(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レジストが上面に塗布された試料の描画領域に荷電粒子ビームを照射することにより、描画データに含まれている図形に対応するパターンを試料の描画領域のレジストに描画する描画部と、
荷電粒子ビームにより描画されるパターンの面積密度を描画データに基づいて計算するパターン面積密度計算部と、
パターン面積密度計算部によって計算されたパターン面積密度と、第1影響分布関数との畳み込み積分計算を実行する第1畳み込み積分計算部と、
第1畳み込み積分計算部により得られる値に基づくパターン面積密度依存パターン寸法変動量と、位置依存パターン寸法変動量とからパターン寸法変動量の合計値を計算するパターン寸法変動量合計値計算部と、
パターン面積密度計算部によって計算されたパターン面積密度と、第2影響分布関数との畳み込み積分計算を実行する第2畳み込み積分計算部と、
ローカル領域内のパターン面積密度と、ローカル領域の周りのグローバル領域内のパターン面積密度と、ローカル領域内に描画されるパターンのドーズラチチュードとの関係であって、ローカル領域内のパターン面積密度の値およびグローバル領域内のパターン面積密度の値を変化させた関係に基づくと共に、第2畳み込み積分計算部により得られる値であって、グローバル領域内のパターン面積密度の値に対応する値に基づいて、位置依存ベースドーズおよび位置依存近接効果補正係数を計算する位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部と、
位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部により得られる位置依存ベースドーズと位置依存近接効果補正係数とに基づいて近接効果補正照射量を計算する近接効果補正照射量計算部を具備し、
前記ドーズラチチュードは、荷電粒子ビームの照射量の変化分に対するパターン寸法の変動量の割合であることを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
レジストが上面に塗布された試料の描画領域に荷電粒子ビームを照射することにより、描画データに含まれている図形に対応するパターンを試料の描画領域のレジストに描画する荷電粒子ビーム描画装置の照射量補正方法において、
荷電粒子ビームにより描画されるパターンの面積密度を描画データに基づいてパターン面積密度計算部によって計算し、
パターン面積密度計算部によって計算されたパターン面積密度と、第1影響分布関数との畳み込み積分計算を第1畳み込み積分計算部によって実行し、
第1畳み込み積分計算部により得られる値に基づくパターン面積密度依存パターン寸法変動量と、位置依存パターン寸法変動量とからパターン寸法変動量の合計値をパターン寸法変動量合計値計算部によって計算し、
パターン面積密度計算部によって計算されたパターン面積密度と、第2影響分布関数との畳み込み積分計算を第2畳み込み積分計算部によって実行し、
ローカル領域内のパターン面積密度と、ローカル領域の周りのグローバル領域内のパターン面積密度と、ローカル領域内に描画されるパターンのドーズラチチュードとの関係であって、ローカル領域内のパターン面積密度の値およびグローバル領域内のパターン面積密度の値を変化させた関係に基づくと共に、第2畳み込み積分計算部により得られる値であって、グローバル領域内のパターン面積密度の値に対応する値に基づいて、位置依存ベースドーズおよび位置依存近接効果補正係数を位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部によって計算し、
位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部により得られる位置依存ベースドーズと位置依存近接効果補正係数とに基づいて近接効果補正照射量を近接効果補正照射量計算部によって計算し、
前記ドーズラチチュードは、荷電粒子ビームの照射量の変化分に対するパターン寸法の変動量の割合であることを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置の照射量補正方法。
試料の描画領域内の第1の位置における第2畳み込み積分計算部により得られる値が第1の値になる場合に、第1の値に対応するグローバル領域内のパターン面積密度の値に対応するドーズラチチュードの値に基づいて、位置依存ベースドーズおよび位置依存近接効果補正係数を位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部によって計算し、
試料の描画領域内の第2の位置における第2畳み込み積分計算部により得られる値が第1の値より大きい第2の値になる場合に、第2の値に対応するグローバル領域内のパターン面積密度の値に対応するドーズラチチュードの値に基づいて、位置依存ベースドーズおよび位置依存近接効果補正係数を位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部によって計算し、
試料の描画領域内の第3の位置における第2畳み込み積分計算部により得られる値が第1の値より小さい第3の値になる場合に、第3の値に対応するグローバル領域内のパターン面積密度の値に対応するドーズラチチュードの値に基づいて、位置依存ベースドーズおよび位置依存近接効果補正係数を位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部によって計算することを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子ビーム描画装置の照射量補正方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の荷電粒子ビーム描画装置の第1の実施形態について説明する。
図1は第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の概略的な構成図である。
図2は
図1に示す制御部10bの制御計算機10b1の詳細図である。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1に示すように、例えば、マスク(ブランク)、ウエハなどのようなレジストが上面に塗布された試料Mの描画領域に荷電粒子ビーム10a1bを照射することによって、試料Mの描画領域のレジストに目的のパターンを描画するための描画部10aが設けられている。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム10a1bとして例えば電子ビームが用いられるが、第2の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、代わりに、荷電粒子ビーム10a1bとして例えばイオンビーム等の電子ビーム以外の荷電粒子ビームを用いることも可能である。
【0011】
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1に示すように、例えば、荷電粒子銃10a1aと、荷電粒子銃10a1aから照射された荷電粒子ビーム10a1bを偏向する偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fと、偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fによって偏向された荷電粒子ビーム10a1bによる描画が行われる試料Mを載置する可動ステージ10a2aとが、描画部10aに設けられている。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1に示すように、例えば、描画部10aの一部を構成する描画室10a2に、試料Mが載置された可動ステージ10a2aが配置されている。この可動ステージ10a2aは、例えば、
図1の左右方向および
図1の手前側−奥側方向に移動可能に構成されている。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1に示すように、例えば、描画部10aの一部を構成する光学鏡筒10a1に、荷電粒子銃10a1aと、偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fと、レンズ10a1g,10a1h,10a1i,10a1j,10a1kと、第1成形アパーチャ10a1lと、第2成形アパーチャ10a1mとが配置されている。
【0012】
具体的には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、制御計算機10b1に入力された描画データを、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aを介在させることなく、ショットデータ生成部10b1gに直接転送することができる。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、描画データが荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aを介在せしめられることなくショットデータ生成部10b1gに直接転送される場合、描画データに含まれている図形(例えば、特許文献2(特開2009−88313号公報)の
図3参照)に対応するパターンを試料Mの描画領域のレジストに描画するために、一定のベースドーズ(基準照射量)(特許文献3(特開2007−220728号公報)の段落0085参照)の荷電粒子ビーム10a1bが光学鏡筒10a1から試料Mの描画領域のレジストに照射される。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、制御計算機10b1に入力された描画データを、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aを介した後に、ショットデータ生成部10b1gに転送することができる。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、描画データが荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aを介してショットデータ生成部10b1gに転送される場合、描画データに含まれている図形に対応するパターンを試料Mの描画領域のレジストに描画するために、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aによって補正された照射量の荷電粒子ビーム10a1bが光学鏡筒10a1から試料Mの描画領域のレジストに照射される。
【0013】
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gによって、試料Mの描画領域のレジストにパターンを描画する荷電粒子ビーム10a1bを照射するためのショットデータが生成される。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gによって生成されたショットデータが、偏向制御部10b1hに送られる。また、例えば、ショットデータに基づいて偏向制御部10b1hによって偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fが制御され、その結果、荷電粒子銃10a1aからの荷電粒子ビーム10a1bが試料Mの描画領域のレジストの所望の位置に照射される。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gにより生成されたショットデータに基づき、偏向制御部10b1hによって偏向制御回路10b2を介してブランキング偏向器10a1cを制御することにより、荷電粒子銃10a1aから照射された荷電粒子ビーム10a1bが、例えば第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(
図3参照)を透過せしめられて試料Mの描画領域のレジストに照射されるか、あるいは、例えば第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’以外の部分によって遮られて試料Mの描画領域のレジストに照射されないかが、切り換えられる。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、ブランキング偏向器10a1cを制御することにより、例えば、荷電粒子ビーム10a1bの照射量(照射時間)を制御することができる。
【0014】
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gにより生成されたショットデータに基づき、偏向制御部10b1hによって偏向制御回路10b3を介してビーム寸法可変偏向器10a1dを制御することにより、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(
図3参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bが、ビーム寸法可変偏向器10a1dによって偏向される。次いで、ビーム寸法可変偏向器10a1dによって偏向された荷電粒子ビーム10a1bの一部が、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(
図3参照)を透過せしめられる。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、ビーム寸法可変偏向器10a1dによって荷電粒子ビーム10a1bが偏向される量、向きなどを調整することにより、試料Mの描画領域のレジストに照射される荷電粒子ビーム10a1bの大きさ、形状などを調整することができる。
図3は第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10において荷電粒子ビーム10a1bの1回のショットで試料Mの描画領域のレジストに描画することができるパターンPの一例を説明するための図である。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図3に示すように、例えば、荷電粒子ビーム10a1bによって試料Mの描画領域のレジストにパターンP(
図3参照)が描画される時に、荷電粒子銃10a1a(
図1参照)から照射された荷電粒子ビーム10a1bの一部が、第1成形アパーチャ10a1lの例えば正方形の開口10a1l’(
図3参照)を透過せしめられる。その結果、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bの水平断面形状が、例えば概略正方形になる。次いで、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bの一部が、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(
図3参照)を透過せしめられる。
【0015】
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図3に示すように、例えば、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(
図3参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bをビーム寸法可変偏向器10a1d(
図1参照)によって偏向することにより、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(
図3参照)を透過せしめられる荷電粒子ビーム10a1bの水平断面形状を、例えば矩形(正方形または長方形)にしたり、例えば三角形にしたりすることができる。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図3に示すように、例えば、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(
図3参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bを、試料Mの描画領域のレジストの所定の位置に所定の照射時間だけ照射し続けることにより(つまり、試料Mの描画領域のレジストの所定の位置に所定の照射量だけ照射することにより)、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(
図3参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bの水平断面形状と概略同一形状のパターンP(
図3参照)を試料Mの描画領域のレジストに描画することができる。
つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図3に示すように、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(
図3参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bがビーム寸法可変偏向器10a1d(
図1参照)によって偏向される量および向きを偏向制御部10b1h(
図2参照)によって制御することにより、例えば、
図3に示すような概略正方形のパターンPを、荷電粒子ビーム10a1bの1回のショットで試料Mの描画領域のレジストに描画することができる。
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図3に示すように、例えば、概略正方形のパターンPを描画する荷電粒子ビーム10a1bのショットを複数回実行することにより、所定の線幅Wを有する線状のパターンPLを試料Mの描画領域のレジストに描画することができる。
【0016】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gにより生成されたショットデータに基づき、偏向制御部10b1hによって偏向制御回路10b4を介して主偏向器10a1eを制御することにより、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(
図3参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bが、主偏向器10a1eによって偏向される。
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gにより生成されたショットデータに基づき、偏向制御部10b1hによって偏向制御回路10b5を介して副偏向器10a1fを制御することにより、主偏向器10a1eによって偏向された荷電粒子ビーム10a1bが、副偏向器10a1fによって更に偏向される。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、主偏向器10a1eおよび副偏向器10a1fによって荷電粒子ビーム10a1bが偏向される量、向きなどを調整することにより、試料Mの描画領域のレジストに照射される荷電粒子ビーム10a1bの照射位置を調整することができる。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図1および
図2に示すように、例えば、ショットデータ生成部10b1gにより生成されたショットデータに基づき、ステージ制御部10b1iによってステージ制御回路10b6を介して可動ステージ10a2aの移動が制御される。
【0017】
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、描画データが荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aを介してショットデータ生成部10b1gに転送される場合、荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)の照射量が荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aによって補正される時に、ローカル領域LA(
図4(A)中の破線によって囲まれた領域)内のパターン面積密度Uと、ローカル領域LAの周りのグローバル領域GA(
図4(A)中の一点鎖線によって囲まれた領域)内のパターン面積密度Vと、ローカル領域LA内に描画されるパターンPL(
図4(A)等参照)のドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)(
図4(B)等参照)が用いられる。
そのため、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1a(
図2参照)による荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)の照射量の補正に用いられるローカル領域LA(
図4(A)等参照)内のパターン面積密度Uと、グローバル領域GA(
図4(A)等参照)内のパターン面積密度Vと、ローカル領域LA内に描画されるパターンPL(
図4(A)等参照)のドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)(
図4(B)等参照)を得るために、例えば
図4〜
図9に示すような前処理が、例えば荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者あるいは荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーによって、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の描画部10a(
図1参照)を用いて実行される。
【0018】
図4〜
図9は荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正に用いられるローカル領域LA内のパターン面積密度Uと、ローカル領域LAの周りのグローバル領域GA内のパターン面積密度Vと、ローカル領域LA内に描画されるパターンPLのドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)を得るために実行される前処理を説明するための図である。
【0019】
具体的には、
図4(A)および
図4(B)に示す例では、まず最初に、
図4(A)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第1の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、例えば数十μm□のローカル領域LA内のパターン面積密度Uが0%(U=0.0)に設定され、ローカル領域LAの周りの例えば数mm□のグローバル領域GA内のパターン面積密度Vが0%(V=0.0)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(詳細には、実際の線幅W)が、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)などによって測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図4(B)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図4(A)および
図4(B)に示す例では、
図4(A)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第1の照射量とは異なる第2の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが0%(U=0.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが0%(V=0.0)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図4(B)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図4(B)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当する「荷電粒子ビーム10a1bの照射量の変化分に対するパターン寸法CD(実際の線幅W)の変動量の割合」であるドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図4(A)および
図4(B)に示す例では、上述した前処理によって、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uと、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vと、ローカル領域LA内に描画されるパターンPLのドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)=(0.0,0.0,0.6)(
図4(B)参照)を得ることができる。
【0020】
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aによる荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正を実行するために、パターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)(
図4(B)等参照)が1組だけでは不十分であり、複数組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)(
図4(B)、
図4(D)等参照)が必要とされる。そのため、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図4(A)および
図4(B)に示す前処理が実行されるのみならず、例えば
図4(C)および
図4(D)に示す前処理が実行される。
【0021】
具体的には、
図4(C)および
図4(D)に示す例では、
図4(C)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第3の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば50%(U=0.5)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが0%(V=0.0)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図4(D)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図4(C)および
図4(D)に示す例では、
図4(C)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第3の照射量とは異なる第4の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば50%(U=0.5)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが0%(V=0.0)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図4(D)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図4(D)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図4(C)および
図4(D)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(0.5,0.0,0.9)(
図4(D)参照)を得ることができる。
【0022】
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aによる荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正を実行するために、例えばローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば100%(U=1.0)に設定されている場合の関係(U,V,DL)(
図5(B)参照)のように、
図4(B)および
図4(D)に示す場合とは異なる場合の関係(U,V,DL)(
図5(B)参照)も必要とされる。そのため、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)および
図4(D)に示す前処理が実行されるのみならず、例えば
図5(A)および
図5(A)に示す前処理が実行される。
【0023】
具体的には、
図5(A)および
図5(B)に示す例では、
図5(A)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第5の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが100%(U=1.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが0%(V=0.0)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図5(B)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図5(A)および
図5(B)に示す例では、
図5(A)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第5の照射量とは異なる第6の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが100%(U=1.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが0%(V=0.0)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図5(B)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図5(B)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図5(A)および
図5(B)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)を得ることができる。
【0024】
換言すれば、
図4および
図5に示す前処理を実行することにより、3組の関係(U,V,DL)
=(0.0,0.0,0.6)(
図4(B)参照)
=(0.5,0.0,0.9)(
図4(D)参照)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
を得ることができる。
例えば特許文献1の段落0030、段落0053、段落0054、
図3、
図4および
図5に記載された荷電粒子ビーム描画装置のような一般的な荷電粒子ビーム描画装置では、ローカル領域LA(
図4(A)、
図4(C)および
図5(A)参照)内のパターン面積密度Uを考慮すれば、グローバル領域GA(
図4(A)、
図4(C)および
図5(A)参照)内のパターン面積密度Vを考慮しなくても、ベースドーズ(基準照射量)および近接効果補正係数の適切な値を得ることができ、その結果、例えばクロムエッチングローディング効果に起因するパターン寸法CD(実際の線幅W)の変動量を荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正によって十分に低減することができる、という考え方に基づき、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vの値を変化させたパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)が、ベースドーズ(基準照射量)および近接効果補正係数の計算に用いられていなかった。
【0025】
すなわち、例えば特許文献1の段落0030、段落0053、段落0054、
図3、
図4および
図5に記載された荷電粒子ビーム描画装置のような一般的な荷電粒子ビーム描画装置では、例えば
図4および
図5に示すような前処理を実行し、例えば3組のローカル領域LA内のパターン面積密度Uと、ローカル領域LA内に描画されるパターンPLのドーズラチチュードDLとの関係(U,DL)
=(0.0,0.6)(
図4(B)参照)
=(0.5,0.9)(
図4(D)参照)
=(1.0,1.2)(
図5(B)参照)
を得ることにより、ベースドーズ(基準照射量)および近接効果補正係数の適切な値を得ることができ、その結果、例えばクロムエッチングローディング効果に起因するパターン寸法CDの変動量を荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正によって十分に低減することができる、と考えられていた。
ところが、本発明者等の鋭意研究において、ローカル領域LA(
図4(A)、
図4(C)および
図5(A)参照)内のパターン面積密度Uに加えて、グローバル領域GA(
図4(A)、
図4(C)および
図5(A)参照)内のパターン面積密度Vも考慮することによって、例えば特許文献1の段落0030、段落0053、段落0054、
図3、
図4および
図5に記載された荷電粒子ビーム描画装置のような一般的な荷電粒子ビーム描画装置よりもベースドーズ(基準照射量)および近接効果補正係数の適切な値を得ることができ、その結果、例えばクロムエッチングローディング効果に起因するパターン寸法CD(実際の線幅W)の変動量を荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正によって低減できるのみならず、まだ十分に解明されていない未知の現象に起因するパターン寸法CD(実際の線幅W)の変動量を荷電粒子ビーム10a1bの照射量の補正によって低減できることが見い出された。
そこで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、グローバル領域GA(
図6(A)等参照)内のパターン面積密度Vの値を変化させたパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)(
図6(B)等参照)を得るために、例えば
図6〜
図9に示すような前処理が、例えば荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者あるいは荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーによって、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の描画部10a(
図1参照)を用いて実行される。
【0026】
具体的には、
図6(A)および
図6(B)に示す例では、
図6(A)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第7の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが0%(U=0.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば20%(V=0.2)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図6(B)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図6(A)および
図6(B)に示す例では、
図6(A)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第7の照射量とは異なる第8の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが0%(U=0.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば20%(V=0.2)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図6(B)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図6(B)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図6(A)および
図6(B)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(0.0,0.2,0.62)(
図6(B)参照)を得ることができる。
【0027】
また、
図6(C)および
図6(D)に示す例では、
図6(C)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第9の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば50%(U=0.5)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば20%(V=0.2)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図6(D)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図6(C)および
図6(D)に示す例では、
図6(C)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第9の照射量とは異なる第10の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば50%(U=0.5)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば20%(V=0.2)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図6(D)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図6(D)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図6(C)および
図6(D)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(0.5,0.2,0.93)(
図6(D)参照)を得ることができる。
【0028】
更に、
図7(A)および
図7(B)に示す例では、
図7(A)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第11の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが100%(U=1.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば20%(V=0.2)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図7(B)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図7(A)および
図7(B)に示す例では、
図7(A)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第11の照射量とは異なる第12の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが100%(U=1.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば20%(V=0.2)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図7(B)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図7(B)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図7(A)および
図7(B)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)を得ることができる。
【0029】
更に、
図8(A)および
図8(B)に示す例では、
図8(A)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第13の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが0%(U=0.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば80%(V=0.8)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図8(B)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図8(A)および
図8(B)に示す例では、
図8(A)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第13の照射量とは異なる第14の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが0%(U=0.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば80%(V=0.8)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図8(B)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図8(B)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図8(A)および
図8(B)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(0.0,0.8,0.65)(
図8(B)参照)を得ることができる。
【0030】
また、
図8(C)および
図8(D)に示す例では、
図8(C)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第15の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば50%(U=0.5)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば80%(V=0.8)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図8(D)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図8(C)および
図8(D)に示す例では、
図8(C)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第15の照射量とは異なる第16の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが例えば50%(U=0.5)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば80%(V=0.8)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図8(D)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図8(D)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図8(C)および
図8(D)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(0.5,0.8,1.0)(
図8(D)参照)を得ることができる。
【0031】
更に、
図9(A)および
図9(B)に示す例では、
図9(A)に示すように、例えば0.1μmのような所定の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、例えば第17の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが100%(U=1.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば80%(V=0.8)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、荷電粒子ビーム10a1bの照射量と、線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)との関係を示す
図9(B)のグラフ中の第1点が得られる。
また、
図9(A)および
図9(B)に示す例では、
図9(A)に示すように、同一の目標線幅Wに設定された線状のパターンPLが、第17の照射量とは異なる第18の照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって前処理用試料Mのローカル領域LA内に描画される。この時も、ローカル領域LA内のパターン面積密度Uが100%(U=1.0)に設定され、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが例えば80%(V=0.8)に設定される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスの実行後などに、描画された線状のパターンPLのパターン寸法CD(実際の線幅W)が測定される。その結果、
図9(B)のグラフ中の第2点が得られる。次いで、
図9(B)のグラフ中の第1点、第2点などを結ぶ線の傾きを計算することにより、その傾きに相当するドーズラチチュードDLを得ることができる。
つまり、
図9(A)および
図9(B)に示す例では、上述した前処理によって、関係(U,V,DL)=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)を得ることができる。
詳細には、
図4(A)〜
図9(B)に示す例では、上述した前処理において例えば同一の前処理用試料Mが用いられる。更に詳細には、
図4(A)、
図4(C)、
図5(A)、
図6(A)、
図6(C)、
図7(A)、
図8(A)、
図8(C)および
図9(A)に示すパターンPLが、異なる照射量の荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)によって、同一の前処理用試料Mの複数の箇所に描画される。次いで、例えばクロムエッチングプロセスなどがその前処理用試料Mに対して実行され、次いで、測定処理が実行される。
【0032】
換言すれば、
図4〜
図9に示す前処理を実行することにより、パターン面積密度Uの値およびパターン面積密度Vの値を変化させた9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(0.0,0.0,0.6)(
図4(B)参照)
=(0.5,0.0,0.9)(
図4(D)参照)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
=(0.0,0.2,0.62)(
図6(B)参照)
=(0.5,0.2,0.93)(
図6(D)参照)
=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)
=(0.0,0.8,0.65)(
図8(B)参照)
=(0.5,0.8,1.0)(
図8(D)参照)
=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)
を得ることができる。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、描画データが荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aを介してショットデータ生成部10b1gに転送される場合には、パターン面積密度Uの値およびパターン面積密度Vの値を変化させた例えば9組の関係(U,V,DL)が、荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーによって荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aに入力され、荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)の照射量の補正に用いられる。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の変形例では、代わりに、パターン面積密度Uの値およびパターン面積密度Vの値を変化させた例えば9組の関係(U,V,DL)が、荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aに予め組み込まれ、荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)の照射量の補正に用いられることも可能である。
【0033】
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aによる荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)の照射量の補正処理が開始されると、まず最初に、パターン面積密度計算部10b1a2によって、荷電粒子ビーム10a1b(
図1参照)により描画されるパターンP(
図3参照)の面積密度ρ(x)(xは位置ベクトル)が描画データに基づいて計算され、例えば試料M(
図3参照)の描画領域全体に対応するパターン面積密度マップが作成される。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、パターン面積密度計算部10b1a2によって計算されたパターン面積密度ρ(x)と影響分布関数κ
Lとの畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
L(x−x’)dx’)が、畳み込み積分計算部10b1a2によって実行され、例えば試料M(
図3参照)の描画領域全体に対応する畳み込み積分マップ(Wマップ)が作成される。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、影響分布関数κ
Lとして例えばガウス分布が用いられ、その影響分布関数κ
Lが荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aに予め組み込まれている。更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーが、荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって予め組み込まれたガウス分布の代わりに、任意の関数を影響分布関数κ
Lとして用いることができる。
【0034】
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、畳み込み積分計算部10b1a2により得られる値(∫ρ(x’)κ
L(x−x’)dx’)に基づき、パターン寸法変動量合計値計算部10b1a3によって、パターン面積密度依存パターン寸法変動量L(x)(=γ∫ρ(x’)κ
L(x−x’)dx’)(γはローディング効果補正係数)が計算される。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、パターン寸法変動量合計値計算部10b1a3によって、パターン面積密度依存パターン寸法変動量L(x)と位置依存パターン寸法変動量P(x)とに基づいてパターン寸法変動量合計値ΔCD(x)(=L(x)+P(x))が計算され、例えば試料M(
図3参照)の描画領域全体に対応するパターン寸法変動量合計値マップ(ΔCDマップ)が作成される。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、位置依存パターン寸法変動量P(x)を得るために、例えば荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の描画部10a(
図1参照)、前処理用試料M、SEM(走査型電子顕微鏡)などが用いられ、例えば特許文献1の
図9に記載された前処理が予め実行される。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば特許文献1の
図9に記載された前処理によって得られた位置依存パターン寸法変動量P(x)が、荷電粒子ビーム照射量補正部10b1a(
図2参照)に予め組み込まれている。更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーが、荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって予め組み込まれた位置依存パターン寸法変動量P(x)の代わりに、荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーによって実行された例えば特許文献1の
図9に記載された前処理により得られた位置依存パターン寸法変動量P(x)を用いることができる。
【0035】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、パターン面積密度計算部10b1a2によって計算されたパターン面積密度ρ(x)と影響分布関数κ
Gとの畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)が、畳み込み積分計算部10b1a4によって実行され、例えば試料M(
図3参照)の描画領域全体に対応する畳み込み積分マップ(Vマップ)が作成される。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、影響分布関数κ
Gとして例えばガウス分布が用いられ、その影響分布関数κ
Gが荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって荷電粒子ビーム照射量補正部10b1aに予め組み込まれている。更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム描画装置10のユーザーが、荷電粒子ビーム描画装置10の開発・製造者によって予め組み込まれたガウス分布の代わりに、任意の関数を影響分布関数κ
Gとして用いることができる。
図10は畳み込み積分計算部10b1a4によって作成される畳み込み積分マップ(Vマップ)の一例を示した図である。
図10に示す例では、試料M(
図3参照)の描画領域が例えば(m×n)個のメッシュME
1,1,…,ME
m,nに仮想分割され、各メッシュME
1,1,…,ME
m,nのサイズが例えば数百μm□に設定されている。更に、
図10に示す例では、各メッシュME
1,1,…,ME
m,n内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1,…,vME
m,nが、例えば0.0から1.0までの値であって、例えば0.1刻みの値に設定されている。
【0036】
図10を参照し、例えばメッシュME
1,1内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が例えば「0.0」になり、例えばメッシュME
2,1内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,1が例えば「0.2」になり、例えばメッシュME
1,2内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,2が例えば「0.5」になり、例えばメッシュME
2,2内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,2が例えば「0.8」になり、例えばメッシュME
1,n内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,nが例えば「0.1」になる例について説明する。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、次いで、上述した例えば9組のパターン面積密度Uの値およびパターン面積密度Vの値を変化させたパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)に基づくと共に、各メッシュME
1,1,…,ME
m,n(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1,…,vME
m,nであって、パターン面積密度Vの値に対応する値に基づき、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5によって、試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が計算されると共に、試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が計算される。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって、試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が計算される時に、下記の数式(1)が用いられる。
【0038】
数式(1)において、「D
b」はベースドーズ(定数)を示している。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式(1)中のベースドーズD
bの値として、例えば特許文献3の段落0085に記載されたベースドーズ(定数)の値が用いられる。また、数式(1)中のパターン寸法変動量合計値ΔCD(x)の値として、パターン寸法変動量合計値計算部10b1a3によって計算された試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xのパターン寸法変動量合計値ΔCD(x)の値が用いられる。更に、数式(1)において、「DL(1.0)」はローカル領域LA(
図5(A)、
図7(A)および
図9(A)参照)内のパターン面積密度U(
図5(B)、
図7(B)および
図9(B)参照)の値が「1.0」に設定された場合におけるドーズラチチュードDL(
図5(B)、
図7(B)および
図9(B)参照)の値を示している。
【0039】
具体的には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,1が「0.2」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、ローカル領域LA(
図5(A)、
図7(A)および
図9(A)参照)内のパターン面積密度U(
図5(B)、
図7(B)および
図9(B)参照)の値が「1.0」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)
=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)
が選ばれる。次いで、例えば、これらの3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、計算値vME
2,1の値「0.2」に対応するグローバル領域GA(
図7(A)参照)内のパターン面積密度V(
図7(B)参照)の値「0.2」を有する1組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)
が選ばれる。
【0040】
つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,1が「0.2」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される時、数式1中の「DL(1.0)」の値として、パターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)中のドーズラチチュードDLの値「1.22」が用いられる。
その結果、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式1に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,1(
図10参照)内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
【0041】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,2が「0.8」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、ローカル領域LA(
図5(A)、
図7(A)および
図9(A)参照)内のパターン面積密度U(
図5(B)、
図7(B)および
図9(B)参照)の値が「1.0」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)
=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)
が選ばれる。次いで、例えば、これらの3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、計算値vME
2,2の値「0.8」に対応するグローバル領域GA(
図9(A)参照)内のパターン面積密度V(
図9(B)参照)の値「0.8」を有する1組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)
が選ばれる。
【0042】
つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,2が「0.8」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される時、数式1中の「DL(1.0)」の値として、パターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)中のドーズラチチュードDLの値「1.3」が用いられる。
その結果、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式1に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,2(
図10参照)内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
【0043】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、ローカル領域LA(
図5(A)、
図7(A)および
図9(A)参照)内のパターン面積密度U(
図5(B)、
図7(B)および
図9(B)参照)の値が「1.0」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)
=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)
が選ばれる。次いで、例えば、これらの3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、計算値vME
1,1の値「0.0」に対応するグローバル領域GA(
図9(A)参照)内のパターン面積密度V(
図5(B)参照)の値「0.0」を有する1組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
が選ばれる。
【0044】
つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される時、数式1中の「DL(1.0)」の値として、パターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)中のドーズラチチュードDLの値「1.2」が用いられる。
その結果、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式1に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
【0045】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,2が「0.5」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、すなわち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,2が計算値vME
2,1の値「0.2」より大きく計算値vME
2,2の値「0.8」より小さい値「0.5」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、計算値vME
2,1「0.2」に対応するグローバル領域GA(
図7(A)参照)内のパターン面積密度Uの値「0.2」(
図7(B)参照)に対応するドーズラチチュードDLの値「1.22」(
図7(B)参照)と、計算値vME
2,2「0.8」に対応するグローバル領域GA(
図9(A)参照)内のパターン面積密度Uの値「0.8」(
図9(B)参照)に対応するドーズラチチュードDLの値「1.3」(
図9(B)参照)とに基づく補間操作により得られるドーズラチチュードDLの値「1.26」が、数式1中の「DL(1.0)」の値として用いられる。
その結果、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式1に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,2(
図10参照)内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
【0046】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,n(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,nが「0.1」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、すなわち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,n(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,nが計算値vME
2,1の値「0.2」より小さく計算値vME
1,1の値「0.0」より大きい値「0.1」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、計算値vME
2,1「0.2」に対応するグローバル領域GA(
図7(A)参照)内のパターン面積密度Uの値「0.2」(
図7(B)参照)に対応するドーズラチチュードDLの値「1.22」(
図7(B)参照)と、計算値vME
1,1「0.0」に対応するグローバル領域GA(
図5(A)参照)内のパターン面積密度Uの値「0.0」(
図5(B)参照)に対応するドーズラチチュードDLの値「1.2」(
図5(B)参照)とに基づく補間操作により得られるドーズラチチュードDLの値「1.21」が、数式1中の「DL(1.0)」の値として用いられる。
その結果、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式1に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,n(
図10参照)内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
【0047】
同様に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式1に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のすべてのメッシュME
1,1,…,ME
m,n(
図10参照)内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した計算により得られたベースドーズ(位置依存ベースドーズ)D
bΔCD(x)と、下記の数式(2)、数式(3)とが用いられ、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって、試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が計算される。
【0048】
【数2】
【数3】
数式(2)および数式(3)において、「η」は近接効果補正係数(定数)を示している。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式(2)中の近接効果補正係数ηの値として、例えば特許文献4(特開2010−161099号公報)の段落0028、段落0032、段落0047等に記載された近接効果補正係数(定数)の値が用いられる。
【0049】
具体的には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,1が「0.2」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、グローバル領域GA(
図6(A)、
図6(C)および
図7(A)参照)内のパターン面積密度V(
図6(B)、
図6(D)および
図7(B)参照)の値が「0.2」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(0.0,0.2,0.62)(
図6(B)参照)
=(0.5,0.2,0.93)(
図6(D)参照)
=(1.0,0.2,1.22)(
図7(B)参照)
が選ばれる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)のパターン面積密度Uの各値における位置依存近接効果補正係数η(U)が、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される。
【0050】
詳細には、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「0.0」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「0.62」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
また、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「0.5」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「0.93」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
更に、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「1.0」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「1.22」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって、例えば上述したパターン面積密度Uの各値における位置依存近接効果補正係数η(U)の平均値が計算され、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,1が「0.2」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)として用いられる。
【0051】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,2が「0.8」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、グローバル領域GA(
図8(A)、
図8(C)および
図9(A)参照)内のパターン面積密度V(
図8(B)、
図8(D)および
図9(B)参照)の値が「0.8」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(0.0,0.8,0.65)(
図8(B)参照)
=(0.5,0.8,1.0)(
図8(D)参照)
=(1.0,0.8,1.3)(
図9(B)参照)
が選ばれる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)のパターン面積密度Uの各値における位置依存近接効果補正係数η(U)が、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される。
【0052】
詳細には、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「0.0」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「0.65」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
また、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「0.5」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「1.0」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
更に、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「1.0」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「1.3」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって、例えば上述したパターン面積密度Uの各値における位置依存近接効果補正係数η(U)の平均値が計算され、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
2,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
2,2が「0.8」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)として用いられる。
【0053】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、グローバル領域GA(
図4(A)、
図4(C)および
図5(A)参照)内のパターン面積密度V(
図4(B)、
図4(D)および
図5(B)参照)の値が「0.0」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(0.0,0.0,0.6)(
図4(B)参照)
=(0.5,0.0,0.9)(
図4(D)参照)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
が選ばれる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)のパターン面積密度Uの各値における位置依存近接効果補正係数η(U)が、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される。
【0054】
詳細には、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「0.0」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「0.6」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「0.0」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
また、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「0.5」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「0.9」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「0.5」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
更に、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合には、数式(2)および数式(3)中の「U」の値が「1.0」になり、数式(2)中の「DL(U)」の値が「1.2」になる。その結果、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合における「D
p(U)」の値が数式(2)に基づいて得られる。また、パターン面積密度Uの値が「1.0」の場合における「η(U)」の値が、その「D
p(U)」の値と、数式(3)とに基づいて得られる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって、例えば上述したパターン面積密度Uの各値における位置依存近接効果補正係数η(U)の平均値が計算され、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)として用いられる。
【0055】
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,2が「0.5」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、すなわち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,2(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,2が計算値vME
2,1の値「0.2」より大きく計算値vME
2,2の値「0.8」より小さい値「0.5」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、例えば、計算値vME
2,1が「0.2」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)の値と計算値vME
2,2が「0.8」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)の値とに基づく補間操作が実行され、計算値vME
1,2が「0.5」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)として用いられる。
【0056】
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,n(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,nが「0.1」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、すなわち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,n(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,nが計算値vME
2,1の値「0.2」より小さく計算値vME
1,1の値「0.0」より大きい値「0.1」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、例えば、計算値vME
2,1が「0.2」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)の値と計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)の値とに基づく補間操作が実行され、計算値vME
1,nが「0.1」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)として用いられる。
【0057】
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、同様の補間操作に基づき、試料M(
図3参照)の描画領域内のうち、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のすべてのメッシュME
1,1,…,ME
m,n(
図10参照)内の位置xの近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(x)を、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算することができる。
次いで、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図2に示すように、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5により得られる位置依存ベースドーズD
bΔCD(x)および位置依存近接効果補正係数η(x)と、例えば特許文献1の
図12および
図13に記載された数式とに基づき、近接効果補正照射量計算部10b1a6によって試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xの近接効果補正照射量D
p(x)が計算され、例えば試料M(
図3参照)の描画領域全体に対応する近接効果補正照射量マップが作成される。
【0058】
換言すれば、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した例えば9組のパターン面積密度Uの値およびパターン面積密度Vの値を変化させたパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)に基づくと共に、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)の各メッシュME
1,1,…,ME
m,n内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1,…,vME
m,nであって、パターン面積密度Vの値に対応する値に基づいて、位置依存ベースドーズD
bΔCD(x)および位置依存近接効果補正係数η(x)が計算される。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、位置依存ベースドーズD
bΔCD(x)および位置依存近接効果補正係数η(x)の計算時に、ローカル領域LA(
図4(A)等参照)内のパターン面積密度Uが考慮されるのみならず、グローバル領域GA(
図4(A)等参照)内のパターン面積密度Vも考慮され、更に、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)の各メッシュME
1,1,…,ME
m,n内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1,…,vME
m,nであって、パターン面積密度Vの値に対応する値が考慮される。
そのため、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10によれば、ベースドーズ(基準照射量)および近接効果補正係数の計算時に、グローバル領域GA内のパターン面積密度Vが考慮されず、また、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)の各メッシュME
1,1,…,ME
m,n内の計算値vME
1,1,…,vME
m,nも考慮されない例えば特許文献1の段落0030、段落0053、段落0054、
図3、
図4および
図5に記載された荷電粒子ビーム描画装置のような一般的な荷電粒子ビーム描画装置よりも、位置依存ベースドーズD
bΔCD(x)および位置依存近接効果補正係数η(x)の適切な値を計算することができ、その結果、パターン寸法CDの変動量を低減することができる。
【0059】
図11は第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5における処理を説明するための図である。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述したように数式(1)、数式(2)および数式(3)を用いることによって位置依存ベースドーズD
bΔCD(x)および位置依存近接効果補正係数η(x)が計算されるが、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、代わりに、
図11中の数式(4)および数式(5)を用いることによって位置依存ベースドーズDb(
図11参照)および位置依存近接効果補正係数η(
図11参照)が計算される。
具体的には、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)Db(
図11参照)および近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(
図11参照)が位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって計算される場合、まず最初に、例えば、上述した9組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)の中から、グローバル領域GA(
図4(A)、
図4(C)および
図5(A)参照)内のパターン面積密度V(
図4(B)、
図4(D)および
図5(B)参照)の値が、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の計算値vME
1,1に対応する「0.0」に設定された3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)
=(0.0,0.0,0.6)(
図4(B)参照)
=(0.5,0.0,0.9)(
図4(D)参照)
=(1.0,0.0,1.2)(
図5(B)参照)
が選ばれる。
【0060】
次いで、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)のパターン面積密度Uの各値(U=0.0、U=0.5、U=1.0)における近接効果・ローディング効果補正後の照射量D(
図11中のグラフの縦軸、
図11中の数式(4)の左辺)が、位置依存ベースドーズ近接効果補正係数計算部10b1a5(
図2参照)によって、
図11中の数式(4)を用いて計算される。
数式(4)において、「Db」はベースドーズ(定数)を示している。第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、数式(4)中のベースドーズDbの値として、例えば特許文献3の段落0085に記載されたベースドーズ(定数)の値が用いられる。また、数式(4)中のパターン寸法変動量合計値ΔCD(x)の値として、パターン寸法変動量合計値計算部10b1a3によって計算された試料M(
図3参照)の描画領域内の各位置xのパターン寸法変動量合計値ΔCD(x)の値が用いられる。更に、数式(4)中のドーズラチチュードDL(U)の値として、「0.6」(
図4(B)参照)、「0.9」(
図4(D)参照)および「1.2」(
図5(B)参照)が用いられる。また、数式(4)中の関数「Dp(η,U)」が例えば「((1/2)+η)/((1/2)+η×U)」に設定され、数式(4)中の近接効果補正係数η(定数)の値として、例えば特許文献4(特開2010−161099号公報)の段落0028、段落0032、段落0047等に記載された近接効果補正係数(定数)の値が用いられる。
【0061】
詳細には、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、上述した3組のパターン面積密度Uとパターン面積密度VとドーズラチチュードDLとの関係(U,V,DL)のパターン面積密度Uの3つの値(U=0.0、U=0.5、U=1.0)を用いることにより、
図11に示すグラフ中の3つの点が得られる。
次いで、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、
図11に示すグラフ中の曲線に対応する関数(数式(5)の右辺)に関する処理が実行される。具体的には、数式(5)中のベースドーズDb(ΔCD)および近接効果補正係数η(ΔCD)がパラメータ(変数)に設定され、最小二乗法などを利用してフィッティング処理が実行される。第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、このフィッティング処理によって得られる最適な値が、畳み込み積分マップ(Vマップ)(
図10参照)のメッシュME
1,1(
図10参照)内の畳み込み積分計算(∫ρ(x’)κ
G(x−x’)dx’)の計算値vME
1,1が「0.0」になる試料M(
図3参照)の描画領域内の位置xのベースドーズ(位置依存ベースドーズ)Db(
図11参照)および近接効果補正係数(位置依存近接効果補正係数)η(
図11参照)として用いられる。
【0062】
第4の実施形態では、上述した第1から第3の実施形態およびその変形例、並びに各例を適宜組み合わせることも可能である。