特許第5655996号(P5655996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655996液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5655996
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/30 20060101AFI20141225BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 19/24 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 19/22 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20141225BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C09K19/30
   C09K19/34
   C09K19/24
   C09K19/22
   C09K19/20
   C09K19/18
   C09K19/16
   G02F1/13 500
【請求項の数】7
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2014-532164(P2014-532164)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2014052074
【審査請求日】2014年7月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-21331(P2013-21331)
(32)【優先日】2013年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】岩下 芳典
(72)【発明者】
【氏名】河村 丞治
(72)【発明者】
【氏名】栗沢 和樹
(72)【発明者】
【氏名】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】小川 真治
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/122011(WO,A1)
【文献】 特表2013−503952(JP,A)
【文献】 特開2008−031432(JP,A)
【文献】 特開2011−089082(JP,A)
【文献】 特開2011−105927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/30
C09K 19/16
C09K 19/18
C09K 19/20
C09K 19/22
C09K 19/24
C09K 19/34
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(i)
【化1】
で表される化合物を含有し、式(XII−1−5)及び/又は(XII−1−6)
【化2】
で表される化合物を8〜20質量%含有し、式(XII−2)
【化3】
(式中、RX1及びRX2はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表す。)で表される化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。
【請求項2】
一般式(L)
【化4】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
OLは0、1、2又は3を表し、
L1、BL2及びBL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子のいずれかひとつで置換されていても良く、
L1及びLL2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
OLが2又は3であってLL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、OLが2又は3であってBL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、ただし、式(i)で表される化合物を除く。)で表される化合物を含有する請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
一般式(XI−1)
【化5】
(式中、RX1及びRX2はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。)で表される化合物を含有する請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
一般式(XIII)
【化6】
(式中、RX1及びRX2はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、MX31は、
(a)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)又は基(b)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良いが、MX3が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、Wは0又は1を表し、X31〜X36は水素原子又はフッ素原子を表すが、X31及びX32の組み合わせ、X33及びX34の組み合わせ、X35及びX36の組み合わせ、のうち少なくとも1組の組み合わせがともにフッ素原子である。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
反応性モノマーを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示素子を用いた液晶ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は液晶表示装置等の構成部材として有用な液晶組成物及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ、時計、広告表示板等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(ツイステッド・ネマチック)型、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型、TFT(薄膜トランジスタ)を用いたVA(垂直配向)型やIPS(イン・プレーン・スイッチング)型等がある。これらの液晶表示素子に用いられる液晶組成物は水分、空気、熱、光などの外的要因に対して安定であること、また、室温を中心としてできるだけ広い温度範囲で液晶相を示し、低粘性であり、かつ駆動電圧が低いことが求められる。さらに液晶組成物は個々の表示素子に対してあわせ最適な誘電率異方性(Δε)又は及び屈折率異方性(Δn)等を最適な値とするために、数種類から数十種類の化合物から構成されている。
【0003】
垂直配向型ディスプレイではΔεが負の液晶組成物が用いられており、液晶TV等に広く用いられている。一方、全ての駆動方式において低電圧駆動、高速応答、広い動作温度範囲が求められている。すなわち、Δεが正で絶対値が大きく、粘度(η)が小さく、高いネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が要求されている。また、Δnとセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、液晶組成物のΔnをセルギャップに合わせて適当な範囲に調節する必要がある。加えて液晶表示素子をテレビ等へ応用する場合においては高速応答性が重視されるため、γの小さい液晶組成物が要求される。
従来、γの小さい液晶組成物を構成するためには、ジアルキルビシクロヘキサン骨格を有する化合物を用いることが一般的であった(特許文献1参照)。しかしながら、ビシクロヘキサン系化合物はγの低減には効果が高いものの、一般に蒸気圧が高くアルキル鎖長の短い化合物は特にその傾向が顕著である。又、Tniも低い傾向があることからそのため、アルキルビシクロヘキサン系化合物は側鎖長の合計が炭素原子数7以上の化合物を用いることが多く、側鎖長の短い化合物については十分な検討がなされていないのが実情であった。
【0004】
一方、液晶表示素子の用途が拡大するに至り、その使用方法、製造方法にも大きな変化が見られこれらに対応するためには、従来知られているような基本的な物性値以外の特性を最適化することが求められるようになった。すなわち、液晶組成物を使用する液晶表示素子はVA(垂直配向)型やIPS(イン・プレーン・スイッチング)型等が広く使用されるに至り、その大きさも50型以上の超大型サイズの表示素子が実用化されるに至り使用されるようになった。基板サイズの大型化に伴い、液晶組成物の基板への注入方法も従来の真空注入法から滴下注入(ODF:One Drop Fill)法が注入方法の主流となり(特許文献2参照)、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕が表示品位の低下を招く問題が表面化するに至った。さらに、液晶表示素子中の液晶材料のプレチルト角の生成を高速応答性を目的に、PS液晶表示素子(polymer stabilized、ポリマー安定化)、PSA液晶表示素子(polymer sustained alignment、ポリマー維持配向)が開発され(特許文献3参照)、この問題はより大きな問題となっている。すなわち、これらの表示素子は液晶組成物中にモノマーを添加し、組成物中のモノマーを硬化させることに特徴を有する。アクティブマトリクス用液晶組成物は、高い電圧保持率を維持する必要性から、使用可能な化合物が特定され、化合物中にエステル結合を有する化合物は使用が制限されている。PSA液晶表示素子に使用するモノマーはアクリレート系が主であり、化合物中にエステル結合を有するものが一般的であり、このような化合物はアクティブマトリクス用液晶化合物としては通常使用されないものである(特許文献3参照)。このような異物は、滴下痕の発生を誘発し、表示不良による液晶表示素子の歩留まりの悪化が問題となっている。また、液晶組成物中に酸化防止剤、光吸収剤等の添加物を添加する際にも歩留まりの悪化が問題となる。
【0005】
ここで、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象と定義する。
【0006】
滴下痕の抑制には、液晶組成物中に混合した重合性化合物の重合により、液晶層中にポリマー層を形成することにより配向制御膜との関係で発生する滴下痕を抑制する方法が開示されている(特許文献4)。しかしながら、この方法において液晶中に添加した重合性化合物に起因する表示の焼き付きの問題があり、滴下痕の抑制についてもその効果は不十分であり、液晶表示素子としての基本的な特性を維持しつつ、焼き付きや滴下痕の発生し難い液晶表示素子の開発が求められていた。また、重合性化合物の重合による液晶層中にポリマー層を形成したモードではない、一般的な垂直配向膜による配向制御を行っている垂直配向型ディスプレイおいても同様に焼き付きや滴下痕の発生し難い液晶表示素子の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−505235号公報
【特許文献2】特開平6−235925号公報
【特許文献3】特開2002−357830号公報
【特許文献4】特開2006−58755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、誘電率異方性、粘度、ネマチック相上限温度、低温でのネマチック相安定性、γ等の液晶表示素子としての諸特性及び表示素子の焼き付き特性を悪化させること無く、製造時の滴下痕が発生し難く、ODF工程における安定した液晶材料の吐出量を実現する液晶表示素子に適する液晶組成物及びそれを用いた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために、滴下法による液晶表示素子の作製に最適な種々の液晶組成物の構成を検討し、特定の液晶化合物を特定の混合割合で使用することにより液晶表示素子における滴下痕の発生を抑制することができることを見出し本願発明の完成に至った。
【0010】
本願発明は、式(i)
【0011】
【化1】
【0012】
で表される化合物を含有し、式(XII−1−5)又は(XII−1−6)
【0013】
【化2】
【0014】
で表される化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物及び当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液晶表示素子は高速応答性優れ、焼き付きの発生が少ない特徴を有し、その製造に起因する滴下痕の発生が少ない特徴を有することから、液晶TV、モニター等の表示素子に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の液晶表示素子の構造の一例
図2】逆スタガード型薄膜トランジスターの構成例
【符号の説明】
【0017】
1 偏光板
2 基板
3 透明電極もしくはアクティブ素子を伴う透明電極
4 配向膜
5 液晶
11 ゲート電極
12 陽極酸化皮膜
13 ゲート絶縁層
14 透明電極
15 ドレイン電極
16 オーミック接触層
17 半導体層
18 保護膜
19a ソース電極1
19b ソース電極2
100 基板
101 保護層
【発明を実施するための形態】
【0018】
前述の通り、滴下痕の発生のプロセスは現時点では明らかで無い、しかし、液晶化合物中の不純物と配向膜の相互作用、クロマト現象等が関係している可能性が高い。液晶化合物中の不純物は化合物の製造プロセスに大きな影響を受けるものであるが、化合物の製造方法は、たとえ側鎖の炭素原子数が異なるのみであっても同一とは限らない。すなわち、液晶化合物は精密な製造プロセスによって製造されることから、そのコストは化成品の中では高く、製造効率の向上が強く求められている。そのため、少しでも安い原料を使用するためには、たとえ側鎖の炭素原子数が一つ異なっただけでも全く別種の原料から製造を行った方が効率がよい場合もある。従って、液晶原体の製造プロセスは、各原体ごとに異なっていることがあり、たとえプロセスが同一であっても、原料が異なることは大部分であり、その結果、各原体毎に異なった不純物が混入していることが多い。しかし、滴下痕はきわめて微量の不純物によっても発生する可能性があり、原体の精製のみにより滴下痕の発生を抑制することには限界がある。
【0019】
その一方で、汎用されている液晶原体の製造方法は製造プロセス確立後は、各原体毎に一定に定まる傾向がある。分析技術の発展した現在においても、どのような不純物が混入しているかを完全に明らかにすることは容易ではないが、各原体毎に定まった不純物が混入している前提で組成物の設計を行うことが必要となる。本願発明者らは、液晶原体の不純物と滴下痕の関係について検討を行った結果、組成物中に含まれていても滴下痕が発生し難い不純物と、発生し易い不純物があることを経験的に明らかにした。従って、滴下痕の発生を抑えるためには、特定の化合物を特定の混合割合で使用すること重要であり、特に滴下痕の発生がし難い組成物の存在を明らかにしたものである。以下に記載する好ましい実施の態様は、前記の観点から見いだされたものである。
【0020】
本発明おける液晶組成物において、第一成分として式(i)で表される化合物を含有するが、5〜50質量%含有することが好ましく、10〜45質量%含有することがより好ましく、15〜40質量%含有することがさらに好ましく、20〜40質量%含有することがさらに好ましいが、より具体的には、応答速度を重視する場合には25〜50質量%含有することが好ましく、より駆動電圧を重視する場合には20質量%〜40質量%含有することが好ましい。
【0021】
第二成分として、式(XII−1−5)又は(XII−1−6)で表される化合物を含有するが、2〜30質量%含有することが好ましく、4〜25質量%含有することがより好ましく、6〜20質量%含有することが更に好ましく、8〜20質量%含有することが特に好ましい。
さらに、本発明の液晶組成物は、他の成分として、一般式(L)で表される化合物を1種類または2種類以上含有することもできる。
【0022】
【化3】
【0023】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
OLは0、1、2又は3を表し、
L1、BL2及びBL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子のいずれかひとつで置換されていても良く、
L1及びLL2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
OLが2又は3であってLL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、OLが2又は3であってBL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、ただし、式(i)で表される化合物を除く。)
L1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4(またはそれ以上)のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4(またはそれ以上)のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0024】
一般式(L)で表される化合物は液晶組成物の化学的な安定性が求められる場合には塩素原子をその分子内に有さないことが好ましい。
一般式(L)で表される化合物の誘電率異方性(Δε)の下限値は、一つの実施形態では−3であり、別の実施形態では−2.5である。さらに別の実施形態では−2であり、さらに別の実施形態では−1.5である。またさらに別の実施形態では−1であり、またさらに別の実施形態では−0.5である。また一方、一般式(L)で表される化合物の誘電率異方性(Δε)の上限値は、一つの実施形態では3であり、別の実施形態では2.5である。さらに別の実施形態では2であり、さらに別の実施形態では1.5である。またさらに別の実施形態では1であり、またさらに別の実施形態では0.5である。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類である。さらに、本発明の別の実施形態では4種類である。さらに、本発明の別の実施形態では5種類以上である。
【0025】
本発明の液晶組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性または揮発性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0026】
好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では5%である。また、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。
【0027】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では35%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。さらに、本発明の別の実施形態では25%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。
【0028】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては5〜25%である。あるいは本発明の別の実施形態では10〜30%である。また、本発明の別の実施形態では15〜35%である。さらに、本発明の別の実施形態では20〜40%である。さらに、本発明の別の実施形態では25〜45%である。
【0029】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0030】
さらに、一般式(L)で表される化合物は、一般式(I)から一般式(V)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、R91からR9aはそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表すが、一般式(I)において、式(i)で表わされる化合物は除かれる。)
一般式(I)から一般式(V)で表される化合物群から選ばれる化合物を含有する場合、1種〜10種含有することが好ましく、1種〜5種含有することが特に好ましく、2種以上の化合物を含有することも好ましい、この場合の含有量は5〜40質量%であることが好ましく、8〜35質量%であることが更に好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
【0033】
91からR9aはそれぞれ独立しては炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルコキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルコキシ基を表すことがより好ましく、アルケニル基としては次に記載する式(Alkenyl−1)〜式(Alkenyl−4)
【0034】
【化5】
【0035】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
で表される構造が好ましいが、本願発明の液晶組成物が反応性モノマーを含有する場合は、式(Alkenyl−2)及び式(Alkenyl−4)で表される構造が好ましく、式(Alkenyl−2)で表される構造がより好ましい。
【0036】
又、R91及びR92は同一でも異なっていても良いが、異なった置換基を表すことが好ましい。
さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(I−a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0037】
【化6】
【0038】
(式中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基を表すが、R13およびR14において炭素原子数が3と2のアルキル基を表す組み合わせとなる化合物は除かれる。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類以上である。
本発明の液晶組成物において、一般式(I−a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3%である。あるいは本発明の別の実施形態では8%である。また、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では25%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では40%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。
【0039】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3〜15%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜20%である。また、本発明の別の実施形態では10〜30%である。さらに、本発明の別の実施形態では15〜40%である。
本発明の液晶組成物は、式(i)で表される化合物を必須とするが、一般式(I−a)で表される化合物と併用する場合、その含有量の総量は、25〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜55質量%が更に好ましく、30%〜50質量%が更に好ましい。
【0040】
式(I−a)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
式(I−a−1)及び式(I−a−2)で表される化合物であることが好ましい。Tniが高く高温でも安定的な表示が可能な液晶表示素子を作製したいときは、式(I−a−1)及び式(I−a−2)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましい。
さらに、一般式(I)で表される化合物は一般式(I−b)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0045】
【化10】
【0046】
(式中、R18はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類以上である。
本発明の液晶組成物において、一般式(I−b)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては2%である。あるいは本発明の別の実施形態では3%である。また、本発明の別の実施形態では5%である。さらに、本発明の別の実施形態では8%である。さらに、本発明の別の実施形態では11%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。
【0047】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では40%である。さらに、本発明の別の実施形態では35%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。さらに、本発明の別の実施形態では25%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては2〜15%である。あるいは本発明の別の実施形態では4〜15%である。また、本発明の別の実施形態では8〜15%である。さらに、本発明の別の実施形態では11〜20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15〜25%である。さらに、本発明の別の実施形態では20〜30%である。さらに、本発明の別の実施形態では25〜35%である。さらに、本発明の別の実施形態では30〜40%である。
【0048】
式(I−b)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
式(I−b−2)または式(I−b−3)で表される化合物であることが好ましく、式(I−b−3)で表される化合物であることが特に好ましい。
さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(I−c)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0052】
【化13】
【0053】
(式中、R13は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R15は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類以上である。
【0054】
本発明の液晶組成物において、一般式(I−c)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては2%である。あるいは本発明の別の実施形態では4%である。また、本発明の別の実施形態では6%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。
【0055】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では25%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。
【0056】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては2〜15%である。あるいは本発明の別の実施形態では4〜20%である。また、本発明の別の実施形態では6〜25%である。
【0057】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
式(I−c)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
式(I−c−1)、式(I−c−2)または式(I−c−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0061】
本願発明の液晶組成物は、更に、一般式(I)で表される化合物と類似した構造を有する式(I−d−1)で表される化合物を含有することもできる。
【0062】
【化16】
【0063】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて式(I−d−1)であらわされる化合物の含有量を調整することが好ましく、この化合物を本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%以上32質量%以下含有することが好ましく、8質量%以上32質量%以下含有することがさら好ましく、12質量%以上32質量%以下含有することがさらに好ましく、15質量%以上32質量%以下含有することが特に好ましい。
【0064】
さらに、一般式(I)で表される化合物は一般式(I−e)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0065】
【化17】
【0066】
(式中、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素原子数2〜5のアルケニル基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、1種類から3種類以上組み合わせることが好ましい。一般式(I−e)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて、本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、最大に含有できる比率としては、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
【0067】
さらに、一般式(I−e)で表される化合物は、式(I−e−1)から式(I−e−10)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(I−e−2)、式(I−e−4)および式(I−e−7)で表される化合物であることが好ましい。
【0068】
【化18】
【0069】
【化19】
【0070】
【化20】
【0071】
【化21】
【0072】
【化22】
【0073】
【化23】
【0074】
【化24】
【0075】
【化25】
【0076】
【化26】
【0077】
【化27】
【0078】
さらに、一般式(II)で表される化合物は一般式(II−a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0079】
【化28】
【0080】
(式中、R11は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、R12は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。
【0081】
本発明の液晶組成物において、一般式(II−a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては1%である。あるいは本発明の別の実施形態では4%である。また、本発明の別の実施形態では7%である。さらに、本発明の別の実施形態では12%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。
【0082】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では40%である。さらに、本発明の別の実施形態では35%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。
【0083】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3〜8%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜13%である。また、本発明の別の実施形態では7〜18%である。さらに、本発明の別の実施形態では11〜20%である。さらに、本発明の別の実施形態では13〜25%である。さらに、本発明の別の実施形態では15〜30%である。
低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
式(II−a)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0084】
【化29】
【0085】
【化30】
【0086】
【化31】
【0087】
【化32】
【0088】
【化33】
【0089】
【化34】
【0090】
【化35】
【0091】
更に、式(II−a−1)、式(II−a−2)、式(II−a−3)又は式(II−a−6)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、本発明の液晶組成物は、一般式(II)で表される化合物と類似した構造を有する一般式(II−b)で表される化合物群から選ばれる化合物を含有しても良い。
【0092】
【化36】
【0093】
(式中、R11は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、R12は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
一般式(II−b)で表される化合物を、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%以上6質量%以下であることが好ましく、3質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
【0094】
さらに、一般式(II−b)で表される化合物は、式(II−b−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0095】
【化37】
【0096】
さらに、一般式(III)で表される化合物は一般式(III−a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0097】
【化38】
【0098】
(式中、R11は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、R12は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。
【0099】
本発明の液晶組成物において、一般式(III−a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3%である。あるいは本発明の別の実施形態では5%である。また、本発明の別の実施形態では8%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では12%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。
【0100】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では35%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。
【0101】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3〜15%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜15%である。さらに、本発明の別の実施形態では12〜25%である。さらに、本発明の別の実施形態では15〜30%である。さらに、本発明の別の実施形態では20〜35%である。
【0102】
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
式(III−a)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0103】
【化39】
【0104】
【化40】
【0105】
式(III−a−2)、式(III−a−3)または式(III−a−4)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(III)で表される化合物と類似した構造を有する一般式(III−b)で表される化合物群から選ばれる化合物を含有することができる。
【0106】
【化41】
【0107】
(式中、R11は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、R12は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X11およびX12はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表し、X11またはX12のどちらか一方はフッ素原子である。)
一般式(III−b)で表される化合物を、本発明の液晶組成物の総量に対して2質量%以上であることが好ましく、4質量%であることがより好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、9質量%以上であることがより好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、9質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
【0108】
さらに、一般式(III−b)で表される化合物は、式(III−b−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0109】
【化42】
【0110】
さらに、一般式(IV)で表される化合物は、例えば一般式(IV−a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0111】
【化43】
【0112】
(R25は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R24は炭素原子数1〜5のアルキル基表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。
【0113】
本発明の液晶組成物において、一般式(IV−a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3%である。あるいは本発明の別の実施形態では5%である。また、本発明の別の実施形態では7%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では14%である。
【0114】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では5%である。
【0115】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3〜15%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜15%である。また、本発明の別の実施形態では7〜15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10〜20%である。
式(IV−a)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0116】
【化44】
【0117】
式(IV−a−2)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(IV)で表される化合物は、例えば一般式(IV−b)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0118】
【化45】
【0119】
(R25は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R26は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、これらの化合物の中から1種〜3種類含有することが好ましい。
【0120】
一般式(IV−b)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて調整することが好ましく、1質量%以上が好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
好ましい含有量の範囲は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、4質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。
【0121】
さらに、一般式(IV−b)で表される化合物は、例えば式(IV−b−1)から式(IV−b−4)で表される化合物であることも好ましく、その中でも式(IV−b−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0122】
【化46】
【0123】
【化47】
【0124】
【化48】
【0125】
【化49】
【0126】
さらに、一般式(IV)で表される化合物は、例えば一般式(IV−c)で表される化合物群から選ばれる化合物であっても良い。
【0127】
【化50】
【0128】
(R23は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R24は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。
【0129】
本発明の液晶組成物において、一般式(IV−c)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3%である。あるいは本発明の別の実施形態では5%である。また、本発明の別の実施形態では5%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では14%である。さらに、本発明の別の実施形態では16%である。
【0130】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では5%である。
【0131】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3〜12%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜12%である。また、本発明の別の実施形態では7〜15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10〜20%である。
【0132】
さらに、一般式(IV−c)で表される化合物は、例えば式(IV−c−1)から式(IV−c−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0133】
【化51】
【0134】
【化52】
【0135】
【化53】
【0136】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(IV−c−1)で表される化合物を含有していても、式(IV−c−2)で表される化合物を含有していても、式(IV−c−1)で表される化合物と式(IV−c−2)で表される化合物との両方を含有していても良いし、式(IV−c−1)から式(IV−c−3)で表される化合物を全て含んでいても良い。式(IV−c−1)または式(IV−c−2)で表される化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、9質量%以上であることがより好ましく、11質量%以上であることがより好ましい。また、最大に含有できる比率としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、13質量%以下がさらに好ましい。
さらに、好ましい含有量の範囲は、3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、9質量%以上18質量%以下であることがより好ましい。
また、式(IV−c−2)で表される化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。
式(IV−c−1)で表される化合物と式(IV−c−2)で表される化合物との両方を含有する場合は、両方の化合物の合計が本発明の液晶組成物の総量に対して8質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
さらに、好ましい含有量の範囲は、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、8質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であることが更に好ましい。
さらに、一般式(V)で表される化合物は、一般式(V−a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0137】
【化54】
【0138】
(R31は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R32は炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
式(V−a)で表される化合物は、より具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0139】
【化55】
【0140】
【化56】
【0141】
さらに、一般式(V)で表される化合物は、一般式(V−b)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0142】
【化57】
【0143】
(R33は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて含有量を調整することが好ましく、4質量%以上が好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
さらに、含有量の好ましい範囲は、4質量%以上13質量%以下が好ましく、6質量%以上13質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上13質量%以下であることが更に好ましい。
【0144】
一般式(V−b)で表される化合物は、たとえば式(V−b−1)または式(V−b−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0145】
【化58】
【0146】
【化59】
【0147】
さらに、一般式(V)で表される化合物は、一般式(V−c)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0148】
【化60】
【0149】
(R31は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R34は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
一般式(V−c)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて調整することが好ましく、4質量%以上が好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、18質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0150】
さらに、含有量の好ましい範囲は、4質量%以上10質量%以下が好ましく、6質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0151】
さらに、一般式(V−c)で表される化合物は、たとえば式(V−c−1)から式(V−c−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(V−c−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0152】
【化61】
【0153】
【化62】
【0154】
【化63】
【0155】
さらに、一般式(L)で表される化合物は、例えば一般式(VI)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0156】
【化64】
【0157】
(R21およびR22はそれぞれ独立して炭素原子数2〜5のアルケニル基をまたは炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
一般式(VI)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて調整することが好ましく、4質量%以上が好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、12質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、18質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0158】
さらに、含有量の好ましい範囲は、4質量%以上14質量%以下が好ましく、8質量%以上14質量%以下であることがより好ましい。
【0159】
さらに、一般式(VI)で表される化合物は、例えば式(VI−1)及び式(VI−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0160】
【化65】
【0161】
一般式(VI)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて調整することが好ましく、4質量%以上が好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、12質量%以上であることが更に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、18質量%以下が好ましく、14質量%以下がさらに好ましい。
【0162】
さらに、含有量の好ましい範囲は、4質量%以上14質量%以下が好ましく、8質量%以上14質量%以下であることがより好ましい。
【0163】
さらに、一般式(L)で表される化合物は、例えば一般式(VII)で表される化合物群から選ばれる化合物であることもできる。
【0164】
【化66】
【0165】
(R21およびR22はそれぞれ独立して炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
これらの化合物のうち1種類だけを含有していても2種類以上含有していても良いが、求められる性能に応じて適宜組み合わせることが好ましい。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、これらの化合物の中から1種〜2種類含有することが好ましく、1種〜3種類含有することが特に好ましい。
【0166】
一般式(VII)で表される化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
【0167】
さらに、含有量の好ましい範囲は、1質量%以上7質量%以下であることが好ましく、2質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。
【0168】
さらに、一般式(VII)で表される化合物は、例えば式(VII−1)から式(VII−5)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(VII−2)または/および式(VII−5)で表される化合物であることが好ましい。
【0169】
【化67】
【0170】
【化68】
【0171】
【化69】
【0172】
【化70】
【0173】
【化71】
【0174】
さらに、一般式(L)で表される化合物は、一般式(VIII)で表される群より選ばれる化合物であることも好ましい。
【0175】
【化72】
【0176】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、A51およびA52はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基または1,4-フェニレン基を表し、Qは単結合または−COO−を表し、X51およびX52はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表す。X51およびX52は同時にフッ素原子であることは無い。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。さらに、本発明の別の実施形態では3種類である。さらに、本発明の別の実施形態では4種類である。
【0177】
好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば一つの実施形態では2%である。さらに、本発明の別の実施形態では4%である。さらに、本発明の別の実施形態では7%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では12%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。
【0178】
また、好ましい含有量の上限値として、たとえば、本発明の一つの実施形態では、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では5%である。さらに、本発明の別の実施形態では4%である。
【0179】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば一つの実施形態では2〜15%である。さらに、本発明の別の実施形態では4〜12%である。さらに、本発明の別の実施形態では6〜12%である。
【0180】
さらに、一般式(VIII)で表される化合物は一般式(VIII−a)で表される化合物であることが好ましい。
【0181】
【化73】
【0182】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
一般式(VIII−a)で表される化合物を、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%以上含有することが好ましく、2質量%以上含有することが更に好ましく、3質量%以上含有することが更に好ましく、4質量%以上含有することが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0183】
さらに、好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上10質量%以下含有することが更に好ましく、3質量%以上8質量%以下含有することが更に好ましく、4質量%以上8質量%以下含有することが特に好ましい。
【0184】
さらに、一般式(VIII−a)で表される化合物は、式(VIII−a−1)から式(VIII−a−4)で表される化合物であることが好ましく、式(VIII−a−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0185】
【化74】
【0186】
【化75】
【0187】
【化76】
【0188】
【化77】
【0189】
さらに、一般式(VIII)で表される化合物は一般式(VIII−b)で表される化合物であることもできる。
【0190】
【化78】
【0191】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。さらに、本発明の別の実施形態では3種類以上である。
【0192】
一般式(VIII−b)で表される化合物を、本発明の液晶組成物の総量に対して2質量%以上含有することが好ましく、4質量%以上含有することが更に好ましく、7質量%以上含有することが更に好ましく、8質量%以上含有することが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、15質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、11質量%以下がさらに好ましい。
【0193】
好ましい含有量の範囲は、2質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、4質量%以上15質量%以下含有することが更に好ましく、7質量%以上13質量%以下含有することが更に好ましい。
【0194】
さらに、一般式(VIII−b)で表される化合物は、式(VIII−b−1)から式(VIII−b−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0195】
【化79】
【0196】
【化80】
【0197】
【化81】
【0198】
さらに、一般式(VIII)で表される化合物は一般式(VIII−c)で表される化合物であることが好ましい。
【0199】
【化82】
【0200】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシを表し、X51およびX52はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表す。X51およびX52の少なくとも一つはフッ素原子であり、同時に二つともフッ素原子であることは無い。)
さらに、一般式(VIII−c)で表される化合物は一般式(VIII−c−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0201】
【化83】
【0202】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
一般式(VIII−c−1)で表される化合物を、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%以上含有することが好ましく、2質量%以上含有することが更に好ましく、3質量%以上含有することが更に好ましく、4質量%以上含有することが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0203】
さらに、好ましい含有量の範囲は、1質量%以上10質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上8質量%以下含有することが更に好ましく、3質量%以上8質量%以下含有することが更に好ましい。
【0204】
さらに、一般式(VIII−c−1)で表される化合物は、式(VIII−c−1−1)から式(VIII−c−1−3)で表される化合物であることが好ましく、式(VIII−c−1−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0205】
【化84】
【0206】
【化85】
【0207】
【化86】
【0208】
さらに、一般式(VIII−c)で表される化合物は一般式(VIII−c−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0209】
【化87】
【0210】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
一般式(VIII−c−2)で表される化合物を、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%以上含有することが好ましく、2質量%以上含有することが更に好ましく、3質量%以上含有することが更に好ましく、4質量%以上含有することが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0211】
さらに、好ましい含有量の範囲は、1質量%以上10質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上8質量%以下含有することが更に好ましく、3質量%以上8質量%以下含有することが更に好ましい。
【0212】
さらに、一般式(VIII−c−2)で表される化合物は、式(VIII−c−2−1)から式(VIII−c−2−3)で表される化合物である。式(VIII−c−2−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0213】
【化88】
【0214】
【化89】
【0215】
【化90】
【0216】
さらに、一般式(VIII)で表される化合物は一般式(VIII−d)で表される化合物であることが好ましい。
【0217】
【化91】
【0218】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X51およびX52はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表し、同時に二つともフッ素原子であることは無い。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。
【0219】
好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば一つの実施形態では2%である。さらに、本発明の別の実施形態では4%である。さらに、本発明の別の実施形態では7%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では12%である。
【0220】
また、好ましい含有量の上限値として、たとえば、本発明の一つの実施形態では、本発明の別の実施形態では15%である。さらに、本発明の別の実施形態では10%である。さらに、本発明の別の実施形態では5%である。さらに、本発明の別の実施形態では4%である。
さらに、好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば一つの実施形態では2〜10%である。さらに、本発明の別の実施形態では4%〜10%である。
【0221】
本発明の液晶組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(VIII−d)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0222】
さらに、一般式(VIII−d)で表される化合物は一般式(VIII−d−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0223】
【化92】
【0224】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
さらに、一般式(VIII−d−1)で表される化合物は、式(VIII−d−1−1)から式(VIII−d−1−4)で表される化合物であることが好ましく、式(VIII−d−1−1)または/および式(VIII−d−1−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0225】
【化93】
【0226】
【化94】
【0227】
【化95】
【0228】
【化96】
【0229】
さらに、一般式(VIII−d)で表される化合物は一般式(VIII−d−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0230】
【化97】
【0231】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
さらに、一般式(VIII−d−2)で表される化合物は、式(VIII−d−2−1)から式(VIII−d−2−4)で表される化合物であることが好ましく、式(VIII−d−2−1)または/および式(VIII−d−2−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0232】
【化98】
【0233】
【化99】
【0234】
【化100】
【0235】
【化101】
【0236】
本発明の液晶組成物は、更に、一般式(IX−a)で表される化合物を1種または2種類以上含有することもできる。
【0237】
【化102】
【0238】
(式中、R61及びR62はそれぞれ独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、炭素原子数1から10の直鎖アルコキシ基又は炭素原子数2から10の直鎖アルケニル基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、これらの化合物の中から1種〜3種類含有することが好ましく、1種〜4種類含有することがさらに好ましく、1種〜5種類以上含有することが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
さらに、好ましい含有量の範囲は、5質量%以上35質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0239】
一般式(IX−a)で表される化合物は、具体的には次に挙げる化合物が好適に使用できる。
【0240】
【化103】
【0241】
【化104】
【0242】
【化105】
【0243】
【化106】
【0244】
本願発明の液晶組成物は、更に、一般式(IX−b)で表される化合物を1種または2種類以上含有することができる。
【0245】
【化107】
【0246】
(式中、R71およびR72はそれぞれ独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、炭素原子数1から10の直鎖アルコキシ基又は炭素原子数4から10の直鎖アルケニル基を表す。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、これらの化合物の中から1種〜3種類含有することが好ましく、1種〜4種類含有することがさらに好ましく、1種〜5種類以上含有することが特に好ましい。また、最大に含有できる比率としては、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0247】
さらに、好ましい含有量の範囲は、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0248】
一般式(IX−b)で表される化合物は、具体的には次に挙げる化合物が好適に使用できる。
【0249】
【化108】
【0250】
本願における1,4−シクロヘキシル基はトランス−1,4−シクロヘキシル基であることが好ましい。
【0251】
本発明おける液晶組成物は、一般式(X)
【0252】
【化109】
【0253】
(式中、RX1及びRX2はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
u及びvはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+vは2以下であり、
X1、MX2及びMX3はお互い独立して、
(a)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)又は基(b)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良いが、MX2及び/又はMX3が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
X1、LX2及びLX3はお互い独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−(CH24−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−,−CH=CH−又は−C≡C−を表し、LX1及び/又はLX3が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
X1及びXX2はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、X31及びX32の何れか一つはフッ素原子を表すが、式(XII−1−5)又は(XII−1−6)で表される化合物は除く。)で表される群より選ばれる1種または2種類以上の化合物を含有することが好ましい。
【0254】
X1及びRX2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4(またはそれ以上)のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4(またはそれ以上)のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0255】
表示素子の応答速度の改善を重視する場合はアルケニル基が好ましく、電圧保持率等の信頼性を重視する場合にはアルキル基が好ましい。アルケニル基としては次に記載する式(Alkenyl−1)〜式(Alkenyl−4)
【0256】
【化110】
【0257】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
で表される構造が好ましいが、本願発明の液晶組成物が反応性モノマーを含有する場合は、式(Alkenyl−2)及び式(Alkenyl−4)で表される構造が好ましく、式(Alkenyl−2)で表される構造がより好ましい。
【0258】
一般式(X)で表される化合物は液晶組成物の化学的な安定性が求められる場合には硫黄原子、窒素原子、エステル基、シアノ基及び塩素原子をその分子内に有さないことが好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類である。さらに、本発明の別の実施形態では4種類である。さらに、本発明の別の実施形態では5種類である。さらに、本発明の別の実施形態では6種類である。さらに、本発明の別の実施形態では7種類である。さらに、本発明の別の実施形態では8種類である。さらに、本発明の別の実施形態では9種類である。さらに、本発明の別の実施形態では10種類以上である。
【0259】
本発明の液晶組成物において、一般式(X)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0260】
好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では15%である。また、本発明の別の実施形態では25%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。さらに、本発明の別の実施形態では40%である。さらに、本発明の別の実施形態では45%である。
【0261】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では75%である。さらに、本発明の別の実施形態では65%である。さらに、本発明の別の実施形態では55%である。さらに、本発明の別の実施形態では50%である。
【0262】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては10〜65%である。あるいは本発明の別の実施形態では15〜60%である。また、本発明の別の実施形態では30〜60%である。さらに、本発明の別の実施形態では40〜55%である。
【0263】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0264】
さらに、一般式(X)で表される化合物は一般式(XI)で表される化合物であることが好ましい。
【0265】
【化111】
【0266】
(式中、RX1は一般式(X)におけるRX1と同じ意味を表し、MX1は一般式(X)におけるMX1と同じ意味を表し、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表す。)
一般式(XI)で表される化合物を含有する場合の好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3%である。あるいは本発明の別の実施形態では7%である。あるいは本発明の別の実施形態では10%である。また、本発明の別の実施形態では11%である。また、本発明の別の実施形態では14%である。また、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。
【0267】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では55%である。さらに、本発明の別の実施形態では45%である。さらに、本発明の別の実施形態では35%である。
【0268】
一般式(XI)で表される化合物を含有する場合には、好ましい含有量の範囲として、5〜35質量%含有することが好ましく、7〜25質量%含有することがより好ましく、11〜21質量%含有することが更に好ましく、13〜16質量%含有することが特に好ましい。
【0269】
一般式(XI)において、RX1は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3又は5のアルキル基を表すことが更に好ましく、直鎖であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0270】
一般式(XI)において、RX2は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3又は5のアルキル基又は炭素原子数2又は4のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数2又は4のアルコキシ基を表すことが更に好ましく、直鎖であることが好ましい。
【0271】
表示素子の応答速度の改善を重視する場合はアルケニル基が好ましく、電圧保持率等の信頼性を重視する場合にはアルキル基が好ましい。
【0272】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類である。さらに、本発明の別の実施形態では4種類である。さらに、本発明の別の実施形態では5種類以上である。
【0273】
一般式(XI)で表される化合物は1種のみを使用してもよいが、2種以上を使用することが好ましく、3種以上を使用することが好ましい。一般式(XI)で表される化合物を2種以上使用する場合にはRX1が炭素原子数が3〜5のアルキル基を表し、RX2が炭素原子数が2〜4のアルコキシ基を表す一般式(XI)の化合物を組み合わせて使用することが好ましく、他の一般式(XI)で表される化合物と組み合わせて使用する場合、RX1が炭素原子数が3〜5のアルキル基を表し、RX2が炭素原子数が2〜4のアルコキシ基を表す一般式(XI)の化合物の含有量が、一般式(XI)で表される化合物中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。好ましい範囲は、50質量%以上70質量%以下であることが好ましく、70質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100%以下であることが更に好ましい。
【0274】
一般式(XI)において、MX1は1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表すが、MX1が1,4−フェニレン基を表す場合、該1,4−フェニレン基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよいが、1,4−シクロヘキシレン基、または1,4−フェニレン基が好ましいく、より具体的には、当該発明の液晶組成物を用いて作製される表示素子及び液晶ディスプレイにおいて応答速度を重視する場合には、1,4−フェニレン基を表すことが好ましく、動作温度範囲を重視する場合、すなわち高い動作温度範囲(Tniが高い)を必要とする場合、1,4−シクロヘキシレン基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基を表す場合には、ベンゼン環中の1つ以上の水素原子はフッ素に置換されていても良いが、無置換、1置換又は2置換が好ましく、無置換がより好ましい。2置換の場合には2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基を表すことが好ましい。
一般式(XI)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(XI−1)及び/または一般式(XI−2)
【0275】
【化112】
【0276】
(式中RX11、RX21、RX12及びRX22はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基を表す。)
で表される群から選ばれる化合物であることが好ましい。
X21、RX12及びRX22がアルケニル基の場合は、炭素原子数は4〜5であることが好ましい。RX11はアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、アルキル基が更に好ましく、RX21及びRX22はアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、Δεの絶対値を大きくする場合にはアルコキシ基又はアルケニルオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基が更に好ましく、RX12はアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が更に好ましい。
本発明の液晶組成物は、式(i)で表される化合物を必須とするが、一般式(XI−1)で表される化合物と併用する場合、その含有量の総量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、12〜30質量%が更に好ましい。
【0277】
一般式(XI)で表される化合物は具体的には次に記載する式(XI−1−1)〜式(XI−2−4)
【0278】
【化113】
【0279】
【化114】
【0280】
で表される化合物が好ましいが、式(XI−1−1)〜式(XI−1−3)、式(XI−2−1)及び式(XI−2−2)で表される化合物がより好ましく、式(XI−1−1)〜式(XI−1−3)及び式(XI−2−1)で表される化合物が特に好ましく、より具体的に述べると本願発明の液晶組成物に要求される屈折率異方性Δnの値が比較的低い場合(概ね0.100未満)は式(XI−1−1)及び式(XI−1−3)で表される化合物が最も好ましく、要求される屈折率異方性Δnの値が比較的高い場合(概ね0.100以上)は式(XI−2−1)で表される化合物が最も好ましい。
一般式(XI)で表される化合物がアルケニル基を有する場合、具体的には次に記載する式(XI−1−10)〜式(XI−2−11)
【0281】
【化115】
【0282】
【化116】
【0283】
(式中、RX22は一般式(XI−2)におけるRX22と同じ意味を表す。)
で表される群から選ばれる化合物であること好ましい。
【0284】
さらに、一般式(X)で表される化合物は、一般式(XII)で表される化合物であることが好ましい。
【0285】
【化117】
【0286】
(式中、RX1は一般式(X)におけるRX1と同じ意味を表し、MX2は一般式(X)におけるMX2と同じ意味を表し、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表すが、式(XII−1−5)又は(XII−1−6)で表される化合物は除く。)
一般式(XII)で表される化合物を含有する場合の好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では5%である。あるいは本発明の別の実施形態では10%である。また、本発明の別の実施形態では15%である。また、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では30%である。
【0287】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では55%である。さらに、本発明の別の実施形態では45%である。さらに、本発明の別の実施形態では35%である。
【0288】
さらに、好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては5〜55%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜50%である。あるいは本発明の別の実施形態では10〜45%である。また、本発明の別の実施形態では15〜40%である。また、本発明の別の実施形態では20〜40%である。また、本発明の別の実施形態では25〜40%である。
【0289】
一般式(XII)において、RX1は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基を表すことが更に好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基を表すことが特に好ましく、直鎖であることが好ましい。
【0290】
一般式(XII)において、RX2は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましいが、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表すことが更に好ましく、炭素原子数2又は3のアルコキシ基を表すことが特に好ましく直鎖であることが好ましい。
【0291】
表示素子の応答速度の改善を重視する場合はアルケニル基が好ましく、電圧保持率等の信頼性を重視する場合にはアルキル基が好ましい。
【0292】
一般式(XII)で表される化合物は更に一般式(XII−1)及び一般式(XII−2)で表される化合物が好ましい。
【0293】
【化118】
【0294】
(式中、RX1は一般式(X)におけるRX1と同じ意味を表し、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表すが、一般式(XII−1)において、式(XII−1−5)又は(XII−1−6)で表される化合物は除く。)
一般式(XII−1)で表される化合物は具体的には次に記載する式(XII−1−1)〜(XII−1−4)、式(XII−1−7)〜(XII−1−8)
【0295】
【化119】
【0296】
で表される化合物が好ましいが、式(XII−1−1)〜式(XII−1−4)、式(XII−1−7)で表される化合物がより好ましく、式(XII−1−1)〜式(XII−1−3)、式(XII−1−7)で表される化合物が更に好ましく、式(XII−1−1)、式(XII−1−3)及び式(XII−1−7)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(XII−1)で表される化合物がアルケニル基を有する場合には、具体的には次に記載する式(XII−1−10)〜(XII−1−13)
【0297】
【化120】
【0298】
(式中、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0299】
一般式(XII−2)で表される化合物は具体的には次に記載する式(XII−2−1)〜(XII−2−6)
【0300】
【化121】
【0301】
で表される化合物が好ましいが、式(XII−2−1)〜式(XII−2−4)で表される化合物がより好ましく、式(XII−2−1)〜式(XII−2−3)で表される化合物が更に好ましく、式(XII−2−1)及び式(XII−2−3)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(XII−2)で表される化合物がアルケニル基を有する場合には、具体的には次に記載する式(XII−2−10)〜(XII−2−13)
【0302】
【化122】
【0303】
(式中、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0304】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類である。さらに、本発明の別の実施形態では4種類である。さらに、本発明の別の実施形態では5種類である。さらに、本発明の別の実施形態では6種類以上である。
【0305】
一般式(XII)で表される化合物を4種以上使用する場合には、式(XII−2−1)〜式(XII−2−4)で表される化合物を組み合わせて使用することが好ましく、式(XII−2−1)〜式(XII−2−4)で表される化合物の含有量が、一般式(XII)で表される化合物中の40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
好ましい含有量の範囲は、40質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
【0306】
一般式(XII)で表される化合物を3種使用する場合には、式(XII−2−1)〜式(XII−2−3)で表される化合物を組み合わせて使用することが好ましく、式(XII−2−1)〜式(XII−2−3)で表される化合物の含有量が、一般式一般式(XII)で表される化合物中の40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
好ましい含有量の範囲は、40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
【0307】
一般式(XII)で表される化合物を2種使用する場合には、式(XII−2−1)〜式(XII−2−2)で表される化合物を組み合わせて使用することが好ましく、式(XII−2−1)〜式(XII−2−2)で表される化合物の含有量が、一般式(XII)で表される化合物中の40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
【0308】
好ましい含有量の範囲は、40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0309】
さらに、一般式(X)で表される化合物は、一般式(XIII)で表される化合物であることが好ましい。
【0310】
【化123】
【0311】
(式中、RX1は一般式(X)におけるRX1と同じ意味を表し、MX31は一般式(X)におけるMX1と同じ意味を表し、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表し、Wは0又は1を表し、X31〜X36は水素原子又はフッ素原子を表すが、X31及びX32の組み合わせ、X33及びX34の組み合わせ、X35及びX36の組み合わせ、のうち少なくとも1組の組み合わせがともにフッ素原子である。ただし、式(XIII−1−2)又は式(XIII−1−4)で表される化合物は除く。)
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類である。さらに、本発明の別の実施形態では4種類である。さらに、本発明の別の実施形態では5種類以上である。
【0312】
一般式(XIII)で表される化合物を含有する場合の好ましい含有量の下限値は、下限値が存在する場合には、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては1%である。あるいは本発明の別の実施形態では3%である。あるいは本発明の別の実施形態では5%である。また、本発明の別の実施形態では8%である。また、本発明の別の実施形態では10%である。一方、下限値が存在しない実施形態、すなわち0%である。
【0313】
さらに、好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の別の実施形態では28%である。さらに、本発明の別の実施形態では20%である。さらに、本発明の別の実施形態では15%である。
【0314】
好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては1〜25%である。あるいは本発明の別の実施形態では3〜20%である。あるいは本発明の別の実施形態では5〜15%である。
【0315】
一般式(XIII)において、RX1及びRX2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましいが、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基を表すことが更に好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基を表すことが特に好ましく、R1及びR2の炭素原子数はそれぞれ異なることが最も好ましく、直鎖であることが好ましい。
【0316】
一般式(XIII)においてX31〜X36はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表すことが好ましいが、2〜5個がフッ素原子を表すことが好ましく、2〜4個がフッ素原子を表すことがより好ましく、2〜3個がフッ素原子を表すことがより好ましく、2個がフッ素原子を表すことが更に好ましい。
【0317】
この場合において、フッ素原子が2つの場合は、X33〜X36のいずれか2つがフッ素原子を表すことが好ましく、X33及びX34の組み合わせがともにフッ素原子を表す、又はX35及びX36の組み合わせがともにフッ素原子を表すことが好ましく、X33及びX34の組み合わせがともにフッ素原子を表すことが更に好ましい。フッ素原子が3つ以上の場合は、少なくともX33及びX34の組み合わせがともにフッ素原子を表す、又は少なくともX35及びX36の組み合わせがともにフッ素原子を表すことが好ましく、少なくともX33及びX34の組み合わせがともにフッ素原子を表すことが更に好ましい。
【0318】
一般式(XIII)において、MX31は1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表すことが好ましいが、当該液晶組成物を用いて作製される表示素子及び液晶ディスプレイにおいて応答速度を重視する場合には、1,4−フェニレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。駆動電圧を重視する場合には1,4−フェニレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表すことがより好ましい。動作温度範囲を重視する場合、すなわち高い動作温度範囲を必要とする場合、1,4-シクロヘキシレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。1,4−フェニレン基を表す場合には、ベンゼン環中の1つ以上の水素原子はフッ素原子に置換されていても良いが、無置換、1置換又は2置換が好ましく、2置換の場合には2,3−ジフルオロベンゼン−1,4−ジイル基を表すことが好ましい。
【0319】
一般式(XIII)において、Wは0又は1を表すが、応答速度を重視する場合には0を表すことが好ましく、動作温度範囲を重視する場合、すなわち高い動作温度範囲を必要とする場合には1を表すことが好ましい。
【0320】
一般式(XIII)で表される化合物は次に記載する一般式(XIII−1)〜(XIII−43)
【0321】
【化124】
【0322】
【化125】
【0323】
【化126】
【0324】
【化127】
【0325】
(式中、RX1は一般式(X)におけるRX1と同じ意味を表し、RX2は一般式(X)におけるRX2と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましいが、一般式(XIII−1)〜(XIII−10)、(XIII−12)、(XIII−20)、(XIII−22)、(XIII−40)及び(XIII−42)で表される化合物が好ましく、一般式(XIII−1)、(XIII−2)、(XIII−10)、(XIII−12)、(XIII−20)、(XIII−22)、(XIII−40)及び(XIII−42)で表される化合物が好ましく、一般式(XIII−1)及び(XIII−2)で表される化合物が好ましく、一般式(XIII−1)で表される化合物が更に好ましい。
【0326】
一般式(XIII−1)で表される化合物は、具体的には式(XIII−1−1)〜式(XIII−1−16)で表される化合物であることが好ましい。
【0327】
【化128】
【0328】
【化129】
【0329】
上記化合物のうち、式(XIII−1−1)〜式(XIII−1−6)で表される化合物が好ましく、式(XIII−1−1)、式(XIII−1−2)又は式(XIII−1−4)で表される化合物が好ましい。
【0330】
一般式(XIII)におけるRX1及びRX2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基を表すことが更に好ましく、直鎖であることが好ましく、RX1及びRX2が共にアルキル基である場合には、それぞれの炭素原子数は異なっている方が好ましい。
【0331】
更に詳述すると、RX1がプロピル基を表しRX2がエチル基を表す化合物又はRX1がブチル基を表しRX2がエチル基を表す化合物が好ましい。
【0332】
本発明の液晶組成物はネマチック相-等方性液体相転移温度(TNI)を幅広い範囲で使用することができるものであるが、60〜120℃であることが好ましく、70〜100℃がより好ましく、70〜90℃が特に好ましい。
【0333】
本発明における液晶組成物は、式(i)及び、式(XII−1−5)又は式(XII−1−6)の化合物を必須とするものであるが、より好ましい態様として、一般式(L)、一般式(XI−1)、一般式(XII−1)、一般式(XII−2)又は一般式(XIII)で表される化合物を含有することができる。この場合に含有量は次に記載する含有量が好ましい。
【0334】
式(i)、式(XII−1−5)又は式(XII−1−6)及び一般式(L)で表される化合物を含有する場合には、これらの化合物の合計含有量が20質量%〜70質量%が好ましく、25〜65質量%がより好ましく、28〜60質量%が更に好ましい。
【0335】
式(i)、式(XII−1−5)又は式(XII−1−6)及び一般式(XI−1)で表される化合物を含有する場合には、これらの化合物の合計含有量が35〜80質量%が好ましく、38〜75質量%がより好ましく、40質量%〜70質量%が更に好ましい。
【0336】
式(i)、式(XII−1−5)又は式(XII−1−6)、一般式(L)、一般式(XI−1)、一般式(XII−1)及び一般式(XII−2)で表される化合物を含有する場合には、これらの化合物の合計含有量が70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、85〜100質量%が更に好ましい。
【0337】
式(i)、式(XII−1−5)又は式(XII−1−6)、一般式(L)、一般式(XI−1)、一般式(XII−1)、一般式(XII−2)又は一般式(XIII)で表される化合物を含有する場合には、これらの化合物の合計含有量が80〜100質量%が好ましく、85〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が更に好ましい。
【0338】
本願発明に使用する化合物は液晶組成物の化学的な安定性が求められる場合には塩素原子をその分子内に有さないことが好ましい。更に液晶組成物内に塩素原子を有する化合物が5%以下であることが好ましく、3%以下であることが好ましく、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、化合物製造時の不純物として生成した化合物等の意図せずに塩素原子を含む化合物のみが液晶組成物に混入することを意味する。
【0339】
本願発明に使用する化合物は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造を持たない。また、液晶組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはシアノ基やカルボニル基を有する化合物を使用しないことが好ましい。また、UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物を使用しないことが望ましい。分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみであることも好ましい。
【0340】
本発明における液晶組成物の誘電率異方性Δεの値は、25℃において、−2.0から−6.0であることが好ましく、−2.5から−5.0であることがより好ましく、−2.5から−4.0であることが特に好ましいが、更に詳述すると、応答速度を重視する場合には−2.5〜−3.4であることが好ましく、駆動電圧を重視する場合には−3.4〜−4.0であることが好ましい。
【0341】
本発明における液晶組成物の屈折率異方性Δnの値は、25℃において、0.08から0.13であることが好ましいが、0.09から0.12であることがより好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.12であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
【0342】
本発明における液晶組成物の回転粘度(γ1)は150以下が好ましく、130以下がより好ましく、120以下が特に好ましい。
【0343】
本発明における液晶組成物では、回転粘度と屈折率異方性の関数であるZが特定の値を示すことが好ましい。
【0344】
【数1】
【0345】
(式中、γ1は回転粘度を表し、Δnは屈折率異方性を表す。)
Zは、13000以下が好ましく、12000以下がより好ましく、11000以下が特に好ましい。
【0346】
本発明の液晶組成物は、アクティブマトリクス表示素子に使用する場合においては、1012(Ω・m)以上の比抵抗を有することが必要であり、1013(Ω・m)が好ましく、1014(Ω・m)以上がより好ましい。
【0347】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、用途に応じて、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合性モノマーなどを含有しても良い。
【0348】
重合性モノマーとしては、一般式(P)
【0349】
【化130】
【0350】
(式中、X7及びX8はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、
は−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−(式中、Y及びYはそれぞれ独立して、フッ素原子又は水素原子を表す。)、−C≡C−又は単結合を表し、
Bは1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表し、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い。)で表されるニ官能モノマーが好ましい。
【0351】
X7及びX8は、何れも水素原子を表すジアクリレート誘導体、何れもメチル基を有するジメタクリレート誘導体の何れも好ましく、一方が水素原子を表しもう一方がメチル基を表す化合物も好ましい。これらの化合物の重合速度は、ジアクリレート誘導体が最も早く、ジメタクリレート誘導体が遅く、非対称化合物がその中間であり、その用途により好ましい態様を用いることができる。PSA表示素子においては、ジメタクリレート誘導体が特に好ましい。
【0352】
Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−を表すが、PSA表示素子においては少なくとも一方が単結合であることが好ましく、共に単結合を表す化合物又は一方が単結合でもう一方が炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−を表す態様が好ましい。この場合1〜4のアルキル基が好ましく、sは1〜4が好ましい。
【0353】
は、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−又は単結合がより好ましく、単結合が特に好ましい。
【0354】
Bは任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表すが、1,4−フェニレン基又は単結合が好ましい。Cが単結合以外の環構造を表す場合、Z2は単結合以外の連結基も好ましく、Cが単結合の場合、Zは単結合が好ましい。
【0355】
これらの点から、一般式(P)において、Sp及びSpの間の環構造は、具体的には次に記載する構造が好ましい。
【0356】
一般式(P)において、Cが単結合を表し、環構造が二つの環で形成される場合において、次の式(Pa−1)から式(Pa−5)
【0357】
【化131】
【0358】
(式中、両端はSp又はSpに結合するものとする。)
を表すことが好ましく、式(Pa−1)から式(Pa−3)を表すことがより好ましく、式(Pa−1)を表すことが特に好ましい。
【0359】
これらの骨格を含む重合性化合物は重合後の配向規制力がPSA型液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない。
【0360】
以上のことから、重合性モノマーとしては、一般式(Pa−1−1)〜一般式(Pa−1−4)が特に好ましく、中でも一般式(Pa−1−2)が最も好ましい。
【0361】
【化132】
【0362】
(式中、Spは炭素原子数2から5のアルキレン基を表す。)
本発明の液晶組成物にモノマーを添加する場合において、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。また、保存安定性を向上させるために、安定剤を添加しても良い。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。
本発明における液晶組成物は、さらに、一般式(Q)で表される化合物を含有することができる。
【0363】
【化133】
【0364】
(式中、Rは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよく、Mはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表す。)
は炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよいが、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。Mはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
【0365】
一般式(Q)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(Q−a)から一般式(Q−d)で表される化合物が好ましい。
【0366】
【化134】
【0367】
【化135】
【0368】
【化136】
【0369】
【化137】
【0370】
式中、RQ1は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ2は炭素原子数1から20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ3は炭素原子数1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基が好ましく、Lは炭素原子数1から8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。一般式(Q−a)から一般式(Q−d)で表される化合物中、一般式(Q−c)及び一般式(Q−d)で表される化合物が更に好ましい。
本願発明の液晶組成物において、一般式(Q)で表される化合物を1種又は2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。
【0371】
本発明の重合性化合物含有液晶組成物は、液晶表示素子に有用であり、特にアクティブマトリクス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSAモード、PSVAモード、VAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子に用いることができる。
【0372】
本発明の重合性化合物含有液晶組成物は、これに含まれる重合性化合物が紫外線照射により重合することで液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD及びIPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0373】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0374】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0375】
2枚の基板間に重合性化合物含有液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができるが、真空注入法においては滴下痕は発生しないものの、注入の後が残る課題を有しているものであるが、本願発明においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。
【0376】
重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
【0377】
照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm〜100W/cmが好ましく、2mW/cm〜50W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cmから500J/cmが好ましく、100mJ/cmから200J/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
【0378】
本発明の液晶表示素子の構成は、図1に記載するように透明導電性材料からなる共通電極を具備した第一の基板と、透明導電性材料からなる画素電極と各画素に具備した画素電極を制御する薄膜トランジスターを具備した第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶組成物を有し、該液晶組成物中の液晶分子の電圧無印加時の配向が前記基板に対して略垂直である液晶表示素子であって、該液晶組成物として前記本発明の液晶組成物を用いたことに特徴を有するものである。
【0379】
滴下痕の発生は注入される液晶材料に大きな影響を受けるものであるが、表示素子の構成によってもその影響は避けられない。特に、液晶表示素子中に形成されるカラーフィルター、薄膜トランジスター等は薄い配向膜、透明電極等しか液晶組成物とを隔てる部材が無いことから組合せにより滴下痕の発生に影響を与える。
【0380】
特に該薄膜トランジスターが逆スタガード型である場合には、ドレイン電極がゲート電極を覆うように形成されるためその面積が増大する傾向にある。ドレイン電極は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、モリブデン、タンタル等の金属材料で形成され、一般的には、パッシベーション処理が施されるのが通常の形態である。しかし、保護膜は一般に薄く、配向膜も薄く、イオン性物質を遮断しない可能性が高いことから、金属材料と液晶組成物の相互作用による滴下痕の発生を避けることができなかった。
【0381】
本件発明においては、図2に記載するように薄膜トランジスターが逆スタガード型である液晶表示素子に好適に使用でき、アルミニウム配線を用いる場合に好ましい。
【0382】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモード又はECBモード用に適用できる。
【実施例】
【0383】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0384】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0385】
NI :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ :20℃における回転粘度(mPa・s)
VHR:周波数60Hz,印加電圧5Vの条件下で50℃における電圧保持率(%)
耐熱試験後のVHR:液晶組成物を注入したVHR測定用TEG(テスト・エレメント・グループ)を135℃の恒温槽中に45分保持した後、上記VHR測定法と同じ条件で測定を行った。
【0386】
焼き付き :
液晶表示素子の焼き付き評価は、表示エリア内に所定の固定パターンを2000時間表示させた後に、全画面均一な表示を行ったときの固定パターンの残像のレベルを目視にて以下の4段階評価で行った。
【0387】
◎残像無し(非常に良いレベル)
○残像ごく僅かに有るも許容できるレベル(良いレベル)
△残像有り許容できないレベル(良くないレベル)
×残像有りかなり劣悪(悪いレベル)
滴下痕 :
液晶表示装置の滴下痕の評価は、全面黒表示した場合における白く浮かび上がる滴下痕を目視にて以下の4段階評価で行った。
【0388】
◎残像無し(非常に良いレベル)
○残像ごく僅かに有るも許容できるレベル(良いレベル)
△残像有り許容できないレベル(良くないレベル)
×残像有りかなり劣悪(悪いレベル)
プロセス適合性 :
プロセス適合性は、ODFプロセスにおいて、定積計量ポンプを用いて1回に30pLずつ液晶を滴下することを100000回行い、次の「0〜100回、101〜200回、201〜300回、・・・・99901〜100000回」の各100回ずつ滴下された液晶量の変化を以下の4段階で評価した。
【0389】
◎変化が極めて小さい(安定的に液晶表示素子を製造できる。非常に良いレベル))
○変化が僅かに有るも許容できるレベル(良いレベル)
△変化が有り許容できないレベル(斑発生により歩留まりが悪化。良くないレベル))
×変化が有りかなり劣悪(液晶漏れや真空気泡が発生)(悪いレベル)
低温での溶解性:
低温での溶解性評価は、液晶組成物を調製後、2mLのサンプル瓶に液晶組成物を1g秤量し、これに温度制御式試験槽の中で、次を1サイクル「−30℃(1時間保持)→昇温(0.1℃/毎分)→0℃(1時間保持)→昇温(0.1℃/毎分)→20℃(1時間保持)→降温(−0.1℃/毎分)→0℃(1時間保持)→降温(−0.1℃/毎分)→−30℃」として温度変化を与え続け、目視にて液晶組成物からの析出物の発生を観察し、以下の4段階評価を行った。
【0390】
◎576時間以上析出物が観察されなかった。(非常に良いレベル)
○288時間以上析出物が観察されなかった。(良いレベル)
△144時間以内に析出物が観察された。(良くないレベル)
×72時間以内に析出物が観察された。(悪いレベル)
尚、実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖構造及び連結構造)
-n -CnH2n+1 炭素数nの直鎖状のアルキル基
n- CnH2n+1- 炭素数nの直鎖状のアルキル基
-On -OCnH2n+1 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
nO- CnH2n+1O- 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
-V -CH=CH2
V- CH2=CH-
-V1 -CH=CH-CH3
1V- CH3-CH=CH-
-2V -CH2-CH2-CH=CH3
V2- CH3=CH-CH2-CH2-
-2V1 -CH2-CH2-CH=CH-CH3
1V2- CH3-CH=CH-CH2-CH2
(環構造)
【0391】
【化138】
【0392】
(比較例1及び2、実施例1)
次に示す組成を有する液晶組成物(LC−A〜B、LC−1)を調製し、その物性値を測定した。この結果を次の表に示す。
【0393】
それぞれの液晶組成物を用いて、図1に示すVA液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子は、アクティブ素子として逆スタガード型の薄膜トランジスターを有している。液晶組成物の注入は、滴下法にて行い、焼き付き、滴下痕、プロセス適合性及び低温での溶解性の評価を行った。
【0394】
尚、含有量の左側の記号は、上記化合物の略号の記載である。
【0395】
【表1】
【0396】
比較例1の液晶組成物LC−Aは、式(i)の化合物を含有するが、式(XII−1−5)及び式(XII−1−6)の化合物は含有していない。比較例2の液晶組成物LC−Bは、式(XII−1−5)及び式(XII−1−6)の化合物は含有するが、式(i)の化合物は含有していない。
実施例1の液晶組成物LC−1は、比較例1の液晶組成物と比較して、粘度η及び回転粘性γ1が低く、各種パネル評価性能、プロセス適合性、また、低温での溶解性において優れていることが分かる。
(実施例2〜4)
次に示す組成を有する液晶組成物(LC−2〜4)を調製し、その物性値を測定した。また、液晶表示素子により、焼き付き、滴下痕、プロセス適合性及び低温での溶解性の評価を行った。その結果を以下に示す。
【0397】
【表2】
【0398】
実施例2〜4の液晶組成物LC−2〜4において、粘度η及び回転粘性γ1が低く、各種パネル評価性能、プロセス適合性、また、低温での溶解性において優れていることが分かる。
(実施例5)
実施例1に示す液晶組成物LC−1 99.85%に対して、以下で示される重合性化合物
【0399】
【化139】
【0400】
を0.15%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−Aを調製した。CLC−Aの物性は実施例1に示すネマチック液晶組成物の物性とほとんど違いはなかった。CLC−Aをセルギャップ3.5μmのホモジニアス配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルに周波数1kHzの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cm2となるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。重合性化合物が重合することにより、液晶化合物に対する配向規制力が生じていることが確認できた。
【要約】
本発明は液晶表示材料として有用な誘電率異方性(Δε)が負の値を示すネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子に関する。
本発明の液晶組成物は広い温度範囲の液晶相を有し、粘性が小さく、低温での溶解性が良好で、比抵抗や電圧保持率が高く、熱や光に対して安定であるため、これを用いることで表示品位に優れ、焼き付きや滴下痕等の表示不良の発生し難いVA型やPSVA型等の液晶表示素子を歩留まりよく提供することができる。
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード等の液晶表示素子に適用できる。
図1
図2