(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657986
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 1/10 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
B66C1/10 P
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-224102(P2010-224102)
(22)【出願日】2010年10月1日
(65)【公開番号】特開2012-76887(P2012-76887A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】市村 欣也
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭46−033888(JP,B1)
【文献】
特開昭48−087552(JP,A)
【文献】
実開昭49−121258(JP,U)
【文献】
特開平11−060139(JP,A)
【文献】
特公昭46−024847(JP,B1)
【文献】
特開平11−292456(JP,A)
【文献】
特開平06−255978(JP,A)
【文献】
特開平07−117968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上輸送用コンテナを荷役する荷役装置としてトロリから懸吊したヘッドブロックと、前記ヘッドブロックの下方に連結したスプレッダとを有するクレーンにおいて、
前記スプレッダがこのスプレッダを前記コンテナ上にガイドするための複数のガイド部材とこのガイド部材にそれぞれ連結した操作ワイヤとこの操作ワイヤに設置した作動部材とを有し、前記ヘッドブロックが前記作動部材にそれぞれ連結され前記作動部材に動力を伝達する複数の連結部とこの連結部をそれぞれ動作させる複数の駆動装置とを有し、
前記駆動装置が、油圧又は電動シリンダであり、前記連結部が先端を屈曲した棒状体であり、前記連結部の先端を前記作動部材が有する開口部に挿入して、前記油圧又は電動シリンダの伸縮動作を前記操作ワイヤに伝達する構成にしたこと特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記クレーンが、少なくとも20ftコンテナ用スプレッダ及び40ftコンテナ用スプレッダを有し、前記スプレッダのいずれか1つを、前記ヘッドブロックに連結する請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記操作ワイヤの少なくとも一部を、前記スプレッダを構成するフレーム内に配置した請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記スプレッダが少なくとも4つの前記ガイド部材と、このガイド部材にそれぞれ連結される前記操作ワイヤと、この操作ワイヤにそれぞれ設置される前記作動部材とを有し、
この作動部材に伝達した動力により、前記操作ワイヤを介して前記複数のガイド部材を下方に降ろす使用状態または跳ね上げた待機状態にそれぞれ独立して制御させる構成を備える請求項1〜3のいずれかに記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上輸送用コンテナを荷役する荷役装置としてトロリから懸吊したヘッドブロックと、ヘッドブロックの下方に連結したスプレッダを有するクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海上輸送用コンテナの荷役に、岸壁クレーン(橋形クレーン)、及び門型クレーン等(以下、クレーンと言う)を使用している。
図6に、岸壁クレーン又は門型クレーン等が有するスプレッダ1Xとヘッドブロック2Xを示す。
図6に示す様に、ヘッドブロック2Xの下方に、スプレッダ1Xを連結している。このスプレッダ1Xは、スプレッダ1Xをコンテナ40上に誘導するための複数のガイド部材(以下、フリッパと言う)3Xを有している。また、スプレッダ1Xは、伸縮アーム42を有している(例えば、特許文献1の
図4、特許文献2、及び特許文献3の
図1参照)。この伸縮アーム42は、スプレッダ1Xに搭載した油圧ユニット又は電動機構等の動力機構により、伸縮するように構成している。
【0003】
この伸縮アーム42の伸縮動作は、クレーン操作室からヘッドブロック2Xを介して、スプレッダ1Xの動力機構に動力及び指示信号を伝達して行うように構成している。この伝達は油圧及び電気等のケーブル43を介して行う。
【0004】
クレーンは、この伸縮アーム42の伸縮により、異なる長さを有するコンテナ40を荷役することができる。なお、主なコンテナ40は、全長が20ft又は40ftとなっている。また、45ftなど異なるサイズのコンテナも存在している。更に、特許文献3に記載しているように、20ftコンテナを2つ同時に荷役することもできる。
【0005】
一方で、スプレッダ1Xに設置したフリッパ3Xは、油圧ユニット又は電動アクチュエータ等で上下方向に旋回する構造を有している。フリッパ3Xは、コンテナ船の船倉内に設置したセルガイドと、接触することを避ける等のために、旋回する構造を有している。なお、セルガイドとは、航海中のコンテナの荷ずれを防止するために設置している。このフリッパ3Xを旋回する電動アクチュエータへの給電は、ヘッドブロック2Xから接触式電極等を介して、スプレッダ1Xに供給するように構成している。
【0006】
しかしながら、上記のスプレッダ1Xは、以下の問題点を有している。第1に、スプレッダ1Xの重量が大きく、荷役作業におけるエネルギー効率が低いという問題を有している。つまり、クレーンは、コンテナ40と共に、このコンテナ40と同程度の重量を有する吊り具(スプレッダ1X及びヘッドブロック2X等)を、常時巻き上げなくてはならない。
【0007】
クレーンは、この吊り具を巻き上げるエネルギーと、伸縮アームを動作するためのエネルギーが必要であり、消費エネルギーが増大している。なお、クレーンのサイズにより差異はあるが、例えば、動力機構を有するスプレッダ1Xの重量は約10〜15tとなり、このスプレッダ1Xを保持するヘッドブロック2Xは約3〜5tとなっている。また、20ftコンテナ、40ftコンテナともコンテナ本体と積載貨物を合わせた最大総重量は約35tであり、平均的には約20tである。通常20ftコンテナは密度が高い貨物用、40ftコンテナは密度が低い貨物用に用いられている。
【0008】
第2に、スプレッダ1Xの交換を行う場合、作業員によりスプレッダ1Xとヘッドブロ
ック2Xの連結作業が必要となるという問題を有している。このため、人件費がかかり、且つ交換作業のために多くの時間がかかってしまう。つまり、スプレッダ1Xとヘッドブロック2Xの連結作業は、構造的に連結する作業に加え、ヘッドブロック2Xからスプレッダ1Xに動力を伝達するために、動力的に連結する作業が必要となる。
【0009】
具体的には、油圧カップリング又は電源ケーブルの接続作業が必要となる。なお、スプレッダ1Xは、荷役作業時にコンテナ40等に衝突し、変形する可能性が高く、交換が必要となることが多々ある消耗品である。
【0010】
第3に、フリッパの動作が不安定となる問題を有している。つまり、スプレッダとヘッドブロックの間の接触式電極が一時的に切断して、フリッパが動作しない事態が発生する。これは、スプレッダ及びヘッドブロックが、コンテナへの接触等により10G以上の衝撃を受ける装置であり、この衝撃により電極の接触が維持できなくなるためである。また、スプレッダ内に設置した電動アクチュエータが、衝撃や風雨等により劣化し、動作不良を起こすという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許3026495号公報
【特許文献2】実開昭63−41084号公報
【特許文献3】特開平10−194657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、海上輸送用コンテナを荷役する荷役装置としてトロリから懸吊したヘッドブロックと、ヘッドブロックの下方に連結したスプレッダを有するクレーンにおいて、スプレッダの軽量化を実現し、クレーンのエネルギー効率を向上したクレーンを提供することである。また、クレーンオペレータ1人でスプレッダの交換作業を行えるクレーンを提供することである。更に、フリッパの動作の安定性を高めたクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係るクレーンは、海上輸送用コンテナを荷役する荷役装置としてトロリから懸吊したヘッドブロックと、前記ヘッドブロックの下方に連結
したスプレッダ
とを有するクレーンにおいて、前記スプレッダが
このスプレッダを前記コンテナ上にガイドするための複数のガイド部材と
このガイド部材にそれぞれ連結した操作ワイヤと
この操作ワイヤに設置した作動部材
とを
有し、前記ヘッドブロックが
前記作動部材
にそれぞれ連結
され前記作動部材に動力を伝達する複数の連結部と
この連結部をそれぞれ
動作させる複数の駆動装置
とを有し
、前記駆動装置が、油圧又は電動シリンダであり、前記連結部が先端を屈曲した棒状体であり、前記連結部の先端を前記作動部材が有する開口部に挿入して、前記油圧又は電動シリンダの伸縮動作を前記操作ワイヤに伝達する構成にしたこと特徴とする。
【0014】
この構成により、スプレッダに搭載する動力機構が不要となり、スプレッダを軽量化することができる。このスプレッダの軽量化により、クレーンのエネルギー効率を向上することができる。また、スプレッダとヘッドブロックを連結する際に、油圧ホース又は電源ケーブル等の連結作業が不要となるため、クレーンオペレータ1人で連結作業を行うことができる。
【0015】
更に、スプレッダとヘッドブロックの動力的接続を、作動部材の開口部に、連結部を嵌入する構成により実現している。
そのためスプレッダとヘッドブロックの位置を合わせて連結を行う際、作動部材と連結部の連結を自動的に実現することができる。この動力的接続は構造的に簡易であり、安定的であるため、ガイド部材(フリッパ)の動作を安定化することができる。なお、操作ワイヤは、金属製より線、チェーン、ロープ等の紐状物で構成することができる。
【0016】
上記のクレーンにおいて、前記クレーンが、少なくとも20ftコンテナ用スプレッダ及び40ftコンテナ用スプレッダを有し、前記スプレッダのいずれか1つを、前記ヘッドブロックに連結することを特徴とする。この構成により、クレーンは従来と同様、異なるサイズのコンテナを荷役することができる。
【0017】
上記のクレーンにおいて、前記操作ワイヤの少なくとも一部を、前記スプレッダを構成するフレーム内に配置したことを特徴とする。この構成により、操作ワイヤ4が風雨に曝されることがなくなるため、耐久性を向上することができる。また、荷役の際に、コンテナ等と接触して故障する可能性を低減することができる。
【0018】
上記のクレーンにおいて、前記スプレッダが
少なくとも4つの前記ガイド部材
と、このガイド部材にそれぞれ連結される前記操作ワイヤと、この操作ワイヤにそれぞれ設置される前記作動部材とを有し、この作動部材に伝達した動力により、前記操作ワイヤを介して前記複数のガイド部材を下方に降ろす使用状態または跳ね上げた待機状態にそれぞれ独立して制御させる構成
にすることもできる。この構成により、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るクレーンによれば、スプレッダの軽量化を実現し、クレーンのエネルギー効率を向上したクレーンを提供することができる。また、クレーンオペレータ1人でスプレッダの交換作業を行えるクレーンを提供することができる。更に、フリッパの動作の安定性を高めたクレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る実施の形態のクレーンのスプレッダの概略を示した図である。
【
図2】本発明に係る実施の形態のクレーンのヘッドブロックの概略を示した図である。
【
図3】本発明に係る実施の形態のクレーンのスプレッダ及びガイド部材の側面図である。
【
図4】本発明に係る実施の形態のクレーンのスプレッダ及びガイド部材の側面図である。
【
図5】本発明に係る実施の形態のクレーンのスプレッダ及びガイド部材の平面図である。
【
図6】従来のスプレッダ及びヘッドブロックの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態のクレーンについて、図面を参照しながら説明する。
図1に、スプレッダ1の概略を示す。このスプレッダ1は、スプレッダ1をコンテナ40上にガイドするための複数のガイド部材(以下、フリッパという)3と、フリッパ3を跳ね上げる(上下方向に旋回する)ための複数の操作ワイヤ4と、操作ワイヤ4の他端にそれぞれ設置した作動部材12を有している。このフリッパ3は、コンテナと当接する接触板60と、フリッパ3を跳ね上げる際の軸となる回転軸61を有している。作動部材12は、開口部13を有している。この開口部13は、上方を拡開したテーパー状に形成することが望ましい。なお、17はスプレッダ1のフレームを示し、14はスプレッダ1とコン
テナを連結するためのツイストロックを示している。
【0023】
また、
図1の奥のフリッパ3は跳ね上げた状態(待機状態)を示し、
図1の手前のフリッパ3は下げた状態(使用状態)を示している。フリッパ3は、
使用状態(
図1手前参照)において、作動部材12を例えば
図1に示す矢印に示す様に、右方向に牽引すると、操作ワイヤ4の移動により、フリッパ3が跳ね上がるように(上方に約180度旋回するように)構成している。なお、操作ワイヤ4を滑車(シーブ)34、37によりガイドしている。
【0024】
更に、1台のクレーンに対して、少なくとも20ftコンテナ用スプレッダと40ftコンテナ用スプレッダを準備しておき、コンテナ40のサイズに合わせて、適宜スプレッダ1を交換しながら荷役できるように構成することが望ましい。なお、クレーン構造物の一部に、使用していないスプレッダを載置するスペースを形成してもよい。
【0025】
図2に、ヘッドブロック2の概略を示す。なお、
図2は、ヘッドブロック2の下面側を示しており、一部を破断した状態を示している。このヘッドブロック2は、スプレッダ1と連結するためのヘッドブロック結合用ツイストロック30と、スプレッダ1の作動部材12とそれぞれ連結して作動部材12に動力を伝達する複数の連結部31と、連結部31をそれぞれ動作するための複数の駆動装置32を有している。
【0026】
このヘッドブロック結合用ツイストロック30は、スプレッダ1とヘッドブロック2を構造的に連結及び連結解除する機構である。また、連結部31は、例えば先端を屈曲した棒状体である。この連結部31の先端部は、作動部材12の開口部13に嵌入できるように構成しており、望ましくはテーパー状に構成する。更に、駆動装置32は、例えば油圧又は電動シリンダ等で構成し、連結部31を例えば矢印に示す様に移動できるように構成している。ここで、スプレッダ1とヘッドブロック2を連結するヘッドブロック結合用ツイストロック30は、スプレッダ1とコンテナ40を連結するコンテナつかみ用ツイストロック14と同様のものを使用することができる。
【0027】
図3及び4に、スプレッダ1及びガイド部材(フリッパ)3の拡大図を示す。なお、
図3は、フリッパ3の使用状態を示しており、
図4は、フリッパ3を跳ね上げた待機状態を示している。このフリッパ3は、例えばコンテナの角に対応する形状とする接触板60と、フリッパ3を動作する際の中心軸となる回転軸61を有している。操作ワイヤ4の一端を、この回転軸61に固定し、シーブ34及びシーブ37(図示しない)を介して、他端を作動部材12(図示しない)に固定している。
【0028】
このフリッパ3に弾性体を設置し、フリッパ3が下がっている状態(使用状態)を維持するように構成することが望ましい。この構成により、操作ワイヤ4を牽引したときのみ、フリッパ3が上方に旋回し、待機状態となり、操作ワイヤ4への張力を開放した際にフリッパ3が下がっている状態(使用状態)となるように構成することができる。なお、操作ワイヤ4に張力がかからない場合に、フリッパ3を待機状態とし、操作ワイヤ4を牽引したときに、フリッパ3が使用状態となるように構成してもよい。この弾性体は、フリッパ3に復元力を与える構成であればよく、具体的には、回転軸61内に渦巻きバネを設置する、又はフリッパ3にコイルバネを設置する等で構成することができる。
【0029】
なお、フリッパ3の接触板60を平板状に形成し、コンテナの4辺に対応するように構成してもよい。また、
図3に示す角用のフリッパと、平板状のフリッパを組み合わせて構成してもよい。
【0030】
次に、クレーンの荷役作業に伴うスプレッダ1、ヘッドブロック2及びフリッパ3の動
作に関して説明する。
図5に、スプレッダ1及びフリッパ3の平面を模式的に示す。クレーンが荷役作業を行う際は、スプレッダ1とヘッドブロック2を連結した状態で使用する。スプレッダ1とヘッドブロック2の連結は、ヘッドブロック2のヘッドブロック結合用ツイストロック30を介して構造的に連結し、連結部31を開口部13に嵌入して動力的に連結する(
図1及び2参照)。
【0031】
コンテナ40を荷役する際は、まず、スプレッダ1及びヘッドブロック2をコンテナ40上に降ろす。このとき、上方に跳ね上げた待機状態であるフリッパ3の内、任意のものを下げて使用状態とする。具体的には、使用状態とするフリッパ3に対応する駆動装置(例えば、シリンダ機構等)32を動作し、例えば
図5の右方に牽引する。この操作ワイヤ4の移動により、フリッパ3は下方に下がり、使用状態となる。クレーンオペレータは、このフリッパ3をコンテナ40に当てて、スプレッダ1をコンテナ40上に導くように操作する。
【0032】
そして、スプレッダ1のコンテナつかみ用ツイストロック14を、コンテナ40のツイストロック用の穴に嵌入する。このコンテナつかみ用ツイストロック14が回転し、スプレッダ1とコンテナ40の連結を完了する。なお、矢印で示す動作の方向は、便宜上決定したものであり、本発明の構成は、上記の方向に限定されない。
【0033】
上記の構成により、以下の作用効果を得ることができる。第1に、スプレッダ1の重量を軽くすることができ、クレーンのエネルギー効率を向上ずることができる。つまり、スプレッダ1に油圧ユニット又は電動機構等の動力機構を搭載していないため、スプレッダ1の重量を軽くすることができる。具体的には、従来、約15tであったスプレッダを、20ftコンテナ用スプレッダで約4t、40ftコンテナ用スプレッダで約5tまで軽量化することができる。
【0034】
第2に、スプレッダ1とヘッドブロック2の連結作業を、クレーンオペレータ1人で行うことができる。これは、スプレッダ1とヘッドブロック2の動力的連結が、連結部31の先端部を作動部材12の開口部13に嵌入して実現することができるためである。
【0035】
第3に、異なるサイズ(例えば20ft又は40ft)のコンテナを荷役することができる。これは、クレーン毎に用意した20ft及び40ftコンテナ用スプレッダを、クレーンオペレータ1人で交換することができるためである。例えば、コンテナ船からの荷下ろしであれば、荷役する列(ベイという)ごとに、同一サイズのコンテナ40が並んでいるため、スプレッダ1のサイズ変更(交換作業)はそれほど頻繁にはならない。
【0036】
そのため、スプレッダ1を交換する時間は微小である。つまり、この時間により、荷役効率はほとんど低下しない。なお、45ftのコンテナは、40ftコンテナと同様の位置に、ツイストロック用の穴を有しているため、40ftコンテナ用スプレッダで荷役することができる。
【0037】
第4に、フリッパ3の動作の安定性を向上することができる。これは、フリッパ3への動力伝達を、構造的な連結手段により実現したためである。また、スプレッダ1内に電動アクチュエータ等の動力を搭載しないため、動作不良等の問題が発生しない。
【0038】
第5に、複数のフリッパ3に対して、それぞれ操作ワイヤ4及び駆動装置32を設置しているため、複数のフリッパ3を独立して制御することができる。つまり、クレーンオペレータにより、コンテナ上にスプレッダ1を誘導する方法が異なる場合であっても、この方法に合わせてフリッパ3の上げ下ろしを自在に制御することができる。
【0039】
ここで、操作ワイヤ4及びシーブ34、37をスプレッダ1のフレーム17内に設置するように構成してもよい。この構成により、操作ワイヤ4等が風雨に曝されることがなくなるため、耐久性を向上することができる。また、荷役の際に、コンテナ等と接触して故障する可能性を低減することができる。なお、上記の操作ワイヤ4及びシーブ34、37の設置パターンは1例であり、本発明は上記の構成に限定されない。
【0040】
以上より、重量の軽いスプレッダを有し、エネルギー効率を向上したクレーンを提供することができる。なお、本発明は、コンテナを荷役するものであって、ヘッドブロックとスプレッダを搭載しているものであれば、あらゆるクレーンに採用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スプレッダ
2 ヘッドブロック
3 ガイド部材(フリッパ)
4 操作ワイヤ
12 作動部材
13 開口部
14 コンテナつかみ用ツイストロック
17 フレーム
31 連結部
32 駆動装置
34 滑車(シーブ)
37 滑車(シーブ)
40 コンテナ