【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、農林水産省、「超低コスト土地利用型作物生産技術の開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記送塵ガイドは、コイルバネの一端を固定する固定部の位置を調整して、コイルバネの他端位置で定められる初期開度を調節することが可能であるが、該初期開度位置は、コイルバネの自由長状態で設定されるため、コイルバネの加工バラツキ等によって送塵ガイドの初期開度位置が安定しない。
【0006】
特に、複数の送塵ガイドを扱室内に並列に配設するものにあっては、各送塵ガイドをそれぞれ各部に固定部の位置を調整して、初期開度位置を合せる必要があり、初期開度位置の調節が面倒であった。
【0007】
そこで、本発明は、送塵ガイドの初期開度位置がどこにあっても、バネによる送塵ガイドの付勢力を一定の関係に保持し、もって上述した課題を解消した脱穀装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、扱室(12)内に、回動支点軸(25)
に相対回転不能に支持され、前記扱室(12)内の処理物から受ける負荷によ
り回動
する送塵ガイド(21)を備えた脱穀装置において、
前記回動支点軸(25)に相対回転可能に支持され、下限ストッパ(39)(31a)が設けられる規制プレート(31)と、
前記回動支点軸(25)に相対回転不能に支持され、前記下限ストッパ(39)(31a)が当接する当接部(40a)(55)を有するアームプレート(29,30)と、
一端(32b)を前記アームプレート(
29,30)に係止すると共に、他端(32c)を前記規制プレート(31)に係止し
て、
前記アームプレート(29,30)を、前記当接部(40a)(55)が前記下限ストッパ(39)(31a)に当接するように、前記回動支点軸(25)を中心に第1回転方向に付勢するバネ(32)と、を備え、
前記送塵ガイド(21)は、前記下限ストッパ(39)(31a)の移動位置に応じて、前記当接部(40a)(55)が前記下限ストッパ(39)(31a)に当接した状態で前記アームプレート(29,30)が移動することで初期開度位置が変更され、前記処理物から受ける負荷によって、前記バネ(32)の付勢力に抗して前記アームプレート(29,30)と共に前記第1回転方向とは反対の第2回転方向(E)に回動してなる、
ことを特徴とする脱穀装置にある。
【0009】
例えば
図4〜
図8を参照して、前記扱室内(12)に、前記送塵ガイド(21…)が扱胴(11)の軸方向に複数個並設して配置され、
前記各送塵ガイド(21)に、それぞれ前記アームプレート(29,30)及び前記規制プレート(31)が設けられ、
前記下限ストッパ(39…)が、前記規制プレート
(31)に回転自在に嵌挿されて備えられると共に、連結プレート(37)
に前記各アームプレート
(29,30)の前記当接部(40a)にそれぞれ当接し得るように複数個配置され、
前記連結プレート(37)の移動により、前記各送塵ガイド(21…)の
前記初期開度位置が変更されてなる。
【0010】
例えば
図9〜
図12を参照して、前記規制プレート(31)に、前記下限ストッパ(31a)を一体に形成すると共に、
前記下限ストッパ(31a)の位置を位置決めして前記送塵ガイド(21)の前記初期開度
位置を設定する操作部材(56)を配置してなる。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、下限ストッパの移動によりアームプレート及び規制プレートを介して送塵ガイドの初期開度位置が変更されるので、該初期開度位置がどの位置にあっても、アームプレート及び規制プレートとの関係によるバネは同じ付勢状態にあって、バネの加工バラツキ等に関係なく、上記初期開度位置における送塵ガイドの負荷に対する付勢力の関係を一定に保ち、負荷に応じた送塵ガイドの自動調節を安定して行うことができ、これによりどのような初期開度位置にあっても、脱穀負荷が安定し、所要動力を低減して、省エネ効果を向上することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によると、複数の送塵ガイドを並設して、送塵ガイドによる扱室内の処理物の送りを高い効率で安定して行うことができるものでありながら、複数の送塵ガイドは、連結プレートに設けられた各下限ストッパにより同時に初期開度位置を設定することができ、送塵ガイドの初期開度位置が容易かつ正確に行な得、作業性を向上することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によると、規制プレートに、下限ストッパを一体に形成すると共に、ノブボルト等の操作部材を配置したので、送塵ガイドを操作部材で各個に初期開度を設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。コンバイン1は、
図1に示すように、クローラにより支持される走行機体3を有しており、該走行機体3の前方には前処理部5が昇降自在に配置されている。走行機体3は、一側に運転操作部6及びエンジンが配置され、その後方にグレンタンク7及び該グレンタンク内の穀粒を排出する排出オーガ9が配置されており、他側に脱穀装置10が配置されている。
【0017】
脱穀装置10は、
図2及び
図3に示すように、脱穀部10aと選別部10bとからなり、脱穀部10aは、扱胴11を有する扱室12を備えており、フィードチェーン13で挟持されて搬送される穀稈から穀粒を脱穀する。選別部10bは、脱穀部10aから受網15を通って落下した穀粒及び夾雑物を、揺動選別及び風選別により1番口16、2番口17及び排塵口19に分別し、1番口16の穀粒は前記グレンタンク7に移送され、2番口17のものは脱穀部10aの処理室20に搬送されて再処理の後再び選別され、排塵口19からはわら屑、穂切れ等の夾雑物が機外へ排出される。
【0018】
前記扱室12内における扱胴11の上方には、複数(例えば4個)の送塵ガイド21が扱胴11の軸線方向に並んで配設されている。扱胴11は、そのドラム状の周囲に多数の扱歯11aが植設されており、該扱胴11の矢印B方向の回転により、上記扱歯11aにより脱穀された穀粒及びわら屑等の夾雑物からなる処理物は、矢印C方向に示すように扱胴11の回転に連れ回りされつつ前方から後方に向けてスパイラル状に移送される。該扱室12内の処理物の流れは、上記扱室12の上壁(脱穀カバー)22に取付けられている送塵ガイド21の向きにより制御されると共に、該送塵ガイド21自体が、上記処理物から受ける負荷により自動的にその向きを調節される。
【0019】
ついで、本発明の要部である上記送塵ガイド21について、
図4ないし
図8に沿って詳しく説明する。各(4個の)送塵ガイド21は、それぞれその中間部分に回動支点軸25を一体に設けられており、該支点軸25は、
図5に示すように、脱穀カバー22に取付けられた軸受26により回転自在に支持されると共に、該カバー22を貫通して扱室12外の上方に延びている。該支点軸25は、上記上方突出部分が2面取り部となっており、該2面取り部にボス部27が回転不能に嵌合している。該ボス部27には第1のアームプレート29及び第2のアームプレート30が回転不能に嵌合していると共に、該ボス部21の下端の膨出円筒部27aに規制プレート31が回転自在に嵌合している。従って、第1及び第2のアームプレート29,30は、支点軸25を介して送塵ガイド21と一体に回動するように連結されており、かつ第1のアームプレート29は、送塵ガイド21と同一方向に延びる比較的長尺の3角形状のプレートからなり、第2のアームプレート30は、第1のアームプレート29と直交する方向に延びる比較的短尺なプレートからなる。また、規制プレート31は、支点軸25に回動自在に支持されており、支点軸25側の基端が上記第2のアームプレート30と逆方向に向う幅広な上記第1のアームプレート29とは上下逆さ向きの3角形状のプレートからなり、該第1のアームプレート29の下方において同一方向に延びている。
【0020】
前記支点軸25には、ねじりコイルバネ32のコイル部32aが嵌挿しており、該コイルバネ32の一端アーム部32bが、前記第2のアームプレート30の先端に植設されたピン33に引っ掛けられ、他端アーム部32cが、上記規制プレート31の3角状幅広側に固定されたピン35に引っ掛けられている。上記ねじりコイルバネ32は、コイル部32aが所定量巻締められた状態で両端アーム部32b,32cがそれぞれピン33,35に引っ掛けられて、
図4において、支点軸25を中心にして、一体の第1及び第2のアームプレート29,30が時計方向に、規制プレート31が反時計方向に回動するように付勢されている。
【0021】
並列配置された4個の送塵ガイド21…における前記各第1のアームプレート29及び規制プレート31の先端部分に亘って、連結プレート37が配置されている。該連結プレート37の前記各第1のアームプレート29及び規制プレート31が位置する部分には、
図8に示すように、それぞれバックストップ軸(下限ストッパ)39が上方に向かって植設されている。該各バックストップ軸39は、各規制プレート31の先端部に回転自在に嵌挿して備えられており、従って上記4個の規制プレート31は、その先端が連結プレート37に連結され、それぞれ平行リンクを構成している。前記各第1のアームプレート29の先端幅広部分には、支点軸25を中心とした円弧状の長孔40…が形成されており、該長孔40に前記バックストップ軸39が嵌挿している、従って、ねじりコイルバネ32により、
図4に示すように第1のアームプレート29の長孔40の左側端(40a)にバックストップ軸39が当接するように付勢されている。
【0022】
バックストップ軸39の上記第1のアームプレート29の上側には、
図8に示すように、断面L字状のプレート41を介してナット42により抜止めがなされており、該L字状プレート41は、通常、
図8(A)に示すように、その立上り面41aが上方に向くように取付けられ、アームプレート29と規制プレート31との互いの自由な動きを阻害しないようになっている。各第1のアームプレート29の前側所定位置には、L字状プレートからなる上限ストッパ43…が脱穀カバー22に固定されて配置されている。
【0023】
前記連結プレート37の前側端部には、
図4及び
図6に示すように、ベルクランク状のレバー46が上記脱穀カバー22に回転自在に配置されており、該レバー46の一端と前記連結プレート37の前側端とは短い長孔とそれに嵌挿するピンを介して連結されている。上記レバー46の他端には、上下方向に撓む板バネからなる初期開度設定用操作レバー47がボルトにより一体に固定されており、該操作レバー47は、オペレータが操作し得るように前方に延びている。多数の係止溝49a…を有する係止プレート49が、上記設定レバーの下方を横切るように脱穀カバー22に固定されて配置されており、上記設定レバー47は、その下面に設けられた係止片47aが上記係止プレート49の係止溝49aに係脱して、所定操作位置に保持される。
【0024】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、コンバイン1の作業に基づき、脱穀装置10の扱胴11が矢印B方向に回転している状態では、扱室12内の処理物は、扱胴11に連れ回されて回転しつつスパイラル状に前方から後方に移送される。この際、処理物の送り(速度)は、4個の送塵ガイド21の傾きにより調節される。送塵ガイド21は、オペレータが初期開度設定用操作レバー47を操作することにより初期開度位置が設定される。即ち、上記操作レバー47の操作位置により、レバー46を介して連結プレート37の前後位置が設定され、各バックストッパ軸(下限ストッパ)39の位置が設定される。
【0025】
これにより、ねじりコイルバネ32の付勢力により上記バックストッパ軸39に当接している長孔40の前側端(下限側、閉じ側)の位置に基づき、第1のアームプレート29の回動位置が設定され、該アームプレートとの一体の送塵ガイド21の傾斜角である初期開度位置が設定される。この際、バックストップ軸39に連結されている規制プレート31も上記第1のアームリンク29と同量回転され、従ってアームリンク30に植設されたピン33と規制プレート31に植設されたピン35との間に引っ掛けられ、同じ回転支点軸25に嵌挿されているねじりコイルバネ32の付勢力は、初期開度位置に拘らず、常に一定の状態に保たれる。
【0026】
図4において、前記初期開度設定レバー47を開き側に操作すると、送塵ガイド21は開き側に初期開度位置が調節され、設定レバー47を閉じ側に操作すると、送塵ガイド21は閉じ側に調節される。送塵ガイド21が開き側にあると、処理物の前から後への移送速度が速くなり、送塵ガイド21が閉じ側にあると、処理物の移送速度が遅くなり、その分扱室12内に溜まる処理物の時間(脱穀時間)が長くなる。扱胴11の回転に伴う前記処理物のスパイラル状(
図2の矢印C)の移送により、送塵ガイド21には処理物から矢印D方向(
図4、
図7参照)の押圧力(負荷)が作用し、扱室12内の処理物が多いと上記負荷も増大する。
【0027】
送塵ガイド21は、バックストッパ軸39により回動位置が固定されているピン35と、該送塵ガイド21と一体のアームリンク30に設けられたピン33との間にねじりコイルバネ32の付勢力が作用しており、該付勢力と上記負荷Dとが釣り合った状態に保持される。
図7の前側の送塵ガイド21に示すように、送塵ガイド21に作用する処理物からの負荷(押圧力)が上記コイルバネ32の付勢力より大きい場合、送塵ガイド21は、それと一体のアームプレート29,30と共に回動支点軸25を中心に矢印E方向に回動する。該送塵ガイド21の退避回動(矢印E)は、第2のアームプレート30がコイルバネ32に抗して矢印E方向に回動すると共に、第1のアームプレート29は、長孔40内をバックストッパ軸39と相対移動しつつ矢印E方向に回動する。
【0028】
これにより、扱室12内に処理物が多く溜り、送塵ガイド21に作用する処理物からの負荷が大きい場合、送塵ガイド21は自動的に退避回動して、処理物の送り速度を速くして、扱室12内の処理物の量を減少して負荷を少なくし、所定の適正位置にて平衡する。
【0029】
送塵ガイド21の退避回動、即ち開き方向の限界角度は、初期開度位置に拘りなく、所定位置にあることが好ましい。従って、第1のアームプレート29が矢印E方向に所定量回動すると、脱穀カバーに固定されている上限ストッパ43に当接する。該上限ストッパ43に第1のアームプレート29が当接すると、送塵ガイド21は、負荷Dが大きくともそれ以上退避方向に回動することはなく、処理物が塊となって送塵ガイド21に接触して、送塵ガイド21がハンチングすることを防止して、送塵ガイド21の向きを安定して脱穀性能を向上し得る。なお、上限ストッパ43は、常に所定位置にあって、初期開度設定位置に関係する長孔40の長さ(他端40b)で設定するものではないので、送塵ガイド21の開き方向角度は安定する。
【0030】
送塵ガイド21の閉じ側位置(初期開度位置)は、第1のアームプレート29の長孔40の一端40aで設定しているが、これは、該アームプレート29の矢印F方向(
図4)の回動を規制すればよく、長孔40の代りに凹状に切欠いたものでもよく、また長孔40の他端40b側は必ずしも必要でなく、バックストッパ軸39に矢印F方向の回動を規制(接触)するストッパがアームプレート29に形成されていれば足りる。また、初期開度設定用操作レバー47の手動操作により初期開度を設定しているが、該操作レバーの代りに、連結プレート37を移動する電動アクチュエータ又は電気モータを用いて、オペレータが運転操作部から遠隔操作で行えるようにしてもよい。
【0031】
図8(B)は、バックストッパ軸39に嵌挿して第1のアームプレート29の上方に配置されたL字プレート42を逆方向、即ちL字プレート42の立上り部41aが下向きになるように付け換えた状態を示す。この状態では、L字プレート41の立上り部41aが第1のアームプレート29の側端面に当接して、第1のアームプレート29とバックストッパ軸39との相対移動を禁止して一体に動くように規制している。従って、第1のアームプレート29は、規制プレート31と同様に連結プレート37により直接回動して、コイルバネ32と負荷Dとの平衡による自動応答は停止され、送塵ガイド21は、初期開度設定レバー47により強制的に所定位置に設定される。
【0032】
設定レバー47による連結プレート37及びバックストッパ軸39の移動は、長孔40の一端40aを押してアームプレート29を回動し、送塵ガイド21の初期開度位置を設定する。この際、バックストッパ軸39を介して、規制プレート31もアームプレート29と同様に回動し、コイルバネ32の両ピン33,35の関係は同じであり、初期開度をどの位置に設定しても、送塵ガイド21に対するコイルバネ21による付勢力は変らず、常に一定である。従って、例えば、刈取り途中において、走行速度を上げて脱穀装置10への穀稈供給量を増加する等により、初期開度設定レバー47を開き側に調節した場合、送塵ガイド21の初期開度位置は開き側に移動する。この際、該送塵ガイド21と一体のアームプレート29と共に規制プレート31も同量移動し、コイルバネ32を引っ掛けている両ピン32,35も同量移動して、コイルバネ32の付勢力は、調節前と同じになる。従って、上記開き位置に調節された初期位置を基準として、扱室12の処理物の増加により送塵ガイド21への負荷が増加すると、上記コイルバネ32の付勢力に抗して送塵ガイド21が退避回動して、処理物を後方へ流すことができ、脱穀負荷の増加を抑えて、所要動力を低減することができる。
【0033】
また、複数個(例えば4個)並列配置された送塵ガイド21…は、設定レバー47等の1個の操作手段の操作により連結プレート37を介して一斉に初期開度位置を調節することができ、作業性が向上する。また、操作レバー47の操作により複数個の送塵ガイドの初期開度を一斉に調整することができると共に、扱室内の状況に応じて個々の送塵ガイドが独立して退避回動する。
【0034】
上限(開き側)ストッパ43が、各送塵ガイド21…毎それぞれ脱穀カバー22に配置されているので、各送塵ガイド21は、初期開度位置に関係なく上限側の開度が規制されて、開き過ぎて扱室で処理されないまま機外に排出されることを阻止して、穀粒ロスが多くなることを防止できる。
【0035】
バックストッパ軸39にL字状プレート42を介在したので、該L字状プレート42の立上り部42aを上向きにして、アームプレート29の自由な動きを許容して、上述した送塵ガイド21への負荷に応じて退避回動して、脱穀負荷の増加を抑えて省エネを図ることができると共に、上記L字状プレート42を立上り部42aが下向きになるように付け替えて、アームプレート29を、バックストッパ軸39の移動に伴い規制プレート31と一体に移動するようにして、送塵ガイド21を設定レバー47に応じた所定位置に固定するようにすることもできる。該固定(規制)状態では、送塵ガイド21は処理物に押されても退避回動しないので、例えば枝梗処理を確実に行うことができる。なお、本実施の形態では、L字状プレート42を各送塵ガイド21のアームプレート29にそれぞれ取付けたが、これを一体部品として、該1個の規制部材(L字状プレート)を表裏引っくり返すことにより、複数の送塵ガイド21をすべて上述した退避回動許容状態と退避回動規制状態に切換えることができる。
【0036】
なお、上述実施の形態は、4個の送塵ガイドを並設したものについて説明したが、これは、4個以外の複数又は1個の送塵ガイドでもよい。また、初期開度設定用操作レバー47による直接的な手動操作で送塵ガイドの初期開度位置を設定しているが、これは、電気モータ、油圧モータ等のアクチュエータを用いて遠隔操作でもよく、更に脱穀装置に供給される処理物の量、扱胴の回転数、車速センサ等により自動制御してもよい。
【0037】
ついで、
図9〜
図11に沿って、他の実施の形態による送塵ガイドについて説明する。本実施の形態は、1個の送塵ガイド21を有する送塵ガイドユニット51からなる。該送塵ガイドユニット51は、小型コンバインにあっては、1個のみ用いられる場合もあり、また複数のユニット51が直列して用いられる場合もある。
【0038】
送塵ガイドユニット51は、扱室12内に配置される送塵ガイド21と、脱穀カバー22の外側において固定配置されるカバー体52と、を有する。カバー体52内には、脱穀カバー22に配置された軸受26を貫通して送塵ガイド21から回転支点軸25が突出しており、該回転支点軸25には2面取り部等によりボス部27が回転不能に嵌合している。該ボス部27の上端には、抜き止めボルト53が螺合されており、該ボルト53はその上部に円筒部53aを有している。上記ボス部27にはアームプレート30が回転不能に嵌合しており、また上記円筒部53aには規制プレート(ストッパプレート)31が回転自在に嵌合している。上記アームプレート30の先端部には上方に向けてピン33が植設されており、また上記規制プレート31にはピン35が下方に向けて植設されている。
【0039】
従って、送塵ガイド21とアームプレート30とは、回転支点軸25及びボス部27を介して一体に回動する。規制プレート31及びピン35は、上記回転支点軸25に対して回転自在であって、送塵ガイド21及びアームプレート30とは相対回動自在である。上記ボス部27には、ねじりコイルバネ32のコイル部32aが嵌挿しており、該コイルバネ32の一端アーム部32bが前記ピン33に係止され、他端アーム部32cが前記ピン35に係止されている。上記ピン33にはカラー55が回転自在に支持されており、前記規制プレート31は、3角形状からなり、その一端先端部31aが、前記カラー55に上記コイルばね32の付勢方向に当接して下限ストッパを構成し、また他端先端部31bにノブボルト(操作部材)56が配設され、かつその他の先端部31cに上記ピン35が植設されている。
【0040】
前記カバー体52は、脱穀カバー22に固設されたブラケット57,57に取付けボルト58,58により一体に固定されてボックス状となっており、該ボックス内に上記コイルバネ32、アームプレート30及び規制プレート31等が収納されている。上記カバー体52の天板52aには、回転支点軸25(円筒部53a)に対して反対位置に、上記支点軸25を中心とした円弧状の長孔59,63が形成されている。一方の長孔59には、上記ノブボルト56が調節自在にかつ所定位置にて固定自在に案内されており、他方の長孔60には上記ピン33の先端に取付けされたキャップ33aが突出して、その位置を目視可能となっている。
【0041】
本実施の形態にあっても同様に、初期開度位置を設定するノブボルト56を操作することにより、規制プレート31は、回転支点軸25を中心に回動し、これにより下限ストッパとなる先端部31aがカラー55との当接位置を変更して、それと一体のアームプレート30が回転支点軸25を介して送塵ガイド21の初期開度位置が設定される。この際、上記規制プレート31に設けられたピン35の位置も回動して、該ピン35とアームプレート30のピン33との間に引掛けられているねじりコイルバネ32の付勢力は、上記初期開度位置の変更に拘ず、常に一定の状態に保たれる。
【0042】
また、上記設定された送塵ガイドの初期開度位置において、送塵ガイド21に処理物からの負荷が作用すると、該送塵ガイド21は、上記コイルバネ32の付勢力に抗して
図11の一点鎖線に示すように回動(退避)して、処理物の送り速度を速くして、扱室12内の処理物の量を減少して負荷を少なくする。前記ノブボルト56の調節による初期開度位置は、カバー体52の上方から長孔59の位置を目視することにより、オペレータは確認でき、また上記処理物による送塵ガイド21の退避位置は、キャップ33aの長孔63での位置を目視することにより確認できる。
【0043】
なお、上述した実施の形態は、送塵ガイドを処理物からの負荷に対してねじりコイルバネを用いて平衡しているが、これは、ねじりコイルバネに限らず、引張りバネ等の他のバネを用いてもよい。