【実施例】
【0053】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
[測定方法]
・表面積比の測定
レーザー顕微鏡を用い、1500倍の倍率で実施例1〜5、比較例1〜5の試料表面をレーザースキャンし、得られた3次元画像を3画素×3画素の単純平均による平滑化を3回かけ、ノイズを消した後に表面積S2の計算を行なった。そして、得られた表面積S2を、画面面積で割って、表面積比を算出した。
【0055】
・アスペクト比の平均値の測定
レーザー顕微鏡の(断面)プロファイル測定モードで、測定したい角錐状結晶の頂点を通り、かつ、対向する二つの錐面のそれぞれを2等分するように側線を設定し、断面プロファイルを観測した。そして、断面プロファイルの着目する結晶の断面において、錐面に沿うように補助線を引き、さらに2本の補助線の交点にできる頂点角を2等分するように基準線を引いた。基準線上の適当な位置(O)で基準線に垂直な線を引き、一方の錐面(補助線)からもう一方の錐面までの長さ(l)を測って角錐の底辺の最小長Lを求めた。また、位置(O)から補助線の交点までの長さ(h)を測って角錐の高さHを求めた。そして、上述のようにして求めた角錐の高さHを、角錐の底辺の最小長Lで割った値をアスペクト比として算出した。
このようにして、任意に選択した50個の角錐状結晶のアスペクト比を測定し、その平均値をアスペクト比の平均値とした。
【0056】
・X線回折
X線回折装置として理学電機社製のGEIGERFLEX RAD−IIAを用い、以下の条件により測定を行った。X線源としてはCuKα線を使用し、X線管球の加速電圧は40kV、加速電流は20mAとした。発散スリット(DS)は1°、受光スリット(RS)は0.15mm、散乱スリット(RS)は1°とした。2θ=10°〜75°の範囲において測定を行った。なお、ピーク強度はスムージング処理(適応化平滑法でバックグラウンド部の雑音を除去した後、Savitzky−Golay法で平滑化を行う)した後、Sonneveld法によりバックグラウンドを除去して得た。
【0057】
・平均表面粗さRaの測定
電子式表面粗さ計を用い、JISB−0601にしたがって各4点ずつ測定した。
【0058】
・金属不純物濃度の測定
GDMS(グロー放電質量分析)法により、SiC被膜中の金属不純物の分析を行い、その合計量を求めた。
【0059】
・異常粒子数の測定
光学顕微鏡及びレーザー顕微鏡を用いて試料表面を100倍の倍率で5000画面観察し、高さが10μmを超える異常粒子の個数を数えた。
【0060】
・治具基材のポーラス層の有無の観察
サンプルの断面を光学顕微鏡を用いて500倍の倍率で観察した。
【0061】
・Si
3N
4薄膜の形成試験
SiC被膜が形成された治具に12インチシリコンウエハを設置し、これを低圧CVD装置にセットした。そして、Si
3N
4を成膜原料として、SiH
2Cl
2とNH
3とを、SiH
2Cl
2/NH
3=15/60(モル比)で供給し、反応チャンバーの雰囲気温度750℃において25PaでSi
3N
4薄膜を形成した。
シリコンウエハにSi
3N
4薄膜を100nm形成する毎に、シリコンウエハをCVD装置から取り出し、シリコンウエハ表面にレーザービームを照射してシリコンウエハ上全面のパーティクル数をカウントした。直径0.1μm以上のパーティクルの個数が50個になった時点で成膜を停止し、その時の治具表面に形成されたSi
3N
4薄膜(デポジット膜)の膜厚を測定した。
【0062】
(実施例1)
α型SiC粉末を原料とし、ポリビニルアルコールをバインダとして、フィルタプレスにより成型体を形成し、これを焼成してSiC焼結体を得た。このSiC焼結体に溶融Siを含浸させ、Si含浸SiCを得た。このSi含浸SiC材の支持溝部を機械加工することにより、12インチウエハー用の治具基材であるSiCボート基材を作製した。
次いで、このボート基材を減圧熱CVD炉に入れ、10Paの真空下で基材に含まれるガスを脱気した後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1000℃に昇温した後、炉内へ水素ガスを導入して圧力を13.2kPaに60分保持し、ダスト等のクリーニング処理を行った。
次いで、減圧熱CVD炉を15℃/分の昇温速度で加熱して炉内温度を1230℃まで昇温させた後、反応圧力を0.5kPaに調整し、SiC被覆形成用の原料ガスとしてCH
3SiCl
3を導入し、キャリヤガスとして水素ガスを導入した。CH
3SiCl
3は、キャリヤガスである水素ガスに対するモル比を10%として供給した。以上の条件で180分成膜を行い、実施例1の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が2.4で、膜厚が50μmで、平均表面粗さRaが2.4μmで、金属不純物濃度が0.025ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。また、アスペクト比の平均値は1.1で、底辺の最小長Lの平均値が3.5μmであった。実施例1の治具のSiC被膜の膜表面側から撮影した光学顕微鏡写真を
図1に示し、
図1の側線A−Bに沿った膜断面のプロファイルを
図3に示す。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率((I−65°)/(I−60°))が0.71であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が350であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が6.5μmまで堆積可能であった。
【0063】
(実施例2)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1230℃まで昇温させた後、反応圧力を1kPaに調整し、実施例1と同様の条件で原料ガス及びキャリヤガスを供給し、90分間成膜を行った。一度、冷却した後、再び実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、減圧熱CVD炉を15℃/分の昇温速度で加熱して1350℃まで昇温させた後、反応圧力を0.5kPaに調整した。そして、実施例1と同様の条件で原料ガス及びキャリヤガスを供給して90分間成膜を行い、実施例2の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が3.1で、膜厚が50μmで、平均表面粗さRaが2.9μmで、金属不純物濃度が0.008ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は1.5で、底辺の最小長Lの平均値が4.2μmであった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が1.22であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が720であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が6.8μmまで堆積可能であった。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1230℃まで昇温させた後、反応圧力を2.5kPaに調整した。そして、実施例1と同様の条件で原料ガス及びキャリアガスを供給して180分間成膜を行い、実施例3の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.7で、膜厚が50μmで、平均表面粗さRaが1.3μmで、金属不純物濃度が0.032ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は0.7で、底辺の最小長Lの平均値が1.0μmであった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0.37であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が120であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が4.3μmまで堆積可能であった。
【0065】
(実施例4)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1230℃まで昇温させた後、反応圧力を1kPaに減圧した。そして、SiC被覆形成用の原料ガスとしてSiCl
4とCH
4を導入し、キャリヤガスとして水素ガスを導入した。なお、SiCl
4及びCH
4は、キャリヤガスである水素ガスに対するモル比をそれぞれ10%、3%として供給した。以上の条件で200分間成膜を行い、実施例4の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.6で、膜厚が50μmで、平均表面粗さRaが1.8μmで、金属不純物濃度が0.015ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は0.7で、底辺の最小長Lの平均値が1.1μmであった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0.64であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が280であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が4.5μmまで堆積可能であった。
【0066】
(実施例5)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1230℃まで昇温させた後、反応圧力を1kPaに調整し、実施例4と同様の条件で原料ガス及びキャリヤガスを供給し、90分間成膜を行った。一度、冷却した後、再び実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、15℃/分の昇温速度で加熱して1350℃まで昇温させた後、反応圧力を1kPaに調整した。そして、実施例4と同様に原料ガス及びキャリヤガスを導入し、90分間成膜を行い、実施例5の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が2.1で、膜厚が50μmで、平均表面粗さRaが2.9μmで、金属不純物濃度が0.014ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は1.0で、底辺の最小長Lの平均値が7.5μmであった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が1.08であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が650であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が5.2μmまで堆積可能であった。
【0067】
(比較例1)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1230℃まで昇温させた後、反応圧力を10kPaに調整し、実施例1と同様の条件で原料ガス及びキャリヤガスを供給し、180分間成膜を行い、比較例1の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.3で、膜厚が60μmで、平均表面粗さRaが1.0μmで、金属不純物濃度が0.025ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は0.2で、底辺の最小長Lの平均値が0.3であった。比較例1の治具のSiC被膜の膜表面側から撮影した光学顕微鏡写真を
図4に示し、
図4の側線A−Bに沿った膜断面のプロファイルを
図5に示す。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてβ型のみの構造となっていた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が5であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が2.5μmまで堆積可能であった。
【0068】
(比較例2)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1380℃まで昇温させた後、反応圧力を1kPaに調整した。そして、実施例1と同様の条件で原料ガス及びキャリヤガスを供給し、90分間成膜を行い、比較例2の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.3で、膜厚が60μmで、平均表面粗さRaが3.2μmで、金属不純物濃度が0.025ppmで、異常粒子数が26個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は0.8で、底辺の最小長Lの平均値が3.1であった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0.03であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が30であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層が見られた。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が2.9μmまで堆積可能であった。
【0069】
(比較例3)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1200℃まで昇温させた後、反応圧力を4kPaに調整し、SiC被覆形成用の原料ガスとしてSiCl
4とCH
4を導入し、キャリヤガスとして水素ガスを導入した。なお、SiCl
4及びCH
4は、キャリヤガスである水素ガスに対するモル比をそれぞれ5%、1.6%として供給した。以上の条件で180分間成膜を行った。そして、治具表面に形成されたSiC被膜を、フッ硝酸(HF=4.0mol%、HNO3=3.7mol%)で酸洗浄し、60分間温水でシャワーリングして、比較例3の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.2で、膜厚が55μmで、平均表面粗さRaが1.0μmで、金属不純物濃度が0.010ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は0.3で、底辺の最小長Lの平均値が0.4μmであった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0.02であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が4であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が2.8μmまで堆積可能であった。
【0070】
(比較例4)
実施例1と同様にして作製したSiCボート基材を、減圧熱CVD炉に入れ、実施例1と同一条件でクリーニング処理を行った。その後、炉内を15℃/分の昇温速度で加熱して1230℃まで昇温させた後、反応圧力を30kPaに調整し、SiC被覆形成用の原料ガスとしてSiCl
4とCH
4を導入し、キャリヤガスとして水素ガスを導入した。なお、SiCl
4及びCH
4は、キャリヤガスである水素ガスに対するモル比をそれぞれ5%、1.6%として供給した。
以上の条件で180分間成膜を行い、比較例4の治具を製造した。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.3で、膜厚が58μmで、平均表面粗さRaが2.0μmで、金属不純物濃度が0.018ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面が角錐状のSiC結晶子で覆われていた。この角錐のアスペクト比の平均値は0.2で、底辺の最小長Lの平均値が0.3μmであった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてα型とβ型が混在していた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0.04であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が8であった。
また、断面の観察を行ったところ、治具基材表面にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が2.9μmまで堆積可能であった。
【0071】
(比較例5)
比較例1で作成した治具表面のSiC被膜を、#250のSiC砥粒によりサンドブラスト処理を行った。
この治具の治具基材表面に形成されたSiC被膜は、表面積比が1.2で、膜厚が55μmで、平均表面粗さRaが3.5μmで、金属不純物濃度が0.025ppmで、異常粒子数が0個/cm
2あった。
また、SiC被膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、角錐状の結晶子は見られなかった。
また、SiC被膜のX線回折を行ったところ、結晶構造としてβ型のみの構造となっていた。そして、X線回折により測定されるピークにおいて、比率(I−65°)/(I−60°)が0であり、比率{(I−35°)/[(I−41°)+(I−65°)]}が5であった。
また、断面の観察を行ったところ、SiC被膜と治具基材との界面(治具基材側)にポーラス層は見られなかった。
そして、この治具はSi
3N
4薄膜(デポジット膜)が2.7μmまで堆積可能であった。
【0072】
以上の結果を表2,3にまとめて記す。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2009年10月14日出願の日本特許出願2009−237502に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。