(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに重ならない異なる通過帯域特性を有する複数のフィルタ手段であって、1シンボル期間が有効シンボル期間と該有効シンボル期間の信号の一部が複写されたガード期間とからなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を各々が入力する複数のフィルタ手段と、
前記複数のフィルタ手段の各々を通過した信号から、複数の時間位置での自己相関を表す物理量を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された前記物理量の前記ガード期間の時間平均を自己相関信号として生成する複数の自己相関生成手段と、
前記複数のフィルタ手段の各出力信号を、所定周期毎に切り替えて入力し、前記演算手段に対して出力する第1切替手段と、
前記演算手段の出力信号を入力して、前記所定周期毎に切り替えて前記自己相関生成手段に出力する第2切替手段と、
を含む相関器。
前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号を入力し、各自己相関信号に基づいて、時間同期を得るのに適した自己相関を1つ選択又は生成して出力する自己相関出力手段を更に含む請求項1記載の相関器。
前記自己相関出力手段は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のうち、最も大きい最大値を有する自己相関信号を選択出力する請求項2記載の相関器。
前記自己相関出力手段は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のうち、最も大きい最大値を有する自己相関信号を抽出し、該最大値に1未満の所定の係数を掛けて閾値を設定し、残りの自己相関信号のうち、前記閾値よりも大きい最大値を有する自己相関を抽出し、最大値が最も大きい自己相関信号と、抽出された、前記閾値よりも大きい最大値を有する自己相関信号を加算合成して出力する請求項2記載の相関器。
前記自己相関出力手段は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のうち、所定の閾値よりも大きい最大値を有する自己相関信号を抽出し、抽出された自己相関信号を加算合成して出力する請求項2記載の相関器。
前記自己相関出力手段は、時間同期を得るのに適した自己相関を1つ選択又は生成する際に、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のすべてに基づかない場合でも、すべてに基づく場合と出力が同じとなるように、採用した信号の少なくとも1つに重み付けをする請求項2記載の相関器。
1シンボル期間が有効シンボル期間と該有効シンボル期間の信号の一部が複写されたガード期間とからなるアナログ信号のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記デジタル信号のOFDM信号を入力する請求項1〜11のいずれか1項に記載の相関器と、
前記相関器から受け取った相関信号に基づいて、前記OFDM信号から有効シンボル信号を抽出するためのタイミング信号を出力するタイミング検出手段と、
前記タイミング検出手段から出力されたタイミング信号に基づいて、前記アナログ/デジタル変換手段でデジタル変換されたOFDM信号から、有効シンボル信号を抽出し、フーリエ変換を施す高速フーリエ変換手段と、
前記高速フーリエ変換手段によるフーリエ変換処理後の信号に復調処理を施し、復調信号を得る復調手段と、
を含む復調装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3においては、相関を得るための2つの入力信号のうち、1OFDMシンボル遅延した信号のみをフィルタに通過させている。ここで、1OFDMシンボル遅延させないそのまま相関器に入る信号に固有の雑音が多く含まれるのであるから、特許文献3では、固有の周波数成分を強く持った雑音に対する耐性を確保するというという観点からは不十分である。
【0010】
本発明は、受信信号帯域内に電力的に大きい不要電力が混入した場合でも、かかる雑音の影響を受けずに、自己相関を評価することができる相関器及びそれを含む復調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る演算器は、互いに重ならない異なる通過帯域特性を有する複数のフィルタ手段であって、1シンボル期間が有効シンボル期間と該有効シンボル期間の信号の一部が複写されたガード期間とからなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を各々が入力する複数のフィルタ手段と、
前記複数のフィルタ手段の各々を通過した信号から、複数の時間位置での自己相関を表す物理量を演算する演算手段と、前記演算手段により演算された前記物理量の前記ガード期間の時間平均を自己相関信号として生成する複数の自己相関生成手段と、
前記複数のフィルタ手段の各出力信号を、所定周期毎に切り替えて入力し、前記演算手段に対して出力する第1切替手段と、前記演算手段の出力信号を入力して、前記所定周期毎に切り替えて前記自己相関生成手段に出力する第2切替手段と、を含んで構成される。
このような構成によれば、受信信号帯域内に電力的に大きい不要波が混入した場合でも、かかる雑音の影響を受けずに、自己相関を評価することができる。また、このような構成によれば、回路規模を大幅に削減することができる。
【0012】
ここで、本発明の演算器は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号を入力し、各自己相関信号に基づいて、時間同期を得るのに適した自己相関を1つ選択又は生成して出力する自己相関出力手段を更に含むのが好適である。
【0013】
不要波が含まれる周波数帯域について得られた自己相関信号はその最大値が相対的に小さいので、かかる自己相関信号を採用しないことにより、以上の構成により、不要波電力の影響による受信品質劣化を軽減させることが可能である。
【0014】
例えば、前記自己相関出力手段は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のうち、最も大きい最大値を有する自己相関信号を選択出力する。
【0015】
あるいは、前記自己相関出力手段は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のうち、最も大きい最大値を有する自己相関信号を抽出し、該最大値に1未満の所定の係数を掛けて閾値を設定し、残りの自己相関信号のうち、前記閾値よりも大きい最大値を有する自己相関を抽出し、最大値が最も大きい自己相関信号と、抽出された、前記閾値よりも大きい最大値を有する自己相関信号を加算合成して出力する。
【0016】
このような構成によれば、最も大きい最大値に有意に近い最大値を有する自己相関信号をすべて採用する。
【0017】
あるいは、前記自己相関出力手段は、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のうち、所定の閾値よりも大きい最大値を有する自己相関信号を抽出し、抽出された自己相関信号を加算合成して出力する。
【0018】
このような構成によれば、採用できる自己相関信号を選択するのに、その最大値の大きさを判定する閾値を設け、閾値よりも大きい最大値を有する自己相関信号をすべて採用する。
【0019】
また、前記
演算手
段は、対応する前記フィルタ手段から出力された信号を、前記有効シンボル期間だけ遅延させる遅延手段と、前記遅延手段からの遅延信号に対して複素共役をとる複素共役手段と、前記フィルタ手段から出力されたOFDM信号と、前記複素共役手段から出力された遅延後の、かつ複素共役処理後の信号とを入力し、それらを複素掛算する複素演算手段と
、を含んで構成できる。
【0020】
あるいは、前記
演算手
段は、対応する前記フィルタ手段から出力された信号を、位相情報に変換して出力する位相変換手段と、前記位相変換手段から出力された位相情報を、前記有効シンボル期間だけ回転させる遅延手段と、前記位相変換手段からの位相情報と、前記遅延手段により回転された位相情報とを比較し、その差分を求め、位相回転量として出力する引算手段と、前記引算手段から出力された位相の回転量から単位ベクトルを生成するベクトル変換手段と
、を含んで構成できる。
【0021】
このような構成によれば、受信信号を一旦位相情報に変換し、後に単位ベクトルに変換するため、自己相関の大きさは受信信号の大きさには影響されなくなる。
【0022】
また、前記自己相関出力手段は、時間同期を得るのに適した自己相関を1つ選択又は生成する際に、前記複数の自己相関生成手段により生成された各々の自己相関信号のすべてに基づかない場合でも、すべてに基づく場合と出力が同じとなるように、採用した信号の少なくとも1つに重み付けをする。
【0023】
このような構成によれば、より安定した時間同期が得られる。
【0024】
また、前記自己相関出力手段は、前記自己相関信号の各々の選択頻度に応じて前記重み付けをする。
また、前記複数の各手段は、特に2個とする。
【0027】
また、このとき、前記遅延手段に格納されるデータの数Ddと、各所定周期で各フィルタ手段に流れるデータの数Dfとの関係は、Df=Dd/M(Mは整数)とすることができる。
【0028】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る復調装置は、1シンボル期間が有効シンボル期間と該有効シンボル期間の信号の一部が複写されたガード期間とからなるアナログ信号のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、前記デジタル信号のOFDM信号を入力する請求項1〜11のいずれか1項に記載の相関器と、前記相関器から受け取った相関信号に基づいて、前記OFDM信号から有効シンボル信号を抽出するためのタイミング信号を出力するタイミング検出手段と、前記タイミング検出手段から出力されたタイミング信号に基づいて、前記アナログ/デジタル変換手段でデジタル変換されたOFDM信号から、有効シンボル信号を抽出し、フーリエ変換を施す高速フーリエ変換手段と、前記高速フーリエ変換手段によるフーリエ変換処理後の信号に復調処理を施し、復調信号を得る復調手段と、を含んで構成される。
【0029】
すなわち、上記構成によれば、上記の相関器を含む復調装置を採用することにより、自己相関のピークをもとに時間同期を求める同期機能を有する受信機において、安定した時間同期を得ることができ、受信特性を良化することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明によれば、受信信号帯域内に電力的に大きい不要波が混入した場合でも、かかる雑音の影響を受けずに、自己相関を評価することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号復調装置10の概略構成図である。このOFDM信号復調装置10は、OFDM信号を受信して、これを復調する装置である。OFDM信号は、
図9に示すように、1シンボル期間が有効シンボル期間と該有効シンボル期間の信号の一部が複写されたガード期間からなる信号である。このOFDM信号から、ガード期間を除く有効シンボル期間の信号が抽出され、この有効シンボル期間の信号(有効シンボル信号)にフーリエ変換が施されて復調される。
【0034】
図1に示すように、このOFDM信号復調装置10は、A/D変換器12、相関器14、タイミング検出器16、FFT(高速フーリエ変換器)18、及び復調器20を備えている。
【0035】
A/D変換器12は、受信したアナログのOFDM信号をサンプリングクロック信号に同期して所定周期でサンプリングしてデジタル信号に変換し、相関器14及びFFT18に出力する。
【0036】
相関器14は、デジタル信号に変換されたOFDM信号と、該OFDM信号を1有効シンボル期間遅延した遅延信号との相関を求め、該相関を示す相関信号をタイミング検出器16に出力する。
【0037】
タイミング検出器16は、相関器14から受け取った相関信号に基づいて、OFDM信号から有効シンボル信号を抽出するためのタイミング信号を出力する。具体的には、相関信号がピークとなるタイミングを検出し、このタイミングを基準としてタイミング信号を出力する。
【0038】
FFT18は、タイミング検出器16から出力されたタイミング信号に基づいて、A/D変換器12でデジタル変換されたOFDM信号から、有効シンボル信号を抽出し、フーリエ変換を施す。
【0039】
復調器20は、フーリエ変換処理後の信号に復調処理を施し、復調信号を得る。
【0040】
図2は、第1の実施の形態の相関器14の構成図である。
【0041】
本実施の形態の相関器14は、2つのフィルタ回路(第1フィルタ回路34a、第2フィルタ回路34b)と、2つの遅延回路(第1遅延回路22a、第2遅延回路22b)と、2つの複素共役回路(第1複素共役回路24a、第2複素共役回路24b)と、2つの複素演算回路(第1複素演算回路26a、第2複素演算回路26b)と、2つの移動平均処理回路(第1移動平均処理回路28a、第2移動平均処理回路28b)と、選択合成回路30と、割合判定回路32と備えている。
【0042】
なお、各フィルタ回路を区別せずに説明する場合には、単にフィルタ回路34と呼称して末尾の符号を省略する。同様に、各遅延回路を区別せずに説明する場合には、単に遅延回路22と呼称して末尾の符号を省略する。また、2つの複素共役回路は同一構成であり、以下、各複素共役回路を区別せずに説明する場合には、単に複素共役回路24と呼称して末尾の符号を省略する。同様に、2つの複素演算回路は同一構成であり、以下、各複素演算回路を区別せずに説明する場合には、単に複素演算回路26と呼称して末尾の符号を省略する。同様に、2つの移動平均処理回路は同一構成であり、以下、各移動平均処理回路を区別せずに説明する場合には、単に移動平均処理回路28と呼称して末尾の符号を省略する。
【0043】
そこで、A/D変換器12から出力されたOFDM信号は、まず、第1フィルタ回路34a及び第2フィルタ回路34bに並列に入力される。
【0044】
第1フィルタ回路34a通過後のOFDM信号は、第1複素演算回路26aの一方の入力端に入力されると共に第1遅延回路22aに入力される。第1遅延回路22aの出力端は、第1複素共役回路24aに接続されている。第1複素共役回路24aの出力端は、第1複素演算回路26aの他方の入力端に接続されている。第1複素演算回路26aの出力端は、第1移動平均処理回路28aに接続されている。
【0045】
同様に、第2フィルタ回路34b通過後のOFDM信号は、第2複素演算回路26bの一方の入力端に入力されると共に第2遅延回路22bに入力される。第2遅延回路22bの出力端は、第2複素共役回路24bに接続されている。第2複素共役回路24bの出力端は、第2複素演算回路26bの他方の入力端に接続されている。第2複素演算回路26bの出力端は、第2移動平均処理回路28bに接続されている。
【0046】
第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bからの出力結果は、共に選択合成回路30に入力されると共に、共に割合判定回路32に入力される。該割合判定回路32からの判定結果は、選択合成回路30に入力される。該選択合成回路30による処理結果は、自己相関出力として出力される。
【0047】
そこで、第1フィルタ回路34a及び第2フィルタ回路34bは、互いに論理的に概ね重ならない異なる通過周波数特性を有する。具体的には、
図3に示すように、例えば、第1フィルタ回路34aは、OFDM信号の想定される周波数帯域に対して、その低周波側の半分をカバーする通過周波数特性を有し、第2フィルタ回路34bは、その高周波側の半分をカバーする通過周波数特性を有する。
【0048】
第1遅延回路22a及び第2遅延回路22bは、それぞれ、第1フィルタ回路34a及び第2フィルタ回路34bから出力された信号を、1有効OFDMシンボル期間(GIを含まないOFDM変調波の長さ)だけ遅延させる。
【0049】
また、第1複素共役回路24a及び第2複素共役回路24bは、それぞれ、第1遅延回路22a及び第2遅延回路22bからの遅延信号に対して複素共役をとる。なお、この第1複素共役回路24a及び第2複素共役回路24bは、1有効シンボル期間遅延させる前の信号側に接続して、それらに対して複素共役をとる形態であってもよい。つまり、第1複素共役回路24aは、第1フィルタ回路34aからの遅延前のOFDM信号に対して複素共役をとり、第2複素共役回路24bは、第2フィルタ回路34bからの信号に対して複素共役をとるようにしてもよい。
【0050】
次に、第1複素演算回路26aは、第1フィルタ回路34aを通過しただけのOFDM信号と、第1複素共役回路24aからの遅延後の、かつ複素共役処理後の信号とを複素掛算する。同様に、第2複素演算回路26aは、第2フィルタ回路34bを通過しただけのOFDM信号と、第2複素共役回路24bからの遅延後の、かつ複素共役処理後の信号とを複素掛算する。
【0051】
次に、第1移動平均処理回路28aは、第1複素演算回路26aからの出力に対して、GI(ガード期間)長分の移動平均をとる。つまり、
図9で説明したように、GIの部分は、OFDM信号の一部と同一であり、その部分が一致した場合に最大の自己相関結果が得られるはずであるが、最大の自己相関が得られる時間位置が予め分からないので、この第1移動平均処理回路28aは、そのGI長について、その時間位置を探索する。
【0052】
同様に、第2移動平均処理回路28bは、第2複素演算回路26bからの出力に対して、GI長分の移動平均をとる。
【0053】
割合判定回路32は、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bから出力された各自己相関信号の最大値を比較し、それらの大小関係を判定する。
【0054】
選択合成回路30は、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bから出力された各自己相関信号を入力すると共に、割合判定回路32からの判定結果を入力する。そして、選択合成回路30は、割合判定回路32からの判定結果に基づいて、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bから出力された各自己相関信号のうち、最大値が大きい方を選択して自己相関出力として出力する。
【0055】
以上の構成により、不要波電力の影響による受信品質劣化を軽減させることが可能であるが、以下これについて分かりやすく説明する。
【0056】
図3を参照して、例えば、想定されるOFDM信号に対して、同図に示す周波数を有する不要波が含まれているとする。この不要波の周波数は、第1フィルタ回路34aでは遮断されるが、第2フィルタ回路34bでは通過するような周波数である。
【0057】
従って、第1フィルタ回路34aを含む経路では、不要波が除去されることとなり、1有効シンボル期間遅延させられた信号との相関、すなわち第1移動平均処理回路28aの出力は比較的大きなものとなる。なお、OFDM信号は、受信帯域内に配列されたサブキャリアすべてにおいて、変調信号のコピーをガード期間(GI)として用いるため、
図3のようにフィルタ通過後のOFDM信号の帯域が半分になっても自己相関を得ることができる。
【0058】
一方、第2フィルタ回路34bを含む経路では、不要波は第2フィルタ回路34bをそのまま通過して含まれたままとなり、1有効シンボル期間遅延させられた信号との相関、すなわち第2移動平均処理回路28bの出力は、第1移動平均処理回路28aの出力と比較するとそれよりも小さいものとなる。従って、この2つの相関値のうち、大きい方の相関値をその相関器の出力として出力するようにすれば、元のOFDM信号に不要波が含まれていたとしても、結果として、不要波を含まないOFDM信号に基づいて相関を求めたことと等価となる。
【0059】
故に、相関値の大小を評価する割合判定回路32と、その割合判定回路32の判定結果に基づいて相関値を選択出力する選択合成回路30を設けてやれば上記機能が実現できる。
【0060】
なお、
図2に示す実施の形態では、GI長分の移動平均処理を行う移動平均処理回路28を含んでいる。一般に、移動平均処理回路28は、移動平均長分のデータバッファを有し、回路規模が大きくなる場合がある。本実施の形態では、互いに異なる通過周波数特性を有する複数のフィルタ回路34と、そのフィルタ回路ごとに自己相関を判定する回路構成とを備え、得られた複数の自己相関から適切な自己相関を選択出力することを特徴としている。従って、本実施の形態では、フィルタ回路以降の自己相関を求める構成を、遅延回路22、複素共役回路24、複素演算回路26、移動平均処理回路28で実現しているものの、これらに限られることはない。例えば、遅延回路22をメモリに置き換え、移動平均処理に必要な区間だけデータを保存しておくのではなく、移動平均処理にて新たに追加するデータと、最も古く排除していくデータを、それぞれメモリから読出し、別途設けた積分器に加える(新しいデータを足し、古く排除するデータを引く)ようにする。かかる構成により、中間段階のデータをメモリ以外で保存しておく必要がなくなり、回路規模を小さくすることができる。
【0061】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、受信信号帯域内に不要電力又は不要波が混入した場合でも、かかる雑音の影響を受けずに、自己相関を求めることができ、それにより良好な時間同期を得ることでき、結果として受信品質の劣化を軽減することが可能となる。
【0062】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態における相関器36の構成を示す図である。この相関器36は、第1の実施の形態における相関器14の割合判定回路32及び選択合成回路30とは機能の異なる割合判定回路32A及び選択合成回路30Aを備えている。なお、他の構成については、第1の実施の形態における相関器14と同様であるので、同一符号を付して説明は省略する。また、復調装置全体も、相関器以外は同様であるので説明を省略する。
【0063】
本実施の形態における割合判定回路32Aは、予め設定された閾値を有しており、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々からのOFDMシンボル長区間における自己相関の最大値とその閾値とを比較するように構成されている。
【0064】
比較の結果、2つの自己相関の最大値が共に閾値よりも大きければ、割合判定回路32Aは、その旨を選択合成回路30Aに知らせる。その知らせを受けた選択合成回路30Aは、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々から入力した2つの自己相関を加算合成し、自己相関出力として出力する。
【0065】
また、2つの自己相関の最大値のうちの一方のみが閾値よりも大きければ、割合判定回路32Aは、その旨を選択合成回路30Aに知らせる。その知らせを受けた選択合成回路30Aは、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々から入力した2つの自己相関のうち、閾値より大きい最大値に係る自己相関を、自己相関出力として出力する。
【0066】
また、2つの自己相関の最大値が共に閾値よりも小さければ、割合判定回路32Aは、その旨を選択合成回路30Aに知らせる。その知らせを受けた選択合成回路30Aは、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々から入力した2つの自己相関のうち、最大値が大きい方に係る自己相関を、自己相関出力として出力するか、又は、2つの自己相関を加算合成し、自己相関出力として出力する。
【0067】
第1の実施の形態では、2つの自己相関が良好に得られている場合でも、大きい方の一方を一律に自己相関として出力してしまうのに対して、この第2の実施の形態では、2つの自己相関が良好に得られている場合には、両自己相関を足し合わせて出力するようにしているので、受信信号の周波数帯域を広く使った自己相関が生成でき、より時間同期が安定し、受信品質の良化に貢献する。また、閾値として、予め期待する自己相関の信頼性が得られるような値を選定できるので、受信品質の劣化を軽減できる。
【0068】
[第3の実施の形態]
図5は、第3の実施の形態における相関器38の構成を示す図である。この相関器38は、第1の実施の形態における相関器14の割合判定回路32及び選択合成回路30とは機能の異なる割合判定回路32B及び選択合成回路30Bを備えている。なお、他の構成については、第1の実施の形態における相関器14と同様であるので、同一符号を付して説明は省略する。また、復調装置全体も、相関器以外は同様であるので説明を省略する。
【0069】
本実施の形態における割合判定回路32Bは、まず、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々からのOFDMシンボル長区間における自己相関の最大値を互いに比較する。比較後、割合判定回路32Bは、大きい方の最大値に、予め設定した係数α(0<α<1)を掛け、得られた値を閾値として設定する。そして、割合判定回路32Bは、得られた閾値と小さい方の最大値を比較する。
【0070】
比較の結果、小さい方の最大値が閾値よりも大きければ、割合判定回路32Bは、その旨を選択合成回路30Bに知らせる。その知らせを受けた選択合成回路30Bは、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々から入力した2つの自己相関を加算合成し、自己相関出力として出力する。
【0071】
一方、小さい方の最大値が閾値よりも小さければ、割合判定回路32Bは、その旨を選択合成回路30Bに知らせる。その知らせを受けた選択合成回路30Bは、第1移動平均処理回路28a及び第2移動平均処理回路28bの各々から入力した2つの自己相関のうち、大きい最大値に係る自己相関を、自己相関出力として出力する。
【0072】
以上の処理は、要するに、2つの自己相関に有意な差があれば、大きい方の自己相関を採用し、2つの自己相関に有意な差がなければ、双方を採用するという処理である。かかる処理により、第2の実施の形態と同様、受信品質の良化に貢献する。また更に、伝搬路状況によっては受信電力が高くとも自己相関の最大値が小さくなる(マルチパス受信時等)ため、他方の自己相関と相対比較することで、どのような伝搬路状態においても使用する自己相関を選択することができる。
【0073】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、第1〜3の実施の形態を多系列に一般化した例について説明する。
図6は、第4の実施の形態における相関器40の構成を示す図である。なお、復調装置全体については、相関器以外は、第1〜3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0074】
第1〜3の実施の形態においては、フィルタ回路34、遅延回路22、複素共役回路24、複素演算回路26、及び移動平均処理回路28をそれぞれ2つとし、すなわち2系列構成として、2つの自己相関を求めていたが、本実施の形態では、それぞれn個設けて、n系列構成とし、n個の自己相関を求めている。
【0075】
すなわち、相関器40は、第1〜第nフィルタ回路34と、第1〜第n遅延回路22と、第1〜第n複素共役回路24と、第1〜第n複素演算回路26と、第1〜第n移動平均処理回路28と、選択合成回路30Cと、割合判定回路32Cとを備えている。
【0076】
第1〜3の実施の形態では、想定される周波数帯域を論理的に低い方と高い方の2つに分割し、第1フィルタ回路34a及び第2フィルタ回路34bの通過周波数を、その各々に対応させるようにしたが、本実施の形態では、想定される周波数帯域を論理的にn個に分割し、第1〜第nフィルタ回路34の通過周波数をその各々に対応させるようにしている。第1〜第n遅延回路22、第1〜第n複素共役回路24、第1〜第n複素演算回路26、及び第1〜第n移動平均処理回路28の各回路の処理は、基本的に第1〜3の実施の形態と同様である。
【0077】
一方、割合判定回路32C及び選択合成回路30Cでの各処理は、第1〜3の実施の形態でのいずれかの処理と同等の処理を行うようにする。
【0078】
つまり、第1の実施の形態と同等とするならば、割合判定回路32Cは、求められたn個の自己相関のうち、最も大きい最大値に係る自己相関を判定し、その旨を選択合成回路30Cに知らせる。選択合成回路30Cは、それに応じて、その自己相関をそのまま出力する。
【0079】
また、第2の実施の形態と同等とするならば、割合判定回路32Cは、n個の自己相関のうち、最大値が閾値よりも大きいものを抽出し、選択合成回路30Cは、最大値が閾値よりも大きい自己相関をすべて加算合成し、自己相関出力として出力する。あるいは、割合判定回路32Cが、最大値が閾値よりも大きい自己相関が存在しないと判定した場合には、選択合成回路30Cは、最大値が最も大きい自己相関を出力するか、又は、すべての自己相関を加算合成し、出力する。
【0080】
また、第3の実施の形態と同等とするならば、割合判定回路32Cは、まず、n個の自己相関のうち、最大値が最も大きい自己相関を抽出する。そして、割合判定回路32Cは、その最大値に、予め設定した係数α(0<α<1)を掛け、得られた値を閾値として設定する。そして、割合判定回路32Cは、得られた閾値と、残りの自己相関(n−1個)に係る最大値とを比較し、閾値よりも大きい最大値を有する自己相関を抽出する。選択合成回路30Cは、最大値が最も大きい自己相関と、抽出された、閾値よりも大きい最大値を有する自己相関をすべて加算合成し、出力する。あるいは、閾値よりも大きい最大値を有する自己相関が1つも存在しなければ、選択合成回路30Cは、最大値が最も大きい自己相関を、自己相関出力として出力する。
【0081】
第1〜3の実施の形態においては、想定する周波数帯域を分担してカバーする2つのフィルタ回路34を採用しているので、不要波が有する周波数が特定の狭い範囲であっても、つまり、その不要波が固有の周波数を有する場合であって、その不要波を除去しようとすると、概ね半分の帯域に含まれる信号が使用できなくなってしまう。
【0082】
それに対して、本実施の形態では、n個のフィルタ回路34を採用し、想定される周波数帯域をn個に分割しているので、固有の周波数を有する不要波を除去するのに捨てられる信号帯域は、不要波の固有周波数の幅やnの値によるが、不要波が、周波数特性に関し十分に尖鋭であれば、基本的に1つのフィルタ回路34の通過周波数幅分である。言い換えれば、他のn−1個のフィルタ回路34の各通過周波数を加えた周波数の帯域に含まれる信号は、自己相関の演算にすべて利用でき、すなわち、時間同期の実現にすべて利用できる。故に、安定した時間同期の実現が容易になり、その結果、受信品質の劣化を抑えることができる。
【0083】
また、上述のような不要波が、1つではなく、複数発生する場合もある。この場合、第1〜3の実施の形態においては、2つのフィルタ回路34の通過周波数に渡って発生していれば、全体として何ら信頼できる自己相関が得られず、時間同期が十分に達成できない。しかしながら、本実施の形態のように、想定される周波数帯域をn個に分割してn個のフィルタ回路34に対応させれば、不要波の周波数が複数のフィルタ回路34に跨らない限り、考慮すべきでないフィルタ回路34の個数は、最少、すなわち多くても不要波の個数だけとなり、残りのフィルタ回路34の各通過周波数を加えた周波数の帯域に含まれる信号は、自己相関の演算にすべて利用でき、すなわち、時間同期の実現にすべて利用できる。
【0084】
なお、想定される周波数帯域をいくつに分割するか、すなわちnの値をいくつにするかは、想定される不要波の周波数幅と、nを増加させたときの回路の実現性やその費用とのトレードオフである。
【0085】
[第5の実施の形態]
図7は、第5の実施の形態における相関器42の構成を示す図である。本実施の形態は、第4の実施の形態と同様、n系列構成であるが、各自己相関を求める回路構成が、第1〜4の実施の形態とは異なる。なお、第4の実施の形態と同様、復調装置全体については、相関器以外は、第1〜3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0086】
つまり、本実施の形態の相関器42は、第1〜第nフィルタ回路34と、第1〜第n位相変換回路44と、第1〜第n遅延回路22と、第1〜第n引算回路46と、第1〜第nベクトル変換回路48と、第1〜第n移動平均処理回路28と、選択合成回路30Cと、割合判定回路32Cとを備えている。
【0087】
そこで、A/D変換器12から出力されたOFDM信号は、まず、第1〜第nフィルタ回路34のそれぞれに並列に入力される。第1〜第nフィルタ回路34通過後のOFDM信号は、第1〜第n位相変換回路44にそれぞれ入力される。
【0088】
第1〜第n位相変換回路44からの出力信号は、それぞれ、第1〜第n引算回路46の一方の入力端に入力されると共に第1〜第n遅延回路22に入力される。また、第1〜第n遅延回路22の出力端は、それぞれ、第1〜第n引算回路46の他方の入力端に接続されている。
【0089】
第1〜第n引算回路46の出力信号は、それぞれ、第1〜第nベクトル変換回路48に入力される。第1〜第nベクトル変換回路48の出力信号は、それぞれ、第1〜第n移動平均処理回路28に入力される。
【0090】
第1〜第n移動平均処理回路28からの出力結果は、それぞれ選択合成回路30に入力されると共に、それぞれ割合判定回路32に入力される。該割合判定回路32Cらの判定結果は、選択合成回路30Cに入力される。該選択合成回路30Cによる処理結果は、自己相関出力として出力される。
【0091】
そこで、第1〜第nフィルタ回路34の構成、機能、動作は、第4の実施の形態のそれらと同じである。第1〜第n位相変換回路44は、対応する第1〜第nフィルタ回路34からの出力信号をそれぞれ入力して、位相情報に変換して出力する。
【0092】
第1〜第n遅延回路22は、それぞれ、第1〜第n位相変換回路44から出力された位相情報を、1有効OFDMシンボル期間(GIを含まないOFDM変調波の長さ)に相当する分だけ回転させる。
【0093】
第1〜第n引算回路46は、それぞれ、第1〜第n位相変換回路44からの直接の位相情報と、第1〜第n遅延回路22により回転された位相情報とを比較し、その差分を求め、位相回転量として出力する。
【0094】
第1〜第nベクトル変換回路48は、それぞれ、第1〜第n引算回路46から出力された位相の回転量から単位ベクトルを生成する。次に、第1〜第n移動平均処理回路28は、それぞれ、第1〜第nベクトル変換回路48からの単位ベクトルに対して、GI(ガード期間)長分の移動平均をとり、自己相関として出力する。
【0095】
割合判定回路32C及び選択合成回路30Cの構成及び動作は、第4の実施の形態におけるそれらと同様である。
【0096】
第1〜4の実施の形態にように、受信信号を用いて自己相関を生成する場合、自己相関の最大値は、受信信号の大きさにより影響されてしまう。これに対して、この第5の実施の形態においては、受信信号を一旦位相情報に変換し、後に単位ベクトルに変換するため、自己相関の大きさは受信信号の大きさには影響されなくなる。これにより、自己相関の大きさの変化は、伝搬路状態、雑音状態、及び/又は不要波電力割合によるものとなる。従って、本実施の形態では、各フィルタ回路を通過した自己相関の出力は、雑音や不要波電力がなく、伝送路状態が良好であれば、同等のレベルとなる。
【0097】
また、この出力レベルについては、以下の議論に発展する。つまり、上述のように、割合判定回路32C及び選択合成回路30Cでの各処理は、第4の実施の形態の場合と同様である。すなわち、第1〜3の実施の形態でのいずれかの処理と同等の処理を行うようにする。このとき、n個の自己相関をすべて採用する場合もある(例えば、第2の実施の形態の処理方法を適用し、すべての自己相関に係る最大値が閾値より大きい場合)が、n個のうちのいくつかしか採用しない場合もある。例えば、第1の実施の形態の処理方法(最大値に係るものを採用)を適用した場合や、第2の実施の形態の処理方法を適用して、すべての最大値が閾値により大きいわけではない場合である。
【0098】
このとき、採用されない自己相関の数をmとすると、採用されたn−m個をそのまま合成した場合には、n個すべてが採用されて合成された場合と比較して、出力は(n−m)/nとなる。特異な例としては、最大に係る1つしか採用されなければ1/nとなる。
【0099】
しかしながら、採用されない自己相関があっても、以下のように、採用された自己相関に重み付けして合成することにより、出力を常に、n個すべてを採用した場合と同じとすることができる。
【0100】
すなわち、例えば、採用されたn−m個のうち、最も大きな最大値に係る自己相関以外の自己相関についてはそのまま合成するものの、最も大きな最大値に係る自己相関については、m+1倍にして合成する。すると、(n−m−1)/n+1×(m+1)/n=n/n=1となり、出力は、n個すべてを採用した場合と同じとなる。
【0101】
特に、最大に係る1つしか採用されない場合は、mはn−1であり、従って、m+1倍は、n倍となり、(1/n)×nで、やはり1となる。
【0102】
しかしながら、最も大きな最大値に係る自己相関をm+1倍し、それ以外の自己相関についてはそのまま合成する処理方法では、mの値が比較的大きくなったときでも、最も大きな最大値に係る自己相関が強調された自己相関に結果としてなってしまう。そこで、最も大きな最大値に係る自己相関についてのみ増大させるのではなく、2番目に大きな最大値に係る自己相関についてもある割合で増大させて全体としてn個全てを採用した場合と同じとすれば、より安定した時間同期が得られる。
【0103】
更にこれを発展させ、3番目に大きな最大値に係る自己相関以降の自己相関についても適切な比率で増大させて全体としてn個全てを採用した場合と同じとすることにより、より安定した時間同期が得られる自己相関出力を生成することが可能となる。
【0104】
なお、上述の第5の実施の形態においては、一般化したn系列構成のもので説明したが、第1〜3の実施の形態と同様、2系列や、ある特定の系列数であってもよい。
【0105】
[第6の実施の形態]
図8は、第6の実施の形態における相関器50の構成を示す図である。本実施の形態は、第5の実施の形態と比較して、位相変換回路44からベクトル変換回路48までのn系列構成を共通の1系列構成とする代わりに、位相変換回路44の前段とベクトル変換回路48の後段にそれぞれ切替回路を設けた構成としている。
【0106】
つまり、本実施の形態における相関器50は、第1〜第nフィルタ回路34と、第1切替回路52と、位相変換回路44と、遅延回路22と、引算回路46と、ベクトル変換回路48と、第2切替回路54と、第1〜第n移動平均処理回路28と、選択合成回路30Cと、割合判定回路32Cとを備えている。
【0107】
そこで、A/D変換器12から出力されたOFDM信号は、まず、第1〜第nフィルタ回路34のそれぞれに並列に入力される。第1〜第nフィルタ回路34通過後のOFDM信号は、第1切替回路52にすべて入力される。第1切替回路52からの出力信号は、位相変換回路44に入力される。
【0108】
位相変換回路44からの出力信号は、引算回路46の一方の入力端に入力されると共に遅延回路22に入力される。また、遅延回路22の出力端は、引算回路46の他方の入力端に接続されている。
【0109】
引算回路46の出力信号は、ベクトル変換回路48に入力される。ベクトル変換回路48の出力信号は、第2切替回路54に入力される。第2切替回路54からのn個の出力信号は、それぞれ、第1〜第n移動平均処理回路28に入力される。
【0110】
第1〜第n移動平均処理回路28からの出力結果は、それぞれ選択合成回路30に入力されると共に、それぞれ割合判定回路32に入力される。該割合判定回路32Cらの判定結果は、選択合成回路30Cに入力される。該選択合成回路30Cによる処理結果は、自己相関出力として出力される。
【0111】
そこで、第1〜第nフィルタ回路34の構成及び動作は、第5の実施の形態のそれらと同じである。同様に、位相変換回路44、遅延回路22、引算回路46、及びベクトル変換回路48の構成及び動作は、第5の実施の形態のそれらと同じである。同様に、第1〜第n移動平均処理回路28の構成及び動作は、第5の実施の形態のそれらと同じである。
【0112】
そこで、第1切替回路52は、第1〜第nフィルタ回路34の各出力信号を、1サイクル(切替周期)毎に切り替えて入力し、位相変換回路44に出力する。また、第2切替回路54は、ベクトル変換回路48の出力信号を入力して、1サイクル(切替周期)毎に切り替えて第1〜第n移動平均処理回路28のそれぞれに出力する。また、その各サイクルにおいて、選択されたかった各移動平均処理回路28には、“0”を出力する。
【0113】
ここで、遅延回路22に格納されるデータの数(OFDMシンボル長相当)Ddと、各サイクルで各フィルタ回路34に流れるデータの数Dfとの関係は、Df=Dd/M(Mは整数)となる。かかる関係を維持することで、引算回路46に入力される2つの信号、すなわち位相変換回路44からの直接の信号と、遅延回路22からの信号とが、常に同一のフィルタ回路34からのものとなる。
【0115】
例えば、Dd=1024で、フィルタ回路34を8個設ける(すなわち、n=8)とする。この場合、Df=128とし、8つのフィルタ回路34を1サイクル毎に順に切り替えればよい(M=8)。
【0116】
次に、Dd=1024で、フィルタ回路34を5個設ける(すなわち、n=5)とする。この場合、5つのフィルタ回路34を順に切り替えたのではうまくいかない。そこで、5つのフィルタ回路34のうち、いくつかのフィルタ回路については、2回以上選択して全体として8サイクルとし、それを繰り返すようにする。そうすると、Df=128で、M=8とすることができる(n≠Mのケース)。具体的には、例えば、第1〜第4サイクルまでを、第1〜第4フィルタ回路34に対応させ、そして、第5サイクルを第3フィルタ回路34に、第6サイクルを第5フィルタ回路34に、第7サイクルを第3フィルタ回路34に、第8サイクルを第4フィルタ回路34に、それぞれ対応させる。
【0117】
なお、このときの複数回選択するフィルタ回路34の選択基準や順序の基準としては、例えば、各フィルタ回路34の通過特性がある。例えば、通過帯域の広いフィルタ回路の選択回数を増やしたり、逆に、通過帯域が狭いフィルタ回路の選択回数を増やしたりする。また、地上デジタル放送の場合、アナログ放送波が同一チャネルに存在した場合を想定し、アナログ放送の周波数スペクトラムにおいて、電力密度が高い周波数帯を通過させるフィルタ回路の選択回数を減らすというような基準も考えられる。しかしながら、一般には、個々の応用システムの固有特性に依存する。
【0118】
上述の選択の頻度の違いの観点から、割合判定回路32C及び選択合成回路30Cでの各処理においては、第1〜第n各移動平均処理回路28の各出力に対し、対応するフィルタ回路34の選択頻度に応じた重み付けを行った後に、第5の実施の形態までと同様の処理を行う。
【0119】
例えば、上述の例のn≠Mのケースの場合、良好な受信状態であり、かつ妨害波が存在せず、各フィルタ回路34により得られる自己相関の最大振幅が同等であった場合、3回選択される第3フィルタ回路34とそれに対応する第3移動平均処理回路28により生成される自己相関の最大振幅は、1回のみ選択されるそれらにより生成される自己相関の最大振幅の概ね3倍になり、第3フィルタ回路34は容易に選ばれ易くなってしまう。そこで、上述の如く重み付けを行い、偏ったフィルタ回路の選択を防ぐようにする。
【0120】
以上説明した第6の実施の形態によれば、フィルタ回路の数に対応した数だけ必要であった位相変換回路44からベクトル変換回路48までを、それぞれ1つとすることができ、それにより第5の実施の形態と同様の動作を実現し、同様の効果を奏しつつ、回路規模を大幅に削減することができる。
【0121】
なお、第6の実施の形態においては、受信信号を位相情報に一旦変換する第5の実施の形態の相関器を共通1系列構成に改変する場合を説明したが、第4の実施の形態に係る相関器を共通1系列構成に改変することも同様に可能である。