特許第5661113号(P5661113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

特許5661113ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置
<>
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000002
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000003
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000004
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000005
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000006
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000007
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000008
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000009
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000010
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000011
  • 特許5661113-ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661113
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】ウエハバイアス電位を測定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   H01L21/302 103
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-525242(P2012-525242)
(86)(22)【出願日】2010年8月18日
(65)【公表番号】特表2013-502718(P2013-502718A)
(43)【公表日】2013年1月24日
(86)【国際出願番号】IB2010053735
(87)【国際公開番号】WO2011021160
(87)【国際公開日】20110224
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】12/545,293
(32)【優先日】2009年8月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクラチェフ・コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】バルコア・ジョン
【審査官】 溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−270577(JP,A)
【文献】 特開2001−338917(JP,A)
【文献】 特開2005−310945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ形成領域およびホットエッジリングを有するウエハ処理チャンバで用いる装置であって、前記ホットエッジリングは第1の表面および第2の表面を有し、前記第1の表面は前記プラズマ形成領域と接触し、前記第2の表面は前記プラズマ形成領域と接触せず、
前記装置は、前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう動作可能な検出器を備え、
前記検出器は、前記ホットエッジリングのパラメータを検出し、前記検出されたパラメータに基づいて検出信号を供給するよう動作可能である、装置であって、
さらに、
前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう動作可能な結合リングを備え、前記結合リングは内部に空洞を有し、前記空洞は前記ホットエッジリングの前記第2の表面と対向する開口部を有し、
前記検出器は、前記空洞内に配置され、前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう構成される、装置。
【請求項2】
請求項に記載の装置であって、さらに、
前記検出信号に基づいて出力信号を供給するよう動作可能な出力部と、
前記検出器および前記出力部の間に直列に配置された抵抗器と、
を備える、装置。
【請求項3】
請求項に記載の装置であって、さらに、前記抵抗器と接触して配置されたヒートシンクを備える、装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置であって、前記ヒートシンクは石英を含む、装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の装置であって、前記検出器はインジウムを含む、装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の装置であって、
前記検出器は、付勢部およびコンタクト部を備え、
前記付勢部は、前記コンタクト部と前記ホットエッジリングの前記第2の表面との接触を維持するために、前記コンタクト部に対して付勢力を提供するよう動作可能である、装置。
【請求項7】
請求項に記載の装置であって、前記付勢部はコイルバネを含む、装置。
【請求項8】
装置に設けられており、プラズマ形成領域およびホットエッジリングを有するウエハ処理チャンバ内でウエハ電位を測定するための方法であって、前記ホットエッジリングは第1の表 面および第2の表面を有し、前記第1の表面は前記プラズマ形成領域と接触し、前記第2の表面は前記プラズマ形成領域と接触せず、
前記装置は、前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう動作可能な結合リングを備え、前記結合リングは内部に空洞を有し、前記空洞は前記ホットエッジリングの前記第2の表面と対向する開口部を有し、
前記装置は、さらに、前記空洞内に配置され、前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触する検出器、を備え、
前記方法は、
前記ホットエッジリングの前記第2の表面を前記検出器と接触させる工程と、
前記検出器で前記ホットエッジリングのパラメータを検出する工程と、
前記検出されたパラメータに基づいて検出信号を供給する工程と、
前記検出信号に基づいてウエハ電位を測定する工程と、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ処理チャンバに関し、特に、プラズマ処理中にウエハのDCバイアス電位を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のウエハ処理システムでは、静電チャック(ESC)によって提供される静電引力で下側電極台座にウエハを固定するのが一般的である。静電チャックは、一般に、台座の上面に配置された2つの絶縁薄膜の間に導電薄膜を提供することによって実装される。半導体ウエハは、ESCに固定されると、処理されてよい。
【0003】
半導体集積回路の従来の生産においては、プラズマを用いて、エッチング、化学蒸着、または、ウエハのスパッタリングのための処理ガスのイオン化を促進する。従来の容量プラズマ処理システムでは、圧力制御された処理チャンバ内に、上側および下側電極(例えば、大面積の平行板)が、互いに対向して設けられる。
【0004】
このプラズマ処理システムでは、チャンバの上部または上側部分に配置された電極は接地電位に接続され、チャンバの下部または下側部分の電極には高周波電圧が印加される。下側電極は、台座としても機能する。上側および下側電極の間の放電によって、処理ガスがプラズマに変換される。
【0005】
強い電場領域が、電極とプラズマとの間に生成される。これらの強い電場領域は、プラズマシースと呼ばれる。強い電場領域は、電極からプラズマに向かって、および、プラズマから電極に向かって、電子およびイオンを加速させる。
【0006】
プラズマ中の電子およびイオンは、電場の力によって台座上にある半導体ウエハに引きつけられる。イオンは、半導体表面と反応する。
【0007】
従来のプラズマ処理装置では、コンデンサによって下側電極に高周波数電圧が印加され、その結果として、台座上に配置されたウエハにも高周波電圧が印加される。この構成は、台座およびウエハ上で実質的に負のDC電位を生成する。負のDC電位は、一般にDCバイアス電位と呼ばれる。
【0008】
高周波電圧が正である半周期中には、プラズマ内の負に帯電した電子がウエハに引きつけられ、高周波電圧が負である他方の半周期中には、プラズマ内の正に帯電した電子がウエハに引きつけられる。
【0009】
電子は、イオンよりも重さが軽いため、イオンよりも容易にウエハに向かって移動される。結果として、イオンよりも多くの電子がウエハに引きつけられるため、ウエハは負に帯電する。したがって、ウエハには、実質的に負のDCバイアス電位が発生する。
【0010】
DCバイアス電位は、ウエハに与えられるイオンのエネルギを増大させ、その結果として、ウエハ処理システムの有効性を変化させる。400Vから500Vの範囲の過度に大きいバイアス電圧は、ウエハの表面上の酸化膜を損傷しうる。したがって、ウエハ処理システムでは、ウエハのDCバイアス電位すなわちウエハ電位を監視および制御できることが重要である。ウエハ電位の直接測定は非常に困難である。ウエハの周りの苛酷な環境にプローブが耐えられないため、ウエハ電位の直接測定のためにウエハにプローブを取り付けたり接続したりすることは実質的に不可能である。
【0011】
半導体処理システム内でウエハ電位を推定するために、いくつかの従来の方法が開発された。これら従来の方法は、ウエハ電位の推定を行うことができるが、各方法には、精度、寿命、メンテナンス、構成、および/または、誤差の可能性に関する課題がある。
【0012】
ウエハ電位を推定するための従来の方法の一つは、プラズマ処理システムのチャンバ壁内部に配置されたプローブを用いる。ここで、かかる従来の方法について、図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、従来のウエハ処理システム100の一例を示す。図に示すように、ウエハ処理システム100は、通信チャネル104、ユーザインターフェース106、2MHzRF発生器110、27MHzRF発生器112、60MHzRF発生器114、インピーダンス整合回路116、ESC118、ESCベースプレート120、ウエハ処理チャンバ122、セラミック結合リング126、ホットエッジリング(HER)128、電圧測定器130、および、プローブ132を備える。
【0014】
ウエハ102は、ESC118上に載置され、静電引力によってESC118にクランプされる。HER128は、ESC118を取り囲み、一様なエッチング速度を提供し、ウエハ102のエッジ付近でのエッチング速度ドリフトを低減する。セラミック結合リング126は、ESC118を取り囲み、HER128の下に配置される。ESCベースプレート120は、ESC118およびセラミック結合リング126の下に配置される。
【0015】
インピーダンス整合回路116は、2MHzRF発生器110、27MHzRF発生器112、および、60MHzRF発生器114から駆動信号を受信し、適切なRF信号124をESCベースプレート120に供給する。インピーダンス整合回路116は、そのインピーダンスが、ウエハ処理チャンバ122のインピーダンスの複素共役であるように構成されており、したがって、反射エネルギが最小化され、2MHzRF発生器110、27MHzRF発生器112、および、60MHzRF発生器によって供給された信号のウエハ処理チャンバ122へのRFエネルギ伝達の最大化が可能になる。
【0016】
RF信号124によって供給されたRFエネルギの結果として、プラズマ108がウエハ102の上で生成される。プラズマ108は、正に帯電したイオンをウエハ102に衝突させることによって、ウエハ102を変換すなわち処理するために用いられる。プラズマ108と、ウエハ102、HER128との間には、プラズマシース136が位置する。正に帯電したイオンは、プラズマ108と、ウエハ102、HER128との間に存在する強力な電場領域により、プラズマシース136を横切って推進される。
【0017】
ウエハ処理チャンバ122の状態に関する情報が、通信チャネル104によってユーザインターフェース106へ通信される。さらに、ユーザ(図示せず)は、ユーザインターフェース106および通信チャネル104を介して、2MHzRF発生器110、27MHzRF発生器112、および、60MHzRF発生器114を制御することができる。
【0018】
プローブ132は、導電材料から製造され、ウエハ処理チャンバ122の側面に取り付けられる。導電体134が、プローブ132に取り付けられ、ウエハ処理チャンバ122を出て、電圧測定器130に接続している。電圧測定器130は、AC(ピークトゥピーク)電圧またはDC(バイアスレベル)電圧を測定できる。
【0019】
電圧測定器130は、ウエハ102の電位を測定する。
【0020】
従来のウエハ処理システム100では、プローブ132は、ウエハ102ともプラズマシース136とも直接接触せず、電圧測定器130に提供されるウエハ102の電位の測定値に誤差が生じやすい。さらに、多周波駆動プラズマを用いるウエハ処理システム100の構成については、ウエハ102に対する推定電位の誤差は、特に、複雑な負荷変化(complex load transitions)が起きた際に顕著である。このウエハ処理方法は、ウエハ102の推定電位に生じる複雑な負荷変化による誤差の結果として、較正および構成が困難である場合がある。
【0021】
ウエハ電位を推定するための別の従来の方法は、ウエハと接触させてESCの周囲に電極を提供することによる方法である。電極は、一般に、炭化ケイ素プローブで構成される。残念ながら、これらの電極を用いると、電極がプラズマによって腐食されるため、処理チャンバ内部に汚染物質が生じる。この汚染は、プラズマエッチング速度を減少させることによってプラズマの効果に悪影響を及ぼす。さらに、電極は消耗品であり、頻繁な交換が必要なため、かなりの時間、労力、および、コストを必要とする。
【0022】
図2は、従来のウエハ処理システム200の一例を示す。ウエハ処理システム200は、図1のウエハ処理システム100と共通の要素をいくつか含む。ただし、ウエハ処理システム100のプローブ132および導電体134は、ウエハ処理システム200のプローブ202および導電体204に置き換えられる。図2に示すように、プローブ202の上端は、ESCベースプレート120、ESC118、および、HER128を貫通して設けられた空洞206を通してウエハ102の下面と接触する。プローブ202の下端は、導電体204に接続する。導電体204は、電圧測定器130と接続する。
【0023】
プローブ202は、一般に、炭化ケイ素ピンで構成される。ウエハ102の電位は、プローブ202によって検出され、電圧測定器130に転送される。次いで、電圧測定器130は、ウエハ102のAC(ピークトゥピーク)電圧またはDC(バイアスレベル)電圧を測定できる。
【0024】
ウエハ処理システム200は、ウエハ102の電位の正確な測定を可能にするが、ウエハ処理中にプローブ202が消費されることから処理チャンバ内に汚染物質が導入される。これらの汚染物質は、プラズマエッチング速度を減少させることによってプラズマの効果に悪影響を及ぼす。さらに、電極は消耗品であり、頻繁な交換が必要なため、かなりの時間、労力、および、コストを必要とする。
【0025】
ウエハ電位を測定するための別の従来の方法は、静電チャック電極に印加されたDC電圧を変化させ、ウエハおよび静電チャック電極の間のリーク電流を測定することによって実行される。次いで、測定されたリーク電流は、ウエハ電位を推定するために用いられる。
【0026】
ウエハ電位を推定するためのリーク電流測定法は、有効なウエハ処理システムを提供するが、リーク電流の大きさに大きく依存する。リーク電流の大きさは、プラズマ処理システムの構成に依存して大幅に変化しうる。したがって、ウエハ電位を推定するためのESCリーク電流検出方法は、較正および構成のためにかなりの時間、労力、および、コストを必要とする。
【0027】
残念ながら、ウエハ電位を測定するための従来の方法は、不正確であり、寿命が短く、誤差が生じる傾向にあり、メンテナンスおよび構成にかなりの労力を必要とする。正確で、寿命が長く、誤差が生じにくく、メンテナンスおよび構成に大きい労力を必要としないウエハ電位測定方法が求められている。
【発明の概要】
【0028】
本発明の課題は、正確で、寿命が長く、誤差が生じにくく、メンテナンスおよび構成が容易な、プラズマ処理システム内に配置されるウエハ電位測定装置を提供することである。
【0029】
本発明の一態様は、プラズマ形成領域およびホットエッジリングを有するウエハ処理チャンバ内で用いる装置を含む。ホットエッジリングは、第1の表面と第2の表面とを有する。第1の表面は、プラズマ形成領域と接触する。第2の表面は、プラズマ形成領域と接触しない。装置は、ホットエッジリングの第2の表面と接触するよう動作可能な検出器を備える。検出器は、ホットエッジリングのパラメータを検出し、検出されたパラメータに基づいて検出信号を供給することができる。
【0030】
本発明のさらなる課題、利点、および、新規の特徴については、以下の記載において部分的に説明されており、以下を検討することで当業者にとって部分的に明らかになり、また、本発明の実施によって学習されうる。本発明の課題および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された手段および組み合わせによって達成および実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付の図面は、本発明の代表的な実施形態を図示しており、本明細書の記載と共に本発明の原理を説明するものである。
【0032】
図1】従来のウエハ処理システムの一例を示す図。
【0033】
図2】従来のウエハ処理システムの別の例を示す図。
【0034】
図3】本発明の一態様に従って、ウエハ処理システムの一例を示す図。
【0035】
図4図3の一部の断面図。
【0036】
図5】プローブによって測定されたプラズマ電位と、配線されたウエハによって測定されたウエハ電位とを比較したグラフ。
【0037】
図6】プローブによって測定されたプラズマ電位と、本発明の一態様に従ってHERを用いて測定されたウエハの電位とを比較したグラフ。
【0038】
図7】本発明の一態様に従って、信号検出器の一実施形態を示す図。
【0039】
図8】本発明の一態様に従って、信号検出器の別の実施形態を示す図。
【0040】
図9】本発明の一態様に従って、信号検出器の別の実施形態を示す図。
【0041】
図10A】本発明の一態様に従って、信号検出器の別の実施形態を示す図。
図10B】本発明の一態様に従って、信号検出器の別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の一態様によると、ウエハ処理システム内のウエハ電位を監視するためにプラズマシース電圧変換器としてHERが用いられる。したがって、本発明の一態様によると、電圧プローブは、図1および図2を参照して上述した従来のシステムのようにプラズマに暴露されることがない。
【0043】
ここで、本発明の態様について、図3図10Bを参照しつつ説明する。
【0044】
図3は、本発明の一態様に従って、ウエハ処理システム300の一例を示す。ウエハ処理システム300は、図2のウエハ処理システム200と共通の要素をいくつか含む。ただし、ウエハ処理システム300は、プローブ202および導電体204を備えない。ウエハ処理システム300は、さらに、信号コンディショナ310およびプロセッサ304を備える。さらに、ウエハ処理システム200のESCベースプレート120およびセラミック結合リング126は、ウエハ処理システム300では、ESCベースプレート312およびセラミック結合リング314に置き換えられている。
【0045】
ESCベースプレート312およびセラミック結合リング314は、電気信号308の生成および伝送を可能にする。電気信号308は、セラミック結合リング314を出て、ウエハ処理チャンバ122から信号コンディショナ310に伝送される。信号コンディショナ310は、DCバイアス電位306を供給するために電気信号308からのRF信号をフィルタリングするための回路を備えており、DCバイアス電位は、ウエハ102の電位を代表するものである。
【0046】
DCバイアス電位306は、プラズマツール処理の監視、処理終点の検出、および、重要な処理イベントの検出にとって有用である。DCバイアス電位306は、プロセッサ304に伝送される。プロセッサ304は、ウエハ102の適切な処理を確認するため、および、ウエハ処理チャンバ122内のエラー状態を監視するために、DCバイアス電位306を監視する。プロセッサ304は、ユーザが、ウエハ処理チャンバ122の動作を監視し、エラー状態が発生したか否かを判定することを可能にする。
【0047】
切り取り領域内に位置する本発明の一実施形態を詳述するために切り取り部分302が設けられており、図4を参照しつつ以下で説明する。
【0048】
図4は、図3に示した切り取り部分302の断面図である。HER128は、下面404および傾斜面408を有する。セラミック結合リング314は、上面406を有する。HER128の下面404は、セラミック結合リング314の上面406の上に載っている。傾斜面408は、HER128の内径に位置し、ウエハ処理中にプラズマに暴露される。ウエハ102は、ESC118上に配置され、HER128の傾斜面408に近接する。HER128の傾斜面408は、ウエハ102の位置決めを支援するため、および、ウエハ102のエッジ付近でプラズマ108の有益な形状を提供するために設けられている。
【0049】
図に示すように、ESCベースプレート312およびセラミック結合リング314内の空間402に、信号検出器400が配置されている。空間402からセラミック結合リング314の上面406に位置するホール410へ、ホール402が伸びている。信号検出器400は、ホール410を通してHER128と電気的に接触しており、電気信号308を生成する。したがって、HER128は、ウエハ電位を測定するためのプローブとして機能する。
【0050】
ウエハ電位を測定するためのプローブとしてHER128を用いる態様は:まず、プローブ202によって測定されたプラズマ電位が、配線されたウエハによって測定されたウエハ電位と線形的に相関することを示し;次いで、プラズマ電位を測定するためのプローブとして用いられているHER128が、プローブ202によって測定されたプラズマ電位と線形的に相関することを議論し;次いで、HER128をウエハ電位を測定するためのプローブとして利用できることを実験的に実証することによって最もよく説明される。
【0051】
図2に戻ると、プローブ202によって測定されたプラズマ電位が、配線されたウエハによって測定されたウエハ電位と線形的に相関すると判定された。
【0052】
図5は、プローブ202によって測定されたプラズマ電位と、配線されたウエハによって測定されたウエハ電位とを比較したグラフ500である。配線されたウエハによって測定されるウエハ電位については、プローブは、ウエハの上部または上面に接触して配置された。両方の測定について、プローブから得られた信号は、RF成分を除去するためにフィルタリングされた。RFフィルタの適用後の信号は、DC電圧のみを含んでいた。
【0053】
グラフ500において、x軸は時間(秒)であり、y軸は測定された電圧(ボルト)である。点線502は、プローブ202によって測定されたプラズマ電位に対応し、破線504は、配線されたウエハによって測定されたウエハ電位に対応する。
【0054】
グラフ500に示すように、点線502および破線504は、非常に類似している。点線502および破線504が示した同様の挙動に基づくと、プローブ202によるプラズマ電位の測定値はウエハ電位を正確に表していると判定される。
【0055】
図6は、プローブ202によって測定されたプラズマ電位と、本発明の一態様に従ってHER128を用いて測定されたウエハ102の電位とを比較したグラフ600である。
【0056】
グラフ600において、x軸は時間(秒)であり、y軸は測定された電圧(ボルト)である。点線602は、プローブ202によって測定されたプラズマ電位に対応し、破線604は、本発明の一態様に従ってHER128を用いて測定されたウエハ102の電位に対応する。
【0057】
グラフ600に示すように、点線602および破線604は、非常に類似している。点線602および破線604の類似性に基づくと、HER128によるウエハ102の電位の測定値は、プローブ202によって測定されたプラズマ電位を正確に表していると判定される。
【0058】
図5を参照して上述したように、プローブ202によるプラズマ電位の測定値は、ウエハ電位を正確に表している。さらに、図6を参照して上述したように、HER128によるウエハ102の電位の測定値は、プローブ202によって測定されたプラズマ電位を正確に表している。したがって、HER128によるウエハ102の電位の測定値は、ウエハ電位を正確に表している。
【0059】
図4に戻ると、HER128によって測定されたウエハ102の電位はウエハ電位を正確に示していると判定されたため、信号検出器400は、HER128の電位を測定することによって、ウエハ102の電位を決定する。
【0060】
ここで、信号検出器400の実施形態の例について、図7図10Bを参照しつつ説明する。
【0061】
図7は、本発明の一態様に従って、信号検出器400の一実施形態を示す。
【0062】
この実施形態において、信号検出器400は、電気コンタクト700を備えており、空洞702内に配置される。電気コンタクト700の上端は、HER128の下面404と接触して電気的に接続するように、ホール402に配置される。HER128の電位は、電気信号308によって信号検出器400へ搬送される。
【0063】
図8は、本発明の一態様に従って、信号検出器400の別の実施形態を示す。
【0064】
この実施形態において、信号検出器400は、電気コンタクト700、抵抗器800、および、電気コンタクト802を備えており、それらはすべて空洞804内に配置される。電気コンタクト700の下端は、抵抗器800と電気的に接続されている。抵抗器800は、さらに、電気コンタクト802の上端と電気的に接続される。HER128の電位は、電気信号308によって信号検出器400へ搬送される。
【0065】
図3をさらに参照すると、抵抗器800は、インピーダンス整合回路116およびウエハ処理チャンバ122の間のインピーダンス不整合から生じうるアーキングを防止する。特にシステム切り替え中に、インピーダンス整合回路116およびウエハ処理チャンバ122の間の疑似インピーダンス差動(spurious impedance differentials)を経験する可能性がある。これらのインピーダンス不整合の期間は、ウエハ処理チャンバ122内で望ましくない電気アーキングを引き起こしうる。抵抗器800は、インピーダンス整合回路116およびウエハ処理チャンバ122の間のインピーダンス差動の大きさを低減する。
【0066】
図9は、本発明の一態様に従って、信号検出器400の別の実施形態を示す。
【0067】
この実施形態において、信号検出器400は、電気コンタクト700、抵抗器800、電気コンタクト802、および、誘電スペーサ900を備えており、それらはすべて空洞902内に配置される。誘電スペーサ900は、抵抗器800に隣接して配置される。誘電スペーサ900は、抵抗器800から熱を引き出すためのヒートシンクとして機能する。誘電スペーサ900は、抵抗器800と比較すると、高いインピーダンスを提供するために低い値の誘電率を有することが好ましい。かかる比較的高いインピーダンスは、誘電スペーサ900を通る電気信号の伝送を最小化し、抵抗器800を通る電気信号の伝送を最大化する。低い値の誘電率および優れた熱伝導率の両方を示す材料の例としては、石英が挙げられるが、これに限定されない。
【0068】
図10Aおよび図10Bは、本発明の一態様に従って、信号検出器400の別の実施形態を示す。特に、図10Aは、HER128がセラミック結合リング314上に配置された時の信号検出器400の第1の状態を示しており、図10Bは、HER128がセラミック結合リング314から分離された時の信号検出器400の第2の状態を示している。
【0069】
この実施形態において、信号検出器400は、バネ荷重コンタクト1000、抵抗器800、電気コンタクト802、および、誘電スペーサ900を備えており、それらはすべて空洞1002内に配置される。バネ荷重コンタクト1000の上端は、HER128の下面404と接触して電気的に接続するように、ホール402に配置される。バネ荷重コンタクト1000の下端は、抵抗器800と電気的に接続されている。抵抗器800は、さらに、電気コンタクト802の上端と電気的に接続される。HER128の電位は、電気信号308によって信号検出器400へ搬送される。
【0070】
図10Aは、ウエハ処理システム300の動作期間top中の信号検出器400の動作を示す。動作期間top中に、HER128の下面404は、セラミック結合リング314の上面406の上に載っており、バネ荷重コンタクト1000を収縮させている。したがって、信号検出器400は、HER128からの信号を検出することができる。
【0071】
HER128は、動作寿命を有してよく、その間は、所定の許容可能な閾値パラメータ内で機能する可能性が高い。しかし、動作寿命後、HER128は、ウエハ処理システム300内のプラズマへの暴露による摩耗および断裂の結果として、所定の許容可能な閾値パラメータ内で機能しない場合がある。したがって、動作寿命後、HER128は、除去されて、新しいHERに交換される必要がありうる。HER128が除去される必要がある場合、HER128はセラミック結合リング314から持ち上げられてよい。これについては、図10Bを参照しつつ以下で詳述する。
【0072】
図10Bは、ウエハ処理システム300の非動作期間tnonop中の信号検出器400の配置を示す。非動作期間tnonop中には、ウエハ処理システム300がオフにされるため、信号検出器400はHER128からの信号を検出しない。HER128はセラミック結合リング314から持ち上げられてよく、その時、HER128の下面404がセラミック結合リング314の上面406から離されるため、バネ荷重コンタクト1000がHER128から切断される。
【0073】
図10Bに示すように、HER128がセラミック結合リング314から離される時、HER128は、空間1004が拡大し続け、バネ荷重コンタクト1000がホール402を通して伸びるように、セラミック結合リング314から離れるように継続的に持ち上げられる。ある時点で、バネ荷重コンタクト1000は、ホール402を通しての伸長を停止する。この後、HER128はセラミック結合リング314から離れるように持ち上げられ続けて、空間1004は拡大し続けるため、バネ荷重コンタクト1000は、HER128から切断される。この状態では、バネ荷重コンタクト1000は、HER128と接触せず、HER128からの電位のための電気路を提供しない。
【0074】
HER128が除去されると、新しいHERがHER128と置き換えられてよい。最初、バネ荷重コンタクト1000は、新しいHERと接触せず、新しいHERからの電位のための電気路を提供しない。新しいHERがセラミック結合リング314に向かって移動され続け、空間1004が縮小し続けると、最終的に、バネ荷重コンタクト1000は、新しいHERに接触する。新しいHERは、空間1004が縮小し続け、バネ荷重コンタクト1000が収縮してホール402内に入り込むように、セラミック結合リング314に向かって移動され続ける。新しいHERは、最終的に、新しいHERの下面がセラミック結合リング314の上面406の上に載るように、セラミック結合リング314上に配置される。この状況では、新しいHERの下面がバネ荷重コンタクト1000と接触したままになる。次いで、ウエハ処理システム300がオンにされてよく、信号検出器400は、新たに設置されたHERからの信号を検出しうる。
【0075】
図10Aおよび図10Bに示した実施形態の利点は、バネ荷重コンタクト1000の長さが、図7図9を参照して上述したコンタクトの長さほど正確でなくてもよいことである。特に、図7図9を参照して上述したコンタクトは、ホール402を通してHER128の下面404と接触するのに十分な長さでなければならない。ただし、図7図9を参照して上述したコンタクトは、HER128の下面404を損傷するほどは長くないことが好ましい。しかしながら、バネ荷重コンタクト1000の場合、バネ荷重コンタクト1000の長さが伸縮することにより、HER128の下面404を損傷することなく、HER128の下面404との接触を維持することができる。
【0076】
上述の実施形態において、HERのパラメータは、セラミック結合リング内に配置された検出器によってHERの下面と接触することによって検出される。他の実施形態では、検出器は、セラミック結合リング内に配置されないが、プラズマ形成領域に露出されることなく、HERのパラメータを検出するよう配置される。かかる実施形態は、検出器がHER内に配置され、プラズマ形成領域に露出されない実施形態を含むが、これに限定されない。
【0077】
本発明の一態様によると、ウエハ処理システム内のウエハ電位を検出するための検出システムの一部としてHERが用いられる。したがって、本発明の一態様によると、プラズマに暴露されるプローブが必要なくなるため、動作およびメンテナンスコストが低減される。
【0078】
本発明の様々な好ましい実施形態に関するこれまでの記載は、説明を目的としたものである。つまり、本発明を網羅するものでも、開示された正確な形態に本発明を限定するものでもなく、上述の教示に基づき、多くの変形例および変更例が可能であることは明らかである。上述した代表的な実施形態は、本発明の原理および実際の応用を最も良く説明することで、当業者が、様々な実施形態、および、想定される特定の利用に適した様々な変形例で、本発明を最適に利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。

[適用例1]
プラズマ形成領域およびホットエッジリングを有するウエハ処理チャンバで用いる装置であって、前記ホットエッジリングは第1の表面および第2の表面を有し、前記第1の表面は前記プラズマ形成領域と接触し、前記第2の表面は前記プラズマ形成領域と接触せず、
前記装置は、前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう動作可能な検出器を備え、
前記検出器は、前記ホットエッジリングのパラメータを検出し、前記検出されたパラメータに基づいて検出信号を供給するよう動作可能である、装置。

[適用例2]
適用例1の装置であって、さらに、
前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう動作可能な結合リングを備え、前記結合リングは内部に空洞を有し、前記空洞は前記ホットエッジリングの前記第2の表面と対向する開口部を有し、
前記検出器は、前記空洞内に配置され、前記ホットエッジリングの前記第2の表面と接触するよう構成される、装置。

[適用例3]
適用例1の装置であって、さらに、
前記検出信号に基づいて出力信号を供給するよう動作可能な出力部と、
前記検出器および前記出力部の間に直列に配置された抵抗器と、
を備える、装置。

[適用例4]
適用例3の装置であって、さらに、前記抵抗器と接触して配置されたヒートシンクを備える、装置。

[適用例5]
適用例4の装置であって、前記ヒートシンクは石英を含む、装置。

[適用例6]
適用例1の装置であって、前記検出器はインジウムを含む、装置。

[適用例7]
適用例1の装置であって、
前記検出器は、付勢部およびコンタクト部を備え、
前記付勢部は、前記コンタクト部と前記ホットエッジリングの前記第2の表面との接触を維持するために、前記コンタクト部に対して付勢力を提供するよう動作可能である、装置。

[適用例8]
適用例7の装置であって、前記付勢部はコイルバネを含む、装置。

[適用例9]
プラズマ形成領域およびホットエッジリングを有するウエハ処理チャンバ内でウエハ電位を測定するための方法であって、前記ホットエッジリングは第1の表面および第2の表面を有し、前記第1の表面は前記プラズマ形成領域と接触し、前記第2の表面は前記プラズマ形成領域と接触せず、
前記方法は、
前記ホットエッジリングの前記第2の表面を検出器と接触させる工程と、
前記検出器で前記ホットエッジリングのパラメータを検出する工程と、
前記検出されたパラメータに基づいて検出信号を供給する工程と、
前記検出信号に基づいてウエハ電位を測定する工程と、を備える、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B