(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の電極層、発光層、および第2の電極層をこの順に備える有機エレクトロルミネッセンス素子と、この有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一方の表面に接して配置され、外部へ光を出射する出光面を有する出光側部材と、を備える面光源装置であって、
前記出光側部材は、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子から出射した光の配光分布を、前記出光面から当該出光面の法線方向に沿って出射した光の色度と、この法線方向に交差する斜め方向に沿って前記出光面から出射した光の色度との差が小さくなるように、変換する配光分布変換部と、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子から出射された光を拡散させる拡散部と、を備え、
前記配光分布変換部が、表面に凹凸構造が形成され、且つ、7μmの膜厚の樹脂層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に鉛筆硬度がHB以上の紫外線硬化性樹脂からなる、凹凸構造層を備え、
前記拡散部は、前記配光分布変換部と前記有機エレクトロルミネッセンス素子との間に配置され、光拡散性を付与する粒子を含む組成物により構成される層である面光源装置。
第1の電極層、発光層、および第2の電極層をこの順に備える有機エレクトロルミネッセンス素子と、この有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一方の表面に接して配置され、外部へ光を出射する出光面を有する出光側部材と、を備える面光源装置であって、
前記出光側部材は、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子から出射した光の配光分布を、前記出光面から当該出光面の法線方向に沿って出射した光の色度と、この法線方向に交差する斜め方向に沿って前記出光面から出射した光の色度との差が小さくなるように、変換する配光分布変換部と、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子から出射された光を拡散させる拡散部と、を備え、
前記配光分布変換部が、基材と、この基材の表面に設けられ、基材とは反対側の表面に凹凸構造が形成され、且つ、7μmの膜厚の樹脂層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度がHB以上の紫外線硬化性樹脂からなる、凹凸構造層と、を備え、
前記拡散部は、前記配光分布変換部と前記有機エレクトロルミネッセンス素子との間に配置され、光拡散性を付与する粒子を含む組成物により構成される層である面光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[I.第一の本発明の説明]
以下、第一の本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、第一の本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではない。
【0021】
<実施形態1−1>
以下において、図面を参照して、第一の本発明をより詳細に説明する。
第一の本発明の面光源装置は、発光層を含む有機EL素子、および前記有機EL素子の少なくとも一方の表面に接して設けられ、装置出光面側の表面の凹凸構造を規定する出光面構造層を備える。
前記装置出光面とは、面光源装置としての出光面、即ち、面光源装置から装置外部に光が出光する際の出光面である。装置出光面は、前記有機EL素子の前記発光層と平行な面であり、面光源装置の主面と平行である。但し、微視的に見ると、後述する凹部上の面は発光層と非平行な角度をなしうる。以下、別に断らない限り、かかる凹部を無視して見た装置出光面と平行(又は垂直)であることを、単に「装置出光面と平行(又は垂直)」であるという。また、別に断らない限り、面光源装置は、かかる装置出光面が水平方向と平行で且つ上向きになるよう載置した状態で説明する。
第一の本発明において、各構成要素が「平行」又は「垂直」であるとは、第一の本発明の効果を損ねない範囲の誤差を含んでいてもよく、例えば、平行又は垂直な角度から±5°の誤差を含んでいてもよい。
【0022】
実施形態1−1は、第一の本発明に係る第1の実施形態である。
図1は、実施形態1−1に係る面光源装置を模式的に示す斜視図である。実施形態1−1において、面光源装置10は、装置出光面10Uを有する、矩形の平板状の構造を有する装置である。
図2は、
図1に示す面光源装置10を、
図1中の線1a−1bを通る、装置出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
【0023】
面光源装置10は、有機EL素子140と、有機EL素子140の、装置出光面10U側の表面144に接して設けられた出光面構造層100とを備える。面光源装置10はさらに、任意の構成要素として、有機EL素子140の、装置出光面10Uとは反対側の表面145側に封止基板151を有する。なお、図示を省略するが、表面145と封止基板151との間には、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
【0024】
有機EL素子140は、第1の電極層141、発光層142及び第2の電極層143を備える。実施形態1−1において、第1の電極層141は透明電極であり、第2の電極層143は反射電極である。このような構成であるため、発光層142からの光は、第1の電極層141を透過するか、又は第2の電極層143で反射され、発光層142及び第1の電極層141を透過して、出光面構造層100側に向かうことができる。
【0025】
出光面構造層100は、凹凸構造層111及び基材フィルム層112を含む複層体110と、有機EL素子140に接して設けられた基板としてのガラス基板131と、複層体110及びガラス基板131を接着する接着層121とを備える。面光源装置10においては、凹凸構造層111、基材フィルム層112、接着層121及びガラス基板131のうちの1層以上が、拡散剤(光拡散性を付与する粒子)を含む材料からなる。それにより、発光層142から出射(射出ともいう。)された光が拡散部材に入射し、この入射した光を拡散して透過若しくは反射させる拡散部材を構成する。なお、本実施形態では、有機EL素子140とガラス基板131とが直接接する構成としたが、間に拡散層等の他の層が介在していてもよい。
【0026】
凹凸構造層111は、面光源装置10の上面(即ち面光源装置10の装置出光面側の最外層)に位置する。したがって、凹凸構造層111はガラス基板131よりも装置出光面10Uに近い位置に設けられている。また、凹凸構造層111は、その装置出光面10Uに近い側の面上に、複数の凹部113と、凹部113の周囲に位置する平坦部114とを含む凹凸構造を有する。本実施形態では、凹凸構造層111の装置出光面10Uに近い側の面と装置出光面10Uとは一致しており、当該凹凸構造により、装置出光面10Uが規定される。装置出光面10Uは、凹部113を無視して巨視的に見ると、平坦部114及びガラス基板131等の装置中の他の層と平行な平面であるが、微視的には凹部113により規定される斜面を含む凹凸面である。なお、本願において、図面は模式的な図示であるため、装置出光面上には僅かな個数の凹部のみを示しているが、実際の装置においては、一枚の装置出光面上に、これよりも遥かに多い数の凹部を設けることができる。
【0027】
(有機EL素子)
前記有機EL素子140として例示するように、第一の本発明において、有機EL素子は、2層以上の電極層と、これらの電極層間に設けられ、電極から電圧を印加されることにより発光する発光層と、を備える素子とすることができる。
【0028】
有機EL素子は、基板上に素子を構成する電極、発光層等の層を形成し、さらにそれらの層を覆う封止部材を設け、基板と封止部材で発光層等の層を封止した構成とされるのが一般的である。通常、ここでいう基板側から出光する素子はボトムエミッション型、封止部材側から出光する素子はトップエミッション型と呼ばれる。第一の本発明の面光源装置は、これらのいずれであってもよく、ボトムエミッション型の場合、層を形成するための基板と、さらに必要に応じて任意の層とを含む組み合わせが出光面構造層を構成し、一方トップエミッション型の場合、封止部材等の装置出光面側の構造体と、さらに必要に応じて任意の層とを含む組み合わせが出光面構造層を構成する。
【0029】
第一の本発明において、有機EL素子を構成する発光層としては、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。発光層中の発光材料は1種類に限られず、また発光層も1層に限られず、光源としての用途に適合すべく、一種の層単独又は複数種類の層の組み合わせとすることができる。これにより、白色又はそれに近い色の光を発光するものとしうる。
【0030】
有機EL素子はさらに、電極間に、発光層に加えてホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層及びガスバリア層等の他の層をさらに有することもできる。有機EL素子はさらに、電極に通電するための配線、発光層の封止のための周辺構造等の任意の構成要素を備えることもできる。
【0031】
有機EL素子の電極は、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。実施形態1−1にかかる有機EL素子140のように、出光面構造層側の電極を透明電極とし、反対側の電極を反射電極とすることにより、出光面構造層側に出光する有機EL素子とすることができる。また、両方の電極を透明電極とし、さらに出光面構造層と反対側に、反射部材または散乱部材(例えば、空気層を介して配置される白色散乱部材等)を有することにより、出光面構造層側への出光を達成することもできる。
【0032】
電極及びその間に設ける層を構成する材料としては、特に限定されないが、具体例として下記のものを挙げることができる。
透明電極の材料としてはITO等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としてはスターバースト系芳香族ジアミン化合物等を挙げることができる。
正孔輸送層の材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
黄色発光層のホスト材料としては同じくトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができ、黄色発光層のドーパント材料としてはテトラセン誘導体等を挙げることができる。
緑色発光層の材料としては、ピラゾリン誘導体などがあげられる。
青色発光層のホスト材料としてはアントラセン誘導体等を挙げることができ、青色発光層のドーパント材料としてはペリレン誘導体等を挙げることができる。
赤色発光層の材料としては、ユーロピウム錯体などを挙げることができる。
電子輸送層の材料にはアルミニウムキノリン錯体(Alq)等を挙げることができる。
陰極材料にはフッ化リチウムおよびアルミニウムをそれぞれ用い、これらを順次真空成膜により積層させたものなどを挙げることができる。
【0033】
上記のもの又はその他の発光層を適宜組み合わせて積層型又はタンデム型と呼ばれる、補色関係にある発光色を発生する発光層を得ることができる。補色関係の組み合わせは、黄/青、又は緑/青/赤等とすることができる。
【0034】
(出光面構造層)
前記出光面構造層100として例示するように、第一の本発明において、出光面構造層は、複数の層からなるものとしうるが、単一の層からなってもよい。所望の特性を備えた出光面構造層を容易に得る観点からは、複数の層からなることが好ましい。例えば、前記出光面構造層100のように、凹凸構造層と基材フィルム層とを組み合わせた複層体を含むことができる。これにより、性能の高い出光面構造層を容易に得ることができる。
【0035】
凹凸構造層及び基材フィルムを構成する樹脂組成物は、透明樹脂を含む組成物とすることができる。透明樹脂が「透明」であるとは、光学部材に用いるのに適した程度の光線透過率を有する意味である。第一の本発明においては、出光面構造層を構成する各層が、光学部材に用いるのに適した光線透過率を有するものとすることができ、出光面構造層全体として80%以上の全光線透過率を有するものとすることができる。
樹脂組成物に含まれる透明樹脂の材質は、特に限定されず、透明な層を形成することができる各種の樹脂を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂を挙げることができる。なかでも熱可塑性樹脂は熱による変形が容易であるため、また紫外線硬化性樹脂は硬化性が高く効率が良いため、凹凸構造層の効率的な形成が可能となり、それぞれ好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系、ポリアクリレート系、シクロオレフィンポリマー系の樹脂を挙げることができる。また紫外線硬化性樹脂としては、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン/チオール系、イソシアネート系の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂としては、複数個の重合性官能基を有するものを好ましく用いることができる。
【0036】
複層体を構成する凹凸構造層の材料としては、装置出光面の凹凸構造を形成しやすく且つ凹凸構造の耐擦傷性を得やすいという観点から、硬化時の硬度が高い材料が好ましい。具体的には、7μmの膜厚の樹脂層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度でHB以上になるような材料が好ましく、H以上になる材料がさらに好ましく、2H以上になる材料がより好ましい。一方、基材フィルム層の材料としては、凹凸構造層の形成に際しての、及び/又は複層体を成形した後の複層体の取り扱いを容易とするために、ある程度の柔軟性があるものが好ましい。このような材料を組み合わせることにより、取り扱いが容易で且つ耐久性に優れる複層体を得ることができ、その結果高性能の面光源装置を容易に製造することができる。このような材料の組み合わせは、それぞれの材料を構成する樹脂として、上に例示した透明樹脂を適宜選択することにより得ることができる。具体的には、凹凸構造層の材料を構成する透明樹脂として、アクリレート等の紫外線硬化性樹脂を用い、一方基材フィルムの材料を構成する透明樹脂として、脂環式オレフィンポリマー製のフィルム(後述するゼオノアフィルム等)や、ポリエステルフィルムを用いることができ、これにより、好ましい材料の組み合わせを得ることができる。
【0037】
前記出光面構造層100のように、出光面構造層が凹凸構造層と基材フィルム層とを含む場合、例えば、凹凸構造層と基材フィルムとの屈折率はできるだけ近くする態様とすることができ、この場合、好ましくは屈折率の差が0.1以内、さらに好ましくは0.05以内である。
【0038】
凹凸構造層、基材フィルム層等の出光面構造層の構成要素となる層の材料となる樹脂組成物は、当該層が拡散部材を構成する場合は、後述する粒子などの光拡散性を付与する要素を含むことができる。さらに、樹脂組成物は、必要に応じて任意の成分を含むことができる。当該任意の成分としては、フェノール系、アミン系などの劣化防止剤;界面活性剤系、シロキサン系などの帯電防止剤;トリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系などの耐光剤;等の添加剤を挙げることができる。
【0039】
第一の本発明において、凹凸構造層の厚みは、特に限定されないが1〜70μmであることが好ましい。ここで、凹凸構造層の厚みとは、凹凸構造体が形成されていない基板側の面と、凹凸構造体の平坦部との距離のことである。また基材フィルム層の厚みは、20〜300μmであることが好ましい。
【0040】
第一の本発明において、出光面構造層はさらに、前記出光面構造層100におけるガラス基板131のような基板を含むことができ、それにより、面光源装置にたわみを抑制する剛性を与えることができる。また、基板として、有機EL素子を封止する性能に優れて、且つ、製造工程において有機EL素子を構成する層をその上に順次形成することを容易に行い得る基板を備えることにより、面光源装置の耐久性を向上させ、且つ製造を容易にすることができる。
【0041】
基板を構成する材料の例としては、ガラスに加えて樹脂を挙げることができる。基板の屈折率は、特に制限されないが、1.4〜2とすることができる。第一の本発明において、基板の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5mmであることが好ましい。
【0042】
出光面構造層はさらに、前記複層体と前記基板との間などの、出光面構造層内の2つの層の間に介在する接着層を含むことができる。接着層の材料である接着剤は、狭義の接着剤(23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaであり、常温で粘着性を示さない、いわゆるホットメルト型の接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。具体的には、基板あるいは透明樹脂層に近い屈折率を有し、且つ透明であるものを適宜用いることができる。より具体的には、アクリル系接着剤あるいは粘着剤が挙げられる。接着層の厚みは、5〜100μmであることが好ましい。
【0043】
(拡散部材)
第一の本発明の面光源装置は、前記出光面構造層の一部若しくは全部を構成する層として、前記有機EL素子よりも前記出光面構造層から遠い位置に設けられた部材として、又はその両方として、入射した光を拡散して透過若しくは反射させる拡散部材をさらに有する。即ち、第一の本発明において、出光面構造層の一部又は全部が拡散部材としての機能を持ったものであってもよく、また出光面構造層とは別に拡散部材としての別の部材を有していてもよい。
【0044】
実施形態1−1における面光源装置10の場合のように、有機EL素子の電極層のうち片方が反射電極で、もう片方が透明電極の場合、前記拡散部材は、出光面構造層の一部又は全部を構成する層として設けられた部材であって、入射した光を拡散された態様で透過させる部材とすることができる。より具体的には、出光面構造層を構成する凹凸構造層、基材フィルム、接着層及びガラス基板等の出光面構造層の一部又は全部の層を、光を拡散させる層とすることにより、これらの層の一部又は全部を拡散部材とすることができる。
【0045】
光を拡散させる層の材料としては、例えば、粒子を含んだ材料、及び2種類以上の樹脂を混ぜ合わせて光を拡散させるアロイ樹脂とした材料を挙げることができる。光拡散性を容易に調節できるという観点から、粒子を含んだ材料、特に粒子を含んだ樹脂組成物が特に好ましい。この場合、前記の粒子は光拡散性を付与する粒子となるので、前記の粒子を含む組成物は光拡散性を有することになる。
【0046】
拡散部材に含まれる粒子は、透明であっても、不透明であってもよい。粒子の材料としては、金属及び金属化合物、並びに樹脂等を用いることができる。金属化合物としては、金属の酸化物及び窒化物を挙げることができる。金属及び金属化合物としては、具体的には例えば銀、アルミのような反射率が高い金属、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、窒化珪素、錫添加酸化インジウム、酸化チタンなどの金属化合物を挙げることができる。一方樹脂としては、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0047】
粒子の形状は、球状、円柱状、立方体状、直方体状、角錐状、円錐状、星型状等の形状とすることができる。
拡散部材において、粒子の含有割合は、拡散部材を構成する材料全量中体積割合で1〜80%であることが好ましく、5〜50%であることがより好ましい。粒子の含有割合をかかる下限以上とすることにより、観察角度による色味の変化の低減等の所望の効果を得ることができる。また、かかる上限以下とすることにより、拡散部材中での粒子の凝集を防止し、良好に粒子が分散した拡散部材を容易に得ることができる。
粒子の粒径は好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。ここで粒径とは、体積基準の粒子量を、粒子径を横軸にして積算した積算分布における50%粒子径のことである。粒径が大きいほど、所望の効果を得るために必要な粒子の含有割合は多くなり、粒径が小さいほど、含有量は少なくてすむ。従って、粒径が小さいほど、観察角度による色味の変化の低減、及び光取り出し効率の向上等の所望の効果を、少ない粒子で得ることができる。なお、粒径は、粒子の形状が球状以外である場合には、その同等体積の球の直径を粒径とする。
【0048】
粒子が透明な粒子であり、且つ粒子が透明樹脂中に含まれる場合において、粒子の屈折率と、透明樹脂の屈折率との差が0.05〜0.5であることが好ましく、0.07〜0.5であることがより好ましい。ここで、粒子及び透明樹脂の屈折率は、どちらがより大きくても良い。粒子と透明樹脂の屈折率が近すぎると拡散効果が得られず色味ムラは抑制されず、逆に差が大きすぎると拡散が大きくなり色味ムラは抑制されるが光取出効果が低減することになる。
【0049】
出光面構造層の一部若しくは全部を構成する層を拡散部材とする場合、出光面構造層を構成する各層のうちどれを拡散部材とするかについては、特に限定されず、種々の観点から選択することができる。例えば、容易に拡散の度合いを調節しうるという観点からは、透明樹脂を含む層を拡散部材とすることが好ましい。
【0050】
さらに、層中の粒子の含有割合を過大にせずに十分な光拡散性を確保する観点からは、5μm以上といった、ある程度以上厚みがある層を拡散部材とすることが好ましい。
ここで、凹凸構造層は、前述の通り硬度が高い材料が好ましいが、そのような硬度の高い材料の膜厚が厚いと、面光源装置において使用する際、経時的に、装置出光面に、不所望な反りをもたらす可能性がある。したがって、この観点からは、凹凸構造層以外の層であって塑性変形しやすい性質を賦与しうる層、例えば基材フィルム又は接着層を拡散部材とすることが好ましい。
【0051】
一方、製造工程において透明樹脂等の材料の加熱の工程を伴わない層を拡散部材とすることにより、製造工程の管理を容易にすることができる。例えば、樹脂搬送経路において粒子による詰まりが発生した場合の対処を容易にすることができる。この観点からは、接着層を拡散部材とすることが好ましい。または接着層と接着層以外の層を拡散部材とすることも好ましい。例えば、接着層と基材フィルムとを拡散部材とし、基材フィルムに添加する粒子の割合を少なくすることにより、基材フィルムの製造工程における管理を容易にする(例えば、詰まりが発生する頻度を低減する)ことができる。
【0052】
さらには、出光面構造層内に、上記凹凸構造層、基材フィルム層、接着層及びガラス基板以外の層を追加的に設け、かかる追加の層を拡散部材とすることもできる。例えば、凹凸構造層と基材フィルム層の間、接着層とガラス基板の間、ガラス基板の発光層側の表面など(例えば、発光層を構成する電極層とガラス基板との間)にかかる追加の層を形成することができる。または、かかる追加の層と上記凹凸構造層、基材フィルム層、接着層及びガラス基板のうちの1以上の層との両方を拡散部材とすることもできる。
【0053】
拡散部材が出光面構造層の一部又は全部を構成する層として設けられる場合において拡散の度合いは特に限定しないが、一例として拡散部材が凹凸構造層から接着層の間の一部または全部である場合に、前記凹凸構造層の表面凹凸がない状態での、凹凸構造層から接着層までの部分の全光線透過率は70〜95%であることが好ましく、75〜90%であることがさらに好ましい。
また、拡散部材の屈折率は特に限定しないが、1.45〜2が好ましく、1.6〜2がより好ましく、1.7〜2がさらに好ましい。拡散部材よりも出光側の層は拡散部材よりも屈折率が小さいことが好ましいが、前記のように拡散部材の屈折率を大きくすることにより、拡散部材よりも出光側の層の屈折率の選択の幅が広がるので、材料の選択性を広げることができる。
【0054】
(凹凸構造)
第一の本発明において、出光面構造層上の前記凹凸構造は、斜面を含む複数の凹部と、前記凹部の周囲に位置する平坦部とを含む。ここで「斜面」とは、装置出光面と平行でない角度をなす面である。一方、平坦部上の面は、装置出光面と平行な面とすることができる。
【0055】
凹凸構造の例として、
図1及び
図2に示した面光源装置10の装置出光面の凹凸構造を、
図3及び
図4を参照してより詳細に説明する。
図3は、凹凸構造層111により規定される、面光源装置10の装置出光面10Uの構造を拡大して示す部分上面図である。
図4は、凹凸構造層111を、
図3の線10aを通る垂直な面で切断した断面を示す部分断面図である。
【0056】
複数の凹部113のぞれぞれは正四角錐形状の窪みであり、従って凹部113の斜面11A〜11Dは同一の形状であり、底辺11E〜11Hは正方形を構成する。線10aは、一列の凹部113の全ての頂点11Pの上を通る線であり、且つ凹部113の底辺11E及び11Gと平行な線である。
【0057】
凹部113は、一定の間隔をおいて、直交する2配置方向に連続して配置されている。かかる2配置方向のうち一方の方向Xは底辺11E及び11Gと平行である。この方向Xにおいて、複数の凹部113は一定の間隔11Jをおいて整列している。2配置方向のうちの他方の方向Yは底辺11F及び11Hと平行である。この方向Yにおいて複数の凹部113は一定の間隔11Kをおいて整列している。
【0058】
凹部113のそれぞれを構成する斜面11A〜11Dが平坦部114となす角(斜面11B及び11Dについては、それぞれ
図4に示す角11L及び11M)は例えば60°に設定され、これにより、凹部113を構成する正四角錐の頂角、即ち頂点11Pにおいて相対向する斜面がなす角(斜面11B及び11Dがなす角については、
図4に示す角11N)も60°となっている。
【0059】
このように、面光源装置が、装置出光面において、複数の凹部と、各凹部の周囲に位置する平坦部とを含む構成を有し、さらに所定の拡散部材を組み合わせて有することにより、光取り出し効率を高め、且つ観察角度による色味の変化を低減することができ、しかも、外部衝撃により凹凸構造の欠け等が生じるのを防止でき、ひいては装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0060】
第一の本発明の面光源装置は、上記の構成とすることにより、装置出光面における半球状全方位での色度座標のx座標およびy座標の少なくともいずれかの変位を上記の構成をとらない場合に比べて小さくでき、例えば半減させることができる。このため、面光源装置において、観察角度による色味の変化を抑えることができる。かかる半球状全方位での色度の変位を測定する方法として、例えば装置出光面の法線(正面)上に分光放射輝度計を設置し、法線方向を0°とした時その装置出光面を−90〜90°まで回転させられる機構を付与することで、各方向で測定した発光スペクトルから色度座標を算出できるため、その変位を算出できる。
【0061】
凹凸構造層を装置出光面に垂直な方向から観察した場合における、平坦部が占める面積と凹部が占める面積との合計に対する、平坦部が占める面積の割合(以下、「平坦部割合」という。)を適宜調節することにより、面光源装置の光取り出し効率を向上させることができる。具体的には、平坦部割合を10〜75%とすることにより、良好な光取り出し効率を得ることができ、且つ装置出光面の機械的強度を高めることができる。
【0062】
第一の本発明において、凹部は、例えば、上に述べた角錐形状に加え、円錐形状、球面の一部の形状、溝状の形状、及びこれらを組み合わせた形状を有しうる。角錐形状は、前記凹部113として例示するように底面が正方形である四角錐としうるが、これに限られず、三角錐、五角錐、六角錐、底面が正方形でない四角錐などの角錐形状とすることもできる。
【0063】
さらに、本願でいう円錐及び角錐は、その頂部が尖った通常の円錐及び角錐のみならず、先端が丸みを帯びた形状、又は平らに面取りされた形状(錐台状の形状等)をも包含する。例えば、
図4に示す凹部113では四角錐の頂部11Pは尖った形状となっているが、これが、
図5に示す凹部613の頂部61Pのように丸みを帯びた形状になっていてもよい。また、
図6に示す凹部713のように、角錐の頂部に平坦な部分71Pを設け、平らに面取りされた形状とすることもできる。
【0064】
図5に示すように角錐の頂部が丸みを帯びた形状である場合、その頂部61Pと、当該角錐が丸みを帯びず尖った形状となっていた場合の頂部61Qとの高さの差61Rは、当該角錐が丸みを帯びず尖った形状となっていた場合の角錐の高さ61Sの20%以下とすることができる。
図6に示すように角錐の頂部が平らに面取りされた形状である場合、平坦な部分71Pと、当該角錐の頂部が平坦で無く尖った形状となっていた場合の頂部71Qとの高さの差71Rは、当該角錐の頂部が平坦で無く尖った形状となっていた場合の角錐の高さ71Sの20%以下とすることができる。
【0065】
凹凸構造における凹部の深さは、特に限定されないが、凹凸構造が形成された表面を様々な方向(装置出光面と平行な面内の様々な方向)に沿って測定した中心線平均粗さの最大値(Ra(max))として、1〜50μmの範囲内とすることができる。凹凸構造を凹凸構造層上に形成する場合は、凹凸構造層の厚みに対して相対的に、好ましい凹部の深さを定めることができる。例えば、凹凸構造層の材料として、凹凸構造層の耐久性の維持に有利な硬質の材料を用いた場合、凹凸構造層の厚みを薄くしたほうが、複層体の可撓性が高まり、面光源装置の製造工程における複層体の取り扱いが容易となる。具体的には、
図4に示す凹部の深さ16Dと凹凸構造層111の厚み16Eとの差は、0〜30μmであることが好ましい。
【0066】
第一の本発明において、凹部の斜面と、装置出光面とがなす角は40〜70°であることが好ましく、45〜60°であることがより好ましい。例えば凹部の形状が、
図1、2、3及び4に示す四角錐である場合、その頂角(
図4における角11N)は、60〜90°となることが好ましい。また、観察角度による色味の変化を最小限にしつつ光取り出し効率も高めるという観点からは、斜面と装置出光面とがなす角は大きいほうが好ましく、具体的には例えば55°以上とすることが好ましく、60°以上とすることがさらにより好ましい。この場合、かかる角の上限は、凹凸構造層の耐久性の維持を考慮し、70°程度とすることができる。
【0067】
凹部の形状が、頂部において丸みを帯びた又は平らに面取りされた角錐形状、円錐形状又は溝状の形状である場合は、当該丸みを帯びた部分又は面取りされた部分を除く斜面の角度を、斜面の角度とする。例えば、
図5及び
図6に示す例では、面613a、613b、713a及び713bを、斜面とする。斜面の角度をこのような角度とすることにより、光取り出し効率を高めることができる。凹凸構造の斜面は、必ずしも全てが同じ角度である必要は無く、上記範囲内で、異なる角度を有する斜面が共存していてもよい。なお、円錐形状の斜面と装置出光面とがなす角とは、かかる円錐の母線と装置出光面とがなす角とすることができる。
【0068】
装置出光面において、複数の凹部は、任意の態様で配列することができる。例えば、複数の凹部を、装置出光面上の互いに交差する2以上の方向に沿って配列することができる。より具体的には、
図1及び
図3に示した凹部113のように、直交する2方向に沿って配列することができる。
【0069】
2以上の方向に凹部を配列した場合において、それらのうち1方向以上の方向に、隣り合う凹部間の隙間を設け、かかる隙間により平坦部を構成することができる。例えば、
図3に示す凹部113の配列では、直交する2方向X及びYのいずれの方向においても、それぞれ間隔11J及び11Kの隙間を設けて、かかる隙間により平坦部114を構成している。このような構成を採用することにより、良好な光取り出し効率と、装置出光面の機械的強度とを両立させることができる。
【0070】
(製造方法)
第一の本発明の面光源装置の製造方法は、特に限定されないが、上に例示した、凹凸構造層、基材フィルム、接着層及びガラス基板を有する出光面構造層を備える面光源装置を製造する場合、ガラス基板の一方の面に有機EL素子を構成する各層を積層し、その後又はその前に、ガラス基板の他方の面に凹凸構造層及び基材フィルムを有する複層体を、接着層を介して貼付することにより製造することができる。
【0071】
凹凸構造層及び基材フィルムを有する複層体の製造は、所望の形状を有する金型等の型を調製し、これを凹凸構造層を形成する材料の層に転写することにより行うことができる。より具体的な方法としては、
(方法1)基材フィルムを構成する樹脂組成物Aの層及び凹凸構造層を構成する樹脂組成物Bの層(凹凸構造はまだ形成されていない)を有する未加工複層体を例えば共押出等により調製し、かかる未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、凹凸構造を形成する方法;及び
(方法2)基材フィルムの上に、液体状態の樹脂組成物Bを塗布し、塗布された樹脂組成物Bの層に型を当て、その状態で樹脂組成物Bを硬化させ、凹凸構造層を形成する方法
を挙げることができる。
【0072】
方法1において、未加工複層体は、例えば樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを共押出する押出成形により得ることができる。未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、所望の表面形状を有する型を押し当てることにより、凹凸構造を形成することができる。
より具体的には、長尺の未加工複層体を押出成形により連続的に形成し、所望の表面形状を有する転写ロールとニップロールとで未加工複層体を加圧し、それにより、連続的な製造を効率的に行うことができる。転写ロールとニップロールとによる挟み圧力は、好ましくは数MPa〜数十MPaである。また転写時の温度は、樹脂組成物Bのガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg以上(Tg+100℃)以下である。未加工複層体と転写ロールとの接触時間はフィルムの送り速度、すなわちロール回転速度によって調整でき、好ましくは5秒以上600秒以下である。
【0073】
方法2において、凹凸構造層を構成する樹脂組成物Bとしては、紫外線等のエネルギー線により硬化しうる組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物Bを、基材フィルム上に塗布し、型を当てた状態で、塗布面の裏側(基材フィルムの、樹脂組成物Bを塗布した面とは反対側)に位置する光源から、紫外線等のエネルギー線を照射し、樹脂組成物Bを硬化させ、その後型を剥離することにより、樹脂組成物Bの塗膜を凹凸構造層とし、複層体を得ることができる。
【0074】
<実施形態1−2>
第一の本発明の面光源装置において、装置出光面を構成する凹部の形状は、上記実施形態1−1として例示した角錐形状に限られず、例えば以下に示す実施形態1−2のように、球の一部の形状であってもよい。
実施形態1−2は、第一の本発明に係る第2の実施形態である。
図7は、実施形態1−2に係る面光源装置を模式的に示す上面図であり、
図8は、
図7に示す面光源装置を、
図7中の線2aを通る、装置出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図7及び
図8に示す通り、実施形態1−2に係る面光源装置20は、装置出光面の形状、即ち出光面構造層200を構成する複層体210のうち凹凸構造層211の表面の形状が異なる他は、実施形態1−1と同一の構成を有している。
【0075】
凹凸構造層211の表面上に形成された凹部213は、半球状の形状であり、装置出光面20U上において、一定の間隔をおいて、線2a、2b及び2cに平行な3配置方向に連続して配置されている。線2a、2b及び2cは、互いに60°の角度をなしている。隣り合う凹部213の間には、線2a、2b及び2cの方向に隙間が設けられ、この隙間が平坦部214を構成している。
【0076】
このような、半球状の形状を有する凹部とその間の隙間である平坦部を有する構造を有する装置出光面を有する場合であっても、実施形態1−1における角錐形状の凹部と同様に、光取り出し効率を高め、且つ観察角度による色味の変化を低減することができ、しかも装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0077】
<実施形態1−3>
第一の本発明の面光源装置において、装置出光面を構成する凹部の形状はまた、以下に示す実施形態1−3のように、溝状の形状であってもよい。
実施形態1−3は、第一の本発明に係る第3の実施形態である。
図9は、実施形態1−3に係る面光源装置を模式的に示す斜視図である。
図9に示す通り、実施形態1−3に係る面光源装置30は、装置出光面の形状、即ち出光面構造層300を構成する複層体310のうち凹凸構造層311の表面の形状が異なる他は、実施形態1−1と同一の構成を有している。
【0078】
凹凸構造層311の表面上に形成された複数の凹部313のそれぞれは、直線状の、溝状の形状を有し、2つの平坦な斜面を有する。したがって、凹部313を、溝の延長方向に垂直な面で切断した断面は、2つの斜辺を有する三角形の形状を有する。複数の凹部313は、装置出光面30U上に平行に配列される。隣り合う前記凹部313の間には隙間314が設けられ、かかる隙間314が、装置出光面30Uにおける平坦部を構成する。
【0079】
このような、溝状の形状を有する凹部とその間の隙間である平坦部を有する構造を有する装置出光面を有する場合であっても、実施形態1−1における角錐形状の凹部と同様に、光取り出し効率を高め、且つ観察角度による色味の変化を低減することができ、しかも装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0080】
ここで、凹部の溝状の形状は、斜面を含んでいる限りにおいて特に限定されず、上に例示した断面が三角形のものに限られず、様々な形状をとることができる。例えば、溝の断面形状は、5角形、7角形といった他の多角形の形状、又は円の一部等、多角形以外の形状であってもよい。さらに、上で実施形態1−1に関連して説明した、角錐又は円錐の頂部を、丸みを帯びた形状又は平らに面取りされた形状に変形させた形状とするのと同様に、溝の断面の形状を、頂点が丸みを帯びた形状又は平らに面取りされた形状に変形させてもよい。
【0081】
<実施形態1−4>
第一の本発明の面光源装置において、装置出光面を構成する凹部の形状が角錐形状である場合の、かかる角錐形状は、上記実施形態1−1として例示した単純な角錐形状に限られず、例えば以下に示す実施形態1−4のように、それぞれの凹部において、複数の角錐が組み合わされた形状であってもよい。
【0082】
実施形態1−4は、第一の本発明に係る第4の実施形態である。
図10は、実施形態1−4に係る面光源装置を模式的に示す上面図であり、
図11は、
図10に示す面光源装置を、
図10中の線3aを通る、装置出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図10及び
図11に示す通り、実施形態1−4に係る面光源装置40は、装置出光面40Uの形状、即ち出光面構造層400を構成する複層体410のうち凹凸構造層411において、凹部413の形状が実施形態1−1における凹部113と異なる他は、実施形態1−1と同一の構成を有している。
【0083】
凹凸構造層411の表面上に形成された複数の凹部413のそれぞれは、装置出光面に対する傾斜の角度が異なる3種類の斜面41T、41U及び41Vを有している。41Vはもっとも傾斜が大きく、4面の斜面41Vは四角錐を構成している。斜面41Uは斜面41Vより傾斜が小さく、斜面41Tは斜面41Uより傾斜が小さい。4面の斜面41Uは、四角錐の一部の形状を構成し、4面の斜面41Tも、四角錐の一部の形状を構成する。これらが組み合わさることにより、凹部413は、3種類の四角錐またはその一部が組み合わさった形状を有している。そして、凹部413の周囲に位置する平坦部414は、実施形態1−1における平坦部114と同様に、直交する2方向において凹部間に設けられた隙間により構成されている。
【0084】
このような、複数の角錐が組み合わされた形状の凹部を有することにより、実施形態1−1における角錐形状の凹部よりもさらに観察角度による色味の変化を低減しうる場合があり得、同時に、実施形態1−1と同様に、光取り出し効率を高め、且つ装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0085】
<実施形態1−5>
上に述べた実施形態1−1〜実施形態1−4においては、拡散部材は、出光面構造層の一部若しくは全部を構成する層として設けられた、入射した光を拡散して透過させる部材であった。しかし、第一の本発明の面光源装置における拡散部材はこれに限られず、以下に示す実施形態1−5において例示するように、有機EL素子よりも出光面構造層から遠い位置に設けられた、入射した光を拡散して反射させる部材であってもよい。
【0086】
実施形態1−5は、第一の本発明に係る第5の実施形態である。
図12は、実施形態1−5に係る面光源装置を、装置出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図12に示す通り、実施形態1−5に係る面光源装置50は、第2の電極層として、反射電極143に代えて第2の透明電極である電極層146を有する点、及び封止基板151に代えて、反射部材551及び反射部材基板552を有する点において実施形態1−1と異なり、その他の点では実施形態1−1と同一である。
【0087】
面光源装置50において、反射部材551は、反射部材551に入射した光を、反射面551Uにおいて反射する性質を有し、さらに、反射面551Uは平坦でなく凹凸を有する。これにより、反射部材551は、入射した光を拡散された態様で反射させることができる。
【0088】
反射部材551の反射面551Uにおける、拡散された態様での反射とは、入射した光の少なくとも一部が、非鏡面反射で反射される(鏡面反射における反射方向と異なる反射方向で反射される)ことである。これにより、発光層142からの光の少なくとも一部が、装置出光面10Uに到達するまでの間に拡散される。
【0089】
実施形態1−1の面光源装置10の場合は、出光面構造層の一部又は全部を構成する層を拡散部材としたが、実施形態1−5の面光源装置50の場合、反射部材551による光の拡散された態様での反射により、出光面構造層内の拡散部材と同様の効果が得られるため、出光面構造層内に拡散部材を設けなくても、第一の本発明の効果を得ることができる。ただし、所望であれば、反射部材551に加えて、さらに追加の拡散部材として、実施形態1−1において設けたもののような、出光面構造層内の拡散部材をも備えてもよい。
【0090】
反射部材551の反射面551Uと、第2の透明電極146との間の隙間553は、充填剤又は接着剤などの、光の透過を大きく損なわない任意の物質で充填することができる。または、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がなければ空気又はその他の気体が存在する若しくは真空の空隙であってもよい。
【0091】
反射部材551の材質は、特に限定されないが、反射部材551は、アルミニウムや銀等の金属といった、入射する光を反射させる性質を有した物質の層を少なくとも含む部材とすることができる。より具体的には、微細な凹凸構造を有する基板上に、かかる金属の層を1層又は複数層形成することにより、微細な凹凸を有する反射部材を構成することができる。または、平坦な基板の上にかかる金属の層を形成し、その後金属の層を加工して微細な凹凸を有する反射部材を得ることもできる。または、平坦な樹脂基板の上にかかる金属の層を形成し、その後樹脂基板を褶曲させることにより微細な凹凸を有する反射部材を得ることもできる。また、反射部材は、密着性や防蝕性、耐擦傷性改善などを目的として、前記金属の層の表面に無機薄膜や有機薄膜等の機能層を積層した構成としてもよい。
反射部材551の材質は、金属には限られず、例えば白色の表面を有する任意の材質の拡散板を用い、これにより入射した光を拡散した態様で反射させてもよい。
【0092】
<実施形態1−6>
上に述べた実施形態1−1及び他の実施形態で、装置出光面の2方向に沿って四角錐を配列した場合において、平坦部は、かかる2方向の両方において隣り合う四角錐間に隙間を設けることにより構成したが、第一の本発明はこれに限られず、例えば以下に示す実施形態1−6のように、2方向のうち1方向のみにおいて隙間を設けてもよい。
【0093】
実施形態1−6は、第一の本発明に係る第6の実施形態である。
図13は、実施形態1−6に係る面光源装置を模式的に示す上面図であり、
図14は、
図13に示す面光源装置を、
図13中の線4aを通る、装置出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図13及び
図14に示す通り、実施形態1−6に係る面光源装置80は、装置出光面80Uの形状、即ち出光面構造層800を構成する複層体810のうち凹凸構造層811の表面の形状が異なる他は、実施形態1−1と同一の構成を有している。
【0094】
凹凸構造層811の表面上に形成された凹部813のそれぞれは、実施形態1−1における凹部113と同一の形状であるが、凹部813間の隙間は、
図13中の線4aに垂直な方向に隣り合う凹部813の間にのみ設けられ、その結果、線4aに平行な方向に延長する平坦部814が構成されている。このような場合、実施形態1−1の場合に比べて、相対的に、装置出光面がある方向(例えば平坦部814の延長方向に平行な方向)に沿って擦傷を受ける場合の耐擦傷性は低下しうる一方、光取り出し効率については向上させうるので、好ましく用いうる場合もあり得る。
【0095】
なお、凹部813の形状について、本実施形態では、隣り合う凹部813間の境界部分815の高さと平坦部814の高さは同じであるが、境界部分815の高さは、平坦部814の高さと異なっていてもよい。
また、ここでは凹部813の形状が四角錐のみである例を取り上げたが、それ以外の形状であってもよい。例えば、
図15に示すように、寄せ棟屋根状の凹部816が複数並んだ構成とすることもできる。なお、
図15に示す凹凸構造層821は実施形態1−6に係る凹凸構造層811の変形例であり、凹部の形状が異なること以外は、実施形態1−6に係る凹凸構造層811と同様の構成を有する。
【0096】
<実施形態1−7>
実施形態1−1〜実施形態1−6において、凹凸構造層上の平坦部は、高さ(即ち装置出光面が水平方向と平行で且つ上向きになるよう載置した状態における高さ)に差が無く、全て一様な高さを有するものであるが、第一の本発明はこれに限られず、例えば以下に示す実施形態1−7のように、平坦部の高さに差異があるものであってもよい。
【0097】
実施形態1−7は、第一の本発明に係る第7の実施形態である。
図16は、実施形態1−7に係る面光源装置を模式的に示す上面図であり、
図17は、
図16に示す面光源装置を、
図16中の線11a−11bを通る、装置出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図16及び
図17に示す通り、実施形態1−7に係る面光源装置90は、装置出光面90Uの形状、即ち出光面構造層900を構成する複層体910のうち凹凸構造層911の表面の形状が異なる他は、実施形態1−1と同一の構成を有している。
【0098】
凹凸構造層911の表面上に形成された凹部913のそれぞれは、実施形態1−1における凹部113と概ね同一の形状であるが、凹部913間には、高さの低い平坦部914及び高さの高い平坦部915の2種類の平坦部が設けられ、平坦部914と915との間は斜面91Wで連結されている。
【0099】
本実施形態では、2列の平坦部914と1列の平坦部915とが交互に配置され、それにより、出光面構造層900は、その断面において、2つの平坦部914、1つの平坦部915、及びそれらの間に存在する3つの凹部913の斜面(斜面91Wを含む)からなる繰り返し単位が繰り返される。この繰り返しは、
図16に示す線11a及び11bを通る断面に加えて、この線に垂直であって且つ装置出光面に垂直な断面においても生じうる。
【0100】
このような平坦部の高さに差異があるものとすることにより、装置出光面の耐擦傷性は若干低下するものの、装置出光面を観察した際の虹ムラを抑制しうるという好ましい効果が生じる。即ち、平坦部に高さの差異が無いように装置出光面を設計して面光源装置を製造した場合、平坦部の成形における誤差に基づき平坦部の高さに誤差が生じ、かかる誤差により、装置出光面からの光(すなわち、装置からの出射光または装置出光面での外光の反射光のいずれか一方または両方)において干渉が生じ、虹ムラが発生する可能性がある。ここで、2種類の平坦部914及び915の高さの寸法差を、光の干渉をもたらす差異を超える寸法差となるよう敢えて設定することにより、干渉の発生を防ぎ、虹ムラを抑制することができる。干渉をもたらす差異を超える寸法差とは、例えば、面光源装置が出光する光の中心波長の0.62倍以上、好ましくは1.5倍以上の寸法差とすることができる。
なお、本実施形態では、平坦部の高さに所定の差異(干渉をもたらす差異を超える寸法差)を設ける構成としたが、例えば、平坦部の高さ位置を揃えた上で、凹部の深さに所定の差異(干渉をもたらす差異を超える寸法差)を設ける構成としてもよく、この場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。また、平坦部の高さ、および、凹部の深さの両方に差異を設けてもよい。このように、平坦部または凹部に所定の差異を設ける構成は、本実施形態にのみに適用されるものではなく、本発明の範囲におけるすべての実施の形態に適用できる。
【0101】
上記数値範囲は、以下に示す知見から確認している。すなわち、平坦部の高さを全て揃える態様で設計した凹凸構造層において、平坦部の高さに170nm以上の誤差が生じると干渉が発生して虹ムラが現れるという場合に、かかる虹ムラを発生させる誤差の最小値の2倍以上の高さの寸法差を敢えて設けると、虹ムラの発生を抑制することができることが分かっている。さらに、平坦部の高さを全て揃える態様で設計した凹凸構造層において、平坦部の高さに標準偏差でσ1nm(≒60nm)のバラツキが生じると干渉が発生し虹ムラが現れるという場合、6×σ1nm(=360nm)以上の高さの寸法差を敢えて設けることにより、虹ムラの発生を抑制することができることが分かっている。上記2つの知見により、干渉をもたらす差異を超える寸法差は、面光源装置が出光する光の中心波長の0.62倍以上であると示すことができる。
【0102】
<実施形態1−8>
第一の本発明の面光源装置において、面光源装置の片面だけを装置出光面にするのではなく、例えば以下に示す実施形態1−8のように、両面を装置出光面にしてもよい。
【0103】
実施形態1−8は、第一の本発明に係る第8の実施形態である。
図18は、実施形態1−8に係る面光源装置を、装置出光面と垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。
図18に示す通り、実施形態1−8に係る面光源装置1000は、反射電極143に代えて第2の透明電極である電極層146を有する点、並びに、封止基材151に代えて出光面構造層100を備える点において実施形態1−1と異なり、その他の点では実施形態1−1と同一である。なお、図中下側の出光面構造層100と、第2の透明電極146との間には、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
【0104】
第2の電極層146が透明電極であるため、発光層142からの光は、第1の電極層141及び第2の電極層146を透過して、図中上側及び下側の両方の装置出光面10Uから出光する。このような、表面及び裏面の両方から光が出光する場合であっても、実施形態1−1と同様に、光取り出し効率を高め、且つ観察角度による色味の変化を低減することができ、しかも装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0105】
また、本実施形態の面光源装置1000では、通常、一方の装置出光面10Uに入射した光は面光源装置1000を透過して他方の装置出光面10Uから出光することになる。したがって、面光源装置1000を通じて反対側を肉眼で見通すことができるようになり、シースルー型の面光源装置を実現できるので、デザインを多様化できる。
【0106】
なお、本実施形態では面光源装置1000の図中上面及び下面の両方に同じ出光面構造層100を備える例を示したが、異なる出光面構造層を組み合わせて備えるようにしてもよい。例えば、第一の電極層141の表面に出光面構造層100を備え、第二の電極層146の表面に出光面構造層200を備えるようにしてもよい。
【0107】
<照明器具及びバックライト装置>
第一の本発明の照明器具及び第一の本発明のバックライト装置は、いずれも、前記第一の本発明の面光源装置を含む。
第一の本発明の照明器具は、第一の本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を含むことができる。第一の本発明のバックライト装置は、第一の本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含むことができる。第一の本発明のバックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライトとして用いることができる。
【0108】
第一の本発明は、前記実施形態の例示には限定されず、本願の特許請求の範囲及びその均等の範囲内での変更を施すことができる。
例えば、上記実施形態の例示においては、出光面構造層としては、凹凸構造層、基材フィルム層、接着層及びガラス基板からなるものを示したが、出光面構造層は、これらよりも少ない層から構成されたものであってもよく、又は逆にこれらの層に加えて任意の層をさらに含むものであってもよい。例えば、凹凸構造層の上にさらにコーティング層を有し、これが装置出光面の凹凸構造を規定するものであってもよい。
また、上記実施形態の例示において、装置出光面全面に分布する凹部として、同一の形状からなるもののみが分布しているものを示したが、装置出光面において、異なる形状の凹部が混在していてもよい。例えば、大きさの異なる角錐形状の凹部が混在していたり、角錐形状の凹部と円錐形状の凹部が混在していたり、複数の角錐が組み合わされた形状のものと単純な角錐形状とが混在していてもよい。
また、上記実施形態の例示において、平坦部の幅、及び隣り合う平坦部の間隔については、常に一定のものを示したが、平坦部の幅が狭いものと広いものとが混在していてもよく、また、平坦部の間隔が狭い箇所と広い箇所とが混在していてもよい。そのようにして、平坦部の高さ、幅、及び間隔の1以上の要素において、出射光及び反射光の干渉をもたらす差異を超える寸法差が設けられている態様とすることにより、干渉による虹ムラを抑制することができる。
また、上記実施形態の例示中の反射電極層を有するものについて、反射電極を、透明電極と反射層に置き換えても、反射電極と同様の効果を有する装置を構成することができる。
【0109】
[II.第二の本発明の説明]
以下、第二の本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、第二の本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではない。
【0110】
<実施形態2−1>
第二の本発明の第1の実施形態に係る面光源装置について、以下に説明する。
実施形態2−1は、第二の本発明に係る第1の実施形態である。
図19は、実施形態2−1に係る面光源装置を説明する縦断面図である。
図19に示すように、本実施形態に係る面光源装置2001は、平面視矩形状の出光面2040Aを有し、有機EL素子2020と、有機EL素子2020の少なくとも一方の面に直接または間接的に配置される出光側部材としての凹凸構造体2040とを備えている。
【0111】
有機EL素子2020は、反射電極を構成する第1の電極層2022と、発光層2024と、透明電極としての第2の電極層2026とをこの順に備え、第1の電極層2022と第2の電極層2026の間に電圧を印加して発光層2024を発光させ、光源として用いることができる。このような有機EL素子2020は、照明器具や表示装置等に好適に用いることができる。
【0112】
発光層2024には、既知のものを採用できる。発光層2024に用いる発光材料は、1種類に限らず、また発光層も1層に限らず、光源としての用途に適合すべく、一種の層単独または複数種類の層の組み合わせとすることができる。これにより、白色またはそれに近い色の光を発光するものを構成できる。
【0113】
有機EL素子2020の電極は、特に限定されず既知のものを適宜選択できる。第1の電極層2022は金属電極層である。第2の電極層2026は、透明電極層である。このような構成であるため、発光層2024で発光した光は、第2の電極層2026を透過するか、または第1の電極層2022で反射され、発光層2024および第2の電極層2026を透過して有機EL素子2020の外部へ出射される。なお、第1の電極層2022も透明電極層として構成することもでき、この場合には、有機EL素子の両表面から光を出射できる。また、第1の電極層2022を透明電極層とした場合において、発光層2024側とは反対側に、反射部材または散乱部材(例えば、空気層を介して配置される白色散乱部材等)を配置する構成とすることもできる。
【0114】
有機EL素子2020は、必要に応じて、第1の電極層2022と第2の電極層2026との間に、発光層2024に加えて、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層、およびガスバリア層等の他の層を備えることができる。有機EL素子2020は、各電極層2022,2026に通電するための配線、発光層の封止のための周辺構造等の任意の構成要素を備えることもできる。
【0115】
各電極層、およびその間に設ける前記の各層を構成する材料としては、特に限定されないが、具体例として、第一の本発明の説明の項で挙げたのと同様の例示物が挙げられる。
【0116】
前記のものまたはその他の発光層を適宜組み合わせて積層型またはタンデム型と呼ばれる、補色関係にある発光色を発生する発光層を得ることができる。補色関係の組み合わせは、黄/青、または緑/青/赤等とすることができる。
【0117】
凹凸構造体2040は、第2の電極層2026の表面に設けられている。凹凸構造体2040における第2の電極層2026側とは反対側の面は、光を外部へと出射する出光面2040Aとなっている。出光面2040Aには、凹凸構造2041が形成されている。出光面2040Aは、有機EL素子2020の発光層2024の表面と平行な面であり、面光源装置の主面と平行である。ただし、微視的に見ると、出光面2040Aには上記の通り凹凸構造2041が形成されているため、これらの面は発光層の表面とは非平行となり得る。しかしながら、別に断らない限り、前記凹凸構造等を無視して見た出光面と平行(または垂直)であることを、単に「出光面と平行(または垂直)」であるとする。また、別に断らない限り、面光源装置は、出光面が水平方向と平行で、かつ上向きになるよう載置した状態で説明する。また、第二の本発明において、各構成要素が「平行」または「垂直」であるとは、第二の本発明の効果を損ねない範囲の誤差を含んでいてもよく、例えば、平行または垂直な角度から±5°の誤差を含んでいてもよい。
【0118】
凹凸構造体2040は、第2の電極層2026の表面に設けられる例えばガラス製の基板2042と、凹凸構造本体2044と、基板2042および凹凸構造本体2044を接着する接着層2046とを備えている。凹凸構造本体2044は、基材2045と、基材2045の表面に設けられる、配光分布変換部としての凹凸構造層2047と備えている。面光源装置2001において、基板2042、基材2045、接着層2046、および凹凸構造層2047のうちの1層以上は、光拡散性を付与する粒子等を含む組成物により構成され、この光拡散性を有する層において、発光層2024からの光を拡散して透過もしくは反射させるため、当該層が第二の本発明の拡散部として機能する。
【0119】
基板2042は、面光源装置2001のたわみを抑制する剛性を付与する板材として機能する。また、基板2042は、有機EL素子2020を封止する性能に優れ、かつ、製造工程において有機EL素子2020を構成する層をその上に順次形成することが容易に行い得るため、面光源装置2001の耐久性を向上させ、かつ製造を容易にできる利点がある。基板2042の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5mmであることが好ましい。なお、本実施形態では、基材2042をガラス製としたが樹脂製としてもよい。この場合、基板2042を構成する樹脂及びガラスの屈折率は、1.4〜2とすることができる。
【0120】
基材2045は、透明樹脂を含む組成物により構成できる。透明樹脂が「透明」であるとは、光学部材に用いるのに適した程度の光線透過率を有する意味である。第二の本発明においては、出光側部材を構成する各層が、光学部材に用いるのに適した光線透過率を有するものとすることができ、出光側部材全体として80%以上の全光線透過率を有するものとすることができる。
【0121】
透明樹脂の例については、第一の本発明の説明において、出光面構造層の項で説明したのと同様である。
【0122】
凹凸構造層2047は、面光源装置2001の出光面側の最外層に位置し、その基板2045とは反対側の表面が出光面2040Aとなっている。凹凸構造層2047は、斜面を含む複数の凹部2048と、凹部2048の周囲に位置し、隣接する凹部2048間を離間する平面状に形成された平坦部2049とを含む凹凸構造を備えている。凹凸構造層2047を構成する材料としては、前述した基材2045と同一の材料を採用できる。また、当該凹凸構造により出光面が規定される。このように、複数の凹部と、各凹部の周辺に位置する平坦部とを含む構成を備えることにより、光取り出し効率を高め、かつ外部衝撃により凹凸構造の欠け等が生じるのを防止でき、ひいては出光面の機械的強度を向上できる。なお、「斜面」とは、出光面と平行でない角度をなす面である。一方、平坦部上の面は、出光面と平行な面とすることができる。
【0123】
凹凸構造層2047を出光面2040Aに垂直な方向から観察した場合における、平坦部2049が占める面積と凹部2048が占める面積との合計に対する、平坦部2049が占める面積の割合(以下、「平坦部割合」という。)を適宜調節することにより、面光源装置2001の光取り出し効率を向上させることができる。具体的には、平坦部割合を10〜75%とすることにより、良好な光取り出し効率を得ることができ、かつ出光面2040Aの機械的強度を高めることができる。
【0124】
複数の凹部2048は、それぞれ正四角錐形状の窪みである。このため、各凹部2048を構成する斜面2048Aは同一の二等辺三角形である。複数の凹部2048は、一定の間隔をおいて、互いに直交する2配置方向に沿って配置されており、この際、各凹部2048は、互いに同一の方向を向いている。凹部2048のそれぞれを構成する斜面2048Aが平坦部2049となす角は、例えば60°に設定できる。このため、凹部2048を構成する正四角錐の頂角は60°である。ただし、凹部の斜面と平坦部とのなす角は、観察角度による色味の変化を最小限にしつつ、光取り出し効率をより高めることができるという観点から、平均で40〜70°であることが好ましい。
【0125】
また、凹凸構造層2047を構成する材料としては、出光面の凹凸構造を形成しやすく、かつ凹凸構造の耐擦傷性を得やすいという観点から、硬化時の硬度が高い材料が好ましい。具体的には、7μmの膜厚の樹脂層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度でHB以上になるような材料が好ましく、H以上になる材料がさらに好ましく、2H以上になる材料がより好ましい。また、基材2045の材料としては、凹凸構造層2047の形成に際して、および/または、凹凸構造本体2044を成形した後の、凹凸構造本体2044の取り扱いを容易とするために、ある程度の柔軟性があるものが好ましい。このような材料を組み合わせることにより、取り扱いが容易で、かつ耐久性に優れる凹凸構造本体2044を得ることができ、その結果高性能の面光源装置を容易に製造できる。
【0126】
このような材料の組み合わせは、それぞれの材料を構成する樹脂として、上に例示した透明樹脂を適宜選択することにより得ることができる。具体的には、凹凸構造層2047の材料を構成する透明樹脂として、アクリレート等の紫外線硬化性樹脂を用い、一方、基材2045の材料を構成する透明樹脂として、脂環式オレフィンポリマー製のフィルム(後述するゼオノアフィルム等)や、ポリエステルフィルムを用いることができ、これにより、好ましい材料の組み合わせを得ることができる。
【0127】
本実施形態において、基材2045と凹凸構造層2047との屈折率差はできるだけ小さくする態様とすることができ、この場合、屈折率の差が0.15以内が好ましく、0.05以内がより好ましい。
【0128】
基材2045および凹凸構造層2047等の構成要素となる層の材料となる組成物は、当該層が拡散部を構成する場合には、光拡散性を付与する後述する粒子等を含むことができる。例えば、基材2045および凹凸構造層2047の一方又は両方が光拡散性を付与する粒子を含む組成物により構成される場合、その基材2045および凹凸構造層2047は、拡散部を兼ねることになる。さらに、組成物は、必要に応じて任意の成分を含むことができる。当該任意の成分としては、例えば、第一の本発明の説明において、出光面構造層の項で説明したのと同様の例が挙げられる。
【0129】
本実施形態において、凹凸構造層2047の厚みは、特に限定されないが、1〜70μmであることが好ましい。ここで、凹凸構造層2047の厚みとは、凹凸構造2041が形成されていない基板側の面と、凹凸構造体2040の平坦部2049との距離のことである。また、基材2045の厚みは、20〜300μmであることが好ましい。
【0130】
接着層2046の材料である接着剤(粘着剤も含む)としては、基板2045あるいは凹凸構造層2047に近い屈折率を有し、かつ透明であるものを適宜用いることができる。具体的には、前記接着剤としては、アクリル系接着剤(粘着剤)を挙げることができる。接着層2046の厚みは、5〜100μmであることが好ましい。
【0131】
本実施形態に係る面光源装置2001は、凹凸構造体2040を構成する層の一部または全部が、光を拡散させる層であることにより、これらの層の一部または全部を拡散部とすることができる。光を拡散させる層の材料としては、例えば、粒子を含んだ材料、および2種類以上の樹脂を混ぜ合わせて光を拡散させるアロイ樹脂とした材料を挙げることができる。光拡散性を容易に調節できるという観点から、粒子を含んだ材料、特に粒子を含んだ樹脂組成物が特に好ましい。
【0132】
前記粒子については、第一の本発明の説明において、拡散部材の項で説明した粒子と同様である。したがって、例えば、前記粒子の材料、含有割合、粒径、屈折率などは、第一の本発明の説明において、拡散部材の項で説明した粒子と同様である。
【0133】
なお、凹凸構造体の一部もしくは全部を構成する層を拡散部とする場合、凹凸構造体を構成する各層のうちどれを拡散部とするかについては、特に限定されず、種々の観点から選択することができる。例えば、容易に拡散の度合いを調節し得るという観点からは、透明樹脂を含む層を拡散部とすることが好ましい。さらに、層中の粒子の含有割合を過大せずに十分な光拡散性を確保する観点からは、5μm以上といった、ある程度以上厚みがある層を拡散部とすることが好ましい。
【0134】
ここで、凹凸構造層は、前述の通り硬度が高い材料が好ましいが、そのような硬度の高い材料の膜厚が厚いと、面光源装置に使用する際、経時的に出光面に不所望な反りをもたらす可能性がある。したがって、この観点からは、凹凸構造層の他に、凹凸構造層以外の層であって塑性変形しやすい性質を賦与しうる層(例えば基材および/または接着層)を設け、この層を拡散部とすることが好ましい。
【0135】
一方、製造工程において透明樹脂等の材料の加熱の工程を伴わない層を拡散部とすることにより、製造工程の管理を容易にすることができる。例えば、樹脂搬送経路において粒子による詰まりが発生した場合の対処を容易にすることができる。この観点からは、接着層を拡散部とすることが好ましい。また、接着層と接着層以外の層を拡散部とすることも好ましい。例えば、接着層と基材とを拡散部とし、基材に添加する粒子の割合を少なくすることにより、基材の製造工程における管理を容易にする(例えば、詰まりが発生する頻度を低減する)ことができる。このような、拡散部の屈折率は特に限定しないが、1.45〜2が好ましく、1.6〜2がより好ましく、1.7〜2がさらに好ましい。拡散部よりも出光側の層は拡散部よりも屈折率が小さいことが好ましいが、前記のように拡散部の屈折率を大きくすることにより、拡散部よりも出光側の層の屈折率の選択の幅が広がるので、材料の選択性を広げることができる。
【0136】
さらに、凹凸構造体内に、上記凹凸構造層、基材、接着層、およびガラス基板以外の層を追加的に設け、かかる追加の層を拡散部とすることもできる。例えば、凹凸構造層と基材フィルム層の間、接着層とガラス基板の間、ガラス基板の発光層側の表面など(例えば、発光層を構成する電極層とガラス基板との間)にかかる追加の層を形成することができる。または、かかる追加の層と凹凸構造層、基材、接着層、およびガラス基板のうちの1以上の層との両方を拡散部とすることもできる。
【0137】
拡散部が凹凸構造体の一部または全部を構成する層として設けられる場合において拡散の度合いは特に限定しないが、一例として拡散部が凹凸構造層から接着層の間の一部または全部である場合に、前記凹凸構造層の表面凹凸がない状態での、凹凸構造層から接着層までの部分の全光線透過率は、色ムラ解消効果を十分に確保できる点から、70〜95%であることが好ましく、73〜90%であることがより好ましい。
【0138】
第二の本発明の面光源装置2001は、上記の構成とすることにより、出光面2040Aにおける半球状全方位での色度座標のx座標およびy座標の少なくともいずれかの変位を上記の構成をとらない場合に比べて小さくでき、例えば半減させることができる。このため、面光源装置2001において、観察角度による色味の変化を抑えることができる。このような半球状全方位での色度の変位を測定する方法として、例えば出光面2040Aの法線(正面)上に分光放射輝度計を設置し、法線方向を0°とした時その出光面を−90〜90°まで回転させられる機構を付与することで、各方向で測定した発光スペクトルから色度座標を算出できるため、その変位を算出できる。
【0139】
さらに補足すれば、凹凸構造本体2044に形成された凹凸構造層2047は、有機EL素子2020から出射された光が凹凸構造2041に入射した場合に、この入射した光の配光分布を、出光面2040Aから当該出光面2040Aの法線方向に沿って出射した光の色度と、この法線方向に交差する斜め方向に沿って出光面2040Aから出射した光の色度との差が小さくなるように変換する配光分布変換部として機能する。このような凹凸構造2041により、観察方向によって相違する色度を調整できるため、前述した拡散部における拡散効果を補完することができ、例えば、拡散部を構成する層に添加する例えば粒子の量を従来よりも低減させることができる。このため、拡散部を構成する層の厚みを薄くできたり、軽量化できるため、面光源装置2001の薄型化や小型化等にも寄与できる。
【0140】
本実施形態に係る面光源装置2001の製造方法は、特に限定されないが、上に例示した、凹凸構造層、基材、接着層、およびガラス製の基板を有する凹凸構造体を備える面光源装置を製造する場合、ガラス製の基板の一方の面に有機EL素子を構成する各層を積層し、その後またはその前に、ガラス製の基板の他方の面に凹凸構造本体を接着層を介して貼付することにより製造できる。
【0141】
凹凸構造本体は、所望の形状を有する金型等の型を調製し、これを凹凸構造層を形成する材料の層に転写することにより行うことができる。より具体的な方法としては、例えば、第一の本発明の説明において、製造方法の項で挙げた方法1及び方法2が挙げられる。
【0142】
第二の本発明の照明器具および第二の本発明のバックライト装置は、いずれも、前記面光源装置を含む。第二の本発明の照明器具は、第二の本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を含むことができる。第二の本発明のバックライト装置は、第二の本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含むことができる。第二の本発明のバックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライトとして用いることができる。
【0143】
<実施形態2−2>
第二の本発明の第2の実施形態に係る面光源装置について、以下に説明する。
実施形態2−2は、第二の本発明に係る第2の実施形態である。なお、実施形態2−1と同じもしくは相当する構成要素については、同じ符号を付して説明を省略または簡略化する。
図20は、実施形態2−2に係る面光源装置を説明する縦断面図である。
図20に示すように、本実施形態に係る面光源装置2002は、平面視矩形状の出光面2040Aを有し、有機EL素子2020と、有機EL素子2020の少なくとも一方の表面に接して配置される出光側部材2060とを備えている。
【0144】
出光側部材2060は、選択反射部材2062と、ガラス基板2042と、選択反射部材2062とガラス基板2042との間に配置される拡散部としての拡散層2070とを備えている。選択反射部材2062は、基材フィルム2064と、基材フィルム2064の表面に設けられた選択反射層2066とを備えている。
【0145】
拡散層2070は、有機EL素子2020からの光を拡散させる層である。拡散層を構成する材料としては、例えば、粒子を含んだ材料、および2種類以上の樹脂を混ぜ合わせて光を拡散させるアロイ樹脂とした材料を挙げることができる。光拡散性を容易に調節できるという観点から、粒子を含む組成物が好ましく、粒子を含む樹脂組成物が特に好ましい。
【0146】
選択反射層2066は、ある範囲の波長帯域において、特定の偏光を透過させ、その他の偏光を反射もしくは吸収する性質を有する層である。なお、選択反射帯域とは、選択反射層がそのような性質を有する波長帯域のことである。基材2064は、前述した基材2045と同様に構成することができる。
【0147】
ここで、選択反射層2066は、通常、選択反射性能が波長によって相違するため、発光層の発光強度ピークに応じて適宜構成が選択される。本実施形態に用いる発光層としては、例えば、2つ以上の発光強度ピークを有する発光層を採用でき、2つ以上の発光強度ピークのうち1つ以上が、波長500nm〜650nmの範囲とすることが好ましい。このような発光強度ピークを有する発光層のスペクトルの例を
図21に示す。
図21に示すスペクトルでは、波長480nm及び575nmに2つのピークを有する。このような2つ以上の発光強度ピークは、発光層を、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層とすることにより得ることができる。
【0148】
選択反射層2066は、その正面方向の透過光の選択反射帯域に、前記発光強度ピークの少なくとも1つのピーク波長を含む。
図21に示した発光素子のスペクトルとの関係において例を述べると、選択反射層は、その正面方向の透過光の選択反射帯域に、波長480nm又は575nmのうち少なくとも一方の波長を含むものとすることができる。
【0149】
ここで選択反射帯域とは、可視光域380〜780nm中における最大透過率をa[%]、最小透過率をb[%]とするとき、透過率(λ)[%]について:
{a−透過率(λ)}/{a−b}≧0.3
を満たす波長域とする。
【0150】
好ましくは、選択反射層2066は、波長575nmの正面方向の透過率T
FY,N、波長575nmの極角60°方向の透過率の平均値T
FY,60、波長480nmの正面方向の透過率T
FB,N、及び波長480nmの極角60°方向の透過率の平均値T
FB,60が式〔1〕の関係を満たすものとすることができる。選択反射層2066がこのような選択反射帯域を有することにより、観察角度による色味の変化を低減することができる。
(T
FY,60/T
FY,N)>(T
FB,60/T
FB,N) 式〔1〕
【0151】
さらに好ましくは、選択反射層2066は、正面方向の透過光の選択反射帯域として、波長500nm〜650nmの範囲内に1つ以上の選択反射帯域を有する。さらに、好ましくは、選択反射層2066は、極角60°方向、すなわち正面方向と60°の角度をなす方向の透過光の選択反射帯域として、波長400nm〜600nmの範囲内に1つ以上の選択反射帯域を有する。
【0152】
図21に示した発光素子のスペクトルとの関係において、上に述べた選択反射帯域を有する選択反射特性の例を
図22に示す。
図22に示すように、角度0°すなわち正面方向の透過光の選択反射特性においては、波長575nmにおいて最も反射し、正面方向の透過光の選択反射帯域は525nm以上かつ635nm以下である。そして透過光の角度が増加するにつれて最大吸収波長が短波長側にシフトし、それにより前記式〔1〕を満たし、さらに極角60°方向において、最大吸収波長が490nmとなり、選択反射帯域が580nm以下となっている。
【0153】
このような選択反射特性を有する選択反射層2066による、観察角度による色味の変化の抑制の例を
図23〜
図25に示す。
図25は、
図20に示す第二の本発明の面光源装置であって、発光素子として
図21に示すスペクトラムを有する素子を用い、選択反射層2066として
図22に示す選択反射特性を有するものを用いた場合の、出光面2040Aから出射する波長480nmの青色光及び波長575nmの黄色光の配光分布を示すグラフである。
図24は、ガラス基板から出射する青色光及び黄色光の配光分布を、拡散層2070を設けずに観察した際の配光分布を示すグラフである。
図23は、前記拡散層2070および選択反射部材2062のいずれも設けずに観察した際の配光分布を示すグラフである。
【0154】
図23に示すように、ガラス基板2042から出射する光は、青色光と黄色光で配光分布に乖離があるのに対し、
図24に示すように、選択反射部材2062を透過して出光面2040Aから出射する光は前記乖離が縮小している。このため、選択反射部材2062は、有機EL素子2020から出射した光の配光分布を、出光面2040Aの法線方向に沿って出射した光の色度と、この法線方向に交差する斜め方向に沿って出光面2040Aから出射した光の色度との差が小さくなるように、変換する配光分布変換部として機能している。
【0155】
さらに、
図23に示すように、ガラス基板2042から出射する光は、青色光と黄色光で配光分布に乖離があるのに対し、
図25に示すように、拡散層2070および選択反射部材2062を透過して出光面2040Aから出射する光は前記乖離がより一層縮小している。このため、選択反射部材2062によって、観察角度に基づく色ムラを抑えることができた上で、さらに拡散層2070によって前記色ムラをさらに抑えることができる。このように、選択反射部材2062と拡散層2070とを併用することにより、拡散層2070のみによる場合や、選択反射部材2062のみを用いる場合に比べて、色ムラ解消効果をより一層高めることができるとともに、拡散層2070による拡散効果の程度を低く抑えることができ、これにより、添加する例えば拡散粒子等の添加割合を抑えることができて、拡散層の厚みを薄くできる利点がある。
【0156】
本実施形態の面光源装置2002において、発光層2024から生じた光の一部は、直接第2の電極層2026を透過し、他の一部は第1の電極層2022で反射してから第2の電極層2026を透過する。第2の電極層2026を透過した光は、ガラス基板2042、拡散層2070、選択反射層2066、および基材フィルム2064を透過して出光する。また、発光層2024〜ガラス基板2042までの間の界面において図中下向きに反射した光は、第1の電極層2022または他の界面で反射してから出光する。このようなさまざまな経路で出光する光が存在するため、光の干渉が発生する。干渉による光の増減は、波長に応じて異なり、その結果として、光の波長によって、観察角度と輝度との関係が異なり、観察角度による色味の変化をもたらす。このような光を、前述した拡散層2070、および、前述した特定の選択反射特性を有する選択反射層2066をさらに透過させることにより、観察角度による色味の変化を低減できる。なお、本実施形態では基材フィルム2064の一方の表面に選択反射層2066を設けたが、基材フィルム2064の両方の表面に選択反射層2066を設けた場合でも、同様の利点を得ることができる。
【0157】
選択反射層2066は、上記選択反射帯域を有する限りにおいて、いかなる材質のものを用いてもよく、またいかなる原理の選択反射をするものであってもよいが、好ましい選択反射層の例として、円偏光分離シートを含むものを挙げることができる。選択反射層が円偏光分離シートを有する場合、かかる選択反射層は、選択反射帯域において、特定の円偏光のみを透過しその他の光(他の円偏光、直線偏光等)を反射するものとなる。
【0158】
前記円偏光分離シートの例としては、コレステリック規則性を有する樹脂を含んでなる層が挙げられる。これは例えば、コレステリック液晶相を呈しうる組成物(コレステリック液晶組成物)を透明樹脂基材に塗布して液晶層を得、次いで少なくとも1回の、光照射及び/又は加温処理により硬化してなる円偏光分離シートを挙げることができる。 前記コレステリック液晶組成物としては、棒状液晶性化合物であって、それ自体または他の物質と共に硬化しうるものを含む組成物を用いることができる。具体的には例えば、屈折率異方性Δnの値が0.10以上であって、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有する棒状液晶化合物を挙げることができる。
【0159】
コレステリック液晶組成物の製造方法は、特に限定されず、上記必須成分及び任意成分を混合することにより製造することができる。前記コレステリック液晶組成物を用いて選択反射層を形成する方法としては、前記コレステリック液晶組成物を基材フィルム2064に塗布して液晶層を得、次いで少なくとも1回の、光照射及び/又は加温処理により硬化する方法が挙げられる。
【0160】
基材フィルム2064の材質は特に限定されず1mm厚で全光透過率80%以上の基材を使用することができる。具体的には、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる単層又は積層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。また、基材フィルム2064には、拡散層2070と同様に、光拡散性を付与する粒子等を添加することもできる。このような構成によれば、基材フィルム2064は光拡散性を付与する粒子を含む組成物により構成されることになり、拡散部を兼ねることになるので、拡散層2070の厚みを薄くできる利点がある。
【0161】
前記基材フィルムは、必要に応じて、配向膜を有することができる。配向膜を有することにより、その上に塗布されたコレステリック液晶組成物を所望の方向に配向させることができる。配向膜の厚みは、所望する液晶層の配向均一性が得られる膜厚であればよく、0.001〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがさらに好ましい。前記基材フィルムへの液晶組成物の塗布は、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法により行うことができる。前記塗布により得られた塗布層を硬化する前に、必要に応じて、配向処理を施すことができる。配向処理は、例えば塗布層を50〜150℃で0.5〜10分間加温することにより行うことができる。当該配向処理を施すことにより、コレステリック液晶層を良好に配向させることができる。
【0162】
必要に応じて配向処理を施した後、コレステリック液晶組成物を硬化させることにより、コレステリック液晶組成物の硬化物である硬化液晶層を得ることができる。前記硬化の工程は、1回以上の光照射と加温処理との組み合わせにより行うことができる。加温条件は、具体的には例えば、温度40〜200℃、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは50〜140℃、時間は1秒〜3分、好ましくは5〜120秒とすることができる。第二の本発明において光照射に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、具体的には例えば波長200〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行うことができる。また、例えば0.01〜50mJ/cm
2の微弱な紫外線照射と加温とを複数回交互に繰り返し、反射帯域の広い円偏光分離シートとすることもできる。上記の微弱な紫外線照射等による反射帯域の拡張を行った後に、50〜10,000mJ/cm
2といった比較的強い紫外線を照射し、液晶性化合物を完全に重合させ、硬化液晶層とすることができる。上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行うこともできる。
【0163】
第二の本発明において、透明樹脂基材上へのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化の工程は、1回に限られず、塗布及び硬化を複数回繰り返し2層以上の硬化液晶層を形成することもできる。
【0164】
前記選択反射層において、硬化液晶層の乾燥膜厚は好ましくは0.5μm〜10.0μm、より好ましくは1.0μm〜5.0μmとすることができる。前記硬化液晶層の乾燥膜厚が0.5μmより薄いと十分な選択反射性能が得られず、逆に10.0μmより厚いと、硬化液晶層での光吸収が多くなるため、それぞれ好ましくない。なお、前記乾燥膜厚は、硬化液晶層が2以上の層である場合は、各層の膜厚の合計を、硬化液晶層が1層である場合にはその膜厚をさす。
【0165】
上記の工程によって、基材フィルム2064および選択反射層2066を有する積層構造が得られる。これを、ガラス基板2042上に拡散層2070を介して貼付することにより、
図20に示す面光源装置2002を得ることができる。
【0166】
第二の本発明の照明器具および第二の本発明のバックライト装置は、いずれも、前記実施形態2−1と同様に面光源装置を含み、実施形態2−1と同様の効果を奏することができる。
【0167】
<変形例>
第二の本発明は、前記各実施形態には限定されない。
前記実施形態2−1では、凹凸構造として凹部を含む構成としたが、これに限らず、凹凸構造を凸部を含む構成としてもよい。凸部を含んで構成する場合には、隣接する凸部間に前記同様の平坦部を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0168】
また、前記実施形態2−1において、凹部の形状を正四角錐状としたが、三角錐や八角錐等の多角錐状や、円錐状、多角錐台状、円錐台状、半球状、溝状、これらの組み合わせ等とすることができる。また、このように凹凸構造を多角錐状や多角錐台状を含む構成とした場合には、各多角錐体の斜面は必ずしも厳密な平面である必要はなく、多少の揺らぎを含む曲面状に形成してもよい。また、凹凸構造が円錐を含む構成とした場合には、前記多角錐状の場合と同様に、円錐の母線は必ずしも厳密な直線ではなく、多少の揺らぎを含む曲線状でもよい。また、多角錐状や円錐状とした場合には、それが凸形状あるいは凹形状のいずれについても、その頂角部分が丸みを帯びた形状であってもよい。また、多角錐状や円錐状とした場合には、いわゆる直錐体に限らず、斜錐体としてもよい。
【0169】
また、前記実施形態2−1において、複数の凹部をすべて同一形状としたが、異なる形状の凹部が混在していてもよい。例えば、大きさの異なる角錐形状の凹部が混在していたり、角錐形状の凹部と円錐形状の凹部が混在していたり、複数の角錐が組み合わされた形状のものと単純な角錐形状とが混在していてもよい。
【0170】
また、前記実施形態2−1において、互いに直交する2方向に沿って凹部を配列したが、直交しない方向に配列してもよいし、1または3以上の方向に沿って配列してもよい。また、隣接する凹部間には、前記2方向のいずれの方向にも平坦部を設けたが、いずれか一方の方向のみに設けてもよいし、両方向に設けなくてもよい。ただし、平坦部を設ける構成の方が、良好な光取り出し効率と、出光面の機械的強度とを両立できる利点がある。
【0171】
前記実施形態2−2において、選択反射層として、コレステリック規則性を有する樹脂を含んでなる層としたが、これに限らず、誘電多層膜であってもよく、誘電多層膜としては、高屈折材料としてTiO
2や用い低屈折率材料としてSiO
2を用いて特定の波長に強い反射もしくは透過特性を示すバンドパスフィルターが挙げられる。これらの選択反射層の特徴は、観察する角度を変えた際に、選択反射特性を示す波長域がシフトする特性を持つ点が共通しており、さらに可視光域の波長の光の透過率が前記シフトに伴って変化する特性を利用したものである。
【0172】
また、前記各実施形態において、面光源装置には、任意の層をさらに含むものとしてもよい。例えば、凹凸構造層の上にさらにコーティング層を有し、これが出光面の凹凸構造を規定するものとしてもよい。また、有機EL素子における出光面2040Aとは反対側の表面に封止基板を設けてもよい。
【0173】
前記各実施形態では、配光分布変換部として凹凸構造体または選択反射部材を用いたが、これには限定されず、例えば、回折構造等を用いてもよい。回折構造は適切なピッチを選ぶことで特定の波長を強く拡散させることが可能であり、この場合も、前記各実施形態と同様に、さらに別の拡散層と組み合わせることにより色ムラをより解消できる効果がある。
【0174】
なお、本実施形態では、有機EL素子2020の一方の面のみに出光側部材を設けたが、両方の面に設けてもよい。この場合には、前述した第1の電極層も透明な電極として構成することが好ましい。その場合の例を
図26及び
図27に示す。
【0175】
図26及び
図27は、それぞれ、第二の本発明の実施形態に係る面光源装置を説明する縦断面図である。
図26に示す面光源装置2003は、反射電極としての第1の電極2022に代えて透明電極としての第1の電極2028を備える点、並びに、有機EL素子2020の両方の面に凹凸構造体2040を備える点において実施形態2−1と異なり、その他の点では実施形態2−1と同一である。また、
図27に示す面光源装置2004は、反射電極としての第1の電極2022に代えて透明電極としての第1の電極2028を備える点、並びに、有機EL素子2020の両方の面に出光側部材2060を備える点において実施形態2−2と異なり、その他の点では実施形態2−2と同一である。なお、第1の電極2028と基板2042の間には、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
【0176】
面光源装置2003,2004では、第1の電極層2028が透明電極であるため、発光層2024からの光は、第1の電極層2028及び第2の電極層2026を透過して、図中上側及び下側の両方の出光面2040Aから出光する。このように、表面及び裏面の両方から光が出光する面光源装置2003,2004であっても、実施形態2−1及び実施形態2−2と同様の効果が得られる。
また、面光源装置2003,2004では、通常、一方の出光面2040Aに入射した光は面光源装置2003,2004を透過して他方の出光面2040Aから出光することになる。したがって、面光源装置2003,2004を通じて反対側を肉眼で見通すことができるようになり、シースルー型の面光源装置を実現できるので、デザインを多様化できる。
【0177】
なお、ここでは面光源装置2003,2004の図中上面及び下面の両方に同じ出光側部材(凹凸構造体2040又は出光側部材2060)を備える例を示したが、異なる出光側部材を組み合わせて備えるようにしてもよい。例えば、第1の電極2028の表面に凹凸構造体2040を備え、第2の電極層2026の表面に出光側部材2060を備えるようにしてもよい。
【0178】
また、例えば、光拡散性を付与する粒子を含む組成物により構成される層を、凹凸構造層2047又は選択反射部材2062の出光側に設け、この層を拡散部としてもよい。
【実施例】
【0179】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。以下において表記される樹脂の屈折率はいずれも、硬化後の屈折率である。
【0180】
[第一の発明に関する実施例及び比較例の説明]
<比較例1−1>
(C1−1:有機EL素子の形成、面光源装置(複層体なし)の作製)
厚み0.7mmのガラス基板(屈折率1.53)の一方の主面に、透明電極層100nm、ホール輸送層10nm、黄色発光層20nm、青色発光層15nm、電子輸送層15nm、電子注入層1nm、及び反射電極層100nmを、この順に形成した。ホール輸送層から電子輸送層までは全て有機材料により形成した。黄色発光層及び青色発光層はそれぞれ異なる発光スペクトルを有している。
【0181】
透明電極層から反射電極層までの各層を形成した材料は、それぞれ下記の通りである:
・透明電極層;錫添加酸化インジウム(ITO)
・ホール輸送層;4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)
・黄色発光層;ルブレン1.5重量%添加 α−NPD
・青色発光層;イリジウム錯体10重量%添加 4,4’−ジカルバゾリル−1,1’−ビフェニル(CBP)
・電子輸送層;フェナンスロリン誘導体(BCP)
・電子注入層;フッ化リチウム(LiF)
・反射電極層;Al
【0182】
透明電極層の形成方法は、ITOターゲットとした反応性スパッタリング法にて行い、表面抵抗を10Ω/□以下とした。また、ホール注入層から反射電極層までの形成は、真空蒸着装置内に透明電極層を既に形成したガラス基板を設置し、上記のホール輸送層から反射電極層までの材料を抵抗加熱式により順次蒸着させることにより行なった。系内圧は5x10
−3Paで、蒸発速度は0.1〜0.2nm/sで行った。
【0183】
さらに、電極層に通電のための配線を取り付け、さらにホール輸送層から反射電極層までを封止部材により封止し、面光源装置(複層体なし)を作製した。得られた面光源装置は、ガラス基板側から白色の光を出光しうる長方形の出光面を有していた。
【0184】
(C1−2:評価)
(C1−1)で得られた面光源装置について、以下の通り、観察角度の変化による色ムラを測定した。
出光面(装置出光面)の正面(法線方向)に分光放射輝度計(トプコン社製BM−5)を設置し、面光源装置に100mA/m
2の定電流を印加し、出光面を回転させ、出光面に対する分光放射輝度計の観察方向を変化させ、色度(x,y)を測定した。観察方向は、出光面の長辺に平行な方向へ、正面(法線方向)を0°としたときに−90〜90°の範囲で変更させた。測定結果を
図28に示す。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.050,0.058)であった。なお、Δxは座標値xの変化量であり、Δyは座標値yの変化量である。
【0185】
<実施例1−1>
比較例1−1で得た面光源装置に、下記の手順で調製した複層体110を貼付し、
図1及び
図2に概略的に示す面光源装置を作製し、評価した。ただし、
図1においては有機EL素子140として3層のみからなるものを概略的に図示しているが、本実施例で作製した面光源装置は、これより多い発光層を含む有機EL素子を備えている。
【0186】
(1−1:複層体110の調製)
UV(紫外線)硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂、屈折率n=1.54)に、平均粒子径2μmの球状の粒子である拡散剤(シリコーン樹脂、n=1.43)を、組成物全量中10%(体積割合)で添加し、攪拌して粒子を分散させ、樹脂組成物を得た。
【0187】
上記で得た樹脂組成物を、基材フィルム(日本ゼオン社製 ゼオノアフィルム、屈折率1.53)上に塗布した後、樹脂組成物の塗膜上に所定の形状の金属型を圧接し、基材フィルム側から紫外線を1000mJ/cm
2の積算光量で照射し、基材フィルム上に凹凸構造層を形成し、基材フィルム層112−凹凸構造層111の層構成を有する長方形のフィルムである複層体110を得た。
【0188】
複層体110において、凹凸構造層111上の凹凸構造は、
図3及び
図4に示す通り、複数の正四角錐形状の凹部113と、凹部周囲に位置する平坦部114からなっていた。凹部113を構成する斜面と平坦部とがなす角(11L、11M等)は60°であった。凹部113の底辺(11E〜11H)の長さは16μmであり、凹部113の間隔11J及び11Kはいずれも4μmであり、一定の間隔であった。凹部113の底辺は複層体110の長辺又は短辺方向と平行であった。凹凸構造層111の厚み(平坦部114から基材フィルムに接する面までの厚み)は34μmであり、基材フィルム層112の厚みは100μmであった。また、平坦部割合は36%であった。
【0189】
(1−2:面光源装置(複層体あり))
比較例1−1の(C1−1)で得た面光源装置のガラス基板131側の面に、(1−1)で得た複層体110を、接着剤(アクリル系樹脂、屈折率1.49、日東電工社製CS9621)を介して貼付し、複層体110−接着層121−ガラス基板131−有機EL素子140の層構成を含む面光源装置を得た。接着層の厚みは25μmであった。
【0190】
(1−3:評価)
得られた面光源装置について、比較例1−1の(C1−2)と同様に色ムラを測定した。各観察角度におけるx値及びy値を求めた結果を
図29に示す。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.011,0.013)であった。このことから、比較例1−1に比べて、色ムラが顕著に低減していることが分かる。
【0191】
<比較例1−2>
上記(1−1)の複層体110の調製にあたり、凹凸構造層用の材料に拡散剤を添加しなかった他は、実施例1−1と同様にして、複層体110を調製し、さらに面光源装置を得た。
【0192】
<光取り出し量>
比較例1−1、実施例1−1及び比較例1−2の面光源装置の光取り出し量を、三刺激値のY値の測定結果から求め、比較例1−1の光取り出し量を1とした場合の相対量を求めた。その結果、実施例1−1での光取り出し量は1.43であり、比較例1−2での光取り出し量は1.37であった。
実施例1−1の面光源装置は、光取り出し効率を高める凹凸構造を有しない比較例1−1の面光源装置に比べて、著しく向上した光取り出し効率を有していた。実施例1−1の面光源装置はさらに、実施例1−1と同一の凹凸構造を有するが拡散部材を有しない比較例1−2の面光源装置に比べても、光取り出し量の大きな向上が認められた。
【0193】
<実施例1−2>
下記の点を変更した他は、実施例1−1と同様にして、複層体110を調製し、さらに面光源装置を得た。
上記(1−1)の複層体110の調製にあたり、凹凸構造層用の材料に拡散剤を添加しなかった。一方、酸変性ポリオレフィン樹脂(屈折率1.49、日本シーマ社製 コルノバMPO−B130C)に上記(1−1)で用いたものと同一の拡散剤を、接着剤全量中10%(体積割合)で添加して、接着剤を調製し、これを上記(1−2)において、アクリル系接着剤に代わる接着剤として用いた。
得られた面光源装置について、比較例1−1の(C1−2)と同様に色ムラを測定した。各観察角度におけるx値及びy値を求めた結果を
図30に示す。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.024,0.034)であった。このことから、比較例1−1に比べて、色ムラが顕著に低減していることが分かる。
【0194】
<比較例1−3>
上記(1−1)の複層体110の調製にあたり、接着剤に拡散剤を添加しなかった他は、実施例1−2と同様にして、複層体110を調製し、さらに面光源装置を得た。
得られた面光源装置について、比較例1−1の(C1−2)と同様に色ムラを測定した。各観察角度におけるx値及びy値を求めた。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.027,0.041)であった。
【0195】
<比較例1−4>
上記(1−1)の複層体110の調製にあたり、凹凸構造層の形成において金属型を圧接せずに紫外線の照射を行い、その結果、凹凸構造層の代わりに、凹凸構造層と同じ材料からなるが凹凸構造の無い(即ち平坦部割合100%)層(厚み34μm)を形成した他は、実施例1−2と同様にして、複層体を調製し、さらに面光源装置を得た。
得られた面光源装置について、比較例1−1の(C1−2)と同様に色ムラを測定した。各観察角度におけるx値及びy値を求めた。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.043,0.053)であった。
【0196】
<光取り出し量>
実施例1−2、比較例1−3及び比較例1−4の面光源装置の光取り出し量を、三刺激値のY値の測定結果から求め、比較例1−1の光取り出し量を1とした場合の相対量を求めた。その結果、実施例1−2での光取り出し量は1.38であり、比較例1−3での光取り出し量は1.29であり、比較例1−4での光取り出し量は1.24であった。
実施例1−2の面光源装置は、光取り出し効率を高める凹凸構造を有しない比較例1−1の面光源装置に比べて、著しく向上した光取り出し効率を有していた。実施例1−2の面光源装置はさらに、実施例1−2と同一の凹凸構造を有するが拡散部材を有しない比較例1−3の面光源装置に比べても、また実施例1−2と同一の拡散部材を有するが凹凸構造を有しない比較例1−4の面光源装置に比べても、光取り出し量の大きな向上が認められた。
【0197】
<参考例1−1:耐擦傷性>
金属型の形状を変更した他は実施例1−1の(1−1)と同様にして、凹凸構造の形状が異なるいくつかの複層体を得た。得られた複層体においては、凹部の形状はいずれも同一であったが、凹部間の間隔11J及び11Kを変化させることにより、平坦部割合を種々に変化させたものとした。
得られたいくつかの複層体を水平に載置し、これに、先端が直径2mmのサファイヤ針に、荷重をかけた状態で垂直に圧接させ、水平方向に動かした。動かした結果針による傷が発生したか否かを、目視で判定した。荷重を徐々に下げ、傷が発生しなくなる荷重(g)を判定した。傷が発生しなくなる荷重と平坦部割合との関係を
図31にプロットした。
図31の結果から、平坦部割合が増すほど、耐擦傷性が優れることが分かる。
【0198】
<参考例1−2:光取り出し効率 角錐>
下記のような有機EL素子及び出光面構造層からなる面光源装置を想定して、光取り出し効率をシミュレーションにより計算した。
有機EL素子は、発光層、透明電極及び反射電極を有するものとした。反射電極反射率は85%とし、発光層の発光特性はランバート分布に従うものとした。
出光面構造層は、厚みは20μmの板状体で、屈折率1.53の透明な材料からなるか、又は、かかる材料に、粒子径2μmで屈折率1.43の拡散剤を全体積中7.5%の割合で添加したものからなるものとした。出光面構造層上の凹凸構造は、正四角錐形状(頂角60°、底辺20μm)の凹部を、
図1の凹凸構造層と同様に配列したものとした。凹部間の間隔11J及び11Kを変化させ、平坦部割合を種々に変更した。
この出光面構造層を、前記有機EL素子の透明電極側の面上に置いて、面光源装置とした。
【0199】
拡散剤なしでかつ平坦部割合が100%の場合を1.00とした、相対的な光取り出し効率を求めた。結果を表1に示す。
【0200】
【表1】
【0201】
<参考例1−3:光取り出し効率 半球>
下記のような有機EL素子及び出光面構造層からなる面光源装置を想定して、光取り出し効率をシミュレーションにより計算した。
有機EL素子は、発光層、透明電極及び反射電極を有するものとした。反射電極反射率は85%とし、発光層の発光特性はランバート分布に従うものとした。
出光面構造層は、厚みは20μmの板状体で、屈折率1.53の透明な材料からなるか、又は、かかる材料に、粒子径2μmで屈折率1.43の拡散剤を全体積中10.0%の割合で添加したものからなるものとした。出光面構造層上の凹凸構造は、半球形状(直径20μm)の凹部を、
図7の凹凸構造層と同様に配列したものとした。凹部間の間隔を変化させ、平坦部割合を種々に変更した。
この出光面構造層を、前記有機EL素子の透明電極側の面上に置いて、面光源装置とした。
【0202】
拡散剤なしでかつ平坦部割合が100%の場合を1.00とした、相対的な光取り出し効率を求めた。結果を表2に示す。
【0203】
【表2】
【0204】
表1及び表2の結果から、出光面構造層が拡散剤を含まない場合は、平坦部割合が増加すると光取り出し効率が著しく低下する一方、出光面構造層が拡散剤を含む場合は、そのような著しい光取り出し効率の低下が緩和され、その結果、高い光取り出し効率と、高い耐擦傷性を両立することができることが分かる。
【0205】
<実施例1−3>
上記(1−1)の複層体110の調製にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例1−1と同様にして、複層体110を調製し、さらに面光源装置を得た。得られた複層体においては、凹部の形状は実施例1−1におけるものと略同一であったが、平坦部については、
図16に示す平坦部914及び915のように、2種類の高さを有する平坦部からなるものとなっていた。2種の平坦部の高さの違いは、2μmであった。
得られた面光源装置を、点灯しない状態で表面の反射像を観察したところ、虹ムラが低減していることが観察された。
【0206】
[接着層の屈折率についての実施例]
第一の本発明に係る実施形態において、出光面構造層は、凹凸構造層および基材フィルム層を含む複層体と、ガラス基板と、複層体およびガラス基板を接着する接着層とを備えて構成した。この際、接着層を光拡散性を有する層とした場合には、当該接着層を構成するマトリクス材料の屈折率が、複層体の接着面(この場合、基材フィルム層)を構成するマトリクス材料の屈折率より大きいことが好ましい。「大きい」とは、その差が少なくとも0.01以上であることであり、その差が0.05以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましい。この場合において、ガラス基板の屈折率と接着層の屈折率の差は小さいことが好ましい。「小さい」とは、その差が少なくとも0.15以下であることであり、その差が0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。このような構成とすることの利点を、以下に示すシミュレーションにより計算した。
【0207】
なお、このような構成は、第一の本発明に限らず、第二の本発明においても同様である。すなわち、第二の本発明に係る実施形態において、凹凸構造体は、第2の電極層の表面に設けられる例えばガラス製の基板と、凹凸構造本体と、基板および凹凸構造本体を接着する接着層とを備えて構成した。この際、接着層を光拡散性を有する層とした場合には、当該接着層を構成するマトリクス材料の屈折率が、凹凸構造本体の接着面を構成するマトリクス材料の屈折率より大きいことが好ましい。「大きい」とは、その差が少なくとも0.01以上であることであり、その差が0.05以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましい。この場合において、ガラス製の基板の屈折率と接着層の屈折率の差は小さいことが好ましい。「小さい」とは、その差が少なくとも0.15以下であることであり、その差が0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0208】
<実施例1−4>
図2に対応して、下記のような有機EL素子及び出光面構造層からなる面光源装置を想定して、光取り出し効率をシミュレーションにより計算した。
【0209】
有機EL素子は、屈折率1.9の発光層、同じく屈折率1.9の透明電極及び反射電極を有するものとした。反射電極反射率は100%とし、発光層の発光特性はランバート分布に従うものとした。
凹凸構造層は、厚み20μmの板状体であって、屈折率1.53の透明な材料からなり、正四角錐形状(頂角60°、底辺20μm)の凹部を、ピッチ25μmで、
図1の凹凸構造層と同様に配列したものとした。
基材フィルム層は、厚み100μmの板状体であって、屈折率1.53とした。
ガラス基板は、厚み500μmで屈折率1.7の材料とした。
【0210】
接着層は、下記の態様1と態様2とを設定した。
(態様1)
厚み15μmの板状体であって、屈折率1.7であるマトリクス材料としての透明材料に、粒子径2μmで屈折率1.43の拡散剤を全体積中30%の割合で含有する材料を用いた態様(態様1)。
(態様2)
厚み15μmの板状体であって、屈折率1.53であるマトリクス材料としての透明材料に、粒子径2μmで屈折率1.43の拡散剤を全体積中30%の割合で含有する材料を用いた態様(態様2)。
【0211】
態様1において、接着層を構成するマトリクス材料の屈折率と基材フィルム層を構成する材料との屈折率差は0.17(=1.7−1.53)であり、接着層を構成するマトリクス材料の屈折率とガラス基板を構成する材料との屈折率差は0(=1.7−1.7)であった。
また、態様2において、接着層を構成するマトリクス材料の屈折率と基材フィルム層を構成する材料との屈折率差は0(=1.53−1.53)であり、接着層を構成するマトリクス材料の屈折率とガラス基板を構成する材料との屈折率差は0.17(=1.7−1.53)であった。
【0212】
上記において、態様1の場合と態様2の場合とについて、相対的な光取り出し効率を求めたところ、態様1の場合の光取り出し効率は、態様2の場合の光取り出し効率よりも1.3倍であった。このため、上記構成とすることにより、光取り出し効率をより一層向上できることが分かった。
【0213】
[第二の発明に関する実施例及び比較例の説明]
<比較例2−1>
(C1−1:有機EL素子の作製、面光源装置の作製)
比較例1−1と同様にして、面光源装置を作製した。得られた面光源装置を面光源装置Aと呼ぶ。面光源装置Aは、ガラス基板側から白色の光を出光しうる長方形の出光面を有していた。
【0214】
(C1−2:評価)
得られた面光源装置Aについて、比較例1−1と同様にして、観察角度の変化による色ムラを測定した。
観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.050,0.058)であった。
【0215】
第二の本発明では、面光源装置の色ムラ評価を色度差に基づいて評価しているが、色度差の判断基準としては、実用上問題がないという観点から、(Δx,Δy)=(0.025,0.025)以下を採用している。
【0216】
<実施例2−1>
比較例2−1で得た面光源装置Aに、下記の手順で調製した凹凸構造本体2044を貼付し、
図19に概略的に示す面光源装置を作製し、評価した。ただし、
図19においては有機EL素子として3層のみからなるものを概略的に図示しているが、本実施例で作製した面光源装置は、これより多い発光層を含む有機EL素子を備えている。
【0217】
(1−1:凹凸構造本体2044の作製)
UV(紫外線)硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂、屈折率n=1.54)に、平均粒子径2μmの球状の粒子である拡散剤(シリコーン樹脂、n=1.43)を、組成物全量中10%(体積割合)で添加し、攪拌して粒子を分散させ、樹脂組成物を得た。
【0218】
上記で得た樹脂組成物を、基材フィルム(日本ゼオン社製 ゼオノアフィルム)上に塗布した後、樹脂組成物の塗膜上に所定の形状の金属型を圧接し、基材フィルム側から紫外線を1000mJ/cm
2の積算光量で照射して、基材フィルム上に凹凸構造層を形成し、基材フィルム/凹凸構造層の層構成を有する長方形のフィルムである凹凸構造本体2044を得た。
【0219】
凹凸構造本体2044において、凹凸構造層2047上の凹凸構造2041は、複数の正四角錐形状の凹部と、凹部周辺に位置する平坦部からなっている。凹部を構成する斜面と平坦部とがなす角は60°であった。凹部の底辺の長さは16μmであり、凹部の間隔はいずれも4μmであり、一定の間隔であった。凹部の底辺は凹凸構造本体2044の長辺または短辺方向と平行であった。凹凸構造層2047の厚み(拡散部の厚みに相当)は34μmであり、基材フィルム2045の厚みは100μmであった。また、平坦部の割合は36%であった。
【0220】
(1−2:面光源装置の作製)
比較例2−1で得た面光源装置のガラス製の基板に前記凹凸構造本体2044を、接着剤(アクリル系樹脂、屈折率1.49、日東電工社製CS9621)を介して貼付して、面光源装置Bを得た。接着層2046の厚みは25μmであった。
【0221】
(1−3:評価)
得られた面光源装置Bについて、比較例2−1と同様に色ムラを測定した。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.011,0.013)であった。このことから、比較例2−1に比べて、色ムラが顕著に低減していることが分かる。
【0222】
<比較例2−2>
前記凹凸構造本体2044の作製にあたり、凹凸構造層用の材料に拡散剤を添加しなかった他は(拡散部なしに相当)、実施例2−1と同様にして凹凸構造本体2044を作製し、面光源装置Cを得、前記同様に測定した。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.028,0.040)であった。このことから、比較例2−1に比べて、色ムラが若干低減していることが分かる。
【0223】
<光取り出し量>
比較例2−1、実施例2−1および比較例2−2の面光源装置A〜Cの光取り出し量を、前記測定結果に基づいて算出した三刺激値のY値より求め、比較例2−1の光取り出し量を1とした場合の相対量を求めた。その結果、実施例2−1での光取り出し量は1.43であり、比較例2−2での光取り出し量は1.37であった。実施例2−1の面光源装置Bは、光取り出し効率を高める凹凸構造を有しない比較例2−1の面光源装置Aに比べて、著しく向上した光取り出し効率を有していた。実施例2−1の面光源装置Bはさらに、実施例2−1と同一の凹凸構造2041を有するが光拡散性を付与する層を有しない比較例2−2の面光源装置Cに比べても、光取り出し量の大きな向上が認められた。
【0224】
<実施例2−2>
(2−1:透明樹脂基材フィルムの作製)
脂環式オレフィンポリマーからなるフィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム)の両面をコロナ放電処理した。5%のポリビニルアルコールの水溶液を当該フィルムの片面に♯2のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜を乾燥し、膜厚0.1μmの配向膜を形成した。次いで当該配向膜をラビング処理し、配向膜を有する透明樹脂基材フィルムを調製した。
【0225】
(2−2:硬化液晶層の形成)
下記の組成で、硬化液晶層を構成するためのコレステリック液晶組成物を調製した。
固形分率40重量%
液晶性化合物(Δn(ne−no)=0.13を有する棒状液晶化合物 95.70重量部
光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 商品名IRG907)3.1重量部
界面活性剤(セイミケミカル株式会社製、商品名KH−40)0.11重量部
カイラル剤(BASF社製、商品名LC756)4.03重量部
溶媒 メチルエチルケトン 154.82重量部
【0226】
このコレステリック液晶組成物を♯4のワイヤーバーを使用して、前記(2−1)で調製した、配向膜を有する透明樹脂基材フィルムの、配向膜を有する面に塗布した。塗膜を100℃で5分間乾燥及び配向熟成した。塗膜にさらに紫外線を1.0mJ/cm
2(UV−A:365nm±5nm)を照射し、100℃で1分間保持し、次いで紫外線を500mJ/cm
2照射して塗膜を硬化させて、基材フィルム上に、配向膜を介し乾燥膜厚2μmの選択反射層が設けられた円偏光分離シートを作製した。得られた円偏光分離シートの反射スペクトルを分光光度計(日本分光社製JASCO V−550)を用いて測定したところ、
図22に示す通りの選択反射特性を有していた。
【0227】
(2−3:有機EL素子の作製)
厚み1.1mmのガラス基板の一方の面上に、第2の電極層、発光層、および第1の電極層を含む有機EL素子を設けて、面光源装置Eを得た。この段階で、面光源装置Eの有機EL素子に電流を通電し、ガラス基板から出光する波長480nmの青色光及び波長575nmの黄色光についての配光分布を測定したところ、
図23に示す結果を得た。得られた面光源装置Eを、比較例2−1と同様に色ムラを測定したところ、観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.129,0.128)であった。
【0228】
(2−4:拡散層の調製)
酸変性ポリオレフィン樹脂(屈折率1.49、日本シーマ社製 コルノバMPO−B130C)に実施例2−1の(1−1)で用いたものと同一の拡散剤を接着剤全量中20%(体積割合)で添加して接着剤(拡散層)を調製した。
【0229】
(2−5:面光源装置の作製)
さらに、ガラス製の基板の他の面上に、前記(2−4)で調製した接着剤を30μmの厚みで塗布した後(当該接着剤層が拡散部に相当)、前記円偏光分離シートを、選択反射層が接着剤に面するよう貼付し、
図20に示す構成を有する面光源装置Dを製造した。得られた面光源装置Dに電流を通電し、出光面2040Aから出光する波長480nmの青色光及び波長575nmの黄色光についての配光分布を測定したところ、
図25に示す結果を得た。
【0230】
(2−6:評価)
得られた面光源装置Dについて、比較例2−1と同様に色ムラを測定した。観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.017,0.017)であった。このことから、面光源装置Eに比べて、色ムラが顕著に低減していることが分かる。
【0231】
<比較例2−3>
前記(2−4)の接着剤に拡散剤を添加しなかった他は、実施例2−2と同様にして面光源装置Fを得、前記同様に測定したところ、観察角度±80°の範囲内で、(Δx,Δy)=(0.092,0.091)であった。このことから、面光源装置Eに比べて、色ムラが若干改善されているが、面光源装置Dほどではなく色ムラ解消効果が必ずしも十分ではなかった。また、得られた面光源装置Fに電流を通電し、出光面から出光する波長480nmの青色光及び波長575nmの黄色光についての配光分布を測定したところ、
図24に示す結果を得た。
【0232】
図23〜
図25の結果の対比から明らかな通り、発光素子に加えて拡散層(接着剤の層)と円偏光分離シートを備える本発明の面光源装置は、円偏光分離シートや拡散層を設けていない発光素子に比べて、青色光と黄色光の配光分布の差が小さく、観察角度による色味の変化が少ないことが分かる。
【0233】
<参考例2−1>
ここで、本願発明のような凹凸構造や選択反射層を設けずに、有機EL素子の出光側に拡散層を設け、拡散剤の添加量を変化させた場合の色ムラ評価に関して説明する。
UV(紫外線)硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂、屈折率n=1.54)に、平均粒子径2μmの球状の粒子である拡散剤(シリコーン樹脂、n=1.43)を、組成物全量中10%(体積割合)で添加し、攪拌して粒子を分散させ、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、実施例2−1で用いた面光源装置のガラス製の基板の上に塗布し、紫外線を照射して硬化させて、有機EL素子の表面に所定厚みの拡散層を得た。具体的には、樹脂組成物の塗布量等を変更して、厚みが30μm、厚み50μm、厚みが100μmの3種類を作製した。これらの拡散層を備える面光源装置のそれぞれについて色度差を求めた。また、前記ガラス製の基板の上に別途厚みが30μm、50μm、100μmになるように拡散層を形成したものについて、それぞれ全光線透過率を測定した。その結果を表3に示す。
【0234】
【表3】
【0235】
本参考例2−1に示すように、前記実施例2−1,2−2と同程度の色度差(合格の基準)まで改善するためには、拡散層の厚みを100μm程度まで大きくしなければならないことが分かる。これに対して、前記実施例2−1,2−2では、拡散部を構成する層の厚みはそれぞれ30μm程度であることから、拡散部の厚みを生産性や薄型化を損わない程度に抑えることができる。