(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5652360
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】オルガノキシシラン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20141218BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
C07F7/18 B
C07F7/18 D
C07F7/18 U
C07F7/18 W
!C07B61/00 300
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-198572(P2011-198572)
(22)【出願日】2011年9月12日
(65)【公開番号】特開2013-60376(P2013-60376A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2013年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】本間 孝之
【審査官】
土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−516996(JP,A)
【文献】
特開平09−295987(JP,A)
【文献】
特開2008−050356(JP,A)
【文献】
特開平06−286985(JP,A)
【文献】
特開平11−029584(JP,A)
【文献】
特開2010−001255(JP,A)
【文献】
特開平11−180986(JP,A)
【文献】
特開2000−143679(JP,A)
【文献】
特開2001−247581(JP,A)
【文献】
特開昭60−081189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
C07B 61/00
Thomson Innovation
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
CH2=CH−R1 (1)
(式中、R1はノルボルネニル基を除く炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、1価複素環含有基、オルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基である。)
で示される不飽和結合含有化合物と下記一般式(2)
HSiR2n(OR3)3-n (2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。R3は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。nは0〜2の整数である。)
で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物をpKaが2以上である無機酸のアンモニウム塩存在下に白金化合物含有触媒を用いてヒドロシリル化することを特徴とするオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項2】
無機酸のアンモニウム塩が、炭酸アンモニウム及び/又は炭酸水素アンモニウムであることを特徴とする請求項1記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項3】
無機酸のアンモニウム塩を不飽和結合含有化合物1モルに対して1×10-5〜1×10-1モル使用することを特徴とする請求項1又は2記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項4】
白金化合物含有触媒として、0価の白金錯体を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項5】
白金化合物含有触媒を不飽和結合含有化合物1モルに対して含有される白金原子として1×10-7〜1×10-2モル使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項6】
不飽和結合含有化合物が、末端不飽和脂肪族化合物、末端不飽和脂肪族(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン化合物、不飽和エポキシド化合物、及びジエン化合物から選ばれるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項7】
上記一般式(1)で示される不飽和結合含有化合物が、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルアセテート、アリルアセチルアセテート、アリルアミン、アリルメチルアミン、アリルジメチルアミン、アリルジエチルアミン、1−アリルピペラジン、1−アリル−4−メチルピペラジン、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジアリルエーテル、アリルトリメトキシシラン、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、ビニルシクロヘキセン、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、スチレン、o−、m−、p−それぞれのメチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)ビニルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサンから選ばれるものである請求項1乃至6のいずれか1項記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項8】
反応系に3級アミン化合物及び/又はニトリル化合物を添加して反応を行う請求項1乃至7のいずれか1項記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【請求項9】
下記一般式(1)
CH2=CH−R1 (1)
(式中、R1はノルボルネニル基を除く炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、1価複素環含有基、オルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基である。)
で示される不飽和結合含有化合物と下記一般式(2)
HSiR2n(OR3)3-n (2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。R3は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。nは0〜2の整数である。)
で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を無機酸のアンモニウム塩存在下に白金化合物含有触媒を用いてかつ反応系に3級アミン化合物及び/又はニトリル化合物を添加してヒドロシリル化することを特徴とするオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤、高分子変性剤等に有用なオルガノキシシラン化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オルガノキシシラン化合物は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤、高分子変性剤等多くの用途に使用されている。オルガノキシシラン化合物の製造方法としては、不飽和結合含有化合物とハイドロジェンシラン化合物とを触媒を用いて付加反応することが広く知られており、この方法により多種多様なオルガノキシシラン化合物が製造可能である。これら付加反応では、一般的に白金化合物又はロジウム化合物を触媒として用いているが、工業的には安定性・性能・価格の面から白金化合物含有触媒を使用することが好ましい。
【0003】
しかし、白金含有化合物を触媒としたハイドロジェンオルガノキシシラン化合物の付加反応では、触媒の活性が低い又は触媒の活性が低下するといった問題や不飽和結合へケイ素原子が付加する位置が異なるα/β位置選択性が悪いといった問題があり、これらを解決するために優れた触媒系の開発が必要とされている。
【0004】
ハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を用いた付加反応の触媒活性や選択性を改善するために、これまで触媒のみならず、様々な添加剤を用いた検討が行われている。
【0005】
(1)カルボン酸化合物又はアセトキシシラン化合物の添加(特開平11−180986号公報、特開2000−143679号公報:特許文献1,2)
白金化合物を触媒として用いた付加反応時にカルボン酸化合物又はアセトキシシラン化合物を添加することで、触媒活性及び位置選択性の向上が可能である。
【0006】
(2)カルボン酸塩の添加(特表2003−516996号公報:特許文献3)
不飽和エポキシドを基質として白金化合物を触媒として用いた付加反応時にカルボン酸塩を添加することで、触媒の活性低下抑制及びエポキシドの重合防止に効果がある。
【0007】
(3)硫黄のオキソ酸のシリルエステルの添加(特開2001−247581号公報:特許文献4)
白金化合物を触媒として用いた付加反応時に硫黄のオキソ酸のシリルエステルを添加することで、触媒活性及び位置選択性の向上が可能である。
【0008】
しかし、上記の方法では、付加反応の際の活性や位置選択性は改善されてはいるもののまだ不十分であり、また、添加剤を使用することによる新たな問題が発生することもあった。
【0009】
例えば、特許文献1又は2の場合、ケイ素上のオルガノキシ基とカルボン酸化合物との交換反応が進行し、目的物の近沸点に分離が困難なアセトキシ体が生成したり、そのため収率が低下する問題が新たに発生する。また、混入したアセトキシ体は加水分解して使用する際に酸を解離し、その影響で加水分解が非常に促進され加水分解速度の制御が困難になる。更に、交換反応によりカルボン酸化合物が消費されるために、経時で触媒活性及び位置選択性の向上効果が低下するという問題もある。
【0010】
また、特許文献3の場合も同様に、上記カルボン酸化合物同様にケイ素上のオルガノキシ基とカルボン酸化合物との交換反応が進行し、目的物の近沸点に分離が困難なアセトキシ体が生成したり、収率が低下する問題が新たに発生する。また、交換反応によりカルボン酸化合物が消費されるために経時で触媒活性及び位置選択性の向上効果が低下するという問題もある。
【0011】
更に、特許文献4の場合、活性及び位置選択性の改善効果は不十分である。例えば、メタンスルホン酸存在下におけるスチレンとトリエトキシシランの反応では、転化率は10%、α:β=53:1である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−180986号公報
【特許文献2】特開2000−143679号公報
【特許文献3】特表2003−516996号公報
【特許文献4】特開2001−247581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、不飽和結合含有化合物とハイドロジェンオルガノキシシラン化合物とを白金化合物含有触媒を用いて付加反応する際に、触媒活性と位置選択性を向上させ、効率よくオルガノキシシラン化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、不飽和結合含有化合物とハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を白金化合物含有触媒を用いて付加反応する際に、無機酸のアンモニウム塩存在下で反応を行うことで触媒活性と位置選択性が著しく向上し、不要な副反応が進行しないため、効率よくオルガノキシシラン化合物を製造できることを見出し、本発明をなすに至ったのである。
【0015】
即ち、本発明は、下記オルガノキシシラン化合物の製造方法を提供する。
<1>下記一般式(1)
CH
2=CH−R
1 (1)
(式中、R
1はノルボルネニル基を除く炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、1価複素環含有基、オルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基である。)
で示される不飽和結合含有化合物と下記一般式(2)
HSiR
2n(OR
3)
3-n (2)
(式中、R
2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。R
3は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。nは0〜2の整数である。)
で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を
pKaが2以上である無機酸のアンモニウム塩存在下に白金化合物含有触媒を用いてヒドロシリル化することを特徴とするオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
2>無機酸のアンモニウム塩が、炭酸アンモニウム及び/又は炭酸水素アンモニウムであることを特徴とする<
1>記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
3>無機酸のアンモニウム塩を不飽和結合含有化合物1モルに対して1×10
-5〜1×10
-1モル使用することを特徴とする<1>
又は<
2>記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
4>白金化合物含有触媒として、0価の白金錯体を用いることを特徴とする<1>〜<
3>のいずれかに記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
5>白金化合物含有触媒を不飽和結合含有化合物1モルに対して含有される白金原子として1×10
-7〜1×10
-2モル使用することを特徴とする<1>〜<
4>のいずれかに記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
6>不飽和結合含有化合物が、末端不飽和脂肪族化合物、末端不飽和脂肪族(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン化合物、不飽和エポキシド化合物、及びジエン化合物から選ばれるものであることを特徴とする<1>〜<
5>のいずれかに記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
7>上記一般式(1)で示される不飽和結合含有化合物が、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルアセテート、アリルアセチルアセテート、アリルアミン、アリルメチルアミン、アリルジメチルアミン、アリルジエチルアミン、1−アリルピペラジン、1−アリル−4−メチルピペラジン、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジアリルエーテル、アリルトリメトキシシラン、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、ビニルシクロヘキセン、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、スチレン、o−、m−、p−それぞれのメチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)ビニルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサンから選ばれるものである<1>〜<
6>のいずれかに記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<
8>反応系に3級アミン化合物及び/又はニトリル化合物を添加して反応を行う<1>〜<
7>のいずれかに記載のオルガノキシシラン化合物の製造方法。
<9>
下記一般式(1)
CH2=CH−R1 (1)
(式中、R1はノルボルネニル基を除く炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、1価複素環含有基、オルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基である。)
で示される不飽和結合含有化合物と下記一般式(2)
HSiR2n(OR3)3-n (2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。R3は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。nは0〜2の整数である。)
で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を無機酸のアンモニウム塩存在下に白金化合物含有触媒を用いてかつ反応系に3級アミン化合物及び/又はニトリル化合物を添加してヒドロシリル化することを特徴とするオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、目的とするオルガノキシシラン化合物を反応性と位置選択性が高く、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のオルガノキシシラン化合物の製造方法は、下記一般式(1)
CH
2=CH−R
1 (1)
(式中、R
1はノルボルネニル基を除く炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、1価複素環含有基、オルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基である。)
で示される不飽和結合含有化合物と下記一般式(2)
HSiR
2n(OR
3)
3-n (2)
(式中、R
2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。R
3は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。nは0〜2の整数である。)
で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を無機酸のアンモニウム塩存在下に白金化合物含有触媒を用いてヒドロシリル化することにより、オルガノキシシラン化合物の製造するものである。
【0018】
上記一般式(1)中、R
1はノルボルネニル基を除く炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、1価複素環含有基、オルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基である。炭素数1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、フェニルベンジル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノニル基、デセニル基、シクロヘキセニル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基その他の1価の不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0019】
また、これらの1価炭化水素基の水素原子の1個又はそれ以上が置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基、アセタミド基、ベンズアミド基等のアミド基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のエステル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のオルガノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、(メタ)アクリロキシ基、グリシドキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、スルフィド基、トリオルガノキシシリル基、ジアルキルオルガノキシシリル基、アルキルジオルガノキシシリル基、アルキルシロキシ基等によって置換されていてもよい。
【0020】
また、1価複素環含有基としては、テトラゾリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ターピリジル基、カルバゾリル基、フェナンスロリニル基、ピペリジニル基、ピロリル基、インドリル基、インドリニル基、オキシインドリル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、2−オキシピロリジノ基、2−オキシピペリジノ基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ビチオフェニル基、ターチオフェニル基、クアドラチオフェニル基、シロリル基、ベンゾシロリル基、ジベンゾシロリル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基等の1価複素環状基や、これらの1価複素環状基により置換された炭化水素基等が挙げられ、これらの複素環含有基の水素原子の1個又はそれ以上が、フッ素、塩素等のハロゲン原子、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基、アセタミド基、ベンズアミド基等のアミド基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のエステル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のオルガノキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基等の炭化水素基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、N−メチルピペラジノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基等によって置換されていてもよい。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0021】
R
1におけるオルガノキシシリル基又はオルガノシロキサニル基としては、例えば、オルガノキシ基が炭素数1〜6のアルコキシ基であり、アルキル基が炭素数1〜6のトリオルガノキシシリル基、ジアルキルオルガノキシシリル基、アルキルジオルガノキシシリル基、オルガノ基が炭素数1〜6のアルキル基であるトリス(トリオルガノシロキシ)シリル基、2−ビニル−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサニル基、3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサニル基等が挙げられる。
【0022】
上記不飽和結合含有化合物としては、末端不飽和脂肪族化合物、末端不飽和脂肪族(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン化合物、不飽和エポキシド化合物、及びジエン化合物から選ばれるものが挙げられ、上記一般式(1)で示される不飽和結合含有化合物を具体的に例示すると、例えば、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルアセテート、アリルアセチルアセテート、アリルアミン、アリルメチルアミン、アリルジメチルアミン、アリルジエチルアミン、1−アリルピペラジン、1−アリル−4−メチルピペラジン、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジアリルエーテル、アリルトリメトキシシラン、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、ビニルシクロヘキセン、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、スチレン、o−、m−、p−それぞれのメチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)ビニルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルテトラシロキサン等が挙げられる。
【0023】
上記一般式(2)中、R
2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、フェニルベンジル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノニル基、デセニル基、シクロヘキセニル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基その他の1価の不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0024】
また、これらの1価炭化水素基の水素原子の1個又はそれ以上が置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基、アセタミド基、ベンズアミド基等のアミド基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のエステル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のオルガノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、(メタ)アクリロキシ基、グリシドキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、スルフィド基、トリオルガノキシシリル基、ジアルキルオルガノキシシリル基、アルキルジオルガノキシシリル基、アルキルシロキシ基等によって置換されていてもよい。
【0025】
上記一般式(2)中、R
3は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。1価炭化水素基としては、例えば、上記R
2と同様の基が挙げられる。
【0026】
上記一般式(2)で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物を具体的に例示すると、例えば、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジエチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
上記一般式(1)で示される不飽和結合含有化合物と、上記一般式(2)で示されるハイドロジェンオルガノキシシラン化合物の配合割合は特に制限されないが、不飽和結合含有化合物1モルに対してハイドロジェンオルガノキシシラン化合物1〜3モル、特に1.5〜2.2モルとすることが好ましい。
【0028】
無機酸のアンモニウム塩の例として、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミド硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジ亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム等が挙げられ、pKaが2以上の無機酸のアンモニウム塩が好ましく、特に炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムが好ましい。
【0029】
無機酸のアンモニウム塩の使用量としては特に制限はないが、反応性、選択性、コストの観点から上記不飽和結合含有化合物1モルに対して1×10
-5〜1×10
-1モル、特に好ましくは、1×10
-4〜5×10
-2モルの範囲が好ましい。
【0030】
本発明で用いられる白金化合物含有触媒としては特に制限はないが、具体的には塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金、白金−炭素、白金−アルミナ、白金−シリカなどの担持触媒等が例示される。選択性の面から、好ましくは0価の白金錯体が用いられ、更に好ましくは白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液が挙げられる。
【0031】
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(1)で示される不飽和結合含有化合物1モルに対し、含有される白金原子が1×10
-7〜1×10
-2モル、更に1×10
-7〜1×10
-3モル、特に1×10
-6〜1×10
-3モルの範囲が好ましい。
【0032】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
また、その他の添加剤を併用して使用することも可能だが、添加剤として特に3級アミン化合物やニトリル化合物が挙げられる。
【0034】
3級アミン化合物としては特に制限されないが、具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアルキルアミン化合物や、ピリジン、キノリン、2,6−ルチジン等の芳香族環に窒素原子を含んでいるアミン化合物、更に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチレンテトラミン等の特殊な環状アミンなども挙げられる。
【0035】
3級アミン化合物の使用量は特に制限はないが、使用量が多い場合、触媒活性が非常に低下する場合があるため、白金化合物含有触媒1モルに対して1〜1,000モル、更に1〜100モル、特に1〜10モルが好ましい。
【0036】
ニトリル化合物としては特に制限されないが、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、アクリロニトリル、スクシノニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、エチレンシアノヒドリン、ベンゾニトリル等が例示される。
【0037】
ニトリル化合物の使用量は、選択性を向上させるために不飽和結合含有化合物に対して0.1質量%以上、更に0.5質量%以上、特に1質量%以上が好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%以下、特に50質量%以下であることが好ましい。使用量が少なすぎると選択性の向上が不十分な場合があり、多すぎると体積当たりの収率が低くなる場合がある。
【0038】
本発明の製造方法において、反応温度は特に限定されず、室温下又は加熱下で行うことができる。適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、0〜200℃、更に40〜110℃が好ましく、特に40〜90℃が好ましい。また、反応時間も特に限定されないが、1〜60時間、更に1〜30時間、特に1〜20時間が好ましい。
【0039】
本発明の製造方法によって得られる有機ケイ素化合物は、その目的品質に応じて、蒸留、ろ過、洗浄、カラム分離、固体吸着剤等の各種の精製法によって更に精製して使用することもできる。触媒等の微量不純物を取り除き、高純度にするためには、蒸留による精製が好ましい。
【0040】
本発明の有機ケイ素化合物の用途は特に限定されるものではないが、具体的には、無機充填剤の表面処理、液状封止剤、鋳物用鋳型、樹脂の表面改質、高分子変性剤及び水系塗料の添加剤等を挙げることができる。この場合、本発明の有機ケイ素化合物に加え、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択される他の添加剤の1種以上を含有するものであってもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0042】
[実施例1]
温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下ロートを備えたフラスコに、スチレン104g(1.0モル)、ジ−tert−ブチルカテコール0.1g、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10
-4モル)、炭酸水素アンモニウム0.8g(0.01モル)を仕込み、トリメトキシシラン122g(1.0モル)を内温50〜60℃で4時間かけて滴下した。その温度で1時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、スチレンに対する反応率は98%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、0.1対99.9であった。
【0043】
[比較例1]
炭酸水素アンモニウムを使用しないこと以外は実施例1と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、スチレンに対する反応率は29%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、38対62であった。
【0044】
[実施例2]
炭酸水素アンモニウム量を0.2g(0.0025モル)使用したこと以外は実施例2と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、スチレンに対する反応率は98%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、0.3対99.7であった。
【0045】
[実施例3]
炭酸水素アンモニウムの替わりに炭酸アンモニウム1.0g(0.01モル)使用したこと以外は実施例2と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、スチレンに対する反応率は96%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、0.02対99.98であった。
【0046】
[実施例4]
温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下ロートを備えたフラスコに、1−オクテン112g(1.0モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10
-4モル)、炭酸水素アンモニウム0.8g(0.01モル)を仕込み、トリメトキシシラン122g(1.0モル)を内温50〜60℃で4時間かけて滴下した。その温度で2時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、1−オクテンに対する反応率は97%であり、α付加体は痕跡程度しか生成せず、99.99%以上でβ付加体が生成していた。
【0047】
[比較例2]
炭酸水素アンモニウムを使用しないこと以外は実施例4と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、1−オクテンに対する反応率は57%であり、α付加体とβ付加体の質量比は0.1:99.9であった。
【0048】
[実施例5]
温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下ロートを備えたフラスコに、ビニルトリエトキシシラン190g(1.0モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10
-4モル)、炭酸水素アンモニウム0.8g(0.01モル)を仕込み、トリエトキシシラン164g(1.0モル)を内温50〜60℃で4時間かけて滴下した。その温度で1時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、ビニルトリエトキシシランに対する反応率は99%以上であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、0.7対99.3であった。
【0049】
[比較例3]
炭酸水素アンモニウムを使用しないこと以外は実施例5と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、ビニルトリエトキシシランに対する反応率は99%以上であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、5.2対94.8であった。
【0050】
[実施例6]
温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下ロートを備えたフラスコに、ビニルメチルジメトキシシラン132g(1.0モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10
-4モル)、炭酸水素アンモニウム0.8g(0.01モル)を仕込み、メチルジメトキシシラン106g(1.0モル)を内温50〜60℃で4時間かけて滴下した。その温度で1時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、ビニルメチルジメトキシシランに対する反応率は99%以上であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、4.5対95.5であった。
【0051】
[比較例4]
炭酸水素アンモニウムを使用しないこと以外は実施例6と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、ビニルメチルジメトキシシランに対する反応率は98%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、30対70であった。
【0052】
[実施例7]
温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下ロートを備えたフラスコに、1,5−ヘキサジエン82g(1.0モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10
-4モル)、炭酸水素アンモニウム0.8g(0.01モル)を仕込み、トリメトキシシラン220g(1.8モル)を内温50〜60℃で4時間かけて滴下した。その温度で1時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、トリメトキシシランに対する1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンの反応率は84%であり、生成した1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと1,4−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンの質量比を確認すると、1.6対98.4であった。
【0053】
[比較例5]
炭酸水素アンモニウムを使用しないこと以外は実施例7と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、トリメトキシシランに対する1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンの反応率は30%であり、生成した1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと1,4−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンの質量比を確認すると、10.1対89.9であった。
【0054】
[実施例8]
アセトニトリル21gを追加した以外は実施例7と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、トリメトキシシランに対する1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンの反応率は85%であり、生成した1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと1,4−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンの質量比を確認すると、0.6対99.4であった。
【0055】
[実施例9]
温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下ロートを備えたフラスコに、1−アリル−4−メチルピペラジン140g(1.0モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10
-4モル)、炭酸水素アンモニウム0.8g(0.01モル)を仕込み、トリエトキシシラン164g(1.8モル)を内温50〜60℃で4時間かけて滴下した。その温度で1時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、1−アリル−4−メチルピペラジンに対する反応率は88%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、1.5対98.5であった。
【0056】
[比較例6]
炭酸水素アンモニウムを使用しないこと以外は実施例9と同様に反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、1−アリル−4−メチルピペラジンに対する反応率は65%であり、生成したα付加体とβ付加体の質量比を確認すると、11.2対88.8であった。