【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る位置検出装置を含む放射線治療装置の全体構成を示す図である。
治療台10上に固定される患者12の体内には、マーカ14が埋め込まれている。このマーカ14は、例えば金製のボールで直径は1〜2mm程度であり、患部の近傍に予め埋め込まれる。マーカ14は、所定の挿入用の器具によって体内の患部近傍の所定部位に埋め込まれる。このようにして埋め込まれたマーカ14は、腫瘍と一定の位置関係にあり、腫瘍の相対位置マーカとして機能する。なお、マーカ14としては、X線吸収が大きい高電子密度物質が望ましく、酸化物、セラミックス、造影剤や金およびタングステンなどの比重の大きい金属などが採用される。
治療台10の周辺には、2つのX線透視装置20−1,20−2が設けられている。この2つのX線透視装置20−1,20−2は、異なる方向から治療台10上の患者12にX線を照射して透視像をそれぞれ別に得る。2つのX線透視装置20は、X線ビームの方向が異なるだけで、基本的に同一の構成を有しているので、以下は、両者について共通して説明する。
このX線照射装置22は、X線管24と、コリメータ26とからなり、所定のX線ビームを射出する。X線照射装置22からのX線ビームは治療台10上の患者12の所定部位を通過して対向するイメージインテンシファイア28に入射する。このイメージインテンシファイア28では、入射蛍光面においてX線を光に変換するとともに蛍光面表面の光電膜で光電子を放出する。そして、この光電子を電子レンズで加速して出力蛍光面に収束し、この出力蛍光面で可視画像に変換して、これをカメラ(例えばCCDカメラ)30で電気信号に変換する。従って、カメラから入射X線に応じた画像信号が出力される。
ここで、このイメージインテンシファイア28では、出力蛍光面にマルチカラーシンチレータを用い、カメラ30をカラーカメラとしている。これによって、入射されるX線は、X線の強度に応じて感度の異なるR,G,Bの信号に変換され、RGBのカラー画像信号がカメラ30から出力される。
2つのX線透視装置20−1,20−2のカメラ30からの画像信号は、カメラインタフェース32を介し、画像処理部34に入力される。
画像処理部34は、2つのX線透視装置20−1,20−2からのR信号画像、G信号画像、B信号画像のそれぞれについて画像処理を行う。本実施形態では、画像処理部34においては、入力されてくる画像を処理して、患者12の体内に埋め込まれているマーカ14を同定する。そして、2つのX線透視装置20−1,20−2によって得られた画像中のマーカ14の2次元座標についてのデータを位置検出部36に供給する。位置検出部は、予めわかっている2つのX線透視装置20−1,20−2のX照射装置22、イメージインテンシファイア28の3次元座標と、得られた2の画像中のマーカ14の座標とに基づいてマーカ14の3次元位置を算出し、これを制御部38に供給する。制御部38は、治療放射線ビームを患者12に照射するライナックなどのビーム照射装置40を制御する。すなわち、ビーム照射装置40からの治療放射線ビームの方向は予め定められており、一方マーカ14の位置から照射対象となる腫瘍の位置はわかっている。そこで、制御部38は、腫瘍が治療放射線ビームの照射範囲に入っているかを判断し、照射範囲に入っているときのみに、ビーム照射装置40から治療放射線ビームが照射されるようにビーム照射装置40を制御する。なお、ビーム照射装置40は、一定の方向に治療放射線ビームを照射するものでもよいが、回転しながら照射するものでもよい。回転しながら治療放射線ビームを照射することにより、回転強度変調放射線治療などが行える。
このようにして、本実施形態によれば、X線透視装置20−1,20−2によりリアルタイムで得た画像からマーカ14の位置を検出し、ビーム照射装置40からの治療放射線ビームの照射を制御する。これによって、大きく動く腫瘍に対し、追従して確実に治療放射線ビームを照射することができ、無駄な放射線照射を抑制することができる。
なお、上述の例では、マーカ14が所定の範囲内にあるときにのみ治療放射線を照射したが、治療放射線の放射位置を、検出したマーカ14位置に追従して制御してもよい。
その際には、脊髄等の危険臓器を同時に認識し、治療X線ビームを抑止することが好適である。
次に、画像処理部34について説明する。上述のように、本実施形態では、1方向のX線ビームについて、R信号、G信号、B信号の3つの異なる感度の画像信号が得られる。
図2には、3種類の強度でX線を検体に照射した場合のR,G,Bの画像を示してある。この検体は、立方体形状で8つの頂点にマーカ14を配置したプラスチックファントムである。R,G,Bで、それぞれ感度が異なるため、画像が異なり、マーカ14の視認性も異なっていることがわかる。この場合、Rが最も感度が高く、Bが最も感度が低くなっている。
図3には、骨などと同等のXを吸収しやすい部材を配置したファントムに複数のマーカ14を配置した場合の画像であり、3つのマーカ14について、それぞれR,G,B画像を示してある。場所によってR,G,B画像のいずれかにおいて、マーカ14が明確に見える画像が異なっていることがわかる。
「各画像からのマーカの直接検出」
本実施形態では、画像処理部34においてR,G,Bの各画像について、独立にマーカパターンとパターンマッチングを行い、マーカ14を検出する。そして、得られた結果の中からパターンマッチングのスコアの最も高いものを採用し、その座標をマーカ14の位置とする。
このように、同じ方向から同時に取得された感度の異なる複数の画像を用いることにより、例えば肺野中のマーカ14と、骨などの密度の高い物質の影になったマーカ14が、感度の異なる画像のいずれかにおいて認識可能となる。この感度の異なる複数の画像に対して独立にパターンマッチング法を用いることにより、異なる条件に置かれたマーカ14であっても、正確にその位置を同定することが可能となる。
図4には、画像処理部34における処理についてのフローチャートが示されている。このように、R画像、G画像、B画像についてそれぞれマーカ14のパターンとパターンマッチングが行われる(S11−R,S11−G,S11−B)。このパターンマッチングは、マーカ14の画像データとカメラインタフェース32から供給される各画像とをパターンマッチングすることによって行われる。この際に、パターンマッチングの一致度についてのスコアが、各画像中で検出されたマーカ14のそれぞれについて記憶される。なお、各画像について、エッジ強調処理をした後、パターンマッチングを行ってもよい。また、パターンマッチングの際は、各色画像それぞれに対してレファレンスのマーカ画像データを定義している。これによって、各色の画像について適切なパターンマッチングが行える。さらに、エッジ強調処理した場合のレファレンスは、マーカ画像についてエッジ強調処理したものを利用することが好適である。
次に、このようにR,G,Bの各画像において検出されたマーカ14の位置で近いものを取り出し、それらのパターンマッチングにおけるスコアを比較する(S12)。そして、スコアが最高のものを1つ選択し、画像中におけるマーカ14の2次元座標位置を決定する(S13)。このようにして、一方向の画像からマーカ14の画像中の座標が決定され、これを2方向について同様に行うことで、2方向から見たマーカ14の画像中の座標が決定され、このデータが位置検出部36に供給される。
例えば、肺領域中のマーカ14を追跡する場合では低感度の蛍光体(例えば、B画像やG画像)によるイメージで位置算出を行い、骨などの高密度物質の陰になったマーカ14を追跡する場合では、高感度のイメージ(R画像)で位置算出を行うことにより、透視条件によらずマーカ14の追跡が可能となる。
なお、感度の異なる画像を取得するイメージインテンシファイア28としては、東芝電力システム社より市販されているカラー型イメージインテンシファイア装置(非特許文献1参照)を利用することができる。
このように、本実施形態によれば、同一方向から感度の異なる3枚の画像(R,G,B画像)を同時に取得可能であるため、条件が頻繁に変化する場合においても、最も解析が有効な画像を用いて追跡を行うことにより、マーカ14に対する追跡の精度を向上する。さらに、3つの蛍光体によるX線撮像感度を適切に調整することにより、ダイナミックレンジを広くすることができ、従来では追跡不可能な条件においても、追跡可能になる。また、複数のマーカ14を追跡する場合において、それぞれのマーカ14の透視条件が大きく異なる場合でも、マーカ14を追跡することができる。
「画像同士の演算によるマーカの検出」
図5には、マーカ14の検出についての他の例が記載してある。この例では、まずR,G,Bの各画像について、エッジ強調処理を施す(S21−R,S21−G,S21−B)。このエッジ強調処理は、空間的な微分値を利用して輝度変化の大きな箇所(エッジ)を強調する。このエッジ処理によって、
図6上段のようなR,G,B各色のオリジナル画像から、
図6下段のエッジ強調された画像が得られる。マーカ14は、周辺の組織に比べX線吸収率が高いため、このマーカ14の外縁が強調される。
次に、エッジ強調処理を行った画像から、オリジナルの画像を減算する(S22−R,S22−G,S22−B)。ここで、減算するオリジナルの画像は、各画素データについてそのまま用い、これを画素毎に対応する画素データから減算する。そして、画素データはマイナスのデータはなく、その画素については輝度0とする。この減算処理によって
図7上段に示すように、マーカ14以外の部分における輝度変化の多くが削除された減算画像が得られる。一方、マーカ14の画像についてもその輝度が落ちる。なお、減算する画像データは、必ずしもそのままではなく、変化幅を若干小さくしたデータとするウェイトを掛けた減算処理などでもよい。
次に、得られた3つの減算画像を加算処理する(S23)。これによって、
図7下段に示すような、マーカ14の輪郭が明確になった加算画像を得ることができる。
そして、このようにして得られた加算画像について、パターンマッチングを行う(S24)。加算画像では、
図7下段に示すようにマーカ14についてその輪郭は非常に明確な画像が得られる。従って、パターンマッチングにおいて、正確なパターンマッチングが行える。
特に、この実施形態の処理では、演算の負荷が高いパターンマッチングは1つの画像に対して行えば良く、演算が容易であり高速に処理を行うことが可能である。すなわち、エッジ強調処理や、減算処理、加算処理は、パターンマッチングに比べ、演算負荷がかなり小さいため、パターンマッチングを1回にすることで全体としての演算負荷を小さくして高速の処理が可能となる。
また、加算画像とパターンマッチングするレファレンスの画像は、各色のマーカ画像についてエッジ強調処理、減算処理、加算処理を行って作成することが好適である。
上述した各色の画像同士の演算によるマーカ検出と、上述した各画像からのマーカの直接検出の両方を行い、検出された各マーカについて、最もスコアの高いものを選択することが好適である。
「その他」
上述のように、本実施形態によれば、マーカ14などのターゲットを効果的に検出することが可能である。従って、放射線治療以外の用途にも好適に適用が可能である。例えば、空港などにおいて、不審物検知のためにX線透視装置を利用している。この検査は、特に金属製のナイフなどの危険物を検出することが目的である。そこで、本実施形態のマーカの検出手法がそれら危険物の検出に好適に利用可能である。
また、画像処理においては、画像などの色のデータと、それが実際に出力される際の信号の相対関係を調節して、より自然に近い表示を得るためのγ補正操作などが行われるが、これらの画像処理については、必要に応じて適宜行うことができる。
上述の例としては、マーカ14や金属製の危険物をターゲットとしたが、腫瘍などバックグラウンドとX線吸収率が異なるものであれば、ターゲットとすることができる。例えば、本実施形態により、腫瘍の明瞭な画像を得ることも可能である。
さらに、放射線治療においては、脊髄への治療放射線の照射線量をなるべく小さくしたいという要求がある。上記実施形態によれば、複数のマーカを確実に追跡できる。このため、腫瘍および背骨(脊柱)をマーカとして、一方は腫瘍を追跡し、もう一方は脊柱を認識して、相互の位置関係を把握した上でゲーティングをかけることが好適である。すなわち、検出した腫瘍の三次元位置が所定の範囲内にあり、脊髄が当該所定の範囲内にない場合に治療放射線を照射する。これによって、腫瘍に対し、治療放射線を放射するが、脊柱に対する照射を禁止するように、治療放射線の照射を制御することができ、脊髄に対する治療放射線の照射を防止することができる。ここで、治療放射線の照射を禁止したい臓器は脊髄であるが、X線透視で確認ができるのは脊柱(背骨)であるため、マーカとしては脊柱を採用する。脊柱と脊髄の位置関係は予め測定できるので、脊柱の位置をパターンマッチングにより認識することによって、脊髄の位置を算出することは可能である。なお、腫瘍や脊柱の認識に代えて、金属マーカを利用することもできる。さらに、脊柱のみをターゲットとしてその位置検出をすることも可能である。