(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
30mm角のレタス60g、2mm幅の千切りキャベツ60g、清水8g及び乳化調味料40gを混合し、その混合物を4℃で72時間静置した後に混合物から離水した水の質量の、混合物の静置前の質量に対する割合を乳化調味料の離水率とした場合に、乳化調味料の離水率が、次の基準調味料の離水率に対して85%以下である請求項1又は2記載のW/O/W型乳化調味料。
基準調味料:生卵黄100g、食酢(酢酸濃度4%)90g、清水35g、食塩10g、キサンタンガム2gおよびグルタミン酸ナトリウム3gをミキサーで混合することにより均一な水相を調製し、該水相に食用植物油脂760gを注加して粗乳化した後、コロイドミルで精乳化して調製したもの。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0018】
1.乳化調味料の乳化状態
1-1 W/O/W型
図1Aは、本発明のW/O/W型乳化調味料Aの模式図である。同図に示すように、本発明の乳化調味料Aは、外水相W2に油相Oの油滴Pが分散し、油相Oに内水相W1の水滴Qが分散しているW/O/W型の乳化物である。
【0019】
この乳化調味料Aでは、内水相W1、油相O、及び外水相W2の割合を、質量比で50〜75:5〜30:5〜20、特に、50〜70:15〜30:5〜15とすることができる。
また、内水相W1における水分量は、乳化調味料Aの40〜60%であり、外水相W2における水分量は、乳化調味料Aの10%未満であり、この場合に、外水相W2に分散している油相Oの油滴Pの平均粒子径は10〜25μmである。ここで、油相Oの油滴Pの平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置により測定される中央値(メジアン径)である。
【0020】
この乳化状態では、
図1Aの模式図に示すように、少量の外水相W2に、大径の油相Oの油滴Pが分散し、その油相O中に、小径の内水相W1の水滴Qが、従前のW/O/W型乳化調味料に比して高密度に分散している。具体的には、この乳化調味料Aの少量をスライドガラス上に載せ、カバーガラスを被せ、カバーガラス全体にサンプルを広げることにより、顕微鏡観察用サンプルを作製し、顕微鏡(倍率2000倍)で観察した場合に、90μm四方内に含まれる粒子径10μm以上の油相の油滴Pの好ましくは全てにおいて、そこに含まれる粒子径3μmを超える内水相の水滴Qの数が5以下又は0である。特に、内水相W1の保水性を高める点から、同様にこの乳化調味料Aを顕微鏡で観察した場合に、粒子径10μm以上の油相の油滴P 1個当たりに含まれる粒子径1μm以上3μm以下の内水相の水滴Qの数が10個以上であるとよい。
【0021】
この乳化状態では、食材と乳化調味料Aを混合することにより食材由来の水分が乳化調味料Aの外水相W2に混入し、外水相の水分含量が高まると、
図1Bに示すように、外水相W2の水分が浸透圧により部分的に内水相W1に移行して内水相W1で保水され、かつその状態で乳化状態が安定に維持される。なお、このように、外水相W2に水分が混入した場合に、外水相W2の水分が内水相W1に移行して保水されることは、顕微鏡観察により確認することができる。
したがって、乳化調味料Aを食材に使用することにより、食材から離水が生じても、離水した水により食材が水っぽくなること、あるいはべちゃべちゃになることを防止することができる。
【0022】
また、この乳化調味料Aの乳化安定性は非常に高く、乳化調味料Aを40℃の条件下で1週間保管しても、当初の乳化状態が維持される。したがって、この乳化調味料Aによれば、常温で搬送したり、保管したりすることが可能となる。
【0023】
なお、この乳化安定性には、上述の特定の乳化状態の他に、後述するように、内水相W1に含有させる増粘剤の寄与が大きい。
【0024】
1-2平均粒子径
外水相W2に分散している油相Oの油滴Pの平均粒子径は、上述の通り10〜25μmであり、さらに10〜20μmとすることができる。
外水相W2に分散している油相Oの油滴Pの平均粒子径が前記数値の範囲であることにより、油脂特有のコク味を強く感じることができ、かつ、油相O中に平均粒子径の小さい内水相W1の水滴Qを高密度に分散させることができるため、W/O/W型乳化調味料の保水性を高めることができる。
一方、油相Oに分散している内水相W1の水滴Qの平均粒子径は、3μm以下とすることができ、さらに内水相W1の保水性を高める点から、2.5μm以下、特に1〜2μmとすることができる。
【0025】
2.内水相の成分
内水相は、水、増粘剤、有機酸及び食塩その他の調味料等を含有することができる。
【0026】
2-1 増粘剤
内水相W1に増粘剤を含有させることにより、内水相W1が増粘するので、内水相W1が、外水相W2から移行してきた水分を保水した場合に、その保水状態が維持され易くなる。また、内水相W1が増粘することにより、内水相W1の水分が外水相W2に移行し難くなるので、W/O/W型乳化調味料全体の粘度が低下することを防止することができる。
増粘剤としては、食用として供されるものであれば、特に限定するものではなく、例えば、澱粉、ガム質、ペクチン、カードラン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、コンニャクマンナンなどを使用することができる。
【0027】
このうち、澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の処理を施した加工澱粉、又はこれらの澱粉に湿熱処理を施した湿熱処理澱粉が挙げられる。
【0028】
加工澱粉としては、食品衛生法で含有物に指定された化学的処理を施された澱粉であって食用として供されるものであれば特に限定するものではない。例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いるとよい。
【0029】
湿熱処理澱粉としては、「湿熱処理澱粉」として市販されているものであれば特に限定するものではないが、例えば、澱粉を加熱しても糊化しない程度の水分を含む澱粉粒子を、密閉容器中で相対湿度100%の条件下で約100〜125℃に加熱して得る方法、あるいは第1段階で澱粉を容器中に入れ密閉、減圧し、第2段階で蒸気を容器内に導入し、加湿加熱する減圧加圧加熱法等で製造されたものを用いることができる。
【0030】
ガム質としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、タラガム、グアガム、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム等が挙げられる。
【0031】
内水相W1における増粘剤の含有量は、乳化調味料Aの全体に対して0.1〜3%とすることができ、特に、W/O/W型乳化調味料Aの乳化安定性を高めると共に、W/O/W型乳化調味料Aを使用した食品からの離水を効果的に抑制することができる点から、0.5〜2%とすることができる。
また、上記増粘剤の中でも、内水相W1が、外水相W2から移行してきた水分を保水した場合に、その保水状態が維持され易くなる点で、澱粉を用いるとよく、さらに、W/O/W型乳化調味料Aの乳化安定性を高める点で、澱粉とガム質を併用するとよい。
【0032】
2-2 有機酸
内水相W1に含有させる有機酸としては、食用として供されるものであれば特に限定するものではないが、例えば、食酢、酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸などを挙げることができる。このうち、食酢としては、醸造酢、ワインビネガーなどを使用することができる。
【0033】
内水相W1における有機酸の含有量は、乳化調味料Aの全体に対して0.2〜2%とすることができ、さらに0.5〜1.5%とすることができる。有機酸の含有量が前記数値の範囲であることにより、風味が良好であり、微生物の繁殖を抑制し、かつ、油相Oの油滴Pの安定化および内水相W2の水滴Qの微細化に寄与することができる。
また、食感および離水抑制効果が優れている点で、有機酸全量に対する内水相W1の有機酸含有量の質量比が70/100〜90/100であるとよく、さらに75/100〜90/100であるとよい。
【0034】
2-3 食塩
本発明のW/O/W型乳化調味料Aは食塩を1〜6%含有するが、W/O/W型乳化調味料Aを食材と混合した場合に、食材が離水することを抑制するため、内水相W1における食塩の含有量は、外水相W2における食塩の含有量よりも高めることが好ましい。そこで、内水相W1における食塩の含有量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体に対して2〜5%とすることができ、さらに2〜4%とすることができる。また、食塩全量に対する内水相W1の食塩含有量の質量比が70/100〜98/100であるとよい。
【0035】
2-4 その他の調味料
内水相W1は、必要に応じて、グルタミン酸ナトリウム、砂糖等を含有することができる。
【0036】
2-5 水分
内水相W1における水分量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体の40〜60%であり、特に、45〜60%とすることができる。内水相W1における水分量が、前記数値の範囲であることにより、油相O中に内水相W1の水滴Qを多量に分散させ、油相Oの油滴Pの平均粒子径を大きくすることができるため、油脂特有のコク味の向上に寄与し、かつ、油相O中に内水相W1の水滴Qを高密度に分散させることにつながるため、W/O/W型乳化調味料Aの保水性が向上する。
【0037】
3.外水相の成分
外水相W2は、水及び卵黄を含有し、さらに、有機酸、増粘剤、卵白、食塩その他の調味料等を含有することができる。
【0038】
3-1 卵黄
外水相W2において、卵黄は、乳化剤等として機能し、油相Oの分散状態を安定化させることができる。
卵黄としては、例えば、生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。特に、油相Oの分散状態を安定化の点から、上述の酵素処理をした卵黄、中でも、ホスフォリパーゼA1又はホスフォリパーゼA2で酵素処理した卵黄、即ちリゾ化卵黄を挙げることができる。
【0039】
外水相W2における卵黄の含有量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体に対して、固形分換算で1〜10%、特に2〜8%とすることができる。
【0040】
3-2 有機酸
外水相W2には、内水相W1について記載した上述の有機酸を含有させることができる。ただし、W/O/W型乳化調味料Aの酸味を抑える点から、外水相W2における有機酸の含有量は、内水相W1における有機酸の含有量よりも少なくすることが好ましく、特に、W/O/W型乳化調味料A全体に対して0.1〜0.5%とすることができ、さらに0.2〜0.4%とすることができる。有機酸の含有量が前記数値の範囲であることにより、W/O/W型乳化調味料Aの酸味が適度に感じられて風味が良好であり、微生物の繁殖を抑制することができ、かつ、油相Oの油滴Pの安定化および内水相W2の水滴Qの微細化に寄与することができる。
また、食感および離水抑制効果が優れている点で、有機酸全量に対する外水相W2の有機酸含有量の質量比が10/100〜30/100であるとよく、さらに10/100〜25/100であるとよい。
【0041】
3-3 増粘剤
外水相W2に増粘剤を含有させることにより、油相Oの分散状態を安定化させることができる。
増粘剤としては、内水相W1について記載した上述の増粘剤を含有させることができる。内水相W1に含有させる増粘剤と同じものを含有させてもよく、異なるものを含有させてもよい。特に、少量で含水量の低い外水相W2に大径の油相Oの油滴Pを安定に分散できる点で、澱粉を用いるとよく、さらにW/O/W型乳化調味料Aの乳化安定性を高める点で澱粉とガム質を併用するとよい。
【0042】
外水相W2における増粘剤の含有量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体に対して0.1〜3%とすることができ、特に、W/O/W型乳化調味料Aの乳化安定性を高めると共に、W/O/W型乳化調味料を使用した食品が離水しても、その水分によりべちゃべちゃになることを効果的に抑制することができる点から、0.1〜1.5%とすることができる。
【0043】
3-4 卵白
外水相W2において、卵白を配合することにより、卵白のタンパク質が油相Oの粒子又は上記増粘剤とゆるやかに結合するため、油相Oの分散状態を安定化させることができ、W/O/W型乳化調味料Aの保水性の向上に寄与する。
【0044】
卵白としては、鶏卵などの卵を割卵機などで機械的に割卵し、機械的に卵黄を分離して得られる液状の生卵白、これを凍結処理、濃縮処理もしくは乾燥処理したもの、または凍結処理、濃縮処理もしくは乾燥処理したもの、または凍結処理、濃縮処理もしくは乾燥処理した卵白を通常の液状卵白に戻したものなど種々の状態の卵白を使用することができる。また、加熱殺菌処理、脱糖処理、脱リゾチーム処理など種々の処理を施した卵白を使用することができる。
【0045】
外水相W2における卵白の含有量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体に対して、固形分換算で0.05〜0.5%とすることができ、さらに0.05〜0.2%とすることができる。
【0046】
3-5 食塩
W/O/W型乳化調味料Aを食材と混合した場合に、食材が離水することを抑制するため、外水相W2における食塩含有量は、内水相W1における食塩含有量よりも少なくすることが好ましく、外水相W2には食塩を含有させなくてもよい。そこで、外水相W2における食塩含有量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体に対して0〜2%、さらに0.2〜1%とすることができる。
【0047】
3-6 その他の調味料
外水相W2は、必要に応じて、グルタミン酸ナトリウム、砂糖等を含有することができる。
【0048】
3-7 水分
外水相W1における水分量は、W/O/W型乳化調味料Aの全体の10%未満であり、特に、W/O/W型乳化調味料Aを野菜、果物等の食材と混合した場合の食材からの離水を抑制する点、及び少量で含水量の低い外水相W2に大径の油相Oの粒子を分散することで油脂特有のコク味を十分に感じられる点から、4〜9%とすることができ、さらに5〜9%とすることができる。
【0049】
なお、この外水相W2における水分量は、外水相W2が含有する各成分に含まれる水分の合計量であり、例えば、生卵黄はその48%が水分であり、生卵白は88%が水分であり、酢酸酸度4%の食酢はその96%が水分である。
【0050】
4.油相の成分
油相Oは、食用油脂及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有することができる。
【0051】
4-1 食用油脂
食用油脂は油相Oを構成する。食用油脂の含有量は、W/O/W型乳化調味料Aを低カロリー化する点からは少ないことが好ましいが、食用油脂の含有量が少なすぎると乳化安定性が低下するので、乳化安定性を維持しつつW/O/W型乳化調味料Aを低カロリー化する点から、W/O/W型乳化調味料Aの15%以上30%未満とする。特に、W/O/W型乳化調味料Aの乳化安定性を高める点から18%以上とし、食感を軽く滑らかにする点から25%以下することができる。
【0052】
食用油脂としては、食用植物油脂(例えば、菜種油、大豆油、紅花油、ひまわり油、コーン油、オリーブ油、グレープシード油、ごま油、綿実油、シソの実油、アマニ油)、魚油、肝油、さらにはエステル交換した油脂やジグリセライドを主に含む油脂が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
4-2 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、本発明のW/O/W型乳化調味料Aにおいて乳化剤として機能し、食用油脂と共に油相Oを形成する。
【0054】
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとしては、食用として供されるものであれば、特に限定するものではないが、乳化安定性の向上と食材からの離水を抑制する点からは、エステル化度を30%超60%以下とすることができ、特に、31〜51%とすることができる。一方、本発明のW/O/W型乳化調味料Aをサラダに使用した場合のサラダの風味が向上し、食品の離水を抑制する点から、エステル化度を80%超100%以下、特に90%以上100%以下とすることができる。
【0055】
また、油相Oにおけるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、W/O/W型乳化調味料Aに対して0.1〜5%とすることができ、特に、W/O/W型乳化調味料Aの乳化安定性を高めると共に、W/O/W型乳化調味料Aを使用した食品からの離水を効果的に抑制することができる点から、0.5〜3%とすることができる。
【0056】
ここで、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのエステル化度とは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに含まれるポリグリセリン部位において縮合リシノレイン酸が結合している割合をいう。より具体的には、ポリグリセリンの平均重合度をnとしたとき、ポリグリセリンは分子内に平均(n+2)個の水酸基を有するため、ポリグリセリン1分子に対して1〜(n+2)分子の縮合リシノレイン酸をエステル結合することが可能である。したがって、ポリグリセリン部位に縮合リシノレイン酸がエステル結合されていない場合、エステル化度は0%であり、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに含まれるポリグリセリン部位の全ての水酸基がエステル結合している場合、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのエステル化度は100%である。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは通常、種々のエステル化度のものからなるため、その平均エステル化度をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのエステル化度とする。
【0057】
5.物性
5-1 粘度
本発明のW/O/W型乳化調味料Aは、粘度(25℃)が4〜800Pa・sである。粘度(25℃)が4Pa・s以上であることにより、食材と絡みやすくなり、また、800Pa・s以下であることにより、食材と混ぜやすくなる。特に、食材からの離水を抑制し、かつ、油脂特有のコク味を向上できる点から、粘度を10〜600Pa・sとすることができ、さらに30〜400Pa・sとすることができ、さらに50〜300Pa・sとすることができる。
【0058】
ここで、粘度は、品温25℃の被検体をBH型粘度計にて、回転数2rpmの条件で、粘度が15Pa・s未満のときローターNo.2、15Pa・s以上37.5Pa・s未満のときローターNo.3、37.5Pa・s以上75Pa・s未満のときローターNo.4、75Pa・s以上150Pa・s未満のときローターNo.5、150Pa・s以上375Pa・s未満のときローターNo.6、375Pa・s以上のときローターNo.7を使用し、測定開始後1分後の示度により算出した値である。
【0059】
本発明のW/O/W型乳化調味料Aは、製造時に対する製造後24時間経過時の粘度が100.0%以上であるとよく、さらに101.0〜180.0%であるとよい。粘度変化率が前記数値の範囲であることにより、W/O/W型乳化調味料の乳化安定性の向上と、W/O/W型乳化調味料を使用した食品からの離水の抑制に寄与することができる。
【0060】
5-2 離水率
本発明のW/O/W型乳化調味料Aは、野菜、果物などの食材と混合した場合の食材からの離水を抑制することができる。具体的には、30mm角のレタス60g、2mm幅の千切りキャベツ60g、清水8g及び乳化調味料40gを混合し、その混合物を4℃で72時間静置した後に混合物から離水した水の質量の、混合物の静置前の質量に対する割合を乳化調味料の離水率とした場合に、乳化調味料の離水率が、後述する基準調味料の離水率に対して85%以下である。
【0061】
ここで、離水率をレタス及びキャベツの離水により評価するのは、これらがサラダ類に使用される代表的な野菜であって、かつ、離水を生じやすい野菜であるからである。また、野菜の離水率は、野菜の裁断の程度によっても異なることから、本発明では、レタスを30mm角とし、キャベツを2mm幅とする。30mm角のレタス及び2mm幅のキャベツとしては、例えばスライサーを用いてレタス及びキャベツを裁断したものを使用することができる。
【0062】
基準調味料
離水率の測定で使用する基準調味料は、次のようにして調製したものである。即ち、生卵黄100g、食酢(酢酸濃度4%)90g、清水35g、食塩10g、キサンタンガム2gおよびグルタミン酸ナトリウム3gをミキサー(例えば、ホバート社製、卓上ホバートミキサー)で混合することにより均一な水相を調製し、該水相に食用植物油脂760gを注加して粗乳化した後、コロイドミルで精乳化して調製したものである。この精乳化では、コロイドミルを、例えば3560rpmで使用する。
【0063】
図2は、離水率の測定方法の説明である。離水率の測定では、まず、よく水切りした30mm角のレタス60g、2mm幅の千切りキャベツ60g及び清水8gをボウルに入れる。次に、被検体とする乳化調味料または基準調味料を40g加え、ゴムベラで全体が均一になるように2分程度かき混ぜてサラダ1を得る。サラダ1を、開口部の直径が5cmの円筒状容器2に全量充填し(
図2(a))、該容器2の開口部3に、ガーゼ様のプラスチック製メッシュ4(目開き:2mm)をかぶせて輪ゴム5で固定し(
図2(b))、予め質量を測定した空のプラスチック容器6の上に、円筒状容器2の開口部3が下になるよう逆さにして載せる(
図2(c))。次に4℃にて72時間静置する。その後、サラダ1入りの円筒状容器2を取り除いたプラスチック容器6の質量をその内容物と共に測定し、(
図2(d))、次式よりサラダ1から離水した水7の離水率を算出する。
【0064】
離水率(%)=[(静置後のプラスチック容器の質量−静置前のプラスチック容器の質量)/168g(静置前のサラダの質量)]×100
【0065】
離水率の評価は、基準調味料を添加したサラダの離水率を100とし、被検体とする乳化調味料を添加したサラダの離水率の割合で評価する。例えば、基準調味料を添加したサラダの離水率が20%、本発明の乳化調味料の離水率が5%の場合、基準調味料の離水率に対する本発明の乳化調味料の離水率の比は次式により25%となる。
[5/20]×100=25%
【0066】
離水率が小さいほど離水の抑制効果が高い。本発明のW/O/W型乳化調味料Aの離水率は、基準調味料の離水率に対して通常85%以下であり、特に、80%以下、さらには75%以下となる。
【0067】
5-3 乳化安定性
本発明のW/O/W型乳化調味料は、乳化安定性に優れている。
例えば、40℃で1週間おいても、あるいは常温(15〜25℃)で2ヵ月以上おいても、当初の乳化状態が維持されている。そのため、本発明のW/O/W型乳化調味料は、常温で製品を搬送、保管することが可能となり、流通コストを低減させることができる。
【0068】
6.W/O/W型乳化調味料の製造方法
本発明のW/O/W型乳化調味料は、概略、次のようにして製造することができる。
まず、内水相を形成する各成分を混合しておき、ホモミキサー等の撹拌装置を用いて内水相を形成する水相混合物を食用油脂に注加撹拌すると共に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルも添加して混合して予備乳化し、あるいは、あらかじめポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを混合した食用油脂に内水相形成用水溶液を注加撹拌して予備乳化し、得られた粗乳化物(W/O)をコロイドミル等の乳化装置にかけて精乳化することによりW/O型乳化物を得る。
一方、外水相を形成する各成分を混合しておき、ホモミキサー等の撹拌装置を用いて、外水相を形成する水相混合物に、上述のW/O乳化物を注加撹拌することによりW/O/W型乳化物を得る。
【0069】
7.サラダ
本発明のW/O/W型乳化調味料は、野菜もしくは果物の少なくとも一方に乳化調味料をかけるサラダ、魚肉又は鶏肉の油漬けを乳化調味料で和えたフィリング等の料理に使用することができる。
特に、サラダは、本発明のW/O/W型乳化調味料を、野菜、果物等の食材と混合してもそれらから離水が生じにくいことから、美味しさを長時間にわたって維持することができる。そこで、本発明は、野菜もしくは果物の少なくとも一方に本発明のW/O/W型乳化調味料が掛けられた、あるいは混合されたサラダや、野菜もしくは果物の少なくとも一方と本発明のW/O/W型乳化調味料とが包装容器等で区分された状態でパッケージされたサラダを包含する。
【0070】
本発明のサラダに使用する野菜又は果物としては、きゅうり、玉ねぎ、にんじん、レタス、セロリ、キャベツ、コーン、大根、ごぼう、ブロッコリー、カリフラワー、トマト等の野菜、りんご、パイナップル、ぶどう、いちご、キウイ、もも、梨、メロン、すいか、グレープフルーツ、アボカド、マンゴー等の果物を挙げることができる。
この他、本発明のサラダには、マカロニ、スパゲティ、春雨、ビーフン、ペンネ、アジア麺等の麺類、ツナのような魚肉又はささみのような鶏肉の油漬け等の食材を含有させてもよい。
【0071】
また、本発明のサラダの具体的な種類としては、例えば、野菜サラダ、ポテトサラダ、パスタサラダ、タマゴサラダ、フルーツサラダ、マカロニサラダ、コールスローサラダ、大根サラダ、ごぼうサラダ等が挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(1)乳化調味料の製造
表1の配合にてW/O/W型乳化調味料を次のように製造した。なお、表1には、配合した各成分量のW/O/W型乳化調味料に対する割合(%)と共に、配合した成分が含有する水分量のW/O/W型乳化調味料に対する割合(%)を示した。
【0073】
まず、内水相を形成する各成分を混合した。次いで、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製、T.K.オートホモミキサーMA)を用いて内水相を形成する水相混合物を食用油脂に注加撹拌すると共に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルも添加して混合して予備乳化し、得られた混合物をコロイドミルで精乳化しW/O乳化物を得た。続いて、外水相を形成する各成分を混合した後、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製、T.K.オートホモミキサーMA)を用いて、外水相を形成する水相混合物に、上述のW/O乳化物を注加撹拌することにより実施例1のW/O/W型乳化調味料を得た。
【0074】
(2)評価
(2-1)粘度
(1)で得られた実施例1のW/O/W型乳化調味料の製造直後の粘度及び製造後24時間経過時の粘度を、上述した5-1の方法に従ってBH型粘度計により測定した。また、製造時に対する製造後24時間経過時の粘度の比率を算出した。結果を表1に示す。
【0075】
(2-2)乳化状態
(1)で得られた実施例1のW/O/W型乳化調味料の製造直後の油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)を、粒度分布測定装置(日機装(株)製、粒度分布計MT3300EXII)を用いて測定したところ、17.8μmであった。
【0076】
また、実施例1のW/O/W型乳化調味料の少量をスライドガラス上に載せ、カバーガラスを被せ、カバーガラス全体にサンプルを広げることにより、顕微鏡観察用サンプルを作製し、顕微鏡((株)キーエンス製、デジタルマイクロスコープVHX−600、倍率:2000倍)により実施例1の乳化調味料を観察したところ、W/O/W型乳化物90μm四方内に含まれる粒子径10μm以上の油相の油滴Pは80個であり、その粒子径10μm以上の油相の油滴Pについて、粒子径が3μmを超える内水相の水滴Qの含有数は0〜1個であった。また、粒子径10μm以上の油相の油滴Pの全てにおいて、そこに含まれる粒子径1μm以上3μm以下の内水相の水滴Qの数は10個以上であった。
【0077】
(2-3)離水率
(2-3-1)基準調味料
(1)で得られた実施例1のW/O/W型乳化調味料の離水率を評価するにあたり、基準調味料を次のように製造した。
生卵黄100g、食酢(酢酸4%)90g、清水35g、食塩10g、キサンタンガム2gおよびグルタミン酸ナトリウム3gをミキサーで撹拌混合し、均一な水相に調製した。次に、水相に食用植物油脂760gを注加して粗乳化した後、コロイドミルで精乳化して基準調味料を得た。
【0078】
(2-3-2)離水率の測定
よく水切りした30mm角のカットレタス60g、2mm幅のカットキャベツ60g、及び清水8gをボウルに入れ、実施例1のW/O/W型乳化調味料40gを加え、ゴムベラで全体が均一になるように2分程度かき混ぜてサラダを製造した。このサラダを、前述の
図2に示した方法で72時間静置し、サラダからの離水量を計測し、離水率を求めた。実施例1の乳化調味料に代えて基準調味料を使用し、同様にして、サラダからの離水率を算出求めた。そして、基準調味料の離水率に対する実施例の乳化調味料の離水率の割合(%)を求めたところ、基準調味料の離水率の70.1%であった。結果を表1に示す。
【0079】
(2-4)保存安定性
実施例1のW/O/W型乳化調味料の保存安定性を次のように評価した。
すなわち、得られたW/O/W型乳化調味料を容量200gのナイロンポリエチレン袋に充填してシールした後、40℃に保持して遮光下で7日間の保存を行い、次の基準で評価した。
A:油の分離も観察されず、粘度の変化もなかった。
B:わずかに油が分離した、又は粘度がわずかに低下した。
C:油が分離した、又は粘度が大幅に低下した。
結果を表1に示す。
【0080】
(2-5)酸味及びコク味
実施例1のW/O/W型乳化調味料の酸味及びコク味を、熟練された調味料技術者を評価者として次の基準で官能評価した。結果を表1に示す。
【0081】
<酸味の評価基準>
A: ツンツンした酸味が十分に抑制されている
B: ツンツンした酸味が問題ない程度に抑制されている
C: ツンツンした酸味が抑制されていない
【0082】
<コク味の評価基準>
A: (2-3-1)の基準調味料と同等の油脂特有のコク味がはっきりと感じられる
B: (2-3-1)の基準調味料よりも油脂特有のコク味が弱いが問題ない程度である
C: (2-3-1)の基準調味料よりも油脂特有のコク味が弱い
【0083】
なお、本実施例ではガム質としてキサンタンガムを使用し、澱粉としてアセチル化アジピン酸架橋澱粉を使用したが、ガム質としてローカストビーンガム又はジェランガムを使用し、澱粉としてヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉又はオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを使用した場合も、同様の結果が得られた。
また、ガム質又は澱粉の代わりにペクチン、カラギーナン又はアルギン酸を使用した場合も、同様の結果が得られた。
【0084】
さらに、本実施例ではポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、W/O/W型乳化調味料に対して1%としたが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量を0.5%又は3%配合した場合も、同様の結果が得られた。
【0085】
[実施例2A、2B、2C]
表1に示すように、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとして、エステル化度が50%、74%、100%のものをそれぞれ使用する以外は実施例1と同様にして、実施例2A,2B,2CのW/O/W型乳化調味料を製造し、乳化状態を観察し、また、粘度、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0086】
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、実施例2A、2B、2CのW/O/W型乳化調味料のいずれも10〜25μmの範囲内であった。
【0087】
[実施例3]
表1に示すように、内水相及び外水相に配合する増粘剤を変えた以外は実施例1と同様にしてW/O/W型乳化調味料を製造し、乳化状態を観察し、また、粘度、乳化状態、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0088】
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、10〜25μmの範囲内であった。
【0089】
[実施例4、5]
表1に示すように、卵黄として生卵黄を使用する以外は実施例1と同様にして実施例4のW/O/W型乳化調味料を製造した。
また、表1に示すように、外水相に卵白を配合せず、卵黄として生卵黄を使用する以外は実施例1と同様にして実施例5のW/O/W型乳化調味料を製造した。
【0090】
実施例4、5のW/O/W型乳化調味料について、乳化状態を観察し、また、粘度、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0091】
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、実施例4、5のW/O/W型乳化調味料のどちらも10〜25μmの範囲内であった。
【0092】
[実施例6]
表1に示すように、内水相に含有させる食塩量を変える以外は実施例1と同様にしてW/O/W型乳化調味料を製造し、乳化状態を観察し、また、粘度、乳化状態、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
なお、油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、10〜25μmの範囲内であった。
【0094】
[実施例7]
表1に示すように、外水相の水分量を変える以外は実施例1と同様にしてW/O/W型乳化調味料を製造し、粘度、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0095】
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、10〜25μmの範囲内であった。
【0096】
[比較例1]
表1に示すように、外水相の水分量を変える以外は実施例1と同様にしてW/O/W型乳化調味料を製造し、粘度、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0097】
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、10〜25μmの範囲内であった。
【0098】
[比較例2]
W/O乳化物を調製する際の撹拌条件を変える以外は実施例1と同様の操作により内水相の水滴の平均粒子径と油相の油滴の平均粒子径が実施例1と異なるW/O/W型乳化調味料を製造し、乳化状態を観察し、粘度、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
【0099】
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、27.7μmであった。
【0100】
[比較例3]
表1に示すように、内水相に増粘剤を含有させない以外は実施例1と同様にしてW/O/W型乳化調味料を製造し、粘度、離水率、保存安定性、酸味及びコク味を評価した。結果を表1に示す。
この油相Oの油滴Pの平均粒子径(メジアン径)は、10〜25μmの範囲内であった。
なお、保存安定性が劣っていたため、離水率の評価は行わなかった。
【0101】
[比較例4]
表1に示すように、油相の配合量を低減させた以外は実施例1と同様にしてW/O/W型乳化調味料を製造した。その結果、W/O型乳化物の調製直後に分離したため、W/O/W型乳化調味料を得ることができなかった。
【0102】
【表1】
【0103】
実施例1、7及び比較例1の結果から、外水相の水分量の比率により、離水率及び保存安定性が異なり、外水相の水分量がW/O/W型乳化調味料の10%以上となると、離水率が増加し、風味も低下することがわかる。
【0104】
実施例1、2A、2B及び2Cから、エステル化度が30〜100%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのいずれを用いてもW/O/W型乳化調味料を得ることができることがわかる。特に、エステル化度が30%超60%以下、又は80%以上であると、食品からの離水抑制効果が高いことがわかる。
【0105】
実施例1、3及び比較例3から、内水相に増粘剤を配合しないと保存安定性が低下することがわかる。また、内水相に加える増粘剤としては、澱粉が好ましく、特に、澱粉とガム質の併用が好ましいことがわかる。
【0106】
実施例1、4及び5から、外水相にリゾ化卵黄及び卵白の双方を配合すると、特に食品からの離水を抑制する効果が優れていることがわかる。
【0107】
実施例1及び比較例2から、油相の油滴Pの平均粒子径が25μmを超えると、保存安定性が低下することがわかる。
【0108】
[試験例]W/O/W型乳化調味料の保水力
従来のW/O/W型乳化調味料は、水分を加えることで粘度が低下するため、キャベツサラダに含まれるキャベツから水分が滲出すると、W/O/W型乳化調味料の粘度が低下する。そこで、特開2012―44987に記載の方法に準じ、実施例1及び比較例2のW/O/W型乳化調味料に水を加え、W/O/W型乳化調味料の粘度変化を測定した。
【0109】
本試験例における粘度の測定は、W/O/W型乳化調味料200gを料理用ボウルに採取し、ヘラで撹拌後に、粘度測定用カップに充填して粘度を測定した。その測定は、加水率0%から始め、その後の加水は、所定量の水道水を加えて撹拌し、その撹拌後に、粘度測定用カップに充填して粘度を測定するというようにして、各加水率の粘度測定を行った。
【0110】
結果を表2に示す。また、測定された粘度を粘度維持率として表3に示す。なお、粘度維持率とは、表2における水道水混合前の粘度を100としたときに、加水後の粘度の割合である。
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
実施例1及び比較例2の加水後の粘度維持率の結果から、油相の油滴Pの平均粒子径が25μmを超えると保水力が低下することがわかる。
W/O/W型乳化調味料Aであって、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、有機酸、食用油脂15質量%以上30質量%未満、食塩1〜6質量%を含有する。内水相W1は増粘剤を含有し、外水相W2は卵黄を含有し、内水相W1における水分量が、この乳化調味料Aの40〜60質量%、外水相W2における水分量が、乳化調味料Aの10質量%未満である。外水相W2に分散している油相Oの油滴Pの平均粒子径は10〜25μmである。この乳化調味料Aは、粒子径3μmを超える内水相W1の水滴Qの含有数が5以下又は0である粒子径10μm以上の油相Oの油滴Pを含有する。乳化調味料Aの粘度(25℃)は4〜800Pa・sである。この乳化調味料Aによれば、酸味を抑制し、油脂特有のコク味が強く感じられる。また、乳化安定性が高く、乳化調味料Aを使用した食品からの離水を効果的に抑制できる。