【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、給食センター等の昼食製造設備においては、複数の電力利用機器が用いられているが、これらの電力利用機器の使用時間帯が、調理や洗浄、消毒等の作業時間に集中するため、全体の電力消費に比べて最大需要電力が大きくなり、電力料金が高くなってしまうという問題があった。そこで、従来、電力利用機器のうち電気温水器は電気料金の低い深夜に稼働させ、消毒保管庫は電力消費の少ない夕方から夜間に稼働させるなどの対策を講じていたが、それ以外の機器は調理者や昼食消費者の都合に合わせた使われ方をしていたため、効率的な電力利用が行われていなかった。
特に学校給食センターでは、正午の給食提供のため、調理を行う午前中と、食器等の洗浄を行う午後の2回、電力のピークが現れ、電力デマンド値を大幅に上昇させている。また、洗浄機に供給される水は、貯湯タンクから供給されるお湯を一旦、水と配合し供給するが、一部の水はその後洗浄機内のヒータにて再度昇温されるなど無駄が多く、エネルギー管理が適切ではなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載されるシステムは、分散型電源の導入に対応したシステムであるが、各分散型電源の発電出力量や各需要設備の負荷量を全てモニタリングする必要があり、装置や制御が複雑化するという問題があった。
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、昼食製造設備に対応した電力ピークカット及び消費電力量の削減を可能とする昼食製造設備における電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る昼食製造設備における電力供給システムは、
複数の電力利用機器を有し、前記複数の電力利用機器のうち、配電線を介して供給される電力を用いて温水を生成する給湯装置が、ヒートポンプ回路を用いて加熱した温水を温水利用機器に供給するヒートポンプ給湯装置である昼食製造設備における電力供給システムであって、
前記昼食の調理と調理機器の洗浄とを行う午前中と、回収した食器の洗浄および消毒を行う午後から夕方の2つの電力ピークを有する昼食製造設備と、
複数の昼食消費設備に昼食を提供する充電可能な蓄電池が搭載された電気搬送車と、
ヒートポンプ給湯装置で製造された温水を利用する温水利用機器と、
ヒートポンプ給湯装置の稼働を制御する給湯制御装置と、太陽光発電装置3の電力供給を制御する第1の電力制御装置と、電力配送車の蓄電池からの電力供給を制御する第2の電力制御装置と、該電力配送車の蓄電池への充電を制御する充電制御装置とを備え、
前記昼食設備では、深夜に、給湯制御装置によってヒートポンプ給湯装置を稼働させて温水を生成し、
ヒートポンプ給湯装置による温水生成が終了してから調理開始前の8時前までの時間帯で充電制御装置によって電気配送車の充電を行い、
調理が開始される8時以降は、第1の電力制御装置によって太陽光発電装置からの電力を各電気利用機器に供給し、
前記充電が終了した電気配送車によって給食や食器を昼食消費施設へ配送
し、及び食器や食缶を回収して昼食設備に戻り
、午後から夕方に、前記第1の電力制御装置によって太陽光発電装置からの電力を各電気利用機器に供給
して、前記食器
及び食缶の洗浄、消毒作業を行うとともに、夕方の太陽光発電装置の発電量が低下する時間帯に、配送を終えた電気配送車の蓄電池の放電によって電力を付加することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、昼食製造設備における給湯設備にヒートポンプ給湯装置を用いているため、ヒータを用いる電気温水器を利用する場合に比べて大幅に消費電力を削減することができる。また、このヒートポンプ給湯装置は、給湯制御装置によって
22時から4時までの深夜に稼働するように制御されている。このように、消費電力の少ない夜間にヒートポンプ給湯装置を稼働させることによって、消費電力の大きい日中のピークカットが図れる。
さらに、昼食の調理や調理機器、食器の洗浄等により消費電力の大きい日中には、第1の電力制御装置によって、太陽光発電装置が発生させた電力を電力利用機器に供給するとともに、
夕方の太陽光発電装置の発電量が低下する時間帯に、第2の電力制御装置によって、電気配送車の蓄電池から電力利用機器に電力を供給するようにしているため、系統電源から消費する電力量を大幅に削減することができる。ここで、一般に、昼食や食器を配送する電気配送車は、配送エリアが決まっていることが多く、蓄電池の充電量を超えるような長距離走行は殆どないと考えられるため、余った充電電力を用いることは有効である。
なお、上記配電線は系統電源に接続されており、太陽光発電装置、電気配送車の蓄電池等の分散型電源は、例えば系統連係方式によって系統電源に連係される。
【0009】
上記昼食製造設備における電力供給システムは、前記電気配送車への充電を制御する充電制御装置をさらに備え、前記充電制御装置は、
ヒートポンプ給湯装置による温水生成が終了してから調理開始前の8時前までの時間帯で充電制御装置によって電気配送車の充電を行う。
このように、電気配送車への充電を制御する充電制御装置は、昼食の調理開始前に電気配送車の充電を行うようにしているため、電力消費が大きくなる昼食の調理時間帯の電力消費のピークカットが可能となる。
【0010】
上記昼食製造設備における電力供給システムにおいて、前記昼食の調理と調理機器の洗浄とを行う午前中には、前記第1の電力制御装置によって前記太陽光発電装置から前記電力利用機器に電力を供給するようにし、前記調理機器および回収した前記食器の洗浄および消毒を行う午後には、前記第1の電力制御装置によって前記太陽光発電装置から前記電力利用機器に電力を供給するとともに、前記第2の制御装置によって前記電気配送車の前記蓄電池から前記電力利用機器に電力を供給するようにしたことを特徴とするようにしてもよい。
【0011】
一般に、昼食製造設備においては、午前中に昼食の調理と調理機器の洗浄とを行い、午後に調理機器の洗浄および回収した食器の洗浄および消毒を行う。したがって、午前中と午後の両方に消費電力のピークがある。一方、太陽光発電装置は、午後、特に夕方には発電量が低減するという特性がある。そこで、本構成では、午前中は太陽光発電装置から電力利用機器に電力を供給するようにし、太陽光発電装置の発電量が落ちてくる午後、特に夕方には、太陽光発電装置と電気配送車の蓄電池との両方によって電力を供給するようしている。これにより消費電力のピークに対応した分散型電源による電力供給が可能となる。よって、設備が系統電源から消費する最大需要電力を低くすることが可能であり、延いては契約電力を下げることができ、電力コスト削減が図れる。
【0012】
上記昼食製造設備における電力供給システムは、前記給湯制御装置、前記第1の電力制御装置および前記第2の電力制御装置における電力供給量と、前記複数の電力利用機器における電力需要量とを管理する電力管理装置をさらに備え、前記電力管理装置には、天気、気温および季節の少なくともいずれかのデータから推定される前記電力供給量の推定トレンドと、気温、季節および献立の少なくともいずれかのデータから推定される前記電力需要量の推定トレンドとが入力されており、前記電力管理装置は、前記電力供給量の推定トレンドおよび前記電力需要量の推定トレンドに基づいて、前記複数の電力利用機器の各稼働時間帯をそれぞれ決定するようにしてもよい。
【0013】
太陽光発電装置は、天気、気温または季節によって、発電量が変化することが知られている。したがって、太陽光発電装置、電気配送車の蓄電池等を含む分散型電源全体から設備全体へ供給できる電力供給量は変動する。
一方、電力利用機器のうちヒートポンプ給湯装置または空調機器は、例えば外気温度が低いとより多くの消費電力が必要となるなど、気温または季節によって消費電力が変化する。また、電力利用機器のうち調理機器は、その日の献立によって使用する機器が異なるため、献立によって消費電力が変化する。このように、設備内の複数の電力利用機器の電力需要量(電力負荷量)は、気温、季節および献立の少なくともいずれかによって変動する。
そこで、給湯制御装置、第1の電力制御装置および第2の電力制御装置における電力供給量と、前記複数の電力利用機器における電力需要量とを統括的に管理する電力管理装置を備えるようにし、この電力管理装置によって、分散型電源による電力供給量の推定トレンドおよび電力利用機器による電力需要量の推定トレンドに基づいて、複数の電力利用機器の各稼働時間帯をそれぞれ決定することにより、電力利用機器による効率的な電力消費が可能となる。
【0014】
上記昼食製造設備における電力供給システムは、前記電気配送車とは別の電気自動車に搭載された蓄電池の放電によって、前記配電線を介して前記電力利用機器に供給される電力を制御する第3の電力制御装置をさらに備え、前記電力管理装置に入力される前記電力供給量の推定トレンドのうち、目標とする電力供給量が不足する時間帯に、前記第3の電力制御装置によって前記電気自動車の前記蓄電池から前記電力利用機器へ電力を供給するようにしてもよい。
【0015】
このように、設備の職員が使用する電気自動車等のように、電気配送車とは別の電気自動車に搭載された蓄電池を用いて、目標とする電力供給量が不足する時間帯にこの蓄電池から電力利用機器へ電力を供給することによって、系統電源からの電力消費を削減することができる。