【文献】
斎籐 一,概念マップの半自動構成のための対話内容の可視化に関する検討,第33回知的教育システム研究会資料(SIG−IES−A102),日本,社団法人人工知能学会,2001年 9月29日,P.63−68
【文献】
鈴木 満,コンセプトマップを用いた電子教材の評価手段の提案,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2001年 5月 4日,信学技報Vol.101No.41,P.41−48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
教授者から入力された情報に基づいて学習対象の文字列から学習対象における概念を示すノードを複数抽出するとともに、教授者から入力された情報に基づいてこれらノード間にこれらノード間の関係を示すリンクを形成することで、学習者の理解の目標状態を示す目標概念マップを作成する目標概念マップ作成手順と、
教授者から入力された情報に基づいて前記目標概念マップから前記目標概念マップにおける少なくとも一つのリンクを除去することで、前記目標概念マップを、1以上のノードがそれぞれ含まれる複数のキットに分解する分解手順と、
複数の学習者から入力された情報に基づいて前記分解手順で分解されたキットの間にリンクを形成することで、前記複数の学習者の理解状態をそれぞれ示す複数の学習者概念マップを作成する学習者概念マップ作成手順と、
前記複数の学習者から構成されるグループの理解状態を示す重畳マップを作成する重畳マップ作成手順と、
前記目標概念マップと前記学習者概念マップとのリンクの異同を比較し、その比較結果を表示する表示手順とを、コンピュータに実行させ、
前記表示手順では、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップと前記複数の学習者概念マップとのいずれにも含まれるリンクである正解リンクと、前記複数の学習者概念マップの多数に含まれているが、前記目標概念マップには含まれていないリンクである過剰リンクと、前記複数の学習者概念マップの多数に含まれていないが、前記目標概念マップに含まれるリンクである不足リンクとを区別して示す差分マップが少なくとも表示され、
前記重畳マップ作成手順では、前記学習者概念マップ作成手順で作成された前記複数の学習者概念マップにおける各ノード間を抽出するとともに、これらノード間の各々について、前記複数の学習者概念マップにおいてリンクが形成されていた割合を付加することで、前記重畳マップが作成され、
前記表示手順では、前記重畳マップにおける割合に基づき、前記差分マップにおける、前記正解リンク、前記過剰リンク、及び前記不足リンクが設定される、ことを特徴とする学習支援プログラム。
教授者から入力された情報に基づいて学習対象の文字列から学習対象における概念を示すノードを複数抽出するとともに、教授者から入力された情報に基づいてこれらノード間にこれらノード間の関係を示すリンクを形成することで、学習者の理解の目標状態を示す目標概念マップを作成する目標概念マップ作成手順と、
教授者から入力された情報に基づいて前記目標概念マップから前記目標概念マップにおける少なくとも一つのリンクを除去することで、前記目標概念マップを、1以上のノードがそれぞれ含まれる複数のキットに分解する分解手順と、
複数の学習者から入力された情報に基づいて前記分解手順で分解されたキットの間にリンクを形成することで、前記複数の学習者の理解状態をそれぞれ示す複数の学習者概念マップを作成する学習者概念マップ作成手順と、
前記目標概念マップと前記学習者概念マップとのリンクの異同を比較し、その比較結果を表示し、さらに、前記複数の学習者概念マップのうちいずれか2つの学習者概念マップにおけるリンクの異同を比較し、その比較結果を表示する表示手順と、をコンピュータに実行させ、
前記表示手順では、
前記2つの学習者概念マップのそれぞれについて各ノード間のリンクの有無を次元を変えて示す特徴ベクトルが生成されるとともに、これら特徴ベクトル間のコサイン距離が算出され、前記2つの学習者概念マップの比較結果として少なくとも算出されたコサイン距離が表示され、
前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち前記学習者概念マップに含まれていないリンクおよび前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち前記目標概念マップに含まれていないリンクを特定する画像と、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち前記学習者概念マップにも含まれているリンクの割合を示す再現率と、前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち前記目標概念マップにも含まれているリンクの割合を示す適合率と、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち前記学習者概念マップには含まれていないリンクの割合を示す不足率と前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち前記目標概念マップには含まれていないリンクの割合を示す過剰率との調和平均値と、前記目標概念マップと前記複数の学習者概念マップとのいずれにも含まれるリンクである正解リンクと前記複数の学習者概念マップの多数に含まれているが前記目標概念マップには含まれていないリンクである過剰リンクと前記複数の学習者概念マップの多数に含まれていないが前記目標概念マップに含まれるリンクである不足リンクとを区別して示す差分マップと、のいずれか1つが少なくとも表示される、
ことを特徴とする学習支援プログラム。
前記表示手順では、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち、前記学習者概念マップにも含まれているリンクの割合を示す再現率が表示されることを特徴とする請求項1に記載の学習支援プログラム。
前記表示手順では、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち、前記目標概念マップにも含まれているリンクの割合を示す適合率が表示されることを特徴とする請求項1に記載の学習支援プログラム。
前記表示手順では、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち、前記学習者概念マップには含まれていないリンクの割合を示す不足率と、前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち、前記目標概念マップには含まれていないリンクの割合を示す過剰率との調和平均値が表示されることを特徴とする請求項1に記載の学習支援プログラム。
前記表示手順では、前記2つの学習者概念マップの比較結果として、前記2つの学習者概念マップのいずれにも含まれているリンクである一致リンクと、前記2つの学習者概念マップのうち、いずれか一方にしか含まれていないリンクである相違リンクとを特定する画像が表示されることを特徴とする請求項2に記載の学習支援プログラム。
前記目標概念マップ作成手順では、前記教授者が学習対象の文字列に対して行ったマーキングの情報を取得し、そのマーキングが行われた区切りを、前記ノードとして抽出することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の学習支援プログラム。
教授者から入力された情報に基づいて学習対象の文字列から学習対象における概念を示すノードを複数抽出するとともに、教授者から入力された情報に基づいてこれらノード間にこれらノード間の関係を示すリンクを形成することで、学習者の理解の目標状態を示す目標概念マップを作成する目標概念マップ作成手段と、
教授者から入力された情報に基づいて前記目標概念マップから前記目標概念マップにおける少なくとも一つのリンクを除去することで、前記目標概念マップを、1以上のノードがそれぞれ含まれる複数のキットに分解する分解手段と、
複数の学習者から入力された情報に基づいて前記分解手段で分解されたキットの間にリンクを形成することで、前記複数の学習者の理解状態をそれぞれ示す複数の学習者概念マップを作成する学習者概念マップ作成手段と、
前記複数の学習者から構成されるグループの理解状態を示す重畳マップを作成する重畳マップ作成手段と、
前記目標概念マップと前記学習者概念マップとのリンクの異同を比較し、その比較結果を表示する表示手段とを、備え、
前記表示手段は、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップと前記複数の学習者概念マップとのいずれにも含まれるリンクである正解リンクと、前記複数の学習者概念マップの多数に含まれているが、前記目標概念マップには含まれていないリンクである過剰リンクと、前記複数の学習者概念マップの多数に含まれていないが、前記目標概念マップに含まれるリンクである不足リンクとを区別して示す差分マップを少なくとも表示し、
前記重畳マップ作成手段は、前記学習者概念マップ作成手段で作成された前記複数の学習者概念マップにおける各ノード間を抽出するとともに、これらノード間の各々について、前記複数の学習者概念マップにおいてリンクが形成されていた割合を付加することで、前記重畳マップを作成し、
前記表示手段は、前記重畳マップにおける割合に基づき、前記差分マップにおける、前記正解リンク、前記過剰リンク、及び前記不足リンクを設定する、ことを特徴とする学習支援システム。
教授者から入力された情報に基づいて学習対象の文字列から学習対象における概念を示すノードを複数抽出するとともに、教授者から入力された情報に基づいてこれらノード間にこれらノード間の関係を示すリンクを形成することで、学習者の理解の目標状態を示す目標概念マップを作成する目標概念マップ作成手段と、
教授者から入力された情報に基づいて前記目標概念マップから前記目標概念マップにおける少なくとも一つのリンクを除去することで、前記目標概念マップを、1以上のノードがそれぞれ含まれる複数のキットに分解する分解手段と、
複数の学習者から入力された情報に基づいて前記分解手段で分解されたキットの間にリンクを形成することで、前記複数の学習者の理解状態をそれぞれ示す複数の学習者概念マップを作成する学習者概念マップ作成手段と、
前記目標概念マップと前記学習者概念マップとのリンクの異同を比較し、その比較結果を表示し、さらに、前記複数の学習者概念マップのうちいずれか2つの学習者概念マップにおけるリンクの異同を比較し、その比較結果を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、
前記2つの学習者概念マップのそれぞれについて各ノード間のリンクの有無を次元を変えて示す特徴ベクトルを生成するとともに、これら特徴ベクトル間のコサイン距離を算出し、前記2つの学習者概念マップの比較結果として少なくとも算出したコサイン距離を表示し、
前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち前記学習者概念マップに含まれていないリンクおよび前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち前記目標概念マップに含まれていないリンクを特定する画像と、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち前記学習者概念マップにも含まれているリンクの割合を示す再現率と、前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち前記目標概念マップにも含まれているリンクの割合を示す適合率と、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち前記学習者概念マップには含まれていないリンクの割合を示す不足率と前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち前記目標概念マップには含まれていないリンクの割合を示す過剰率との調和平均値と、前記目標概念マップと前記複数の学習者概念マップとのいずれにも含まれるリンクである正解リンクと前記複数の学習者概念マップの多数に含まれているが前記目標概念マップには含まれていないリンクである過剰リンクと前記複数の学習者概念マップの多数に含まれていないが前記目標概念マップに含まれるリンクである不足リンクとを区別して示す差分マップと、のいずれか1つを少なくとも表示する、ことを特徴とする学習支援システム。
前記表示手段は、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち、前記学習者概念マップにも含まれているリンクの割合を示す再現率を表示することを特徴とする請求項13に記載の学習支援システム。
前記表示手段は、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち、前記目標概念マップにも含まれているリンクの割合を示す適合率を表示することを特徴とする請求項13に記載の学習支援システム。
前記表示手段は、前記目標概念マップと前記学習者概念マップとの比較結果として、前記目標概念マップに含まれるリンクのうち、前記学習者概念マップには含まれていないリンクの割合を示す不足率と、前記学習者概念マップに含まれるリンクのうち、前記目標概念マップには含まれていないリンクの割合を示す過剰率との調和平均値を表示することを特徴とする請求項13に記載の学習支援システム。
前記表示手段は、前記2つの学習者概念マップの比較結果として、前記2つの学習者概念マップのいずれにも含まれているリンクである一致リンクと、前記2つの学習者概念マップのうち、いずれか一方にしか含まれていないリンクである相違リンクとを特定する画像を表示することを特徴とする請求項14に記載の学習支援システム。
前記目標概念マップ作成手段は、前記教授者が学習対象の文字列に対して行ったマーキングの情報を取得し、そのマーキングが行われた区切りを、前記ノードとして抽出することを特徴とする請求項13から22のいずれか1項に記載の学習支援システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態1について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態における学習支援システム1の構成を示す図である。学習支援システム1は、教授者端末100と、学習者端末200と、サーバ300とを備え、これらの機器は、インターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワーク400を介して接続される。
【0032】
図2は、教授者端末100の構成を示すブロック図である。教授者端末100は、学習対象の教授を行う教授者によって使用されるものであって、パーソナルコンピュータ等から構成され、CPU(Central Processing Unit)101、記憶部102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、通信部105、操作部106、及び表示部107を含んでいる。
【0033】
CPU101は、ROM103に記憶されている各種プログラム等を適宜実行することによって、教授者端末100の動作を制御する。RAM104は、CPU101がプログラムを実行する際にワークエリアとして用いられる。記憶部102は、ハードディスクから構成され、学習対象の文字列など種々の書き換え可能なデータが記憶される。ROM103は、CPU101が実行するプログラムを記憶する。通信部105は、教授者端末100とネットワーク400との接続を行うインターフェイスである。操作部106は、キーパッドやソフトキー、選択ボタン等から構成され、ユーザからのキー操作等によって、CPU101の動作を指示する指示信号の入力を受け付ける。表示部107は、たとえば液晶表示装置から構成され、記憶部102に記録された学習対象の文字列やサーバ300に記録されたデータ等を表示することが可能である。
【0034】
図3は、学習者端末200の構成を示すブロック図である。学習者端末200は、教授者から教授を受けた学習者によって使用されるものであって、教授者端末100と同様、CPU201、記憶部202、ROM203、RAM204、通信部205、操作部206、及び表示部207を有している。したがって、その構成についての詳細な説明は省略する。
【0035】
図4は、サーバ300の構成を示すブロック図である。サーバ300は、CPU301、記憶部302、ROM303、RAM304、及び通信部305から構成される。
【0036】
CPU301は、ROM303に記憶されている各種プログラム等を適宜実行することによって、サーバ300の動作を制御する。RAM304は、CPU301がプログラムを実行する際にワークエリアとして用いられる。記憶部302は、たとえば、ハードディスクから構成され、種々の書き換え可能なデータが記憶される。ROM303は、CPU301が実行する種々のプログラム等を記憶する。通信部305は、サーバ300をネットワーク400に接続するインターフェイスである。
【0037】
次に
図5を用いて、本実施の形態において学習者の理解を評価する流れを説明する。
【0038】
まず、教授者は、学習対象において伝えたい事項の整理を行い、学習者の理解の目標状態を示す目標概念マップの作成を行う。この目標概念マップは、教授者が教授者端末100への入力作業を行うことで作成される。この際、教授者が行う入力作業には、学習対象における重要概念を示すノードの抽出(分節化)作業と、これらノード間の関係を示すリンクの形成(構造化)作業とが含まれる。
【0039】
図6は、目標概念マップの例を示している。
図6に示す目標概念マップ10は、実世界を表現するモデルについて記述された学習対象に基づいて作成されたものである。この目標概念マップ10では、ノードNとして、「実世界」、「モデリング」、「ネットワークデータモデル」などの用語が抽出され、これらノードNのうち、例えば「実世界」と「モデリング」とは、リンクLによって関係付けられている。
【0040】
図5に戻り、
図6に示した目標概念マップ10が作成された後には、教授者が教授者端末100への入力作業を行うことで、目標概念マップ10に基づきマップキットが作成される。このマップキットは、目標概念マップ10が複数のキットに分解されたものであり、目標概念マップ10における所定のリンクLが削除されることで作成される。
【0041】
図7は、
図6に示す目標概念マップ10に基づき作成されたマップキット20を示している。マップキット20のキットには、各々1以上のノードNを含むノードキットK1やマクロキットK2が存在する。
【0042】
ノードキットK1は、他のノードNとリンクLによる関係付けの無い単一のノードNから構成されたものであり、例えば「ネットワークデータモデル」のノードNから構成されるノードキットK1は、
図6に示す目標概念マップ10において、「ネットワークデータモデル」と、他のノードNとを関係付けていたリンクLが全て削除されることで形成されたものである。
【0043】
マクロキットK2は、ノードNによる関係付けのある複数のノードNを含むものである。
図7に示すマクロキットK2は、
図6に示す目標概念マップ10において、「実世界」や「モデリング」などマクロキットK2を構成するノードNと、これら以外のノードNとを関係付けるリンクLが削除される一方で、マクロキットK2を構成するノードN同士を関係付けるリンクL(例えば「実世界」と「モデリング」とを関係付けるリンクL)については削除されずに残された結果、形成されたものである。
【0044】
図5に戻り、学習対象の整理を行った教授者は、学習対象において伝えたい事項を学習者に伝える教授を行う。この教授は、授業により行われてもよいし、或いは、学習者に教材が提供されることで行われてもよい。
【0045】
次に、授業を受講した学習者、又は教材を読解した学習者が、学習者端末200に対して入力作業を行うことで、学習者の学習対象に対する理解状態を示す学習者概念マップが作成される。この学習者概念マップは、
図7に示したマップキット20のキット間にリンク付けが行われることで作成される。また、学習者概念マップを作成するための入力作業は、教授者から教授を受けた学習者毎に行われる。この結果、各学習者の理解状態を示す複数の学習者概念マップが作成される。
【0046】
図8,9は、
図7に示すマップキット20に基づき作成された学習者概念マップ30を示している。
図8,9に示す学習者概念マップ30は、異なる学習者の入力作業によって作成されたものであるが、学習者概念マップ30のいずれにも、
図6の目標概念マップ10に示されていたノードNが表示されている。これは、これら学習者概念マップ30を作成する上で土台となるマップキット20が、
図6に示す目標概念マップ10からリンクLが削除されることで形成された結果、目標概念マップ10のノードNをそのまま反映するものになっていたためである。
【0047】
また、
図8に示す学習者概念マップ30では、
図6に示す目標概念マップ10でリンク付けのない「リレーショナルデータベース」と「集合論」との間に、リンクLが形成されている。さらに、
図9に示す学習者概念マップ30では、
図6に示す目標概念マップ10と
図8に示す学習者概念マップ30とのいずれにもリンク付けのない「正規化」と「リレーション」との間にリンクLが形成されている。これらのことは、学習者と教授者との間、さらには学習者同士の間で、ノード間の関係に対する理解が相違したことに起因して生じたものである。
【0048】
図5に戻り、
図6,8,9に示した目標概念マップ10と学習者概念マップ30とが作成されると、サーバ300は、マップの診断処理を行う。この診断処理としては、(1)学習者の個別診断処理、(2)グループの診断処理、(3)学習者間の診断処理がある。
【0049】
まず(1)学習者の個別診断処理として、サーバ300は、目標概念マップ10と学習者概念マップ30とを比較することで、目標概念マップ10に含まれるリンクLのうち学習者概念マップ30には含まれていない不足リンクと、学習者概念マップ30に含まれるリンクLのうち目標概念マップ10には含まれていない過剰リンクとを特定可能な画像を、教授者端末100や学習者端末200の表示部107,207に表示する。
【0050】
図10は、(1)学習者の個別診断処理において、
図6に示す目標概念マップ10と
図8に示す学習者概念マップ30に基づき表示されるマップ40(上述の画像に相当)を示している。
図10のマップ40は、不足リンクL1を破線で示し、過剰リンクL2を二点鎖線で示し、正解リンクL3を実線で示しており、例えば「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間は、不足リンクL1によって繋がれている。これは、「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間は、
図6に示す目標概念マップ10ではリンクLが形成されているが、
図8に示す学習者概念マップ30ではリンクLが形成されていなかったためである。また「集合論」と「リレーショナルデータベース」との間は、過剰リンクL2によって繋がれている。これは、「集合論」と「リレーショナルデータベース」との間は、
図6に示す目標概念マップ10ではリンクLが形成されていないが、
図8,9に示す学習者概念マップ30ではリンクLが形成されていたためである。また「ネットワークデータモデル」と「モデリング」との間は、正解リンクL3によって繋がれている。これは、「ネットワークデータモデル」と「モデリング」との間は、
図6に示す目標概念マップ10と
図8に示す学習者概念マップ30のいずれにおいてもリンクLが形成されていたためである。
【0051】
また(1)学習者の個別診断処理として、サーバ300は、目標概念マップ10と学習者概念マップ30との類似度を、教授者端末100や学習者端末200の表示部107,207に表示する。
【0052】
そして(2)グループの診断処理では、サーバ300は、複数の学習者概念マップ30を重ね合わせることで、学習者の集団としての理解状態を示す重畳マップを作成する。具体的には、サーバ300は、学習者概念マップ30における全てのノード間を抽出して、前記抽出したノード間のそれぞれに対して、リンクLが形成されていた学習者概念マップ30の割合({リンクLが形成されていた学習者概念マップ30の数}/{総ての学習者概念マップ30の数})を付加することで、重畳マップを作成する。
【0053】
図11は、
図8,9に示す学習者概念マップ30に基づき作成された重畳マップ50を示している。
図11に示す重畳マップ50では、
図8,9に示す学習者概念マップ30から抽出された全てのノード間がリンクLで繋がれている。そして例えば、「ネットワークデータモデル」と「ポインタとリンク」との間には、
図8,9に示す学習者概念マップ30の双方でリンクLが形成されていたことから、形成割合として1(1=2/2)が付加されている。また、「ポインタとリンク」と「階層データモデル」との間には、
図9に示す学習者概念マップ30のみにおいてリンクLが形成されていたことから、形成割合として0.5(0.5=1/2)が付加されている。また、「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間には、
図8,9に示す学習者概念マップ30の双方にリンクLが形成されていなかったことから、形成割合として0(0=0/2)が付加されている。
【0054】
そして、サーバ300は、重畳マップ50と目標概念マップ10とを比較することで、重畳マップ50に示されるリンクLの各々を、(1)目標概念マップ10と、重畳マップ50を構成する複数の学習者概念マップ30とのいずれにも含まれている正解リンク、(2)前記複数の学習者概念マップ30の多数に含まれているが、目標概念マップ10には含まれていない過剰リンク、(3)前記複数の学習者概念マップ30の多数に含まれていないが、目標概念マップ10に含まれている不足リンクのいずれかに設定する。この設定は、重畳マップ50の形成割合に基づき行われる。詳しくは後述する。
【0055】
そして、サーバ300は、上述の正解リンクと過剰リンクと不足リンクとを区別して示す差分マップ60を、教授者端末100や学習者端末200に表示する。
図12は、
図6,11に示す目標概念マップ10及び重畳マップ50に基づき表示された差分マップ60を示している。この差分マップ60は、正解リンクL4を実線で示し、過剰リンクL5を破線で示し、不足リンクL6を二点鎖線で示しており、例えば「実世界」と「モデリング」との間は、正解リンクL4によって繋がれている。これは、「実世界」と「モデリング」との間は、
図6に示す目標概念マップ10と
図8,9に示す学習者概念マップ30の双方でリンクLが形成されていたためである。また「集合論」と「リレーショナルデータベース」との間は、過剰リンクL5によって繋がれている。これは、「集合論」と「リレーショナルデータベース」との間は、
図6に示す目標概念マップ10ではリンクが形成されていないが、
図8,9に示す学習者概念マップ30ではリンクLが形成されていたためである。また「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間は、不足リンクL6によって繋がれている。これは、「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間は、
図6に示す目標概念マップ10ではリンクLが形成されているが、
図8,9に示す学習者概念マップ30の双方でリンクLが形成されていなかったためである。
【0056】
また(3)学習者間の診断処理として、サーバ300は、異なる学習者の入力作業によって作成された複数の学習者概念マップ30のうち、いずれか2つの学習者概念マップ30におけるリンクの異同を比較した結果を表示する。具体的には、サーバ300は、異なる学習者によって作成された2つの学習者概念マップ30を比較して、これら学習者概念マップ30において一致するリンク(以下、一致リンク)や相違するリンク(以下、相違リンク)を特定可能な画像を、学習者端末200に表示する。また、サーバ300は、前記2つの学習者概念マップ30の類似度を、学習者端末200に表示する。
【0057】
図13は、(3)学習者間の診断処理において、
図8,9に示す学習者概念マップ30に基づき表示される画像を示している。
図13の画像におけるマップ70は、一致リンクL7を実線で示し、相違リンクL8を破線で示しており、例えば「ネットワークデータモデル」と「モデリング」との間は、一致リンクL7によってつながれている。これは、「ネットワークデータモデル」と「モデリング」との間は、
図8,9に示す学習者概念マップ30の双方でリンクLが形成されていたためである。また「ポインタとリンク」と「階層データモデル」との間は、相違リンクL8によってつながれている。これは、「ポインタとリンク」と「階層データモデル」との間は、
図8に示す学習者概念マップ30ではリンクが形成されていないが、
図9に示す学習者概念マップ30ではリンクLが形成されていたためである。
【0058】
図5に戻り、サーバ300においてマップの診断処理が行われた後には、教授者は、その結果に基づき、教授者と学習者との学習対象に対する理解の相違が、(I)学習者による理解の不十分さ、と(II)教授側による情報伝達の不十分さ、とのいずれによって生じたものかを判断する。
【0059】
具体的には、教授者は、
図12に示した差分マップ60を確認することで、教材や講義による情報伝達に不備があったか否かを判断する。この判断の基礎として差分マップ60を用いる理由としては、差分マップ60は、教授者と学習者達との間の理解の相違を、過剰・不足リンクL5,L6により表現したものと捉えることができるためである。
【0060】
そして、教授者は、学習対象に対する理解の相違が、(I)学習者による理解の不十分さによるものと判断した場合、学習者に対して理解を補う指導を行う。
【0061】
具体的には、学習者の個別診断処理によって抽出された不足・過剰リンクL1,L2については、これらリンクと関係するノードNの参照部分を、学習者に提示して再検討させる。
【0062】
また、グループの診断処理によって抽出された過剰リンクL5や不足リンクL6については、これらに関連するノードNについての再考を促す一斉授業を行ったり、あるいは個別に指導する。また、過剰リンクL5や不足リンクL6について正しく判断できている学習者に説明させる。
【0063】
また、教授者は、学習対象に対する理解の相違が(II)情報伝達の不十分さによるものと判断した場合、教材や講義の欠陥を修正して、再度、学習者に教授を行う。
【0064】
そして、教授者から再度教授を受けた学習者は、学習者概念マップ30の修正を行う。具体的には、学習者概念マップ30に対してリンクLの追加・削除を行う。この際、学習者は、サーバ300の診断結果を参考に学習者概念マップ30の修正を行う。例えば、(C)学習者間の診断処理の結果により、2つの学習者概念マップ30の一致部分と相違部分を確認して目標概念マップ10を照らし合わせて判定することで、学習者概念マップ30で修正を行う部分を抽出する。
【0065】
また、サーバ300の診断結果を確認した教授者は、目標概念マップ10を修正する。具体的には、目標概念マップ10に対して、リンクLの追加・削除を行う。
【0066】
そして、サーバ300は、修正された目標概念マップ10と学習者概念マップ30とに基づき、再びマップ診断を行う。そしてこの診断結果により、教授者と学習者との間に学習対象に対する理解の相違があると認められた場合には、再度、教授者による指導が行われたり、或いは教材や講義の欠陥が修正される。
【0067】
次に、学習支援システム1における処理の流れについて図を用いて具体的に説明する。
【0068】
図14は、教授者端末100において実行される目標概念マップ10の作成処理を示すフロチャートである。
図14のフロチャートにより示されるアルゴリズムは、教授者端末100のROM103にプログラムとして記憶されており、各ステップは、教授者の教授者端末100に対する入力作業(操作部106の操作)に応じて、CPU101によって実行される。
【0069】
まず教授者が操作部106により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU101は、教授者のログイン認証を行う(ステップS101)。これにより、教授者端末100は、ネットワーク400を介してサーバ300と接続される。
【0070】
次に、CPU101は、記憶部102に記憶された学習対象の文字列を、教授者端末100の表示部107に表示する(ステップS102)。
【0071】
次に、CPU101は、表示部107に表示された学習対象の文字列からノードNの抽出を行う(ステップS103)。
【0072】
図15は、ステップS103の処理の際に表示部107に表示される画像を示している。
図15の(a)(b)に示す画像は、表示部107の画面上に並べて表示されるものであって、(b)に示す画像は、スキャナ500によって読み込まれた学習対象の文字列の例を示し、(a)に示す画像は、(b)に示す文字列から抽出されたノードNを示している。(b)では、「実世界」や「ネットワークデータモデル」などの用語に下線が引かれている。この下線は、教授者が操作部106を操作することで引かれたものであって、この下線引きが行われた結果、(a)に示すように、下線引きが行われた「実世界」や「ネットワークデータモデル」の区切りが、ノードNとして抽出されている。
【0073】
次に、CPU101は、ステップS103で抽出されたノードNの間にリンク付けを行う(ステップS104)。この処理は、教授者が操作部106を操作することで、ステップS103で抽出されたノードNの間のうち、リンク付けを行うノード間が指定されることで実行される。
【0074】
次に、CPU101は、ステップS104で形成されたリンクLと、これらリンクLの根拠部分との対応付けを行う(ステップS105)。この処理は、教授者が操作部106を操作することで、表示部107に表示された学習対象の文字列において、リンクLの根拠部分が指定されることで行われる。
【0075】
図16は、ステップS105の際に、表示部107に表示される画像を示している。
図16の(a)(b)に示す画像は、表示部107の画面上に並べて表示されるものであって、(a)に示す画像は、ステップS104の処理によりノードNの間にリンク付けが行われた状態を示し、(b)に示す画像は、ステップS105の処理により(a)に示すリンクLの根拠部分が教授者の操作により指定された状態を示している。例えば、(a)の画像に示す「実世界」と「モデリング」とをつなぐリンクLの根拠部分として、(b)の画像に示す「実世界をデータベース化するためには、実世界のモデリング必要となる」の文字列が指定されている。
【0076】
図17は、ステップS105の処理によって形成されたテーブルを示している。図に示すテーブルは、ステップS104で形成されたリンクLと、ステップS105で指定されたリンクLの根拠部分との対応関係を示すものである。
図17に示すテーブルでは、例えば、「実世界」と「モデリング」とをつなぐリンクLと「実世界をデータベース化するためには、実世界のモデリング必要となる」の文字列との対応付けが行われている。なお、以下では、
図17に示すテーブルを、根拠付けテーブルとして記す。
【0077】
次に、CPU101は、目標概念マップ10と根拠付けテーブルとをネットワーク400を通じてサーバ300に送信する(ステップS106)。この結果、目標概念マップ10と根拠付けテーブルのデータは、サーバ300の記憶部302に記憶される。なお、これらのデータは、ステップS101で入力された教授者のIDに対応付けて記憶される。
【0078】
次に、教授者端末100において実行されるマップキット20の作成処理について説明する。
【0079】
図18は、マップキット20の作成処理を示すフロチャートである。
図18のフロチャートにより示されるアルゴリズムは、教授者端末100のROM103にプログラムとして記憶されており、各ステップは、教授者の教授者端末100に対する入力作業により、CPU101によって実行される。
【0080】
まず、教授者が操作部106により自身のID及びパスワードを入力することで、CPU101は教授者のログイン認証を行う(ステップS201)。これにより、教授者端末100は、ネットワーク400を介してサーバ300と接続される。
【0081】
次に、CPU101は、ステップS201で入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶された目標概念マップ10を、教授者端末100の表示部107に表示する(ステップS202)。
【0082】
次に、CPU101は、目標概念マップ10から所定のリンクLを削除することで、目標概念マップ10を複数のキットKに分解する(ステップS203)。この処理は、教授者が操作部106を操作することで、表示部107に表示された目標概念マップ10で削除を行うリンクLが指定されることで実行される。例えば、
図6に示す目標概念マップ10が表示部107に表示されている場合には、教授者が、「ネットワークモデル」と「モデリング」との間や「正規化」と「データ構造記述」との間を指定することで、
図7に示したように、ノードキットK1やマクロキットK2からなるマップキット20が形成される。
【0083】
次に、CPU101は、マップキット20のデータをサーバ300に送信する(ステップS204)。この結果、マップキット20のデータは、サーバ300の記憶部302に記憶される。なお、マップキット20のデータは、ステップS201で入力された教授者のIDに対応付けて記憶される。
【0084】
次に、学習者端末200で実行される学習者概念マップ30の作成処理を説明する。
【0085】
図19は、学習者概念マップ30の作成処理のフロチャートである。
図19のフロチャートにより示されるアルゴリズムは、学習者端末200のROM203にプログラムとして記憶されており、学習者の学習者端末200に対する入力作業(操作部206の操作)に応じて、CPU201によって実行される。
【0086】
まず学習者が操作部206により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU201は、学習者のログイン認証を行う(ステップS301)。これにより、学習者端末200は、ネットワーク400を介してサーバ300と接続される。
【0087】
次に、学習者が操作部206により教授者のIDを入力することで、CPU201は、該入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶されたマップキット20(
図7参照)を検索する(ステップS302)。
【0088】
次に、CPU201は、ステップS302で検索されたマップキット20を学習者端末200の表示部207に表示する(ステップS303)。
【0089】
次に、CPU201は、表示部207に表示されたマップキット20に対してリンク付けを行うことで、学習者概念マップ30を作成する(ステップS304)。この処理は、学習者の操作部206への操作により、表示部207に表示されたマップキット20に対して、リンク付けを行うノード間が指定されることで行われる。例えば、
図7に示すマップキット20が表示部207に表示されている場合には、学習者が、「ネットワークデータモデル」と「モデリング」との間や「正規化」と「データ構造記述」との間を指定することで、
図8に示したような学習者概念マップ30が作成される。
【0090】
次に、CPU201は、学習者概念マップ30のデータを、ネットワーク400を通じてサーバ300に送信する(ステップS305)。この結果、学習者概念マップ30のデータは、サーバ300の記憶部302に記憶される。なお、学習者概念マップ30のデータは、ステップS301で入力された学習者のIDと、ステップS302で入力された教授者のIDとに対応付けて記憶される。
【0091】
以上に示す学習者概念マップ30の作成処理が、教授者から教授を受けた学習者毎に行われることで、各学習者に対応した複数の学習者概念マップ30が作成される。そして、これらのデータがサーバ300に送信されることで、サーバ300の記憶部302に複数の学習者概念マップ30が記憶される。なお、この複数の学習者概念マップ30は、それぞれ教授者のIDに対応付けて記憶されることで、同じ教授者から教授を受けた複数の学習者によって形成されたものであることが識別可能となる。
【0092】
次に、サーバ300において実行されるマップの診断処理について説明する。このマップの診断処理としては、
図5に示したように(1)学習者の個別診断処理、(2)グループの診断処理、(3)学習者間の診断処理がある。以下、順に図を参照して説明する。
【0093】
まず、(1)学習者の個別診断処理について説明する。
図20,21,24は、学習者の個別診断処理のフロチャートを示している。
図20,21,24により示されるアルゴリズムは、サーバ300の記憶部102にプログラムとして記憶されており、CPU301によって実行される。
【0094】
個別診断処理には、
図20に示すように、不足リンクL1(目標概念マップ10に含まれているリンクLのうち学習者概念マップ30に示されていないリンク)や、過剰リンクL2(学習者概念マップ30に含まれているリンクLのうち目標概念マップ10に含まれていないリンク)を特定する画像を表示する表示処理と、目標概念マップ10と学習者概念マップ30との類似度を表示する類似度表示処理とが含まれており、これらは続けて実行される。
【0095】
はじめに
図21に基づき、不足リンクL1及び過剰リンクL2を特定する画像を表示する表示処理を説明する。
【0096】
まず、教授者が教授者端末100の操作部106により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU301は、教授者のログイン認証を行う(S401)。
【0097】
次に、CPU301は、ステップS401で入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶された目標概念マップ10を検索する(S402)。
【0098】
次に、教授者が操作部106により学習者のIDを入力することで、CPU301は、入力された学習者のIDに対応つけて記憶部302に記憶されている学習者概念マップ30を検索する(ステップS403)。
【0099】
次に、CPU301は、ステップS402で検索された目標概念マップ10のリンクLの有無を示すテーブル(以下、目標テーブルと記す)を作成する(ステップS404)。
図22は、
図6に示す目標概念マップ10について作成された目標テーブルを示している。この目標テーブルでは、目標概念マップ10に含まれるノードNが示されており、リンクLが存在するノード間については、その対応箇所に1が付され、リンクLが存在しないノード間については、その対応箇所に0が付されている。
【0100】
次に、CPU301は、ステップS403で検索された学習者概念マップ30について、リンクLの有無を示すテーブル(以下、学習者テーブルと記す)を作成する(ステップS405)。
図23は、
図8に示す学習者概念マップ30について作成された学習者テーブルを示している。この学習者テーブルでは、
図8に示す学習者概念マップ30に含まれるノードNが示されており、
図22に示すテーブルと同様、リンクLが存在するノード間については、その対応箇所に1が付され、リンクLが存在しないノード間については、その対応箇所に0が付されている。
【0101】
なお、
図23に示す学習者テーブルには、
図22に示す目標テーブルと同一のノードNが示されている。これは、本実施の形態では、学習者概念マップ30が、目標概念マップ10と同じノードNを含んで形成されることに基づく。
【0102】
次に、CPU301は、目標概念マップ10と学習者概念マップ30とにおいて、同じ用語からなる2つのノードNによって示されるノード間の対応付けを行う(ステップS406)。この処理は、ステップS404,405で作成された目標・学習者テーブル(
図22,23参照)が用いられて行われる。例えば、
図22に示す目標テーブルにおける「ネットワークデータモデル」「ポインタとリンク」間を示す箇所Aと、
図23に示す学習者テーブルにおける「ネットワークデータモデル」「ポインタとリンク」間を示す箇所Bとは、同じ用語からなる2つのノードNによって示される箇所に該当するため、対応付けが行われる。
【0103】
次に、CPU301は、ステップS406で対応付けを行ったノード間のうち、不足リンクL1によるリンク付けのあるノード間を抽出する(ステップS407)。具体的には、CPU301は、ステップS406で対応付けを行ったノード間のうち、
図22に示す目標テーブルでは1が付され、
図23に示す学習者テーブルでは0が付されているノード間を抽出する。例えば、「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間は、不足リンクL1によるリンク付けのあるノード間として抽出される。
【0104】
次に、CPU301は、ステップS406で対応付けを行ったノード間のうち、過剰リンクL2によるリンク付けのあるノード間を抽出する(ステップS408)。具体的には、CPU301は、ステップS406で対応付けを行ったノード間のうち、
図22に示す目標テーブルでは0が付され、
図23に示す学習者テーブルでは1が付されているノード間を抽出する。例えば、「集合論」と「リレーショナルデータベース」との間は、過剰リンクL2によるリンク付けのあるノード間として抽出される。
【0105】
次に、CPU301は、ステップS406で対応付けを行ったノード間のうち、正解リンクL3によるリンク付けのあるリンク付けのあるノード間を抽出する(ステップS409)。具体的には、CPU301は、対応付けを行ったノード間のうち、
図22,23に示す目標・学習者テーブルのいずれにも1が付されているノード間を抽出する。例えば、「ネットワークデータモデル」と「モデリング」との間は、正解リンクL3によるリンク付けのあるノード間として抽出される。
【0106】
次に、CPU301は、不足リンクL1と過剰リンクL2と正解リンクL3とを特定可能な画像を教授者端末100の表示部107に表示する(ステップS410)。具体的には、CPU301は、ステップS407で抽出したノード間と、ステップS408で抽出したノード間と、ステップS409で抽出したノード間とを、異なる態様(異なる線種や色)で示す不足リンクL1と過剰リンクL2と正解リンクL3とによってそれぞれ繋いだマップを表示する。
【0107】
この結果、
図10に示したように、不足リンクL1が破線で示され、過剰リンクL2が二点鎖線で示され、正解リンクL3が実線で示されたマップ40が、教授者端末100の表示部107に表示される。この表示により、教授者は、目標概念マップ10と学習者概念マップ30とのリンクLの一致部分と相違部分を把握することができるので、学習者に再考すべき部分を提示することができる。
【0108】
次に、教授者の操作部106への操作により画像(マップ40に相当)中の不足リンクL1を指定することで、CPU301は、不足リンクL1の根拠部分を表示部107に表示する(ステップS411)。この処理では、サーバ300の記憶部302において、ステップS401で入力された教授者のIDに対応付けられて記憶されている根拠付けテーブル(
図17参照)が検索されるとともに、該検索された根拠付けテーブルにおいて、前記指定された不足リンクLに対応付けられている根拠部分が表示部107に表示される。例えば、
図17に示す根拠付けテーブルが検索されて、教授者により不足リンクL1として「実世界」と「モデリング」とをつなぐリンクLが指定された場合には、CPU301は、このリンクLに対応付けられている「実世界をデータベース化するためには、実世界のモデリング必要となる」の文字列が表示部107に表示される。この表示により、教授者は、不足リンクL1のあるノード間に自身がリンク付けを行った判断が妥当であるか否かを検討することができる。
【0109】
次に
図24を用いて、目標概念マップ10と学習者概念マップ30との類似度を表示する類似度表示処理について説明する。
【0110】
まず、CPU301は、ステップS402で検索された目標概念マップ10に含まれるリンクLの数G(以下、リンク数Gと記す)を取得する(ステップS501)。具体的には、ステップS404で作成された目標テーブル(
図22参照)において1が付されている箇所の数を取得する。
【0111】
次に、CPU301は、ステップS403で検索した学習者概念マップ30に含まれるリンクLの数U(以下、リンク数Uと記す)を取得する(ステップS502)。具体的には、ステップS405で作成された学習者テーブル(
図23参照)において1が付されているノード間の数を取得する。
【0112】
次に、CPU301は、ステップS403で検索した学習者概念マップ30に含まれるリンクLのうち、ステップS402で検索された目標概念マップ10に含まれているリンクLの数Ug(以下、リンク数Ugと記す)を取得する(ステップS503)。具体的には、ステップS406で対応付けを行ったノード間のうち、ステップS404,405で作成された目標・学習者テーブル(
図22,23参照)のいずれにおいても1が付されているノード間の数を取得する。
【0113】
次に、CPU301は、ステップS402,403で検索された目標概念マップ10と学習者概念マップ30との類似度を示す一つの数値として、ステップS402で検索された目標概念マップ10に含まれるリンクLのうち、ステップS403で検索された学習者概念マップ30にも含まれているリンクLの割合を示す再現率を算出する(ステップS504)。この算出は、ステップS503で取得したリンク数UgをステップS501で取得したリンク数Gで除する(Ug/G)ことで行われる。
【0114】
次に、CPU301は、ステップS402,403で検索された目標概念マップ10と学習概念マップ30との類似度を示す一つの数値として、ステップS403で検索された学習者概念マップ30に含まれるリンクLのうち、ステップS402で検索された目標概念マップ10にも含まれているリンクLの割合を示す適合率を算出する(ステップS505)。この算出は、ステップS503で取得したリンク数UgをステップS502で取得したリンク数Uで除する(Ug/U)ことで行われる。
【0115】
次に、CPU301は、ステップS402で検索された目標概念マップ10に含まれているリンクLのうち、ステップS403で検索された学習者概念マップ30に含まれていないリンクLの割合を示す不足率を算出する(ステップS506)。この算出は、1からステップS504で算出した再現率を引くこと(1−Ug/G)で行われる。
【0116】
次に、CPU301は、ステップS403で検索された学習者概念マップ30に含まれているリンクLのうち、ステップS402で検索された目標概念マップ10に含まれていないリンクLの割合を示す過剰率を算出する(ステップS507)。この算出は、1からステップS505で算出した適合率を引くこと(1−Ug/U)で行われる。
【0117】
次に、CPU301は、ステップS402,403で検索された目標概念マップ10と学習者概念マップ30との類似度を示す一つの数値として、ステップS506,507で算出した不足率と過剰率との調和平均であるF値(調和平均値)を算出する(ステップS508)。
【0118】
次に、CPU301は、上述の再現率、適合率、不足率、過剰率、F値を、教授者端末100の表示部に表示する(ステップS509)。この表示により、教授者は、特に注意や指導が必要な学習者を発見することができる。
【0119】
なお、上述の個別診断処理は、学習者のログイン認証が行われることに応じても開始される。
図25は、この個別診断処理における不足・過剰リンクL1,L2を特定する画像を表示する表示処理のフロチャートを示し、
図26は、
図25の表示処理に続いて実行される類似度表示処理を示している。以下、
図25,26に示すフロチャートと、上述の
図21,24に示すフロチャートとの相違点について説明する。なお、
図25,26により示されるアルゴリズムについても、サーバ300のROM303にプログラムとして記憶されており、CPU301によって実行される。
【0120】
まず
図25に示す表示処理において、
図21のステップS401に対応するステップS601では、学習者が学習者端末200の操作部206により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU301は、学習者のログイン認証を行う。
【0121】
また、
図21のステップS402に対応するステップS602では、学習者が学習者端末200の操作部206により教授者のIDを入力することで、CPU301は、入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶されている目標概念マップ10を検索する。
【0122】
また、
図21のステップS403に対応するステップS603では、CPU301は、ステップS601で入力された学習者のIDに対応つけてサーバ300の記憶部302に記憶されている学習者概念マップ30を検索する。
【0123】
また、
図21のステップS410に対応するステップS610では、CPU301は、不足リンクL1と過剰リンクL2とを特定可能な画像(
図10のマップ40に相当)を学習者端末200の表示部207に表示する。この表示により、学習者は、学習者概念マップ30における不足リンクL1と過剰リンクL2と正解リンクL3とを確認して、再度、学習者概念マップ30の作成について検討することができる。
【0124】
また、
図21のステップS411に対応するステップS611では、CPU301は、ステップS602で入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶されている根拠付けテーブル(
図17参照)に基づき、不足リンクL1の根拠部分を学習者端末200の表示部207に表示する。この表示は、学習者が操作部206を操作して画像(
図10のマップ40に相当)中の不足リンクL1を指定することに応じて行われる。この表示により、学習者は、不足リンクL1のあるノード間に自身がリンク付けを行わなかった判断が妥当であるか否かを検討することができる。
【0125】
そして
図26に示す類似度表示処理では、
図24のステップS509に対応するステップS709において、CPU301は、ステップS704,705,706,707,708で算出した再現率、適合率、不足率、過剰率、F値を、学習者端末200の表示部207に表示する。この表示により、学習者は、自身が作成した学習者概念マップ30全体の妥当性を把握することができる。また、不足率と過剰率との調和平均であるF値が表示されることで、学習者は、学習者概念マップ30におけるリンクLの数が、目標概念マップ10に比して多すぎたことや少なすぎたことを把握することができる。これにより、学習者による学習者概念マップ30へのリンク付けが適度に行われることが促せる。
【0126】
次に、(2)グループの診断処理について説明する。
図27は、グループ診断処理のフロチャートを示している。
図27により示されるアルゴリズムは、サーバ300のROM303にプログラムとして記憶されており、CPU301によって実行される。
【0127】
まず、教授者が教授者端末100の操作部106により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU301は、教授者のログイン認証を行う(ステップS801)。
【0128】
次に、CPU301は、ステップS801で入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶されている目標概念マップ10を検索する(ステップS802)。
【0129】
次に、CPU301は、ステップS801で入力された教授者のIDに対応付けて記憶部302に記憶されている複数の学習者概念マップ30を検索する(ステップS803)。
【0130】
次に、CPU301は、ステップS802で検索した目標概念マップ10のリンクLの有無を示す目標テーブル(
図22参照)を作成する(ステップS804)。
【0131】
次に、CPU301は、ステップS803で検索した学習者概念マップ30毎に、これら学習者概念マップ30のリンクLの有無を示す学習者テーブル(
図23参照)を作成する(ステップS805)。
【0132】
次に、CPU301は、ステップS804,805で作成された目標テーブルと学習者テーブルとにおいて、同じ用語からなる2つのノードNによって示されるノード間の対応付けを行う(ステップS806)。
【0133】
次に、CPU301は、ステップS806で対応付けを行った各ノード間について、リンクLが形成されていた学習者概念マップ30の形成割合({リンクLが形成されていた学習者概念マップ30の数}/{ステップS803で検索された総ての学習者概念マップ30の数})を算出する(ステップS807)。具体的には、CPU301は、ステップS806で対応付けを行ったノード間のそれぞれについて、1が付されていた学習者テーブルの割合({1が付されていた学習者テーブルの数}/{ステップS805で作成された総ての学習者テーブルの数})を算出する。
【0134】
図28は、ステップS807の処理により作成される形成割合テーブルを示している。この形成割合テーブルでは、ステップS807で算出された形成割合が示されている。
図28に示すテーブルでは、「ポインタとリンク」と「階層データモデル」との間を示す対応箇所Cに0.5が付されている。これは、ステップS805で作成された学習者テーブルのうち、「階層データモデル」と「ポインタとリンク」との間に1が付された学習者テーブルが、1/2の割合で存在したためである。このことは、ステップS803で検索された学習者概念マップのうち、「階層データモデル」と「ポインタとリンク」との間にリンクが形成されていた学習者概念マップが1/2の割合で存在していたことを意味する。
【0135】
次に、CPU301は、ステップS806で対応付けを行ったノード間を抽出し、それらノード間の各々に対して、形成割合テーブルに示す形成割合を付加する(ステップS808)。この結果、
図11に示したように、抽出されたノード間がリンクLで繋がれているとともに、各ノード間に形成割合が付加された重畳マップ50が形成される。
【0136】
次に、CPU301は、重畳マップ50に示されるリンクLのうち、ステップS802で検索された目標概念マップ10と、ステップS803で検索された複数の学習者概念マップ30の全てに含まれている正解リンクL4を設定する(ステップS809)。具体的には、CPU301は、ステップS807で作成された形成割合テーブル(
図28参照)で1が付され、ステップS804で作成された目標テーブル(
図22参照)で1が付されているノード間を抽出して、重畳マップ50でこの抽出したノード間をつなぐリンクLを正解リンクL4として設定する。
【0137】
次に、CPU301は、重畳マップ50に示されるリンクLのうち、ステップS803で検索された複数の学習者概念マップ30の多数に含まれているが、ステップS802で検索された目標概念マップ10には含まれていない過剰リンクL5を設定する(ステップS810)。具体的には、CPU301は、ステップS807で作成された形成割合テーブルで所定値(例えば0.75)以上の値が付され、ステップS804で作成された目標テーブルで0が付されているノード間を抽出し、重畳マップ50でこの抽出したノード間をつないでいるリンクLを過剰リンクL5として設定する。
【0138】
次に、CPU301は、ステップS803で検索された複数の学習者概念マップ30の多数に含まれていないが、ステップS802で検索された目標概念マップ10に含まれている不足リンクL6を設定する(ステップS811)。具体的には、CPU301は、ステップS807で作成された形成割合テーブルで所定値(例えば0.25)以下の値が付され、ステップS804で作成された目標テーブルで1が付されているノード間を抽出し、重畳マップ50において、この抽出したノード間をつなぐリンクLを不足リンクL6として設定する。
【0139】
次に、CPU301は、正解リンクL4と過剰リンクL5と不足リンクL6とを区別して示す差分マップ60を教授者端末100の表示部107に表示する(ステップS812)。この結果、
図12に示すように、正解リンクL4を実線で示し、過剰リンクL5を破線で示し、不足リンクL6を二点鎖線で示す差分マップ60が、教授者端末100の表示部107に表示される。
【0140】
なお上述のグループ診断処理は、学習者のログイン認証が行われることに応じても開始される。
図29は、このグループ診断処理のフロチャートを示している。以下、
図29に示すフロチャートと、
図27に示すフロチャートとの相違点について説明する。 なお、
図29により示されるアルゴリズムについても、サーバ300のROM303にプログラムとして記憶されており、CPU301によって実行される。
【0141】
まず
図29に示すグループ診断処理において、
図27のステップS801に対応するステップS901では、学習者が学習者端末200の操作部206により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU301は、学習者のログイン認証を行う。
【0142】
また
図27のステップS802に対応するステップS902では、学習者が学習者端末200の操作部206により教授者のIDを入力することで、CPU301は、該入力された教授者のIDに対応付けて記憶部302に記憶されている目標概念マップ10を検索する。
【0143】
また
図27のステップS803に対応するステップS903では、CPU301は、ステップS902で入力された教授者のIDに対応付けて記憶部302に記憶されている複数の学習者概念マップ30を検索する。
【0144】
また
図27のステップS812に対応するステップS912では、CPU301は、差分マップ60を学習者端末200の表示部207に表示する。この結果、学習者は、差分マップ60に示される正解リンクL4、過剰リンクL5 及び不足リンクL6により、学習者全体と教授者との間、さらには学習者自身と学習者全体との間の理解の相違を把握することができる。
【0145】
次に、(3)学習者間の診断処理について説明する。
図30,31,32は、学習者間の診断処理のフロチャートを示している。
図30,31,32により示されるアルゴリズムは、サーバ300のROM303にプログラムとして記憶されており、CPU301によって実行される。
【0146】
図30に示す学習者間の診断処理には、一致リンクL7(2つの学習者概念マップのいずれにも含まれているリンク)と、相違リンクL8(2つの学習者概念マップのうち、いずれか一方にしか含まれていないリンク)とを特定する画像を表示する表示処理と、2つの学習者概念マップ30の類似度を表示する類似度表示処理とが含まれており、これらは続けて実行される。
【0147】
はじめに
図31に基づき、一致リンクL7と相違リンクL8とを特定する画像を表示する表示処理を説明する。
【0148】
まず、学習者が学習者端末200の操作部206により自身のIDとパスワードを入力することで、CPU301は、学習者のログイン認証を行う(S1001)。
【0149】
次に、CPU301は、ステップS1001で入力された学習者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶された学習者概念マップ30の検索を行う(S1002)。
【0150】
次に、学習者が操作部206により他の学習者のIDを入力することで、CPU301は、入力された他の学習者のIDに対応付けて記憶部302に記憶されている他の学習者概念マップ30を検索する(S1003)。
【0151】
次に、CPU301は、ステップS1002で検索された学習者概念マップ30のリンクLの有無を示す学習者テーブル(
図23参照)を作成する(S1004)。
【0152】
次に、CPU301は、ステップS1003で検索された他の学習者概念マップ30のリンクLの有無を示す学習者テーブルを作成する(S1005)。
【0153】
次に、CPU301は、ステップS1002,1003で検索された学習者概念マップ30において、同じ用語からなる2つのノードNによって示されるノード間の対応付けを行う(S1006)。この処理は、ステップS1004,1005で作成された学習者テーブルに基づき行われる。
【0154】
次に、CPU301は、ステップS1006で対応付けを行ったノード間のうち、一致リンクL7によるリンク付けのあるノード間を抽出する(S1007)。具体的には、CPU301は、ステップS1006で対応付けを行ったノード間のうち、ステップS1004,1005で作成された学習者テーブルのいずれにおいても1が付されているノード間を抽出する。
【0155】
次に、CPU301は、ステップS1006で対応付けを行ったノード間のうち、相違リンクL8によるリンク付けのあるノード間を抽出する(S1008)。具体的には、CPU301は、ステップS1006で対応付けを行ったノード間のうち、ステップS1004,1005で作成された学習者テーブルのうち、いずれか一方で1が付され、他方では0が付されているノード間を抽出する。
【0156】
次に、CPU301は、一致リンクL7と相違リンクL8とを特定可能な画像を学習者端末200の表示部207に表示する(S1009)。具体的には、CPU301は、ステップS1007で抽出したノード間と、ステップS1008で抽出したノード間とを、異なる態様(異なる線種や色)で示す一致リンクL7と相違リンクL8とによってそれぞれ繋いだマップを表示する。
【0157】
この結果、
図13に示したように、一致リンクL7が実線で示され、相違リンクL8が破線で示されたマップ70が、学習者端末200の表示部207に表示される。この表示により、学習者は、自己の理解と他の学習者の理解との一致部分及び相違部分を把握することができる。
【0158】
次に
図32を用いて、類似度表示処理について説明する。
【0159】
まず、CPU301は、ステップS1002,1003で検索した学習者概念マップ30について、ステップS1006で対応付けた各ノード間におけるリンクLの有無を次元を変えて示す特徴ベクトル表現を取得する(S1101)。
【0160】
図33は、ステップS1101において取得される特徴ベクトル表現の例を示している。特徴ベクトルは、それぞれステップS1004,1005で作成された学習者テーブルに示される数値を、ステップS1006でノード間の対応付けが行われた順に並べていったものである。
【0161】
図33の特徴ベクトルV0は、ステップS1004,1005で
図23に示す学習者テーブルが作成されていた場合に、ステップS1101で取得される特徴ベクトルを示している。特徴ベクトルの先頭の数値1は、
図23に示す学習者テーブルで最初にノード間の対応付けが行われた「ネットワークデータモデル」「ポインタとリンク」間のリンクLの有無を示す数値が取得されたものである。そして特徴ベクトルの2番目の数値0は、その次にノード間の対応付けが行われた「ネットワークデータモデル」「高速性」間のリンクLの有無を示す数値が取得されたものである。このような過程で得られた特徴ベクトルV0は、その次元の数がステップS1002,1003で検索された学習者概念マップに存在するノード間の数ほど存在し、各次元でそれぞれ対応するノード間のリンクの有無を示すものとなるため、ステップS1002,1003で検索された学習者概念マップの全てのノード間におけるリンクの有無を示すものとなっている。
【0162】
なお
図33に示す特徴ベクトルV1,V2は、ノード間がそれぞれ17存在する2つの学習者概念マップのリンクの有無を示している。特徴ベクトルV1は、1が付された次元が14存在していることから、座標V1に対応する学習者概念マップでは14のノード間でリンクが形成されていることを示している。また特徴ベクトルV2は、1が付された次元が16存在していることから、座標V2に対応する学習者概念マップでは16のノード間でリンクが形成されていることを示している。また、これらの学習者概念マップでは、共に1が付された次元が13存在することから、共にリンクが形成されていたノード間が13存在していることが把握される。
【0163】
次に、CPU301は、ステップS1002,1003で検索された2つの学習者概念マップ30の類似度として、ステップS1101で算出された2つの特徴ベクトルのコサイン距離を算出する(S1102)。このコサイン距離は、2つの特徴ベクトルの内積を、これらベクトルのスカラー量の積で割ったものである。例えば、ステップS1002,1003で、ノード間が17存在する学習者概念マップが検索された結果、
図33に示す特徴ベクトルV1,V2がステップS1101で取得された場合には、V1*V2/(|V1|*|V2|)の計算、すなわち13/√14×√16によって、特徴ベクトルV1,V2のコサイン距離が算出される。
【0164】
次に、CPU301は、ステップS1102で算出したコサイン距離を学習者端末200の表示部207に表示する(S1103)。これにより、学習者は、自身の学習者概念マップ30と他の学習者概念マップ30とが類似する程度や、これらマップ間の包含・被包含の関係を把握することができる。この結果、学習者は、自身と似た理解をしている他の学習者を見つけることができる。
【0165】
次に、学習者概念マップ30の修正処理について
図34を用いて説明する。
【0166】
図34は、学習者概念マップ30の修正処理のフロチャートである。
図34のフロチャートにより示されるアルゴリズムは、学習者端末200のROM203にプログラムとして記憶されており、学習者の学習者端末200に対する入力作業によって、CPU201によって実行される。
【0167】
まず、学習者が操作部206を操作して自身のIDとパスワードを入力することで、CPU201は、学習者のログイン認証を行う(ステップS1201)。
【0168】
次に、CPU201は、ステップS1201で入力された学習者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶されている学習者概念マップ30を検索する(S1202)。
【0169】
次に、CPU201は、ステップS1202で検索した学習者概念マップ30を学習者端末200の表示部207に表示する(S1203)。
【0170】
次に、CPU201は、ステップS1202で検索された学習者概念マップ30においてリンクLの削除・追加を行う(S1204)。この処理は、学習者による操作部206への操作により、表示部207に表示された学習者概念マップ30のリンクLが指定されることで行われる。
【0171】
次に、CPU201は、修正された学習者概念マップ30のデータを、ネットワーク400を介してサーバ300に送信する(S1205)。この結果、修正された学習者概念マップ30のデータは、先の学習者概念マップ30のデータに代えて、ステップS1201で入力された学習者のIDに対応付けて記憶される。
【0172】
そしてこの後、サーバ300によるマップの診断処理として、例えば
図25に示す不足・過剰リンクを特定する画像の表示処理が実行された場合には、学習者は、修正した学習者概念マップについての不足・過剰リンクL1,L2を確認できるため、学習者概念マップ30を修正した判断についての妥当性を検討することができる。
【0173】
次に、目標概念マップ10の修正処理について
図35を用いて説明する。
【0174】
図35は、目標概念マップ10の修正処理のフロチャートである。
図35のフロチャートにより示されるアルゴリズムは、教授者端末100のROM103にプログラムとして記憶されており、教授者の教授者端末100に対する入力作業によって、CPU101によって実行される。
【0175】
まず、教授者が操作部106を操作して自身のIDとパスワードを入力することで、CPU101は、教授者のログイン認証を行う(ステップS1301)。
【0176】
次に、CPU101は、ステップS1301で入力された教授者のIDに対応付けてサーバ300の記憶部302に記憶されている目標概念マップ10を検索する(ステップS1302)。
【0177】
次に、CPU101は、ステップS1302で検索した目標概念マップ10を教授者端末100の表示部107に表示する(ステップS1303)。
【0178】
次に、CPU101は、ステップS1302で検索された目標概念マップ10に対してリンクLの削除・追加を行う(ステップS1304)。この処理は、教授者の操作部106への操作により、表示部107に表示された目標概念マップ10のリンクLが指定されることで行われる。
【0179】
次に、CPU101は、修正した学習者概念マップ30のデータを、ネットワーク400を介してサーバ300に送信する(ステップS1305)。この結果、修正された学習者概念マップ30のデータは、先の学習者概念マップ30のデータに代えて、ステップS1301で入力された教授者のIDに対応付けて記憶される。
【0180】
そしてこの後、サーバ300によるマップの診断処理として、例えば
図29に示すグループ診断処理が実行された場合には、教授者は、修正された目標概念マップ10に基づき作成された差分マップ60(
図12参照)を確認できるので、そのリンクの表示から目標概念マップ10を修正した判断についての妥当性を検討することができる。
【0181】
本実施形態によれば、学習者が学習者概念マップ30を作成するにあたって、目標概念マップ10のノードNを含むマップキット20が学習者に提供されることで、学習者が行う作業は、マップキット20に対してリンク付けを行う構造化のみに限定される。この結果、目標概念マップ10と学習者概念マップ30とは、ノードNについては相違せず、リンクLのみが相違することで、コンピュータによる比較が可能な構造を有するようになる。このことから本実施形態では、コンピュータによる処理で、目標概念マップ10のリンクLと学習者概念マップ30のリンクLとを比較した結果(例えば、
図10に示す不足・過剰リンクL1,L2や
図12に示す差分マップ60)を表示することが可能であり、この表示により、教授者から学習者へ、或いは学習者から教授者への学習対象の理解についてのフィードバックが実現される。
【0182】
また、学習者概念マップ30を作成する方法として、学習者にマップキット20を提供してリンク付けを行わせる方法(Kit-Build方式)を採用していることで、学習者は、教授者が作成した目標概念マップ10や他の学習者が作成した学習者概念マップ30にも示される部品(ノードN)を使用して、学習者概念マップ30を作成することになる。これにより、学習者概念マップ30と目標概念マップ10との異同、或いは学習者概念マップ30間の異同を把握しやすく、互いの理解についての指摘が容易に行われる。
【0183】
また、学習者概念マップ30を作成するにあたって、学習者にマップキット20が提供されることで、ノードNを抽出する分節化の作業は省略される。これにより、学習者自身は、リンク付けを行う構造化に集中できる。
【0184】
また、学習者にマップキット20が提供されることで、教授者が伝えたい重要概念は、学習者に明示的に示されて、学習者と共有される。
【0185】
また、学習者にマップキット20が提供されることで、
図19に示す学習者概念マップ30の作成処理で作成される学習者概念マップ30のバリエーションを減らすことができる。このため、システムにおけるマップ診断処理の高速化が図られる。このため、リアルタイムなフィードバックが実現される。
【0186】
また、学習者に対してマップキット20が提供されることから、学習者と教授者との間、或いは学習者間において、学習対象に示す重要概念について共通の理解を形成することができる。
【0187】
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲において種々改変することができる。
【0188】
例えば、目標概念マップ10には、
図20に示す学習者の個別診断処理や
図27に示すグループの診断処理で、学習者概念マップ30との間で過剰・不足を判断しない過剰許容リンクや不足許容リンクが設定されてもよい。この場合、
図14に示す目標概念マップ10の作成処理や
図35に示す目標概念マップ10の修正処理には、教授者の操作により過剰許容リンクや不足許容リンクが指定される処理が追加される。
【0189】
また、
図19に示す学習者概念マップ30の作成処理では、マップキット20に付加するリンクLの総数や、マップキット20の各ノードNにつなげてよいリンクLの数が制限されてもよい。この場合、図に示すマップキット20作成処理において、リンク付けが可能なキット間や、各キットにつなげてよいリンクLの数を指定するための処理が追加される。これにより、学習者概念マップ30の作成処理で作成される学習者概念マップ30のバリエーションをさらに減らすことができるため、システムにおけるマップ診断処理のさらなる高速化が図られる。
【0190】
また、
図14に示す目標概念マップ10の作成処理のステップS102で読み出される学習対象の文字列は、スキャナによって読み込まれたものであってもよい。この場合、
図2に示す教授者端末100の通信部105により、スキャナと教授者端末100との接続が図られる。
【0191】
また、目標概念マップや学習者概念マップにおけるリンクには、2つのノードの関係を示すために、方向やラベルが設けられてもよい。
図36は、リンクに方向やラベルが設けられた目標概念マップ11を示している。
図36に示す目標概念マップ11において、例えば、「データ構造記述」と「リレーション」との関係付けを行うリンクL1では、「リレーション」が「データ構造記述」の構成要素であることから、その包含関係を示すべく、リンクL1の方向は、「データ構造記述」から「リレーション」に向かうものとなっている。またリンクL1には、その方向の意味を示すべく、「構成要素」というラベルR1が設けられている。
【0192】
このようにリンクに方向やラベルを設ける場合、目標概念マップの作成処理では、
図37に示すようなIDテーブルが作成される。このIDテーブルは、学習対象からノードの抽出が行われた際に作成されるものであって、縦軸には「リンクLの始点となるノード」の候補が示され、横軸には「リンクLの終点となるノード」の候補が示されている。そして、目標概念マップ11に構成される各ノード間について、これらノード間に付され得るリンクのIDが割り振られている。この割り振りの結果、IDテーブルに示されるIDには、実際に目標概念マップに形成されたリンクを示すものと、目標概念マップには形成されることのなかったリンクを示すものとが存在する。例えば、
図36に示すリンクL1のIDとして、リンクL1の始終点を示す箇所Dに「L0405」が割り振られ、また、目標概念マップには形成されていないリンクのIDとして、例えば「実世界」と「階層データモデル」の間を示す箇所Eに「L0107」が割り振られている。
【0193】
またIDテーブルでは、学習対象から抽出されたノードに対して2桁のIDが付与されており、リンクのIDは、その始点となるノードのIDを下3〜4桁に配置し、終点となるノードのIDを下1〜2桁に配置することで構成されている。このようにリンクIDが構成されることで、同じノード間に付されて、向きが反対の2つのリンク(以下、向きが反対のリンクと記す)には、下3〜4桁の数値と下1〜2桁の数値とが逆のIDが与えられている。例えば、「モデリング(ID:02)」と「ネットワークデータモデル(ID:06)」との間に付されるリンクのうち、始点を「モデリング」とし、終点を「ネットワークデータモデル」とするリンクには、IDテーブルの箇所Fに「L0206」のIDが割り振られ、始点を「ネットワークデータモデル」とし、終点を「モデリング」とするリンクには、IDテーブルの箇所Gに「L0602」のIDが割り振られている。
【0194】
また、
図38は、目標概念マップの作成処理で作成される目標テーブルを示している。この目標テーブルは、縦軸にIDテーブルで割り振られたリンクのIDが示され、横軸に目標概念マップ11(
図36参照)に記されたラベルが示されている。この目標テーブルでは、上述のように縦軸にIDテーブルのIDが示された結果、目標概念マップ11に実際に付されているリンクのIDを示す行と、目標概念マップ11に記されていないリンクのIDを示す行とが存在している。
【0195】
そして、リンクL1(
図36参照)のID「L0405」を示す行G1のように、目標概念マップ11に付されたリンクのIDを示す行では、そのリンクに付されたラベルを示す列(行G1では列R1が該当)に1が付され、リンクに付されていないラベルを示す列に0が付されている。
【0196】
また、目標概念マップ11に記されていないリンクのIDを示す行では、全ての列に0が付されている。例えば、行G6の「L0305」は、目標概念マップ11(
図36参照)でリンクが付されていない「リレーショナルデータベース(RDB)」と「リレーション」の間に対して割り振られたIDであるが(
図37参照)、この「L0305」を示す行G6では、全ての列に0が付されている。以上のように1や0が付されることで、目標テーブルは、目標概念マップ11における各リンクと、これらリンクに付されたラベルとの対応関係を示すものとなっている。
【0197】
そしてマップキット作成処理では、教授者の教授者端末100に対する入力作業により、目標概念マップにおける所定のラベル付きリンクが削除されることで、マップキットが作成される。
図39は、
図36に示す目標概念マップ11に基づき作成されたマップキット21を示している。このマップキット21は、目標概念マップ11において、ラベルR2付きリンクL2や,ラベルR3付きL3が削除されることで、リンクLによる関係付けのないノードキットK1や、リンクLによる関連付けのあるマクロキットK2が形成されたものとなっている。
【0198】
そして学習者概念マップの作成処理では、学習者の学習者端末200に対する入力作業により、マップキットでリンク付けを行うノード間が指定されるとともに、このノード間に付すリンクの方向が指定されることで、学習者概念マップが作成される。この際には、教授者が目標概念マップから削除したラベル付きリンク(
図39に示すS)が、マップキットとともに学習者端末200の表示部207に表示され、学習者は、表示部207に表示されたラベル付きリンクを、マップキットのノード間にドラッグすることで、マップキットに対してリンク付けを行う。
【0199】
図40は、
図39に示すマップキット21に基づき作成された学習者概念マップ31を示している。この学習者概念マップ31は、マップキット21の使用により形成された結果、目標概念マップ11(
図36参照)と同様、リンクLにラベルRや方向が付されており、また、リンクLの数は目標概念マップ11と同一で、リンクLに付されるラベルRは、目標概念マップ11に記されたものが使用されている。
【0200】
さらに学習者概念マップの作成処理では、
図41に示す学習者テーブルが作成される。
図41に示す学習者テーブルでは、縦軸にIDテーブル(
図37参照)で割り振られたリンクのIDが示され、横軸に学習者概念マップ31(
図40参照)に記されたラベルが示されている。学習者テーブルは、上述のように縦軸・横軸が示された結果、目標テーブル(
図38参照)と同じリンクID・ラベルを縦軸・横軸に示しており、縦軸には、学習者概念マップ31に実際に記されているリンクのIDを示す行と、学習者概念マップ31に記されていないリンクのIDを示す行とが存在している。
【0201】
そして学習者概念マップ31に記されたリンクのIDを示す行では、そのリンクに付されたラベルを示す列に1が付され、そのリンクに付されていないラベルを示す列に0が付されている。例えば、
図40に示すリンクL1のID「L0405」を示す行G1では、リンクL1に付されたラベル「構成要素」を示す列(R1に該当)に1が付され、それ以外の列に0が付されている。
【0202】
また学習者概念マップ31に記されていないリンクのIDを示す行では、全ての列に0が付されている。例えば、行G5の「L0612」は、学習者概念マップ31でリンクが記されていない「ネットワークデータモデル」と「高速性」との間に割り振られたIDであるが(
図37参照)、この「L0612」を示す行G5では、全ての列に0が付されている。以上のように1,0が付された学習者テーブルは、学習者概念マップ31の各リンクと、これらリンクに付されたラベルとの対応関係を示すものになっている。
【0203】
そして個別診断処理では、上述の目標テーブル及び学習者テーブルに基づき、目標概念マップと学習者概念マップとにおけるリンクの異同を示す画像が教授者端末100或いは学習者端末200の表示部107,207(
図2,3参照)に表示される。具体的には、目標テーブル及び学習者テーブルの数値を比較することで、以下の(1)〜(6)に示すリンクを異なる態様で示すマップが表示される。
【0204】
(1)
図36,40に示すL1のように、目標概念マップと学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されており、方向やラベルも一致するリンク(
図36,40の(1)参照)。
(2)目標概念マップと学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されており、方向については一致するものの、ラベルが異なるリンク(
図36,40の(2)参照)。
(3)目標概念マップと学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されており、ラベルについては一致するものの、方向が反対のリンク(
図36,40の(3)参照)。
(4)目標概念マップと学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されているが、方向が反対でラベルが異なるリンク(
図36,40の(4)参照)。
(5)目標概念マップではリンクが形成されているが、学習者概念マップではリンクが形成されていないノード間をつなぐリンク(
図36の(5)参照)。
(6)学習者概念マップではリンクが形成されているが、目標概念マップではリンクが形成されていないノード間をつなぐリンク(
図40の(6)参照)。
【0205】
以下、目標テーブル及び学習者テーブルにより、上述の(1)〜(6)のリンクを設定する処理について、
図38,41を用いて具体的に説明する。
【0206】
まず、
図38,41に示す行G1のように、目標・学習者テーブルのいずれにも1が付けられ、その1が付された列(R1に該当)が目標・学習者テーブルとで同一である行については、その行のID(L0405に該当)に対応するリンクが、(1)のリンクとして設定される。
【0207】
また、行G2のように、目標・学習者テーブルのいずれにも1が付けられているものの、目標テーブルと学習者テーブルとで1が付された列(R1,R2に該当)が異なる行については、その行のID(L0309に該当)に対応するリンクが、(2)のリンクとして設定される。
【0208】
また、行G3のように、向きが反対のリンクのIDを示す2つの行(IDの下1〜2桁と下3〜4桁とが逆になっている2行)であって、一方の行(L0813の行)については目標テーブルで1が付され、他方の行(L1308の行)については学習者テーブルで1が付されており、これら1が付された列(R2に該当)が学習者テーブルと目標テーブルとで同一である行については、そのうちいずれかの行のID(L0813,L1308のいずれか)に対応するリンクが、(3)のリンクとして設定される。
【0209】
また、行G4のように、向きが反対のリンクのIDを示す2つの行であって、一方の行(L0814の行)については目標テーブルで1が付され、他方の行(L1408の行)については学習者テーブルでは1が付されており、これら1が付された列(R2,R1に該当)が学習者テーブルと目標テーブルとで異なる2行については、そのうちいずれかの行のID(L0814,L1408のいずれか)に対応するリンクが、(4)のリンクとして設定される。
【0210】
また、行G5のように、目標テーブルには1が付されているものの、学習者テーブルには1が付されていない行については、その行のID(L0612に該当)に対応するリンクが、(5)のリンクとして設定される。
【0211】
また、行G6のように、目標テーブルには1が付されていないが、学習者テーブルには1が付されている行については、その行のID(L0305に該当)に対応するリンクが、(6)のリンクとして設定される。
【0212】
図42は、以上のリンクの設定が行われた結果、教授者端末100或いは学習者端末200の表示部107,207に示されるマップを示している。このマップでは、(1)のリンクが実線で示され、(2)のリンクが破線で示され、(3)のリンクが一点短鎖線で示され、(4)のリンクが二点鎖線で示され、(5)のリンクが点線で示され、(6)のリンクが一点長鎖線で示されている。
【0213】
また、一致度・適合率・不足率・過剰率・F値(調和平均値)の算出・表示に際しては、目標概念マップと学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付され、且つ方向及びラベルが一致する(1)のリンクが、目標概念マップ及び学習者概念マップに共通して含まれるリンクとして扱われる。
【0214】
以上の処理により、目標概念マップと学習者概念マップとにおいて、リンクの有無が一致・相違する箇所だけでなく、リンクに付されている方向やラベルが一致・相違する箇所も認識することができる。これにより、学習者と教授者との間の学習対象に対する理解の相違を、より詳細に把握することができる。
【0215】
そして、複数の学習者概念マップが作成された場合に実行されるグループ診断処理では、
学習者概念マップの各ノード間について、ラベルR付きリンクLが形成されていた割合が算出される。この形成割合は、各学習者概念マップ毎に作成された複数の学習者テーブルに基づき算出される。
【0216】
図43は、上述の形成割合を示す形成割合テーブルを示している。この形成割合テーブルでは、学習者テーブル(
図41参照)に示されていたリンクのID・ラベルが縦軸・横軸に示されている。そして例えば、
図40に示すリンクL1のID「L0405」を示す行G1では、「構成要素」を示す列R1に0.8が付されている。この0.8の値は、各学習者概念マップ毎に作成された複数の学習者テーブルのうち、行G1と列R1が交差する位置で1が付されていた学習者テーブルの割合({1が付されていた学習者テーブルの数}/{総ての学習者テーブルの数})が算出された結果であり、「データ構造記述」と「リレーション」の間に、「構成要素」というラベル付きのリンクが形成されていた学習者概念マップが、4/5の割合で存在していたことを意味している。
【0217】
そして、目標テーブルと形成割合テーブルとに基づき、以下の(1)〜(6)に示すリンクを異なる態様で示す差分マップが、教授者端末100或いは教授者端末200の表示部107,207に表示される。
【0218】
(1)目標概念マップと多数の学習者概念マップにおいて、同じノード間に付され、方向やラベルも一致するリンク。
(2)目標概念マップと多数の学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されており、方向については一致するものの、ラベルが異なるリンク。
(3)目標概念マップと多数の学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されており、ラベルについては一致するものの、方向が反対のリンク。
(4)目標概念マップと多数の学習者概念マップとにおいて、同じノード間に付されているが、方向が反対でラベルが異なるリンク。
(5)目標概念マップではリンクが形成されているが、多数の学習者概念マップではリンクが形成されていないノード間をつなぐリンク。
(6)多数の学習者概念マップではリンクが形成されているが、目標概念マップではリンクが形成されていないノード間をつなぐリンク。
【0219】
以下、目標テーブル及び形成割合テーブルにより、上述の(1)〜(6)のリンクを設定する処理について、
図38,43を用いて具体的に説明する。
【0220】
まず、
図38,43に示す行G1のように、目標テーブルでは1が付され、形成割合テーブルでは、0.5以上の値(0.8に該当)が付された行であって、これらの値(1や0.8)が付された列(R1に該当)が学習者テーブルと目標テーブルとで同じ行については、その行のID(L0405に該当)に対応するリンクが、(1)のリンクとして設定される。
【0221】
また、行G2のように、目標テーブルでは1が付され、形成割合テーブルでは0.5以上の値(0.8に該当)が付された行であって、これらの値(1や0.8)が付された列(R1,R2に該当)が目標テーブルと形成割合テーブルとで異なる行については、その行のID(L0309に該当)に対応するリンクが、(2)のリンクとして設定される。
【0222】
また、行G3のように、向きが反対の2つのリンクのIDを示す2行(IDの下1〜2桁と下3〜4桁とが逆になっている2行)であって、一方の行(L0813の行に該当)については目標テーブルで1が付され、他方の行(L1308の行に該当)については形成割合テーブルで0.5以上の値(0.8に該当)が付されており、これらの値(1や0.8に該当)が付された列(R2に該当)が目標テーブルと形成割合テーブルとで同一である2行については、そのうちいずれかの行のID(L0813,L1308のいずれか)に対応するリンクが、(3)のリンクとして設定される。
【0223】
また、行G4のように、向きが反対の2つのリンクのIDを示す2行であって、一方の行(L0814の行に該当)については目標テーブルで1が付され、他方の行(L1408の行に該当)については形成割合テーブルで0.5以上の値(0.75に該当)が付されており、これらの値(1や0.75に該当)が付された列(R2,R1に該当)が目標テーブルと形成割合テーブルとで異なる2行については、そのうちいずれかの行のID(L0814,L1408のいずれか)に対応するリンクが、(4)のリンクとして設定される。
【0224】
また、行G5のように、目標テーブルには1が付されているものの、形成割合テーブルには0.5以上の値が存在しない行については、その行のID(L0612に該当)に対応するリンクが、(5)のリンクとして設定される。
【0225】
また、行G6のように、目標テーブルには1が付されていないが、形成割合テーブルには0.5以上の値(0.9に該当)が付されている行については、その行のID(L0305に該当)に対応するリンクが、(6)のリンクとして設定される。
【0226】
以上の設定により、上述の(1)〜(6)のリンクを区別して示す差分マップが表示される。この差分マップでは、例えば、
図42に示すマップと同様、上述の(1)〜(6)のリンクが、6つの線種により区別して示される。このため、図示及び詳細な説明を省略する。
【0227】
この差分マップが表示されることで、目標概念マップと多数の学習者概念マップとにおいて、リンクの有無が一致・相違する箇所だけでなく、リンクに付されている方向やラベルが一致・相違する箇所が確認される。これにより、教授者は、学習者と教授者との間の理解の相違をより詳細に把握することができるため、教材や講義による情報伝達に不備があった部分をより明確に把握することができる。また、学習者は、差分マップにより、学習者全体と教授者との間、さらには学習者自身と学習者全体との間の理解の相違をより詳細に把握することができる。
【0228】
なお上記では、差分マップの(1)〜(6)のリンクを設定するにあたって、形成割合テーブルの数値の大小を判断する閾値として0.5を示したが、この閾値は任意に設定され得る。
【0229】
また本実施形態の学習支援システム1における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。ここで、上記プログラムは、例えばフレキシブルディスクやCD−ROM等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体によって提供されてもよい。この場合、コンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。