(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655148
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】モバイルコンピュータ装置表面の冷却を向上させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20141218BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20141218BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
G06F1/00 360C
G06F1/00 360B
G06F1/00 312E
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-528403(P2013-528403)
(86)(22)【出願日】2011年9月26日
(65)【公表番号】特表2013-537989(P2013-537989A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】US2011053264
(87)【国際公開番号】WO2012040706
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2013年3月12日
(31)【優先権主張番号】12/890,420
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マクダーナルド、マーク
【審査官】
緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−224990(JP,A)
【文献】
特開2000−223876(JP,A)
【文献】
特開平08−263162(JP,A)
【文献】
特開2007−066071(JP,A)
【文献】
特開2008−112225(JP,A)
【文献】
特開2000−010664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
G06F 1/16
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
内部に発熱コンポーネントを収容し、第1開口を有する第1空気ダクトと第2開口を有する第2空気ダクトとに隣接して配置された筐体と、
前記第1空気ダクト、前記第2空気ダクト及び前記筐体とのアクセスを有し、前記第1空気ダクト及び前記第2空気ダクトの両方を介して空気を引き込み、流出口としての前記筐体の内部に空気を放出するように配置された空気移動装置と
を備え、
前記第1空気ダクト及び前記第2空気ダクトが、別々の空気ダクトを有して2つ以上の別々の空気流を促し、
前記第1空気ダクトが、前記筐体の上方で、前記装置のパームレスト部と前記筐体の間に配置され、
前記第2空気ダクトが、前記筐体の下方で、前記装置の底部と前記筐体の間に配置される
装置。
【請求項2】
前記第1開口が、前記第1空気ダクトに隣接する前記装置の側面に配置され、前記第2開口が、前記第2空気ダクトに隣接する前記装置の側面に配置される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2開口が、前記装置の上面および下面の少なくとも一方に配置される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上面および下面を有するベース部と、
前記ベース部の前記上面に隣接して位置付けられ、自己の内部へと空気流を促す第1開口を有する第1空気ダクトと、
前記ベース部の前記下面に隣接して位置付けられ、自己の内部へと空気流を促す第2開口を有する第2空気ダクトと、
内部に発熱コンポーネントを有し、前記第1空気ダクトと前記第2空気ダクトの間で、前記第1空気ダクトと前記第2空気ダクトに隣接して位置付けられる筐体と、
前記第1空気ダクト、前記第2空気ダクト及び前記筐体とのアクセスを有して、前記第1及び第2空気ダクトの両方を介して空気を引き込み、流出口としての前記筐体の内部に空気を放出するように配置された空気移動装置と
を備え、
前記第1空気ダクト及び前記第2空気ダクトが別々の空気ダクトを有し、前記第1空気ダクトの前記空気流及び前記第2空気ダクトの前記空気流が別々の空気流を含む
コンピュータシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2開口が、前記第1及び第2空気ダクトに隣接する前記ベース部の側面に配置される請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2開口が、前記空気移動装置とは反対側の前記ベース部の側面に配置される請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記第1空気ダクトが、前記コンピュータシステムのパームレスト部に隣接して配置され、前記第2空気ダクトが、前記コンピュータシステムのラップレスト部(lap rest portion)に隣接して配置される請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
コンピュータシステムの1つ以上の発熱コンポーネントを収容する筐体に隣接して位置付けられた第1空気ダクト及び第2空気ダクトに、第1開口及び第2開口を介して空気を引き込む段階と、
前記第1及び第2開口から前記第1及び第2空気ダクトを通って2つ以上の別々の空気流路を空気移動装置に導き、前記第1空気ダクトの面と前記第2空気ダクトの面のうちの1以上を冷却する段階と、
前記空気移動装置において、前記第1及び第2空気ダクトから空気を受け取り、受け取った前記空気を前記筐体の内部に放出し、前記筐体内の前記1つ以上の発熱コンポーネントを冷却する段階と、
加熱された空気を排気口を通じて前記筐体から排気する段階と
を備え、
前記第1空気ダクトが前記筐体の上方に配置され、前記第2空気ダクトが前記筐体の下方に配置され、前記第1空気ダクト及び前記第2空気ダクトが別々の空気ダクトを有する
方法。
【請求項9】
前記第1及び第2空気ダクトに空気を引き込む段階は、前記第1及び第2空気ダクトのうちの1以上の側面に位置付けられた前記第1及び第2開口を介して空気を引き込む段階を有する請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンピュータシステム設計では、小さいフォームファクターで機能を増やすことがよく行われる。機能の増加は、熱エネルギーもしくは熱を発生する電子コンポーネントにより実現されることが多いので、熱設計における課題となっている。いくつかの設計では、扇風機等の空気移動装置(air movers)を筐体に含め、空気を筐体内に流し、筐体内に設けられた電子コンポーネントを冷却する。空気は、筐体内を移動するとき、発熱コンポーネントと熱的に接触し、加熱された排気として筐体から排出される。
【背景技術】
【0002】
最近の多くのモバイルコンピューティング用途において、モバイル装置は、机、テーブル、もしくはその他の丈夫な支持体を利用できない場所で使用される。ユーザは、ユーザのモバイル装置を、ユーザの膝(lap)もしくは膝(knee)、または、枕、毛布、クッション等の形状追従的な面に置いて操作することが多い。便利ではあっても、このような使用法では、通常は装置の下面に設けられる空気の流入口が、ユーザの脚もしくは膝、または形状追従的な面により塞がれてしまい、システムへの空気の流入が妨げられてしまうという問題が生じうる。さらに、発熱コンポーネントがそれぞれの動作限界内に維持されるのに十分な流入空気流を装置が受け取っている場合でも、これらのコンポーネントからの熱エネルギーによって、装置の上面および下面の温度が、装置を長時間使用することでユーザが快適でなくなる温度まで上昇しうる。
【0003】
理解されるであろうように、モバイルコンピュータ装置の上面および下面におけるユーザとの接触面の動作温度を低下させるシステムおよび方法が大いに必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面において、実施形態を、限定としてではなく例示として示し、同様な参照番号により同様な要素を示す。
【
図1】装置の実施形態の一部切り欠き上面図である。
【
図2】
図1の装置の線2−2における部分的な断面図である。
【
図3】
図1の装置の線3−3における端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ラップトップコンピュータ等の最近のモバイルコンピュータ装置は、従来のオフィス環境以外での使用をユーザにより望まれる場合が多い。多くの例では、ユーザは移動しながら装置を操作するので、装置を膝(lap)もしくは膝(knee)で支えることが必要になるかもしれない。他の例では、ユーザは家でソファーもしくは椅子に座りながら装置を操作する場合もあり、この場合は、装置を枕もしくはクッションで支えることがある。コンピュータ装置は、1つ以上の発熱コンポーネントを備えており、操作中に装置の表面温度が周囲の温度よりもかなり上昇してしまう場合がある。ユーザが装置を膝(lap)もしくは膝(knee)で支える場合、加熱された装置の下面に長時間接触していることで不快になるかもしれない。ユーザとの接触面の別の例は、装置のパームレストである。加熱されたパームレストに長時間接触していることで、同じく不快になるかもしれない。
【0006】
したがって、多様な実施形態において、モバイルコンピュータ装置のユーザとの接触面を冷却する方法および装置を開示する。その他の実施形態も記載して権利請求する。
【0007】
開示される実施形態は、一般的に、モバイルコンピュータ装置の表面の動作温度を低下させる方法および装置に関する。一実施形態は、1つ以上の開口を有する空気ダクトを備える装置に関する。各開口は、1つ以上の空気流を空気ダクトに促す。中心筐体には、内部に発熱コンポーネントを設けてよく、中心筐体は、空気ダクトに隣接するよう位置付けられる。空気移動装置を空気ダクトにアクセスできるように設けて、空気ダクトが流入口として用いられるようにしてよい。空気移動装置は、中心筐体にアクセスを有して、中心筐体を流出口として用いてよい。
【0008】
別の実施形態は、上面および下面を有するベース部を持つコンピュータシステムに関する。空気ダクトを、ベース部の上面および/または下面の一方に隣接するように位置付けてよく、空気ダクトは、空気ダクトに空気流を促す1つ以上の開口を有する。中心筐体には、内部に発熱コンポーネントを設けてよく、中心筐体は、空気ダクトに隣接するよう位置付けられる。空気移動装置を空気ダクトにアクセスできるように設けて、空気ダクトが流入口として用いられるようにしてよい。空気移動装置は、さらに中心筐体にもアクセスを有して、中心筐体を流出口として用いてよい。さらに別の実施形態は、コンピュータシステムの1つ以上の発熱コンポーネントを内包する中心筐体に隣接するよう位置付けられた空気ダクトに空気を引き込む段階と、1つ以上の空気流路を空気ダクトを通じて空気移動装置に導いて空気ダクトの表面を冷却する段階と、空気移動装置において空気ダクトからの空気を受け取り、受け取った空気を中心筐体に放出して中心筐体内の1つ以上の発熱コンポーネントを冷却する段階と、中心筐体からの加熱された空気を排気口から排気する段階とを備える方法に関する。その他の実施形態も記載して権利請求する。
【0009】
実施形態の完全な理解を促すべく、多くの特定的な詳細を明記する。しかし、実施形態は、これらの特定的な詳細がなくても実施されうることは当業者には理解されよう。別の例では、周知の動作、コンポーネント、および回路については、実施形態が曖昧にならないように詳細な記載を省いた。本明細書に開示される特定の構造的および機能的な詳細は代表的な例であり、実施形態の範囲が必ずしもそれに限定されないことは理解されよう。
【0010】
明細書全体において「多様な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、もしくは「ある実施形態」等と言及される場合、当該実施形態に関連して記載される特定の特性、構造、もしくは特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることが意図されている。したがって、明細書の各所に現れる「多様な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、もしくは「ある実施形態」等の文言は、必ずしも全てが同じ実施形態を示すのではない。さらに、特定の特性、構造、もしくは特徴は、1つ以上の実施形態において適切に組み合わせてよい。
【0011】
図1は、モバイルコンピュータシステム100の一部を示す一部切り欠き上面図であり、図示の実施形態では、当該一部は、ラップトップコンピュータのベース部である。説明を容易にする目的で、ふた部(つまり、ディスプレイが搭載される部分)は図示していない。システム100は、いくつかの実施形態に係る冷却構造を備えてよい。図示のように、システム100の1つ以上の側面102には、1つ以上の空気流入口104が設けられてよい。システムの反対側の側面103に隣接するように空気移動装置106を設けて、空気を空気流入口104を通じて引き込み、空気流路108を通って、システムの一部を横断させてよい。
【0012】
図2は、システム100の一部を示す断面図であり、当該一部においては、中心筐体110が、動作中に発熱することができる多様な電子コンポーネントを内包してよい。たとえば、これらのコンポーネントのいくつかは、プロセッサ、ハードディスクドライブ、光学式ドライブ、電池セル等であってよい。空気移動装置106は、中心筐体110の内部に設けてよい。
【0013】
システム100は、上方および下方の空気ダクト112および114を、中心筐体110の上方および下方に備えてよい。上方および下方の空気ダクト112および114は、システム100の1つ以上の側面102に設けられた空気流入口104と流体連結してよい。上方および下方の空気ダクト112および114は、空気移動装置106とも流体連結してよい。このように構成されることで、空気移動装置は、空気流入口104から空気を引き込み、流路108に沿って上方および下方の空気ダクト112および114内を空気が流れるようにしてよい。空気は、空気移動装置106の上方および下方の流入口に流入し、中心筐体110内へと流線116に沿って放出され、中心筐体内に設けられた電子コンポーネントから熱を除去してよい。加熱された排気は、中心筐体110から側面流出口を通じて排気される。
【0014】
図2では、空気流入口104は、システム100の側面102に位置するよう示されているが、いくつかの実施形態では、空気流入口は、システム100の上面および/または下面のうち1つ以上に設けてよい。さらに別の実施形態では、上面、下面、および/または側面を多様に組み合わせて空気口を設けてよい。
【0015】
空気移動装置106は、上方および下方の流入口を有する、単一流出口の送風機であってよい。いくつかの実施形態では、空気移動装置106は、下方から空気を引き込むべく下方流入口を有する放射状の送風機であってよい。空気移動装置106は、直線状または湾曲状の羽根を有する筐体無しの放射状の送風機であってもよい。遠心性の送風機、流出口を2つ有する送風機、かご形送風機、イオン風(電気流体力学的な空気移動装置)、圧電フラッパ空気移動装置、シンセティックジェット等のその他の種類の空気移動装置を用いてもよい。
【0016】
図2に見られるように、上方ダクト112は、システム100のパームレスト部と面一であってよい上面118と、中心筐体110の上面を形成する下面120とを有してよい。下方ダクト114は、システムの底部(つまり、ユーザの膝(lap)もしくは膝(knee)に置かれる面)と面一であってよい下面122と、中心筐体110の下面を形成する上面124とを有してよい。
【0017】
図2は、上方空気ダクト112のうち装置のキーボード126に隣接して設けられる部分を示す。しかし、
図1に示すように、上方空気ダクト112の一部(黒い輪郭線で示される)は、装置のキーボード126の一部よりも下方に設けてよい。装置のベース部の上面を実質的に平坦にするべく、上方空気ダクト112の一部を下方に傾斜させて上方空気ダクト112の上面118がキーボード126(
図1)の下方に嵌合するようにしてよい。上方空気ダクト112をこのように「段差状」もしくは「傾斜状」にすることにより、上方空気ダクト112に一定の厚さ「t1」(
図2)を持たせつつ、ベース部の外観を実質的に平坦にしてよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、上方および下方の空気ダクト112および114は、中心筐体110に含まれるシステム100の発熱コンポーネントの上方/下方に敷設されるようにサイズ決めかつ構成されてよい(
図1参照)。他の実施形態では、上方および下方の空気ダクト112および114は、システムのベース部全体の上方/下方に敷設されるようにサイズ決めかつ構成されてよい。さらに他の実施形態では、上方および下方の空気ダクト112および114は、互いに異なるサイズおよび/または形状を有してよい。一実施形態では、上方空気ダクト112は、装置のパームレスト部だけに敷設されるようにサイズ決めされてよく、下方空気ダクト114は、システム100のベース部の下面全体に敷設されるようにサイズ決めされてよい。他の実施形態では、上方空気ダクト112は、厚さ「t1」を有してよく、これは下方ダクト114の厚さ「t2」と同じでも違ってもよい。さらなる実施形態では、上方ダクト112だけを設けてよい。他の実施形態では、下方ダクト114だけを設けてよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、上方および/または下方の空気ダクト112、114の厚さ「t1」、「t2」は、ダクトの長さおよび/または幅の全体にわたって可変であってよい。このような実施形態は、特に高さがあるコンポーネントを収容するべく中心筐体110の内部で「突出」した部分を設けるために利用してよく、または、システム100の全体的な流量分布最適化計画の一部であってよい。
【0020】
図には示されないが、上方および/または下方の空気ダクト112、114の実施形態は、各ダクト内で所望の空気流路が設けられるように、内部に羽根もしくは分流部材を有してよい。いくつかの実施形態は、2つ以上の上方空気ダクト112、および/または、2つ以上の下方空気ダクト114を有してよい。
【0021】
上方および下方の空気ダクト112および114は、当技術分野で知られる任意の筐体材料で形成してよい。上方空気ダクト112の下面120および下方空気ダクト114の上面124は、中心筐体110を形成するのに使用される金属薄板で形成してよい。いくつかの実施形態では、上方および下方のダクト112および114は、別々に形成して中心筐体110に取り付けてよい。他の実施形態では、上方空気ダクトの下面120および下方空気ダクトの上面124は、中心筐体110の上面および下面を形成してよい。
【0022】
図3は、システム100の側面口104の実施形態を示す。第1セット128および第2セット130の側面口104を、システム100の上面及び下面に隣接するよう設けてよい。第1セット128の空気口104は、上方空気ダクト112に隣接して設けてよく、第2セット130の空気口は、下方空気ダクト114に隣接して設けてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、上方空気ダクト112は、第1セット128の側面口104と流体連結してよく、下方空気ダクト114は、第2セット130の側面口104と流体連結してよい。他の実施形態では、上方および下方の空気ダクト112および114は、システム100の側面102の別々の位置に設けられた別々のセット128および130の側面口から給気されてよい。他の実施形態では、上方および下方の空気ダクト112および114は、1つのセットの側面口104から給気されてよい。
【0024】
側面口104は、幅「w1」(セット128)および幅「w2」(セット130)を有してよい。一実施形態では、側面口104の幅「w1」および「w2」は、上方および下方の空気ダクト112および114の厚さ「t1」および「t2」より実質的に大きくてよい。いくつかの実施形態では、厚さ「t1」および「t2」は、約1ミリメートルから約5ミリメートルであってよい。一つの非限定的な典型的実施形態では、厚さ「t1」および「t2」は、約3ミリメートルである。いくつかの実施形態では、側面口104は、上方および下方の空気ダクト112および114と実質的に同じ厚さ「t1」および「t2」を有してよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、セット128および130の側面口は、システム100において空気移動装置106とは反対側の部分に設けられる。他の実施形態では、セット128および130の側面口は、システムにおいて空気移動装置106に隣接する部分に設けられる。
【0026】
動作時は、比較的に冷涼な空気を空気移動装置106により上方および下方の空気ダクト112および114に引き込んでよい。この空気は、流路108を通ってダクトを移動するときに、上方および下方の空気ダクトのユーザとの接触面(つまり、上方空気ダクト112の上面118および下方空気ダクト114の下面122)を冷却しうる。この空気流路108は中心筐体110の上面および下面に接触するので、この「最初の横断的」通行("first through" pass)によっても中心筐体110に含まれる発熱コンポーネントが冷却されうる。流入空気は、空気移動装置106に流れ、流線116に沿って中心筐体110内に放出され、筐体内の発熱コンポーネントを直に冷却する。次に、加熱された空気は、1つ以上の排気口111から排気してよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、この構成により、ユーザとの接触面118および122は、周囲温度より数℃(たとえば、2〜3℃)高いだけに維持されうる。
【0028】
図4は、いくつかの実施形態に係るコンピュータシステムを冷却するのに用いられうる方法の一例を示すブロック図である。ブロック402で、空気移動装置を用いて空気をコンピュータシステムの空気ダクトに引き込む。空気ダクトは、中心筐体の上方もしくは下方に設けてよい。中心筐体は、プロセッサ、ハードドライブ、光学式ドライブ等のコンピュータシステムの1つ以上の発熱コンポーネントを含んでよい。一実施形態では、一対の空気ダクトを設けてよい。一方の空気ダクトを中心筐体の上方に設け、第2の空気ダクトを中心筐体の下方に設けてよい。一対の空気ダクトに隣接して設けられた各側面口から、空気を一対の空気ダクトに引き込んでよい。一実施形態では、システムの空気移動装置側とは反対側に側面口を設けてよい。ブロック404で、エンクロージャ(enclosure)を用いて1つ以上の空気流路を空気移動装置に導いてよく、その過程で空気流は空気ダクトの表面を冷却してよい。エンクロージャが一対の空気ダクトである場合、空気ダクトを流れる空気流によって、中心筐体の上方に設けられた空気ダクトの上面および中心筐体の下方に設けられた空気ダクトの下面が冷却されうる。ブロック406で、空気移動装置が空気ダクトから空気を受け取り、受け取った空気を中心筐体に放出して、中心筐体内に設けられた1つ以上の発熱コンポーネントを冷却する。ブロック408で、加熱された空気を排気口から排気してよい。
【0029】
実施形態を多様な用途で用いてよいことは理解されるべきである。実施形態は以下に限定されないが、いくつかの実施形態は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、ネットワーク、形態情報端末(PDA)装置、無線通信ステーション、無線通信装置、携帯電話、移動体電話、無線電話、PDA装置等の多くの電子機器と関連して用いてよい。
【0030】
構造的特性および/または方法的動作に特定的な文言で発明主題を記載したが、添付の特許請求の範囲に規定される発明主題は、上記の特定の特性もしくは動作に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定的な特性および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されたものである。