(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0014】
[第1実施形態]
(1.形状測定装置)
本実施形態の形状測定装置1000は、
図1に示すように、制御装置1100と、操作部1200と、ホストシステム1300と、装置本体部1400と、を備えて構成されている。
【0015】
制御装置1100は、装置本体部1400を駆動制御すると共に、装置本体部1400から必要な測定座標値等を取り込む。
操作部1200は、ユーザが、制御装置1100を介して装置本体部1400を手動操作するのに使用される。
ホストシステム1300は、制御装置1100での測定手順を指示するパートプログラムを編集・実行すると共に、制御装置1100を介して取り込まれた測定座標値等に幾何形状を当てはめるための計算を行ったり、パートプログラムを記録・送信する機能を備えている。
装置本体部1400は、除振台上に載置された定盤を有し、当該定盤上をXYZ方向に駆動する光学プローブP等を備えている。
【0016】
(2.光学プローブ)
光学プローブPは、ワークの表面を非接触に走査してワークの表面形状を測定する。
光学プローブPは、シャインプルーフの原理を利用して測定を行うものであり、撮像部100の撮像素子110(後述)の撮像面上全体が合焦状態となっている。
光学プローブPは、
図2に示すように、筐体1内に、制御部10と、光照射部20と、撮像部100と、等を備えて構成されている。
【0017】
(2−1.制御部)
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Member)(何れも図示省略)等を備えて構成され、光照射部20及び撮像部100の動きの統括制御を行っている。例えば、制御部10は、光照射部20からの照射光の光量を調整したり、撮像部100からの出力信号を用いてワークの形状を算出する等の制御を行っている。
【0018】
(2−2.光照射部)
光照射部20は、光源21、コリメータレンズ22、ロッドレンズ23等を備えて構成され、ワークに対して直線状の光を照射する。
光源21は、所定波長のレーザ光を発生し、コリメータレンズ22に向けて光を出射する。
コリメータレンズ22は、光源21からのレーザ光を平行光として、ロッドレンズ23に向けて照射する。
ロッドレンズ23は、円柱形状を成し、コリメータレンズ22からの平行光をその円柱側面に入射させて当該平行光を直線状の光に変換し、ワークに向けて直線状の光を出射する光学手段である。なお、ロッドレンズ23の代わりにシリンドリカルレンズを用いることも可能である。
光照射部20からワークに直線状のレーザ光を照射すると、ワークの表面の凹凸形状に沿ってレーザ光の反射光が変形し、ワークをある平面で切断したときの輪郭が照らし出されることとなる。
【0019】
(2−3.撮像部)
撮像部100は、光照射部20からワークに対して照射された光の照射方向に対して、所定の角度を成す方向に配置され、ワーク表面の形状に沿って反射された光を当該所定の角度から受光する。
撮像部100は、所定の角度でワークを撮像するので、
図3に示すように、ワークの表面形状に沿ったレーザ光の反射光の画像が撮像されることとなる。
【0020】
ここで、光学プローブPはシャインプルーフの原理を利用して測定が行われるため、高精度の測定を実現するには撮像部100の各部材の正確な位置決めが不可欠である。
このため、本実施形態の撮像部100は、第1に、撮像素子110の撮像面が光源21の光照射面に対して成す角度、第2に、撮像素子110の撮像面上のワークの測定位置、第3に、撮像部100の結像レンズ121(後述)の光軸方向の位置、の3点の調整が可能な構成を具備したものである。
【0021】
以下、本実施形態における撮像部100の構成について、詳細に説明する。
撮像部100は、
図4、5に示すように、撮像素子110と、結像レンズ121が装着されたレンズ鏡筒120と、撮像素子110及びレンズ鏡筒120を保持する保持部材130と、を備えている。
【0022】
撮像素子110は、結像レンズ121を介してワークの画像を撮像するCMOSイメージセンサ(図示省略)を備えている。撮像素子110は矩形状を成し、保持部材130のフレーム132(後述)上に取り付けられている。
【0023】
レンズ鏡筒120は、その内部に結像レンズ121を備えている。結像レンズ121は、ワークからの反射光を撮像素子110の撮像面に対して結像させる。
このレンズ鏡筒120は、保持部材130のレンズホルダ131の筒状部1311(後述)に内接するよう備えられ、調整ネジ1313の操作に応じて、筒状部1311の内部を結像レンズ121の光軸方向に沿った方向に摺動可能となっている。
【0024】
保持部材130は、撮像素子110及びレンズ鏡筒120の間に配され、これらレンズ鏡筒120及び撮像素子110を保持している。
この保持部材130は、レンズホルダ131と、フレーム132と、調整部材133と、を備えて構成されている。
【0025】
レンズホルダ131は、
図6に示すように、レンズ鏡筒120を保持する筒状部1311と、筒状部1311の一端部において筒状部1311の外面より外側に突出した上鍔部1312と、を備えている。
このうち筒状部1311は、その内部にレンズ鏡筒120を保持し、筒状部1311の外面から突出した調整ネジ1313を作業者が操作することで、レンズ鏡筒120を結像レンズ121の光軸方向に沿った方向に可動させることができるようになっている。
このように、レンズホルダ131は、結像レンズ121を光軸方向に移動させて、当該結像レンズ121の光軸方向の位置を調整する第3調整手段として機能している。
また、上鍔部1312の側面には、調整部材133を当該上鍔部1312に軸着させるための2つの軸穴1314が形成されている。
【0026】
フレーム132は、その上面に撮像素子110を搭載する平面視コの字形状の板状部材である。
フレーム132には、
図7に示すように、矩形状の撮像素子110の角部が4本の固定ネジ1321によって取り付けられている。
フレーム132は、撮像素子110が取り付けられた状態において、その前端部1322が撮像素子110の下側から延出する大きさに形成されており、この撮像素子110より前側に延出した前端部1322は、調整部材133に取り付けられるようになっている。
【0027】
調整部材133は、
図8に示すように、フレーム132の前端部1322が搭載されてネジ留めされるフレーム保持部1331と、フレーム保持部1331の左右両側端より下後方に延出した左右2つのレンズホルダ保持部1332と、を備えて構成される。
フレーム保持部1331の上面には、ネジ穴1333が形成され、フレーム132の前端部1322が2本の固定ネジ1334により取り付けられている。
このとき、ネジ穴1333における固定ネジ1334の位置を調整することで、フレーム132ひいては撮像素子110の調整部材133に対する前後方向の位置が変更可能である。よって、撮像素子110の撮像面におけるワークの上下左右の測定位置や傾きを変更することができるようになっている。
このように、フレーム132及び調整部材133は、撮像素子110の撮像面が光源21の光照射面に対して成す角度が一定の状態において、撮像素子110の撮像面上の測定位置を調整する第2調整手段として機能している。
【0028】
また、左右2つのレンズホルダ保持部1332の内側には、レンズホルダ131の上鍔部1312が配置され、左右のレンズホルダ保持部1332の後端部が、それぞれレンズホルダ131の上鍔部1312の側面に、固定ネジ1335によって取り付けられる。
これにより、調整部材133は、左右の固定ネジ1335を結んだ仮想線Kを回動軸として、レンズホルダ131に対して回動可能となっている。従って、調整部材133を回動させることで、撮像素子110の撮像面が、光照射部20の光照射面に対して成す角度を可変とすることが可能となる。
これにより、レンズホルダ131と、フレーム132と、調整部材133とは、撮像素子110の撮像面が光源21の光照射面に対して成す角度を調整する第1調整手段として機能している。
また、調整部材133においては、調整後の固定時に、撮像素子110やレンズ鏡筒120に応力が掛かりすぎるのを防止するため、応力軽減スリット1336が設けられている。
【0029】
(2−4.撮像部の調整)
上記のように、本実施形態の撮像素子110は、調整部材133がレンズホルダ131に対して回動することで、撮像素子110の撮像面が光源21の光照射面に対して成す角度を調整可能である。このため、撮像素子110の撮像面が、光源21の光照射面に対してシャインプルーフの条件を満たす位置となるように、簡単に調整することができる。
また、撮像素子110は、フレーム132及び調整部材133により前後左右に水平移動したり、撮像面を同一平面内に維持したまま回転移動可能である。このため、撮像素子110に写るワークの位置や傾きが適切なものとなるように調整することができる。
また、結像レンズ121は、レンズ鏡筒120がレンズホルダ131の筒状部1311を摺動することによって当該結像レンズ121の光軸方向に移動可能に構成されている。このため、焦点位置を好適な位置に調整することができる。
【0030】
具体的に、撮像部100の調整は、例えば、以下の手順によって行われる。
先ず、調整部材133を、左右の固定ネジ1335を結んだ仮想線Kを回動軸として、レンズホルダ131に対して回動させて、撮像素子110の撮像面が光源21の光照射面に対して成す角度を調整する。
次に、ネジ穴1333における固定ネジ1334の位置を調整することで、フレーム132ひいては撮像素子110の調整部材133に対する位置を調整する。即ち、撮像素子110を同一面内で前後左右に移動及び/又は回転移動させて、撮像素子110の位置を調整する。
次に、レンズ鏡筒120を結像レンズ121の光軸方向に移動させ、焦点位置を調整する。その後、必要に応じて微調整を行い、撮像部100の位置決めが終了する。
その後、位置決めが行われた撮像部100は、光学プローブPにおいて固定される。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、第1調整手段により、撮像素子110の撮像面がシャインプルーフの条件を満たす位置となるように高精度に調整することができる。
また、第2調整手段により、撮像素子110の撮像面上の測定位置(ワークの上下左右の位置及び傾き)の調整を行うことができる。
また、第3調整手段により、結像レンズ121の焦点位置の調整を行うことができる。
よって、光学プローブPにおける撮像素子110の位置決め精度が向上し、組み立て工程・調整工程の工数を低減することができる。
また、上記第1調整手段から第3調整手段までの調整は、直感的に行うことができるため、作業効率を向上させることができる。
また、上記第1調整手段から第3調整手段は装置構成が単純であるため、これら調整手段を備えた形状測定装置1000は簡易的に作製することができる。
【0032】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態における形状測定装置(図示省略)は、撮像部以外の構成は上記第1実施形態と同様であるため、撮像部の構成を中心に説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0033】
本実施形態の撮像部200は、
図9、10に示すように、撮像素子110と、結像レンズ121が装着されたレンズ鏡筒120と、レンズ鏡筒120を保持する保持部材230と、を備えている。
【0034】
撮像素子110は、保持部材230の上面側ベース232(後述)の上部に設置されている。撮像素子110は、上面側ベース232の上部を同一面内で前後左右に移動及び/又は回転移動させることで、撮像素子110の撮像面におけるワークの上下左右の位置や傾きを調整可能となっている。
【0035】
レンズ鏡筒120は、保持部材230のレンズホルダ231の筒状部2311(後述)に内接するよう備えられ、調整ネジ2313の操作に応じて、筒状部2311の内部を結像レンズ121の光軸方向に沿った方向に摺動可能となっている。
【0036】
保持部材230は、レンズホルダ231と、上面側ベース232と、下面側ベース233と、を備えている。
【0037】
レンズホルダ231は、
図11に示すように、レンズ鏡筒120を保持する筒状部2311と、筒状部2311の一端部において筒状部2311の外面より外側に突出した上鍔部2312と、を備えている。
筒状部2311は、その内部にレンズ鏡筒120を保持し、筒状部2311の外面から突出した調整ネジ2313を作業者が操作することで、レンズ鏡筒120を可動させることができるようになっている。
このように、レンズホルダ231は、結像レンズ121を光軸方向に移動させて、当該結像レンズ121の光軸方向の位置を調整する第3調整手段として機能している。
また、上鍔部2312の上面には、3つの半球状部材2314が等間隔に設置され、上鍔部2312の下面2315は、球面状に加工されている。
【0038】
上面側ベース232は、レンズホルダ231の筒状部2311と対向する位置に開口2321の形成された板状部材であって、レンズホルダ231の上面側に設置されている。
上面側ベース232には、開口2321の周囲に等間隔に、3つの調整ネジ2322が備えられている。3つの調整ネジ2322は、それぞれ、レンズホルダ231の半球状部材2314に対向するようになっている。
また、上面側ベース232には、4つのネジ穴2323が形成されている。
【0039】
下面側ベース233は、
図12に示すように、レンズホルダ231の筒状部2311を挿通させる穴部2331が形成されると共に、レンズホルダ231の上鍔部2312の球面状に加工された下面を支持する円錐状の支持面2332と、支持面2332の外周縁から立設した立設部2333と、を備え、レンズホルダ231の下面側に設置されている。
立設部2333には、4つのネジ穴2334が形成されており、上面側ベース232のネジ穴2323に取り付けられた4本の固定ネジ2335が、立設部2333のネジ穴2334まで差し込まれて、上面側ベース232及び下面側ベース233が固定されるようになっている。
そして、
図13に示すように、レンズホルダ231の上鍔部2312の球面状に加工された下面2315を、円錐状の支持面2332で支持していることにより、上面側ベース232に備えられた3つの調整ネジ2322を作業者が操作すると、レンズホルダ231の下面側ベース233に対する傾斜角度が変化し、撮像素子110の撮像面が光源21の光照射面に対して成す角度を調整可能となっている。
これにより、上面側ベース232と、レンズホルダ231と、下面側ベース233とは、第1調整手段として機能している。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得られるのは勿論のこと、上記第1実施形態のように積層型でないため、全体として装置を小型化することができる。
また、各部の調整(位置決め)後の剛性が高く、調整後の位置ずれが生じづらい。このため、経年変化の心配を低減することができる。
また、微調整が可能であって、高精度な位置決めを行うことができる。
【0041】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態における形状測定装置(図示省略)は、撮像部以外の構成は上記第1実施形態と同様であるため、撮像部の構成を中心に説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0042】
本実施形態の撮像部300は、
図14、15に示すように、撮像素子110と、結像レンズ121が装着されたレンズ鏡筒120と、レンズ鏡筒120を保持する保持部材と330、を備えている。
【0043】
撮像素子110は、保持部材330のレンズホルダ331(後述)の上部に設置されている。撮像素子110は、レンズホルダ331の上部を同一面内で前後左右に移動及び/又は回転移動させることで、撮像素子110の撮像面におけるワークの上下左右の位置や傾きを調整可能となっている。
【0044】
レンズ鏡筒120は、保持部材330のレンズホルダ331の筒状部3311(後述)に内接するよう備えられ、作業者の操作に応じて、筒状部3311の内部を結像レンズ121の光軸方向に沿った方向に摺動可能となっている。
【0045】
保持部材330は、レンズホルダ331と、プレート332と、フレーム333と、を備えている。
【0046】
レンズホルダ331は、レンズ鏡筒120を保持する筒状部3311と、筒状部3311の一端部において筒状部3311の外面より外側に突出した上鍔部3312と、を備えている。
筒状部3311は、その内部にレンズ鏡筒120を保持し、筒状部3311の外面から突出した調整ネジ(図示省略)を作業者が操作することで、レンズ鏡筒120を可動させることができるようになっている。
上鍔部3312の下面には、2つの下向きの半球状部材3313が設置されている。
また、上鍔部3312には、当該上鍔部3312を貫通する4つのネジ穴3314が形成されている。
【0047】
プレート332には、レンズホルダ331の筒状部3311を挿通させる穴部3321が形成された環状の板体である。
【0048】
フレーム333は、レンズホルダ331の筒状部3311を挿通させる穴部3331を備え、プレート332を介してレンズホルダ331の上鍔部3312を支持する。
また、フレーム333には、その上面に2つの上向きの半球状部材3332が設置されている。
2つの上向きの半球状部材3332は、2つの下向きの半球状部材3313と対向しない位置に設けられる。
フレーム333には、4つのネジ穴3333が形成されており、レンズホルダ331のネジ穴3314に取り付けられた4本の固定ネジ3334が、フレーム333のネジ穴3333まで差し込まれて、レンズホルダ331及びフレーム333が、間にプレート332を挟んで固定されるようになっている。このとき、固定ネジ3334は、その中間部が両端部より細くなっており、このため、プレート332は、レンズホルダ331及びフレーム333の間にその傾きを変化可能な状態で保持されている。
そして、レンズホルダ331が下向きの半球状部材3313を備え、フレーム333が上向きの半球状部材3332を備えることにより、固定ネジ3334を作業者が操作すると、これに応じて、レンズホルダ331のフレーム333に対する傾斜角度が変化することで、撮像素子110の撮像面が光源の光照射面に対して成す角度を変更可能である。
これにより、レンズホルダ331と、プレート332と、フレーム333とは第1調整手段として機能している。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得られるのは勿論のこと、調整する方向が分かりやすく、直感的に作業を行うことができる。
【0050】
なお、上記第3実施形態では、レンズホルダ331が下向きの半球状部材3313を備え、フレーム333が上向きの半球状部材3332を備える構成を例示して説明したが、
図16、17に示すように、下向きの半球状部材3313及び上向きの半球状部材3332を、プレート332の上面及び下面に備えることとしても良い。
かかる構成あっても、固定ネジ3334を作業者が操作すると、これに応じて、レンズホルダ331のフレーム333に対する傾斜角度が変化することで、撮像素子110の撮像面が光源の光照射面に対して成す角度を変更可能である。
以上の構成によれば、第3実施形態と同様の効果を得られるのは勿論のこと、上記第3実施形態と比較して、各部材を作りやすく、組み立てをより簡便にすることができる。例えば、レンズホルダ331やフレーム333における半球体の接着作業等が無くなるため、組み立て工程の低減を見込むことができる。