス変化率が「〜2%」となり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを特に適用しやすい事を示す「◎◎◎」のいずれかとなっている。
【0105】
一方、比較例では、例えば、試料番号「1079」の例では、主基材の比誘電率Yが3であるのに対して、プライマーの比誘電率Xが3.5であるので、X<Yを満たしていない。この場合、既存設計への適用のしやすさは「◎◎◎」であるが、信号の遅延が「あり」になっているため好ましくない。
【0106】
また、試料番号「1164」〜「1170」では、X<Yは満たしているが、X<Y<AX+Bを満たしていないので、信号の遅延は「なし」であるが、既存設計への適用のしやすさは、インピーダンス変化率が「5〜7.5%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用しにくいことを示す「△」、インピーダンス変化率が「7.5〜10%」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用することが困難であることを示す「×」、インピーダンス変化率が「10%〜」であり、従来のプリント基板用に設計した回路パターンを適用することが特に困難であることを示す「××」のいずれかとなっている。このため、これらについては既存設計への適用が困難となることから、再度の設計が必要になる可能性が高い。
【0107】
以上に説明したように、本発明の第4実施形態では、図21に示す構成において、接着層13を構成するプライマーの比誘電率をXとし、誘電体層12を構成する誘電体の誘電率をYとし、接着層13の厚さをtとし、インピーダンス変化率をpとするとき、X,Y,pが前述した式(11)〜(13)を満たすように部材の選択を行うことで、インピーダンスの変化率pを所望の範囲に収めることができる。このため、高周波特性が良好な、Rz値が1μm以下の導体層14を用いる場合には、接合強度を高めるために接着層13を用いる必要が生じるが、そのような場合であっても、前述した式(11)〜(13)を満たすように材料の選択を行うことで、設計変更を行うことなく、従前の回路パターンを流用することができる。
【0108】
つぎに、線路インピーダンスの実測方法について説明する。
【0109】
本実施形態では、線路インピーダンスを実測するために、図26の層構成を有する接着層有りの線路パターンを有する測定基板10Aと、図27に示す接着層無しの同一線路パターンを持つ測定基板10Bとを作成する。なお、図26に示す構成では、接着層13,31,32の厚さはtμmとされ、接着層13,31,32および誘電体層12,15の厚さは318μmとされている。また、図27に示す構成では、誘電体層12,15の厚さは318μmとされている。
【0110】
図28に示すように、このような測定基板10A,10Bに形成された線路の両端にはコネクタ61,62から信号を入出力するためのパターンを設ける。測定基板10A,10Bには、コネクタ61,62およびケーブル51,52を介してベクトルネットワーク・アナライザ50から信号を入力し、任意の範囲まで周波数を掃引し、測定基板10A,10Bの反射損失の周波数特性を測定する。
【0111】
ベクトルネットワーク・アナライザ50では、周波数領域で測定されたデータに、ステップ信号を畳み込み、逆フーリエ変換することで時間領域のステップ応答データである反射係数のグラフを得る。なお、本実施形態における線路インピーダンスの実測では、ベクトルネットワーク・アナライザ50としてキーサイト・テクノロジー社製、E8364Cを使用している。さらに、基準インピーダンスをベクトルネットワーク・アナライザ50のポートインピーダンスとすることで反射係数からインピーダンスを計算し、図29に示すような横軸が時間を示し、縦軸がインピーダンスを示すグラフを得る。
【0112】
図29に示すグラフでは、平坦な領域とその両端にコネクタ61,62と基板接触部によるインピーダンス不整合を示すピークが存在する。これら2つのピークを線路端部に対応するピークとし、これらピークの内側を線路部に対応する領域とみなすことができる。本測定では、両線路端部の中心から前後に、両線路端部に対応するピーク間の間隔の5%の範囲の値を平均したものを基板のインピーダンスとすることができる。
【0113】
図29は、誘電体層12として比誘電率Y=3.6の誘電体を使用し、接着層13として比誘電率X=2.2の接着剤を使用し、接着層13の厚さを15μmとした基板の実測結果を示している。接着層の有無によるインピーダンスの変化率は約4.9%(=(50.6−48.2)/48.2×100)である。なお、誘電体層12の比誘電率Y、および、接着層13の比誘電率Xは日本工業規格JIS C2138:2007に則り測定することができる。図30は、図26の層構成を有する接着層有りの線路パターンを有する測定基板10Aの接着層13の厚さを15μmに設定した際のシミュレーション結果を示している。より詳細には、図30は、接着層13の厚さが15μmの場合の結果を示しており、図中の四角がX=2.2,Y=3.6の場合の特性を示している。実測結果はこれらの図中の四角の範囲に収まっている。なお、接着層13の比誘電率X、および誘電体層12の比誘電率Yは、入力される信号の周波数によって変化する場合がある。このため、図30では測定結果を四角の領域で表現しているが、X,Yの値として入力される信号の周波数帯域の代表的な周波数(例えば中央値や平均値)におけるそれぞれの比誘電率をX,Yの値としてもよい。本実測およびシミュレーションでは10GHzの信号としている。
【0114】
つぎに、接着層の厚さの測定方法について説明する。
【0115】
図31は、樹脂層と銅箔とからなる試料の断面を示す図である。図31の例では、基板試料をウルトラミクロトーム等により小片に加工し、観察面をイオンミリングにより処理した後にSEM(Scanning Electron Microscope)によりSEM像を撮影する。樹脂層の内フィラー材を含まない層もしくは色の異なる領域で樹脂層を分けた際、銅箔に近い層を接着層と定義し厚みを測定することができる。
【0116】
(D)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、誘電体層12と接着層13の比誘電率X,Yの具体例については示していないが、例えば、X=2.5とし、Y=3.6となる材料を用いるようにしてもよい。
【0117】
図32図34は、第2実施形態の誘電体層12として比誘電率X=2.5の誘電体を使用し、接着層13として比誘電率Y=3.6の接着剤を使用し、接着層13の厚さを15,10,5μmに設定した場合のシミュレーション結果を示している。より詳細には、図32は、接着層13の厚さが15μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図32の例では、インピーダンス変化率は4.2%である。また、図33は、接着層13の厚さが10μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図33の例では、インピーダンス変化率は3.0%である。さらに、図34は、接着層13の厚さが5μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図34の例では、インピーダンス変化率は2.2%である。
【0118】
図35図37は、第3実施形態の誘電体層12として比誘電率X=2.5の誘電体を使用し、接着層13として比誘電率Y=3.6の接着剤を使用し、接着層13の厚さを15,10,5μmに設定した場合のシミュレーション結果を示している。より詳細には、図35は、接着層13の厚さが15μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図35の例では、インピーダンス変化率は1.9%である。また、図36は、接着層13の厚さが10μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図36の例では、インピーダンス変化率は1.2%である。さらに、図37は、接着層13の厚さが5μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図37の例では、インピーダンス変化率は0.2%である。
【0119】
図38図40は、第4実施形態の誘電体層12として比誘電率X=2.5の誘電体を使用し、接着層13として比誘電率Y=3.6の接着剤を使用し、接着層13の厚さを15,10,5μmに設定した場合のシミュレーション結果を示している。より詳細には、図38は、接着層13の厚さが15μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図38の例では、インピーダンス変化率は2.5%である。また、図39は、接着層13の厚さが10μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図39の例では、インピーダンス変化率は1.3%である。さらに、図40は、接着層13の厚さが5μmの場合の結果を示しており、図中の丸印がX=2.5,Y=3.6の場合の特性を示している。なお、図40の例では、インピーダンス変化率は0.5%である。
【0120】
以上から、マイクロストリップ線路およびストリップ線路の双方において、誘電体層12として比誘電率X=2.5の誘電体を使用し、接着層13として比誘電率Y=3.6の接着剤を使用し、接着層13の厚さを15,10,5μmに設定すると、インピーダンス変化率が0.2〜4.2%の範囲に収まる。このため、前述した材料の選択によれば、設計を変更する必要がないインピーダンス変化率にすることができる。なお、以上では、X=2.5,Y=3.6としたが、これを中心とする所定の範囲の誘電率を有する材料を採用するようにしてもよい。例えば、X=2.25以上2.75以下とし、Y=3.35以上3.85以下としてもよい。
【0121】
なお、第1実施形態では1の誘電体層12および2の導体層(グランド層11および導体層14)を有するようにし、第3実施形態および第4実施形態では2の誘電体層12,15および3の導体層(グランド層11,16および導体層14)を有するようにしたが、誘電体層および導体層をこれら以外の数に設定するようにしてもよい。
【0122】
また、以上の各実施形態では、接着層13の厚さtについては、5≦t≦15としたが、必要に応じてt<5としてもよい。
【0123】
また、以上の各実施形態では、誘電体層12,15と接着層13の材料を選択することで比誘電率を調整するようにしたが、例えば、これらの形状によって比誘電率を調整するようにしてもよい。例えば、複数の空気孔を設けることで、比誘電率を調整するようにしてもよい。
【0124】
また、以上の式(1)〜(16)は近似式であることから、これらに含まれる定数は一例であって、これらに限定されるものではない。また、定数は、環境等によってある程度変動することも想定されることから、一定の幅を有していることが想定される。
【符号の説明】
【0125】
10 プリント基板
11 グランド層
12 誘電体層
13 接着層
14 導体層
15 誘電体層
16 グランド層
図1
図2
図3
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