【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、接合リーク電流により半導体基板を評価する方法であって、評価する半導体基板に、複数のPN接合と、該複数のPN接合同士を分離する分離酸化膜と、該分離酸化膜の下に位置するチャネルストップ層とを形成してから、前記複数のPN接合における接合リーク電流を測定して評価を行うことを特徴とする半導体基板の評価方法を提供する。
【0011】
このような半導体基板の評価方法であれば、実際の固体撮像素子等の製造において用いられるチャネルストップ層によって、接合リーク電流の評価においても、分離酸化膜や表面界面準位などの影響で、PN接合が形成されるウェル領域等の周辺の寄生空乏容量が発生するのを防止することができる。
したがって、高精度に接合リーク電流を評価することができ、半導体基板の評価をより精度良く行うことができる。
また、複数のPN接合を形成して接合リーク電流の測定・評価を行うので、接合リーク電流の面内分布を把握することができ、接合リーク電流の発生原因について詳細な検討が可能になる。
【0012】
このとき、前記複数のPN接合の各々の面積を0.5〜4mm
2とすることができる。
本発明における接合リーク電流測定では、例えばPN接合上に形成した電極等にプローブ(ニードル)を接触させて電圧を印加することで行う。この際、PN接合の面積を4mm
2以下とすることにより、シート抵抗の影響により電極面内に均一な電界印加が出来なくなるのを防ぐことができる。
【0013】
また、実際のデバイスではミクロン単位の製品があり原理的にはそのサイズのPN接合の作製は可能だが、半導体基板の評価の観点ではそれほど小さくする必要はなく0.5mm
2を最小にすることができる。なお、測定器の精度の問題で、これ以上小さい面積とするとプローブが接触できなくて欠陥感度が十分得られなくなるのを防ぐためでもある。
【0014】
また、前記複数のPN接合と、分離酸化膜と、チャネルストップ層を形成するとき、前記半導体基板の表面に酸化膜を形成し、該形成した酸化膜の一部を除去することにより、複数の開口部を形成し、残された酸化膜を分離酸化膜とし、該形成した複数の開口部および分離酸化膜上から前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントをイオン注入し、前記複数の開口部の各々にウェル領域を形成するとともに、前記分離酸化膜下にチャネルストップ層を形成し、前記各々のウェル領域内に、該ウェル領域の導電型とは異なる導電型のドーパントを拡散して拡散層を形成して、前記複数のPN接合を形成することができる。
【0015】
このようにすれば、特にはチャネルストップ層を簡単に形成することが可能となる。
また、ウェル領域の形成によって接合リーク電流を増加させることができ、高精度で評価を行うことができる。
【0016】
また、前記ウェル領域において、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントの濃度を1×10
17atoms/cm
3以下とすることができる。
【0017】
特にボロンをイオン注入してウェル領域を形成する場合は、高濃度になりすぎると、イオン注入により転位が形成されウェル領域中に欠陥が形成されてしまう。本発明者が見出した上記範囲であれば、転位の発生がなく安定した測定が可能である。
【0018】
また、前記ウェル領域において、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントの濃度を1×10
16〜1×10
17atoms/cm
3とし、深さを2μm以下とし、前記拡散層において、前記ウェル領域の導電型とは異なる導電型のドーパントの濃度を1×10
18〜5×10
20atoms/cm
3とし、深さを1μm以下とし、前記チャネルストップ層において、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントの濃度を1×10
16〜1×10
17atoms/cm
3とし、深さを0.5μm以下とすることができる。
【0019】
まず、ウェル領域については、濃度を1×10
16atoms/cm
3以上とすることで、ウェル領域としての効果をもたせることができ(これより低いと、半導体基板と同程度の不純物濃度となる)、1×10
17atoms/cm
3以下とすることで、イオン注入時に欠陥が導入されるのを防ぐことができる。
また、深さについては、2μm以下とすることで、それよりも深くまで形成するためにイオン注入の加速電圧が高くなり欠陥が導入されるのを防ぐことができる。
【0020】
拡散層については、PN接合形成のため、濃度はウェル領域よりも高くする。例えばイオン注入やリンガラス拡散で得られる最高濃度を上限(5×10
20atoms/cm
3)とし、下限(1×10
18atoms/cm
3)はPN接合を形成するためウェル領域の一桁上の濃度とすることができる。
深さはウェル領域の範囲内、例えば1μm以下とすることができる。
【0021】
チャネルストップ層については、濃度としてはウェル領域と同じである方が形成しやすくかつ周辺でのキャリア勾配が生じない。
また深さは深い必要はなく、イオン注入で制御可能な上記範囲とすることができる。
【0022】
また、本発明は、接合リーク電流により評価するための評価用半導体基板であって、複数のPN接合と、該複数のPN接合同士を分離する分離酸化膜と、該分離酸化膜の下に位置するチャネルストップ層とが形成されたものであることを特徴とする評価用半導体基板を提供する。
【0023】
このような評価用半導体基板であれば、チャネルストップ層によって、接合リーク電流の評価においてもPN接合が形成されるウェル領域等の周辺の寄生空乏容量が発生するのを防止することができ、接合リーク電流を高精度に評価し、さらには半導体基板を高精度に評価することができる。
また、複数のPN接合を形成して接合リーク電流の測定・評価を行うことが可能であり、接合リーク電流の面内分布を把握することができ、接合リーク電流の発生原因について詳細な検討が可能になる。
【0024】
このとき、前記複数のPN接合は、各々の面積が0.5〜4mm
2のものとすることができる。
このように4mm
2以下のものであれば、接合リーク電流測定において、PN接合上に形成した電極等にプローブを接触して電圧を印加するにあたって、シート抵抗の影響により電極面内に均一な電界印加が出来なくなるのを防ぐことができる。
また、半導体基板の評価の観点では0.5mm
2以上あれば足りるし、プローブの接触等の点からもそれ以上とするのが好ましい。
【0025】
また、前記PN接合は、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントがイオン注入されたウェル領域と、該ウェル領域内に形成され、該ウェル領域の導電型とは異なる導電型のドーパントが拡散された拡散層からなるものとすることができる。
【0026】
このようなものであれば、ウェル領域によって接合リーク電流を増加させることができ、高精度で評価を行うことができる。
【0027】
また、前記ウェル領域は、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントの濃度が1×10
17atoms/cm
3以下のものとすることができる。
【0028】
特にボロンをイオン注入してウェル領域を形成する場合は、高濃度になりすぎると、イオン注入により転位が形成されウェル領域中に欠陥が形成されてしまうが、上記範囲であれば、転位の発生がなく安定した測定が可能になる。
【0029】
また、前記ウェル領域は、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントの濃度が1×10
16〜1×10
17atoms/cm
3であり、深さが2μm以下であり、前記拡散層は、前記ウェル領域の導電型とは異なる導電型のドーパントの濃度が1×10
18〜5×10
20atoms/cm
3であり、深さが1μm以下であり、前記チャネルストップ層は、前記半導体基板の導電型と同じ導電型のドーパントの濃度が1×10
16〜1×10
17atoms/cm
3であり、深さが0.5μm以下のものとすることができる。
【0030】
ウェル領域については、濃度を1×10
16atoms/cm
3以上とすることで、ウェル領域としての効果をもたせることができ、1×10
17atoms/cm
3以下とすることで、イオン注入時に欠陥が導入されるのを防ぐことができる。
また、深さについては、2μm以下とすることで、イオン注入の加速電圧が高いことが原因で欠陥が導入されるのを防ぐことができる。
【0031】
拡散層については、例えばイオン注入やリンガラス拡散で得られる最高濃度を上限(5×10
20atoms/cm
3)とし、下限(1×10
18atoms/cm
3)はPN接合を形成するためウェル領域の一桁上の濃度とすることができる。
深さはウェル領域の範囲内、例えば1μm以下とすることができる。
【0032】
チャネルストップ層については、濃度としてはウェル領域と同じである方が形成しやすくかつ周辺でのキャリア勾配が生じない。
また深さは深い必要はなく、イオン注入で制御可能な上記範囲とすることができる。