【実施例】
【0106】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0107】
(実施例1)
(共沈殿工程)
攪拌機とオーバーフローパイプを備えた34Lの円筒形反応槽(ステンレス製円筒容器改造品)に水を30L程度入れた後、pHが11.3になるまで25%水酸化ナトリウム溶液(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)を加え、温度を40℃に保持し、一定速度にて攪拌を行った。次に、Ni:Co:Mnの原子比が1:1:1となり、合計の塩濃度で2mol/Lとなるように混合した硫酸ニッケル溶液(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)、硫酸コバルト溶液(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)、および硫酸マンガン溶液(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)の混合液を30cm
3/分の流量にて添加し、同時に非還元性錯化剤として25%アンモニア溶液(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)を3cm
3/分の流量にて反応槽に添加した。さらに、反応溶液のpHが11.0〜12.0、好ましくは11.5〜12.0になるように25%水酸化ナトリウムを断続的に加えて制御し、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を形成した。
【0108】
反応槽内が定常状態になった後、オーバーフローパイプよりニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を連続的に採取し、水洗、濾過した後、105℃にて24時間大気乾燥してニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得た。反応後の水溶液のpHを測定した結果、11.85であった。
【0109】
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子の組成比は、Ni:Co:Mn=33.3:33.4:33.3であり、平均粒子径は10.52μmであり、比表面積は4.67m
2/gであり、タップ密度は2.18g/cm
3であり、二次粒子の形状はほぼ球状であった。
【0110】
(熱処理工程)
次に、得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を大気雰囲気中にて、300℃で2時間、仮焼した後、500℃にて10時間、酸化焙焼して、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子を得た。
【0111】
得られたニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が10.13μmであり、比表面積が47.0m
2/gであり、タップ密度が2.11g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0112】
(焼成工程)
さらに、得られたニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子に対して原子比でLi/M=1.05となるように、水酸化リチウム一水和物(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)を秤量し、該複合酸化物粒子をシェーカーミキサー装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、混合物を得た。この混合物を空気(酸素:21容量%)気流中にて、500℃で2時間、仮焼した後、900℃にて10時間、焼成し、さらに、粉砕して非水系電解質二次電池用正極活物質を得た。
【0113】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.91μmであり、比表面積が0.32m
2/gであり、タップ密度が2.50g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。得られた正極活物質のSEM(日本電子株式会社製走査電子顕微鏡JSM−6360LA)観察結果を
図1に示す。
図1のSEM写真から、粒子は実質的に球状であることがわかる。得られた正極活物質をCu−Kα線による粉末X線回折で分析したところ、六方晶の層状結晶リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
【0114】
なお、平均粒子径測定は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)により行ない、比表面積は、窒素吸着式BET法測定機(ユアサアイオニックス社製、カンタソーブQS−10)により測定した。また、タップ密度測定は、JIS R 1628により測定し、X線回折測定は、X線回折装置(リガク電機株式会社製、RINT−1400)を用いて行なった。
【0115】
(電池評価)
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質の評価は、以下のように電池を作製し、充放電容量を測定することで行なった。非水系電解質二次電池用正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形し、
図2に示す正極(評価用電極)(1)を作製した。作製した正極(1)を真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。そして、この正極(1)を用いて2032型コイン電池(B)を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。負極(2)には、直径17mm、厚さ1mmのLi金属を用い、電解液には、1MのLiClO
4を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。セパレータ(3)には膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。また、コイン電池(B)は、ガスケット(4)を有し、正極缶(5)と負極缶(6)とでコイン状の電池に組み立てられている。
【0116】
作製したコイン電池(B)は、組立てから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm
2としてカットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電して、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行なった。充放電容量の測定には,マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
【0117】
充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は154.8mAh/gであった。
【0118】
また、充電電位4.1Vで充電したコイン電池(B)を用いて、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製)を使用し、
図3に示すナイキストプロットが得られる。プロットは、溶液抵抗、負極抵抗と容量、および、正極抵抗と容量を示す特性曲線の和として表れているため、等価回路を用いてフィッティング計算し、正極抵抗の値を計算する。本実施例において、正極抵抗の値は、6.3Ωであった。
【0119】
(実施例2)
水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウム(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)を使用したことと、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合物を、750℃で10時間、仮焼した以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0120】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.92μmであり、比表面積が0.38m
2/gであり、タップ密度が2.14g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は150.6mAh/gであり、正極抵抗の値は5.4Ωであった。
【0121】
(実施例3)
450℃で2時間、仮焼した後、700℃で10時間、酸化焙焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0122】
得られたニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が10.08μmであり、比表面積が6.79m
2/gであり、タップ密度が2.14g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0123】
また、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.81μmであり、比表面積が0.34m
2/gであり、タップ密度が2.55g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は154.3mAh/gであり、正極抵抗の値は7.9Ωであった。
【0124】
(実施例4)
水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、この炭酸リチウムを、Li/M=1.10となるように、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物に混合したこと、該混合物を750℃で10時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0125】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.95μmであり、比表面積が0.31m
2/gであり、タップ密度が2.41g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は152.4mAh/gであり、正極抵抗の値は5.8Ωであった。
【0126】
(実施例5)
水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、この炭酸リチウムを、Li/M=1.15となるように、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物に混合したこと、該混合物を750℃で10時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0127】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.97μmであり、比表面積が0.32m
2/gであり、タップ密度が2.33g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は150.1mAh/gであり、正極抵抗の値は5.4であった。
【0128】
(実施例6)
仮焼せず、300℃で10時間、酸化焙焼したこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、この炭酸リチウムとニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合物を、750℃で5時間、仮焼した後、1000℃にて10時間、焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0129】
得られたニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.99μmであり、比表面積が84m
2/gであり、タップ密度が2.22g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0130】
また、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が14.6μmであり、比表面積が0.26m
2/gであり、タップ密度が2.00g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は152.6mAh/gであり、正極抵抗の値は5.8Ωであった。
【0131】
(実施例7)
実施例4と同様の工程を経て得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を解砕した後、さらに解砕物を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーにし、30分間撹拌後、濾過、乾燥して非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0132】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質をICP装置(セイコーインスツルメンツ製)により測定したところ、Li/Mは、原子比で1.079であった。
【0133】
また、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.20μmであり、比表面積が0.81m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は158.3mAh/gであり、正極抵抗の値は6.4Ωであった。
【0134】
(実施例8)
実施例5と同様の工程を経て得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を解砕した後、さらに解砕物を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーにし、30分間撹拌後、濾過、乾燥して非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0135】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質をICP装置により測定したところ、Li/Mは、原子比で1.12であった。
【0136】
また、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.37μmであり、比表面積が0.84m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は153.7mAh/gであり、正極抵抗の値は5.4Ωであった。
【0137】
(実施例9)
Ni:Co:Mnの原子比を3:1:1とした以外は、実施例1と同様に連続的に、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得た。
【0138】
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子には、共沈殿工程における、100℃で24時間行った大気乾燥工程を熱処理工程とすることで、酸化焙焼を目的とする熱処理工程については施さなかった。
【0139】
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子のニッケル、コバルト、マンガンの組成比は、Ni:Co:Mn=60.0:19.8:20.2であり、平均粒子径は7.60μmであり、比表面積は10.2m
2/gであり、タップ密度は2.03g/cm
3であった。かかるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、炭酸リチウムと混合し、焼成に供した以外は、実施例1と同様にして、仮焼、焼成を行った。
【0140】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が7.51μmであり、比表面積が0.51m
2/gであり、タップ密度が2.08g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は175.4mAh/gであり、正極抵抗の値は3.9Ωであった。
【0141】
(実施例10)
実施例9と同様にして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用いたこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、該ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を熱処理せずに、Li/M=1.10となるように炭酸リチウムと混合し、750℃で5時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0142】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.23μmであり、比表面積が0.46m
2/gであり、タップ密度が2.08g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は171.3mAh/gであり、正極抵抗の値は5.4Ωであった。
【0143】
(実施例11)
実施例9と同様にして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用いたこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、該ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を熱処理せずに、Li/M=1.00となるように炭酸リチウムと混合し、750℃で5時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0144】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が7.24μmであり、比表面積が0.40m
2/gであり、タップ密度が2.03g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は174.9mAh/gであり、正極抵抗の値は7.0Ωであった。
【0145】
(実施例12)
実施例9と同様にして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用いたこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、該ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を熱処理せずに、Li/M=1.07となるように炭酸リチウムと混合し、仮焼せず、850℃で10時間、焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0146】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が7.66μmであり、比表面積が0.41m
2/gであり、タップ密度が2.01g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は174.6mAh/gであり、正極抵抗の値は3.7Ωであった。
【0147】
(実施例13)
リチウム化合物との混合比率をLi/M=1.01となるように、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物と混合したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0148】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.83μmであり、比表面積が0.37m
2/gであり、タップ密度が2.58g/cm
3であった。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は151.2mAh/gであり、正極抵抗の値は9.4Ωであった。
【0149】
(比較例1)
450℃で2時間、仮焼した後、800℃で10時間、酸化焙焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0150】
得られたニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.97μmであり、比表面積が2.07m
2/gであり、タップ密度が2.26g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0151】
また、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.51μmであり、比表面積が0.41m
2/gであり、タップ密度が2.14g/cm
3であった。また、電池評価の結果、得られた正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は150.2mAh/gであり、正極抵抗の値は20.2Ωであった。
【0152】
(比較例2)
450℃で2時間、仮焼した後、800℃で10時間、酸化焙焼したこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、この炭酸リチウムとニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合物を、750℃で10時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0153】
得られたニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.97μmであり、比表面積が2.07m
2/gであり、タップ密度が2.26g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0154】
また、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.18μmであり、比表面積が0.34m
2/gであり、タップ密度が2.31g/cm
3であった。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は145.8mAh/gであり、正極抵抗の値は24.7Ωであった。
【0155】
(比較例3)
焼成温度を1050℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0156】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が19.86μmであり、比表面積が0.19m
2/gであり、タップ密度が2.11g/cm
3であった。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は139.2mAh/gであり、正極抵抗の値は13.1Ωであった。
【0157】
(比較例4)
水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、この炭酸リチウムとの混合比率がLi/M=1.20となるように、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物と混合したこと、該混合物を750℃で10時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0158】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.46μmであり、比表面積が0.29m
2/gであり、タップ密度が2.12g/cm
3であった。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は139.2mAh/gであり、正極抵抗の値は6.4Ωであった。
【0159】
(比較例5)
実施例9と同様にして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用いたこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、該ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を熱処理せずに、Li/M=0.93となるように炭酸リチウムと混合し、750℃で5時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0160】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が7.12μmであり、比表面積が0.42m
2/gであり、タップ密度が2.00g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は158.6mAh/gであり、正極抵抗の値は10.8Ωであった。
【0161】
(比較例6)
実施例9と同様にして得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を用いたこと、水酸化リチウム一水和物に代えて炭酸リチウムを使用したこと、該ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を熱処理せずに、Li/M=1.18となるように炭酸リチウムと混合し、750℃で5時間、仮焼したこと以外は、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0162】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.86μmであり、比表面積が0.45m
2/gであり、タップ密度が2.01g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は144.8mAh/gであり、正極抵抗の値は5.7Ωであった。
【0163】
実施例1〜13、および、比較例1〜6に関する、共沈殿工程、熱処理工程および焼成工程の各条件、ニッケルとコバルトとマンガン(M)の組成比、Mの原子数の和に対するリチウムの原子数の比(Li/M)、得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子、熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子または酸化物粒子、焼成により得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(非水系電解質二次電池用正極用活物質)の各特性について、表1および表2に示す。
【表1】
【表2】
【0164】
本発明の実施例1〜13では、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質のタップ密度は2.0g/cm
3以上であり、高密度であるとともに、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の正極抵抗の値が10Ω以下、初期放電容量が150mAh/gを超える高容量のものが得られている。
【0165】
また、実施例7および8では、得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物に対して水洗処理を施すことにより、諸特性に影響を与えることなく、タップ密度を2.5g/cm
3以上という高密度化が達成されている。
【0166】
(実施例14)
焼成工程における雰囲気を、酸素雰囲気(酸素:100容量%)としたことを除いて、実施例1と同様にして、非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0167】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.96μmであり、比表面積が0.38m
2/gであり、タップ密度が2.61g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0168】
また、電池評価の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は151.1mAh/gであり、正極抵抗の値は6.5Ωであった。また、充放電を1サイクルとした50サイクル時の放電維持率は91.2%であった。
【0169】
(実施例15)
熱処理工程において、450℃で2時間、仮焼した後、700℃にて10時間、酸化焙焼したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0170】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が10.08μmであり、比表面積が6.79m
2/gであり、タップ密度が2.14g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0171】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.13μmであり、比表面積が0.36m
2/gであり、タップ密度が2.55g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は152.1mAh/gであり、正極抵抗の値は6.8Ωであった。また、充放電を1サイクルとした50サイクル時の放電維持率は91.7%であった。
【0172】
(実施例16)
熱処理工程において、仮焼をせず、300℃にて10時間、酸化焙焼したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0173】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.99μmであり、比表面積が84.0m
2/gであり、タップ密度が2.22g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0174】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.21μmであり、比表面積が0.30m
2/gであり、タップ密度が2.50g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は152.0mAh/gであり、正極抵抗の値は6.1Ωであった。また、充放電を1サイクルとした50サイクル時の放電維持率は93.4%であった。
【0175】
(実施例17)
焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、炭酸リチウム(FMC社製)を用いたこと、大気雰囲気(酸素:21容量%)中で焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0176】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.94μmであり、比表面積が0.74m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.03であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は158.0mAh/gであり、正極抵抗の値は8.0Ωであった。
【0177】
(実施例18)
焼成工程において、Li/(Ni+Co+Mn)=1.1となるように炭酸リチウム(FMC社製)を混合し、大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0178】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.97μmであり、比表面積が0.76m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.08であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は158.9mAh/gであり、正極抵抗の値は5.9Ωであった。
【0179】
(実施例19)
熱処理工程において、仮焼をせず、300℃にて酸化焙焼したこと、焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、炭酸リチウム(FMC社製)を混合し、大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして正極活物質を得ると共に、評価した。
【0180】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.99μmであり、比表面積が84.0m
2/gであり、タップ密度が2.22g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0181】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.77μmであり、比表面積が0.78m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.05であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は160.4mAh/gであり、正極抵抗の値は8.0Ωであった。
【0182】
(実施例20)
熱処理工程において、仮焼をせず、300℃にて酸化焙焼したこと、焼成工程において、Li/(Ni+Co+Mn)=1.1となるように、水酸化リチウム一水和物に代えて、炭酸リチウム(FMC社製)を混合し、大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして正極活物質を得ると共に、評価した。
【0183】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.99μmであり、比表面積が84.0m
2/gであり、タップ密度が2.22g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0184】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.99μmであり、比表面積が0.83m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.09であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は159.0mAh/gであり、正極抵抗の値は6.5Ωであった。
【0185】
(実施例21)
熱処理工程において、仮焼をせず、110℃にて12時間、熱処理して、熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を焼成工程に供したこと、焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、炭酸リチウム(FMC社製)を用いて大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0186】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子は、平均粒子径が10.52μmであり、比表面積が4.67m
2/gであり、タップ密度が2.18g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0187】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が9.86μmであり、比表面積が0.76m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.04であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は156.5mAh/gであり、正極抵抗の値は9.1Ωであった。
【0188】
(実施例22)
熱処理工程において、仮焼をせず、110℃にて12時間、熱処理して、熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を焼成工程に供したこと、焼成工程において、Li/(Ni+Co+Mn)=1.1となるように、水酸化リチウム一水和物に代えて、炭酸リチウム(FMC社製)を用いて大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0189】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子は、平均粒子径が10.52μmであり、比表面積が4.67m
2/gであり、タップ密度が2.18g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0190】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.01μmであり、比表面積が0.81m
2/gであり、タップ密度が2.59g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.08であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は158.3mAh/gであり、正極抵抗の値は6.4Ωであった。
【0191】
(実施例23)
焼成工程において、1000℃にて焼成したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0192】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が12.71μmであり、比表面積が0.38m
2/gであり、タップ密度が2.11g/cm
3であった。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は151.4mAh/gであり、正極抵抗の値は6.0Ωであった。
【0193】
(実施例24)
熱処理工程において、450℃で2時間、仮焼した後、700℃にて10時間、酸化焙焼したこと、焼成工程において、1000℃にて焼成したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0194】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が12.91μmであり、比表面積が0.34m
2/gであり、タップ密度が2.03g/cm
3であった。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は151.7mAh/gであり、正極抵抗の値は6.2Ωであった。
【0195】
(実施例25)
熱処理工程において、仮焼をせず、300℃にて10時間、酸化焙焼したこと、焼成工程において、1000℃にて焼成したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0196】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が13.52μmであり、比表面積が0.27m
2/gであり、タップ密度が2.03g/cm
3であった。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は150.3mAh/gであり、正極抵抗の値は6.3Ωであった。
【0197】
(比較例7)
熱処理工程において、450℃で2時間、仮焼した後、800℃にて10時間、酸化焙焼したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0198】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.97μmであり、比表面積が2.07m
2/gであり、タップ密度が2.26g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0199】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が12.30μmであり、比表面積が0.51m
2/gであり、タップ密度が2.11g/cm
3であった。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は148.0mAh/gであり、正極抵抗の値は12.0Ωであった。
【0200】
(実施例26)
焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、Li/(Ni+Co+Mn)=1.15となるように炭酸リチウム(FMC社製)を混合したこと、大気雰囲気(酸素:21容量%)中で焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を、質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0201】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.19μmであり、比表面積が0.78m
2/gであり、タップ密度が2.51g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.12であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は154.2mAh/gであり、正極抵抗の値は5.3Ωであった。
【0202】
(実施例27)
熱処理工程において、仮焼をせず、300℃にて酸化焙焼したこと、焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、Li/(Ni+Co+Mn)=1.15となるように炭酸リチウム(FMC社製)を混合し、大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして正極活物質を得ると共に、評価した。
【0203】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.15μmであり、比表面積が0.81m
2/gであり、タップ密度が2.50g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.14であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は154.5mAh/gであり、正極抵抗の値は5.7Ωであった。
【0204】
(実施例28)
熱処理工程において、仮焼をせず、110℃にて12時間、熱処理して、熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を焼成工程に供したこと、焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、Li/(Ni+Co+Mn)=1.15となるように炭酸リチウム(FMC社製)を混合し、大気雰囲気中にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0205】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が10.20μmであり、比表面積が0.84m
2/gであり、タップ密度が2.50g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.12であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は153.7mAh/gであり、正極抵抗の値は5.4Ωであった。
【0206】
(比較例8)
熱処理工程において、450℃で2時間、仮焼した後、800℃にて10時間、酸化焙焼したこと、焼成工程において、水酸化リチウム一水和物に代えて、炭酸リチウム(FMC社製)を混合し、1000℃にて焼成したこと、焼成によって得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を質量比で1/1.5の水に投入してスラリーとし、30分間撹拌後、濾過、乾燥したこと以外は、実施例14と同様にして非水系電解質二次電池用正極活物質を得ると共に、評価した。
【0207】
熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子は、平均粒子径が9.97μmであり、比表面積が2.07m
2/gであり、タップ密度が2.26g/cm
3であり、ほぼ球状の二次粒子を形成していた。
【0208】
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、平均粒子径が12.20μmであり、比表面積が0.38m
2/gであり、タップ密度が2.43g/cm
3であり、Li/(Ni+Co+Mn)の原子比が1.04であり、ほぼ球状の二次粒子の形状を保持していた。また、充放電試験の結果、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量は152.9mAh/gであったが、正極抵抗の値は11.2Ωであった。
【0209】
(比較例9)
共沈殿工程における水溶液の保持温度を50℃としたこと、および、反応槽に窒素ガスを2L/minで吹き込んで不活性雰囲気としたこと以外は、実施例14と同様にして、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得た。反応後の水溶液のpHを測定した結果、11.72であった。
【0210】
共沈殿工程で得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子は、SEM観察により、ほぼ長球状の二次粒子であることが確認され、平均粒子径は8.07μmであり、比表面積は10.2m
2/gであり、タップ密度は1.25g/cm
3であった。
【0211】
実施例14〜22、参考例1〜6、および、比較例7〜9に関する、共沈殿工程、熱処理工程および焼成工程の各条件、ニッケルとコバルトとマンガン(M)の組成比、Mの原子数の和に対するリチウムの原子数の比(Li/M)、得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子、熱処理後のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子または酸化物粒子、焼成により得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(非水系電解質二次電池用正極用活物質)の各特性について、表3および表4に示す。
【表3】
【表4】
【0212】
本発明の実施例14〜28では、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質のタップ密度が2.0g/cm
3以上と高密度であるとともに、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量が150mAh/gを超える高容量のものが得られている。特に、酸素雰囲気で、かつ、1000℃未満の温度で焼成を行った実施例14〜16では、タップ密度が2.5g/cm
3以上とさらなる高密度化が達成されている。
【0213】
また、実施例7および8と同様に、水洗工程を有する実施例17〜22、実施例26〜28でも、タップ密度が2.5g/cm
3以上とさらなる高密度化が達成されている。