(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力管理モジュールは、前記アウェイクウィンドウ期間が経過して前記ピア構築手順が完了した場合に、前記アウェイク状態からドーズ状態になるように前記装置に指示する請求項6に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0006】
実施形態によれば、無線ネットワークにおいてデバイスの電力管理を行なう方法が提供される。例えば、電力管理モジュールと、送受信モジュールとを備える装置が提供されるとしてよい。電力管理モジュールは、ビーコン間隔およびウェイクアップ間隔を決定する。送受信モジュールは、ビーコン間隔およびウェイクアップ間隔を含む送信を1以上のリモートデバイスに送信する。ビーコン間隔は、当該装置が行なう連続したビーコン送信の間の期間を表し、ウェイクアップ間隔は、当該装置がピアデバイスから2つの連続したビーコンを受信する間の期間を表す。このような方法によって、ネットワーク運用が効率的に行なわれるという利点が得られるとしてよい。
【0007】
本明細書において「一実施形態」または「ある実施形態」と言う場合には、当該実施形態に関連付けて記載している特定の特徴、構造、または、特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書では「一実施形態」または「ある実施形態」と繰り返し記載されていても、全てが同じ実施形態を必ずしも意味するものではない。また、特定の特徴、構造、または、特性は、1以上の実施形態において適宜組み合わせられるとしてよい。
【0008】
図1は、本明細書で説明する方法が利用される動作環境100の一例を示す図である。
図1に示すように、この動作環境は複数のデバイス102
1−102
10を備える。また、
図1は、これらのデバイス間のピアリンク104
1−104
17も示している。
【0009】
メッシュネットワークは、その間にピアリンクを既に構築している2以上のモバイルコンピュータデバイスを含むネットワークである。したがって、デバイス102
1−102
10はメッシュネットワーク106を形成している。このため、デバイス102
1−102
10は、本明細書においてメッシュポイント(MP)102
1−102
10とも呼ばれる。
【0010】
MP102
1−102
10はそれぞれ、さまざまな種類のデバイスであってよい。例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ(UMPC)、および、モバイルインターネットデバイス(MID)等のデバイスがある。しかし、実施形態はこれらの種類のデバイスに限定されない。
【0011】
一般的に、メッシュネットワークの動作は、中央コントローラによって決定されるわけではない。これに代えて、このような意思決定は通常、ネットワークを構成している複数のMPの間で分散して(または協調して)行なわれる。このような協調的意思決定に関する情報は、呼び出しビーコンの送信によってMP間でやり取りされるとしてよい。MPは、動作時には、それぞれのターゲットビーコン送信時刻(TBTT)においてビーコンを各自独立して送信する。
【0012】
MPはまた、さまざまな動作モードおよび動作状態があるとしてよい。例えば、MPの動作モードには、アクティブモードまたは省電力モードがあるとしてよい。MPは、アクティブモードの場合、常に他のデバイスと情報を交換することができる。しかし、MPは、省電力モードの場合、この情報を常に交換できるわけではない。アクティブモードおよび省電力モードについては、
図2を参照しつつ、以下でさらに詳細に説明する。
【0013】
このため、
図1の内容を鑑みると、MP102
1−102
10はそれぞれ、常にアクティブなわけではない。この結果、MPが省電力モードで動作し得るようにMP同士を協調させる(または、MP間で分散して意思決定を行なう)ことは非常に難しくなる可能性がある。
【0014】
IEEE802.11s規格案1.08で提案されている電力管理方式は主に、(デバイス同士がアクセスポイントを介して通信し合うモードである)インフラストラクチャモードでの動作に基づいている。また、この規格案では、1つのMPが省電力モードではない場合にのみ、または、中央制御部がある場合にのみ実施されるオートマチック・パワー・セーブ・デリバリー(Automatic Power Save Delivery:APSD)動作(セクション11A.12.6で定められている)がある。
【0015】
またIEEE802.11s規格案のバージョン1.08では、MPが、省電力モードに入る前にピアMPと同期する必要がある。この規格案では、このような同期を実現するべくピアリンクオフセット同期方式を設けている。ピアリンクオフセット同期方式は、MPが、ユニキャストメッセージを利用してピアMP全てに通知するまでは、省電力モードに入ることを禁止する。ユニキャストメッセージがこの方式で必要になるのは、ブロードキャストメッセージは信頼性が低いと見なされ、あるMPがメッシュネットワーク内のほかのMPが採用している電力管理状態を認識しているか否かについて曖昧さが残りうるためである。
【0016】
実施形態は、従来技術より優れた利点を持つ。例えば、実施形態は完全分散型動作を実現する。さらに、実施形態は、ビーコン間隔およびウェイクアップ間隔という2種類の間隔を設定することによって電力管理を柔軟に行なうことを容易とする。
【0017】
上述したように、MPにはさまざまな動作モードおよび動作状態があるとしてよい。
図2は、動作モードおよび動作状態の一例を示す図である。具体的には、
図2では、アクティブモード202および省電力モード204を示している。
【0018】
実施形態によると、MPは、省電力(PS)モード204の場合、2つの動作状態のいずれかであるとしてよい。2つの動作状態とは、アウェイク状態206およびドーズ状態208である。MPは、アウェイク状態206の場合、完全に電力供給が行われており、フレームの送受信が可能である。しかし、MPは、ドーズ状態208の場合、消費電力が非常に少なく、送受信は実行できない。MPは、PSモード204での動作時には、矢印224および226で示すようにアウェイク状態206およびドーズ状態208に交互に切り替わるとしてよい。この切り替えは、特定の時間間隔およびフレーム送受信ルールによって決まるとしてよい。
【0019】
アクティブモード202では、MPの動作状態は常にアウェイク状態(アウェイク状態206等)である。MPは、矢印220および222で示すように、アクティブモード202とPSモード204との間を遷移するとしてよい。この遷移は、さまざまな要因、例えば、ユーザ設定等に基づき行なわれるとしてよい。
【0020】
PSモード204でのMPの動作について、さらに以下で詳細に説明する。
【0021】
PSモード204のMP(「PS MP」とも呼ぶ)は、(ターゲットビーコン送信時刻(TBTT)で示される)所定のビーコン間隔でビーコンを送信する。また、PS MPは、目覚めて(つまり、ドーズ状態208からアウェイク状態206になって)、ピアのビーコンおよび/またはブロードキャストメッセージを受信して、同期およびピアリンクを維持する。PS MPは、ピアから送られてくるビーコンの全てを受信するために目覚める必要はない。例えば、PS MPは、ピアが送信するもののうち、1つおきのビーコン、全てのデリバリ・トラフィック・インジケーション・メッセージ(DTIM)ビーコン、または、1つおきのDTIMビーコンを受信すると決めるとしてよい。
【0022】
本明細書では、PS MPがピアMPから連続する2つのビーコンを受信する間の期間をウェイクアップ間隔と呼ぶ。ウェイクアップ間隔は、ピアリンク毎に決定される。このように、1つのPS MPが複数のウェイクアップ間隔を取り得る。さらに、それぞれのウェイクアップ間隔は、PS MPと対応するピアMPとの間で交渉することが可能である。また、PS MPが採用するウェイクアップ間隔およびビーコン間隔は、実施例毎に決められるとしてもよい。例えば、ウェイクアップ間隔およびビーコン間隔は、ピアMPとの間でのトラフィック負荷、クロック同期精度、ユーザ選択等の要因に応じて決まるとしてよい。
【0023】
実施形態によると、MPは、PSモード204になる前に、自身のビーコン間隔およびウェイクアップ間隔の長さを定めるとしてよい。また、実施形態によると、MPは、自身のビーコン間隔およびターゲットビーコン送信時刻(TBTT)をピアMPに通知するとしてよい。このようにすることで、このMPのピアは、このMPのビーコンを受信すべき適切な時刻に目覚めることができる。任意で、MPのウェイクアップ間隔は、ピアMPとの間で交渉するとしてよい。この交渉によって、ピアMPは、PS MPに対するブロードキャスト送信をスケジューリングするとしてよい。また、PS MPはさらに、ユニキャストフレームとしてブロードキャストトラフィックを送るように、ピアMPに要求するとしてよい。
【0024】
実施形態によると、PS MPは、ビーコンでアウェイクウィンドウを広告する。アウェイクウィンドウは、
図7の情報要素(IE)等のIEで示されるとしてよい。しかし、他の指示形式を利用するとしてもよい。アウェイクウィンドウの開始は、PS MPのTBTTを基準にして測定される。このように広告されるアウェイクウィンドウは、PS MPがビーコンを送信した後に目覚めている期間を示す。これとは対照的に、従来のPS MPは、ビーコンを送った後すぐにドーズ状態208に戻る。
【0025】
図3は、ロジックフローの実施形態を説明するための図である。具体的には、
図3は、本明細書に記載する1以上の実施形態で実行される処理を表すロジックフロー300を示す図である。
図3は具体的な順序を示しているが、順序を変更するとしてもよい。また、図示している処理は、さまざまにパラレルに、および/または、シーケンシャルに実行するとしてよい。
【0026】
図3に示すフローでは、省電力モード204でのデバイスの処理の一例を示す。これらの処理は、1つのPS MPと1以上のリモートデバイスとを参照しつつ説明する。リモートデバイスは、ピアデバイスであってよい。これに代えて、リモートデバイスは、省電力デバイスとピア関係を構築しようとするとしてもよい。
図3の処理は、
図1の環境で実行されるとしてよい。さらに、PS MPおよび/またはリモートデバイスは、
図2および
図8を参照しつつ本明細書で説明するような特徴を持つとしてよい。
【0027】
ブロック302において、PS MPはアウェイク状態206となる。PS MPは、アウェイク状態206になると、ブロック303でビーコン送信を送る。このビーコンは、アウェイクウィンドウ期間を示す。例えば、このビーコンは、
図7を参照しつつ後述するアウェイクウィンドウ情報要素を含むとしてよい。しかし、実施形態はこの情報要素を利用することに限定されるものではない。
【0028】
ブロック304において、PS MPは、アウェイクウィンドウ期間が経過したか否かを判断する。経過していれば、ブロック350に進み、PS MPはドーズ状態208となる。経過していなければ、1以上の経路を実行するとしてよい。例えば、
図3では、PS MPがピアデバイスに送信を送る経路360、PS MPがピアデバイスから送信を受信する経路370、および、新しいピア関係が構築される経路380を示している。これらの経路は、シーケンシャルに、および/または、パラレルにさまざまな順序で実行されるとしてもよい。
【0029】
図3に示す経路360は、ブロック305−308を含む。ブロック305において、PS MPは、ピアデバイスに対してバッファリングされたトラフィック(例えば、ユニキャストトラフィック)があるか否かを示す。この情報は、ビーコン送信(例えば、ブロック303で送られるビーコン)に含められるとしてよい。例えば、PS MPは、ビーコンフレーム内の1以上のビットを設定することによって、この情報を作成するとしてよい。例えば、802.11sに準拠したネットワークを鑑みると、PS MPは、ピアデバイスのピアリンクIDに一致する、トラフィック情報マップ(TIM)要素内のビットを設定するとしてよい。
【0030】
これに対して、バッファリングされたトラフィック(例えば、バッファリングされたユニキャストトラフィック)がある旨を示すこの情報を受信するピアデバイスは、PS MPに対して、パケット受信期間を開始するべく応答送信(トリガフレーム等)を送るとしてよい。したがって、ブロック307で示されているように、PS MPは、ピアデバイスから応答送信を受信したか否かを判断する。受信している場合、ブロック308に進む。受信していない場合、ブロック304に戻るとしてよい。
【0031】
ブロック308において、PS MPはトリガフレームを確認して、バッファリングされたトラフィックをピアデバイスに送信する。この場合、ピアデバイスにバッファリングされた複数のパケットを送るとしてよい。
【0032】
バッファリングされたトラフィックが送られた後、ブロック309において、PS MPは、データ送信の完了をピアデバイスに示すとしてよい。IEEE802.11sに準拠したネットワークを鑑みると、ブロック309では、エンド・オブ・サービス・ピリオド(EOSP)ビットが設定された1以上のデータフレームを送るとしてよい。
図3によると、ブロック309の後、ブロック304に戻る。
【0033】
上述したように、経路370では、PS MPがピアデバイスからトラフィックを受信する。
図3に示す経路370は、ブロック310および312を含む。
【0034】
PS MPに送るべきバッファリングされたトラフィックを持つピアデバイスは、省電力デバイスのターゲットビーコン送信時刻(TBTT)に続くアウェイク期間の間は目覚めている。このため、ブロック310において、このようなピアデバイスは、バッファリングされているトラフィックをPS MPに配信するためのサービス期間をトリガするとしてよい。この場合、ピアデバイスは、1以上のトリガ送信をPS MPに送るとしてよい。
【0035】
ブロック312において、PS MPは、バッファリングされたトラフィックをピアデバイスから受信する。この後、ブロック304に戻るとしてよい。
【0036】
上述したように、経路380では、PS MPとリモートデバイスとの間でピア接続が構築される。
図3に示す経路380は、ブロック330−332を含む。
【0037】
ブロック330において、PS MPはピアリンク構築プロセスを実行する。ピアリンク構築プロセスの一例については、
図4を参照しつつ以下で詳述する。ピアリンク構築プロセスが完了すると(例えば、成功または失敗すると)、ブロック304に戻るとしてよい。
【0038】
本明細書に記載するように、デバイスが省電力モード204にある別のデバイス(例えば、PS MP)を発見した後で実行されるピアリンク構築プロセスを用いる実施形態があるとしてよい。一例を挙げると、このようなプロセスは
図3のブロック332で実行される。
【0039】
したがって、
図4は、ピアリンク構築プロセスの処理の一例を示すフローチャートである。
図4では具体的な順序を図示しているが、順序は変更するとしてもよい。また、図示している処理は、パラレルで、および/または、シーケンシャルにさまざまな順序で実行するとしてよい。
【0040】
図4に示す処理を、PS MPとピア関係を構築しようとしているデバイス(「新規デバイス」と呼ぶ)に関連付けて説明する。
図4に示す処理は、
図1の環境で実行されるとしてよい。さらに、新規デバイスおよび/または省電力デバイスは、
図2および
図8を参照しつつ本明細書で説明するような特徴を持つとしてよい。
【0041】
ブロック402において、新規デバイスは、メッシュネットワーク内に存在するデバイスを発見するべくパッシブスキャンを実行するとしてよい。
【0042】
ブロック404において、新規デバイスはPS MPからビーコンを受信する。このビーコンは、省電力デバイスのアウェイクウィンドウを示す。例えば、このビーコンは、
図7を参照して以下で説明するようなアウェイクウィンドウ情報要素を含むとしてよい。しかし、他のアウェイクウィンドウ情報を利用するとしてもよい。
【0043】
新規デバイスは、ブロック406において、このビーコンに基づき、アウェイクウィンドウが終わる前に、PS MPにピアリンクオープンメッセージを送ることを試みる。
【0044】
ブロック408に示すように、PS MPは、アウェイクウィンドウ内にピアリンクオープンメッセージを受信したか否かを判断する。受信していれば、ブロック410に進み、PS MPは、ピアリンク構築プロセスが(成功または失敗しても)完了するまでアウェイク状態に留まる。また、PS MPのアウェイクウィンドウ中にピアリンクオープンメッセージが受信されない場合、ピアリンク構築プロセスは(ブロック409に示すように)失敗して完了となる。
【0045】
ブロック410において、PS MPは、新規デバイスにピアリンク確認メッセージを送る。また、ブロック412において、PS MPは、新規デバイスにピアリンクオープンメッセージを送る。このピアリンクオープンメッセージに応じて、ブロック414において、新規デバイスは、PS MPにピアリンク確認メッセージを送る。
【0046】
このため、このピアリンク構築プロセスは、ピアリンクオープンメッセージおよびピアリンク確認メッセージの「ダブルハンドシェイク」を含む。したがって、ピアリンクは、両方のデバイスがピアリンクオープンメッセージおよびピアリンク確認メッセージを送受信すると、構築に成功する。
【0047】
アウェイクウィンドウがない場合、PS MPは、ビーコン送信後すぐに、または、新規MPからのピアリンクオープンメッセージに応じた後すぐに、ドーズ状態208に戻るとしてよい。
【0048】
しかし、実行中のダブルハンドシェイクを確実に完了させるためには、実施形態では、PS MPがアウェイクウィンドウの間は起きている(例えば、アウェイク状態206である)必要があり、実行中のピアリンク構築プロセスの間は起きている必要がある。この結果、ピアリンクの構築が高速に成功するという利点が得られるとしてよい。
【0049】
図5は、デバイスのやり取りの一例を示す図表500である。具体的には、
図5は、(アウェイク状態206である)第1のメッシュポイント502と、第2のメッシュポイント504との間で行なわれるやり取りを示す図である。これらのやり取りは、時間軸506に沿って行なわれる。これらのやり取りに基づき、ピアリンクが構築される。
【0050】
図4を参照しつつ上述したように、ピアリンクを構築する際にはダブルハンドシェイク手順が行われるとしてよい。したがって、
図5は、メッシュポイント504がピアリンクオープンメッセージ508を送ることから開始される第1のハンドシェイク520を図示している。これに応じて、メッシュポイント502は、ピアリンク確認メッセージ510をメッシュポイント504に送る。
図5はさらに、第2のハンドシェイク522を示す。このハンドシェイクでは、メッシュポイント502がピアリンクオープンメッセージ512をメッシュポイント504に送り、メッシュポイント504がピアリンク確認メッセージをメッシュポイント502に送ることで応答する。
【0051】
図6は、時間軸602に沿って行なわれる一連の送信を示す図表600である。これらの送信は、アウェイク状態206にあるローカルメッシュポイントから見たものとして図示されている。この図では、上向きの矢印がローカルメッシュポイントから外に向いた送信を表し、下向きの矢印がローカルメッシュポイントに入ってくる送信を表す。
【0052】
図6に示すように、ローカルメッシュポイントは、ビーコン604および606を送信する。各ビーコンは、アウェイクウィンドウを広告する。例えば、ビーコン604は、アウェイクウィンドウ608を広告する。このウィンドウ内で、ピアリンク構築手順が開始される。具体的には、ローカルメッシュポイントは、リモートメッシュポイントからピアリンクオープン(PLO)メッセージ610を受信する。これに応じて、ローカルメッシュポイントは、リモートデバイスにピアリンク確認(PLC)メッセージ612を送る。これら2つのメッセージが、第1のハンドシェイクを構成する。第2のハンドシェイクとして、ローカルメッシュポイントは、PLOメッセージ614を送信する。これに応じて、PLCメッセージ616がリモートメッシュポイントから受信される。
【0053】
これらのメッセージのやり取りによって、ローカルメッシュポイントとリモートメッシュポイントとの間にピアリンクが構築される。
図6は、このピアリンク構築手順がアウェイクウィンドウ608の終了後も実行されている様子を示している。しかし、
図4を参照しつつ上述したように、この手順がリモートメッシュポイントによって開始されると、ローカルメッシュポイントはこの手順が完了するまで起きている。
【0054】
図7は、アウェイクウィンドウ情報要素(IE)700を示す図である。本明細書に記載しているように、この情報要素は、アウェイク状態206のデバイスが送信するビーコンに含まれる場合がある。
図7に示すように、アウェイクウィンドウIE700は、識別子(ID)フィールド702、長さフィールド704、および、アウェイクウィンドウ指標フィールド706を含む。
【0055】
IDフィールド702は、IE700をアウェイクウィンドウIEと特定する所定値を含む。長さフィールド704は、IE700のサイズを示す。実施形態によると、アウェイクウィンドウの開始は、TBTTを基準として測定される。このため、アウェイクウィンドウ指標フィールド706は、この開始点(ビーコンの送信)からのアウェイクウィンドウの長さ(または期間)を示す。
【0056】
図7は、識別子フィールド702のサイズが1オクテットであり、長さフィールド704のサイズが1オクテットであり、アウェイクウィンドウ指標フィールド706のサイズが2オクテットであることを図示している。これらのサイズは、
図7に示した形式と同様、説明を目的としたものであり、限定を目的とするものではない。したがって、サイズおよび形式が異なる実施形態があってもよい。
【0057】
図8は、デバイスの実施例800を示す図である。この実施例は、メッシュポイント等のデバイスによって採用されるとしてよい。例えば、この実施例は、
図1のデバイス102
1−102
10によって採用されるとしてよい。しかし、本実施例は他の環境でも採用され得る。
【0058】
実施例800は、さまざまな構成要素を含むとしてよい。例えば、
図8は、アンテナ802、送受信モジュール804、ホストモジュール806、および、電力制御モジュール808を含む実施例800を示す。これらの構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、これらの任意の組み合わせによって実現されるとしてよい。
【0059】
アンテナ802は、リモートデバイスとの無線信号のやり取りを可能とする。図示されているアンテナは1つであるが、複数のアンテナも利用し得る。例えば、1以上の送信アンテナおよび1以上の受信アンテナを用いる実施形態があってもよい。これに代えて、または、これに加えて、ビームフォーミング用および/またはフェーズドアレイアンテナ方式用に複数のアンテナを利用する実施形態があってもよい。
【0060】
図8に示すように、送受信モジュール804は、送信部810および受信部812を有する。動作時には、送受信モジュール804は、アンテナ802とホストモジュール806との間のインターフェースとなる。例えば、送信部810は、ホストモジュール806からシンボル820を受信して、アンテナモジュール802による無線送信用に対応する信号822を生成する。この際には、変調、増幅、および/または、フィルタリング等の処理を行なう場合もある。しかし、他の処理を行なう場合もある。
【0061】
逆に、受信部812は、アンテナ802で受信した信号824を取得して、対応するシンボル826を生成する。送受信モジュール804は、シンボル826をホストモジュール806に供給する。このようにシンボル826を生成する際には、(これらに限定されないが)復調、増幅、および/または、フィルタリング等の処理を実行するとしてよい。
【0062】
このような特徴を持つべく、送信部810および受信部812はそれぞれ、変調器、復調器、増幅器、フィルタ、バッファ、アップコンバータ、および/または、ダウンコンバータ等、さまざまな構成要素を含むとしてよい。このような構成要素は、ハードウェア(例えば、電子機器)、ソフトウェア、または、これらの任意の組合せで実現されるとしてよい。
【0063】
ホストモジュール806と送受信モジュール804との間でやり取りされるシンボルは、1以上のプロトコルおよび/または1以上のユーザアプリケーションに対応付けられているメッセージまたは情報を形成しているとしてよい。このため、ホストモジュール806は、このようなプロトコルおよび/またはユーザアプリケーションに対応する処理を実行するとしてよい。プロトコルの例を挙げると、さまざまな媒体アクセス制御プロトコル、ネットワークプロトコル、トランスポートプロトコル、および/または、セッションレイヤプロトコルがある。ユーザアプリケーションの例を挙げると、電話、メッセージ通信、電子メール、ウェブ閲覧、コンテンツ(例えば、動画および音声)配信/受信等を目的としたものがある。
【0064】
信号822および信号824は、さまざまな形式の信号であってよい。例えば、これらの信号はIEEE802.11sに準拠したネットワークでの送信に適した形式を持つとしてよい。しかし、実施形態はこのようなネットワークの例に限定されるものではない。
【0065】
送受信モジュール804は、ホストモジュール806とアンテナ802との間でインターフェースとして動作することに加えて、さまざまな通知、リンク制御、および、媒体アクセス処理を行なうとしてよい。例えば、送受信モジュール804は、ビーコンを生成および(アンテナ802を介して)送信すると共に、通知メッセージ(例えば、トリガメッセージ、PLOメッセージ、PLCメッセージ等)を交換するとしてよい。これらの処理は、送受信モジュール804内の制御モジュール809によって調整されるとしてよい。
図8に示すように、制御モジュール809は、送信部810および受信部812に接続されている。
【0066】
図8はさらに、制御モジュール809がホストモジュール806および電力管理モジュール808に接続されている様子を示している。したがって、制御モジュール809は、これらの構成要素と情報をやり取りするとしてよい。この情報には、制御モジュール809が送信するステータス情報、および、ホストモジュール806および/または電力管理モジュール808が受信する動作指示が含まれるとしてよい。
【0067】
電力制御モジュール808は、装置800のさまざまな処理を制御する。例えば、電力制御モジュール808は、装置800の現在の動作モードおよび動作状態(例えば、アクティブモード202、省電力モード204、アウェイク状態206、および、ドーズ状態208)を規定する。
図8に示すように、これは、送受信モジュール804内の制御モジュール809に送られる動作指示832によって実行されるとしてよい。
【0068】
電力制御モジュール808は、さまざまな要因に基づき、これらのモードおよび状態を規定するとしてよい。このような要因の例を挙げると、これらに限定されないが、送受信モジュール804から受信するステータス情報830、および/または、ホストモジュール806から受信する設定データ828がある。
【0069】
設定データ828は、電力管理モジュール808が適用すべき電力管理のポリシーおよび手順を含むとしてよい。電力管理のポリシーおよび手順は、ビーコン間隔、ウェイクアップ間隔、アウェイクウィンドウ等のパラメータを含むとしてよい。設定データ828がユーザの設定および選択に(少なくとも部分的に)基づいている実施形態もあってよい。
【0070】
ステータス情報830は、送受信モジュール804の現在の動作ステータスを示すとしてよい。例えば、ステータス情報830は、実行中のピア構築プロセスを示すとしてよい。本明細書で説明しているように、実行中のピア構築プロセスは、デバイスの動作状態がアウェイク状態206である期間を左右する場合がある。しかし、ステータス情報830が、上記の情報に加えて、または、上記の情報に代えて、他の形式の情報を含む実施形態もあってよい。
【0071】
図9は、本明細書に記載する1以上の実施形態で実行される処理を示すロジックフロー900である。
図9は具体的な順序を示しているが、順序は変更するとしてもよい。また、図示されている処理は、パラレルに、および/または、シーケンシャルにさまざまな順序で実行されるとしてよい。
【0072】
装置に言及しつつ、図示されている処理を説明する。この装置とは、
図1のMP102
1−102
10のうちいずれか1つのようなメッシュポイントであってよい。したがって、この装置は
図8の実施例を含むとしてよい。しかし、実施形態は、これらの装置および実施例に限定されるものではない。
【0073】
ブロック902において、デバイスはビーコン間隔およびウェイクアップ間隔を決定する。
【0074】
この決定に続き、デバイスは、ブロック904において、ビーコン間隔およびウェイクアップ間隔を他のデバイスに広告する。実施形態によっては、この広告はデバイスが目覚めている間(例えば、アクティブモード202またはアウェイク状態206の間)に実行される。
【0075】
ブロック906において、デバイスはドーズ状態となる。デバイスは、ブロック908において、ドーズ状態からアウェイク状態になる。デバイスは、アウェイク状態では、さまざまな処理を実行するとしてよい。処理の一例は
図3を参照しつつ後述する。例えば、デバイスは、データの送信、データの受信、および/または、リモートデバイスとのピア構築プロセスを実行するとしてよい。しかし、実施形態はこれらの処理に限定されない。
【0076】
本明細書で説明したように、さまざまな実施形態は、ハードウェア素子、ソフトウェア素子、または、これらの任意の組み合わせによって実施され得る。ハードウェア素子の例には、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子(例えば、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ等)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ロジックゲート、レジスタ、半導体装置、チップ、マイクロチップ、チップセット等が含まれるとしてよい。
【0077】
ソフトウェアの例には、ソフトウェア素子、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、機械プログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、方法、プロシージャ、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令列、演算コード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、ワード、値、シンボル、または、これらの任意の組み合わせが含まれるとしてよい。
【0078】
一部の実施形態は、例えば、命令または命令列を格納する機械可読媒体または機械可読物品を用いて実施され得る。当該命令または命令列が機械によって実行されると、当該機械は、本明細書に記載している実施形態に応じた方法および/または処理を実行するとしてよい。このような機械は、例えば、任意の適切な処理プラットフォーム、コンピュータプラットフォーム、コンピュータデバイス、処理デバイス、コンピュータシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ等が含まれるとしてよく、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを適宜組み合わせることによって実現されるとしてよい。
【0079】
機械可読媒体または機械可読物品は、例えば、任意の適切な種類のメモリユニット、メモリデバイス、メモリ物品、メモリ媒体、ストレージデバイス、ストレージ物品、ストレージ媒体、および/または、ストレージユニット、例えば、メモリ、取り外し可能または取り外し不可能な媒体、消去可能または消去不可能な媒体、書き込み可能または書き換え可能な媒体、デジタルまたはアナログ形式の媒体、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)、コンパクトディスクリコーダブル(CD−R)、コンパクトディスクリライタブル(CD−RW)、光ディスク、磁気媒体、光磁気媒体、取り外し可能なメモリカードまたはディスク、さまざまな種類のデジタルバーサティルディスク(DVD)、テープ、カセット等を含むとしてよい。命令は、任意の適切な種類のコード、例えば、ソースコード、コンパイルされたコード、インタープリットされたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、暗号化されたコード等を含むとしてよく、任意の適切な高級プログラミング言語、低級プログラミング言語、オブジェクト指向型プログラミング言語、ビジュアルプログラミング言語、コンパイルされたプログラミング言語、および/または、インタープリットされたプログラミング言語を用いて実装するとしてよい。
【0080】
本発明のさまざまな実施形態を上述してきたが、上述した実施形態は例示に過ぎず、本発明を限定するものではないと理解されたい。例えば、本明細書に記載した方法はIEEE802.11sに準拠したネットワークに限定されない。
【0081】
したがって、本発明の意図および範囲から逸脱することなく上述した実施形態の形式および詳細な内容をさまざまな点で変更し得ることは当業者には明らかである。このため、本発明の範囲は、上述した実施形態例のいずれにも限定されるべきものではなく、請求項およびその均等物に従ってのみ定義されるべきものである。