(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁性の基材上に、一対の導電パターンと、該一対の導電パターンに電気的に接続された発光素子と、該発光素子の周囲に設けられ、前記一対の導電パターンの一部を被覆する樹脂と、を備え、
前記一対の導電パターンは、それぞれ、前記樹脂に被覆された樹脂被覆部から前記基材の外縁に向かって延出されており、
前記一対の導電パターンの少なくとも前記樹脂被覆部に、前記導電パターンの延出方向に沿って長い形状であって前記基材の表面が露出された複数の貫通孔を有し、
前記複数の貫通孔は、その一部が前記樹脂被覆部から露出している発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本件発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面は模式図であり、そこに示された配置、寸法、比率、形状等は実際と異なる場合がある。また、各実施形態において他の実施形態と同一の符号を用いた部材は、同一又は対応する部材を表しており、説明を省略する場合がある。
【0019】
本件明細書において、「上」、「下」という用語は、発光装置の発光を取り出す側とその逆側を指す用語としても用いる。例えば、「上方」は、発光装置の発光を取り出す方向を指し、「下方」は、その逆の方向を指す。また、「上面」とは発光装置の発光を取り出す側にある面を指し、「下面」とはその逆側の面を指す。
【0020】
<実施の形態1>
図1〜3は、本件発明の実施の形態1に係る発光装置10を示す模式図である。
図1は模式斜視図、
図2は模式平面図、
図3は
図2のA−A線における模式断面図である。発光装置10は、基材1上に、発光素子3と、発光素子3の上面に設けられた透光性部材4と、発光素子3および透光性部材4の側面を被覆する光反射性樹脂5と、を有する。光反射性樹脂5から露出した透光性部材4の上面が、発光装置の発光面4aであり、発光面4aから光が取り出される。発光装置10は、導電パターン2a、2bの光反射性樹脂5から延出され露出された部分を外部電源と接続される外部接続部として用いることができ、バンプ8a、8bを介して発光素子3および保護素子7に電流が供給される。
【0021】
基材1の表面には、正負一対の導電パターン2a、2bが設けられており、導電パターン2a、2bそれぞれに基材1が露出した貫通孔6a、6bが設けられている。貫通孔6a、6bは、導電パターン2a、2bの延出方向に沿って長い形状、つまり本実施形態では基材1の長手方向に沿って長い形状であり、その一部が光反射性樹脂5に被覆され、貫通孔6a、6b内において、基材1の表面と光反射性樹脂5とが接触している。また、基材1上には、光反射性樹脂5内に埋没されたツェナーダイオード等の保護素子7が設けられている。本実施形態では、発光素子3および保護素子7は、同一面側に正電極と負電極が形成され、これらの電極が形成された面を基材に実装するフェースダウン素子であり、Au等のバンプ8a、8bによって基材1表面の導電パターン2a、2bにフリップチップ実装されている。
【0022】
(製造方法)
本実施形態の発光装置10の製造方法について、
図4〜
図7を用いて説明する。
図4および
図5は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する模式断面図であり、
図6および
図7は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する模式平面図である。
【0023】
まず、
図4(a)、
図6(a)に示すように、基材1上に正負一対の導電パターン2a、2bを形成する。本実施形態では、
図6(a)に示すように、カソード側の導電パターン2aとアノード側の導電パターン2bが、発光素子3が載置される基材1の中央部から外縁に向かって延出され、外部電源と接続される外部接続部が構成される。導電パターン2a、2bは、幅広とすることで、外部電源からの電流を発光素子3へと効率的に流すことができ、好ましくは発光素子3の幅より広い幅とする。また、
図6(a)に示すように、導電パターン2a、2bの間には中継用の導電パターン2cが設けられており、これによって、フリップチップ実装される4個の発光素子が直列接続される。
【0024】
次に、
図4(b)、
図6(b)に示すように、発光素子3および保護素子7を、バンプ8a、8bによって導電パターン2a、2bにフリップチップ実装する。4個の発光素子3は一列に配置され、上記したように導電パターン2a、2b、2cによって直列接続される。
【0025】
次に、
図4(c)、
図6(c)に示すように、発光素子3の上面に透光性部材4を接着する。発光素子3と透光性部材4は、接着材(図示せず)を介して固着することができる。この接着材は、発光素子3からの出射光を透光性部材4側へと有効に導光でき、双方の部材を光学的に連結できる材質が好ましく、例えばシリコーン樹脂などの透光性接着材料を用いる。また、発光素子3と透光性部材4との固着には、熱圧着による結晶接合等も採用できる。
【0026】
また、このように、発光素子3が基材1上に形成された導電パターン(金属めっき)上にバンプ等の導電部材を介してフリップチップ実装されている場合、基板の発光素子搭載部と、発光素子との隙間にアンダーフィル材(図示せず)を配置することが好ましい。これにより、発光素子と基板の熱膨張率の差による応力を吸収したり、放熱性を高めたりすることができる。アンダーフィル材は、白色樹脂のように光反射性の部材を用いることで、発光素子から基板方向へ出射される光を反射することができ、光束を高めることができる。
【0027】
アンダーフィル材は、後の工程でこれらを被覆して形成される第2の光反射性樹脂5bよりも低弾性あるいは低線膨張の材料を用いると、発光素子と基板との接合部における樹脂膨張収縮応力の緩和が可能となり、電気的な接合信頼性が向上するため好ましい。このようなアンダーフィル材は、例えばJIS−A硬度(ゴム硬度)10以下とすることが好ましい。この場合、第2の光反射性樹脂5bに機械強度の高い材料を使用し、アンダーフィル材が外部に露出しないよう、第2の光反射性樹脂5bでアンダーフィル材を完全に覆う構成とすることが好ましい。これにより、発光素子3およびアンダーフィル材部分の外的応力に対する耐久性を確保できる。なお、このようにアンダーフィル材と第2の光反射性樹脂5bを異なる材料とする場合は、第2の光反射性樹脂5bを充填する前にアンダーフィル材を硬化することが好ましい。これにより、互いの樹脂が混合することを防止できるので、互いの樹脂の性能を損なうことがない。
【0028】
次に、
図5(a)、
図7(a)に示すように、発光素子3および保護素子7を囲む枠状の第1の光反射性樹脂5a(第1樹脂)を形成する。第1の光反射性樹脂5aは、例えば、空気の圧力で液体樹脂を連続的に、あるいはドット状に吐出可能な樹脂吐出装置を用いて形成することができる。第1の光反射性樹脂5aは、好ましくは、貫通孔6a、6bを横断するように形成する。これによって、貫通孔6a、6bの内側で露出した基材1と第1の光反射性樹脂5aが接することができ、第1の光反射性樹脂5aと基材1との密着性を向上できる。貫通孔6a、6b内に露出した基材1の表面は、第1の光反射性樹脂5aからなる枠の内側に充填される樹脂(第2の光反射性樹脂5b)とも接することが好ましく、また、製造時のずれを考慮して、第1の光反射性樹脂5aの形成位置は、貫通孔6a、6bの中心近傍か、それよりも基材1の外縁側とすることが好ましい。
【0029】
第1の光反射性樹脂5aは、その高さが、光を取り出す発光面となる透光性部材4の上面と同程度かそれより低くなるように形成することが好ましい。このように形成することで、後の工程で形成する低粘度の第2の光反射性樹脂5bの這い上がりを利用して発光素子3と透光性部材4の側面を被覆でき、第2の光反射性樹脂5bが透光性部材4の上面に乗り上げて光の出射を阻害することを抑制できる。また、第1の光反射性樹脂5aを高く形成しようとすると、樹脂の量が多くなり幅も広くなるため、この観点からも、第1の光反射性樹脂5aの高さは透光性部材4の上面と同程度かそれより低くすることが好ましい。このように、第1の光反射性樹脂5aの高さは、発光装置の発光面と同程度かそれより低くすることが好ましい。また、第1の光反射性樹脂5aの高さは、発光素子3および透光性部材4を被覆させる第2の反射性樹脂5bが溢れない程度に高くする。好ましくは、基材1の表面または導電パターン2a、2bから発光面4aまでの高さの半分以上とする。
【0030】
第1の光反射性樹脂5aの粘度を高くすることで、幅の増大を抑制してその高さを高くできるが、一方で粘度が高くなると生産性が低下する。特に、樹脂吐出装置を用いて液体樹脂を吐出すことにより第1の光反射性樹脂5aを形成する場合には、吐出した樹脂の始点と終点を重ねることで枠を形成するが、樹脂の粘度が高いと、重なり部分に隙間が残されたり、重なり具合に差が生じたりする。第1の光反射性樹脂5aの粘度は、例えば、
図5(a)に示すように、断面形状が略半円形状であって、その裾野が基材1上に濡れ広がる程度とする。
【0031】
第1の光反射性樹脂5aを硬化する前に、
図5(b)、
図7(b)に示すように、第1の光反射性樹脂5aからなる枠の内側に、第1の光反射性樹脂5aよりも粘度の低い第2の光反射性樹脂5b(第2樹脂)を充填する。第2の光反射性樹脂5bは、
図5(b)に示すように、発光素子3および透光性部材4の側面を被覆し、第2の光反射性樹脂5bから露出した透光性部材4の上面を発光装置10の発光面4aとする。また、第2の光反射性樹脂5bが第1の光反射性樹脂5aの枠から溢れないように、第2の光反射性樹脂5bの表面のうち最も低い部分が第1の光反射性樹脂5aの高さと同程度か、もしくはそれよりも低くなるように第2の光反射性樹脂5bを充填する。第2の光反射性樹脂5bの充填量は、発光素子3および透光性部材4の側面をほぼ完全に被覆する程度に調整する。各部材の表面状態や第2の光反射性樹脂5bの粘度にもよるが、例えば基材1の表面または導電パターン2a、2bから発光面4aまでの高さの半分以上とする。光漏れを防止するためには、特に発光源である発光素子3の側面において第2の光反射性樹脂5bを厚く形成することが好ましい。このため、第2の光反射性樹脂5bの表面のうち最も低い部分が発光素子3の上面より高くなるように、第1の光反射性樹脂5aを少なくとも発光素子3の上面より高く形成し、第2の光反射性樹脂5bの充填量を調整することが好ましい。
【0032】
また、保護素子7による光吸収を防止するため、保護素子7は第2の光反射性樹脂5bによって完全に被覆される。このとき、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bによって、発光素子3の近傍や保護素子7の近傍など、正負一対の導電パターン2a、2bが対面する部分が被覆されるように形成することが好ましく、これによって塵の付着等による短絡を防止することができる。
【0033】
第2の光反射性樹脂5bは、発光素子3および透光性部材4の側面を確実に被覆するため、第1の光反射性樹脂5aよりも粘度の低い樹脂材料を選択する。光反射性樹脂を構成する樹脂として高粘度の樹脂のみを用いると、発光素子3や透光性部材4の側面に沿って這い上がり難く、完全に側面を被覆することが困難である。一方、低粘度の樹脂のみを用いると、樹脂の裾野が不必要に広がり、発光装置のサイズが大きくなってしまう。また、これを防ぐために樹脂を堰き止める型を用いると、型を剥がす際に樹脂が引っ張られ、基材から樹脂が剥離する場合がある。このため、本実施形態では、第1の光反射性樹脂5aとして高粘度の樹脂を用い、第2の光反射性樹脂5bとして低粘度の樹脂を用いる。第1の光反射性樹脂5aは、第2の光反射性樹脂5bよりも粘度の高い樹脂とすることで、樹脂硬化前であっても、粘度の低い第2の光反射性樹脂5bを塞き止めるダムとして機能させることができる。なお、粘度は、例えば母材となる樹脂自体の粘度によって調整できる。この場合、母材に含有されるフィラーは第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bで同じものを使用してよい。
【0034】
第2の光反射性樹脂5bの充填後、
図5(c)、
図7(c)に示すように、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bとを硬化し、光反射性樹脂5とする。第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bとは、上記のように同一の基材1上に密着して形成されているため、同一工程で硬化できる。これらの樹脂は略同時に硬化されることが好ましいが、硬化開始と硬化完了が同時でなくてもよい。これによって、第1の光反射性樹脂と第2の光反射性樹脂との境界に界面が形成されず、一体化される。これによって、第1の光反射性樹脂と第2の光反射性樹脂の密着力が向上でき、剥離を抑制できるので、信頼性の向上した発光装置を得ることができる。好ましくは、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bが同一条件で硬化されるように、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bの母材として硬化条件が実質的に等しい樹脂を用いる。
【0035】
以下に、本実施形態における発光装置10の各部材及び構造について説明する。
【0036】
(基材1)
基材1としては、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁性部材で構成される基板が挙げられる。また、絶縁部材を形成した金属であってもよいし、金属部材に絶縁部材を形成しているものであってもよい。特に、本実施形態では、第1の光反射性樹脂5aによって枠を形成し、その内側に第2の光反射性樹脂5bやその他の樹脂を充填できるため、基材1は平板上の基板とすることが好ましい。また、その表面に発光素子3との接続をとるための導体配線(導電パターン)を形成することができるものが好ましく、そのような材料として、耐熱性および耐候性の高いセラミックスからなることが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが好ましい。また、光反射性樹脂5との密着性の点からも、セラミックス材料を用いることが好ましく、セラミックス基板を用いることが好ましい。セラミックス材料は、金属材料からなる導電パターンよりも、光反射性樹脂5との密着性が高く、さらには光反射性樹脂5との熱膨張係数差が小さいため熱応力を緩和させることが可能となる。これにより発光装置の封止気密性が向上し、温度サイクル時の熱ストレスによる光反射性樹脂の剥離が防止され、発光装置の信頼性の向上が期待できる。また、基材1は、発光素子3からの熱を適切に放熱するために、熱伝導率が150W/m・K以上であることが好ましい。
【0037】
また、本実施形態では、基材1上において4個の発光素子3が実装されているが、発光素子3の搭載個数はこれに限定されるものではなく、所望とする発光装置の大きさや必要とされる輝度に応じて適宜変更することができる。
【0038】
(導電パターン2a、2b)
正負一対の導電パターン2a、2bは、基材1上に、光反射性樹脂5(樹脂)に被覆された樹脂被覆部から基材1の外縁に向かって延出された形状で形成される。導電パターン2a、2bは、幅広とすることで、外部電源からの電流を発光素子3へと効率的に流すことができ、好ましくは発光素子3の幅より広い幅とする。導電パターン2a、2bの材料としては、基材1表面に形成可能であり、発光装置の正極および負極として用いることのできる材料を選択する。例えば、バンプと同じAuを用いる。導電パターン2a、2bは、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成できる。また、本実施形態の導電パターン2a、2bは、光反射樹脂5によって被覆された樹脂被覆部から基材1の外縁へ向かって延伸し、基材1の外縁にほぼ到達した位置で、さらに基材1の外縁に沿って連続して延伸している。これによって、外部電源と接続される外部接続部を大面積とでき、外部電源と接続し易い発光装置とできる。また、導電パターン
2a、
2bに用いられる金属材料は、外来光を反射し易いため、
図2に示すように、光反射性樹脂5から露出した導電パターン
2a、
2bの
図2中における下端の位置は、発光面4aの
図2中における下端の位置と略同一とすることが好ましい。これによって、
図2中における発光面4aの下端よりも下側において、外来光からの照り返しを抑制でき、所望の照射パターンを得ることができる。
【0039】
(貫通孔6a、6b)
導電パターン2a、2bには、それぞれ、導電パターン2a、2bの延出方向に沿って長い形状であって基材1が露出した貫通孔6a、6bが設けられる。導電パターン2a、2bの延出方向は、導電パターン2a、2bが光反射性樹脂5で被覆された樹脂被覆部から基材1の外縁に向かって延伸した方向であり、本実施形態では基材1の長手方向と一致する。貫通孔6a、6bは、例えば、導電パターン2a、2bの形成の際に所定のマスクパターンを配置して形成することができる。貫通孔6a、6bは、少なくとも光反射性樹脂5で被覆される位置に設けられ、貫通孔6a、6bの内側で基材1と光反射性樹脂5が接触する。製造過程においては、貫通孔6a、6bは、第1の光反射性樹脂5aが形成される位置に、好ましくは第1の光反射性樹脂5aおよび第2の光反射性樹脂5bの両方が形成される位置に形成される。このように、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bの両方が共通の貫通孔6a、6bを被覆するように各部材を配置することで、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bの基材1との密着性を向上でき、剥離を抑制できる。
【0040】
光反射性樹脂5は、導電パターン2a、2b(金属)よりも基材1(特に樹脂やセラミックス)との密着性が良好であるため、基材1の表面を貫通孔6a、6bにより一部露出させることで、基材1と光反射性樹脂5との密着性を向上でき、光反射性樹脂5の剥離を抑制できる。さらに、貫通孔6a、6bを導電パターンの延出方向に沿って長い形状としているので、導電パターン2a、2bを流れる電流が阻害され難く、且つ、光反射性樹脂5との接着面積を大きくできる。また、このような貫通孔6a、6bを設けることで、導電パターン2a、2bの幅広化による基材1と光反射性樹脂5との密着性の低下を抑制できるので、導電パターン2a、2bを幅広に設けることができ、電流が流れ易く、電気抵抗が低い発光装置を得ることができる。
【0041】
貫通孔6a、6bは、好ましくは導電パターン2a、2bの延出方向と略平行な方向に長い形状とし、さらに好ましくは、
図7(a)に示すように、導電パターン2a、2bの延出方向を長手方向とする略長方形状とする。また、
図5(d)に示すように、貫通孔6a、6bは、枠状の第1の光反射性樹脂5aの延伸方向に対して垂直方向に長い形状とすることが好ましい。貫通孔6a、6bの短手方向の幅は、少なくとも、貫通孔6a、6b内で基材1と光反射性樹脂5とが接触可能な程度あればよく、導電パターン2a、2bにおける電流の流れを阻害し難いように幅狭とすることが好ましい。貫通孔6a、6bの短手方向の幅は、発光素子3の幅よりも小さくでき、また、第1の光反射性樹脂5aの幅よりも小さくできる。また、貫通孔6a、6bの短手方向の幅は、貫通孔6a、6bが配置された部分における導電パターン2a、2bの幅の5%〜20%程度とすることが好ましく、複数配置する場合は、複数の貫通孔6aの幅の合計を導電パターン2aの半分以下、さらには20%〜40%程度とすることが好ましい。このような貫通孔6a、6bは、複数設けることで、電流の流れを阻害しないように、基材1と光反射性樹脂5との接着面積を大きくでき、基材1と光反射性樹脂5との密着力を向上できる。複数の貫通孔6a、6bは略同一の間隔で配置することが好ましく、正負一対の導電パターン2a、2bにそれぞれ同一の数を同様に配置することが好ましい。例えば、本実施形態では、
図6(a)に示すように、正負一対の導電パターン2a、2bにそれぞれ4個ずつの貫通孔6a、6bを設けている。
【0042】
(発光素子3)
発光素子3としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、保護素子7を設ける場合には、透光性部材4を設けることで発光面4aを保護素子7の上面よりも高くでき、保護素子7を光反射性樹脂5によって完全に埋没させることができるので、保護素子7による光吸収を防止できる。
【0043】
本実施形態1の発光素子3は、同一面側に正負一対の電極を有するものであり一対の電極がバンプ8aを介して基材1の導電パターン2a、2bにフリップチップ実装されており、電極の形成された下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子3は、バンプ8aや導電ペーストなどの導電部材を用いて導電パターン2a、2bに電気的に接続されるため、金属ワイヤなどで接続されるフェースアップ型の発光素子と比較して、導電パターン2a、2bとの接続面積を大きくできる。これによって、幅広で形成した導電パターン2a、2bによる電流を阻害されずに発光素子3へ電流を流し易くできる。このため、発光素子3は、フリップチップ実装される発光素子、例えば、導電パターン側に正負一対の電極を有するフェースダウン型の発光素子を用いることが好ましい。
【0044】
発光素子3は、例えば、透光性の成長用のサファイア基板上に窒化物半導体を積層させて形成された発光素子であり、サファイア基板が発光素子3の上面側となり、主な光出射面となる。なお、成長用基板は除去してもよく、例えば、研磨、LLO(Laser Lift Off)等で除去することができる。なお、このような成長用基板はサファイア基板に限定されるものではなく、適宜変更可能である。なお、発光素子3は複数でも単数でもよい。
【0045】
(透光性部材4)
透光性部材4は、発光素子3から出射される光を透過して外部に放出することが可能な材料であり、光拡散材や、入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有させてもよい。具体的には、例えば、蛍光体の単結晶、多結晶もしくは蛍光体粉末の焼結体等の蛍光体インゴットから切り出したものや、樹脂、ガラス、無機物等に蛍光体粉末を混合して焼結したものが挙げられる。透光性部材4の厚みは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能であるが、例えば、50〜300μm程度である。発光素子3の上面に透光性部材4を設けることで、発光素子3単独よりも、基材1の表面または導電パターン2a、2bから発光装置の発光面4aまでの距離を大きくできるので、光反射性樹脂5による発光面4aの被覆を抑制できる。
【0046】
青色発光素子と好適に組み合わせて白色系の混色光を発光させることができ、波長変換部材に用いられる代表的な蛍光体としては、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)系、BOS(Barium ortho-Silicate)系等の蛍光体などが好適に用いられる。白色に発光可能な発光装置とする場合、透光性部材4に含有される蛍光体の濃度によって白色となるよう調整される。蛍光体の濃度は、例えば、5〜50%程度である。透光性部材4の厚みが薄いほうが光取り出し効率が良くなるが、薄くなるほど強度が下がるため、また、基材1表面から発光面4aまでの距離が小さくなるため、適宜調整されるのが好ましい。さらに、波長変換部材を含有する透光性部材4と青色発光素子とを接合する接着材に赤色蛍光体を含有させることで、JIS規格に沿うように、電球色に発光する発光装置とすることができる。
【0047】
透光性部材4は、発光素子からの光を入射する面となる下面と、発光素子からの光を出射する面となる上面(
図3においては発光面4a)とを有している。透光性部材4の上面および下面は、互いに略平行な平坦面であってもよいし、平坦面に凹凸形状を有する構造であってもよいし、曲面を有してもよい。例えば、透光性部材4はレンズ形状であってもよく、レンズ状の透光性部材4の側面を光反射性部材5によって被覆する構造としてもよい。好ましくは、透光性部材4は、光反射性部材5によって側面が被覆され易く上面が被覆され難い板状とする。
【0048】
発光素子3を複数個搭載する場合には、発光素子3のそれぞれに対して透光性部材を接合してもよいし、
図5(c)に示すように、複数の発光素子3に対して1つの透光性部材4を接合させてもよい。また、後述する
図8に示す実施の形態2に係る発光装置20のように、透光性部材を省略して、発光素子3の上面を発光装置の発光面3aとすることもできる。
【0049】
(光反射性樹脂5、第1の光反射性樹脂5a、第2の光反射性樹脂5b)
光反射性樹脂5は、本実施形態では、発光素子3および透光性部材4の側面を被覆しており、具体的には、発光素子3および透光性部材4の周囲を包囲する枠状の第1の光反射性樹脂5a(第1樹脂)を形成し、第1の光反射性樹脂5aと発光素子3および透光性部材4の間に第2の光反射性樹脂5b(第2樹脂)を充填し、これらを硬化して形成される。このとき、少なくとも発光素子3の上面(光取出面)は光反射性樹脂5から露出させることにより、透光性部材4に光を入光することが可能なように形成される。光反射性樹脂5は、発光素子3からの光を反射可能な部材からなり、発光素子3と光反射性樹脂5との界面、および、透光性部材4と光反射性樹脂5との界面で、発光素子3からの光を発光素子3および透光性部材4内に反射させる。このように、発光素子3および透光性部材4内を光が伝播し、最終的に透光性部材4の上面4aから、外部へと出射される。
【0050】
光反射性樹脂5の上面は、発光装置の発光面4aである透光性部材4の上面の高さよりも低いことが好ましい。発光面4aから出射された光は、横方向にも広がりを持つ。光反射性樹脂5の上面が、発光面4aの高さよりも高い場合には、発光面4aから出射された光が光反射性樹脂5に当たって反射され、配光のばらつきが生じる。よって、透光性部材4の側面は光反射性樹脂5で覆いつつ、側面の外周を覆う光反射性樹脂5の高さを低くすることで、出射された光を外部に直接取り出すことができるため、好ましい。
【0051】
光反射性樹脂5としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂からなる母材に反射性物質を含有させることで形成することができる。反射性物質の材料としては、Ti、Zr、Nb、Al、Siのいずれかを含む酸化物、または、AlN、MgFなどを用いることができる。好ましくは酸化チタン(TiO
2)を用いる。好ましくは、反射性物質として、母材の屈折率と異なる粒子を母材中に分散させる。その含有濃度、密度により光の反射量、透過量が異なるため、発光装置の形状、大きさに応じて、適宜濃度、密度を調整するとよい。例えば、比較的小さい発光装置の場合には、第1の光反射部材の肉厚を小さくする必要があり、その薄肉部で光の漏れを抑制するために、反射性物質の濃度を高くすることが好ましい。一方で、光反射性樹脂5の塗布、成形などの製造工程において、反射性物質の濃度が高くなると製造上の困難性がある場合には、その濃度を適宜調整する。例えば、反射性物質(粒子)の含有濃度を30wt%以上、その肉厚を20μm以上とするのが好ましい。
【0052】
第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bは、それぞれ、高粘度の樹脂と低粘度の樹脂とすることが好ましく、その材料として、上記の光反射性樹脂5と同様のものを用いることができる。第1の光反射性樹脂5aの粘度は、200〜1200Pa・sが好ましく、さらには200〜900Pa・s、350〜400Pa・sとすることが好ましい。第2の光反射性樹脂5bの粘度は、20Pa・s以下が好ましく、4Pa・s以上が好ましく、さらには4〜8Pa・sとすることが好ましい。また、第1の光反射性樹脂5aの粘度は、このような第2の光反射性樹脂5bの粘度より200Pa・s以上大きくし、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bとの粘度差は例えば400Pa・s程度とする。また、反射性物質を含有させることよって樹脂の粘度は変化する。第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bとにそれぞれ酸化チタン粒子を約30wt%含有させる場合は、第1の光反射性樹脂5aの母材として粘度が230〜270Pa・sの樹脂を用い、第2の光反射性樹脂5bの母材として粘度が2.7〜5.3Pa・sの樹脂を用いることが好ましい。第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bは、同じ樹脂材料を用いることが好ましく、これによって、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bの密着性を向上でき、また、実質的に同一の条件で硬化させることができる。同じ樹脂材料であっても粘度の異なるものがあるため、例えば、高粘度のジメチルシリコーン樹脂を第1の光反射性樹脂5aの母材として用い、低粘度のジメチルシリコーン樹脂を第2の光反射性樹脂5bの母材として用いる。耐熱性の点からは、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。母材に含有させる反射性物質等のフィラーは、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bで異なるものを用いることができるが、好ましくは同じものを用いる。例えば、上記の粘度が異なるジメチルシリコーン樹脂にそれぞれ酸化チタンの粒子を30wt%含有させたものを第1の光反射性樹脂5aおよび第2の光反射性樹脂5bとして用いることができる。また、第1の光反射性樹脂5aに替えて、反射性物質を含有しない透光性の樹脂材料を用いて枠を形成し、その枠の内側に第2の光反射性樹脂5bを充填することもできる。しかし、枠を透光性の第1樹脂とすると、第2の光反射性樹脂5b中の反射性物質が第1樹脂にまで拡散し、第2の光反射性樹脂5b中の反射性物質の濃度が低下し、第2の光反射性樹脂5bの反射率が低下する場合がある。このため、枠は光反射性の樹脂(第1の光反射性樹脂5a)とすることが好ましい。また、枠に光反射性の樹脂を用いることで、導電パターン2a、2bの露出領域と樹脂との境界が容易に判別でき、導電パターン2a、2bの外部電源と接続可能な領域が容易に特定できる。
【0053】
<実施の形態2>
図8に、本実施の形態2の発光装置20の模式断面図を示す。本実施の形態2の発光装置20は、透光性部材を設けず、発光素子3の上面を発光装置の発光面3aとする点が、実施の形態1の発光装置10と異なる。このように、透光性部材を省略することもできる。
【0054】
本実施の形態2の発光装置20の製造方法は、透光性部材が省略された以外は実施の形態1と同様の方法を用いることができる。なお、光反射性樹脂5を形成する際には、発光素子3を囲む第1の光反射性樹脂の高さは、発光装置の発光面3aとなる発光素子3の上面と同程度かそれより低くすることが好ましい。これによって、後の工程で形成する低粘度の第2の光反射性樹脂の這い上がりを利用して発光素子3の側面を被覆でき、第2の光反射性樹脂が発光面3aに乗り上げて光の出射を阻害することを抑制できる。また、これによって第1の光反射性樹脂の樹脂量が節約できる。
【0055】
このように、第1の光反射性樹脂の高さは、発光装置の発光面と同程度かそれより低くすることが好ましい。このように形成することで、
図8に示すように、光反射性樹脂5の高さは発光面3aよりも低くできる。また、第1の光反射性樹脂の高さは、発光素子3を被覆させる第2の反射性樹脂が溢れない程度に高くする。好ましくは、基材1の表面または導電パターン2a、2bから発光面3aまでの高さの半分以上とする。
【0056】
<実施の形態3>
図9に、本実施の形態3の発光装置30の模式平面図を示す。本実施の形態3の発光装置30は、正負一対の導電パターン32a、32bを光反射樹脂5によって被覆された樹脂被覆部から基材1の外縁へ向かって延伸させ、基材1の外縁にほぼ到達した位置で終端させた点が、実施の形態1の発光装置10と異なる。このように、正負一対の導電パターンは、少なくとも外部電源と接続可能な程度に樹脂被覆部から基材の外縁へ向かって延伸されていればよい。
【0057】
<実施の形態4>
図10および
図11に、本実施の形態4の発光装置40の模式断面図および模式平面図を示す。本実施の形態4の発光装置40は、枠状の第1の光反射性樹脂5a(第1樹脂)の内側に、第2樹脂として第2の光反射性樹脂でなく透光性の封止樹脂9を充填する点が、実施の形態1の発光装置10と異なる。
【0058】
このとき、
図10に示すように、発光素子3の側面および上面を透光性の封止樹脂9によって被覆することができる。透光性の封止樹脂9には、発光素子3の発光を波長変換する蛍光体を含有させてもよい。
図11に示すように、第1の光反射性樹脂5aは、実施の形態1の発光装置10と同様に、貫通孔6a、6bを横切って形成されることが好ましい。また、本実施の形態4の発光装置40の製造方法は、実施の形態1と同様の方法を用いることができるが、透光性の封止樹脂9は第1の光反射性樹脂5aの硬化後に充填することが好ましい。これによって、第1の光反射性樹脂5aと封止樹脂9との境界が明瞭となり、第1の光反射性樹脂5aの表面を発光素子3からの光を反射する光反射面として利用できる。第1の光反射性樹脂5aと封止樹脂9は、
図11に示すように、共通の貫通孔6a、6bを被覆するように設けられることが好ましく、これによって第1の光反射性樹脂5aと封止樹脂9の基材1との密着性を向上でき、剥離を抑制できる。第1の光反射性樹脂5aに替えて透光性の樹脂を用いることもできるが、発光素子3からの光を上方に効率良く取り出すためには光反射性の樹脂を用いることが好ましい。また、このように光反射性の樹脂を枠として用いることで、導電パターン2a、2bの露出領域と樹脂との境界が容易に判別でき、外部電源と接続可能な領域が容易に特定できる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明に係る実施例を本発明の製造方法にそって詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0060】
実施例として、
図1〜3に示す発光装置を
図4〜7に示す方法で製造する。なお、
図1〜7は個々の発光装置を示すが、製造時においては集合基板に対して以下の工程を行い、最後に個片化することにより、個々の発光装置を作成する。
【0061】
まず、表面に導電パターン2a、2b、2cが形成された基材1を準備する。本実施例では、基材1として平板状の窒化アルミニウム基板を用いる。基材1は、熱電導率が170W/m・K程度の窒化アルミニウム板材を焼成して形成し、その上にTi、Pt、Auを順に蒸着で施して、発光素子3との電気的接続をとるための導電パターン2a、2b、2cを形成している。正負一対の導電パターン2a、2bにそれぞれ貫通孔6a、6bが設けられている。基材1のサイズは、
図2における縦横の長さがそれぞれ約6.5mm、約12mmであり、厚みが約1mmである。導電パターン2a、2b、2cは、その厚みが約0.9μmであり、
図6(a)における貫通孔6a、6bが配置された部分の幅が約2.2
mmである。貫通孔6a、6bは、その幅が約0.15mm、その長さが約1mmであり、貫通孔6a、6bの幅は導電パターン2a、2bの幅の約6.8%である。貫通孔6a、6bは、導電パターン2a、2bにそれぞれ同一サイズのものが等間隔に4個ずつ、合計8個配置されており、4個の貫通孔6aの幅の合計は導電パターン2aの幅の約27%である。
【0062】
次に、発光素子3および保護素子7を基材1に載置する。この窒化アルミニウム基板の配線である導電パターン2a、2bに、Auからなるバンプ8aを用いて、サファイア基板上に半導体層が積層されて形成された、平面形状が約1mm四方の略正方形であり、厚みが約0.11mmの発光素子3を4個、サファイア基板側が光出射面となるように一列に配置してフリップチップ実装する。保護素子7も発光素子3と同様に、Auからなるバンプ8bを用いて導電パターン2a、2bにフリップチップ実装する。
【0063】
次に、発光素子3の上面に、透光性部材4を接合する。本実施例においては、接着材としてシリコーン樹脂を用い、熱硬化させることで透光性部材4と発光素子3のサファイア基板とを接合面で接着させる。本実施例における透光性部材4は、ガラス中にYAGが分散されてなる厚さ約0.18mmの蛍光体板である。透光性部材4の下面の面積は、発光素子3の上面の面積よりも大きく形成されており、透光性部材4は、接合面から露出された露出面を有するようにして接合される。
【0064】
次に、発光素子3および透光性部材4、並びに保護素子7の周囲を囲む枠状の第1の光反射性樹脂5aを形成する。本実施例において、第1の光反射性樹脂5aは、ジメチルシリコーン樹脂に酸化チタン粒子が約30wt%含有されてなる。第1の光反射性樹脂5aは樹脂吐出装置を用いて吐出され、その高さは約0.23mmであり、基材1表面から発光面4aまでの高さ約0.3mmとの差は約0.07mmであり、第1の光反射性樹脂5aの高さは基材1表面から発光面4aまでの高さの約77%である。第1の光反射性樹脂5aは、コーンプレート型回転粘度計(E型粘度計)で測定すると、母材として用いるジメチルシリコーン樹脂の粘度が約270Pa・sであり、酸化チタン粒子含有後の粘度が約400Pa・sである。
【0065】
次に、第1の光反射性樹脂5aによって形成した枠の内側に第2の光反射性樹脂5bを充填し、発光素子3および透光性部材4の側面を一体的に被覆する。保護素子7は第2の光反射性樹脂5bによって完全に埋没される。第2の光反射性樹脂5bは、コーンプレート型回転粘度計(E型粘度計)で測定した粘度が約4Pa・sであるジメチルシリコーン樹脂に酸化チタン粒子が約30wt%含有されてなる。第2の光反射性樹脂5bの酸化チタン粒子含有後の粘度は約6Pa・sである。
【0066】
そして、第1の光反射性樹脂5aおよび第2の光反射性樹脂5bを硬化する。本実施例では、上記工程を経た基材1を加熱炉に収容して加熱することで、第1の光反射性樹脂5aおよび第2の光反射性樹脂5bをほぼ同時に硬化し、一体化された光反射性樹脂5とする。このようにして得られる発光装置10は、透光性部材4や光反射性部材5を含めた厚みが約1.3mmである。
【0067】
このようにして発光装置10を製造することで、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bが一体化して形成されるので、第1の光反射性樹脂5aと第2の光反射性樹脂5bの密着力を向上できる。また、第1の光反射性樹脂5aおよび第2の光反射性樹脂5bと基材との密着力を向上でき、各部材の剥離を抑制でき、信頼性の向上した発光装置10を安価に製造することができる。また、貫通孔6a、6bを配置した導電パターン2a、2bとすることで、電流を流れ易くでき、且つ、光反射性樹脂5と基材1との密着性の低下を抑制することができる。