【実施例1】
【0030】
なお、
図1は、ステアリングロールコネクタ10の外観の斜視図を示し、
図2は、ステアリングロールコネクタ10の分解状態の分解斜視図を示し、
図3は、ロテータ20を外した状態の本実施形態のステアリングロールコネクタ10の平面図を示し、
図4は、
図1中のA−A線矢視断面図を示している。
【0031】
本実施形態のステアリングロールコネクタ10は、
図1から
図4に示すように、ケーブルハウジング10aと、リテーナ40と、回転ロック構成体50とで構成している。
【0032】
ケーブルハウジング10aは、
図3及び
図4に示すように、平面視中央部分にステアリングの回転軸方向(
図4中の上下方向)に貫通した差込孔Hが形成された略円筒状に構成している。差込孔Hは、ステアリングコラム(図示省略)から突出するステアリングシャフト(図示省略)の挿入を許容する径で形成している。そして、ケーブルハウジング10aは、互いに相対回転可能なステータ30と、ロテータ20とで構成している。
なお、ステアリングシャフトの上端部には、回転操作を行うためのステアリングホイール(図示省略)を固定している。
【0033】
回転ロック構成体50は、
図2に示すように、ロック体51とバネ受けスリーブ53と、ロック体51およびバネ受けスリーブ53との間に介在する戻しバネ52とで構成している。
【0034】
バネ受けスリーブ53を戻しバネ52の付勢力に抗して押し上げることでステータ30に対してロテータ20が相対回転しないようロック体51でロックすることができ、或いは、ステアリングホイールの芯金のボス部(図示省略)を挿入することで自由に相対回転することを許容するようロック体51によるロックを解除することができる。
【0035】
ロテータ20は、
図2に示すように、環状に形成された天板として機能する回転側リング板21と、この回転側リング板21の内周縁から下方に向かって延びる円筒状の内周筒部22とで構成している。
【0036】
そして、ロテータ20は、ステアリングホイールに固定され、ステアリングホイールとともに一体的に回転する構成である。詳しくは、ロテータ20は、ステアリングホイールの回転軸と同一の軸回りに回転することができる。
【0037】
また、ロテータ20には、ロテータ20の回転に伴って一体的に回転するロテータ側コネクタ23を備えている。
ロテータ側コネクタ23は、第1ロテータ側コネクタ23aと第2ロテータ側コネクタ23bとで構成している。第1ロテータ側コネクタ23aと第2ロテータ側コネクタ23bとは、回転側リング板21の周方向において、所定間隔を隔ててコネクタ接続口が上向きになるように配置している。
【0038】
そして、ロテータ側コネクタ23(23a、23b)は、例えば、ステアリングホイールに配置されるホーンスイッチ、エアバッグユニットなどの電気回路から引き出されたケーブル(図示省略)にそれぞれ接続している。
【0039】
ステータ30は、車体側の適宜の部材、例えばステアリングコラム内部に配設しているコンビネーションブラケットスイッチ(図示省略)に固定して、ステアリングホイールに対して相対回転可能に取り付けている。ステータ30は、
図2に示すように、環状に形成した底板として機能する固定側リング板31と、この固定側リング板31の外周縁から上方に向かって延びる円筒状の外周筒部32とで構成し、固定側リング板31の外周縁と外周筒部32の下端とを嵌合することで一体に構成している。
【0040】
外周筒部32は、
図3及び
図4に示すように、円筒状の外側外周筒部32oと、外側外周筒部32oよりも僅かに小径である円筒状の内側外周筒部32iとで構成し、外側外周筒部32oと内側外周筒部32iとが半径方向において近接して対向するよう同心円状に配置した径方向の2層構造で構成している。
【0041】
また、内側外周筒部32iの上部には、
図4に示すように、半径方向の内側(径内方向)へ向けて突出し、後述するフラットケーブルC及びダミーケーブルDを上方からガイドするガイド突出片33を鍔状に形成している。
【0042】
また、ステータ30には、ステータ側コネクタ34を備えている。
ステータ側コネクタ34は、第1ステータ側コネクタ34aと第2ステータ側コネクタ34bとで構成している。第1ステータ側コネクタ34aと第2ステータ側コネクタ34bとは、所定間隔を隔ててそれぞれのコネクタ接続口が同じ方向を向くように外周筒部32(外側外周筒部32o)の外側に配置している。
【0043】
そして、ステータ側コネクタ34(34a、34b)は、ロアコラムカバー(図示省略)内において車体側の電気回路等から引き出されたケーブル(図示省略)にそれぞれ接続している。
【0044】
このようなステータ30とロテータ20とをステアリングシャフトの回転軸と同軸上に組み付けたケーブルハウジング10aの内部において、
図2から
図4に示すように、ステータ30の固定側リング板31が、ロテータ20の回転側リング板21と回転軸方向で対面するとともに、ステータ30の外周筒部32が、ロテータ20の内周筒部22に対して半径方向外側で対面して収容空間Sを構成している。
【0045】
この収容空間Sには、リテーナ40と、フラットケーブルC及びダミーケーブルDとを収容している。
リテーナ40は、
図2から
図4に示すように、複数の回転ローラー45とベースリング41とで構成し、収容空間Sを構成するステータ30の底面にロテータ20の回転軸を中心にして回転可能に載置している。
【0046】
ベースリング41は、平面視環状をした板状のベースリング本体部42とローラー支持突部43と径方向規制部44と押付ガイド部46とで構成している。
ベースリング本体部42は、固定側リング板31に対して回転方向に摺動可能に載置し、ステータ30に対して相対回転可能に構成している。
ローラー支持突部43は、ベースリング本体部42の周方向に等間隔ごとに回転ローラー45を軸支可能に上方に向けて突出している。
【0047】
径方向規制部44は、周方向に隣接するローラー支持突部43の間において、フラットケーブルC及びダミーケーブルDの経路によって異なる形状に形成した第1径方向規制部44a、第2径方向規制部44b、第3径方向規制部44c、及び第4径方向規制部44dで構成し、ベースリング本体部42に対して上方に向けて立設している。
【0048】
第1径方向規制部44aは、複数のローラー支持突部43に軸支した回転ローラー45のうち1つにU字型に巻き掛かるようにして向きを反転させたダミーケーブルD(後述するダミーケーブルDの反転部分Dr)の長さ方向凸面側に近接した位置に立設している。
【0049】
そして、第1径方向規制部44aは、平面視においてロテータ20の内周筒部22の外周面に沿うように巻かれたフラットケーブルC(後述するフラットケーブルCの内側巻き部分Ci)及びダミーケーブルD(後述するダミーケーブルDの内側巻き部分Di)を径外側からガイドするように径外側に開口を有する平面視略凹状に形成している。
【0050】
さらに、第1径方向規制部44aには、ダミーケーブルDの反転部分Drと対面する端面に、押付ガイド部46を一体に形成している。
この押付ガイド部46は、平面視においてダミーケーブルDの反転部分Drに沿うように略弓形に湾曲して形成している。
【0051】
第2径方向規制部44bは、ダミーケーブルDの反転部分Drを巻き掛けているローラー支持突部43から第1径方向規制部44aを隔てて周方向に隣接するローラー支持突部43に近接し、該ローラー支持突部43を挟んで第1径方向規制部44aと周方向において対向する位置に立設している。
【0052】
そして、第2径方向規制部44bは、平面視において近接するローラー支持突部43側に開口を有する平面視略凹状に形成している。また、第2径方向規制部44bは、フラットケーブルCの内側巻き部分Ci及びダミーケーブルDの内側巻き部分Diを径外側からガイドしている。
【0053】
第3径方向規制部44cは、第2径方向規制部44bと、第2径方向規制部44bに近接するローラー支持突部43から第2径方向規制部44bが立設する周方向に隣接するローラー支持突部43との間において、該ローラー支持突部43に近接する位置に立設している。
【0054】
そして、第3径方向規制部44cは、平面視において近接するローラー支持突部43側に開口を有する平面視略凹状に形成している。また、第3径方向規制部44cは、フラットケーブルCの内側巻き部分Ci及びダミーケーブルDの内側巻き部分Diを径外側からガイドしている。
【0055】
第4径方向規制部44dは、第1径方向規制部44a、第2径方向規制部44b、及び第3径方向規制部44cを立設していない隣接するローラー支持突部43間に立設している。
【0056】
そして、第4径方向規制部44dは、平面視においてロテータ20の内周筒部22の外周面に沿うように巻かれたフラットケーブルCの内側巻き部分Ci及びダミーケーブルDの内側巻き部分Diを径外側からガイドするように径外側に開口を有する平面視略凹状に形成している。
【0057】
回転ローラー45は、それぞれローラー支持突部43に軸支され、それぞれがロテータ20の回転軸と平行な軸を中心として回転可能に設けている。
【0058】
フラットケーブルCは、複数の扁平な導体を所定のピッチで平行に配列し、絶縁被覆体で被覆した可撓性を有する帯状の伝送線であって、収容空間Sにおいて巻き回した状態で収容し、第1ロテータ側コネクタ23aと第1ステータ側コネクタ34aとを相互に電気的に接続している。
【0059】
詳述すると、フラットケーブルCにおける長さ方向の一端を第1ロテータ側コネクタ23aに接続し、他端を第1ステータ側コネクタ34aに接続している。
そして、フラットケーブルCは、ケーブルハウジング10aの内部の収容空間Sにおいて、固定側リング板31に対して回転自在に載置されたリテーナ40によって支持され、巻回した状態で収容している。
【0060】
より詳しくは、フラットケーブルCは、収容空間Sにおいて、第1ステータ側コネクタ34aから収容空間Sへ引き込まれ、
図3及び
図4に示すように、リテーナ40の外側でステータ30の外周筒部32(内側外周筒部32i)の内周面に沿うように巻かれた外側巻き部分Coを構成している。
【0061】
そして、
図3中の二点鎖線で示すように、フラットケーブルCは、長さ方向の途中で、第2径方向規制部44bに近接する回転ローラー45にU字型に巻き掛かるようにして向きを反転させた反転部分Crを構成している。なお、反転部分Crは、第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cの間において、それぞれに対して十分な間隔を確保できるように周方向略中間に配置している。
【0062】
さらに、フラットケーブルCは、反転部分Crより長さ方向の先端側によって、リテーナ40の内側でロテータ20の内周筒部22の外周面に沿うように巻かれた内側巻き部分Ciを構成している。フラットケーブルCは、最終的には収容空間Sから引き出されて第1ロテータ側コネクタ23aに接続している。
【0063】
また、ダミーケーブルDは、絶縁被覆体で被覆した弾性を有する可撓性の帯状ケーブルであって、その長さ方向においてフラットケーブルCの長さよりも短く形成している。そして、ダミーケーブルDは、収容空間Sにおいて、フラットケーブルCに重ね合わせた2本一組の状態で巻き重ねて収容し、ロテータ20とステータ30とを非電気的に接続している。
【0064】
詳述すると、ダミーケーブルDにおける長さ方向の一端を第1ロテータ側コネクタ23a近傍に接続固定し、他端を第1ステータ側コネクタ34a近傍に接続固定している。
【0065】
そして、ダミーケーブルDは、収容空間Sにおいて、フラットケーブルCに重ね合わせた2本一組の状態で第1ステータ側コネクタ34aから収容空間Sへ引き込まれ、
図3及び
図4に示すように、リテーナ40の外側でステータ30の外周筒部32(内側外周筒部32i)の内周面に沿うように巻かれた外側巻き部分Doを構成している。
【0066】
そして、
図3中の二点鎖線で示すように、ダミーケーブルDは、長さ方向の途中で、押付ガイド部46に近接する回転ローラー45にU字型に巻き掛かるようにして向きを反転させた反転部分Drを構成している。
【0067】
さらに、ダミーケーブルDは、反転部分Drより長さ方向の先端側によって、フラットケーブルCに重ね合わせた2本一組の状態で、リテーナ40の内側でロテータ20の内周筒部22の外周面に沿うように巻かれた内側巻き部分Diを構成している。ダミーケーブルDは、最終的には収容空間Sから引き出されて第1ロテータ側コネクタ23a近傍に接続固定している。
【0068】
なお、フラットケーブルC及びダミーケーブルDは、収容空間Sにおいて上述したように2本一組として重ね合わせて巻き回しているが、
図3及び
図4では、簡略化して一本のみを巻き回した状態で図示している。
【0069】
次に、このような構成のステアリングロールコネクタ10において、ロテータ20が時計回り及び反時計回りに回転した際、収容空間SにおけるフラットケーブルC及びダミーケーブルDの動作について
図5を用いて説明する。
【0070】
なお、
図5は、ロテータ20の回転時における収容空間S内の状態の平面図を示し、
図5(a)は、ロテータ20が時計回り(
図5中のX方向)に回転した状態を示し、
図5(b)は、ロテータ20が反時計回り(
図5中のY方向)に回転した状態を示している。
【0071】
また、
図5中において、ロテータ20の静止時におけるフラットケーブルCの反転部分Cr及びダミーケーブルDの反転部分Drの状態を二点鎖線で示している。さらに、フラットケーブルC及びダミーケーブルDは、収容空間Sにおいて上述したように2本一組として重ね合わせて巻き回しているが、
図5では、簡略化して一本のみを巻き回した状態で図示している。
【0072】
ロテータ20が時計回り(
図5中のX方向)に回転すると、
図5(a)に示すように、収容空間Sの内部において、フラットケーブルC及びダミーケーブルDは、ロテータ20がステータ30に対して回転することにより、フラットケーブルCの外側巻き部分Coと内側巻き部分Ciとの間、及びダミーケーブルDの外側巻き部分Doと内側巻き部分Diとの間で、それぞれ巻き付けと巻き解きのいずれかが行われる。
【0073】
このとき、フラットケーブルCは、外側巻き部分Coと内側巻き部分Ciとの間の巻き状態のバランスの変化に追従するように反転部分Crがリテーナ40とともに適宜回転する。
【0074】
同様に、ダミーケーブルDは、外側巻き部分Doと内側巻き部分Diとの間の巻き状態のバランスの変化に追従するように反転部分Drがリテーナ40とともに適宜回転する。
【0075】
詳述すると、ロテータ20が時計回り(
図5中のX方向)に回転すると、
図5(a)に示すように、フラットケーブルCの内側巻き部分Ci及びダミーケーブルDの内側巻き部分Diが巻き解かれる。
【0076】
このとき、リテーナ40の周方向において、ダミーケーブルDの反転部分Drを巻き掛けた回転ローラー45と押付ガイド部26の間隔に対して、第2径方向規制部44bと第3径方向規制部44cの間隔が大きく確保されている。
【0077】
さらに、フラットケーブルCの反転部分Crを第2径方向規制部44bと第3径方向規制部44cとの間において周方向略中間に配置しているため、ダミーケーブルDの反転部分Drは、
図5(a)に示すように、フラットケーブルCの反転部分Crが第3径方向規制部44cに接触する前に、押付ガイド部46に押し付けられる。
【0078】
ダミーケーブルDの反転部分Drが押付ガイド部46に押し付けられると、その押し付け力によって、リテーナ40は、ロテータ20の回転に追従するように時計回り(
図5中のX方向)に回転する。
【0079】
そして、フラットケーブルCの反転部分Cr及びダミーケーブルDの反転部分Drは、リテーナ40とともに回転しながら、それぞれフラットケーブルCの外側巻き部分Coと、ダミーケーブルDの外側巻き部分Doに巻き付けられる。
【0080】
このとき、フラットケーブルCの反転部分Crは、第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに対して、一定の間隔を保ったままリテーナ40とともに回転する。
【0081】
一方、ロテータ20が反時計回り(
図5中のY方向)に回転すると、
図5(b)に示すように、収容空間Sの内部において、フラットケーブルC及びダミーケーブルDは、ロテータ20がステータ30に対して回転することにより、フラットケーブルCの外側巻き部分Coと内側巻き部分Ci及びダミーケーブルDの外側巻き部分Doと内側巻き部分Diとの間で、それぞれ巻き解きと巻き付けのいずれかが行われる。
【0082】
このとき、フラットケーブルCは、外側巻き部分Coと内側巻き部分Ciとの間の巻き状態のバランスの変化に追従するように反転部分Crがリテーナ40とともに適宜回転する。
【0083】
同様に、ダミーケーブルDは、外側巻き部分Doと内側巻き部分Diとの間の巻き状態のバランスの変化に追従するように反転部分Drがリテーナ40とともに適宜回転する。
【0084】
詳述すると、ロテータ20が反時計回り(
図5中のY方向)に回転すると、
図5(b)に示すように、フラットケーブルCの反転部分Cr及びダミーケーブルDの反転部分Drがロテータ20の内周筒部22の外周面に巻き付けられる。
【0085】
このとき、リテーナ40の周方向において、ダミーケーブルDの反転部分Drを巻き掛けた回転ローラー45と押付ガイド部26の間隔に対して、第2径方向規制部44bと第3径方向規制部44cの間隔が大きく確保されている。
【0086】
さらに、フラットケーブルCの反転部分Crを第2径方向規制部44bと第3径方向規制部44cとの間において周方向略中間に配置しているため、ダミーケーブルDの反転部分Drは、
図5(b)に示すように、フラットケーブルCの反転部分Crが第2径方向規制部44bに接触する前に、回転ローラー45に接触する。
【0087】
そして、ダミーケーブルDの反転部分Drが回転ローラー45に沿って、反時計回り(
図5中のY方向)に引っ張れることにより、リテーナ40は、ロテータ20の回転に追従するように反時計回りに回転する。
【0088】
その後、フラットケーブルCの反転部分Cr及びダミーケーブルDの反転部分Drは、リテーナ40とともに回転しながら、それぞれフラットケーブルCの内側巻き部分Ciと、ダミーケーブルの内側巻き部分Diに巻き付けられる。
【0089】
このとき、フラットケーブルCの反転部分Crは、第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに対して、一定の間隔を保ったままリテーナ40とともに回転する。
【0090】
以上のような動作を実現できる上述の構成のステアリングロールコネクタ10は、砂塵等の異物が混入しても、ロテータ20とステータ30との電気的な接続を確実に維持することができる。
【0091】
具体的には、フラットケーブルCと異なり、ロテータ20側とステータ30側とを非電気的に接続しているダミーケーブルDにより、ロテータ20が時計回りに回転すると、ダミーケーブルDの反転部分Drが押付ガイド部46に押し付けられ、その押し付け力によって、リテーナ40は、時計回りに回転することができる。
【0092】
一方、ロテータ20が反時計回りに回転すると、ダミーケーブルDの反転部分Drが回転ローラー45に沿って、反時計回りに引っ張られることにより、リテーナ40は、反時計回りに回転することができる。
【0093】
つまり、ロテータ20が回転した際、ダミーケーブルDの反転部分Drが、砂塵等の異物とともに、押付ガイド部46あるいは回転ローラー45に接触しながら擦れ動いて摩耗しても、ロテータ20とステータ30とは、フラットケーブルCによって電気的な接続を確実に維持することができる。
【0094】
また、ダミーケーブルDの弾性によって、押付ガイド部46に押し付けられたダミーケーブルDの反転部分Drが、座屈したり折れ曲がることを防止することができる。
【0095】
さらに、ダミーケーブルDの反転部分Drの長さ方向両端には、ダミーケーブルDの弾性による反発力がロテータ20及びステータ30の径方向に発生する。詳しくは、ダミーケーブルDの反転部分Drにおけるステータ30側の端部には径方向外側に向かって反発力が生じ、一方、ロテータ20側の端部には径方向内側に向かって反発力が生じる。これにより、ダミーケーブルDは、ロテータ20及びステータ30に押し付けられながら、巻き締め及び巻き戻しが行われるので、ダミーケーブルDのたるみなどを抑制でき、確実に押付ガイド部46に当接することができる。
【0096】
よって、ダミーケーブルDの弾性により、リテーナ40を確実にダミーケーブルDで回転させることができるとともに、ロテータ20の回転に追従してよりスムーズに回転させることができる。そして、ダミーケーブルDによりリテーナ40がスムーズに回転するため、フラットケーブルCに過度な負荷がかかることなく、巻き締め及び巻き戻しを行うことができ、フラットケーブルCの断線などを防止することができる。
【0097】
加えて、フラットケーブルCの上にダミーケーブルDを重ね合わせているため、ダミーケーブルDの反転部分Drにおける反発力により、巻き締め及び巻き戻し時に生じるフラットケーブルCのたるみなどを抑制することができ、フラットケーブルCがリテーナ40などに接触して摩耗や損傷することを防止できる。
【0098】
従って、ロテータ20とステータ30とを非電気的に接続したダミーケーブルDでリテーナ40を回転させることにより、砂塵等の異物が混入しても、ロテータ20とステータ30との電気的な接続を確実に維持することができる。
【0099】
また、ロテータ20の回転に追従してリテーナ40が回転を開始する間に、フラットケーブルDの反転部分Drが周方向に移動する範囲以上の間隔を確保して径方向規制部44を立設したことにより、ロテータ20の静止時において、フラットケーブルCの反転部分Crを、リテーナ40の第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに対して十分な間隔を確保して配置することができる。よって、ロテータ20が回転しても、フラットケーブルCの反転部分Crが、リテーナ40の第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cと接触することを防止できる。
【0100】
つまり、フラットケーブルCの反転部分Crに砂塵等の異物が付着しても、フラットケーブルCの反転部分Crが、リテーナ40の第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cと擦れながら巻き締め及び巻き戻されることがないため、フラットケーブルCの摩耗や損傷を防止することができる。
【0101】
これにより、リテーナ40がロテータ20の回転に追従してスムーズに回転することができ、フラットケーブルCに過度な負荷がかかることなく、巻き締め及び巻き戻しが行うことができる。
【0102】
従って、リテーナ40の第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに対して十分な間隔を確保してフラットケーブルCの反転部分Crを配置することにより、砂塵等の異物が混入したままロテータ20が回転しても、フラットケーブルCが摩耗や損傷するおそれがないため、ロテータ20とステータ30との電気的な接続をより確実に維持することができる。
【実施例2】
【0103】
次に、別の実施形態として、フラットケーブルが2本の場合について
図6を用いて説明する。
なお、
図6は、実施例2におけるロテータ20を外した状態のステアリングロールコネクタ10の平面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成要素は、同じ符号を付与して、その詳細な説明を省略する。
【0104】
実施例2におけるステアリングロールコネクタ10は、
図6に示すように、収容空間Sにおいて、上述した実施例1にフラットケーブルFを加えた構成としている。また、フラットケーブルFを加えたことにより、実施例1に対して、リテーナ40の径方向規制部44の構成が異なる。
【0105】
詳述すると、リテーナ40には、ダミーケーブルDの反転部分Drを巻き掛けた回転ローラー45に近接して、該回転ローラー45を挟んで第1径方向規制部44aと周方向に対向する位置に第3径方向規制部44cを立設している。
【0106】
さらに、該第3径方向規制部44cと、ダミーケーブルDの反転部分Drを巻き掛けた回転ローラー45と周方向に隣接する回転ローラー45との間において、該回転ローラー45に近接する位置に第2径方向規制部44bを立設している。
【0107】
また、フラットケーブルFは、複数の扁平な導体を所定のピッチで平行に配列し、絶縁被覆体で被覆した可撓性を有する帯状の伝送線であって、その長さ方向においてダミーケーブルDの長さよりも短く形成している。そして、フラットケーブルFは、収容空間SにおいてダミーケーブルD及びフラットケーブルCとともに3本を重ね合わせて巻き回した状態で収容し、第2ロテータ側コネクタ23bと第2ステータ側コネクタ34bとを相互に電気的に接続している。
【0108】
詳述すると、フラットケーブルFにおける長さ方向の一端を第2ロテータ側コネクタ23bに接続し、他端を第2ステータ側コネクタ34bに接続している。
【0109】
そして、フラットケーブルFは、ケーブルハウジング10aの内部の収容空間Sにおいて、固定側リング板31に対して回転自在に載置されたリテーナ40によって支持され、フラットケーブルC及びダミーケーブルDと重ね合わせて巻回した状態で収容している。
【0110】
より詳しくは、フラットケーブルFは、収容空間Sにおいて、第2ステータ側コネクタ34bから収容空間Sへ引き込まれ、
図6に示すように、フラットケーブルC及びダミーケーブルDに重ね合わせた3本一組の状態でリテーナ40の外側でステータ30の外周筒部32(内側外周筒部32i)の内周面に沿うように巻かれた外側巻き部分Foを構成している。
【0111】
このとき、フラットケーブルC、ダミーケーブルD、フラットケーブルFの順に重ね合わせた3本一組の状態において、フラットケーブルCがステータ30の内側外周筒部32iの内周面に接触するように巻き付けている。
【0112】
そして、
図6中の二点鎖線で示すように、フラットケーブルFは、長さ方向の途中で、ダミーケーブルDの反転部分Drを巻き掛けている回転ローラー45から第1径方向規制部44aとは周方向に逆方向に隣接する回転ローラー45にU字型に巻き掛かるようにして向きを反転させた反転部分Frを構成している。なお、反転部分Frは、第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44c間において、それぞれに対して十分な間隔を確保するように周方向略中間に配置している。
【0113】
さらに、フラットケーブルFにおいて、反転部分Frより長さ方向の先端側によって、フラットケーブルC及びダミーケーブルDに重ね合わせた3本一組の状態で、リテーナ40の内側でロテータ20の内周筒部22の外周面に沿うように巻かれた内側巻き部分Fiを構成している。フラットケーブルFは、最終的には収容空間Sから引き出されて第2ロテータ側コネクタ23bに接続している。
【0114】
このとき、フラットケーブルC、ダミーケーブルD、フラットケーブルFの順に重ね合わせた3本一組の状態において、フラットケーブルCがロテータ20の内周筒部22の外周面に接触するように巻き付けている。
【0115】
なお、フラットケーブルC、F及びダミーケーブルDは、収容空間Sにおいて、上述したように3本一組として重ね合わせて巻き回しているが、
図6では、簡略化して一本のみを巻き回した状態で図示している。
【0116】
このようなフラットケーブルC、F及びダミーケーブルDを有するステアリングロールコネクタ10において、ロテータ20が時計回りに回転すると、フラットケーブルCの反転部分Crと同様に、フラットケーブルFの反転部分Frを第3径方向規制部44cに対して周方向に十分な間隔を確保して配置しているので、フラットケーブルFの反転部分Frが第3径方向規制部44cに接触する前に、ダミーケーブルDの反転部分Drは、押付ガイド部46に押し付けられる。
【0117】
ダミーケーブルDの反転部分Drが押付ガイド部46に押し付けられると、その押し付け力によって、リテーナ40は、ロテータ20の回転に追従するように時計回りに回転する。
【0118】
このとき、フラットケーブルFの反転部分Frは、第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに対して、一定の間隔を保ったままリテーナ40とともに回転する。
【0119】
一方、ロテータ20が反時計回りに回転すると、フラットケーブルCの反転部分Cr及びフラットケーブルFの反転部分Frが第2径方向規制部44bに接触する前に、ダミーケーブルDの反転部分Drが回転ローラー45に接触する。
【0120】
そして、ダミーケーブルDの反転部分Drが回転ローラー45に沿って、反時計回りに引っ張れることにより、リテーナ40は、ロテータ20の回転に追従するように反時計回りに回転する。
【0121】
このとき、フラットケーブルFの反転部分Frは、第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに対して、一定の間隔を保ったままリテーナ40とともに回転する。
【0122】
以上のように、フラットケーブルが複数本あるステアリングロールコネクタ10においても、フラットケーブルC、Fが第2径方向規制部44b及び第3径方向規制部44cに接触する前に、ダミーケーブルDが押付ガイド部46に押し付けられることにより、砂塵等の異物が混入しても、ロテータ20とステータ30との電気的な接続を確実に維持することができる。
【0123】
また、フラットケーブルFの反転部分Frの長さ方向両端には、導体の弾性による反発力がロテータ20及びステータ30の径方向に発生する。この反発力により、フラットケーブルFの巻き締め及び巻き戻し時に生じるたるみなどを抑制することができる。
【0124】
さらに、ダミーケーブルDの上にフラットケーブルFを重ね合わせているため、フラットケーブルFの反転部分Frにおける反発力により、ダミーケーブルD及びフラットケーブルCの巻き締め及び巻き戻し時に生じるたるみなどを抑制することができる。
従って、フラットケーブルC及びフラットケーブルFがリテーナ40の径方向規制部44などに接触して摩耗や損傷することを防止できる。
【0125】
また、フラットケーブルCとフラットケーブルFとの間に、ダミーケーブルDを重ね合わせたことにより、ダミーケーブルDをフラットケーブルCとフラットケーブルFとの間における絶縁体として機能させることができる。
【0126】
これにより、フラットケーブルC及びフラットケーブルFの絶縁被覆体を、より薄膜に形成して、ステアリングロールコネクタ10の軽量化やコストダウンを図ることができる。
【0127】
なお、上述の実施例2において、ダミーケーブルDをフラットケーブルC、Fの間に重ね合わせたが、フラットケーブルC、FとダミーケーブルDとの重ね合わせ方はこれに限定せず、フラットケーブルC、FにダミーケーブルDを重ね合わせるなどしてもよい。
【0128】
また、リテーナ40上の円周方向において、ダミーケーブルDの反転部分Drを挟んで、フラットケーブルFの反転部分Fr、フラットケーブルCの反転部分Crを配置したが、リテーナ40上の円周方向における各反転部分の配置はこれに限定しない。
【0129】
例えば、リテーナ40上の円周方向において、ダミーケーブルDの反転部分Dr、フラットケーブルCの反転部分Cr、フラットケーブルFの反転部分Frの順に配置するなどしてもよい。
【0130】
また、上述の実施例1及び実施例2において、ダミーケーブルDは、長さ方向の一端を第1ロテータ側コネクタ23a近傍に、他端を第1ステータ側コネクタ34a近傍に接続固定したが、これに限定しない。
【0131】
例えば、ダミーケーブルDの長さ方向の端部を、ロテータ20の内周筒部22やステータ30の外周筒部32に接続固定するなどしてもよい。あるいは、フラットケーブルC、Fの長さ方向における端部のコネクタ端子などに接続するようにしてもよい。
【0132】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の回転コネクタ装置は、実施形態のステアリングロールコネクタ10に対応し、
以下同様に、
規制部は、第2径方向規制部44b、第3径方向規制部44cに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。