特許第5658032号(P5658032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5658032ヒドロキシル基を含むアルジミン、およびアルジミンを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658032
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ヒドロキシル基を含むアルジミン、およびアルジミンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 251/08 20060101AFI20141225BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20141225BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20141225BHJP
   C09J 5/04 20060101ALI20141225BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20141225BHJP
   C07C 249/02 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20141225BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20141225BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20141225BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C07C251/08CSP
   C09J175/04
   C09J5/00
   C09J5/04
   C09D175/04
   C07C249/02
   C09K3/10 D
   C09K3/10 L
   C08L75/04
   C08K5/29
   C08G18/32 Z
【請求項の数】28
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2010-522390(P2010-522390)
(86)(22)【出願日】2008年8月29日
(65)【公表番号】特表2010-536937(P2010-536937A)
(43)【公表日】2010年12月2日
(86)【国際出願番号】EP2008061400
(87)【国際公開番号】WO2009027511
(87)【国際公開日】20090305
【審査請求日】2011年8月26日
(31)【優先権主張番号】07115440.5
(32)【優先日】2007年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】ジーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・ブルクハルト
【審査官】 江間 正起
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03196155(US,A)
【文献】 特表2005−514503(JP,A)
【文献】 特表2007−509200(JP,A)
【文献】 特表2000−504766(JP,A)
【文献】 特開昭61−44901(JP,A)
【文献】 特開平5−271617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 251/08
C07C 249/02
C08G 18/32
C08K 5/29−5/31
C08L 75/04−75/16
C09D 175/04−175/16
C09J 5/00−5/10
C09J 175/04−175/16
C09K 3/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のアルジミン:
【化1】
[式中、
Aは、エーテル酸素を含んでもよい、2〜20の炭素原子を有する2価又は3価の炭化水素基であり;
nは、1又は2であり;
mは、0又は1であり;
及びRは、
互いに独立に、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;
は、水素原子又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
及びRは、
が少なくとも1個のヒドロキシル基を有するという条件で、互いに独立に、ヒドロキシル基を有していてもよい、メチル基若しくは2〜12個の炭素原子を有する一価の脂肪族基であり;
Xは、Oである]。
【請求項2】
及びRがそれぞれメチル基であることを特徴とする、請求項1に記載のアルジミン。
【請求項3】
が水素原子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルジミン。
【請求項4】
及びRがそれぞれ2−ヒドロキシエチル基であるか、又はそれぞれ2−ヒドロキシプロピル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項5】
Aが、脂肪族ジアミン、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、4−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシエチルベンゼン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン及び3−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミンB1の残基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項6】
Aが、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD)、1,3−ペンタンジアミン(DAMP)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミン又はIPDA)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン及び2個又は3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンからなる群から選択されるアミンB2の残基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項7】
(m+n)が2であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項8】
が2個のヒドロキシル基を有しRがヒドロキシル基を有さないか、
又は
が1個のヒドロキシル基を有しRが1個のヒドロキシル基を有するか
のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項9】
m=1かつn=1である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項10】
m=0かつn=2である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアルジミン。
【請求項11】
少なくとも1種の式(III)のアミンBの、少なくとも1個のヒドロキシル基を有し式(IV)である少なくとも1種の立体障害のある脂肪族アルデヒドALDとの反応を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のアルジミンを調製する方法:
【化2】
[式中、Xは、Oである]。
【請求項12】
式(V)のアルデヒドY1、式(VI)のアルデヒドY2、及び少なくとも1個のヒドロキシル基を有し、式(VII)である二級脂肪族アミンCを、水の除去を伴って式(IV)のアルデヒドALDに変換することを特徴とする、請求項11に記載の方法:
【化3】
【請求項13】
少なくとも1個のヒドロキシル基を有し式(VII)であるアミンCが、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−1−プロパノール及び3−(2−ヒドロキシプロピルアミノ)−1−プロパノール、N−メチル−2,3−ジヒドロキシプロピルアミンからなる群から選択される二級脂肪族アミンであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミンをプロトン化又はアルキル化することによって得られる式(IX)のアルジミン:
【化4】
[式中、
10は、水素原子又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル若しくはアリールアルキル基であり;かつ
は、Oである。
【請求項15】
接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床仕上げ材、塗料、コーティング材料、プライマー及び発泡体のための、イソシアネート又はエポキシ樹脂に基づく組成物の成分としての、請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン又は請求項14に記載の式(IX)のアルジミンの使用方法。
【請求項16】
少なくとも1種のポリイソシアネート及び少なくとも1種の請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン又は請求項14に記載の式(IX)のアルジミンを含む硬化性組成物。
【請求項17】
1成分組成物であり、そのイソシアネート基がブロックされたイソシアネート基の形態で存在する少なくとも1種のポリイソシアネートを含むことを特徴とする、請求項16に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
成分K1及び成分K2からなる2成分組成物であり、この成分K1が少なくとも1種のポリイソシアネートPを含むことを特徴とする、請求項16に記載の硬化性組成物。
【請求項19】
ポリイソシアネートPが、モノマージ−若しくはトリイソシアネート又はモノマージイソシアネートのオリゴマー又はモノマージイソシアネートの誘導体の形態のポリイソシアネートPIであることを特徴とする、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
ポリイソシアネートPが、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPであり、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られることを特徴とする、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
成分K2が水を含むことを特徴とする、請求項18〜20のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項22】
請求項16〜21のいずれか一項に記載の硬化性組成物と空気湿度の形態の水との反応によって得られる硬化組成物。
【請求項23】
基材S1を基材S2に接着するための方法であって、
i)請求項16〜21のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材S1に塗布するステップ、
ii)組成物のオープンタイム内に塗布した組成物を基材S2と接触させるステップ、
又は
i’)請求項16〜21のいずれか一項に記載の組成物を基材S1及び基材S2に塗布するステップ、
ii”)組成物のオープンタイム内に塗布した組成物を互いに接触させるステップ
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質又は異なる物質からなる方法。
【請求項24】
シーリングのための方法であって、
i”)請求項16〜21のいずれか一項に記載の硬化性組成物を、組成物が基材S1及び基材S2と接触するように、基材S1及び基材S2の間に塗布するステップ
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質又は異なる物質からなる方法。
【請求項25】
基材S1をコーティングするための方法であって、
i”’)組成物のオープンタイム内に請求項16〜21のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材S1に塗布するステップ
を含む方法。
【請求項26】
基材S1及び/又はS2が、無機基材;金属若しくは合金;有機基材;塗装基材;又は塗料若しくはコーティングであることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法によって接合、シール又はコーティングされている物品。
【請求項28】
建築もしくは土木における構築構造物、窓、家庭用電化製品、水用もしくは陸用乗物又はそれらへの取り付け部品、家具、又は織物における物品であることを特徴とする、請求項27に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルジミンの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
アルジミンは、一級アミンおよびアルデヒドから形成される縮合生成物であり、しばらく前から知られている物質群を構成している。水と接触すると、アルジミンは、対応するアミンおよびアルデヒドに加水分解され得る。この性質によって、アルジミンは、アミンまたはアルデヒドの保護された形態として使用することができる。例えば、アルジミンは、ポリウレタン化学に使用され、このポリウレタン化学で、それらは、イソシアネート基を有する1もしくは2成分組成物のための、「ブロックされたアミン」として知られる水分で活性化され得る架橋剤として、または硬化剤としての機能を果たす。
【0003】
イソシアネート基を有する組成物における硬化剤としてのアルジミンの使用は、いくつかの利点を有している。第1に、アルジミンは、イソシアネート基に対しての緩やかな効率的に制御可能な反応性を有しているのに対し、対応する遊離アミンは、あまりにも速く反応し、硬化剤としては一般的に使用可能ではない。第2に、アルジミンの存在は、イソシアネート基の水分との直接的な二酸化炭素(CO2)を生成する反応を防ぎ、したがって、組成物中の望ましくない気泡の形成を抑える。
【0004】
しかしながら、イソシアネート基を有する組成物における硬化剤としてのアルジミンの使用は、特に、このような組成物の硬化は、形成するポリマーに組み込まれないアルデヒドを放出するという事実によって問題も引き起こす。使用されるアルデヒドによって、組成物は、多くの用途にとって容認し得ない非常に強い臭気を有することがある。さらに、アルデヒドは、移行効果の結果として組成物からにじみ出るか、またはその機械的強度もしくは耐久性を低下させることがある。
【0005】
国際公開第2004/013088 A1号は、一級ポリアミンおよび無臭アルデヒドから調製された無臭ポリアルジミンを記載している。国際公開第2007/036571 A1号は、少なくとも1つのヒドロキシル、メルカプトまたは二級アミノ基を含む無臭アルジミンを記載しており、この無臭アルジミンも同様に無臭アルデヒドから出発して得られる。これらのアルジミンから放出されるアルデヒドの低揮発性は、アルデヒドが大部分は硬化した組成物に残っており、この硬化した組成物で、アルデヒドは軟化を引き起こし、かつ/または強度を低下させる作用を及ぼし得ることを意味する。その上、これらのアルデヒドの比較的高い分子量は、比較的大量にアルジミンを使用する必要性をもたらし、このことは、これらを使うには高価すぎるものにしてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/013088 A1号
【特許文献2】国際公開第2007/036571 A1号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[Methods of Organic Chemistry]、XI/2巻、73頁ff
【非特許文献2】P.Y. Johnsonら、J. Org. Chem.、40巻、19号、1975年; 2710-2720頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
組成物を硬化させるときに、放出されるアルデヒドが形成するポリマーに組み込まれる有利な性質を有する、硬化性組成物、特にイソシアネート基を有する組成物において硬化剤として使用し得る、新規なアルジミンを提供することが本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、下記の[1]に記載のアルジミンは、この目的を達成することが見出された。これらは、臭気がほとんどなく、簡単な方法で容易に入手可能な原料物質から調製可能である、熱的に安定な、一般的に室温で液体の化合物である。これらは、比較的低塩基性の三級アミノ基を有し、化学反応系において触媒的に作用を及ぼし得る。さらに、これらは、ヒドロキシル基を有し、これらのヒドロキシル基は、さらなる反応、例えばイソシアネート基との反応に使用可能である。
【0010】
これらのアルジミンは、例えば、エポキシ基、無水物基および特にイソシアネート基などの、アミンに対して反応性の基を含む硬化性組成物のための硬化剤として適している。イソシアネート基を有する組成物において、硬化の過程でアルジミンから放出されるアルデヒドは、それらのヒドロキシル基を介して、形成するポリウレタンポリマー中に共有結合で組み込まれ、したがって組成物中に完全に残る。
【0011】
本発明は、さらに、下記の[15]に記載のアルジミンを提供し、このアルジミンは、下記の[1]に記載のアルジミンの反応生成物である。
【0012】
本発明は、さらに、下記の[17]に記載の、記載されたアルジミンを含む硬化性組成物を提供する。
【0013】
最後に、下記の[12]に記載のアルジミンの調製方法、下記の[16]に記載の使用、および下記の[29]に記載の物品は、さらなる本発明の主題を構成する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属項の主題である。本発明としては、以下の実施態様が挙げられる:
[1]
式(I)のアルジミン:
【化1】
[式中、
Aは、
n個の一級脂肪族アミノ基及びm個のHX基の除去後のアミンの基であるか、
又は
と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1種のヘテロ原子を場合によって含む(n+2)価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
nは、1、2、3又は4であり、
mは、0、1、2、3又は4であり、
及びRは、
互いに独立に、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
又は
一緒になって、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する場合によって置換されている炭素環の部分である、4〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
は、水素原子又は特に1〜12個の炭素原子を有するアルキル基又はアリールアルキル基又はアルコキシカルボニル基であり、
及びRは、
が少なくとも1個のヒドロキシル基を有するという条件で、互いに独立に、メチル基若しくは2〜12個の炭素原子を有し、ヒドロキシル基を場合によって有し、エーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合によって含む一価の脂肪族、脂環式若しくはアリール脂肪族基であるか、
又は
一緒になって、少なくとも1個のヒドロキシル基及び4〜12個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の環原子を有する場合によって置換されている複素環(この環は、エーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態のさらなるヘテロ原子を場合によって含む)の部分である二価の脂肪族基であるかのいずれかであり、
Xは、O、S、N−R又はN−Rである
(式中、Rは、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン若しくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、
又は
式(II):
【化2】
(式中、
pは、0又は1〜10000までの整数であり、
Bは、エーテル酸素、三級アミン窒素、ヒドロキシル基、二級アミノ基又はメルカプト基を場合によって含む(p+1)価の炭化水素基である)
の置換基のいずれかであり、
は、Aと一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む(n+2)価の炭化水素基である)]。
[2]
及びRがそれぞれメチル基であることを特徴とする、[1]に記載のアルジミン。
[3]
が水素原子であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のアルジミン。
[4]
及びRがそれぞれ2−ヒドロキシエチル基であるか、又はそれぞれ2−ヒドロキシプロピル基であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のアルジミン。
[5]
Aが、N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−エチル−1,2−エタンジアミン、N−シクロヘキシル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、N−ブチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、4−アミノメチルピペリジン、3−(4−アミノブチル)ピペリジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、N−ココアルキル−1,3−プロパンジアミン、N−オレイル−1,3−プロパンジアミン、N−大豆アルキル−1,3−プロパンジアミン及びN−牛脂アルキル−1,3−プロパンジアミンなどの脂肪族ジアミン、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、4−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシエチルベンゼン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン及び3−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミンB1の基であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のアルジミン。
[6]
Aが、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD)、1,3−ペンタンジアミン(DAMP)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミン又はIPDA)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン及び2個又は3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンからなる群から選択されるアミンB2の基であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のアルジミン。
[7]
式(I’)を有することを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のアルジミン:
【化3】
[式中、
A’は、
v個の一級脂肪族アミノ基及びu個のHX’基の除去後のアミンの基であるか、
又は
’と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1種のヘテロ原子を場合によって含む(v+2)価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
uは、1、2、3又は4であり、
vは、0、1、2、3又は4であり、
ただし、u+vは、2、3、4又は5であり、
4’及びR5’は、
4’が少なくとも1個のヒドロキシル基を有し、R4’ 及びR5’が少なくとも2個のヒドロキシル基を一緒になって有するという条件で、互いに独立に、メチル基若しくは2〜12個の炭素原子を有し、ヒドロキシル基を場合によって有し、エーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合によって含む一価の脂肪族、脂環式若しくはアリール脂肪族基であるか、
又は
一緒になって、少なくとも2個のヒドロキシル基及び4〜12個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の環原子を有する場合によって置換されている複素環(この環は、エーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態のさらなるヘテロ原子を場合によって含む)の部分である二価の脂肪族基であるかのいずれかであり、
X’は、O、S、N−R6’又はN−R7’である
(式中、R6’は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン若しくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、
又は
式(II’):
【化4】
の置換基のいずれかであり、
’はA’と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む(v+2)価の炭化水素基である)]。
[8]
(u+v)が2又は3であることを特徴とする、[7]に記載のアルジミン。
[9]
4’が2個のヒドロキシル基を有しR5’がヒドロキシル基を有さないか、
又は
4’が1個のヒドロキシル基を有しR5’が1個のヒドロキシル基を有するか
のいずれかであることを特徴とする、[7]又は[8]に記載のアルジミン。
[10]
式(Ia)を有することを特徴とする、[7]、[8]又は[9]に記載のアルジミン:
【化5】
[式中、
は、活性水素及び一級アミノ基を有さず、
2〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む二価の炭化水素基であるか、
又は
と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む三価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
は、O、S、N−R又はN−Rである
(式中、Rは、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン若しくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、
又は
式(IIa):
【化6】
(式中、Bは、2〜12個の炭素原子を有し、エーテル酸素若しくは三級アミン窒素を場合によって有する二価の炭化水素基である)の置換基のいずれかであり、
はAと一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素若しくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む三価の炭化水素基である)]。
[11]
式(Ib)を有することを特徴とする、[7]、[8]又は[9]に記載のアルジミン:
【化7】
[式中、tは2又は3であり、
は、t個の一級アミノ基の除去後のt個の一級アミノ基を有するポリアミンの基であり、活性水素を含まない]。
[12]
少なくとも1種の式(III)のアミンBの、少なくとも1個のヒドロキシル基を有し式(IV)である少なくとも1種の立体障害のある脂肪族アルデヒドALDとの反応を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載のアルジミンを調製する方法:
【化8】
[式中、Xは、O、S、N−R6a又はN−Rである(式中、R6aは、1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン若しくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、又は式(III’):
【化9】
の置換基のいずれかである)]。
[13]
式(V)のアルデヒドY1、式(VI)のアルデヒドY2、及び少なくとも1個のヒドロキシル基を有し、式(VII)である二級脂肪族アミンCを、水の除去を伴って式(IV)のアルデヒドALDに変換することを特徴とする、[12]に記載の方法:
【化10】
[14]
少なくとも1個のヒドロキシル基を有し式(VII)であるアミンCが、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、特に、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−1−プロパノール及び3−(2−ヒドロキシプロピルアミノ)−1−プロパノール、N−メチル−2,3−ジヒドロキシプロピルアミン、3,4−ジヒドロキシピロリジン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピペリジン、3,4−又は3,5−ジヒドロキシピペリジン、2−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピロリジン及び2−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペリジン、及びアンモニアのそれぞれエポキシ基(特にグリシジルエーテル基)を有する2分子との反応生成物からなる群から選択される二級脂肪族アミンであることを特徴とする、[13]に記載の方法。
[15]
[1]〜[11]のいずれかに記載の式(I)のアルジミンをプロトン化又はアルキル化することによって得られる式(IX)のアルジミン:
【化11】
[式中、R10は、水素原子又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアリールアルキル基であり、
は、O、S、N−R11又はN−Rである
(式中、R11は、1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン若しくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
又は式(IX’)の置換基:
【化12】
の置換基であるかのいずれかである)]。
[16]
特に接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床仕上げ材、塗料、コーティング材料、プライマー及び発泡体のための、イソシアネート又はエポキシ樹脂に基づく組成物の成分としての、[1]〜[11]のいずれかに記載の式(I)のアルジミン又は[15]に記載の式(IX)のアルジミンの使用。
[17]
少なくとも1種のポリイソシアネート及び少なくとも1種の[1]〜[11]のいずれかに記載の式(I)のアルジミン又は[15]に記載の式(IX)のアルジミンを含む硬化性組成物。
[18]
少なくとも1種のポリイソシアネート及び少なくとも1種の[7]〜[11]のいずれかに記載の式(I’)のアルジミンを含む硬化性組成物。
[19]
1成分組成物であり、そのイソシアネート基がブロックされたイソシアネート基の形態で存在する少なくとも1種のポリイソシアネートを含むことを特徴とする、[18]に記載の硬化性組成物。
[20]
成分K1及び成分K2からなる2成分組成物であり、この成分K1が少なくとも1種のポリイソシアネートPを含むことを特徴とする、[18]に記載の硬化性組成物。
[21]
ポリイソシアネートPが、モノマージ−若しくはトリイソシアネート又はモノマージイソシアネートのオリゴマー又はモノマージイソシアネートの誘導体、特に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート若しくはIPDI)、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート及びこれらの異性体(TDI)の任意の混合物、又は4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体(MDI)の任意の混合物の形態のポリイソシアネートPIであることを特徴とする、[20]に記載の硬化性組成物。
[22]
ポリイソシアネートPが、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPであり、特に少なくとも1種のポリオールの少なくとも1種のポリイソシアネート、特にモノマージイソシアネートとの反応によって得られることを特徴とする、[20]に記載の硬化性組成物。
[23]
成分K2が水を含むことを特徴とする、[20]〜[22]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[24]
[17]〜[23]のいずれかに記載の硬化性組成物と特に空気湿度の形態の水との反応によって得られる硬化組成物。
[25]
基材S1を基材S2に接着するための方法であって、
i)[17]〜[23]のいずれかに記載の硬化性組成物を基材S1に塗布するステップ、
ii)組成物のオープンタイム内に塗布した組成物を基材S2と接触させるステップ、
又は
i’)[17]〜[23]のいずれかに記載の組成物を基材S1及び基材S2に塗布するステップ、
ii”)組成物のオープンタイム内に塗布した組成物を互いに接触させるステップ
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質又は異なる物質からなる方法。
[26]
シーリングのための方法であって、
i”)[17]〜[23]のいずれかに記載の硬化性組成物を、組成物が基材S1及び基材S2と接触するように、基材S1及び基材S2の間に塗布するステップ
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質又は異なる物質からなる方法。
[27]
基材S1をコーティングするための方法であって、
i”’)組成物のオープンタイム内に[17]〜[23]のいずれかに記載の硬化性組成物を基材S1に塗布するステップ
を含む方法。
[28]
基材S1及び/又はS2が、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、タイル、石膏又は花崗岩若しくは大理石などの自然石などの無機基材;アルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛めっき金属などの金属又は合金;木材などの有機基材、PVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂などのプラスチック;粉体塗装金属又は合金などの塗装基材;あるいは塗料又はコーティング、特に自動車上塗りであることを特徴とする、[25]、[26]又は[27]に記載の方法。
[29]
[25]〜[28]のいずれかに記載の方法によって接合、シール又はコーティングされている物品。
[30]
構築構造物、特に建設若しくは土木における構築構造物、あるいは生産財又は消費財、特に窓、家庭用電化製品、又は輸送手段、特に水用若しくは陸用乗物、好ましくは自動車、バス、トラック、列車若しくは船、又は輸送手段の取り付け部品、又は家具、織物若しくは包装産業における物品であることを特徴とする、[29]に記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、式(I)のアルジミンを提供する
【0016】
【化1】
【0017】
[式中、
Aは、
n個の一級脂肪族アミノ基およびm個のHX基の除去後のアミンの基であるか、
またはR7と一緒になって、3から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1種のヘテロ原子を場合によって含む(n+2)価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
nは、1または2または3または4であり、
mは、0または1または2または3または4であり、
R1およびR2は、
互いに独立に、1から12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または一緒になって、5から8個、好ましくは6個の炭素原子を有する場合によって置換されている炭素環の部分である、4から12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
R3は、水素原子または特に1から12個の炭素原子を有するアルキル基またはアリールアルキル基またはアルコキシカルボニル基であり、
R4およびR5は、
R4が少なくとも1個のヒドロキシル基を有するという条件で、互いに独立に、メチル基もしくは2から12個の炭素原子を有し、ヒドロキシル基を場合によって有し、エーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合によって含む一価の脂肪族、脂環式もしくはアリール脂肪族基であるか、
または
一緒になって、少なくとも1個のヒドロキシル基および4から12個の炭素原子を有し、5から8個、好ましくは6個の環原子を有する場合によって置換されている複素環(この環は、エーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態のさらなるヘテロ原子を場合によって含む)の部分である二価の脂肪族基であるかのいずれかであり、
Xは、OまたはSまたはN-R6またはN-R7であり、
(式中、R6は、
1から20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、または式(II)
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、
pは、0または1から10000までの整数であり、
Bは、エーテル酸素、三級アミン窒素、ヒドロキシル基、二級アミノ基またはメルカプト基を場合によって含む(p+1)価の炭化水素基である)
の置換基のいずれかであり、
R7は、Aと一緒になって、3から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む(n+2)価の炭化水素基である)]。
【0020】
本明細書における式中の破線は、それぞれ、置換基および関係する分子の残りの間の結合を表している。
【0021】
本明細書における「一級アミノ基」という用語は、有機基に結合しているNH2基の形態のアミノ基を意味する。「二級アミノ基」という用語は、窒素原子が、一緒になって環の部分でもあり得る2つの有機基に結合しているアミノ基を意味する。「三級アミノ基」という用語は、窒素原子が、3つの有機基に結合しているアミノ基を意味し、ここで、これらの基の2つは一緒になって環の部分でもあり得る(=三級アミン窒素)。
【0022】
「脂肪族」は、窒素原子が脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族基だけに結合しているアミンまたはアミノ基を指す。
【0023】
本明細書における「活性水素」という用語は、ヒドロキシル、メルカプトまたは二級アミノ基の水素原子を指す。
【0024】
R1およびR2は、好ましくはそれぞれメチル基である。
【0025】
R3は、好ましくは水素原子である。
【0026】
R4およびR5は、好ましくはそれぞれ2-ヒドロキシエチル基であるか、またはそれぞれ2-ヒドロキシプロピル基である。
【0027】
好ましい式(I)のアルジミンは、R4およびR5基が、少なくとも2個のヒドロキシル基を一緒になって有し、A基が少なくとも二官能性であるものである。このような好ましい式(I)のアルジミンは、式(I')のアルジミンである
【0028】
【化3】
【0029】
[式中、
A'は、v個の一級脂肪族アミノ基およびu個のHX'基の除去後のアミンの基であるか、
またはR7'と一緒になって、3から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1種のヘテロ原子を場合によって含む(v+2)価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
uは、1または2または3または4であり、
vは、0または1または2または3または4であり、
ただし、u+vは、2または3または4または5であり、
R4'およびR5'は、
R4'が少なくとも1個のヒドロキシル基を有し、R4'およびR5'が少なくとも2個のヒドロキシル基を一緒になって有するという条件で、互いに独立に、メチル基もしくは2から12個の炭素原子を有し、ヒドロキシル基を場合によって有し、エーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合によって含む一価の脂肪族、脂環式もしくはアリール脂肪族基であるか、
または
一緒になって、少なくとも2個のヒドロキシル基および4から12個の炭素原子を有し、5から8個、好ましくは6個の環原子を有する場合によって置換されている複素環(この環は、エーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態のさらなるヘテロ原子を場合によって含む)の部分である二価の脂肪族基であるかのいずれかであり、
X'は、OまたはSまたはN-R6'またはN-R7'であり
(式中、R6'は、
1から20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、または式(II')の置換基
【0030】
【化4】
【0031】
のいずれかであり、
R7'はA'と一緒になって、3から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む(v+2)価の炭化水素基である)、
B、p、R1、R2およびR3は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0032】
式(I')における(u+v)は、好ましくは2または3である。
【0033】
式(I')におけるR4およびR5は一緒になって、好ましくは、2個のヒドロキシル基を有する。このような好ましい式(I')のアルジミンは、一実施形態において、2個のヒドロキシル基を有する1個のR4'基およびヒドロキシル基を有さない1個のR5'基を含み、またはさらなる一実施形態において、1個のヒドロキシル基を有する1個のR4'基および1個のヒドロキシル基を有する1個のR5'基を含む。
【0034】
特に好ましい式(I')のアルジミンは、一実施形態において、式(Ia)のアルジミンである
【0035】
【化5】
【0036】
[式中、
A1は、活性水素および一級アミノ基を有さず、
2から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む二価の炭化水素基であるか、
または
R9と一緒になって、3から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む三価の炭化水素基であるかのいずれかであり、
Xは、OまたSまたはN-R8またはN-R9であり、
(式中、R8は、
1から20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、
または式(IIa)
【0037】
【化6】
【0038】
(式中、B1は、2から12個の炭素原子を有し、エーテル酸素もしくは三級アミン窒素を場合によって有する二価の炭化水素基であり、
R9はA1と一緒になって、3から20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形態の少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む三価の炭化水素基である)の置換基のいずれかである)、
R1、R2、R3、R4'およびR5'は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0039】
特に好ましい式(I')のアルジミンは、さらなる一実施形態において、式(Ib)のアルジミンである
【0040】
【化7】
【0041】
[式中、
tは2または3であり、
A2は、t個の一級アミノ基の除去後のt個の一級アミノ基を有するポリアミンの基であり、活性水素を含まず、
R1、R2、R3、R4'およびR5'は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0042】
式(I)のアルジミンは、少なくとも1種の式(III)のアミンBの、少なくとも1個のヒドロキシル基を有し式(IV)である少なくとも1種の立体障害のある脂肪族アルデヒドALDとの反応から得ることができる
【0043】
【化8】
【0044】
[式中、
Xaは、OまたはSまたはN-R6aまたはN-R7であり、
(式中、R6aは、
1から20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、
または式(III')
【0045】
【化9】
【0046】
の置換基のいずれかである)、
m、n、p、A、B、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0047】
式(III)のアミンBおよび式(IV)のアルデヒドALDの間の反応は、水の除去を伴う縮合反応で行われる。このような縮合反応は、非常によく知られており、例えばHouben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[Methods of Organic Chemistry]、XI/2巻、73頁ffに記載されている。アルデヒドALDは、本明細書ではアミンBの一級アミノ基に関して化学量論的にまたは化学量論的過剰で使用される。一般的に、このような縮合反応は、溶媒の存在下で行われ、この溶媒を用いて、反応中に形成する水は共沸除去される。しかし、式(I)のアルジミンを調製するのに好ましいのは、縮合中に形成される水が、真空の適用によって反応混合物から直接除去される、溶媒を使用しない調製方法である。溶媒を使わない調製のため、調製が完了したときに溶媒を留去する必要がなく、調製方法が簡略化される。さらに、アルジミンは、厄介な臭気を生じ得る溶媒残渣をこのように含まない。
【0048】
一実施形態において、好適なアミンBは、一級アミン、例えば異性体のブチル-、ペンチル-、ヘキシル-、ヘプチル-、オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-およびトリデシルアミン、2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンおよび高級同族体、例えば3-(2-メトキシエトキシ)プロピルアミンなどのアルコキシアルキルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンおよび2-フェニルエチルアミンである。
【0049】
さらに好適なアミンBは、1個または複数の一級アミン基に加えて、ヒドロキシル、メルカプトまたは二級アミノ基の形態の活性水素を有する少なくとも1個の反応基を有する化合物である。活性水素を有する2個以上の反応基を有するアミンBの例は
- N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン、および直鎖ポリエチレンアミンの高級同族体、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンなどの2個以上の二級アミノ基および1個または複数の一級アミノ基を有する脂肪族アミン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル) -1,4-ジアミノブタン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N'-ビス(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミンなどの複数の一級アミノ基を有する一級ジ-およびポリアミンの複数のシアノエチル化またはシアノブチル化およびその後の水素化からの生成物、さらに様々な重合度(モル質量範囲500から1000000g/モル)のポリエチレンイミン、例えば、一級および二級アミノ基に加えて三級アミノ基も含む、純粋な形態でまたは水溶液としてBASFからLupasol(登録商標)の商品名で入手可能なもの、
- 2個以上のヒドロキシル基および1個または複数の一級アミノ基を有するヒドロキシルアミン、特にポリアルコキシル化された三価以上の多価アルコールまたはポリアルコキシル化ポリアミンの誘導体、さらにアミノ糖、例えばグルコサミンまたはガラクトサミン、
- N-ヒドロキシエチル-1,2-エタンジアミン、N-ヒドロキシプロピル-1,2-エタンジアミン、N-ヒドロキシエチル-1,3-プロパンジアミン、N3-ヒドロキシエチル-1,3-ペンタンジアミンなどのヒドロキシルアミンのシアノエチル化またはシアノブチル化およびその後の水素化からの少なくとも1個のヒドロキシル基および少なくとも1個の二級アミノ基を有するヒドロキシポリアミン
である。
【0050】
好適なアミンBは、さらに、2個以上の一級脂肪族アミノ基を有するポリアミンである。3個を上回る一級脂肪族アミノ基を有するアミンBの例は、例えばアリルアミンおよび(メタ)アクリレートから形成される一級アミノ基を有するポリビニルアミンまたはコポリマーである。
【0051】
特に好適なアミンBは、第1に式(IIIa)のアミンB1である
HX1a-A1-NH2 (IIIa)
[式中
X1aは、OまたはSまたはN-R8aまたはN-R9であり
(式中、R8aは、1から20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基、
または式(IIIa')
【0052】
【化10】
【0053】
の置換基のいずれかである)、
A1、B1およびR9は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0054】
アミンB1は、式(Ia)のアルジミンを調製するのに特に好適である。
【0055】
アミンB1の例は
- 1個または2個の一級脂肪族アミノ基および1個の二級アミノ基を有する化合物、例えばN-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン;一級モノ-およびジアミンのシクロエチル化またはシアノブチル化およびその後の水素化からのジ-およびトリアミン、例えばN-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロ-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、およびN-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-大豆アルキル-1,3-プロパンジアミン、N-牛脂アルキル-1,3-プロパンジアミンなどの脂肪酸ジアミン、または、例えばAkzo Nobelからの商品名Duomeen(登録商標)で入手可能なN-(C16〜22-アルキル)-1,3-プロパンジアミン; 1:1のモル比で反応させる、脂肪族一級ジ-またはトリアミンの、アクリロニトリル、マレイン酸またはフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、アクリルおよびメタクリルアミドおよびイタコン酸ジエステルとのマイケル型付加からの生成物;
- 脂肪族ヒドロキシルアミン、例えば2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびこれらのグリコールの高級オリゴマーおよびポリマーなどのグリコールの1個の一級アミノ基を有する誘導体、例えば2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル));ポリアルコキシル化された三価以上の多価アルコールの1個のヒドロキシル基および1個の一級アミノ基を有する誘導体;グリコールの単一シアノエチル化およびその後の水素化からの生成物、例えば3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミンおよび3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン;
- 脂肪族メルカプトアミン、例えば2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオール、および2-アミノ-2-デオキシ-6-チオグルコースなどのアミノチオ糖
である。
【0056】
好ましいアミンB1は、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、およびN-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-大豆アルキル-l,3-プロパンジアミンおよびN-牛脂アルキル-1,3-プロパンジアミンなどの脂肪族ジアミン; 1:1のモル比で反応させる、脂肪族一級ジアミンのマレイン酸およびフマル酸ジエステル、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、アクリルおよびメタクリルアミドとの、好ましくはマレイン酸ジエステル、特にマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピルおよびマレイン酸ジブチルとの、ならびにアクリル酸エステル、特にアクリル酸メチルとのマイケル型付加反応からの生成物;さらに一級アミノ基が、少なくとも5個の原子の鎖によって、または1個の環によってヒドロキシルまたはメルカプト基から隔てられている脂肪族ヒドロキシ-またはメルカプトアミン、特に5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノールおよびこれらの高級同族体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミンおよびこれらの高級オリゴマーおよびポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミンおよび3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0057】
特に好ましいアミンB1は、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-大豆アルキル-1,3-プロパンジアミンおよびN-牛脂アルキル-1,3-プロパンジアミンなどの脂肪族ジアミン、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミンおよび3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミンである。
【0058】
特に好適なアミンBは、式(IIIb)
【0059】
【化11】
【0060】
[式中、A2およびtは、それぞれ既に定義された通りである]の二級アミンB2である。
【0061】
アミンB2は、式(Ib)のアルジミンを調製するのに特に好適である。
【0062】
アミンB2の例は
- 脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族ジアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンおよびメチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)-メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、および1,3-および1,4-キシリレンジアミン;
- エーテル基を含む脂肪族ジアミン、例えばビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミンおよびこれらのジアミンの高級オリゴマー、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフランおよび例えば350から5200の範囲の分子量を有する他のポリテトラヒドロフランジアミン、およびポリオキシアルキレンジアミン(後者は、一般的に、ポリオキシアルキレンジオールのアミノ化からの生成物であり、例えばJeffamine(登録商標)の名称(Huntsman Chemicals製)で、Polyetheramineの名称(BASF製)で、またはPC Amine(登録商標)の名称(Nitroil製)で入手可能である。特に好適なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標) D-230、Jeffamine(登録商標) D-400、Jeffamine(登録商標) D-2000、Jeffamine(登録商標) D-4000、Jeffamine(登録商標) XTJ-511、Jeffamine(登録商標) ED-600、Jeffamine(登録商標) ED-900、Jeffamine(登録商標) ED-2003、Jeffamine(登録商標) XTJ-568、Jeffamine(登録商標) XTJ-569、Jeffamine(登録商標) XTJ-523、Jeffamine(登録商標) XTJ-536、Jeffamine(登録商標) XTJ-542、Jeffamine(登録商標) XTJ-559; Polyetheramine D 230、Polyetheramine D 400およびPolyetheramine D 2000、PC Amine(登録商標) DA 250、PC Amine(登録商標) DA 400、PC Amine(登録商標) DA 650およびPC Amine(登録商標) DA 2000である。);
- 4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族トリアミン;
- 一般的にポリオキシアルキレントリオールのアミノ化からの生成物であり、例えばJeffamine(登録商標)の商品名(Huntsman Chemicals製)で、Polyetheramineの名称(BASF製)で、またはPC Amine(登録商標)の名称(Nitroil製)で入手可能であるポリオキシアルキレントリアミン、例えばJeffamine(登録商標) T-403、Jeffamine(登録商標) T-5000; Polyetheramine T403、Polyetheramine T5000;およびPC Amine(登録商標) TA 403、PC Amine(登録商標) TA 5000である。
【0063】
好ましいアミンB2は、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミンおよび2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン、特にHuntsmanからJeffamine(登録商標)の商品名で入手可能なD-230、D-400、D-2000、T-403およびT-5000タイプ、およびBASFまたはNitroilからの類似化合物からなる群から選択されるポリアミンである。
【0064】
式(IV)のアルデヒドALDにおいて、R1およびR2は、好ましくはそれぞれメチル基である。R3は、好ましくは水素原子である。
【0065】
好ましいアルデヒドALDは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、式(IV')
【0066】
【化12】
【0067】
[式中、R1、R2、R3、R4、およびR5は、それぞれ既に定義された通りである]
であるアルデヒドALD1である。
【0068】
式(IV')におけるR4'およびR5'は一緒になって、好ましくは2個のヒドロキシル基を有する。
【0069】
式(IV)のアルデヒドALDは、特に、技術文献から知られているように、マンニッヒ反応またはマンニッヒ反応に類似のα-アミノアルキル化の生成物として得ることができ、したがってマンニッヒ塩基とも呼ばれることがある。式(V)のアルデヒドY1、式(VI)のアルデヒドY2、および少なくとも1個のヒドロキシル基を有し、式(VIl)である二級脂肪族アミンCを、水の除去を伴って式(IV)のアルデヒドALDに変換する
【0070】
【化13】
【0071】
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0072】
この反応は、式(V)、(VI)および(VII)の遊離試薬であるY1、Y2およびCを用いて行うことができるか、または、これらの試薬を部分的もしくは完全に誘導体化された形態で使用することができるかのいずれかである。したがって、アルデヒドY1は、エノラートとして、エノールエーテルとして、特にシリルエノールエーテルとして、またはエナミンとして使用することができる。アルデヒドY2は、例えば、オリゴマーの形態で(特に1,3,5-トリオキサンまたはパラホルムアルデヒドとしてホルムアルデヒドの場合)、または水和物、ヘミアセタール、アセタール、N,O-アセタール、アミナールまたはヘミアミナールとして使用することができる。最後に、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する二級脂肪族アミンCは、例えば、塩として、特にアミン塩酸塩としてまたはアミン硫化水素酸塩として使用することができる。遊離形態の試薬の一部および誘導体化形態での一部を使用すること、または誘導体化形態だけから開始することは可能である。誘導体化形態での試薬の使用の場合、アルデヒドALDは、ある状況下では、誘導体化形態で、例えば塩として同様に得られ、この場合、これは好適な後処理によって式(IV)の遊離形態に変換することができる。状況に応じて、このような変換反応において、さらにルイス酸または触媒などの助剤を使用することが望ましいことがある。
【0073】
さらに、反応は、全ての3つの試薬が互いに同時に反応し得るワンポット反応として行うことができ、あるいは最初に試薬のうちの2つを互いに反応させ、次いでこうして得られる中間体(中間体を単離するかまたは単離しないことが可能である)を第3の試薬と反応させることによる段階的方法を選択することができる。この種類の好適な中間体は、特にイミニウム塩であり、このイミニウム塩は、遊離または誘導体化形態のアルデヒドY2の、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する二級脂肪族アミンCの塩との反応から得られ、遊離または誘導体化形態のアルデヒドY1と反応させて式(IV)のアルデヒドALDの対応する塩を得ることができる。このような段階的方法は、より穏やかな反応条件を可能にすることと、したがってより高い生成物収量を提供することの利点を有し得る。
【0074】
さらに、反応は、溶媒、特に水もしくはアルコールなどの極性溶媒を使用して行うことができるか、または、溶媒を使用せずに行うことができる。
【0075】
好ましい一実施形態において、反応を全て遊離形態の試薬でのワンポット反応として行い、アルデヒドALDを反応の完了時に蒸留によって精製する。有機溶媒を使用しないことが好ましい。
【0076】
式(V)の好適なアルデヒドY1の例は、以下のアルデヒド:すなわちイソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒドおよびジフェニルアセトアルデヒドである。イソブチルアルデヒドが好ましい。
【0077】
式(VI)の好適なアルデヒドY2の例は、以下のアルデヒド:すなわちホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドおよび置換ベンズアルデヒド、さらにグリオキシル酸エステル、特にグリオキシル酸エチルである。ホルムアルデヒドが好ましい。
【0078】
式(IV)の好適なアミンCは、ヒドロキシル基を有する二級脂肪族アミン、例えば、2-(N-メチルアミノ)エタノール、2-(N-エチルアミノ)エタノール、2-(N-プロピルアミノ)エタノール、2-(N-イソプロピルアミノ)エタノール、2-(N-ブチルアミノ)エタノール、2-(N-シクロ-ヘキシルアミノ)エタノール、3-(N-メチルアミノ)-2-プロパノール、3-(N-エチルアミノ)-2-プロパノール、3-(N-プロピルアミノ)-2-プロパノール、3-(N-イソプロピルアミノ)-2-プロパノール、3-(N-ブチルアミノ)-2-プロパノール、3-(N-シクロヘキシルアミノ)-2-プロパノール、2-(N-エチル-アミノエトキシ)エタノール;2-ピロリジノメタノール、3-ヒドロキシピロリジン、2-ピペリジノメタノール、3-または4-ヒドロキシピペリジンおよび1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンなどの脂環式ヒドロキシルアミンなどの一級アミンのアルコキシレートからなる群から選択されるものである。
【0079】
式(IV)の特に好適なアミンCは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する二級脂肪族アミンC1である。アミンC1は、式(lV')の好ましいアルデヒドALD1を調製するために特に好適である。
【0080】
2個のヒドロキシル基を有する好適なアミンC1は、特に、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-1-プロパノールおよび3-(2-ヒドロキシプロピルアミノ)-1-プロパノール、N-メチル-2,3-ジヒドロキシプロピルアミン、3,4-ジヒドロキシピロリジン、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピペリジン、3,4-または3,5-ジヒドロキシピペリジン、2-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピロリジンおよび2-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピペリジン、およびアンモニアのそれぞれエポキシ基(特にグリシジルエーテル基)を有する2分子との反応生成物からなる群から選択される。
【0081】
2個を上回るヒドロキシル基を有する好適なアミンC1は、例えば、以下の通り:すなわち2-(2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ)エタノール、3,4,5-トリヒドロキシピペリジン、N,N-ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)アミン、2,5-ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)-ピロリジンおよび2,6-ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピペリジンである。
【0082】
好ましいアミンC1は、ジエタノールアミンおよびジイソプロパノールアミンである。
【0083】
式(IV')の好ましいアルデヒドALD1は、3-(N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパノールおよび3-(N-ビス(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)-アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールである。
【0084】
式(IV)のアルデヒドALDは、一連の特有の性質を有する。例えば、アルデヒド基に対するα位置における炭素原子が水素原子を有さず、したがってアルケンを形成する二級アミンの除去は不可能であるので、それらは、良好な熱安定性を有する。それらは、大気中の酸素による酸化に関して驚くほど良好な安定性も有する。さらに、それらの塩基性は、類似の構造の脂肪族アミンについて予想されるよりも驚くほど著しく低く、アルデヒドALDの共役酸について測定されたpKaは、このアルデヒドALDを調製するために使用される二級アミンCの共役酸のそれと比べて約2単位低い。これらの驚くべき性質は、β-アミノアルデヒドのNMRおよび紫外分光法試験に基づいてP.Y. Johnsonらによって主張されたように(J. Org. Chem.、40巻、19号、1975年; 2710-2720頁)、アミン基およびアルデヒド基の間の分子間1,4相互作用(窒素の遊離電子対およびカルボニルのπまたはπ*軌道の間の軌道の重なり)におそらく関連している。
【0085】
最後に、アルデヒドALDは、比較的低分子量の場合でさえ、あったとしても極めてかすかな臭気しか有さない。この低い臭気強度の性質は、アルデヒドとしては驚異的であるが、最初に、アルデヒドALDは存在するOH基によって非常に揮発性ではないという事実に起因する。さらに、低臭気は、言及した分子間1,4相互作用および第3炭素原子上にあるアルデヒド基の立体障害によっておそらく促進される。
【0086】
アルデヒドALDのヒドロキシル基は、さらに官能化された反応生成物を形成するさらなる反応を可能にする。少なくとも2個のヒドロキシル基を有する式(IV')の好ましいアルデヒドALD1は、特に、ヒドロキシル基に対して反応性の成分、例えばイソシアネート基を含む組成物のための硬化剤として使用することができる。
【0087】
式(I)のアルジミンは、前述の通り、アミンBおよびアルデヒドALDから直接調製することができる。
【0088】
置換基XとしてN-R6置換基を有する式(I)のアルジミンは、場合によってこれまで記載されたものとわずかに異なる経路によって調製することができる。この合成経路は、第1のステップにおいて式(IV)のアルデヒドALDを、アミンB2として先に既に記載したような、二または三官能性の、好ましくは三官能性の、脂肪族一級アミンと反応させて、1個または2個のアルジミノ基に加えて、1個または2個の一級アミノ基、好ましくは1個の一級アミノ基も含む中間体を得ることにある。次いで、この中間体を、第2のステップにおいて一級アミノ基をモノアルキル化することによって式(I)のアルジミンに変換する。アルキル化のために使用する化合物は、特に、一級アミンとのマイケル型付加反応を開始し得る1個だけの活性化された二重結合を有する化合物であり、このような化合物は、以下では「マイケル受容体」と呼ばれる。
【0089】
アルデヒドALDの式(III)のアミンBとの反応について上記にさらに記載したように、水の除去を伴う縮合反応において、アルデヒドALDをアミンB2と反応させて、一級アミノ基を有する中間体を得る。しかし、アルデヒドALDおよびアミンB2の間の化学量論量は、1モルのアルデヒドALDが、2個の一級アミノ基を含む1モルのアミンB2のために使用されるように、または2モルのアルデヒドALDが、3個の一級アミノ基を含む1モルのアミンB2のために使用されるように選択される。使用されるアミンB2は、好ましくはアミノ基に関して非対称である。縮合中に形成される水が真空の適用によって反応混合物から除去される、溶媒を含まない調製方法が好ましい。
【0090】
例えば、中間体を化学量論量またはわずかに超化学量論量のマイケル受容体と混合し、この混合物を、式(I)のアルジミンへの中間体の完全な変換まで20から110℃の温度で加熱することによって、1個の一級アミノ基を有する中間体をマイケル受容体と反応させる。この反応は、好ましくは溶媒を使用せずに行う。
【0091】
この調製のために好ましいアミンB2は、一級アミノ基が少なくとも5個の原子の鎖によって、または1個の環によって隔てられているジアミン、特に1.5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンおよびこれらの混合物、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル) -2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、さらにエーテル基を含む脂肪族ジアミンおよび言及したポリオキシアルキレンジアミンである。
【0092】
好適なマイケル受容体の例は、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなどのマレイン酸またはフマル酸ジエステル;シトラコン酸ジメチルなどのシトラコン酸ジエステル; (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル;イタコン酸ジメチルなどのイタコン酸ジエステル;桂皮酸メチルなどの桂皮酸エステル;ビニルホスホン酸ジメチルなどのビニルホスホン酸ジエステル;ビニルスルホン酸エステル、特にビニルホスホン酸アリール;ビニルスルホン;アクリロニトリル、2-ペンテンニトリルまたはフマロニトリルなどのビニルニトリル;β-ニトロスチレンなどの1-ニトロエチレン;およびクネーベナーゲル縮合生成物、例えばマロン酸ジエステルおよびホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒドなどのアルデヒドから形成されるものである。マレイン酸ジエステル、アクリル酸エステル、ホスホン酸ジエステルおよびビニルニトリルが好ましい。
【0093】
少なくとも1個のHX基を有する式(I)のアルジミンの実施形態は、指数m=1である場合の例として式(VIII)に示された環状形態と平衡状態にあり得る。これらの環状形態は、アミノアルジミンの場合、環状アミナール、例えばイミダゾリジンまたはテトラヒドロピリミジン、ヒドロキシアルジミンの場合、環状アミノアセタール、例えばオキサゾリジンまたはテトラヒドロオキサジン、メルカプトアルジミンの場合、環状チオアミナール、例えばチアゾリジンまたはテトラヒドロチアジンである。
【0094】
【化14】
【0095】
式(VIII)において、n、A、X、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ既に定義された通りである。
【0096】
驚くべきことに、HX基を含む式(I)の大部分のアルジミンは環化しない傾向がある。特にアミノアルジミンについて、これらの化合物は主として開鎖形態、すなわちアルジミン形態で存在するが、環状形態、すなわちアミナール形態はあったとしてもわずかにしか生じないことを、IRおよびNMR分光法を用いて示すことができる。一級アミノ基が、少なくとも5個の原子の鎖によって、または1個の環によってヒドロキシル基またはメルカプト基から隔てられているヒドロキシ-およびメルカプトアミンは、環化をほとんど示さない。
【0097】
式(I)のアルジミンは、今まで記載されていなく驚くべき性質を有する新規な化合物である。それらは、α位置の炭素原子上に水素原子を有さず、したがってエナミノ基に互変異性化することができない立体障害のあるアルジミノ基を含む。結果として、これらのアルジミノ基は、水の存在下で、エポキシ基、無水物基および特にイソシアネート基などのアミンに対して反応性の基と穏やかな効率的に制御可能な反応性を示し、それからアルジミノ基が誘導される対応する遊離アミノ基の高い反応性と著しく対照的である、特に十分に保護された(「ブロックされた」)一級アミノ基である。さらに、式(I)のアルジミンは、ある状況下では化学反応系に触媒作用を示し得る三級アミノ基を有し、この三級アミノ基に由来する式(I)のアルジミンの塩基性は、しかしながら、式(IV)のアルデヒドALDについて既に記載したように比較的低い。さらに、式(I)のアルジミンは、親アルデヒドALDの比較的低分子量においてさえ、あったとしてもわずかなアミン様の臭気しか有さない。
【0098】
アルジミノ基に対するα位置における炭素原子は、言及したように、水素原子を有さず、したがってアルケンを形成する二級アミンの除去は不可能であるので、式(I)のアルジミンは、良好な熱安定性を有する。
【0099】
式(I)のアルジミンは、好適な条件下で貯蔵安定性を示す。水分が進入すると、そのアルジミノ基は、中間体を経てアミノ基に正式な意味において加水分解されることがあり、このアミノ基は、アルジミンを調製するのに使用される式(IV)の対応するアルデヒドALDを放出し、このアルデヒドALDは、既に記載の通り、低臭気または無臭である。この加水分解反応は可逆性であり、化学平衡は明らかにアルジミン側であるので、アミンに対して反応性の化合物の不存在下で、アルジミノ基のいくらかだけしか部分的にまたは完全に加水分解しないものと推測することができる。驚くべきことに、アルジミノ基の加水分解は、三級アミノ基が存在するにもかかわらず、酸を用いて触媒することができる。
【0100】
式(I)のアルジミンは、アルデヒド部分に少なくとも1個のヒドロキシル基を有する。結果として、これらのヒドロキシル基のヒドロキシル基に対して反応性の化合物とのさらなる反応は、特にアルジミノ基の加水分解の過程におけるアルデヒドALDの放出が完了したときにも可能である。
【0101】
式(I)のアルジミンは、容易に入手可能な出発物質から比較的簡単な方法で調製することができる。式(III)の非粘性のアミンBが、それらの調製において使用されるならば、式(I)の対応するアルジミンのいくつかも同様に非粘性化合物である。
【0102】
式(I)のアルジミンは、非常に広く使用することができる。例えば、それらが式(IV)のアルデヒドALDまたは式(III)のアミンBの供給源として役立ち得るいずれの場合も、それらを使用することができる。より詳しくは、それらは、アルデヒド-および/またはアミン反応系において保護アミン、または保護アルデヒドの機能で使用することができ、必要に応じて選択的に同反応系において脱保護することができる。より詳しくは、それらは、一級アミンおよび/またはヒドロキシル基と反応する化合物が存在する系において用途を見出す。一級アミノ基の脱保護は、加水分解的に、例えば水または水分、特に空気湿度との接触によって行う。驚くべきことに、アルジミノ基の加水分解は、三級アミノ基が存在するにもかかわらず、分子中に三級アミノ基を有さないアルジミンについてと同様に酸を用いて触媒することができる。
【0103】
他方では、指標mがゼロを上回る式(I)のアルジミンは、これらのアルジミンのさらに官能化された反応生成物の形成に用途を見出す。例えば、指標mがゼロを上回る式(I)のアルジミンは、特にHX基が二級アミノ基である場合、HX基と反応し得る化合物と反応し得る。HX基との反応に好適な化合物は、反応基、例えばイソシアネート基、エポキシ基、無水物基または程度の差はあるが高活性な二重または三重結合、例えば(メタ)アクリレート基、アクリルアミド基、1-エチニルカルボニル基、1-プロピニルカルボニル基、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニル基、イソプロペニル基またはアリル基を有する。このような付加反応からのアルジミノ基を有する反応生成物は、必要に応じて式(IV)のアルデヒドALDおよび一級アミノ基を有する化合物に加水分解し、次いで、さらなる反応、例えば架橋反応のために利用することができ、この加水分解反応は酸を用いて触媒することができる。
【0104】
さらに、式(I)のアルジミンは、化学反応系において、例えば特にその硬化時間を短縮するためにイソシアネート基を有する硬化性組成物において触媒として使用することができる。
【0105】
最後に、式(I)のアルジミンは、三級アミノ基の一部もしくは全てをアンモニウム基にプロトン化すること、または一部もしくは全てを四級アンモニウム基にアルキル化することによってカチオン性化合物の供給源として使用することができる。式(I)のアルジミンをプロトン化またはアルキル化することによって、式(IX)のアルジミンを得ることができる
【0106】
【化15】
【0107】
[式中、
R10は、水素原子または1から20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリールアルキル基であり、
X2は、OまたはSまたはN-R11またはN-R7であり、
(式中、R11は、1から20個の炭素原子を有し、少なくとも1個のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステル基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(IX')
【0108】
【化16】
【0109】
の置換基であるかのいずれかである)、
m、n、p、A、B、R1、R2、R3、R4、R5およびR7は、それぞれ既に定義された通りである]。
【0110】
式(IX)のアルジミンは、さらに上記の式(III)のアミンBの1つおよび式(IV)のアルデヒドALDから出発して得ることができ、アルデヒドALDの三級アミノ基の一部または全ては、アミンBとの反応の前にプロトン化またはアルキル化される。
【0111】
式(I)のアルジミンまたはアルデヒドALDをプロトン化するために、任意の所望のブレンステッド酸、例えば塩酸、硫酸、ホスホン酸、酢酸または安息香酸などのカルボン酸、およびメタンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸などのスルホン酸を使用することができる。式(I)のアルジミンまたはアルデヒドALDをアルキル化するために、既知のアルキル化剤、特にメチル化剤、例えばヨウ化メチル、硫酸ジメチル、ホスホン酸ジメチル、ジアゾメタン、フルオロスルホン酸メチルまたはテトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウムを使用することができる。
【0112】
式(IX)のカチオン性アルジミンは、アルジミンの正電荷と釣り合うアニオンも含むことは当業者には明らかである。
【0113】
式(I)または式(IX)のアルジミン、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する式(I')の特に好ましいアルジミンは、特に接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床仕上げ材、塗料、コーティング材料、プライマーおよび発泡体などの用途のためのイソシアネートまたはエポキシレジンに基づく組成物の構成成分としての使用に特に好適である。このような組成物は、好ましくは少なくとも1種の酸、特に有機カルボン酸またはスルホン酸、またはこれらの酸に加水分解可能な化合物を含み、これらの酸は、驚くべきことに三級アミノ基が存在するにもかかわらず、アルジミノ基の加水分解を触媒する。
【0114】
より詳しくは、式(I)のアルジミンまたは式(IX)のアルジミン、特に少なくとも2個のヒドロキシル基を有する式(I')のアルジミンは、接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床仕上げ材、塗料、コーティング材料、プライマーおよび発泡体などのイソシアネート基を有する1または2成分型組成物のための硬化剤または硬化剤の前駆体として好適である。アルジミノ基の加水分解の過程で放出される式(IV)のアルデヒドALDは、それらのヒドロキシル基によってイソシアネート基と反応し、したがて硬化の過程で形成するポリマーに共有結合で組み込まれる。式(I')のアルジミンの使用の場合、少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアルデヒドALD1が放出され、これらは、形成するポリマーの鎖延長および/または架橋に寄与し連鎖停止をもたらさないことによって今度は硬化剤として役立ち得る。
【0115】
既に言及した通り、式(I)のアルジミンは、エナミノ基に互変異性化できず、特に十分に保護された(「ブロックされた」)一級アミノ基である立体障害のあるアルジミノ基を含む。これらは、存在するイソシアネート基と水の存在下で反応し、これらの反応性は、対応する遊離の一級アミノ基と比べて大きく減少し、このような系は効率的に制御可能な硬化速度を有する。
【0116】
放出されるアルデヒドALDのヒドロキシル基は、存在するイソシアネート基と同様に反応し、したがって、言及した通り、硬化の過程で形成するポリマーに共有結合で組み込まれ、このことは非常に有利である。アルデヒドの組み込みの結果として、それらは、組成物に逆効果、例えば、収縮増加、特に不快臭気の周辺空気への放出、または汗かきなどの移行効果を引き起こすことがなく、それらは、例えば、熱または紫外線などの環境の影響に関して組成物の可塑化効果を有することまたは安定性を低下させることによる、組成物の機械的性質への逆効果を同様に有さない。既に言及した通り、式(I')のアルジミンは、これから放出されるアルデヒドALD1が、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、したがって形成するポリマーに共有結合で組み込まれるので、イソシアネート基を有する組成物の硬化の過程における鎖延長または架橋を伴う少なくとも二官能性の硬化剤として好ましい。
【0117】
イソシアネート基を有し、硬化剤として式(I)または式(IX)のアルジミンを含む組成物において、存在するヒドロキシル基および任意の二級アミノ基は、イソシアネート基と直接反応するが、アルジミノ基は、加水分解で水の存在下でイソシアネート基と反応する。イソシアネート基は、正式な意味でアルジミノ基の加水分解によって放出される一級アミノ基と反応し、この加水分解は、遊離または既に付加した形態で対応するアルデヒドALDを放出する。アルジミノ基、二級アミノ基およびヒドロキシル基に対して過剰なイソシアネート基は、水分と直接反応して尿素基を形成する。イソシアネート基および式(I)のアルジミンの間の好適な化学量論量の場合、組成物はこれらの反応の結果として硬化し、この過程は架橋とも呼ばれる。イソシアネート基の加水分解されるアルジミノ基との反応は、必ずしも遊離アミノ基によって進む必要はない。加水分解反応の中間体との反応も可能であることは理解されよう。例えば、加水分解されるアルジミノ基は、ヘミアミナールの形態でイソシアネート基と直接反応することは考えられる。アルジミンのアルデヒド部分におけるヒドロキシル基が、アルジミノ基が加水分解される前、またはこの後だけにイソシアネート基と反応するか否かも、このような組成物の硬化にとって無関係である。例えば空気湿度の形態で空気からの十分な水分が、組成物中に存在すればすぐに、存在するヒドロキシル基がイソシアネート基と既に反応したとしても、アルジミノ基の加水分解および正式な意味で放出された一級アミノ基のイソシアネート基との反応が起こる。驚くべきことに、アルジミノ基の酸で触媒される加水分解は、三級アミノ基の存在によって損なわれない。
【0118】
式(I)のアルジミンの三級アミノ基は、イソシアネート基の反応に触媒効果を有することができ、したがって架橋を促進することができる。この促進作用は、三級アミノ基はアルジミンのアルデヒド部分に局在するという事実によってさらに促進される。しかし、強い塩基性の三級アミンは、特に水とのイソシアネート基の直接反応を過剰に促進することがあり、これは硬化において破壊的な効果を有することがあるので、三級アミノ基の塩基性が比較的低いことは有利である。アルジミノ基の加水分解は、三級アミノ基および少なくとも1個のヒドロキシル基を含む式(IV)のアルデヒドALDを放出する。アルデヒドALDは、ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応によって形成するポリマーに共有結合で組み込まれる。ポリマーへの組み込み後、三級アミノ基の触媒活性は、その制限された可動性のために著しく減少し、これは物質の安定性に有利であり得る。アルジミノ基の加水分解の過程で形成されるアルデヒド基は、硬化の過程で保存され、必要に応じて、さらなる反応のために使用され得る。
【0119】
式(I)のアルジミンを水と一緒に貯蔵することも可能である。水-アルジミン混合物がイソシアネート基と接触するようになった場合だけ、加水分解は完了に向かう。これは、アルジミンが水と一緒に貯蔵されるかまたは水が過剰に存在する場合でさえ、式(I)のアルジミンおよびイソシアネート基の間の反応は、対応する遊離アミンの反応と比較して非常に遅いからである。
【0120】
熱の影響下で、例えば熱的に不安定なブロックされたイソシアネート基を有する化合物の使用によって硬化する組成物に、式(I)または式(IX)のアルジミンを使用することは同様に可能である。反応性のウオーム-またはホットメルト接着剤を構成する組成物に式(I)または式(IX)のアルジミンを使用することは、さらに可能である。このような接着剤は、特にイソシアネート基を有する溶融可能な化合物を含み、それらは室温で固体であり、温めてまたは加熱して施用する。
【0121】
本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネートおよび少なくとも1種の式(I)または式(IX)のアルジミンを含む硬化性組成物をさらに提供する。
【0122】
本明細書における「ポリイソシアネート」という用語は、それらが、モノマージイソシアネート、オリゴマーポリイソシアネートまたはイソシアネート基を有し比較的高い分子量を有するポリマーであるかどうかにかかわらず、2個以上のイソシアネート基を有する化合物を包含する。
【0123】
式(I)の好適なアルジミンは、上記に詳細に記載された式(I)のアルジミン、またはそれらの好ましい実施形態、特に式(I')のアルジミンである。式(IX)の好適なアルジミンは、既に上記に記載されている。
【0124】
少なくとも1種のポリイソシアネートおよび少なくとも1種の式(I')のアルジミン、特に少なくとも1種の式(Ia)または式(Ib)のアルジミンを含む硬化性組成物が好ましい。
【0125】
一実施形態において、硬化性組成物は1成分を有する。
【0126】
本明細書において、「1成分」組成物は、組成物の全ての構成成分が、同一容器中で混合貯蔵され、室温で長期にわたり貯蔵安定性であり、すなわちそれらの性能または使用特性が貯蔵の結果、あったとしてもわずかしか変化せず、施用後に水分および/または熱の作用によって硬化する硬化性組成物を指す。
【0127】
1成分硬化性組成物は、特に、そのイソシアネート基が特にブロックされたイソシアネート基の形態で存在する少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。
【0128】
本明細書における「ブロックされたイソシアネート基」は、求核試薬に対するその反応性が、遊離イソシアネート基の先行技術から知られたブロック化剤、例えばフェノール、ケトオキシム、ピラゾール、ラクタム、またはマロン酸ジエステルとの上記反応の結果として、室温で好適な硬化剤と一緒に貯蔵安定性であり、熱および/または水分の作用下でのみこれらの硬化剤と反応し始める(ブロック化剤はタイプによって放出されるか放出されない)程度に低下したイソシアネート基を意味するものと理解される。
【0129】
ブロックされたイソシアネート基を有する好適なポリイソシアネートは、例えばDesmocap(登録商標) 11、12およびXP 2540 (全てBayer製)、Trixene(登録商標) BI 7641、BI 7642、BI 7770、BI 7771、BI 7772、BI 7774およびBl 7779 (全てBaxenden製)、Vestanat(登録商標) B 1358A、B 1358/100もしくはB 1370 (全てDegussa製)、およびTolonate(登録商標) D2 (Rhodia製)の商品名で市販されているか、または必要に応じてポリイソシアネートの好適なブロック化剤との反応によって調製することができる。
【0130】
1成分硬化性組成物は、水分硬化性および/または熱硬化性であり得る。
【0131】
本明細書における「熱硬化性組成物」は、ブロックされたイソシアネート基が、一般的に120から200℃の範囲の、特殊な場合に80℃からの好適な温度への加熱の過程で、好適な硬化剤によって架橋およびしたがって硬化が起こる程度に活性化されるブロックされたイソシアネート基を含む組成物を意味するものと理解される。この作業は、焼付けとも呼ばれ、一般的に組成物の施用後に実施される。
【0132】
一般的に、記載された1成分組成物の完全な硬化は、水分および熱の組合せの作用によって実施される。
【0133】
さらなる一実施形態において、硬化性組成物は2成分を有する。
【0134】
本明細書において、「2成分」組成物は、組成物の構成成分が、別々の容器に貯蔵され、それぞれ貯蔵安定性である2つの別々の成分で存在する硬化性組成物を意味するものと理解される。これらの2成分は成分K1および成分K2と呼ばれる。組成物の施用の直前または施用中に、これらの2成分を互いに混合し、混合した組成物は間もなく硬化し、硬化は、ある条件下では水分および/または熱の作用によってのみ進行または完了する。
【0135】
少なくとも1種のポリイソシアネートPおよび少なくとも1種の式(I')のアルジミンを含む、成分K1および成分K2からなる2成分硬化性組成物は特に好ましい。それらの硬化の過程において、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、式(IV')であるアルデヒドALD1が放出され、このアルデヒドALD1は、今度はポリイソシアネートPの硬化剤として作用し、鎖延長または架橋で形成するポリマーに共有結合で組み込まれる。
【0136】
特に好ましい硬化性2成分組成物の成分K1は、少なくとも1種のポリイソシアネートPを含む。
【0137】
一実施形態において、好適なポリイソシアネートPは、モノマージ-またはトリイソシアネート、またはモノマージイソシアネートのオリゴマー、またはモノマージイソシアネートの誘導体の形態におけるポリイソシアネートPIである。
【0138】
好適なモノマージ-またはトリイソシアネートは、例えば、以下の通り:すなわち1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンおよびリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-および-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサンおよびそれらの異性体(HTDIまたはH6TDI)の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIまたはH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシレンジイソシアネート(m-およびp- XDI)、m-およびp-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp- TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、3,6-ビス(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ(1-ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメリルジイソシアネート)などのダイマーおよびトリマー脂肪酸イソシアネート、α,α,α',α',α'',α''-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネート、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートおよびこれらの異性体(TDI)の任意の混合物、4,4'-,2,4'-および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの異性体(MDI)の混合物、MDIおよびMDI同族体(ポリマーMDIまたはPMDI)の混合物、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタンおよびトリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェートである。
【0139】
特に好適なポリイソシアネートPIは、モノマージイソシアネート、特にHDI、IPDI、TDIおよびMDIのオリゴマーまたは誘導体である。市販のタイプは、特にHDIビウレット、例えばDesmodur(登録商標) N 100およびN 3200 (Bayer)、Tolonate(登録商標) HDBおよびHDB-LV (Rhodia)およびDuranate(登録商標) 24A-100 (Asahi Kasei); HDIイソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標) N 3300、N 3600およびN 3790 BA (全てBayer製)、Talonate(登録商標) HDT, HDT-LVおよびHDTLV2 (Rhodia)、Duranate(登録商標) TPA-100およびTHA-100 (Asahi Kasei)およびCoronate(登録商標) HX (Nippon Polyurethane); HDIウレトジオン、例えばDesmodur(登録商標) N 3400 (Bayer); HDIイミノオキサジアジンジオン、例えばDesmodur(登録商標) XP 2410 (Bayer); HDIアロファネート、例えばDesmodur(登録商標) VP LS 2102 (Bayer); IPDIイソシアヌレート、例えば溶液のDesmodur(登録商標) Z 4470 (Bayer)または固体形態のVestanat(登録商標) T1890/100 (Degussa); TDIオリゴマー、例えばDesmodur(登録商標) IL (Bayer);およびTDI/HDIベースの混合イソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標) HL (Bayer)である。さらに特に好適であるのは、MDIの室温で液体の形態(「変性MDI」として知られる)、これらはMDIのMDI誘導体、例えばMDIカルボジイミドまたはMDIウレトンイミンまたはMDIウレタンとの混合物であり、例えばDesmodur(登録商標) CD、Desmodur(登録商標) PF、Desmodur(登録商標) PC (全てBayer製)などの商品名で知られているもの、ならびにMDIおよびMDI同族体(ポリマーMDIまたはPMD1)の混合物、Desmodur(登録商標) VL、Desmodur(登録商標) VL50、Desmodur(登録商標) VL R10、Desmodur(登録商標) VL R20およびDesmodur(登録商標) VKS 20F (全てBayer製)、Isonate(登録商標) M 309、Voranate(登録商標) M 229およびVoranate(登録商標) M 580 (全てDow製)またはLupranat(登録商標) M 10 R (BASF製)などの商品名で市販されているものなどである。
【0140】
上記のオリゴマーポリイソシアネートPIは、実際には一般的に様々な程度のオリゴマー化および/または化学構造を有する物質の混合物である。それらは、好ましくは2.1から4.0の平均NCO官能基数を有し、特にイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン、ウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミンまたはオキサジアジントリオン基を含む。これらのオリゴマーは、好ましくは低含有量のモノマージイソシアネートを有する。
【0141】
好ましいポリイソシアネートPIは、室温で液体形態のMDI、ならびにHDI、IPDIおよびTDIのオリゴマー、特にイソシアヌレートである。
【0142】
さらなる一実施形態において、好適なポリイソシアネートPは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである。
【0143】
本明細書において、「ポリマー」という用語は、第一に、化学的に均質であるが、重合度、モル質量およぼ鎖長に関して異なる、重合反応(重合、重付加、重縮合)によって調製される高分子の集合体を包含する。この用語は、第二に、重合反応からのこのような高分子の集合体の誘導体、すなわち反応、例えば所与の高分子上の官能基の付加または置換によって得られ、化学的に均質または異質であり得る化合物を包含する。この用語は、プレポリマーとして知られているもの、すなわちそれらの官能基が高分子の形成に関与する反応性オリゴマー予備付加物もさらに含む。
【0144】
「ポリウレタンポリマー」という用語は、ジイソシアネート重付加法として知られているものによって調製される全てのポリマーを包含する。これは、ウレタン基を実質的にまたは完全に含まないポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレートおよびポリカルボジイミドである。
【0145】
イソシアネート基を有する好適なポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリオールの少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0146】
ポリウレタンポリマーPUPの調製に使用されるポリオールは、例えば以下のポリオールまたはそれらの混合物であり得る。
-出発分子(例えば、水、アンモニア、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールの異性体、ブタンジオールの異性体、ペンタンジオールの異性体、ヘキサンジオールの異性体、ヘプタンジオールの異性体、オクタンジオールの異性体、ノナンジオールの異性体、デカンジオールの異性体、ウンデカンジオールの異性体、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、および前述の化合物の混合物)を用いて場合によって重合される、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-または2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物の重合生成物であるポリオキシアルキレンポリオールまたはオリゴエーテルオールとしても知られているポリエーテルポリオール。例えば、複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて調製される、低不飽和度(ASTM D-2849-69により測定されポリオールの1グラム当たりの不飽和のミリグラム当量で示される)を有するポリオキシアルキレンポリオール、または例えば、NaOH、KOH、CsOHもしくはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン触媒を用いて調製される、高不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールのいずれかを使用することができる。
【0147】
特に好適なポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンジオールおよび-トリオール、特にポリオキシアルキンジオールである。特に好適なポリオキシアルキレンジ-および-トリオールは、ポリオキシエチレンジ-および-トリオールおよびポリオキシプロピレンジ-および-トリオールである。
【0148】
特に好適なポリオキシプロピレンジオールおよび-トリオールは、0.02meq/g未満の不飽和度および1000から30000g/molの範囲の分子量を有し、400から8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールおよび-トリオールも同様である。本明細書において、「分子量」または「モル質量」は、分子量平均Mnを意味するものと常に理解される。特に好適であるのは、0.02meq/g未満の不飽和度および1000から12000の範囲、特に1000から8000g/molの間の分子量を有するポリオキシプロピレンジオールである。このようなポリエーテルポリオールは、例えばBayerによってAcclaim(登録商標)の商品名で販売されている。
【0149】
同様に特に好適であるのは、いわゆる「EO末端キャップされた」(エチレンオキシド末端キャップされた)ポリオキシプロピレンジオールおよび-トリオールである。後者は、例えばポリプロポキシル化が完了したときに純粋なポリオキシプロピレンポリオールをエチレンオキシドでアルコキシル化することによって得られる、結果として一級ヒドロキシル基を有する特定のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
-スチレン-アクリロニトリル-またはアクリロニトリル-メチルメタクリレートをグラフトしたポリエーテルポリオール。
-既知の方法、特にヒドロキシカルボン酸の重縮合、または脂肪族および/もしくは芳香族ポリカルボン酸の二価もしくは多価アルコールとの重縮合で調製される、オリゴエステロールとしても知られるポリエステルポリオール。
【0150】
特に好適なポリエステルポリオールは、二価から三価アルコール、特に二価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマー脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ネオペンチルグリコールヒドキシピバレート、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパンまたは前述のアルコールの混合物と、有機ジ-またはトリカルボン酸、特にジカルボン酸、またはそれらの無水物もしくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸および無水トリメリット酸、または前述の酸の混合物とから調製されるポリエステルポリオール、さらにラクトン、例えばε-カプロラクトン、および前述の二または三価アルコールなどの出発物質から形成されるポリエステルポリオールである。
【0151】
特に好適なポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。
-例えば、上記のアルコール(ポリエステルポリオールを形成するために使用される)の、ジメチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、またはホスゲンとの反応によって得られるポリカーボネートポリオール。
【0152】
特に好適な物質は、ポリカーボネートジオールである。
-ポリオールとして同様に好適であるのは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、上記に記載されたタイプのポリエーテル、ポリエステルおよび/またはポリカーボネート構造を有する少なくとも2種の異なるブロックを有するブロックコポリマーである。
-ポリアクリレート-およびポリメタクリレートポリオール。
-ポリヒドロキシ官能性脂肪および油、例えば天然脂肪および油、特にヒマシ油;または天然脂肪および油の化学修飾によって得られるポリオール(油脂化学のポリオールとして知られている)、例えば不飽和油のエポキシ化および次いでのカルボン酸もしくはアルコールによる開環によって得られるエポキシポリエステルもしくはエポキシポリエーテル、もしくは不飽和油のヒドロホルミル化および水素化によって得られるポリオール;またはアルコーリシスもしくはオゾン分解などの分解プロセス、および次いでの、例えばそうして得られる分解生成物もしくはそれらの誘導体のエステル交換もしくは二量化による化学結合によって、天然脂肪および油から得られるポリオール。天然脂肪および油の好適な分解生成物は、特に脂肪酸および脂肪アルコール、さらに脂肪酸エステル、特にメチルエステル(FAME)であり、これらは、例えばヒドロホルミル化および水素化によってヒドロキシ脂肪酸エステルに誘導体化することができる。
- ポリハイドロカーボンポリオール(オリゴヒドロカーボノールとしても知られる)、例えばポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;ポリヒドロキシ官能性エチレン-プロピレン、エチレン-ブチレンまたはエチレンプロピレン-ジエンコポリマー(例えばKraton Polymersによって製造されているもの)、ジエン、特に1,3-ブタジエンのポリヒドロキシ官能性ポリマー(これは特にアニオン重合から調製することもできる); 1,3-ブタジエンまたはジエン混合物などのジエン、およびスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレンおよびイソプレンなどのビニルモノマーのポリヒドロキシ官能性コポリマー、例えばポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(これは、例えばカルボキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(NoveonからHycar(登録商標) CTBNの名称で市販されている)およびエポキシドまたはアミノアルコールから調製することができる);およびジエンの水素化ポリヒドロキシ官能性ポリマーまたはコポリマー。
【0153】
これらの言及したポリオールは、好ましくは250-30000g/mol、特に400-20000g/molの平均分子量を有し、好ましくは1.6から3の範囲の平均OH官能基数を有する。
【0154】
これらの言及したポリオールに加えて、少量の低分子量の二価または多価アルコール、例えば1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールの異性体およびトリプロピレングリコールの異性体、ブタンジオールの異性体、ペンタンジオールの異性体、ヘキサンジオールの異性体、ヘプタンジオールの異性体、オクタンジオールの異性体、ノナンジオールの異性体、デカンジオールの異性体、ウンデカンジオールの異性体、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビフェノールA、ダイマー脂肪アルコール、例えばダイマー脂肪酸ジオール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタンエリトリトール、前述の二価または多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、ならびに前述のアルコールの混合物をポリウレタンポリマーPUPの調製においてさらに使用することができる。
【0155】
ポリウレタンポリマーPUPの調製に使用されるポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート、特にジイソシアネート、例えば好適なポリイソシアネートPIとして既に言及しているモノマージイソシアネート、さらにこれらのモノマージイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、およびこれらのイソシアネートの任意の所望の混合物であり得る。モノマージイソシアネート、特にMDI、TDI、HDIおよびIPDIが好ましい。
【0156】
ポリウレタンポリマーPUPは、直接ポリイソシアネートおよびポリオールから既知の方法で、または鎖延長反応としても知られる段階的付加方法によって調製される。
【0157】
好ましい一実施形態において、ポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応によって調製される(イソシアネート基はヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在する)。イソシアネート基およびヒドロキシル基の間の比は、有利には1.3から10、特に1.5から5である。
【0158】
反応は、有利には使用されるポリオールおよびポリイソシアネートおよび形成されるポリウレタンポリマーが液体形態で存在する温度で行われる。
【0159】
ポリウレタンポリマーPUPは、好ましくは500g/molを上回る分子量、特に1000から30000g/molの間の分子量を有する。
【0160】
さらに、ポリウレタンポリマーPUPは、好ましくは1.8から3の範囲の平均NCO官能基数を有する。
【0161】
好適なポリイソシアネートPは、最後に、ポリウレタンポリマーPUPおよびポリイソシアネートPIを含む混合物、特に、一方では、MDIベースのポリウレタンポリマーPUPおよびモノマーおよび/またはポリマーMDIを含む混合物、他方では、IPDIベースのポリウレタンポリマーPUPおよびモノマーおよび/またはオリゴマーIPDIを含む混合物でもある。
【0162】
特に好ましい硬化性2成分組成物の成分K2は、少なくとも1種の式(I')のアルジミンを含む。この目的に好適なアルジミンは、上記の式(I')のアルジミン、または既に詳細に記載されたそれらの好ましい実施形態、特に式(Ia)のアルジミンおよび式(Ib)のアルジミンである。
【0163】
一緒になって2個のヒドロキシル基を有するR4'およびR5'基を有する式(I')のアルジミンは特に好ましい。
【0164】
成分K2は、ポリアミン、ポリオール、アミノアルコール、ポリチオール、またはさらなるブロックされたアミンなどの、イソシアネート基に対して反応性のさらなる化合物を場合によって含む。
【0165】
成分K2における好適なポリアミンは、式(IIIb)のアミンB2として既に記載された一級脂肪族ポリアミン;二級脂肪族ポリアミン、例えばN,N'-ジブチルエチレンジアミン; N,N'-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン、N,N'-ジエチル-l,6-ヘキサンジアミン、1-(1-メチルエチルアミノ)-3-(1-メチルエチルアミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(Huntsman製Jefflink(登録商標)754)、N4-シクロヘキシル-2-メチル-N2-(2-メチルプロピル)-2,4-ペンタンジアミン、N,N'-ジアルキル-1,3-キシレンジアミン、ビス(4-(N-アルキルアミノ)シクロヘキシル)メタン、N-アルキル化ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)製品のSD-231、SD-401、SD-404およびSD-2001(全てHuntsman製)、例として言及した一級脂肪族ポリアミンの、(マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、ビニルスルホン酸アリール、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1-ニトロエチレンなどの)マイケル受容体へのマイケル型付加からの生成物またはクネーベナーゲル縮合生成物、例えばマロン酸ジエステルおよびホルムアルデヒド、アセトアルデヒドもしくはベンズアルデヒドなどのアルデヒドから形成されるもの;一級および二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン、例えばN-ブチル-1,6-ヘキサンジアミン;一級および/または二級芳香族ポリアミン、例えばm-およびp-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェンルメタン(MDA)、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,5-ジメチルチオ-2,4-および-2,6-トルイレンジアミンの混合物(AlbemarleからEthacure(登録商標)300として入手可能)、3,5-ジエチル-2,4-および-2,6-トルイレンジアミンの混合物(DETDA)、3,3',5,5'-テトラエチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-DEA)、3,3',5,5'-テトラエチル-2,2'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-CDEA)、3,3'-ジイソプロピル-5,5'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-MIPA)、3,3',5,5'-テトライソプロピル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-DIPA)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド、5,5'-メチレンジアントラニル酸、ジメチル(5,5'-メチレンジアントラニレート)、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシドビス(4-アミノベンゾエート)(Air ProductsからVersalink(登録商標)として入手可能)、1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン、N,N'-ジアルキル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジアルキル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2-メチルプロピル(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)およびtert-ブチル(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート);および3個を上回るアミノ基を有するポリアミンである。
【0166】
成分K2における好適なポリオールは、ポリウレタンポリマーPUPを調製するのに好適であると既に言及しているものと同じポリオール、およびポリウレタンポリマーPUPの調製におけるさらなる使用に好適であると上述した低分子量の二価または多価アルコールである。
【0167】
成分K2における好適なアミノアルコールは、少なくとも1種の一級または二級アミノ基および少なくとも1種のヒドロキシル基を有する化合物、例えば式(I)のアルジミンを調製するのに好適なアミンB1として既に上述した脂肪族ヒドロキシルアミン、さらに、例えば、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(ブチルアミノ)エタノールおよび2-(シクロヘキシルアミノ)エタノールである。
【0168】
成分K2における好適なポリチオールは、例えば、Thiokol(登録商標)の商標で知られる液体のメルカプト末端ポリマー、例えばLP-3、LP-33、LP-980、LP-23、LP-55、LP-56、LP-12、LP-31、LP-32およびLP-2の製品(Morton Thiokol;例えばSPI Supplies(米国)、もしくはToray Fine Chemicals、(日本)から入手可能)、ならびにチオカルボン酸のポリエステル、例えばペンタエリトリトールテトラメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、グリコールジメルカプトアセテート、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)およびグリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)である。
【0169】
式(I)のアルジミンに加えて、成分K2の構成成分としてさらなるブロックされたアミン、特にケチミン、オキサゾリジン、エナミンおよび他のアルジミンを使用することができる。このような他のアルジミンは、上述した式(IV')のアルデヒドALD1以外のアルデヒド、例えば1個のヒドロキシル基のみを有する式(IV)のアルデヒドALD、イソブチルアルデヒド、および国際公開第2004/013088 A1号に記載されたカルボン酸のエステル化からの生成物、特に3-ヒドロキシピバルアルデヒドによるラウリン酸のエステル化からの生成物から開始して得られる。ケチミンは、例えば上述の式(III)のアミンBのケトンとの反応から得られる。好適なオキサゾリジンは、特にポリオキサゾリジン、例えばOZ硬化剤(Bayer)である。好適なエナミンは、例えば、複数の二級アミノ基を有するアミンの、カルボニル基に対するα位置における炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する脂肪族または脂環式アルデヒドまたはケトンとの反応から得られる。
【0170】
一実施形態において、成分K2は水を含む。成分K2は、特にアルジミノ基および他のブロックされたアミノ基の加水分解に必要とされる量の水、またはその一部を含む。
【0171】
特に好ましい硬化性2成分組成物は、さらなる構成成分、特にポリウレタン組成物において通常使用される助剤および添加剤、例えば以下のものを場合によって含む。
- 可塑剤、例えばフタル酸エステル、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニルまたはフタル酸ジイソデシル、アジピン酸エステル、例えばアジピン酸ジオクチル、アゼライン酸エステルおよびセバシン酸エステルなどのカルボン酸エステル、有機リン酸エステルおよびスルホン酸エステルまたはポリブテン;
- 非反応性熱可塑性ポリマー、例えば、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニルおよびアルキル(メタ)アクリレートを含む群からの不飽和モノマーのホモ-またはコポリマー、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン-ビニルアセテートコポリマー(EVA)およびアタクチックポリ-α-オレフィン(APAOs);
- 溶媒;
- 無機および有機充てん剤、例えば脂肪酸(特にステアレート)で場合によってコーティングされる重質炭酸カルシウムまたは沈降炭酸カルシウム、バライト(BaSO4、重晶石としても知られる)、石英粉末、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、特に熱分解法からの微粉シリカ、カーボンブラック、特に工業生産されたカーボンブラック(以下では「カーボンブラック」と呼ばれる)、PVC粉末または中空球;
- 繊維、例えばポリエチレンのもの;
- 顔料、例えば二酸化チタンまたは酸化鉄;
- アルジミンの加水分解を促進する触媒、特に酸、例えば安息香酸、サリチル酸または2-ニトロ安息香酸などの有機カルボン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸および無水ヘキサヒドロメチルフタル酸などの有機無水カルボン酸、有機カルボン酸のシリルエステル、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸または4-ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸、スルホン酸エステル、他の有機酸または無機酸、あるいは前述の酸および酸エステルの混合物;
- イソシアネート基の反応を促進する触媒、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセチルアセトネートおよびジオクチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、ビスマストリオクトエートおよびビスマストリス(ネオデカノエート)などのビスマス化合物、ならびに2,2'-ジモルホリノジエチルエーテルおよび1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの三級アミノ基を含む化合物;
- レオロジー調整剤、例えば増粘剤またはチキソトロープ剤、例えば尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイトまたはヒュームドシリカ;
- 反応性希釈剤および架橋剤、例えばモノマージイソシアネート、さらにこれらのポリイソシアネートのオリゴマーおよび誘導体、モノマーポリイソシアネートと短鎖ポリオールとの付加物、さらにアジピン酸ジヒドラジドおよび他のジヒドラジド、さらに既に上述したブロックされたイソシアネート基を有するポリイソシアネート;
- ブロックされたアミン、例えばケチミン、オキサゾリジン、エナミンまたは他のアルジミンの形態におけるもの;
- 乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ、酸化カルシウム、p-トシルイソシアネートなどの高反応性イソシアネート、オルトギ酸エステル、テトラエトキシシランなどのアルコキシシラン;
- オルガノアルコキシシラン(以下では「シラン」とも呼ばれる)、例えばエポキシシラン、(メタ)アクリロイルシラン、イソシアナトシラン、ビニルシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシランおよびアルジミノシラン、およびこれらのシランのオリゴマー形態;
- 熱、光および紫外線に対する安定剤;
- 難燃性物質;
- 界面活性物質、例えば湿潤剤、レベリング剤、脱気剤または消泡剤;
- 殺生物剤、例えば除藻剤、防かび剤または菌の繁殖を阻害する物質。
【0172】
このようなさらなる構成成分が使用される場合、それらが組成物の特定の成分K1またはK2の貯蔵安定性を著しく損なわないことを確実にすることが有利である。このような添加剤が成分K1の構成成分として存在する場合、それらが貯蔵の間に著しくイソシアネート基の架橋を引き起こさないことを確実にすべきである。より詳しくは、これは、このように使用される添加剤は、あったとしてもごく微量の水しか含むべきではないことを意味する。それらが成分K1に混合される前に、特定の添加剤を化学的または物理的に乾燥することが望ましいことがある。
【0173】
成分K2の場合、これらに加えて、そうなったとしてもほんの少しの間だけ遊離イソシアネート基と一緒に貯蔵できるさらなる助剤および添加剤がさらに可能である。これらは特に以下のものなどの触媒である。
亜鉛、マンガン、鉄、クロム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、鉛、カドミウム、水銀、アンチモン、バナジウム、チタン、ジルコニウムまたはカリウムの化合物、例えば亜鉛(II)アセテート、亜鉛(II)2-エチルヘキサノエート、亜鉛(II)ラウレート、亜鉛(II)オレート、亜鉛(II)ナフテネート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、亜鉛(II)サリチレート、マンガン(II)2-エチルヘキサノエート、鉄(III)2-エチルヘキサノエート、鉄(III)アセチルアセトネート、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、コバルト(II)ナフテネート、コバルト(II)2-エチルヘキサノエート、銅(II)2-エチルヘキサノエート、ニッケル(II)ナフテネート、フェニル水銀ネオデカノエート、鉛(II)アセテート、鉛(II)2-エチルヘキサノエート、鉛(II)ネオデカノエート、鉛(II)アセチルアセトネート、アルミニウムラクテート、アルミニウムオレート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジイソプロポキシチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)、カリウムアセテート、カリウムオクトエート;三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびその高級同族体、N,N,N',N'-テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミンおよびそれらの高級同族体、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ビス(ジメチルアミノ)メタン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N-ジメチル-2-フェニルエチルアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、N,N'-ジメチルピペラジン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)-ヘキサヒドロトリアジンまたはビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル;芳香族窒素化合物、例えば4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾールまたは1,2-ジメチルイミダゾール;アミジンおよびグアニジン、例えば1,1,3,3-テトラメチルグアニジン;活性水素原子を含む三級アミン、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピル-ジイソプロパノールアミン、ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イソプロパノールアミン、ビス(3-(ジメチルアミノプロピル)アミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルウレア、フェノールのマンニッヒ塩基、例えば2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールまたは2,4,6-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノメチル)フェノール、イミダゾール、例えばN-ヒドロキシプロピルイミダゾール、N-(3-アミノプロピル)イミダゾール、ならびにこれらの化合物のアルコキシル化およびポリアルコキシル化生成物、例えばジメチルアミノエトキシエタノール;有機アンモニウム化合物、例えばベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、またはアルコキシル化三級アミン;「遅延作用」触媒(既知の金属またはアミン触媒の変形物である)、例えば三級アミンおよびカルボン酸またはフェノールの反応生成物、例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたはDBUおよびギ酸または酢酸のもの;ならびに言及した化合物の組合せ、特に金属化合物および三級アミンのもの。
【0174】
上記組成物は、好ましくは、有機金属化合物および/または三級アミンおよび/または酸(特に有機カルボン酸またはスルホン酸)の形態の少なくとも1種の触媒を含む。
【0175】
2つの成分K1およびK2は、互いに別々に調製され、成分K1については水分を排除して調製される。2つの成分K1およびK2は、互いに別々に貯蔵安定性であり、すなわちそれらは、それらの特定の性質をそれらの使用に関係する程度に変えることなく使用前に数ヶ月から1年以上にわたり、好適な包装または配置、例えばドラム、パウチ、バケット、カートリッジまたはボトルでそれぞれ貯蔵することができる。
【0176】
2成分組成物の使用については、2つの成分K1およびK2を互いに混合する。イソシアネート基に対して反応性の構成成分が、成分K1のイソシアネート基に対して好適な比となるように、混合比を選択することを確実にすべきである。より詳しくは、その比は、イソシアネート基の1当量当たりの存在するヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基および保護アミノ基の合計の当量で0.1から1.1、好ましくは0.5から0.95、より好ましくは0.6から0.9であり、オキサゾリジノ基の形態の保護アミノ基は2倍にカウントする。硬化の過程で、過剰なイソシアネート基は水分と、特に空気湿度と反応する。
【0177】
2つの成分K1およびK2は、好適な方法で、例えば静的ミキサーを用いて混合される。混合は連続式またはバッチ式で行うことができる。混合した組成物は、次いで、場合によって好適な塗布補助用具を用いて基材に塗布する。それを行うのに、塗布前の混合組成物の構成成分の過度な予備反応が、例えば不十分な悪い方法だけで形成された基材への接着のために、硬化組成物の機能を妨害することがあるので、成分の混合と塗布の間にあまりに多くの時間が経過しないことを確実にしなければならない。その時間内で混合した組成物が塗布されるべきである最長の時間は、「ポットライフ」と呼ばれる。
【0178】
成分K1およびK2の混合後に硬化が始まる。アルジミノ基は、それらが水と接触するようになり次第、既に記載した方法でイソシアネート基と反応し始める。水が成分K2の構成成分であるため、もしくは2つの成分K1およびK2の混合前もしくは混合中に水が組成物に添加されるために、水は混合した組成物中に既に存在するか、または水は空気湿度の形態で混合した組成物中に拡散するかのいずれかである。後者の場合、アルジミノ基は、空気から組成物中への水分の浸透と平行して外側から中へイソシアネート基と反応する。既に記載されたように、加水分解されるアルジミノ基とのイソシアネート基の反応は、必ずしも遊離アミノ基により進行する必要はないが、加水分解反応の中間体によっても進行し得る。同様に、組成物中に存在し得るさらなるブロックされたアミンの反応基は放出される。さらに、成分K1およびK2の混合後、組成物中に存在するヒドロキシル、メルカプトおよびアミノ基はイソシアネート基と反応する。R4'およびR5'基上に存在するヒドロキシル基は、アルデヒドALD1の正式な放出前、その間またはその後にイソシアネート基と反応し得る。これらの反応の結果として、混合された組成物は架橋し最終的に硬化して固体物質が得られる。
【0179】
記載された硬化性組成物の硬化は、高い硬化速度においてさえも一般的に気泡の形成なく進行する。硬化速度は、存在し得る1種または複数の触媒の種類および量によって、硬化の過程で存在する温度および空気湿度または添加される水の量によって影響されることがある。
【0180】
記載された硬化性組成物は、一連の利点を有する。
【0181】
式(I')のアルジミンは、エナミノ基に互変異性化することができない立体障害のアルジミノ基を含む。それらは、正式な意味で、一級アミノ基として、水の存在下でイソシアネート基と反応し、それらの反応性は、対応する遊離一級アミノ基と比べて大きく減少し、このような系は有効に管理できる硬化速度を有する。
【0182】
アルジミンの存在は、組成物中に既に存在するか施用後に組成物に入る水分とイソシアネート基の直接の二酸化炭素(CO2)を生成する反応を妨げ、したがって組成物の硬化の過程における望ましくない気泡の形成を実質的に抑制する。
【0183】
さらに、硬化の過程において式(I')のアルジミンから放出される式(IV')のアルデヒドALD1は、それらは、ともにR4'およびR5'基上に、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、したがって形成するポリウレタンポリマーのイソシアネート基と鎖延長または架橋によって反応し、連鎖停止反応をもたらさないので、それら自体が硬化剤として作用する。このようなアルデヒドALD1のポリマーへの共有結合での組み込みは、組み込むことができないアルデヒドが硬化性組成物に引き起こし得る、特に収縮、不快な臭気、汗かきまたは機械的強度低下および耐久性低下などの問題を回避するので特に有用である。
【0184】
さらに、式(I')のアルジミンは、それらの三級アミノ基の含有によって、イソシアネート基の反応に触媒作用を発揮し、したがって硬化を促進し得る。この促進作用は、アルジミンのアルデヒド部分における三級アミノ基は、すなわちそれらの加水分解後に、放出されるアルデヒドALD1に局在するという事実によってさらに促進される。しかし、強い塩基性の三級アミンは、酸により触媒されるアルジミノ基の加水分解を妨害し、かつ/または特に水とのイソシアネート基の直接反応を過剰に促進し、この反応は不完全な硬化をもたらし得るので、これらの三級アミノ基の塩基性が比較的低いことは有利である。三級アミノ基は、式(I')のアルジミンのアルデヒド部分に局在し、ヒドロキシル基のイソシアネート基との反応によって硬化の過程で形成するポリマー中に共有結合で組み込まれる。ポリマー中への組み込み後、三級アミノ基の触媒作用は、その制限された可動性によって著しく低下し、これは材料の耐久性に有利であり得る。
【0185】
アルジミノ基の加水分解の過程で形成するアルデヒド基は、硬化の過程で保たれ、記載された反応により形成するポリマー中に共有結合で組み込まれる。それらは、必要に応じて、さらなる反応に使用することができる。
【0186】
記載された組成物のさらなる利点は、記載された式(I')のアルジミンおよびアルデヒドALD1の比較的低い臭気にある。結果として、組成物は、硬化前、その間およびその後に、あったとしても低い臭気しか有さない。
【0187】
記載された硬化性組成物の好ましい用途は、接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床仕上げ材、塗料、コーティング材、プライマーまたは発泡体である。いくつかの用途が以下で簡単に記載されるが、これらの組成物の別の使用を何ら制限する意図はない。
【0188】
好ましい一実施形態において、記載された硬化性組成物の1つは、接着剤またはシーラントとして使用される。この用途において、硬化性組成物は、有利には少なくとも1種の充てん剤を含み、この充てん剤は、未硬化組成物のレオロジー特性ならびに硬化組成物の機械的性質および表面特性の両方に影響を及ぼす。好適な充てん剤は、既に言及した無機および有機充てん剤である。カーボンブラック、炭酸カルシウム、焼成カオリン、微粉シリカ、PVC粉末および水和物または水酸化物などの難燃性充てん剤、特に水酸化アルミニウムは好ましい。充てん剤含有率は、特に全組成物に対して10から70重量%、好ましくは20から60重量%の範囲である。異なる充てん剤の混合物を使用することは有利であり得る。
【0189】
さらに、接着剤またはシーラントとしての用途における硬化性組成物は、有利には既に言及した触媒の少なくとも1種を含み、これらの触媒は、アルジミノ基の加水分解またはイソシアネート基の反応を促進する。特に好適であるのは、有機酸および有機金属化合物もしくは金属錯体の混合物、有機酸および三級アミノ基を含む化合物の混合物、または有機酸、有機金属化合物もしくは金属錯体、および三級アミノ基を含む化合物の混合物である。触媒の一般的な含有率は、全組成物に対して0.005から2重量%であり、どの触媒にどれだけの量が使用されるのが望ましいかは当業者に明らかである。
【0190】
接着剤またはシーラントは、既に記載された方法で製造され施用される。
【0191】
接着剤の好適な用途は、例えば、建設または土木および生産財または消費財(特に窓、家庭電化製品もしくは水用もしくは陸用乗物などの輸送手段(好ましくは自動車、バス、トラック、列車もしくは船))の製造または補修における成分の接着、ならびに家具、織物または包装産業における物品の接着;あるいは工業生産もしくは補修、または建設もしくは土木におけるジョイント、継ぎ目または空洞のシーリングである。
【0192】
シーラントの好適な用途は、例えば、構築構造物、特に建設もしくは土木におけるジョイントのシーリング、または構築構造物の部品、例えば窓もしくは床のシーリング、または生産財、例えば家庭電化製品もしくは輸送手段、特に水用もしくは陸用乗物、もしくはそれらの部品のシーリングである。
【0193】
硬化した状態において、接着剤またはシーラントは一般的に弾性特性を有する。
【0194】
さらに好ましい一実施形態において、記載された硬化性組成物の1種は、コーティングとして使用される。この用途において、硬化性組成物は、有利には、少なくとも1種の充てん剤を含み、この充てん剤は、未硬化組成物のレオロジー特性、ならびに硬化組成物の機械的特性および表面特性の両方に影響を及ぼす。好適な充てん剤は、既に言及した無機および有機充てん剤である。炭酸カルシウム、バライトおよび石英粉末、および水和物もしくは水酸化物などの難燃性充てん剤、特に水酸化アルミニウムが好ましい。充てん剤含有率は、全組成物に対して特に10から70重量%、好ましくは20から60重量%の範囲である。異なる充てん剤の混合物を使用することは有利であり得る。
【0195】
さらに、コーティングとしての用途における硬化性組成物は、有利には少なくとも1種の触媒を含む。好適な触媒は、接着剤およびシーラントの好適な構成成分として既に言及したものと同じ量の同じ触媒である。
【0196】
さらに、コーティングとしての用途における硬化性組成物は、有利には、特に顔料、溶媒、レベリング剤、消泡剤および安定剤からなる群から選択される、少なくとも別の既に言及した助剤および添加剤を含む。
【0197】
好適な溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンおよび酸化メシチルなどのケトン、およびシクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンなどの環状ケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸tert-ブチル、ギ酸エステル、プロピオン酸エステルまたはマロン酸エステルなどのエステル;ケトンエーテル、エステルエーテルおよびジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびエチレングリコールジエチルエーテルなどのジアルキルエーテルなどのエーテル;トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、およびナフサ、ホワイトスピリット、石油エーテルまたはベンジンなどの鉱油留分などの脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素;塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;ならびにN-アルキル化ラクタム、例えばN-メチルピロリドン、N-シクロヘキシルピロリドンまたはN-ドデシルピロリドンである。溶媒含有率は、全組成物に対して、特に0から30重量%、好ましくは0から20重量%の範囲である。
【0198】
コーティングは、既に記載された方法で製造され施用される。コーティングは、有利には良好なレベリング性を有する流体粘稠度を有する。結果として、コーティングは、主に平らな表面へのセルフレベリングコーティングとして、例えば床仕上げ材として簡単な方法で施用することができる。2つの成分K1およびK2は、施用の前に好適な方法で互いに混合され、混合された組成物がポットライフ内に施用される。
【0199】
硬化性組成物は、一般的にコートする基材上にそれを注ぐことによってコーティングの形態で塗布され、例えば塗布ナイフまたはくし目ごて(notched trowel)などの補助を用いて液体状態で均一に分配される。さらに、材料をスパイクローラー(spiked roller)でならし脱気することができる。しかし、例えば噴霧塗布の形態で機械塗布も可能である。
【0200】
組成物を一般的に塗布する好適な基材は、例えば、コンクリート、セメント、アスファルト、鋼、木材、セラミックもしくはプラスチックであり、これらの基材は、清掃、ブラシ掛けもしくはサンドブラストによって前処理することができ、かつ/またはプライマーを有することもできる。有用なプライマーの例には接着促進溶液が含まれる。
【0201】
「プライマー」は、下塗りとして好適であり、非反応性揮発性物質および場合によって固体添加剤に加えて、少なくとも1種のポリマーおよび/または少なくとも1種の反応基を有する物質を含み、基材に塗布された場合に硬化して一般的に少なくとも5μmの層厚さの良好な接着性を有する固体塗膜を提供することができ、この硬化は、もっぱら非反応性揮発性物質、例えば溶媒もしくは水の蒸発によって、または化学反応によって、またはこれらの要因の組合せによってのいずれかに起因し、その後に塗布される層、例えば接着剤もしくはシーラントへの良好な接着性を形成する組成物を意味するものと本明細書においては理解される。
【0202】
完成した床仕上げ材は、しばしば、いくつかの異なる層からなる構成である。一般的な構成は、例えば、ポリウレタンコーティングのための基材を調製する役割を果たすプライマーから始まることがある。次いで、例えば、記載された組成物は、一般的に硬化状態で弾性特性を有するが、塗布され、この塗布は基材の性質および所望の層厚さに応じて、1つまたは複数のステップで行われ得る。一般的に、0.5から3mm、特に0.5から2mmの層厚さが一層につき適用される。最後に、シールをその後に塗布することができ、このシールも薄い層(例えば数マイクロメーロルから数10分の1ミリミートルの厚さ)の床仕上げ材の表面特性に影響を及ぼす。これは透明または着色したシールであり得る。
【0203】
記載されたコーティングは、有利には建造物または構築構造物の内装または外装に、例えば、事務所、工場建物、屋内競技場もしくは休憩室(chill room)などの屋内の床仕上げ材として、またはバルコニー、テラス、橋、立体駐車場(parking deck)、もしくは運動場および公園のために屋外で使用することができる。
【0204】
本発明のさらなる一態様は、基材S1を基材S2に接着するための方法に関し、この方法は、
i) 上記に記載の硬化性組成物を基材S1に塗布するステップ、
ii) 組成物のオープンタイム内に塗布した組成物を基材S2と接触させるステップ、
または
i') 上記に記載の組成物を基材S1および基材S2に塗布するステップ、
ii') 組成物のオーブンタイム内に塗布した組成物を互いに接触させるステップ
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質または異なる物質からなる。
【0205】
本発明のさらなる一態様は、シーリングのための方法に関する。これは、
i'') 上記に記載の硬化性組成物を、組成物が基材S1および基材S2と接触するように、基材S1および基材S2の間に塗布するステップ
を含み、基材S2は基材S1と同じ物質または異なる物質からなる。
【0206】
一般的に、シーラントはジョイントに射出される。
【0207】
本発明のさらなる一態様は、基材S1をコーティングするための方法に関する。これは、
i''') 組成物のオーブンタイム内に上記に記載の硬化性組成物を基材S1に塗布するステップ
を含む。
【0208】
これらの3つの方法において、好適な基材S1および/またはS2は、例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、タイル、石膏および花崗岩または大理石などの自然石などの無機基材;アルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛めっき金属などの金属または合金;革、布、紙、木材、樹脂で固めた木質材料、樹脂-織物複合材料などの有機基材、ポリ塩化ビニル(硬質および軟質PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シート成形複合材料)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、PMMA、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、特に表面プラズマ処理、表面コロナ処理または表面火炎処理ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)およびエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)などのプラスチック;粉体塗装金属または合金などの塗装基材;ならびに塗料およびコーティング材料、特に自動車コーティング材料である。
【0209】
基材は、組成物の塗布前に、必要に応じて前処理することができる。このような前処理には、特に物理的および/または化学的清浄化法、例えば、研削、サンドブラスト、ブラシ掛けなど、または洗剤もしくは溶媒による処理、または接着促進剤、接着促進剤溶液もしくはプライマーの塗布が含まれる。
【0210】
2成分組成物の場合、2つの成分K1およびK2は、塗布の直前に互いに混合される。
【0211】
熱硬化性組成物の場合、塗布した組成物は、次いで、好適な温度に加熱することによって接着ボンド、シールまたはコーティングに焼き付ける。
【0212】
硬化性組成物は、広い温度スペクトルの範囲内で塗布することができる。例えば、接着剤またはシーラントでは一般的であるが、この組成物は室温で塗布することができる。この組成物は、しかし、より低温で、あるいはより高温で塗布することもできる。溶融性接着剤(例えばウオームメルト接着剤またはホットメルト接着剤)で一般的に存在するように、特に組成物が高粘度または溶融性成分を含む場合、後者は有利である。ウオームメルトのための施用温度は、例えば、40から80℃の範囲であり、ホットメルトの場合、85から200℃の範囲である。
【0213】
接着、シーリングまたはコーティングのためのこれらの記載された方法(または接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床仕上げ材、塗料、コーティング材料、プライマーもしくは発泡体として記載された組成物の1種の使用)は、物品を生じさせる。
【0214】
この物品は、特に構築構造物、特に建設もしくは土木における構築構造物、あるいは生産財または消費財、特に窓、家庭用電化製品、または輸送手段、特に水用もしくは陸用乗物、好ましくは自動車、バス、トラック、列車もしくは船、または輸送手段の取り付け部品、または家具、織物もしくは包装産業における物品である。
【0215】
(実施例)
1. 測定方法の説明
粘度はPhysica UM温度自動調節コーンプレート粘度計(コーン直径20mm、コーン角度1°、コーン頂点からプレートまでの距離0.05mm、剪断速度10から1000s-1)で測定した。
【0216】
調製された化合物中のアミン含有量、すなわち遊離アミノ基およびブロックされたアミノ基(アルジミノ基)の合計含有量を、滴定法(クリスタルバイオレットに対して、氷酢酸中の0.1N HClO4を用いて)によって求め、常にmmol N/gで示す。
【0217】
0.1N HClを用いた50mlの水中の約1mmolのマンニッヒ塩基の電位差滴定における半中和電位を使用して、マンニッヒ塩基の共役酸についてのpKaを近似的に測定した。
【0218】
赤外線スペクトルは、ZnSe結晶を用いる水平ATR測定装置で希釈しない塗膜としてPerkin-Elmer 1600 FT-IR装置で測定し、吸収バンドは波数(cm-1)(測定ウインドウ: 4000-650cm-l)で示し、追加のshは肩として見えるバンドを示し、追加のbrは幅の広いバンドを示す。
【0219】
GC-MSを以下の条件下で実施した。Optima-5-MSカラム、30m×0.25mm、塗膜厚さ0.5μm;加熱速度60℃から320℃まで15℃/分、次いで320℃を15分間保持; Heキャリヤーガス、14 psi;スプリット15ml/分; EI+イオン化法。ガスクロマトグラムについては、生成物シグナルの保持時間(tR)を示す。質量スペクトルにおいては、最大ピークだけを示し(m/zとして);相対強度(%)および、できれば、分子断片の暫定的な指定は括弧に入れる。
【0220】
2. アルデヒドの調製
3-(N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ) -2,2-ジメチルプロパナール
窒素雰囲気下の丸底フラスコに、最初に83.4g(1.00mol)の36%水性ホルムアルデヒドおよび75.7g(1.05mol)のイソブチルアルデヒドを装入した。よく撹拌し氷冷しながら、105.1g(1.00mol)のジエタノールアミンを、滴下漏斗からゆっくりと一滴ずつ添加し、その間、反応混合物の温度が20℃を超えて上がらないことを確実にした。添加の完了後、この混合物を室温で1時間撹拌した。得られた透明無色の反応混合物を2時間にわたり80℃において油浴中で還流撹拌し、室温に冷却し、80℃において水流真空で揮発性成分を留去した。これによって透明の帯黄色の油として181.2g(理論値の96%)の粗生成物が得られ、この粗生成物は5.40mmol N/gのアミン含有量および20℃で23.7Pa・sの粘度を有した。粗生成物は、3-(N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2,2-ジメチル-プロパナールに加えて、より小さい割合の3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナール、N-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジンおよびN-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロピルオキサゾリジンを含んだ(GC-MS分析による)。
pKa≒7.1。
IR: 3358br (OH)、2950、2929sh、2913、2870、2830、2719sh br (CHO)、1721 (C=O)、1464、1391、1359、1302br、1206、1147、1078sh、1037、966、940、920、883、786。
GC-MS: tR=10.3分; 質量スペクトル: 189 (2, [M]+)、172 (3, [M-OH]+)、158 (11, [M-CH2OH]+)、128 (4)、118 (100, [M-C(CH3)2CHO]+)、116 (15)、102 (6)、98 (5)、88 (2, [118-CHOH]+)、88 (72)、86 (21)、74 (50)、56 (51)。
【0221】
3-(N-ビス(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナール
3-(N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールの調製について上記に記載されたものと同じ条件下で、83.4g(1.00mol)の36%水性ホルムアルデヒドを、75.7g(1.05mol)のイソブチルアルデヒドおよび133.2g(1.00mol)のジイソプロパノールアミンと反応させ後処理をした。これによって透明の帯黄色の油として199.4g(理論値の92%)の粗生成物が得られ、この粗生成物は4.87mmol N/gのアミン含有量および20℃で8.2Pa・sの粘度を有した。この粗生成物は、3-(N-ビス(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールに加えて、より小さい割合の3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナール、N-(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)オキサゾリジンおよびN-(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)-2-イソプロピルオキサゾリジンを含んだ(GC-MS分析による)。
pKa≒7.1。
IR: 3392br (OH)、2966、2933、2872、2818、2719sh br (CHO)、1722 (C=O)、1461、1409、1375、1328、1274、1209、1158、1130、1090sh、1055、1028sh、978、945、914、891、864、839、818、786。
GC-MS: tR=10.3分; 質量スペクトル: 217 (3, [M]+)、172 (30, [M-CH(CH3)OH]+)、146 (44, [M-C(CH3)2CHO]+)、144 (21)、130 (6)、126 (6)、116 (7)、114 (10)、102 (100, [146-C(CH3)OH]+)、100 (18)、88 (16)、70 (38)。
【0222】
3. アルジミンの調製
(実施例1)
アルジミンA-1
窒素雰囲気下の丸底フラスコにおいて、68.2gのポリエーテルジアミン(約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン; Jeffamine(登録商標)D-230、Huntsman;アミン含有量8.29mmol N/g)および117.6gの3-(N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールを計量し、この混合物を室温で1時間撹拌した。その後、揮発性成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。収量: 177.1gの透明の黄色の油(6.78mmol N/gのアミン含有量および20℃で9.8Pa・sの粘度を有する)。
IR: 3391br (OH)、2964、2926、2868、1662 (C=N)、1469、1456sh、1392sh、1373、1294、1106sh、1049、1004sh、926、903、877。
【0223】
(実施例2)
アルジミンA-2
実施例1に記載されたものと同じ条件下で、27.2gのイソホロンジアミン(Vestamin(登録商標)IPD、Degussa;アミン含有量11.67mmol N/g)および71.8gの3-(N-ビス(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールを反応させた。収量: 93.2gの透明の黄色の蜂蜜状物質(honey)(7.66mmol N/gのアミン含有率および20℃で150Pa・sの粘度を有する)。
IR: 3393br (OH)、2962、2926、2898、2868、2837、2818、1662 (C=N)、1459、1408、1373、1364、1333、1273、1159、1133、1116sh、1058、1003、976sh、945、909、891sh、864、838。
【0224】
(実施例3)
アルジミンA-3
実施例1に記載されたものと同じ条件下で、37.7gのポリエーテルジアミン(約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン; Jeffamine(登録商標)D-230、Huntsman;アミン含有率8.29mmol N/g)および70.6gの3-(N-ビス(2-ヒドロキシ-2-メチルエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールを反応させた。収量: 103.4gの透明の帯黄褐色の油(6.26mmol N/gのアミン含有率および20℃で4.0Pa・sの粘度を有する)。
IR: 3419br (OH)、2965、2925、2918、2868、2822sh、1662 (C=N)、1457、1408sh、1373、1331、1274、1196sh、1106、1089、1059、1019、1002、977、944、910、865、838。
【0225】
(実施例4)
アルジミンA-4
実施例1に記載されたものと同じ条件下で、6.55gの2-(2-アミノエトキシ)エタノール(DGA; Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman;アミン含有率9.39mmol N/g)および13.36gの3-(N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパナールを反応させた。収量: 16.25gの透明の黄色の油(7.18mmol N/gのアミン含有率および20℃で3.4Pa・sの粘度を有する)。
IR: 3358br (OH)、2928、2865、2716sh、1943br、1663 (C=N)、1467、1459、1391、1358、1285、1238、1123、1044、1003sh、940sh、924sh、890、815、785、770。
【0226】
(比較例5)
アルジミンA-5
窒素雰囲気下の丸底フラスコに、最初に74.3g(0.26mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを装入した。激しく撹拌しながら、30.0g(0.25mol N)のポリエーテルジアミン(約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン; Jeffamine(登録商標)D-230、Huntsman;アミン含有率8.29mmol N/g)を、加熱した滴下漏斗からゆっくりと一滴ずつ添加し、この過程でこの混合物は加熱されだんだんと曇った。その後、揮発性成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。収量: 99.5gの透明の淡黄色の油(2.50mmol N/gのアミン含有率を有する)。
【0227】
4. 硬化性組成物の調製
(実施例6から9)ならびに(比較例10および11)
2Kポッティング組成物
各実施例について、table 1(表1)による成分K2の特定の成分を、先に乾燥せずに、ねじぶた付きポリプロピレン製ビーカーに指定の重量部で計り入れ、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標) DAC 150、FlackTek Inc.; 3000rpmで2分)を用いて混合して均一なクリームを得た。成分K1としてtable 1(表1)に指定のPMDIの重量部をこれに添加し、混合した(3000rpmで30秒)。成分K1のイソシアネート基および成分K2の反応基(ヒドロキシル基およびアルジミノ基)の合計の間の比は常に1.1である。
【0228】
【表1】
【0229】
こうして得られたポッティング組成物を、硬化速度、機械的性質および気泡形成について試験した。
【0230】
硬化速度の目安を最初に不粘着時間の特定によって得た。この目的を達成するために、組成物の少量部分を、混合直後に、約2mmの層厚さで板紙に塗布し、標準の気候条件下で(23±1℃、相対空気湿度50±5%)、組成物の表面をLDPE製ピペットで軽くたたいて、ピペットに残渣がもはや残らなくなる最初の時間を測定した。第2に、DIN 53505によるショアD硬度を定期的に測定することによって、後期硬化をモニターした。
【0231】
機械的性質を試験するために、ポッティング組成物を平面的なPTFE型中に約2mmの層厚さの塗膜として流し込み、この塗膜を標準の気候条件下で7日間硬化し、引っ張り強さ、破断時の伸びおよび弾性係数についてDIN EN 53504によって試験した(0.5 - 3.0%の伸長、けん引速度: 10mm/分)。
【0232】
標準の気候条件下での2mmの層厚さの塗膜の硬化の過程で生ずる気泡の量を参照して、気泡形成を定性的に評価した。
【0233】
これらの試験の結果はtable 2(表2)に挙げられている。
【0234】
【表2】
【0235】
(実施例12から14)
半構造2K接着剤
各実施例について、table 3(表3)による成分K2の特定の成分を、先に乾燥してから、ねじぶた付きポリプロピレン製ビーカーに指定の重量部で計り入れ、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標) DAC 150、FlackTek Inc.; 3000rpmで2分)を用いて混合して均一なクリームを得た。成分K1としてtable 3(表3)に指定のPMDIの重量部をこれに添加し、混合(3000rpmで30秒)した。成分K1のイソシアネート基および成分K2の反応基(ヒドロキシル基およびアルジミノ基)の合計の間の比は常に1.1である。
【0236】
【表3】
【0237】
こうして得られた接着剤を、実施例6に記載されたように硬化速度、機械的性質および気泡形成について試験した。試験の結果はtable 4(表4)に挙げられている。
【0238】
【表4】
【0239】
(実施例15および16)
弾性2成分コーティング(例えば床仕上げ材)
各実施例について、table 5(表5)による成分K1の特定の成分を、先に乾燥せずに、ポリプロピレン製カートリッジに指定の重量部で計り入れ、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標) DAC 150、FlackTek Inc.; 2500rpmで30秒)を用いて混合した。成分K2としてtable 4(表4)に指定のアルジミンの重量部をこれに添加し、混合(2500rpmで30秒)した。成分K1のイソシアネート基および成分K2の反応基(ヒドロキシル基およびアルジミノ基)の合計の間の比は常に1.1である。
【0240】
ポリウレタンポリマー1を以下の通り調製した。
【0241】
1060gのポリオキシプロピレンジオール(Desmophen(登録商標) 1111 BD、Bayer; OH価 111.4mg KOH/g)、650gのポリオキシプロピレンジオール(Desmophen(登録商標) 2061 BD、Bayer; OH価 56.1 mg KOH/g)、770 gのイソホロンジイソシアネート(Vestanat(登録商標) IPDI、Degussa)および0.25gのジブチル錫ジラウレートを、80℃で反応させて、6.80重量%の遊離イソシアネート基の含有率を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0242】
【表5】
【0243】
こうして得られたコーティングを、実施例6に記載されたように、不粘着時間、硬化後の機械的性質および気泡形成について試験した。さらに、硬化塗膜から10cmの距離において鼻で嗅ぐことによって、臭気形成を定性的に評価した。
【0244】
これらの試験の結果はtable 6(表6)に挙げられている。
【0245】
【表6】