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特開2021-89989発光素子用組成物並びにそれを用いた膜及び発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-89989(P2021-89989A)
(43)【公開日】2021年6月10日
(54)【発明の名称】発光素子用組成物並びにそれを用いた膜及び発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20210514BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20210514BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   C09K11/06 690
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2019-219903(P2019-219903)
(22)【出願日】2019年12月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】田中 正信
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 茉由
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 裕宗
(72)【発明者】
【氏名】安倍 太一
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC12
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD60
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD70
3K107DD73
3K107DD76
3K107DD79
3K107DD87
3K107FF00
3K107FF09
3K107FF14
(57)【要約】
【課題】本開示は、駆動電圧の低い発光素子の製造に有用な組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、下記の発光素子用組成物を提供する:
低分子化合物、高分子化合物、及び溶媒を含有し、高分子化合物が、環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の複素環基を有する高分子化合物であり、高分子化合物は、主鎖に、単環若しくは縮合環の芳香族炭化水素基、及び前記複素環基から選択される基Aを一つ以上含む構成単位Aを含有し、かつ低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と、前記高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差が、5度以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子化合物、高分子化合物、及び溶媒を含有し、
前記高分子化合物が、
環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の複素環基を有する高分子化合物であり、
前記高分子化合物は、主鎖に、単環若しくは縮合環の芳香族炭化水素基、及び前記複素環基から選択される基Aを一つ以上含む構成単位Aを含有し、前記基Aは、置換基を有していてもよく、かつ
前記低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と、前記高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差が、5度以下である、発光素子用組成物。
【請求項2】
前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、前記構成単位Aの合計の含有量が90モル%以上であり、
前記構成単位Aそれぞれに含まれる1つ以上の前記基Aが、それぞれ、2つの結合手を有することにより、前記高分子化合物の主鎖を構成しており、かつ、
前記2つの結合手のなす角が150度以上180度以下である、請求項1に記載の発光素子用組成物。
【請求項3】
前記低分子化合物が、前記高分子化合物中に含まれる前記複素環基と同一の複素環基を含む、請求項1又は2に記載の発光素子用組成物。
【請求項4】
前記構成単位Aが、下記の式(1)で表される基を含む構成単位、下記の式(2)で表される基を含む構成単位、及び、下記の式(3)で表される基を含む構成単位からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【化1】
[式(1)中、Arは単環又は縮合環のアリーレン基からn1個の水素原子を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい;n1は1以上の整数を表す;RAr1は下記の式(1−2)で表される基を表し、RAr1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;Qは、酸素原子、硫黄原子、アリーレン基、2価の複素環基、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Qが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;n2は0以上の整数を表し、n2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;式(1)中の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は150度以上180度以下である。]
【化2】
[式(1−2)中、X〜Xは、それぞれ独立に、=N−で表される基又は=C(R1A)−で表される基を表す;R1Aは、前記Ar若しくは前記Qと結合するための結合手を表すか、又は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、若しくは置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、R1Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい;Yは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR1B−で表される基を表す;R1Bは、前記Ar若しくは前記Qと結合するための結合手を表すか、又は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくは1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;X〜X及びYのうちの一つは、前記Ar又は前記Qと結合するための結合手を含む。]
【化3】
[式(2)中、X〜X14は、それぞれ独立に、=N−で表される基又は=C(R1A)−で表される基を表す;R1Aは、水素原子、若しくはハロゲン原子を表すか、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、若しくは置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、R1Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい;Yは酸素原子、硫黄原子、又は、−NR1B−で表される基を表す;R1Bは、水素原子を表すか、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくは1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;式(2)中の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は、150度以上180度以下である。]
【化4】
[式(3)中、Arは、単環又は縮合環のアリーレン基を表し、この基は、前記式(1−2)で表される基以外の置換基を有していてもよい;式(3)中の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は、150度以上180度以下である。]
【請求項5】
前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、前記構成単位Aの合計の含有量が90モル%以上であり、
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(1)で表される基を含む構成単位又は前記式(2)で表される基を含む構成単位であり、
前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、前記式(1)で表される基を含む構成単位及び前記式(2)で表される基を含む構成単位の合計の含有量が15モル%以上である、請求項4に記載の発光素子用組成物。
【請求項6】
前記高分子化合物において、前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位に対して、前記構成単位Aの合計の含有量が、100モル%であり、
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(1)で表される基を含む構成単位又は前記式(2)で表される基を含む構成単位である、請求項4に記載の発光素子用組成物。
【請求項7】
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(2)で表される基を含む構成単位であり、
前記式(2)中、X〜X14が、=C(R1A)−で表される基であり、かつ、Yが、酸素原子又は硫黄原子である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【請求項8】
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(3)で表される基を含む構成単位であり、
前記式(3)中、Arで表される単環又は縮合環のアリーレン基が、置換基として、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【請求項9】
前記低分子化合物が、下記の式(H−1)で表される化合物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【化5】
[式(H−1)中、ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;nH1及びnH2は、それぞれ独立に、0又は1を表し、nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;nH3は、0以上の整数を表す;LH1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、−[C(RH11]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;nH11は、1〜10の整数を表す;RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、又は、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい;LH2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表し、LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;LH21は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項10】
燐光発光性化合物をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【請求項11】
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子用組成物を用いて形成された膜。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子用組成物を用いて形成された有機層を有する発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶媒、低分子化合物及び高分子化合物を含有する発光素子用組成物、並びにそれを用いて製造される発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、発光素子ともいう。)は、ディスプレイ及び照明の用途に好適に使用することが可能であり、これらの用途では、発光素子の駆動電圧を低下させた発光素子を実現することが望まれている。
例えば、特許文献1には、発光素子の発光層を形成するための組成物として、ポリスチレン及びシリコーンオイル等の高分子化合物と低分子化合物との組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−109286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の組成物を用いて製造される発光素子は、駆動電圧が比較的高かった。
そこで、本開示は、駆動電圧の低い発光素子の製造に有用な組成物を提供することを目的とする。
本開示はまた、本開示に係る組成物を用いて形成された、駆動電圧の低い発光素子の製造に有用な膜、及び、本開示に係る組成物を用いて形成された、駆動電圧の低い発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の[1]〜[13]を提供する。
[1]
低分子化合物、高分子化合物、及び溶媒を含有し、
前記高分子化合物が、
環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の複素環基を有する高分子化合物であり、
前記高分子化合物は、主鎖に、単環若しくは縮合環の芳香族炭化水素基、及び前記複素環基から選択される基Aを一つ以上含む構成単位Aを含有し、前記基Aは、置換基を有していてもよく、かつ
前記低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と、前記高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差が、5度以下である、発光素子用組成物。
[2]
前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、前記構成単位Aの合計の含有量が90モル%以上であり、
前記構成単位Aそれぞれに含まれる1つ以上の前記基Aが、それぞれ、2つの結合手を有することにより、前記高分子化合物の主鎖を構成しており、かつ、
前記2つの結合手のなす角が150度以上180度以下である、[1]に記載の発光素子用組成物。
[3]
前記低分子化合物が、前記高分子化合物中に含まれる前記複素環基と同一の複素環基を含む、[1]又は[2]に記載の発光素子用組成物。
[4]
前記構成単位Aが、下記の式(1)で表される基を含む構成単位、下記の式(2)で表される基を含む構成単位、及び、下記の式(3)で表される基を含む構成単位からなる群から選ばれる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【化1】
[式(1)中、Arは単環又は縮合環のアリーレン基からn1個の水素原子を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい;n1は1以上の整数を表す;RAr1は下記の式(1−2)で表される基を表し、RAr1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;Qは、酸素原子、硫黄原子、アリーレン基、2価の複素環基、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Qが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;n2は0以上の整数を表し、n2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;式(1)中の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は150度以上180度以下である。]
【化2】
[式(1−2)中、X〜Xは、それぞれ独立に、=N−で表される基又は=C(R1A)−で表される基を表す;R1Aは、前記Ar若しくは前記Qと結合するための結合手を表すか、又は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、若しくは置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、R1Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい;Yは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR1B−で表される基を表す;R1Bは、前記Ar若しくは前記Qと結合するための結合手を表すか、又は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくは1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;X〜X及びYのうちの一つは、前記Ar又は前記Qと結合するための結合手を含む。]
【化3】
[式(2)中、X〜X14は、それぞれ独立に、=N−で表される基又は=C(R1A)−で表される基を表す;R1Aは、水素原子、若しくはハロゲン原子を表すか、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、若しくは置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、R1Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい;Yは酸素原子、硫黄原子、又は、−NR1B−で表される基を表す;R1Bは、水素原子を表すか、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくは1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;式(2)中の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は、150度以上180度以下である。]
【化4】
[式(3)中、Arは、単環又は縮合環のアリーレン基を表し、この基は、前記式(1−2)で表される基以外の置換基を有していてもよい;式(3)中の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は、150度以上180度以下である。]
[5]
前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、前記構成単位Aの合計の含有量が90モル%以上であり、
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(1)で表される基を含む構成単位又は前記式(2)で表される基を含む構成単位であり、
前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、前記式(1)で表される基を含む構成単位及び前記式(2)で表される基を含む構成単位の合計の含有量が15モル%以上である、[4]に記載の発光素子用組成物。
[6]
前記高分子化合物において、前記高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位に対して、前記構成単位Aの合計の含有量が、100モル%であり、
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(1)で表される基を含む構成単位又は前記式(2)で表される基を含む構成単位である、[4]に記載の発光素子用組成物。
[7]
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(2)で表される基を含む構成単位であり、
前記式(2)中、X〜X14が、=C(R1A)−で表される基であり、かつ、Yが、酸素原子又は硫黄原子である、[4]〜[6]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
[8]
前記構成単位Aのうちの少なくとも1つが、前記式(3)で表される基を含む構成単位であり、
前記式(3)中、Arで表される単環又は縮合環のアリーレン基が、置換基として、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を有する、[4]〜[7]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
[9]
前記低分子化合物が、下記の式(H−1)で表される化合物である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
【化5】
[式(H−1)中、ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;nH1及びnH2は、それぞれ独立に、0又は1を表し、nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;nH3は、0以上の整数を表す;LH1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、−[C(RH11]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;nH11は、1〜10の整数を表す;RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、又は、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい;LH2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表し、LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい;LH21は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[10]
燐光発光性化合物をさらに含む、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
[11]
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物。
[12]
[1]〜[11]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物を用いて形成された膜。
[13]
[1]〜[11]のいずれか一項に記載の発光素子用組成物を用いて形成された有機層を有する発光素子。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、駆動電圧の低い発光素子の製造に有用な組成物を提供することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、駆動電圧の低い発光素子、及びそのような発光素子に有用な膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0008】
≪共通する用語の説明≫
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0009】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
【0010】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0011】
金属錯体及び燐光発光性化合物を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0012】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、かつポリスチレン換算の数平均分子量が1×10〜1×10である重合体を意味する。高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性又は輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0013】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、かつ分子量が1×10以下の化合物を意味する。
【0014】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位であって、重合反応の原料となる単量体(モノマー)由来の単位を意味する。高分子化合物中に構成単位が2個以上存在する場合、当該構成単位は一般的に「繰り返し単位」と呼ばれる。
【0015】
アルキル基は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは1〜10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
【0016】
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシル−デシル基、ドデシル基、並びに、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基及び6−エチルオキシヘキシル基)が挙げられる。
【0017】
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
【0018】
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、及びシクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0019】
「アリール基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
【0020】
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0021】
アルコキシ基は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
【0022】
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0023】
シクロアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
【0024】
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0025】
アリールオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。
【0026】
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0027】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
【0028】
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾチオフェン、及びジベンゾフラン等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
【0029】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。
【0030】
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0031】
1価の複素環基は、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール又はトリアゾールから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた1価の基が挙げられ、好ましくは、下記の式(M−1)〜式(M−24)で表される基である。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
[式(M−1)〜式(M−24)中、Rのいずれか1つが結合手である;残りのR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す;複数存在するR及びRは、各々、同一でも異なっていてもよく、R同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0037】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0038】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
【0039】
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
【0040】
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、及び、ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0041】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0042】
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0043】
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0044】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0045】
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0046】
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキセシニル基、5−ヘキシニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0047】
「アリーレン基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
【0048】
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、下記の式(A−1)〜式(A−20)で表される基である。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す;複数存在するR及びRは、各々、同一でも異なっていてもよく、R同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0053】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜15である。
【0054】
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。2価の複素環基は、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール又はトリアゾールから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、下記の式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。
【0055】
【化15】
【0056】
【化16】
【0057】
【化17】
【0058】
【化18】
【0059】
【化19】
【0060】
【化20】
【0061】
【化21】
[式(AA−1)〜式(AA−34)中、R及びRについては、アリーレン基に関する上記の記載を参照することができる]
【0062】
「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、下記の式(B−1)〜式(B−17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0063】
【化22】
【0064】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。例えば、置換基は、架橋基であってもよく、上記の式(1−2)で表される基であってもよく、上記の−(Qn2−RAr1で表される基であってもよい。
【0065】
「デンドロン」とは、原子又は環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造(即ち、デンドリマー構造)を有する基を意味する。デンドロンを有する化合物(以下、「デンドリマー」と言う。)としては、例えば、国際公開第02/067343号、特開2003−231692号公報、国際公開第2003/079736号、国際公開第2006/097717号等の文献に記載の構造が挙げられる。
【0066】
デンドロンとしては、好ましくは、下記の式(D−A)又は式(D−B)で表される基である。
【0067】
【化23】
[式(D−A)中、
DA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す;
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;
ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい;
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0068】
【化24】
[式(D−B)中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す;
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するGDAは、同一でも異なっていてもよい;
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい;
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0069】
上記の式(D−A)及び式(D−B)において、mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは0又は1である。mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、同一の整数であることが好ましい。
【0070】
上記の式(D−A)及び式(D−B)において、GDAは、好ましくは下記の式(GDA−11)〜式(GDA−15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0071】
【化25】
[式(GDA−11)〜式(GDA−15)中、
*は、式(D−A)におけるArDA1、式(D−B)におけるArDA1、式(D−B)におけるArDA2、又は、式(D−B)におけるArDA3との結合を表す;
**は、式(D−A)におけるArDA2、式(D−B)におけるArDA2、式(D−B)におけるArDA4、又は、式(D−B)におけるArDA6との結合を表す;
***は、式(D−A)におけるArDA3、式(D−B)におけるArDA3、式(D−B)におけるArDA5、又は、式(D−B)におけるArDA7との結合を表す;
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0072】
上記の式(GDA−11)〜式(GDA−15)におけるRDAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0073】
上記の式(D−A)及び式(D−B)におけるArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、好ましくは下記の式(ArDA−1)〜式(ArDA−3)で表される基である。
【0074】
【化26】
[式(ArDA−1)〜式(ArDA−3)中、
DAについては、上記の式(GDA−11)〜式(GDA−15)に関する記載を参照できる;
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;RDBが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0075】
上記の式(ArDA−1)〜式(ArDA−3)におけるRDBは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基である。
【0076】
上記の式(D−A)及び式(D−B)におけるTDAは、好ましくは下記の式(TDA−1)〜式(TDA−3)で表される基である。
【0077】
【化27】
[式(TDA−1)〜式(TDA−3)中、RDA及びRDBについては、上記の式(ArDA−1)〜式(ArDA−3)に関する記載を参照することができる。]
【0078】
上記の式(D−A)で表される基は、好ましくは下記の式(D−A1)〜式(D−A3)で表される基である。
【0079】
【化28】
[式(D−A1)〜式(D−A3)中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す;Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい;
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0又は1を表す;複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0080】
上記の式(D−B)で表される基は、好ましくは下記の式(D−B1)〜式(D−B3)で表される基である。
【0081】
【化29】
[式(D−B1)〜式(D−B3)中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す;Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい;
np1は0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0又は1を表す;np1及びnp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0082】
上記の式(D−A1)〜式(D−A3)及び式(D−B1)〜式(D−B3)において、np1は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1であり、np2は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
【0083】
上記の式(D−A1)〜式(D−A3)及び式(D−B1)〜式(D−B3)において、Rp1、Rp2及びRp3は、好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0084】
≪組成物≫
次に、本開示の組成物について説明する。
【0085】
本発明者らは、本開示の組成物において、低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差を比較的小さくすることにより、両者の固体表面自由エネルギー差が小さくなり、その結果、低分子化合物と高分子化合物との相溶性や均一性が向上すると考えた。そして、この相溶性や均一性の向上が、本開示の組成物を用いて形成した発光素子の有機層の膜質を改善させ、その結果、発光素子の駆動電圧を低下させることができると考えた。
【0086】
〈接触角〉
低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角は、以下の手順によって測定される。
【0087】
ガラス基板上に、実質的に低分子化合物及び溶媒のみを含む組成物を用いて、スピンコート法により、実質的に低分子化合物からなる膜(以下、「低分子化合物単独膜」ともいう。)を形成させる。測定用の膜の形成過程において、溶媒は、可能な限り除去されることが好ましい。なお、前記組成物に用いられる溶媒は、低分子化合物が溶解するものから選択され、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、クロロベンゼン、THF、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、メタノール及びイソプロパノール等が挙げられる。次に、低分子化合物単独膜に水を滴下し、低分子化合物単独膜上に水滴を形成させる。形成した水滴と低分子化合物単独膜との接触角を接触角測定装置にて計測する。
【0088】
高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角は、低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角を測定する手順のうち、実質的に低分子化合物及び溶媒のみを含む組成物を用いることに代えて、実質的に高分子化合物及び溶媒のみを含む組成物を用いること以外は、同様の手順で測定することができる。
【0089】
低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角の差(以下、「接触角の差」ともいう。)は、本開示の組成物を用いて得られる発光素子の駆動電圧が優れるので、5度以下であり、4.5度以下であることが好ましく、4度以下であってもよく、3度以下であってもよい。また、接触角の差は、0度以上であってもよく、0.5度以上であってもよく、1度以上であってもよく、1.5度以上であってもよく、2度以上であってもよい。
【0090】
低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角及び高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角は、それぞれ、0度を超え、5度以上であってもよく、本開示の組成物を用いて形成された層の上に、塗布法により、均一な層を形成することができるので、30度以上であることがより好ましく、50度以上であることがより好ましく、70度以上であることが更に好ましく、90度以上であることが特に好ましく、93度以上であることがとりわけ好ましい。また、低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角及び高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角は、それぞれ、180度未満であり、150度以下であってもよく、120度以下であってもよく、本開示の組成物を用いて形成された層の上に、塗布法により、均一な層を形成することができるので、100度以下であることが好ましく、98度以下であることがより好ましい。
【0091】
以下、本開示の組成物に含有される成分について説明する。
【0092】
〈高分子化合物〉
本開示の組成物は、高分子化合物を含有する。
【0093】
本開示の組成物において、溶媒を除く固形分の合計を100重量部とした場合、高分子化合物の含有量は、組成物を含有するインクの吐出性が良好になるので、0.1重量部〜80重量部であり、好ましくは1重量部〜50重量部であり、より好ましくは1重量部〜30重量部である。
【0094】
本開示に係る高分子化合物は、好ましくは、電荷輸送性高分子化合物である。
【0095】
「電荷輸送性高分子化合物」は、電荷輸送性を有する高分子化合物であり、具体的には、電荷を注入した場合に電荷の濃度及び/又は電場の勾配による拡散及び/又は移動によって電荷を輸送させる能力のある高分子化合物を意味する。
【0096】
本開示に係る高分子化合物は、環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の複素環基を有し、かつ、主鎖に、単環若しくは縮合環のアリーレン基、及び当該複素環基から選択される基Aを一つ以上含む構成単位Aを含有していることによって、例えばアルキレン基のみからなる高分子化合物よりも比較的高い電荷輸送性を有している。
【0097】
本開示に係る1つの実施態様では、本開示に係る高分子化合物に含まれる単環又は縮合環の複素環基が、単環又は縮合環の芳香族複素環基である。高分子化合物が、環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の芳香族複素環基を有し、かつ、主鎖に、単環若しくは縮合環のアリーレン基、及び当該芳香族複素環基から選択される基Aを一つ以上含む構成単位Aを含有していることによって、高分子化合物が、比較的高い電荷輸送性を有する。
【0098】
本開示に係る別の実施態様では、本開示に係る高分子化合物が、上記の式(2)で表される基を有している構成単位Aを含有している。高分子化合物が、環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の複素環基を有し、かつ、主鎖に、上記の式(2)で表される基Aを一つ以上含む構成単位Aを含有していることによって、高分子化合物が、比較的高い電荷輸送性を有する。
【0099】
本開示のさらに別の実施態様では、本開示に係る高分子化合物の主鎖が、構成単位Aからなる。高分子化合物が、環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含む、単環又は縮合環の複素環基を有し、かつ、高分子化合物の主鎖が、単環若しくは縮合環のアリーレン基、及び当該複素環基から選択される基Aを一つ以上含む構成単位Aからなることによって、高分子化合物が、比較的高い電荷輸送性を有する。
【0100】
(複素環基)
「環内に、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される一つ以上のヘテロ原子を含んでいる単環又は縮合環の複素環基」(以下、「本開示に係る複素環基」ともいう。)は、好ましくは、上記の式(M−1)〜式(M−24)、又は上記の式(AA−1)〜式(AA−34)で表される複素環基であってよい。
【0101】
本開示に係る複素環基は、特に好ましくは、下記の式(HC−1)〜式(HC−5)で表される構造である。
【0102】
【化30】
【0103】
【化31】
【0104】
本開示に係る高分子化合物は、本開示に係る複素環基を、主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよく、又は主鎖及び側鎖に有していてもよい。
【0105】
(結合手のなす角)
【0106】
本開示に係る組成物の1つの実施態様では、
高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、構成単位Aの合計の含有量が90モル%以上であり、
それぞれの構成単位Aに含まれる1つ以上の基Aが、それぞれ、2つの結合手を有することにより、高分子化合物の主鎖を構成しており、かつ、
2つの結合手のなす角が150度以上180度以下である。この実施態様によれば、駆動電圧に優れる発光素子の製造に特に有用でありかつ増粘性に優れる組成物を提供することができる。
【0107】
理論によって限定する意図はないが、高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、構成単位Aの合計の含有量が90モル%以上であり、それぞれの構成単位Aに含まれる1つ以上の基Aが、それぞれ、2つの結合手を有することにより、高分子化合物の主鎖を構成しており、かつ、2つの結合手のなす角が150度以上180度以下である場合には、高分子化合物が剛直な直線性を有することに起因して、増粘性が比較的高くなると考えられる。
【0108】
本発明の組成物は、湿式成膜法において発光素子の発光層を平坦に形成しやすいので、増粘性が高いことが好ましい。
【0109】
構成単位Aに含まれる基Aの主鎖を構成する2つの結合手のなす角は、各構成単位の基底状態における最適構造から算出され、各結合手から延長された直線が交わる点を頂点とした角度のうち、小さい方を指す。但し、各結合手から延長された直線が重なる場合や直線が交差せずに並行である場合には、角度は180度とみなす。
【0110】
ここで、高分子化合物に含有される任意の基Aに関して、「基Aの主鎖を構成する2つの結合手」は、当該基Aと隣接する他の基とを結合することによって高分子化合物の主鎖を構成している結合手を意味する。
【0111】
主鎖を構成する2つの結合手のなす角が150度以上180度以下である基Aを含有している構成単位Aの合計の含有量は、本開示の組成物を含むインクの増粘性が良好になるので、高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、90モル%以上100モル%以下が好ましく、95モル%以上100モル%以下がより好ましく、99モル%以上100モル%以下がさらに好ましく、100モル%であることがことさらに好ましい。
【0112】
本開示の1つの実施態様では、高分子化合物が、増粘剤としての機能を有する。増粘剤は、組成物の粘性を増加させる役割を有する。
【0113】
(構成単位A)
本開示に係る高分子化合物に含有される構成単位Aは、基Aのみからなることが好ましい。
【0114】
構成単位Aに含まれる基Aが有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられ、例えば、架橋基であってもよく、上記の式(1−2)で表される基であってもよく、上記の−(Qn2−RAr1で表される基であってもよい。
【0115】
本開示の好ましい実施態様では、上記の式(1)で表される基を含む構成単位、上記の式(2)で表される基を含む構成単位、及び、上記の式(1)で表される基とは異なる上記の式(3)で表される基を含む構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を有しており、かつ、
高分子化合物中の主鎖を構成する全構成単位の合計の含有量に対して、
上記の式(1)で表される基を含む構成単位が90モル%以上であるか、
上記の式(2)で表される基を含む構成単位が90モル%以上であるか、
上記の式(1)で表される基を含む構成単位と上記の式(2)で表される基を含む構成単位との合計が90モル%以上であるか、
上記の式(1)で表される基を含む構成単位と上記の式(3)で表される基を含む構成単位との合計が90モル%以上であり、かつ、上記の式(1)で表される基を含む構成単位が15モル%以上であるか、
上記の式(2)で表される基を含む構成単位と上記の式(3)で表される基を含む構成単位との合計が90モル%以上であり、かつ、上記の式(2)で表される基を含む構成単位が15モル%以上であるか、又は
上記の式(1)で表される基を含む構成単位と上記の式(2)で表される基を含む構成単位と上記の式(3)で表される基を含む構成単位との合計が90モル%以上であり、かつ、上記の式(1)で表される基を含む構成単位と上記の式(2)で表される基を含む構成単位との合計が15モル%以上である。
【0116】
本開示に係る好ましい態様では、高分子化合物に含有される構成単位Aが、式(1)で表される基を含む構成単位、式(2)で表される基を含む構成単位、又は式(3)で表される基を含む構成単位である。
【0117】
上記の式(1)において、Arで表される単環又は縮合環のアリーレン基からn1個の水素原子を除いた基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基及びクリセンジイル基よりn1個の水素原子を除いた基が挙げられ、本開示の組成物を用いて製造される発光素子の発光効率が優れるので、フェニレン基、ジヒドロフェナントレンジイル基及びフルオレンジイル基よりn1個の水素原子を除いた基で表される基が、より好ましい。
【0118】
上記の式(1)において、n1で表される1以上の整数としては、高分子化合物の合成が容易であるので、1から4の整数であることが好ましく、1から3の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
【0119】
上記の式(1)において、Qで表される基としては、本開示に係る高分子化合物の導電性の観点からは、アリーレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましく、1,3−フェニレン基であることがさらに好ましく、また、高分子化合物の溶解性の観点からは、アルキレン基であることが好ましい。
【0120】
上記の式(1)において、n2は、0以上の整数を表す。n2としては、高分子化合物の溶媒への溶解性が良好になるので、0〜24の整数であることが好ましく、0〜12の整数であることがより好ましく、0〜6の整数であることがさらに好ましく、1〜6の整数であることがことさらに好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
【0121】
上記の式(1−2)におけるX〜Xとしては、本開示に係る高分子化合物の合成が容易であるので、=C(R1A)−で表される基であることが好ましい。
【0122】
上記の式(1−2)におけるYは、本開示に係る高分子化合物の導電性が良好になるので、酸素原子、硫黄原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。
【0123】
上記の式(1)で表される基としては、下記の式(1−3)〜式(1〜11)が挙げられる。
【0124】
【化32】
【0125】
【化33】
【0126】
【化34】
【0127】
式(1−3)から式(1−11)で表される基の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は、例えば、以下のとおりである:式(1−3)174度、式(1−4)176度、式(1−5)159度、式(1−6)180度、式(1−7)180度、式(1−8)180度、式(1−9)158度、式(1−10)158度、式(1−11)179度。
【0128】
上記の式(2)におけるX〜X14としては、本開示に係る高分子化合物の合成が容易であるので、=C(R1A)−で表される基であることが好ましい。
【0129】
上記の式(2)におけるYは、本開示に係る高分子化合物の導電性が良好であるので、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。
【0130】
上記の式(2)で表される基としては、例えば、下記の式(2−1)及び式(2−2)で表される基が挙げられる。
【0131】
【化35】
【0132】
式(2−1)及び式(2−2)で表される基の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は以下のとおりである:式(2−1)157度、式(2−2)161度。
【0133】
上記の式(3)におけるArが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
【0134】
上記の式(3)において、Arで表される、置換基を有していてもよい単環又は縮合環のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基及びクリセンジイル基が挙げられ、本開示の組成物を用いて製造される発光素子の発光効率が優れるので、フェニレン基、ジヒドロフェナントレンジイル基及びフルオレンジイル基がより好ましい。
【0135】
上記の式(3)におけるArで表される置換基を有していてもよい単環又は縮合環のアリーレン基において、本開示の組成物を用いて製造される発光素子の発光効率が優れるので、主鎖を構成する結合手を有する炭素原子に隣接する少なくとも1つの炭素原子上に、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を有することが好ましい。
【0136】
式(3)で表される基としては、式(3−X−1)又は式(3−X−2)で表される基が好ましい。
【化36】
[式(3−X−1)中、
X1は、1以上4以下の整数を表す;
X11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;RX11が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、隣接するRX11同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【化37】
[式(3−X−2)中、
X2は、1以上6以下の整数を表す;
X11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;RX11が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、隣接するRX11同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい;RX11の一つ以上は、主鎖を構成する結合手を有する炭素原子に隣接する炭素原子上に位置する;XX1は、−C(RX2−、−C(RX2)=C(RX2)−、−C(RX2−C(RX2−、−S−又は−O−で表される基を表す;RX2は、水素原子を表すか、又はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基若しくは1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;複数存在するRX2は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0137】
上記の式(3)で表される基としては、下記の式(3−1)〜式(3−14)で表される構成単位が挙げられる。
【0138】
【化38】
【0139】
【化39】
【0140】
【化40】
【0141】
【化41】
【0142】
【化42】
【0143】
式(3−1)から式(3−14)の主鎖を構成する2つの結合手がなす角は、例えば、以下のとおりである:式(3−1)159度、式(3−2)158度、式(3−3)158度、式(3−4)158度、式(3−5)159度、式(3−6)157度、式(3−7)158度、式(3−8)180度、式(3−9)180度、式(3−10)179度、式(3−11)180度、式(3−12)180度、式(3−13)180度、式(3−14)179度。
【0144】
本開示に係る高分子化合物としては、例えば、下記の表1の高分子化合物(DP−1)〜(DP−6)が挙げられる。ここで、表1における「その他」の構成単位とは、上記の式(1)で表される基、上記の式(2)で表される基、及び上記の式(3)で表される基以外の、下記の式(X)で表される基からなる構成単位を意味する。
【0145】
【化43】
【0146】
式(X)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいメチレン基、−N(R)−で表される基(式中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)、又は、置換基を有していてもよい単環若しくは縮合環のアリーレン基を表し、式(X)は、式(1)、式(2)、及び式(3)のいずれにも該当しない。
【0147】
上記の式(X)におけるXが有していてもよい置換基としては、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
【0148】
【表1】

[表1中、dp、dq、dr及びdsは、それぞれ、式(1)〜(4)で表される基を含む構成単位のモル比率を示す;dp+dq+dr+ds=100であり、100≧dp+dq≧15であり、かつ、100≧dp+dq+dr≧90である;発光素子の発光効率が優れるので、dp+dq+dr=100であることが好ましい。]
【0149】
高分子化合物の導電性の観点からは、上記の表1の(DP−1)、(DP−3)、(DP−4)、及び(DP−6)の高分子化合物が好ましく、又は、発光素子の発光効率の観点からは、上記の表1の(DP−4)、(DP−5)、及び(DP−6)の高分子化合物が好ましい。
【0150】
高分子化合物の主鎖を構成する全構成単位に対して、好ましくは、式(1)で表される基を含む構成単位、式(2)で表される基を含む構成単位、及び式(3)で表される基を含む構成単位の合計が、100モル%である。
【0151】
高分子化合物の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の組成物中に燐光発光性化合物が含有される場合において、本開示の組成物を用いて得られる発光素子の外部量子効率が優れるので、燐光発光性化合物の有するTと同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0152】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
〈低分子化合物〉
本開示に係る低分子化合物は、好ましくは電荷輸送性低分子化合物である。
【0153】
「電荷輸送性低分子化合物」は、電荷輸送性を有する低分子化合物であり、具体的には、電荷を注入した場合に電荷の濃度及び/又は電場の勾配による拡散及び/又は移動によって電荷を輸送させる能力のある低分子化合物を表す。
【0154】
上記の式(H−1)におけるArH1及びArH2は、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、アザインドリル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基又はフェノチアジニル基であることが好ましく、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基であることがより好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基であることが更に好ましく、上記の式(TDA−1)又は式(TDA−3)で表される基であることが特に好ましく、上記の式(TDA−3)で表される基であることがとりわけ好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0155】
上記の式(H−1)において、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、シクロアルコキシ基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基がより好ましく、アルキル基又はシクロアルコキシ基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0156】
上記の式(H−1)におけるnH1は、好ましくは1である。nH2は、好ましくは0である。nH3は、通常、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、更に好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは1である。
【0157】
上記の式(H−1)におけるLH1について上述したnH11は、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましく1〜3の整数であり、更に好ましく1である。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0158】
上記の式(H−1)におけるLH1は、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましい。
【0159】
上記の式(H−1)におけるLH1は、上記の式(A−1)〜式(A−3)、上記の式(A−8)〜式(A−10)、上記の式(AA−1)〜式(AA−6)、上記の式(AA−10)〜式(AA−21)又は上記の式(AA−24)〜式(AA−34)で表される基であることが好ましく、上記の式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−1)〜式(AA−4)、式(AA−10)〜式(AA−15)又は式(AA−29)〜式(AA−34)で表される基であることがより好ましく、上記の式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)〜式(AA−15)で表される基であることが更に好ましく、上記の式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−12)又は式(AA−14)で表される基であることが特に好ましく、上記の式(A−1)、式(A−2)、式(AA−2)、式(AA−4)又は式(AA−14)で表される基であることがとりわけ好ましい。
【0160】
上記の式(H−1)におけるLH1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基がより好ましく、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0161】
上記の式(H−1)のLH2について上述したLH21は、単結合又はアリーレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましく、このアリーレン基は置換基を有していてもよい。LH21で表されるアリーレン基又は2価の複素環基の定義及び例は、LH1で表されるアリーレン基又は2価の複素環基の定義及び例と同様である。
【0162】
上記の式(H−1)のLH2について上述したRH21は、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。RH21で表されるアリール基及び1価の複素環基の定義及び例は、ArH1及びArH2で表されるアリール基及び1価の複素環基の定義及び例と同様である。RH21が有していてもよい置換基の定義及び例は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の定義及び例と同様である。
【0163】
上記の式(H−1)で表される化合物は、下記の式(H−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0164】
【化44】
【0165】
式(H−2)中、ArH1、ArH2、nH3及びLH1については、上記の式(H−1)に関する記載を参照することができる。
【0166】
上記の式(H−1)で表される化合物としては、例えば、下記の式(H−101)〜式(H−118)で表される化合物が例示される。
【0167】
【化45】
【0168】
【化46】
【0169】
【化47】
【0170】
【化48】
【0171】
本開示に係る低分子化合物は、本開示の組成物の導電性が優れるので、高分子化合物中に含まれる複素環構造と同一の複素環を有することが好ましい。
【0172】
(低分子ホスト化合物)
好ましくは、本開示に係る低分子化合物が、低分子ホスト化合物である。低分子ホスト化合物は、ゲスト化合物とともに用いられる。特には、低分子ホスト化合物は、蛍光又は燐光を発するゲスト化合物とともに用いられる。本開示において、蛍光を発するゲスト化合物及び燐光を発するゲスト化合物は、それぞれ、蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物としても言及される。
【0173】
低分子ホスト化合物の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の組成物中に燐光発光性化合物が含有される場合において、本開示の組成物を用いて得られる発光素子の外部量子効率が優れるので、燐光発光性化合物の有するTと同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0174】
〈溶媒〉
本開示の組成物に含まれる溶媒は、好ましくは、組成物中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;THF、ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−デカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよく、本発明の組成物の塗布膜を乾燥させる際の組成物の流動を抑制することができるので、二種以上を併用することが好ましい。
【0175】
本開示の組成物に含まれる溶媒の沸点は、組成物の乾燥を抑制することができるので、100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
【0176】
本開示の組成物の粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりが起こりづらいので、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
【0177】
本開示の組成物において、溶媒の配合量は、組成物中の固形分100重量部に対して、通常、1,000〜100,000重量部であり、好ましくは2,000〜20,000重量部である。
【0178】
〈燐光発光性化合物〉
本開示の組成物は、1種以上の燐光発光性化合物をさらに含んでいてもよい。本開示の組成物を用いて製造された発光素子の演色性が良好であるので、2種以上の燐光発光性化合物を含むことが好ましい。
【0179】
燐光発光性化合物としては、例えば、下記の式(4)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0180】
【化49】
【0181】
上記の式(4)におけるMは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
【0182】
上記の式(4)におけるnは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、n+nは2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
【0183】
上記の式(4)におけるE及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E及びEの少なくとも一方は炭素原子である。E及びEが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0184】
上記の式(4)における環Rは、5員又は6員の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
【0185】
上記の式(4)における環Rは、5員若しくは6員の芳香族炭素環、又は、5員若しくは6員の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
【0186】
上記の式(4)において、環Rが有していてもよい置換基と、環Rが有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
【0187】
上記の式(4)におけるA−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAと共に2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0188】
上記の式(4)で表される燐光発光性化合物は、中心金属であるMと、添え字nでその数を規定されている配位子と、添え字nでその数を規定されている配位子とから構成されている。
【0189】
上記の式(4)におけるMがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0190】
上記の式(4)におけるMがパラジウム原子又は白金原子の場合、nは1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0191】
上記の式(4)において、E及びEは、炭素原子であることが好ましい。
【0192】
上記の式(4)において、環Rは、1つ以上3つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員の芳香族複素環又は1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員の芳香族複素環であることが好ましく、2つ以上3つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員の芳香族複素環又は1つ以上3つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員の芳香族複素環であることがより好ましく、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環又はピリミジン環であることがさらに好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0193】
上記の式(4)において、環Rは、6員の芳香族炭素環、又は、5員若しくは6員の芳香族複素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、ピロール環、フラン環又はチオフェン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であることがさらに好ましく、ベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0194】
上記の式(4)において環R及び環Rが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はデンドロンがさらに好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0195】
上記の式(4)において、A−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記の式で表される配位子が挙げられる。但し、A−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子は、添え字nでその数を定義されている配位子とは異なる。
【0196】
【化50】
【0197】
【化51】
[式中、
*は、Mと結合する部位を表す;
L1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい;複数存在するRL1は、同一でも異なっていてもよい;
L2は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0198】
上記の式(4)で表される燐光発光性化合物としては、下記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物又は下記の式(4−B)で表される燐光発光性化合物を好適に用いることができる。
【0199】
【化52】
【0200】
上記の式(4−A)におけるM、n、n、E及びA−G−Aは、それぞれ上記の式(4)におけるM、n、n、E及びA−G−Aと同じ意味を表す。
【0201】
上記の式(4−A)におけるE11A、E12A、E13A、E21A、E22A、E23A及びE24Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E11A、E12A、E13A、E21A、E22A、E23A及びE24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E11A、E12A及びE13Aが窒素原子の場合、R11A、R12A及びR13Aは、存在しても存在しなくてもよい。E21A、E22A、E23A及びE24Aが窒素原子の場合、R21A、R22A、R23A及びR24Aは、存在しない。
【0202】
上記の式(4−A)におけるR11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A及びR24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A及びR24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11AとR12A、R12AとR13A、R11AとR21A、R21AとR22A、R22AとR23A、及び、R23AとR24Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
【0203】
上記の式(4−A)における環R1Aは、窒素原子、E、E11A、E12A及びE13Aで構成されるトリアゾール環又はイミダゾール環を表す。
【0204】
上記の式(4−A)における環R2Aは、2つの炭素原子、E21A、E22A、E23A及びE24Aで構成されるベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環を表す。
【0205】
【化53】
【0206】
上記の式(4−B)におけるM、n、n及びA−G−Aは、それぞれ、上記の式(4)におけるM、n、n及びA−G−Aと同じ意味を表す。
【0207】
上記の式(4−B)におけるE11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23B及びE24Bは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23B及びE24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23B及びE24Bが窒素原子の場合、R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bは、存在しない。
【0208】
上記の式(4−B)におけるR11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11BとR12B、R12BとR13B、R13BとR14B、R11BとR21B、R21BとR22B、R22BとR23B、及び、R23BとR24Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
【0209】
上記の式(4−B)における環R1Bは、窒素原子、炭素原子、E11B、E12B、E13B及びE14Bで構成されるピリジン環又はピリミジン環を表す。
【0210】
上記の式(4−B)における環R2Bは、2つの炭素原子、E21B、E22B、E23B及びE24Bで構成されるベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環を表す。
【0211】
以下、上記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物及び上記の式(4−B)で表される燐光発光性化合物について詳述する。
【0212】
上記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物は、中心金属であるMと、添え字nでその数を規定されている配位子と、添え字nでその数を規定されている配位子とから構成されている。
【0213】
上記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物におけるM、n、n、E及びA−G−Aの例示及び好ましい態様としては、上記の式(4)で表される燐光発光性化合物におけるM、n、n、E及びA−G−Aの例示及び好ましい態様と同じものが挙げられる。
【0214】
上記の式(4−A)における環R1Aがイミダゾール環である場合、E11Aが窒素原子であるイミダゾール環、又は、E12Aが窒素原子であるイミダゾール環が好ましく、E11Aが窒素原子であるイミダゾール環がより好ましい。
【0215】
上記の式(4−A)における環R1Aがトリアゾール環である場合、E11A及びE12Aが窒素原子であるトリアゾール環、又は、E11A及びE13Aが窒素原子であるトリアゾール環が好ましく、E11A及びE12Aが窒素原子であるトリアゾール環がより好ましい。
【0216】
上記の式(4−A)におけるE11Aが窒素原子であり、かつ、R11Aが存在する場合、R11Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基で表される基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0217】
上記の式(4−A)におけるE11Aが炭素原子である場合、R11Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0218】
上記の式(4−A)におけるE12Aが窒素原子であり、かつ、R12Aが存在する場合、R12Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0219】
上記の式(4−A)におけるE12Aが炭素原子である場合、R12Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0220】
上記の式(4−A)におけるE13Aが窒素原子であり、かつ、R13Aが存在する場合、R13Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0221】
上記の式(4−A)におけるE13Aが炭素原子である場合、R13Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0222】
上記の式(4−A)における環R2Aがピリジン環である場合、E21Aが窒素原子であるピリジン環、E22Aが窒素原子であるピリジン環、又は、E23Aが窒素原子であるピリジン環が好ましく、E22Aが窒素原子であるピリジン環がより好ましい。
【0223】
上記の式(4−A)における環R2Aがピリミジン環である場合、E21A及びE23Aが窒素原子であるピリミジン環、又は、E22A及びE24Aが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E22A及びE24Aが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
【0224】
上記の式(4−A)における環R2Aは、ベンゼン環であることが好ましい。
【0225】
上記の式(4−A)におけるR21A、R22A、R23A及びR24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが更に好ましい。
【0226】
上記の式(4−A)におけるR11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A及びR24Aがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基である場合、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。
【0227】
上記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物は、下記の式(4−A1)で表される燐光発光性化合物、下記の式(4−A2)で表される燐光発光性化合物、下記の式(4−A3)で表される燐光発光性化合物又は下記の式(4−A4)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0228】
【化54】
[式(4−A1)〜式(4−A4)中、
M、n、n、R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A、R24A及びA−G−Aは、上記の式(4−A)におけるM、n、n、R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A、R24A及びA−G−Aと同じ意味を表す。]
【0229】
上記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、下記の式で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0230】
【化55】
【0231】
【化56】
【0232】
【化57】
【0233】
上記の式(4−B)で表される燐光発光性化合物は、中心金属であるMと、添え字nでその数を規定されている配位子と、添え字nでその数を規定されている配位子とから構成されている。
【0234】
上記の式(4−B)で表される燐光発光性化合物におけるM、n、n及びA−G−Aの例示及び好ましい態様としては、上記の式(4−A)で表される燐光発光性化合物におけるM、n、n及びA−G−Aの例示及び好ましい態様と同じのものが挙げられる。
【0235】
上記の式(4−B)におけるR11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bからなる群から選ばれる少なくとも1つは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基で表される基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0236】
上記の式(4−B)における環R1Bがピリミジン環である場合、E11Bが窒素原子であるピリミジン環、又は、E13Bが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E11Bが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
【0237】
上記の式(4−B)におけるR11B、R12B、R13B及びR14Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが更に好ましい。
【0238】
上記の式(4−B)におけるR11B、R12B、R13B及びR14Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基である場合、R11B又はR13Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることがより好ましく、R11Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることがより好ましい。これらの基は、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。
【0239】
上記の式(4−B)における環R2Bがピリジン環である場合、E21Bが窒素原子であるピリジン環、E22Bが窒素原子であるピリジン環、又は、E23Bが窒素原子であるピリジン環が好ましく、E22Bが窒素原子であるピリジン環がより好ましい。
【0240】
上記の式(4−B)における環R2Bがピリミジン環である場合、E21B及びE23Bが窒素原子であるピリミジン環、又は、E22B及びE24Bが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E22B及びE24Bが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
【0241】
上記の式(4−B)における環R2Bは、ベンゼン環であることが好ましい。
【0242】
上記の式(4−B)におけるR21B、R22B、R23B及びR24Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが更に好ましい。
【0243】
上記の式(4−B)におけるR21B、R22B、R23B、及びR24Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基である場合、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。
【0244】
上記の式(4−B)で表される燐光発光性化合物は、下記の式(4−B1)で表される燐光発光性化合物、下記の式(4−B2)で表される燐光発光性化合物又は下記の式(4−B3)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0245】
【化58】
【0246】
上記の式(4−B1)〜式(4−B3)におけるM、n、n、R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B、R24B及びA−G−Aは、それぞれ、上記の式(4−B)におけるM、n、n、R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B、R24B及びA−G−Aと同じ意味を表す。
【0247】
上記の式(4−B1)〜式(4−B3)におけるn及びnは、それぞれ独立に、1〜2の整数を表し、n+nは2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
【0248】
上記の式(4−B1)〜式(4−B3)におけるR15B、R16B、R17B及びR18Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R15B、R16B、R17B及びR18Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R13BとR15B、R15BとR16B、R16BとR17B、R17BとR18B、R18BとR21Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
【0249】
上記の式(4−B)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、下記の式で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0250】
【化59】
【0251】
【化60】
【0252】
【化61】
【0253】
燐光発光性化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、又はAmerican Dye Source等から入手可能である。その他には、例えば、特表2004−530254号公報、特開2008−179617号公報、特開2011−105701号公報、特表2007−504272号公報、特開2013−147449号公報、又は特開2013−147450号公報に記載されている方法に従って合成することができる。
【0254】
〈その他の成分〉
本開示の組成物は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有していてもよい。
【0255】
(正孔輸送材料)
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
【0256】
正孔輸送材料を構成する高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。正孔輸送材料を構成する高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
【0257】
本開示の組成物において、燐光発光性化合物が含有される場合において、正孔輸送材料の配合量は、燐光発光性化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0258】
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0259】
(電子輸送材料)
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0260】
電子輸送材料を構成する低分子化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0261】
電子輸送材料を構成する高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。当該高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0262】
本開示の組成物において、燐光発光性化合物が含有される場合において、電子輸送材料の配合量は、燐光発光性化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0263】
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0264】
(正孔注入材料及び電子注入材料)
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0265】
正孔注入材料又は電子注入材料を構成する低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0266】
正孔注入材料又は電子注入材料を構成する高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0267】
本開示の組成物において、燐光発光性化合物が含有される場合において、正孔注入材料及び電子注入材料の配合量は、各々、燐光発光性化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0268】
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0269】
(イオンドープ)
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、当該導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10−5S/cm〜1×10S/cmである。当該導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、当該導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0270】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0271】
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0272】
(発光材料)
発光材料(本開示の組成物に含有され得る燐光発光性化合物とは異なる。)は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
【0273】
発光材料を構成する低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
【0274】
発光材料を構成する高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイルジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、又はピレンジイル基等を構成単位として含む高分子化合物が挙げられる。
【0275】
発光材料は、好ましくは、三重項発光錯体及び高分子化合物を含む。
【0276】
本開示の組成物において、燐光発光性化合物が含有される場合において、発光材料の含有量は、燐光発光性化合物100重量部に対して、通常、0.1〜400重量部である。
【0277】
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、本開示の金属錯体と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
【0278】
本開示の組成物において、燐光発光性化合物が含有される場合において、酸化防止剤の配合量は、本開示の燐光発光性化合物100重量部に対して、通常、0.001〜10重量部である。
【0279】
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0280】
≪膜≫
本開示に係る膜は、本開示の発光素子用組成物を用いて形成される。
【0281】
本開示に係る膜は、発光素子における発光層として好適である。本開示に係る膜によれば、駆動電圧に優れる発光素子を提供することができる。
【0282】
本開示に係る膜は、本開示に係る組成物を含有するインクを用いて、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法により作製することができる。
【0283】
本開示に係る膜の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0284】
≪発光素子≫
本開示の発光素子は、本開示の有機電界発光組成物を用いて形成された有機層を有する発光素子である。
【0285】
本開示の発光素子の構成としては、例えば、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本開示の組成物を用いて得られる層とを有する。
【0286】
〈層構成〉
本開示の組成物を用いて得られる層(特に有機層)は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、及び電子注入層からなる群から選択される1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、対応する発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、又は電子注入材料を含む。これらの層は、各々、対応する発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、又は電子注入材料を、上述した溶媒に溶解させ、インクを調製して用い、かつ上述した膜の作製と同じ方法によって、形成することができる。
【0287】
発光素子は、陽極と陰極との間に発光層を有する。本開示の発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0288】
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層及び電子注入層の材料としては、本開示の組成物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料及び電子注入材料等が挙げられる。
【0289】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料及び発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0290】
本開示の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0291】
積層する層の順番、数及び厚さは、外部量子効率及び輝度寿命を勘案して調整する。
【0292】
〈基板/電極〉
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0293】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0294】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0295】
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0296】
(用途)
本開示の発光素子は、例えば、ディスプレイ、照明等に有用である。
【実施例】
【0297】
以下、実施例によって本開示を更に詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0298】
≪測定方法≫
〈Mn,Mw〉
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである:
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、0.6mL/分の流量で流した。カラムとして、TSKguardcolumn SuperAW−Hと、TSKgel Super AWM−Hと、TSKgel SuperAW3000(いずれも東ソー製)の各1本を直列につないで用いた。検出器にはUV−VIS検出器(東ソー製、商品名:UV−8320GPC)を用いた。
【0299】
〈LC−MS〉
LC−MSは、下記の方法で測定した:
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させ、LC−MS(Agilent製、商品名:1290 Infinity LC及び6230 TOF LC/MS)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、アセトニトリル及びテトラヒドロフランの比率を変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、SUMIPAX ODS Z−CLUE(住化分析センター製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径3μm)を用いた。
【0300】
〈TLC−MS〉
TLC−MSは、下記の方法で測定した:
測定試料をトルエン、テトラヒドロフラン又はクロロホルムのいずれかの溶媒に任意の濃度で溶解させ、DART用TLCプレート(テクノアプリケーションズ社製、商品名:YSK5−100)上に塗布し、TLC−MS(日本電子製、商品名:JMS−T100TD(The AccuTOF TLC))を用いて測定した。測定時のヘリウムガス温度は、200〜400℃の範囲で調節した。
【0301】
〈NMR〉
NMRは、下記の方法で測定した:
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl)、重テトラヒドロフラン、重ジメチルスルホキシド、重アセトン、重N,N−ジメチルホルムアミド、重トルエン、重メタノール、重エタノール、重2−プロパノール又は重塩化メチレンに溶解させ、NMR装置(Agilent製、商品名:INOVA300、又は、JEOL RESONANCE製、商品名:JNM−ECZ400S/L1)を用いて測定した。
【0302】
〈HPLC〉
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC−20A)でのUV=254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン又はクロロホルムに溶解させ、濃度に応じてHPLCに1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル/テトラヒドロフランの比率を100/0〜0/100(容積比)まで変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、SUMIPAX ODS Z−CLUE(住化分析センター製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径3μm)又は同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
【0303】
〈水に対する接触角〉
水に対する接触角は、下記の方法で測定した:
UVオゾン洗浄を行ったガラス基板上に、測定する化合物がトルエンに溶解した溶液をスピンコート法により塗布し、130℃10分間ベークすることで、厚さ75nmの化合物膜を形成させる。次いで、1.2mm径のニードルを取り付けたシリンジから水滴6μLを滴下して化合物膜上に水滴を形成させる。接触角の測定は、全自動接触角測定装置(英弘精機製、商品名:OCA20)を用いて行った。
【0304】
〈粘度〉
粘度は、下記の方法で測定した:
測定する化合物が溶解した溶液の粘度をコーンプレート式粘度計(Brook Field社製、商品名:DV−II Pro)を用いて測定した。
【0305】
≪化合物の合成≫
化合物S1〜S8、単量体CM4〜CM7、燐光発光性化合物1、及び高分子化合物C1〜C2を、下記のようにして合成した。
〈化合物S1の合成〉
【化62】
【0306】
(化合物1a)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、ジベンゾチオフェン−4−ボロン酸(36.6g)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(45.6g)、Aliquat(登録商標) 336(3.17g)、炭酸ナトリウム(42.5g)、トルエン(370mL)、イオン交換水(370mL)を加え攪拌し、そこにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(9.27g)を加え、オイルバスにて、85℃で7時間加熱攪拌した。室温(25℃であり、本明細書において同様である。)まで冷却後、トルエン(549mL)を加え攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過した。得られた溶液をイオン交換水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、活性炭(7.2g)を加え10分攪拌し、シリカゲル(37g)、セライトを順に敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(500mL)で洗浄した。得られたろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をアセトニトリルで複数回、再結晶した。得られた黄白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)で精製した。得られた白色固体を50℃で減圧乾燥させることで、化合物1a(42.2g、白色固体)を得た。化合物1aのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=8.24−8.16(m,2H),7.89−7.81(m,2H),7.71−7.66(m,1H),7.60−7.35(m,6H).
【0307】
(化合物1b)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物1a(34.1g)、ジメトキシエタン(340mL)、ビスピナコラートジボロン(27.9g)、酢酸カリウム(44.6g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(4.1g)を加え攪拌し、オイルバスにて、85℃で3時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、トルエン(340mL)、シリカゲル(34g)を加え攪拌し、シリカゲル(34g)、セライトを順に敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(200mL)で洗浄した。得られた濾液をイオン交換水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、セライトを敷いた濾過器で濾過した。得られた濾液を減圧濃縮し、得られたタール状化合物をヘキサン(2.8L)に溶解させ、活性炭(11.5g)を加え1時間攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を、ヘプタン(235mL)で再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物1b(32.7g、白色固体)を得た。化合物1bのHPLC面積百分率は99.3%であった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.21−8.12(m,3H),7.91−7.80(m,3H),7.60−7.42(m,5H),1.37(s,12H).
【0308】
(化合物1c)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物1b(29.5g)、1,4−ジブロモ−2−ヨードベンゼン(38.4g)、トルエン(590mL)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(225mL)を加え攪拌し、そこにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(8.8g)を加え、オイルバスにて、70℃で9時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、トルエン(295mL)、イオン交換水(148mL)を加え攪拌し、分液した。得られた有機相をイオン交換水(148mL)で3回洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、活性炭(4.4g)を加え30分攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過し、得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をトルエン(150mL)とヘキサン(300mL)の混合溶媒に溶解させ、シリカゲル(300g)、セライトを順に敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(400mL)とヘキサン(800mL)の混合溶媒で洗浄した。得られた濾液を濃縮し、トルエンとヘプタンの混合溶媒で複数回、再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物1c(21.6g、白色固体)を得た。化合物1cのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.21−8.17(m,2H),7.87−7.75(m,3H),7.62−7.45(m,8H),7.36(dd,1H).
【0309】
(化合物S1)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物1c(13.6g)、シクロペンチルメチルエーテル(136mL)、ビスピナコラートジボロン(30.0g)、酢酸カリウム(13.2g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(1.1g)を加え攪拌し、オイルバスにて、100℃で16時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、トルエン(136mL)を加え攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過し、得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をトルエン(486mL)に溶解させ、活性炭(16.2g)を加え1時間攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過した。得られた濾液を減圧濃縮し、得られた黄褐色固体にアセトニトリル(324mL)を加え、懸濁洗浄した後、濾過した。得られた白色固体を、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒で複数回、再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物S1(9.7g、白色固体)を得た。化合物S1のHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.22−8.14(m,2H),7.86−7.81(m,2H),7.77−7.69(m,4H),7.58−7.51(m,3H),7.49−7.43(m,3H),1.32(s,12H),1.09(s,12H).
【0310】
〈化合物S2の合成〉
【化63】
【0311】
(化合物2a)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、ジベンゾチオフェン−4−ボロン酸(36.6g)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(45.6g)、Aliquat(登録商標) 336(3.17g)、炭酸ナトリウム(42.5g)、トルエン(370mL)、イオン交換水(370mL)を加え攪拌し、そこにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(9.27g)を加え、オイルバスにて、85℃で7時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、トルエン(549mL)を加え攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過した。得られた溶液をイオン交換水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、活性炭(7.2g)を加え10分攪拌し、シリカゲル(37g)、セライトを順に敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(500mL)で洗浄した。得られたろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をアセトニトリルで複数回、再結晶した。得られた黄白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)で精製した。得られた白色固体を50℃で減圧乾燥させることで、化合物2a(42.2g、白色固体)を得た。化合物2aのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=8.24−8.16(m,2H),7.89−7.81(m,2H),7.71−7.66(m,1H),7.60−7.35(m,6H).
【0312】
(化合物2b)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物2a(25.6g)、脱水テトラヒドロフラン(690mL)を加え、攪拌した。その後、反応容器を、ドライアイスを入れたアセトンバスを用いて冷却し、1.55Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(51mL)を20分かけてゆっくりと滴下した。滴下後、ドライアイスを入れたアセトンバスで冷却したまま1時間攪拌した。その後、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(23.0g)を加え、ドライアイスを入れたアセトンバスで冷却したまま2時間攪拌した。次に、氷浴で0℃まで昇温させ、イオン交換水(23mL)を加え室温で攪拌した。そこに、イオン交換水(460mL)、トルエン(460mL)、へプタン(230mL)を加え分液し、得られた有機相をイオン交換水(460mL)で洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、シリカゲル69gを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(690mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)で分取精製した。得られたオイル状化合物を減圧濃縮し、50℃で減圧乾燥させることで化合物2b(42.9g、黄色オイル)を得た。化合物2bのHPLC面積百分率は99.4%であった。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)=8.08−8.11(m,2H),7.88(m,1H),7.71(s,1H),7.63−7.43(m,13H),2.57(s,1H)
【0313】
(化合物2c)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物2b(40.7g)、クロロベンゼン(1627mL)、トリエチルシラン(23.7g)を加え攪拌した。その後、氷浴で冷却し、ボロントリフルオリド − ジエチルエーテル コンプレックス(28.9g)を15分かけて滴下し、30分氷浴で攪拌した後、室温に昇温させた。そこに、イオン交換水(407mL)を加え室温で攪拌した。そこに、クロロホルム(2L)を加えて完溶させ、分液し、得られた有機相をイオン交換水(800mL)で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1000mL)で1回、イオン交換水(800mL)で1回洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、活性炭(8g)を加え10分攪拌し、シリカゲル203g、セライトを順に敷いた濾過器で濾過し、濾上物をクロロホルム(1200mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を、アセトニトリル及び、アセトニトリルとクロロベンゼンの混合溶媒で複数回、再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物2c(35.6g、白色固体)を得た。化合物2cのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)=8.19−8.11(m,2H),7.92−7.86(m,1H),7.63−7.43(m,13H),7.20(d,1H),5.14(s,1H).
【0314】
(化合物2d)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、60重量%水素化ナトリウム(2.4g)、テトラヒドロフラン(190mL)、ジメチルホルムアミド(64mL)、オクチルブロマイド(32.0g)を加え攪拌した。そこに、化合物2c(32.2g)とテトラヒドロフラン(190mL)の懸濁液を10分かけながら滴下し、室温で一晩攪拌した。その後、イオン交換水(32mL)を加えた。イオン交換水(970mL)を加えた反応容器に、反応液を注ぎ、析出した固体を濾過し、メタノールで洗浄した。得られた固体をトルエン(1300mL)に溶解させ、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、活性炭(6g)を加え1時間攪拌し、シリカゲル160gを敷いた濾過器で濾過した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒で複数回、再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物2d(30.5g、白色固体)を得た。化合物2dのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.17−8.13(m,2H),7.93−7.88(m,1H),7.57−7.39(m,13H),7.26(d,1H),2.47(t,2H),1.21−1.14(m,9H),0.85−0.75(m,6H).
【0315】
(化合物2e)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物2d(30.5g)、ジメトキシエタン(305mL)、ビスピナコラートジボロン(27.9g)、酢酸カリウム(25.8g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(1.4g)を加え攪拌し、オイルバスにて、93℃で2時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、セライトを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(450mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮し、得られたオイル状化合物に2−プロパノール(80g)を加え、懸濁攪拌した後、濾過した。得られた固体をトルエン(600mL)に溶解させ、活性炭(40g)を加え1時間攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒で複数回、再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物2e(24.8g、白色固体)を得た。化合物2eのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.17−8.09(m,2H),7.87−7.76(m,5H),7.70(s,2H),7.63(s,1H),7.53−7.42(m,4H),7.32(t,1H),7.15(d,2H),2.59(t,2H),1.33(s,24H),1.25−1.10(m,9H),0.83−0.74(m,6H).
【0316】
(化合物S2)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物2e(22.4g)、5−ブロモ−2−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(15.9g)、トルエン(671mL)を加え攪拌し、そこにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.6g)を加え、オイルバスにて、70℃で加熱攪拌した。そこに、10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(368mL)を加え、オイルバスにて、70℃で12時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、トルエン(110mL)、イオン交換水(67mL)を加え攪拌し、分液した。得られた有機相をイオン交換水(67mL)で2回洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)で分取精製した。得られたオイル状化合物をトルエン(150mL)とヘキサン(150mL)の混合溶媒に溶解させ、活性炭(15g)を加え1時間攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(100mL)とヘキサン(100mL)の混合溶媒で洗浄した。得られた濾液を濃縮し、アセトニトリル(225mL)で再結晶した。得られた白色固体をトルエン(110mL)とヘキサン(110mL)の混合溶媒に溶解させ、活性炭(23g)を加え1時間攪拌し、セライトを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(250mL)とヘキサン(250mL)の混合溶媒で洗浄した。得られた濾液を濃縮し、アセトニトリル(165mL)で再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物S2(9.6g、白色固体)を得た。化合物S2のHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.17−8.09(m,2H),7.83(d,2H),7.73(s,1H),7.57−7.43(m,5H),7.36−7.22(m,9H),7.12(d,2H),2.50(t,2H),2.07(s,6H),1.90(s,6H),1.25−1.10(m,9H),0.83−0.79(m,6H).
【0317】
〈化合物S3の合成〉
【化64】
【0318】
(化合物S3)
化合物3aは、国際公開第2015−145871号に記載の方法に従って合成した。反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、カルバゾール(9.0g)、ジメチルホルムアミド(135mL)を加え攪拌したところに、水酸化カリウム(4.8g)を加え、室温で1時間攪拌した。そこにテトラヒドロフラン(68mL)とジメチルホルムアミド(68mL)の混合溶媒に溶解させた化合物3a(16.8g)をゆっくりと加え、室温で2時間攪拌した。そこにイオン交換水(72mL)とトルエン(90mL)を加え攪拌し、分液した。得られた有機相をイオン交換水(90mL)で4回洗浄し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた固体にアセトン(50mL)を加え懸濁攪拌した後、濾過した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びクロロホルムの混合溶媒)で分取精製した。得られた固体をトルエン及びエタノールの混合溶媒、クロロホルム及びへプタンの混合溶媒により再結晶し、50℃で減圧乾燥させることで化合物S3(13.4g、白色固体)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)=8.10(4H,d),7.48−7.38(8H,m),7.25−7.21(6H,m),4.29(4H,t),2.57(4H,t),1.88(4H,quint),1.56−1.34(12H,m).
【0319】
〈化合物S4の合成〉
【化65】
【0320】
(化合物4a)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、3−ブロモビフェニル(17.0g)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ジベンゾチオフェン(24.9g)、トルエン(425mL)を加え攪拌した。そこに、(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,4′,6′−トリイソプロピル−1,1′−ビフェニル)[2−(2′−アミノ−1,1′−ビフェニルル)]パラジウム(II) メタンスルホネート(0.6g)を加え、さらに40重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(180mL)を加え、オイルバスにて、90℃で7時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、分液し、得られた有機相をイオン交換水(100mL)で4回洗浄した。得られた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過し、得られたろ液に活性炭(5g)を加え30分攪拌後、シリカゲル30gとセライトを順に敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(100mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた固体をトルエン(800mL)とヘキサン(800mL)の混合溶媒に溶解させ、活性炭(5g)を加え1時間攪拌後、セライトを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(100mL)とヘキサン(100mL)の混合溶媒で洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)で分取精製した。得られた固体にヘキサン(25mL)を加え懸濁攪拌した後に濾過した。得られた固体を50℃で減圧乾燥させることで化合物4a(21.2g、白色固体)を得た。化合物4aのHPLC面積百分率は99.5%以上であった。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)=8.22−8.14(m,2H),8.00(t,1H),7.88−7.82(m,1H),7.73−7.66(m,4H),7.61−7.54(m,3H),7.50(m,4H),7.38(tt,1H).
TLC/MS:m/z=337[M+H]
【0321】
(化合物4b)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物4a(5.0g)、テトラヒドロフラン(100mL)を加え、攪拌した。ドライアイスを入れたアセトンバスで冷却し、そこに1.0M sec−ブチルリチウムシクロヘキサン、ヘキサン溶液(16.3mL)を滴下し、ドライアイスを入れたアセトンバスで冷却したまま5時間攪拌した。その後、テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させた化合物3a(4.8g)をゆっくりと滴下し、−30℃程度で3時間攪拌した。氷浴で昇温させた後、イオン交換水(5mL)を加え、室温まで昇温した。そこにイオン交換水(100mL)とクロロホルム(650mL)を加え、分液し、得られた有機相をイオン交換水(215mL)で4回洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、得られた濾液を減圧濃縮した。得られたオイル状化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)で分取精製した。得られたオイル状化合物を50℃で減圧乾燥させることで化合物4b(3.0g、白色固体)を得た。化合物4bのHPLC面積百分率は95.5%であった。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)=8.15(dd,2H),8.03(d,2H),7.97(t,2H),7.40(dt,2H),7.68(tt,6H),7.63−7.34(m,14H),7.28−7.23(m,4H),2.87(t,4H),2.57(t,4H),1.78(quint,4H),1.57−1.37(12H).
【0322】
(化合物S4)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物4b(2.9g)、ビスピナコラートジボロン(2.1g)、酢酸カリウム(1.6g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.1g)、ジメトキシエタン(58mL)を加え攪拌し、オイルバスにて、85℃で19時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、クロロホルム(58mL)とセライト(3g)を加え攪拌した後、セライトを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をクロロホルム(58mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮した。得られたオイル状化合物をトルエン(200mL)に溶解させ、活性炭(1g)を加え1時間攪拌後、セライトを敷いた濾過器で濾過し、濾上物をトルエン(200mL)で洗浄した。得られたオイル状化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)で分取精製した。得られた粗生成物を酢酸エチルで再結晶し、さらに得られた固体をトルエンと酢酸エチルの混合溶媒で再結晶した。50℃で減圧乾燥させることで化合物S4(2.2g、白色固体)を得た。化合物S4のHPLC面積百分率は98.6%であった。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)=8.14(dd,2H),8.03(d,2H),7.96(t,2H),7.75(dt,2H),7.68(tt,6H),7.63−7.34(m,14H),7.27(d,4H),2.87(t,4H),2.78(t,4H),1.78(quint,4H),1.57−1.37(m,12H),1.25(s,24H).
LC/MS(ESI,positive):m/z=1167[M+H]
【0323】
<化合物S5〜S8の合成>
【化66】
化合物S5〜S8は、下記文献に記載された方法に従って合成し、99.5%以上のHPLC面積百分率値を示したものを用いた。
化合物S5、化合物S6:特開2010−189630号公報
化合物S7、化合物S8:国際公開第2013−191088号
【0324】
〈単量体CM4〜CM7の合成〉
単量体CM4〜CM7は、下記文献に記載された方法に従って合成し、99.5%以上のHPLC面積百分率値を示したものを用いた。
単量体CM4〜CM6:国際公開第2013/146806号
単量体CM7:国際公開第2009/157424号
【0325】
【化67】
【0326】
【化68】
【0327】
<燐光発光性化合物1の合成>
燐光発光性化合物1は、国際公開第2006/121811号及び特開2013−048190号公報に記載の方法に従って合成し、99.5%以上のHPLC面積百分率値を示したものを用いた。
【化69】
【0328】
<高分子化合物C1の合成>
下記式:
【0329】
【化70】
で表される構成単位と、下記式:
【0330】
【化71】
で表される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる高分子化合物C1は、国際公開第2015/159932号に記載の方法に従って合成した
【0331】
〈高分子化合物C2の合成〉
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、上記の単量体CM4(2.52g)、単量体CM5(0.47g)、単量体CM6(4.90g)、及び単量体CM7(0.53g)、並びにトルエン(158mL)を加え、95℃に加熱した。
【0332】
(工程2)反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(16mL)、ジクロロビス[トリス(o‐メトキシフェニルホスフィン)]パラジウム(4.2mg)を加え、8時間還流させた。
【0333】
(工程3)反応後、そこに、フェニルボロン酸(0.12g)、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(16mL)、及びジクロロビス[トリス(o‐メトキシフェニルホスフィン)]パラジウム(4.2mg)を加え、15時間還流させた。
【0334】
(工程4)その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、85℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液を、3.6重量%塩酸水溶液で2回、2.5重量%アンモニア水溶液で2回、水で4回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物C2を6.02g得た。高分子化合物C2のMnは3.8×10であり、Mwは4.5×10であった。
【0335】
高分子化合物C2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM4から誘導される構成単位と、単量体CM5から誘導される構成単位と、単量体CM6から誘導される構成単位と、単量体CM7から誘導される構成単位とが、40:10:47:3のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0336】
≪実施例1≫
〈高分子化合物1の合成〉
下記のようにして、実施例1に係る高分子化合物(高分子化合物1)を作製した。
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、上記の化合物S1(2.652g)、上記の化合物S5(1.825g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.145g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(7.9mg)及びトルエン(105mL)を加え、80℃に加熱した。
【0337】
(工程2)その後、そこへ、16重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(52.6g)を滴下し、4時間還流させた。
【0338】
(工程3)その後、そこへ、フェニルボロン酸(275.5mg)及びジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(4.8mg)を加え、80℃で18時間撹拌した。
【0339】
(工程4)得られた反応混合物を冷却した後、水で1回、10重量%塩酸で2回、3重量%アンモニア水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下し、攪拌したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をトルエン(225mL)に溶解させ、アルミナ(94g)加え3時間撹拌した後、得られた懸濁液をシリカゲルカラムに通液することにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、実施例1に係る高分子化合物(高分子化合物1)を1.81g得た。高分子化合物1のMnは1.3×10であり、Mwは4.6×10であった。
【0340】
高分子化合物1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物S1から誘導される構成単位と、化合物S5から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0341】
〈接触角の差〉
(高分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角の測定)
(高分子化合物1からなる単独膜の形成)
トルエンに、高分子化合物1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、ガラス基板の上に、スピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下、ホットプレートにて130℃で10分間加熱することにより、高分子化合物1からなる単独膜を形成した。
【0342】
(水に対する接触角測定)
高分子化合物1からなる単独膜の上にニードルから水を滴下し、水滴を形成させ、高分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角を測定した。評価結果を表2に示す。
【0343】
(低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角の測定(参考例1))
高分子化合物1を、下記に示す低分子化合物1(Luminescence Technology社製のLT−N4013)とする以外は、上記の高分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角の測定と同様にして、低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角を測定した。評価結果は、参考例1として表2に示す。
【0344】
【化72】
【0345】
(接触角の差)
高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と、低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差分をとることによって、高分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角と低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。結果を表2に示す。
【0346】
〈実施例1の発光素子D1の作製〉
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。陽極上に、日産化学工業株式会社製の正孔注入材料ND−3202を、スピンコート法にて35nmの厚さで成膜し、オゾンが除去された空気環境下、ホットプレートにて50℃で3分間加熱して溶媒を揮発させ、続けてホットプレートにて240℃で15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0347】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物2を0.65重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上に、スピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下、ホットプレートにて180℃で60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0348】
(発光層の形成)
溶媒としてのトルエンに、低分子化合物1、高分子化合物1及び燐光発光性化合物1(重量比:54:26:20)を2.0重量%の濃度で溶解させて、実施例1に係る発光素子用組成物を得た。この発光素子用組成物を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃で10分間加熱することにより発光層を形成した。
【0349】
(電子輸送層の形成)
1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノールに、高分子化合物C1を0.25重量%の濃度で溶解させ、高分子化合物C1の0.25重量%濃度の1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール溶液を調製した。この溶液を用いて、発光層の上に、スピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下、130℃で10分間加熱することにより電子輸送層を形成した。
【0350】
(陰極及び電子注入層の形成)
電子輸送層が形成された基板を蒸着機内に置いて、1.0×10−4Pa以下に減圧した後、陰極として、電子輸送層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、その上にアルミニウムを約100nm蒸着した。その後、ガラス基板を用いて封止することにより、実施例1に係る発光素子D1を作製した。
【0351】
〈発光素子の駆動電圧測定〉
実施例1の発光素子D1について、1000cd/mで発光時の駆動電圧を測定した。結果を表2に示す。
【0352】
〈高分子化合物1を含有する組成物の増粘性〉
低分子化合物1、高分子化合物1及び燐光発光性化合物1(重量比:54:26:20)を、1.0重量%及び2.0重量%の濃度でトルエンに溶解させ、高分子化合物1組成物1.0重量%溶液及び高分子化合物1組成物2.0重量%溶液を得た。
【0353】
高分子化合物1組成物1.0重量%溶液及び高分子化合物1組成物2.0重量%溶液の粘度を、コーンプレート式粘度計により測定した。
【0354】
高分子化合物1組成物1.0重量%溶液の粘度及び高分子化合物1組成物2.0重量%溶液の粘度の比率から、高分子化合物1組成物の増粘性を算出した。
(高分子化合物1組成物の増粘性=(高分子化合物1組成物2.0重量%溶液の粘度)/(高分子化合物1組成物1.0重量%溶液の粘度))。
評価結果は、表2に示す。
【0355】
≪実施例2≫
〈高分子化合物2の合成〉
高分子化合物1(実施例1)の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、上記の化合物S6(0.734g)、上記の化合物S2(1.356g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.048g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.6mg)及びトルエン(85mL)を混合し、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物1の合成と同様にすることで、実施例2の高分子化合物(高分子化合物2)1.21gを得た。高分子化合物2のMnは2.2×10であり、Mwは5.4×10であった。
【0356】
高分子化合物2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物S6から誘導される構成単位と、化合物S2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0357】
〈高分子化合物2からなる単独膜の水に対する接触角の測定〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物2とする以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物2からなる単独膜の水に対する接触角を測定し、低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。評価結果は表2に示す。
【0358】
〈実施例2の発光素子D2の作製〉
高分子化合物1に代えて、高分子化合物2を用いた以外は実施例D1と同様にして、実施例2の発光素子D2を作製し、駆動電圧を測定した。結果を表2に示す。
【0359】
〈高分子化合物2を含有する組成物の増粘性〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物2とした以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物2を含有する組成物の増粘性を測定した。評価結果は表2に示す。
【0360】
≪実施例3≫
〈高分子化合物3の合成〉
高分子化合物1(実施例1)の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物S8(1.139g)、上記の化合物S3(0.552g)、上記の化合物S5(0.203g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.041g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.5mg)及びトルエン(82mL)を混合し、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物1の合成と同様にすることで、実施例3の高分子化合物(高分子化合物3)を0.88g得た。高分子化合物3のMnは2.5×10であり、Mwは5.6×10であった。
【0361】
高分子化合物3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物S8から誘導される構成単位と、化合物S3から誘導される構成単位と、化合物S5から誘導される構成単位とが、50:30:20のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0362】
〈高分子化合物3からなる単独膜の水に対する接触角の測定〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物3とする以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物3からなる単独膜の水に対する接触角を測定し、低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。評価結果は表2に示す。
【0363】
〈実施例3の発光素子D3の作製〉
高分子化合物1に代えて、高分子化合物3を用いた以外は実施例D1と同様にして、実施例3の発光素子D3を作製し、駆動電圧を測定した。結果を表2に示す。
【0364】
〈高分子化合物3を含有する組成物の増粘性〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物3とした以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物3を含有する組成物の増粘性を測定した。評価結果は表2に示す。
【0365】
≪実施例4≫
〈高分子化合物4の合成〉
高分子化合物1(実施例1)の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、上記の化合物S8(1.139g)、上記の化合物S3(0.919g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.040g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.4mg)及びトルエン(91mL)を混合し、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物1の合成と同様にすることで、実施例4の高分子化合物(高分子化合物4)を、0.91g得た。高分子化合物4のMnは3.9×10であり、Mwは6.3×10であった。
【0366】
高分子化合物4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物S8から誘導される構成単位と、化合物S3から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0367】
〈高分子化合物4からなる単独膜の水に対する接触角の測定〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物4とする以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物4からなる単独膜の水に対する接触角を測定し、低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。評価結果を表2に示す。
【0368】
〈実施例4の発光素子D4の作製〉
高分子化合物1に代えて、高分子化合物4を用いた以外は実施例D1と同様にして、実施例4の発光素子D4を作製し、駆動電圧を測定した。
【0369】
〈高分子化合物4を含有する組成物の増粘性〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物4とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の高分子化合物4を含有する組成物の増粘性を測定した。評価結果は表2に示す。
【0370】
≪実施例5≫
〈高分子化合物5の合成〉
高分子化合物1(実施例1)の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物S4(0.692g)、化合物S6(0.185g)、化合物S7(0.811g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.032g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.0mg)及びトルエン(73mL)を混合し、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物1の合成と同様にすることで、実施例5の高分子化合物(高分子化合物5)を、0.88g得た。高分子化合物5のMnは2.9×10であり、Mwは7.3×10であった。
【0371】
高分子化合物5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物S4から誘導される構成単位と、化合物S6から誘導される構成単位と、化合物S7から誘導される構成単位とが、30:20:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0372】
〈高分子化合物5単独膜の水に対する接触角の測定〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物5とする以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物5単独膜の水に対する接触角を測定し、低分子化合物からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。評価結果は表2に示す。
【0373】
〈実施例5の発光素子D5の作製〉
高分子化合物1に代えて、高分子化合物5を用いた以外は実施例D1と同様にして、実施例5の発光素子D5を作製し、駆動電圧を測定した。評価結果は表2に示す。
【0374】
〈高分子化合物5を含有する組成物の増粘性〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物5とした以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物5を含有する組成物の増粘性を測定した。評価結果は表2に示す。
【0375】
≪比較例1≫
〈高分子化合物Xの合成〉
高分子化合物1の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、上記の化合物S6(1.224g)、上記の化合物S7(2.134g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.082g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.9mg)及びトルエン(95mL)を混合し、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物1の合成と同様にすることで、比較例1の高分子化合物(高分子化合物X)を、1.87g得た。高分子化合物XのMnは1.9×10であり、Mwは4.9×10であった。
【0376】
高分子化合物Xは、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物S6から誘導される構成単位と、化合物S7から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0377】
〈高分子化合物X単独膜の水に対する接触角の測定〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物Xとする以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物Xからなる単独膜の水に対する接触角を測定し、低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。評価結果は表2に示す。
【0378】
〈比較例1の発光素子CD1の作製〉
高分子化合物1に代えて、高分子化合物Xを用いた以外は実施例D1と同様にして、比較例1の発光素子CD1を作製し、駆動電圧を測定した。評価結果は表2に示す。
【0379】
〈高分子化合物Xを含有する組成物の増粘性〉
実施例1における高分子化合物1を高分子化合物Xとした以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物Xを含有する組成物の増粘性を測定した。評価結果は表2に示す。
【0380】
<比較例2>
〈ポリスチレン単独膜の水に対する接触角の測定〉
実施例1における高分子化合物1をポリスチレン(Ardrich社製、Mw192k)とする以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレンからなる単独膜の水に対する接触角を測定し、低分子化合物1からなる単独膜の水に対する接触角との差を計算した。評価結果は表2に示す。
【0381】
〈比較例2の発光素子CD2の作製〉
高分子化合物1に代えてポリスチレンを用いた以外は実施例1の発光素子D1と同様にして、比較例2の発光素子CD2を作製し、駆動電圧を測定した。結果は表2に示す。
【0382】
〈ポリスチレンを含有する組成物の増粘性〉
実施例1における高分子化合物1をポリスチレンとした以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレンを含有する組成物の増粘性を測定した。評価結果は表2に示す。
【0383】
【表2】
【0384】
表2から分かるとおり、本開示の組成物を用いて作製された発光素子は駆動電圧に優れる。