【実施例】
【0034】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本発明における各種の測定は次のようにして行った。
【0035】
(1)分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径(D
50)
分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径(D
50)は、粒度分布測定装置(商品名“ナノトラック粒度分析計UPA−EX”、日機装(株))を用いて測定した。
【0036】
(2)可視光応答型酸化チタン微粒子分散液の安定性
酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子の分散安定性は、上記粒度分布測定装置により、製造当日の平均粒子径と室内冷暗所に6ヶ月間放置したあとの平均粒子径を次の基準で比較し、評価した。
【0037】
良好(○と表示) ・・・ 差が+30%以下。
やや不良(△と表示)・・・ 差が+30%を超え、+50%以下。
不良(×と表示) ・・・ 差が+50%を超える、若しくは粒子が容器底部に沈澱。
【0038】
(3)酸化チタン微粒子に含有されるペルオキソチタン成分の存在
酸化チタン微粒子に含有されるペルオキソチタン成分の存在は、ペルオキソ基中のO−O結合の存在の有無によって確認した。具体的には、得られた酸化チタン微粒子分散液を室温で自然乾燥することで得た酸化チタン微粒子の粉末を、赤外分光光度計(商品名“SYSTEM2000”、PerkinElmer社)で測定し、900cm
-1付近のO−O結合のピークの有無を確認した。
【0039】
(4)酸化チタン微粒子分散液に含有されるペルオキソチタン成分濃度
酸化チタン微粒子分散液中のペルオキソチタン成分濃度は、過酸化水素吸光光度法によって測定した。具体的には酸化チタン微粒子分散液を硫酸酸性としてペルオキソチタン成分と反応、呈色させた後、紫外可視近赤外分光光度計(商品名“LAMBDA 950”、Perkin Elmer社)を用いて410nmの波長の強度を測定し、Ti標準液との相対強度から算出した。
【0040】
(5)光触媒薄膜の透明性
基材であるガラス板のHAZE値(%)を測定する。次に、分散液を該ガラス上に塗布、乾燥することで光触媒薄膜を作製し、該薄膜を作製した状態のガラス板のHAZE値を測定する。その差から光触媒薄膜のHAZE値を求める。HAZE値の測定はHAZEメーター(商品名“デジタルヘイズメーターNDH−200”、日本電色工業(株))を用いた。光触媒薄膜の透明性を求められたHAZE値の差から次の基準で評価した。
【0041】
良好(○と表示) ・・・ 差が+1%以下。
やや不良(△と表示)・・・ 差が+1%を超え、+3%以下。
不良(×と表示) ・・・ 差が+3%を超える。
【0042】
(6)光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能試験(LED照射下)
分散液を塗布、乾燥することで作製した光触媒薄膜の活性を、アセトアルデヒドガスの分解反応により評価した。評価はバッチ式ガス分解性能評価法により行った。
具体的には、容積5Lの石英ガラス窓付きステンレス製セル内にA4サイズのPETフィルム上に50mgの光触媒薄膜を形成した評価用サンプルを設置したのち、該セルを湿度50%に調湿した濃度5ppmのアセトアルデヒドガスで満たし、該セル上部に設置したLED(商品名“TH−211×200SW”、シーシーエス(株)、分光分布:400〜800nm)で照度30,000LUXになるように光を照射した。薄膜上の光触媒によりアセトアルデヒドガスが分解すると、該セル中のアセトアルデヒドガス濃度が低下する。そこで、その濃度を測定することで、アセトアルデヒドガス分解量を求めることができる。アセトアルデヒドガス濃度は光音響マルチガスモニタ(商品名“INNOVA1412”、LumaSense社製)を用いて測定し、12時間照射後の残存アセトアルデヒドガス濃度を比較することで評価した。
【0043】
[実施例1]
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液に硫酸バナジル(IV)をTi/V(モル比)が2,000、塩化スズ(IV)をTi/Sn(モル比)が20となるように添加し、これを純水で10倍に希釈した後、この水溶液に10質量%のアンモニア水を徐々に添加して中和、加水分解することによりバナジウム、スズを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの溶液のpHは8であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、純水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のバナジウム、スズを含有する水酸化チタン沈殿物に過酸化水素/水酸化チタン(モル比)が2.5以上となるように30質量%過酸化水素水を添加し、その後室温で一昼夜撹拌して十分に反応させた。その後、純水を添加して濃度調整を行うことにより、黄色透明のバナジウム、スズ含有ペルオキソチタン酸溶液(a)(固形分濃度1質量%)を得た。
【0044】
容積500mLのオートクレーブに、ペルオキソチタン酸溶液(a)400mLを仕込み、これを120℃、0.2MPaの条件下、240分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、酸化チタン微粒子分散液(A)を得た。
【0045】
酸化チタン微粒子分散液(A)を室温で乾燥して得た粉末を、赤外分光光度計で測定したところ、900cm
-1付近にペルオキソ基中のO−O結合のピークが確認できた。
【0046】
酸化チタン微粒子分散液(A)に硫酸を添加し、ペルオキソチタン成分をオレンジ色に呈色させ、この色の吸収を紫外可視近赤外分光光度計によって測定し、別にTi標準溶液で作製しておいた検量線からペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ、0.32%であった。
【0047】
硫酸銅(II)を純水で溶解し、1質量%の硫酸銅水溶液(i)を得た。
【0048】
酸化チタン微粒子分散液(A)に硫酸銅水溶液(i)を酸化チタンに対して金属銅成分が0.10質量%となるように添加し、撹拌機で混合することにより、本発明の可視光応答型酸化チタン微粒子分散液(α)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は11nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は12nmであった(良好:○)。
【0049】
酸化チタン微粒子分散液(α)にシリカ系のバインダー(コロイダルシリカ、商品名:スノーテックス20、日産化学工業(株)製)をTiO
2/SiO
2質量比1.5で添加し、評価用コーティング液を作製した。
【0050】
評価用コーティング液をガラス板上にディップコーターで塗布、乾燥させ、膜厚が150nmの光触媒薄膜を形成し、評価用サンプルを得た。HAZEメーターでHAZE値を測定したところ、基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差は0.5%(良好:○)であった。
【0051】
評価用コーティング液を#7のワイヤーバーコーターによってA4サイズのPETフィルムに50mgの光触媒薄膜を形成するよう塗工し、アセトアルデヒドガス分解性能評価用サンプルを得た。この光触媒薄膜のガス分解率をバッチ式ガス分解性能評価法により測定したところ、LED照射12時間後のガス分解率は58%であった。
【0052】
[実施例2]
60質量%の硫酸チタニル(IV)水溶液にオキシ三塩化バナジウム(V)をTi/V(モル比)が200、スズ酸カリウム(IV)をTi/Sn(モル比)が20となるように添加し、これを純水で10倍に希釈した後、この水溶液に10質量%のアンモニア水を徐々に添加して中和、加水分解することによりバナジウム、スズを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの溶液のpHは8.5であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、純水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のバナジウム、スズを含有する水酸化チタン沈殿物に過酸化水素/水酸化チタン(モル比)が3以上となるように30質量%過酸化水素水を添加し、その後室温で一昼夜撹拌して十分に反応させた。その後、純水を添加して濃度調整を行うことにより、黄色透明のバナジウム、スズ含有ペルオキソチタン酸溶液(b)(固形分濃度1質量%)を得た。
【0053】
容積500mLのオートクレーブに、ペルオキソチタン酸溶液(b)400mLを仕込み、これを180℃、1.1MPaの条件下、180分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、酸化チタン微粒子分散液(B)を得た。
【0054】
酸化チタン微粒子分散液(B)を室温で乾燥して得た粉末を、赤外分光光度計で測定したところ、900cm
-1付近にペルオキソ基中のO−O結合のピークが確認できた。
【0055】
酸化チタン微粒子分散液(B)に硫酸を添加し、ペルオキソチタン成分をオレンジ色に呈色させ、この色の吸収を紫外可視近赤外分光光度計によって測定し、別にTi標準溶液で作製しておいた検量線からペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ、0.26%であった。
【0056】
酸化チタン微粒子分散液(B)に硫酸銅水溶液(i)を酸化チタンに対して金属銅成分が0.10質量%となるように添加し、撹拌機で混合することにより、本発明の可視光応答型酸化チタン微粒子分散液(β)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は10nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は12nmであった(良好:○)。
【0057】
以下、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(β)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.5%(良好:○)、ガス分解率は33%であった。
【0058】
[実施例3]
塩化スズ(IV)をTi/Sn(モル比)が500となるように添加した以外は実施例1と同様にして、本発明の可視光応答型酸化チタン微粒子分散液(γ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は15nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は17nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.12%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(γ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.7%(良好:○)、ガス分解率は28%であった。
【0059】
[実施例4]
酸化チタン微粒子分散液(A)に硫酸銅水溶液(i)を0.5質量%となるように添加した以外は実施例1と同様にして、本発明の可視光応答型酸化チタン微粒子分散液(δ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は11nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は12nmであった(良好:○)。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(δ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.4%(良好:○)、ガス分解率は48%であった。
【0060】
[実施例5]
水熱処理時間を150分間とした以外は実施例1と同様にして、本発明の可視光応答型酸化チタン微粒子分散液(ε)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は9nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は11nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ1.20%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(ε)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.4%(良好:○)、ガス分解率は40%であった。
【0061】
[比較例1]
塩化スズ(IV)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(ζ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は27nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は30nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.09%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(ζ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は1.0%(良好:○)、ガス分解率は3%であった。
【0062】
[比較例2]
オキシ三塩化バナジウム(V)を添加しなかったこと以外は実施例2と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(η)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は12nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は14nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.29%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(η)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.5%(良好:○)、ガス分解率は0%であった。
【0063】
[比較例3]
オキシ三塩化バナジウム(V)をTi/V(モル比)が10となるように添加した以外は実施例2と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(θ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は3nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は3nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.30%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(θ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.2%(良好:○)、ガス分解率は0%であった。
【0064】
[比較例4]
オキシ三塩化バナジウム(V)をTi/V(モル比)が50,000となるように添加した以外は実施例2と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(ι)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は12nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は14nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.31%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(ι)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.5%(良好:○)、ガス分解率は1%であった。
【0065】
[比較例5]
塩化スズ(IV)をTi/Sn(モル比)が1となるように添加した以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(κ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は4nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は4nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ1.05%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(κ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.3%(良好:○)、ガス分解率は6%であった。
【0066】
[比較例6]
塩化スズ(IV)をTi/Sn(モル比)が5,000となるように添加した以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(λ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は25nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は29nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.05%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(λ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.7%(良好:○)、ガス分解率は4%であった。
【0067】
[比較例7]
硫酸銅水溶液(i)を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(μ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は11nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は12nmであった(良好:○)。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(μ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.5%(良好:○)、ガス分解率は2%であった。
【0068】
[比較例8]
酸化チタン微粒子分散液(A)に硫酸銅水溶液(i)を酸化チタンに対して金属銅成分が0.001質量%となるように添加したこと以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(ν)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は11nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は13nmであった(良好:○)。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(ν)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.3%(良好:○)、ガス分解率は8%であった。
【0069】
[比較例9]
酸化チタン微粒子分散液(A)に硫酸銅水溶液(i)を酸化チタンに対して金属銅成分が5.0質量%となるように添加したこと以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(ξ)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は15nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は7nmであった(良好:○)。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(ξ)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は7.2%(不良:×)、ガス分解率は0%であった。
【0070】
[比較例10]
水熱処理時間を720分間としたこと以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(ο)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は85nmであり、3日間室内冷暗所に放置したところ、酸化チタン微粒子は容器の底に沈澱していた(不良:×)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認されず、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ0.01%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(ο)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は5.1%(不良:×)、ガス分解率は22%であった。
【0071】
[比較例11]
水熱処理時間を60分間としたこと以外は実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子分散液(π)を得た。得られた分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は10nmであった。また、6ヶ月間室内冷暗所に放置した酸化チタン微粒子分散液の平均粒子径は11nmであった(良好:○)。
尚、途中、水熱処理後であって硫酸銅水溶液(i)添加前の酸化チタン微粒子分散液中の酸化チタン微粒子にペルオキソ基の存在が確認され、ペルオキソチタン成分の濃度を求めたところ3.50%であった。
また、実施例1と同様に、酸化チタン微粒子分散液(π)から、評価用コーティング液を作製し、該評価用コーティング液を用いて、光触媒薄膜の透明性(基材のガラス板と光触媒コートガラス板のHAZE値の差)、光触媒薄膜のアセトアルデヒドガス分解性能(ガス分解率)を測定したところ、それぞれHAZE値の差は0.4%(良好:○)、ガス分解率は0%であった。
【0072】
表1に、実施例1〜5、比較例1〜11の酸化チタン微粒子の反応条件、平均粒子径、ペルオキソチタン成分有無、ペルオキソチタン成分濃度、分散液の安定性、光触媒薄膜の透明性、及びアセトアルデヒドガス分解試験におけるLED照射12時間後のアセトアルデヒドガス分解率をまとめて示す。
【0073】
比較例1、5、6の結果から分かるように、スズを添加しない、添加量が少なすぎる又は多すぎると十分な可視光活性が得られない。
【0074】
比較例2、3、4の結果から分かるように、バナジウムを添加しない、添加量が少なすぎる又は多すぎると十分な可視光活性が得られない。
【0075】
比較例7、8、9の結果から分かるように、銅を添加しない、添加量が少なすぎる又は多すぎると十分な可視光活性が得られない。
【0076】
比較例10の結果から分かるように、ペルオキソチタン成分を少なくしすぎると酸化チタン分散液中の酸化チタン微粒子の分散状態が悪化し、分散液の安定性及び光触媒膜の透明性が確保できない。
【0077】
比較例11の結果から分かるように、ペルオキソチタン成分を残しすぎると十分な可視光活性が得られない。
【0078】
実施例1〜5の結果から分かるように、ペルオキソチタン成分、バナジウム成分及びスズ成分を所定量含有した酸化チタン微粒子分散液に銅化合物を所定量添加することにより、可視領域の光のみ発光するLED照射下でもアセトアルデヒドガスの分解(即ち、光触媒活性)が良好になることが分かる。
【0079】
【表1】