特許第5662955号(P5662955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662955
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】受信装置、及び受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 11/00 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   H04J11/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-35405(P2012-35405)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-172328(P2013-172328A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増野 淳
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆利
(72)【発明者】
【氏名】大槻 知明
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/010867(WO,A1)
【文献】 特開2009−206945(JP,A)
【文献】 特開2013−172329(JP,A)
【文献】 大槻 知明 他,初期尤度マスクを用いた誤り率に基づく干渉波検出法,電子情報通信学会技術研究報告,2011年 8月18日,Vol.111, No.179,pp.45-49,RCS2011-119
【文献】 林 玄史 他,マルチキャリア重畳伝送における重畳率及び干渉波強度に対する残留電力に基づく干渉帯域検出確率評価,2012年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論文集1,2012年 8月28日,p.492,B-5-128
【文献】 林 玄史 他,マルチキャリア重畳伝送における残留電力に基づく干渉波検出 −干渉波強度検出−,2012年電子情報通信学会総合大会講演論文集1,2012年 3月 6日,通信1,p.546,B-5-147
【文献】 林 玄史 他,マルチキャリア重畳伝送における残留電力に基づく未知干渉波検出法,電子情報通信学会技術研究報告,2012年10月10日,Vol.112, No.239,pp.167-172,RCS2012-154
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
CiNii
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャリア重畳伝送方式を用いて送信された希望波と、前記希望波に干渉を与える干渉波とが重畳された信号を受信する受信装置であって、
受信した前記信号に含まれる一部のサブキャリアの信号を抑圧して出力する帯域抑圧器と、
前記帯域抑圧器から出力された信号を復号して受信ビット列を得る復号器と、
前記復号器が復号した受信ビット列に誤りが含まれるか否かを検出する誤り検出器と、
前記誤り検出器が前記受信ビット列から誤りを検出しなくなるまで、前記帯域抑圧器が信号を抑圧するサブキャリアを変更させる置換サブキャリア設定器と、
誤りが検出されない前記受信ビット列から受信レプリカ信号を生成し、前記受信した信号から前記受信レプリカ信号を減算して得られる誤差振幅に基づいて、前記希望波の周波数帯域において干渉波が存在する周波数帯域である干渉帯域を検出する干渉帯域検出部と
を具備し、
前記帯域抑圧器は、
前記干渉帯域検出部が干渉帯域を検出すると、前記干渉帯域に対応するサブキャリアの信号を抑圧する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置であって、
前記干渉帯域検出部は、
サブキャリアごとに、前記誤差振幅が予め定められた閾値以上であるか否かを判定し、前記閾値以上の誤差振幅を有するサブキャリアの周波数帯域に干渉波が存在すると同定する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の受信装置であって、
前記干渉帯域検出部は、
前記希望波の周波数帯域における隣接するサブキャリア間で、周波数の高いサブキャリアの前記誤差振幅から周波数の低いサブキャリアの前記誤差振幅を引いた第1の偏位量と、周波数の低いサブキャリアの前記誤差振幅から周波数の高いサブキャリアの前記誤差振幅を引いた第2の偏位量とを算出し、
前記第1の偏位量が予め定められた閾値以上となるサブキャリアの周波数以上の周波数帯域であって、前記第2の偏位量が前記閾値以上となるサブキャリアの周波数以下の周波数帯域を干渉帯域と同定する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の受信装置であって、
前記置換サブキャリア設定器は、
前記誤り検出器が前記受信ビット列から誤りを検出しなくなるまでの期間における前記帯域抑圧器に信号を抑圧させるサブキャリアを選択する際に、
前記帯域抑圧器に信号を抑圧させるサブキャリアを選択する度に、異なるサブキャリアを選択し、
選択を繰り返す回数に応じて、前記帯域抑圧器に信号を抑圧させるサブキャリアの数を減少させる
ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
マルチキャリア重畳伝送方式を用いて送信された希望波と、前記希望波に干渉を与える干渉波とが重畳された信号を受信する受信装置が行う受信方法であって、
受信した前記信号に含まれる一部のサブキャリアの信号を抑圧して出力する帯域抑圧ステップと、
前記帯域抑圧ステップにおいて出力された信号を復号して受信ビット列を得る復号ステップと、
前記復号ステップにおいて復号した受信ビット列に誤りが含まれるか否かを検出する誤り検出ステップと、
前記誤り検出ステップにおいて前記受信ビット列から誤りが検出されなくなるまで、前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアを変更させる置換サブキャリア設定ステップと、
誤りが検出されない前記受信ビット列から受信レプリカ信号を生成し、前記受信した信号から前記受信レプリカ信号を減算して得られる誤差振幅に基づいて、前記希望波の周波数帯域において干渉波が存在する周波数帯域である干渉帯域を検出する干渉帯域検出ステップと
を有し、
前記帯域抑圧ステップでは、
前記干渉帯域検出ステップにおいて干渉帯域が検出されると、前記干渉帯域に対応するサブキャリアの信号を抑圧する
ことを特徴とする受信方法。
【請求項6】
請求項5に記載の受信方法であって、
前記干渉帯域検出ステップにおいて、
サブキャリアごとに、前記誤差振幅が予め定められた閾値以上であるか否かを判定し、前記閾値以上の誤差振幅を有するサブキャリアの周波数帯域に干渉波が存在すると同定する
ことを特徴とする受信方法。
【請求項7】
請求項5に記載の受信方法であって、
前記干渉帯域検出ステップにおいて、
前記希望波の周波数帯域における隣接するサブキャリア間で、周波数の高いサブキャリアの前記誤差振幅から周波数の低いサブキャリアの前記誤差振幅を引いた第1の偏位量と、周波数の低いサブキャリアの前記誤差振幅から周波数の高いサブキャリアの前記誤差振幅を引いた第2の偏位量とを算出し、
前記第1の偏位量が予め定められた閾値以上となるサブキャリアの周波数以上の周波数帯域であって、前記第2の偏位量が前記閾値以上となるサブキャリアの周波数以下の周波数帯域を干渉帯域と同定する
ことを特徴とする受信方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の受信方法であって、
前記置換サブキャリア設定ステップにおいて、
前記誤り検出器が前記受信ビット列から誤りを検出しなくなるまでの期間における前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアを選択する際に、
前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアを選択する度に、異なるサブキャリアを選択し、
選択を繰り返す回数に応じて、前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアの数を減少させる
ことを特徴とする受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種無線通信システムの普及により周波数資源の枯渇が問題となっており、複数の無線信号による周波数共用化を図ることで周波数利用効率を向上させる重畳伝送技術の検討が進められている。
【0003】
図6は、周波数帯域を共用する無線通信システムを組み合わせる一例を示す概念図である。同図において、周波数チャネルが異なる2つの無線LAN(Local Area Network)システム全体を示している。同図に示す無線通信システムは、無線LAN基地局91a、91bと、受信装置92aとを具備している。無線LAN基地局91aは、中心周波数faであるチャネルCH1の周波数帯域を用いて通信する。無線LAN基地局91bは、中心周波数fb(fa<fb)であるチャネルCH5の周波数帯域を用いて通信する。
受信装置92aは、無線LAN基地局91a、91bの双方の無線信号が到達する位置に配置され、中心周波数faの無線信号と中心周波数fbの無線信号とが互いに部分的に干渉した信号を受信する。
【0004】
また、周波数帯域を互いに共用する他の例として、無線LANシステムとBluetooth(登録商標)と、WiMAX(登録商標)との組み合わせなどがあり、異なる無線方式のシステム同士が周波数を共用する場合もある。
このように、例えば、無線LAN基地局91aを通信対象とする場合、中心周波数faである希望波の送信周波数帯域と、中心周波数fbである無線LAN基地局91bからの干渉波の送信周波数帯域とが、部分的にオーバーラップ(干渉)する。このような周波数共用が他の無線通信において、受信装置92aは、誤り訂正などを効率的に行って周波数利用効率を向上させるために、希望波の送信周波数帯域にオーバーラップする干渉波の存在を正確に検出することが必要となる(特許文献1)。
【0005】
一般に干渉波が存在する場合、通信特性が著しく劣化するが、この干渉の影響を抑圧しながら分散配置されたFEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)ブロックを復号し、正確な伝送を実現する技術が検討されている(非特許文献1)。具体的には、希望波の復調をする前に、受信信号のうち干渉波の存在する周波数成分をRF(Radio Frequency:無線周波数帯)段やIF(Intermediate Frequency:中間周波数帯)段においてフィルタリング処理、あるいはベースバンド帯において当該周波数成分に対する重み付けを施すことで干渉波の影響を抑圧して復調、復号することを特徴としている。
【0006】
また、干渉波の存在する周波数帯域を検出する技術も検討されている(非特許文献2)。具体的には、非特許文献1に記載されている技術において、フィルタリング帯域、又は重み付け帯域を試行的に変化させて仮復調復号を行い、所定の規範、例えば誤り率が最小となるフィルタリング帯域又は重み付け帯域を干渉波の存在する周波数帯域として同定する。この場合、希望波の通信を行いながら干渉帯域を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−282120号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】増野、杉山、「マルチキャリア重畳伝送による周波数利用効率向上効果」、信学技法、vol.108、no.188、RCS2008−67、pp.85−90、2008年8月
【非特許文献2】大槻、増野、杉山「初期尤度マスクを用いた誤り率に基づく干渉波検出法」、信学技法、vol.111、no.180、RCS2011−119、pp.45−49、2011年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、干渉波が存在する周波数帯域(以下、干渉帯域という。)を検出するためには、周波数及び周波数幅を定める複数の組み合わせごとに、フィルタリング処理や、重み付け処理などを繰り返し試行する必要がある。そのため、干渉帯域を検出するのに要する演算量が膨大になり、干渉帯域の検出に時間を要してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、干渉帯域の検出に要する演算量を削減しつつ、希望波の受信を行うことができる受信装置、及び受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために、本発明は、マルチキャリア重畳伝送方式を用いて送信された希望波と、前記希望波に干渉を与える干渉波とが重畳された信号を受信する受信装置であって、受信した前記信号に含まれる一部のサブキャリアの信号を抑圧して出力する帯域抑圧器と、前記帯域抑圧器から出力された信号を復号して受信ビット列を得る復号器と、前記復号器が復号した受信ビット列に誤りが含まれるか否かを検出する誤り検出器と、前記誤り検出器が前記受信ビット列から誤りを検出しなくなるまで、前記帯域抑圧器が信号を抑圧するサブキャリアを変更させる置換サブキャリア設定器と、誤りが検出されない前記受信ビット列から受信レプリカ信号を生成し、前記受信した信号から前記受信レプリカ信号を減算して得られる誤差振幅に基づいて、前記希望波の周波数帯域において干渉波が存在する周波数帯域である干渉帯域を検出する干渉帯域検出部とを具備し、前記帯域抑圧器は、前記干渉帯域検出部が干渉帯域を検出すると、前記干渉帯域に対応するサブキャリアの信号を抑圧することを特徴とする受信装置である。
【0012】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記干渉帯域検出部は、サブキャリアごとに、前記誤差振幅が予め定められた閾値以上であるか否かを判定し、前記閾値以上の誤差振幅を有するサブキャリアの周波数帯域に干渉波が存在すると同定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記干渉帯域検出部は、前記希望波の周波数帯域における隣接するサブキャリア間で、周波数の高いサブキャリアの前記誤差振幅から周波数の低いサブキャリアの前記誤差振幅を引いた第1の偏位量と、周波数の低いサブキャリアの前記誤差振幅から周波数の高いサブキャリアの前記誤差振幅を引いた第2の偏位量とを算出し、前記第1の偏位量が予め定められた閾値以上となるサブキャリアの周波数以上の周波数帯域であって、前記第2の偏位量が前記閾値以上となるサブキャリアの周波数以下の周波数帯域を干渉帯域と同定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記置換サブキャリア設定器は、前記誤り検出器が前記受信ビット列から誤りを検出しなくなるまでの期間における前記帯域抑圧器に信号を抑圧させるサブキャリアを選択する際に、前記帯域抑圧器に信号を抑圧させるサブキャリアを選択する度に、異なるサブキャリアを選択し、選択を繰り返す回数に応じて、前記帯域抑圧器に信号を抑圧させるサブキャリアの数を減少させることを特徴とする。
【0015】
また、上記問題を解決するために、本発明は、マルチキャリア重畳伝送方式を用いて送信された希望波と、前記希望波に干渉を与える干渉波とが重畳された信号を受信する受信装置が行う受信方法であって、受信した前記信号に含まれる一部のサブキャリアの信号を抑圧して出力する帯域抑圧ステップと、前記帯域抑圧ステップにおいて出力された信号を復号して受信ビット列を得る復号ステップと、前記復号ステップにおいて復号した受信ビット列に誤りが含まれるか否かを検出する誤り検出ステップと、前記誤り検出ステップにおいて前記受信ビット列から誤りが検出されなくなるまで、前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアを変更させる置換サブキャリア設定ステップと、誤りが検出されない前記受信ビット列から受信レプリカ信号を生成し、前記受信した信号から前記受信レプリカ信号を減算して得られる誤差振幅に基づいて、前記希望波の周波数帯域において干渉波が存在する周波数帯域である干渉帯域を検出する干渉帯域検出ステップとを有し、前記帯域抑圧ステップでは、前記干渉帯域検出ステップにおいて干渉帯域が検出されると、前記干渉帯域に対応するサブキャリアの信号を抑圧することを特徴とする受信方法である。
【0016】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記干渉帯域検出ステップにおいて、サブキャリアごとに、前記誤差振幅が予め定められた閾値以上であるか否かを判定し、前記閾値以上の誤差振幅を有するサブキャリアの周波数帯域に干渉波が存在すると同定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記干渉帯域検出ステップにおいて、前記希望波の周波数帯域において、隣接するサブキャリア間における前記誤差振幅の第1の偏位量を、周波数の低いサブキャリアから昇順に算出し、更に、隣接するサブキャリア間における前記誤差振幅の第2の偏位量を、周波数の高いサブキャリアから降順に算出し、前記第1の偏位量が予め定められた閾値以上となるサブキャリアの周波数以上の周波数帯域であって、前記第2の偏位量が前記閾値以上となるサブキャリアの周波数以下の周波数帯域を干渉帯域と同定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記置換サブキャリア設定ステップにおいて、前記誤り検出器が前記受信ビット列から誤りを検出しなくなるまでの期間における前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアを選択する際に、前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアを選択する度に、異なるサブキャリアを選択し、選択を繰り返す回数に応じて、前記帯域抑圧ステップにおいて信号を抑圧するサブキャリアの数を減少させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、信号を抑圧するサブキャリアを変更するごとに、受信レプリカ信号の生成や干渉帯域の検出を行わずとも、誤りを含まない受信ビット列が検出されると当該受信ビット列から生成した受信レプリカ信号と、受信した信号とから干渉帯域を検出することができる。そのため、受信レプリカ信号の生成や干渉帯域の検出を繰り返して行う必要がないため、干渉帯域の検出に要する演算量を削減しつつ、希望波の受信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態における受信装置1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】同実施形態における干渉帯域検出部30の構成を示す概略ブロック図である。
図3】同実施形態における干渉帯域の検出手法を示す概略図である。
図4】同実施形態における受信装置が行う受信処理を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態における干渉帯域の検出手法を示す概略図である。
図6】周波数帯域を共用する無線通信システムを組み合わせる一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る各実施形態における受信装置、及び受信方法を説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における受信装置1の構成を示す概略ブロック図である。受信装置1は、自装置と通信を行っている送信装置がマルチキャリア重畳伝送方式を用いて送信した希望波と、希望波に対して干渉を与える干渉波とが伝送路において重畳された信号を受信する。受信装置1は、受信した信号に含まれる希望波に対する干渉帯域を検出する。また、受信装置1は、受信した信号において検出した干渉帯域を抑圧して、復調復号を行うことにより受信ビット列を得る。以下の説明では、マルチキャリア重畳伝送方式の一例として、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)伝送方式を用いて送信された信号を受信する場合について説明する。
【0023】
同図に示すように、受信装置1は、アンテナ11、フィルタ12、OFDM復調器13、伝送路推定器14、振幅位相歪補正器15、復調器16、ゼロ置換器17、並直列変換器18、FEC復号器19、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)検出器20、置換サブキャリア設定器21、信号バッファ22、及び、干渉帯域検出部30を具備している。
【0024】
フィルタ12は、アンテナ11を介して受信する受信信号のうち、自装置が復調、復号の対象としている信号を含む希望波が存在する周波数帯域以外の成分を抑圧し、当該周波数帯域の成分を含む信号を出力する。フィルタ12として、例えばバンドパスフィルタを用いるようにしてもよい。
OFDM復調器13は、フィルタ12が出力する信号に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行い、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換して、サブキャリアごとの信号を復調する。
伝送路推定器14は、OFDM復調器13が復調する各サブキャリアの信号を用いて、サブキャリアごとに、送信装置と自装置との間の伝送路の特性(振幅及び位相などの変化)を示す伝送路係数を推定する。伝送路推定器14は、例えば、各サブキャリアの信号に含まれる既知のパターン(例えばパイロット信号やトレーニング信号)に対して、公知の技術を適用して伝送路係数を推定する。
【0025】
振幅位相歪補正器15は、伝送路推定器14が推定する各サブキャリアの伝送路係数を用いて、伝送路において生じた振幅及び位相の歪みの補正を各サブキャリアの信号に対して行う。
復調器16は、振幅位相歪補正器15が補正するサブキャリアの信号ごとに、送信装置において用いられている変調方式に対応した復調を行う。復調器16は、復調により得られた各サブキャリアの信号をゼロ置換器17に出力する。復調器16において用いられる復調は、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)や、16−QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交位相振幅変調)などに対応する復調である。
【0026】
ゼロ置換器17は、復調器16から入力される各サブキャリアの復調された信号のうち、置換サブキャリア設定器21が指定するサブキャリアの信号を「0」に置き換えて並直列変換器18に出力する。ゼロ置換器17は、復調器16から入力される各サブキャリアの復調された信号のうち、置換サブキャリア設定器21が指定しないサブキャリアの信号を並直列変換器18に出力する。なお、ゼロ置換器17は、置換サブキャリア設定器21が指定するサブキャリアの信号を抑圧するものであれば、信号を「0」に置き換えるもの以外であってもよい。
並直列変換器18は、ゼロ置換器17から入力される信号列に対してパラレル−シリアル変換を行い、1つの信号列に変換して、FEC復号器19に出力する。
【0027】
FEC復号器19は、並直列変換器18から入力される信号列に対して誤り訂正復号することにより受信ビット列を復元し、復元した受信ビット列をCRC検出器20に出力する。
CRC検出器20は、FEC復号器19から入力される受信ビット列に対して巡回冗長検査を行い、復調復号されたパケットデータの受信ビット列に誤りが含まれているか否かを判定する。CRC検出器20は、判定結果を示すCRC判定結果を干渉帯域検出部30に出力する。また、CRC検出器20は、不図示の上位の装置と、干渉帯域検出部30とに受信ビット列を出力する。
置換サブキャリア設定器21は、干渉帯域検出部30から入力される干渉帯域情報に基づいて、ゼロ置換器17において信号を「0」に置き換えるサブキャリアを選択する。置換サブキャリア設定器21は、選択したサブキャリアを示す情報をゼロ置換器17に出力することにより、ゼロ置換器17を制御する。
信号バッファ22は、フィルタ12で通過した希望波の周波数帯域の信号が入力され、入力された信号を記憶する。信号バッファ22は、入力された順に信号を干渉帯域検出部30に出力する。
【0028】
干渉帯域検出部30には、フィルタ12が出力する信号と、伝送路推定器14が推定した伝送路係数と、CRC検出器20が出力するCRC判定結果及び受信ビット列とが入力される。干渉帯域検出部30は、入力される信号等に基づいて、希望波の周波数帯域における干渉帯域を検出する。また、干渉帯域検出部30は、検出した干渉帯域に対応するサブキャリアを示す干渉帯域情報を置換サブキャリア設定器21に出力する。
【0029】
図2は、本実施形態における干渉帯域検出部30の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、干渉帯域検出部30は、FEC再符号化器32、直並列変換器33、再変調器34、振幅位相歪付与器35、OFDM変調器36、減算器37、絶対値算出器38、干渉帯域検出器39、及び、平均化器40を備えている。
FEC再符号化器32は、CRC検出器20から入力される受信ビット列に誤りが含まれていないことをCRC判定結果が示している場合、送信装置において用いられているFEC符号化と同じ符号化を入力される受信ビット列に対して行い、符号化したビット列を直並列変換器33に出力する。一方、FEC再符号化器32は、入力される受信ビット列に誤りが含まれていることをCRC判定結果が示している場合、FEC符号化を行わず、直並列変換器33へのビット列の出力も行わない。
なお、受信ビット列に誤りが含まれていることをCRC判定結果が示している場合、干渉帯域検出部30の動作を停止させるか、FEC再符号化器32がFEC符号化を行わないときに、干渉帯域検出部30において直並列変換器33より後段の処理を停止させる。すなわち、CRC判定結果に応じて、干渉帯域検出部30における動作の実行と停止とを切り替えるようにする。
【0030】
直並列変換器33は、FEC再符号化器32から入力されるビット列に対してシリアル−パラレル変換を行い、サブキャリア数分の複数のビット列に変換して再変調器34に出力する。
再変調器34は、直並列変換器33から入力される複数のビット列それぞれを、送信装置において用いられている変調方式と同じ変調方式を用いて変調をする。再変調器34は、複数のビット列を変調して得られた各サブキャリアに対応する信号を振幅位相歪付与器35に出力する。
振幅位相歪付与器35は、再変調器34から入力される各サブキャリアの信号に対して、伝送路推定器14から入力される各サブキャリアの伝送路係数を用いて、送信装置から自装置(受信装置1)までの伝送において生じる振幅及び位相の歪みを与える。振幅位相歪付与器35は、歪みを与えた各サブキャリアの信号をOFDM変調器36に出力する。
【0031】
OFDM変調器36は、振幅位相歪付与器35から入力される各サブキャリアの信号に対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)を行い、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。これにより、OFDM変調器36は、送信装置から送信された信号(希望波)に対応する受信レプリカ信号を生成し、生成した受信レプリカ信号(D:Desired signal)を減算器37に出力する。
減算器37は、信号バッファ21に記憶されている信号から、当該信号に対応した受信レプリカ信号であってOFDM変調器36から入力される受信レプリカ信号を減算し、減算により得られた誤差信号を絶対値算出器38に出力する。
絶対値算出器38は、減算器37から入力される誤差信号から、各周波数帯域(各サブキャリア)における信号レベルの絶対値(振幅)を算出し、算出した絶対値(振幅)を干渉帯域検出器39に出力する。
【0032】
ここで、誤差信号における振幅(以下、誤差振幅という。)が生じる理由としては、希望波に重畳する干渉波が存在すること、及び、干渉帯域における伝送路推定の誤差が生じることなどがある。いずれにしても、希望波に対する干渉波が存在していることに起因しているので、誤差振幅が一定値(振幅閾値)を超える周波数帯域に干渉波が存在すると同定することができる。
干渉帯域検出器39は、絶対値算出器38から入力される各サブキャリアの誤差振幅値と、予め定められた振幅閾値とに基づいて、サブキャリアごとに干渉波が存在するか否かの判定を行うことにより、干渉帯域の検出を行う。干渉帯域検出器39は、検出した干渉帯域を示す情報を平均化器40に出力する。ここで、振幅閾値は、実測値やシミュレーションの結果などと、自装置(受信装置1)の受信性能とに基づいて定められる。受信装置1の受信性能は、例えば復調器16におけるシンボルの判定性能や、通信において用いられる変調方式又は符号化率、伝送路推定器14における伝送路係数の推定精度などで定められる。
【0033】
平均化器40は、複数のシンボル(又はパケット)に亘り、干渉帯域検出器39から入力される情報を平均化する。平均化器40は、平均化した情報に基づいて、各サブキャリアにおいて干渉波が存在しているか否かを判定し、判定結果を示す干渉帯域情報を置換サブキャリア設定器21に出力する。ここで、平均化器40が行う平均化は、例えば、サブキャリアごとに、干渉帯域検出器39が干渉波を検出した回数を複数のシンボル(又はパケット)に亘り算出し、算出した回数が所定の回数(例えば過半数)を超えたサブキャリアに干渉波が存在していると同定する。また、過半数に替えて、各サブキャリアにおいて干渉波が検出された回数の平均回数を超えるサブキャリアに干渉波が存在していると同定してもよい。
【0034】
ここで、干渉帯域検出器39が行う、干渉帯域の検出手法を説明する。
図3は、本実施形態における干渉帯域の検出手法を示す概略図である。同図において、横軸は周波数を示し、縦軸は誤差振幅を示している。同図に示すように、干渉帯域検出器39は、絶対値算出器38から入力される誤差振幅値が振幅閾値以上である場合に、当該誤差振幅に対応する周波数帯域(サブキャリア)を干渉波が存在する干渉帯域と同定する。
【0035】
図4は、本実施形態における受信装置1が行う受信処理を示すフローチャートである。
受信装置1において、受信処理が開始されると、置換サブキャリア設定器21は、ゼロ置換器17において信号を「0」に置換するサブキャリアである置換サブキャリアを選択する(ステップS101)。
ステップS101において、置換サブキャリア設定器21は、少なくとも1つのサブキャリアであって、選択する度に異なるサブキャリアの組み合わせを選択する。例えば、N個のサブキャリア(SC1、SC2、…、SCN)を用いた通信を行う場合、SC1〜SCK、SC2〜SC(K+1)、SC3〜SC(K+2)、…、SC(N−K+1)〜SCNなどのように、K個のサブキャリアからなる異なる組み合わせを順に選択するようにしてもよい。また、置換サブキャリア設定器21は、サブキャリアの選択を繰り返した回数に応じて、選択するサブキャリアの数を減少させるようにしてもよい。
【0036】
ゼロ置換器17は、フィルタ12から復調器16までにおいて復調された信号に対して、置換サブキャリア設定器21が選択した置換サブキャリアの信号を「0」に置き換える。並直列変換器18及びFEC復号器19は、ゼロ置換器17により置換サブキャリアの信号が「0」に置き換えられた信号に対して復号を行い、受信ビット列の復号を行う(ステップS102)。
CRC検出器20は、復号された受信ビット列に誤りが含まれるか否かを判定し(ステップS103)、誤りが検出された場合(ステップS103:YES)、処理をステップS101に戻して、異なる置換サブキャリアを置換サブキャリア設定器21に設定させる。一方、誤りが検出されなかった場合(ステップS103:No)、FEC再符号化器32からOFDM変調器36が行う処理で受信レプリカ信号を生成し(ステップS104)、減算器37が誤差信号を算出し、絶対値算出器38が各サブキャリアにおける誤差の振幅値を算出する(ステップS105)。
【0037】
干渉帯域検出器39は絶対値算出器38が算出した誤差振幅値に基づいて干渉の存在する周波数帯域を検出し、平均化器40は複数のシンボル(又はパケット)に亘る干渉帯域検出器39の検出結果に基づいて干渉帯域を同定し、干渉帯域を示す干渉帯域情報を置換サブキャリア設定器21に出力する(ステップS106)。
置換サブキャリア設定器21は、干渉帯域情報が示すサブキャリアを置換サブキャリアに設定する(ステップS107)。
以降、ゼロ置換器17は、置換サブキャリアに設定されたサブキャリアの信号を「0」に置き換える。受信装置1は、フィルタ12からCRC検出器20までそれぞれの処理により、受信信号から受信ビット列を得る。
【0038】
上述のように、本実施形態における受信装置1は、置換サブキャリア設定器21が選択した置換サブキャリアにおける信号を、ゼロ置換器17でヌル化(抑圧)した信号から受信ビット列を復調復号する。置換サブキャリア設定器21は、受信ビット列を誤りなく復号できるまで、すなわち正しく受信ビット列を復号できるまでの期間において、置換サブキャリアの組み合わせを順に変更する。干渉帯域検出部30は、受信ビット列を誤りなく復号できると、当該受信ビット列から希望波の受信レプリカ信号を生成し、希望波と干渉波とを含む受信信号から受信レプリカ信号を減算することにより干渉波(誤差信号)を抽出する。干渉帯域検出部30は、抽出した干渉波に基づいて、希望波の周波数帯域において干渉波が存在する周波数帯域である干渉帯域を検出する。
受信装置1は、ステップS101からステップS103の繰り返しの初期において、広い周波数帯域のサブキャリアを置換サブキャリアに選択するとともに、周波数帯域をずらして置換サブキャリアを選択することで、一度の処理で幅広い周波数帯域に対して干渉波の検出をすることができるので、干渉帯域検出部30における処理回数を減らすことができ、干渉帯域の検出に要する演算量を削減しつつ、希望波の受信を行うことができる
【0039】
なお、受信ビット列を正しく復号できない場合は、置換サブキャリアに選択する周波数帯域を狭くし、すなわち置換サブキャリアに選択するサブキャリアの数を減らして、受信ビット列を正しく復号できるまで、置換サブキャリアの選択を繰り返して行う。置換サブキャリアの選択と、復調及び復号とを繰り返して行うことになるが、受信ビット列から受信レプリカ信号を生成する処理、及び干渉帯域を検出する処理等を伴わないため、演算量の増加を抑えることができる。
【0040】
例えば、非特許文献2に記載された技術では、干渉帯域の同定規範として、BER測定値を用い、最小BERが得られた際に信号を抑圧していたサブキャリアの周波数帯域(サブキャリア抑圧帯域)が干渉帯域であると同定を行う。そのため、複数のサブキャリア抑圧帯域ごとに、サブキャリアの帯域抑圧、受信レプリカ信号の生成、BER測定を繰り返して行う必要がある。また、干渉帯域と置換サブキャリアとが一致したときにBERが最小となることから、置換サブキャリアの選択に高い精度が求められていた。その結果、干渉帯域を同定する際に要する演算量が膨大になり、干渉帯域の同定に時間を要していた。
これに対して、受信装置1は、CRC検出器20における誤り検出の結果、復調復号した受信ビット列に誤りが含まれないように置換サブキャリアを選択できれば、干渉帯域を同定することができる。つまり、置換サブキャリアの選択は、低い精度であってもよい。したがって、干渉帯域の同定に要する時間を短縮することができる。このとき、初期の置換サブキャリアに複数のサブキャリアを選択することにより、ステップS101〜ステップS103までの試行回数を減らすことができ、更に、干渉帯域の同定に要する演算及び時間を抑えることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、干渉帯域検出器39が、絶対値算出器38により算出された誤差振幅と振幅閾値とを比較することにより、干渉波の検出を行う構成について説明した。第2の実施形態では、隣接するサブキャリア間における誤差振幅の偏位量Δampを判定規範に用いる。以下、希望波におけるサブキャリア番号を低い周波数から順に、SC1、SC2、SC3、…、SC7とした場合を例にして説明する。
【0042】
図5は、第2の実施形態における干渉帯域の検出手法を示す概略図である。同図において、横軸は周波数(サブキャリア)を示し、縦軸は誤差振幅を示している。
干渉帯域検出器39は、まず、周波数の低い方から周波数の高い方に向かって、隣接するサブキャリアにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC k→SC k+1)(k=1、2、…、6)を順に測定する(処理A)。すなわち、周波数の高いサブキャリア(SC k)の誤差振幅から、周波数の低いサブキャリア(SC k+1)の誤差振幅を引いて偏位量Δamp(SC k→SC k+1)を算出する。
図5に示す例では、サブキャリアSC1とサブキャリアSC2とにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC1→SC2)や、サブキャリアSC2とサブキャリアSC3とにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC2→SC3)などは、ほぼゼロである。一方、サブキャリアSC3とサブキャリアSC4とにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC3→SC4)は大きな値となる。また、サブキャリアSC5とサブキャリアSC6とにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC5→SC6)は負の値となる。
【0043】
続いて、干渉帯域検出器39は、周波数の高い方から周波数の低い方に向かって、隣接するサブキャリアにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC k→SC k−1)(k=7、6、…、2)を順に測定する(処理B)。すなわち、周波数の低いサブキャリア(SC k)の誤差振幅から、周波数の高いサブキャリア(SC k−1)の誤差振幅を引いて偏位量Δamp(SC k→SC k−1)を算出する。
図5に示す例では、サブキャリアSC6とサブキャリアSC5とにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC6→SC5)が大きな値となり、サブキャリアSC4とサブキャリアSC3とにおける誤差振幅の偏位量Δamp(SC4→SC3)が負の値となる。
【0044】
干渉帯域検出器39は、処理A及び処理Bを行った後に、偏位量Δampが予め定められた検出閾値以上である場合に、測定方向の周波数に干渉波が存在すると判定する。図5に示す例では、処理Aの結果からサブキャリアSC4の周波数以上の周波数帯域に干渉波が存在すると判定し、処理Bの結果からサブキャリアSC5の周波数以下の周波数帯域に干渉波が存在すると判定する。干渉帯域検出器39は、処理Aの結果に基づいた判定と、処理Bの結果に基づいた判定とを組み合わせて、「サブキャリアSC4の周波数以上かつサブキャリアSC5の周波数以下の周波数帯域に干渉波が存在する」と同定する。
【0045】
また、例えば、処理Aにおいて偏位量Δamp(SC2→SC3)と偏位量Δamp(SC6→SC7)とが検出閾値以上であり、処理Bにおいて偏位量Δamp(SC4→SC3)が検出閾値上である場合、干渉帯域検出器39は、「サブキャリアSC3の周波数以上かつサブキャリアSC4の周波数以下の周波数帯域と、サブキャリアSC7の周波数以上の周波数帯域とに干渉波が存在する」と同定する。
【0046】
上述のように、本実施形態では、干渉帯域検出器39による干渉帯域の検出に、隣接するサブキャリアにおける誤差振幅の偏位量Δampを用いる構成とした。これにより、受信信号における希望波の周波数帯域にレベルの高い白色雑音が含まれている場合や、受信レプリカ信号を生成する際に周波数帯域にレベルの高い白色雑音が生じてしまう場合においても、白色雑音の影響を受けることなく干渉帯域の同定を行うことができる。
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ステップS101からステップS103の繰り返しの初期において、広い周波数帯域のサブキャリアを置換サブキャリアに選択するとともに、周波数帯域をずらして置換サブキャリアを選択することで、一度の処理で幅広い周波数帯域に対して干渉波の検出をすることができるので、干渉帯域検出部30における処理回数を減らすことができ、干渉帯域の検出に要する演算量を削減しつつ、希望波の受信を行うことができる。
【0047】
なお、本発明における受信装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより受信処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0048】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0049】
なお、本発明に記載の帯域抑圧器は、上述の各実施形態におけるゼロ置換器17に対応する。また、本発明に記載の第1の偏位量は、上述の第2の実施形態において処理Aで算出される偏位量Δampに対応する。また、本発明に記載の第2の偏位量は、上述の第2の実施形態において処理Bで算出される偏位量Δampに対応する。
【符号の説明】
【0050】
1…受信装置、11…アンテナ、12…フィルタ、13…OFDM復調器、14…伝送路推定器、15…振幅位相歪補正器、16…復調器、17…ゼロ置換器、18…並直列変換器、19…FEC復号器、20…CRC検出器、21…置換サブキャリア設定器、22…信号バッファ、30…干渉帯域検出部、32…FEC再符号化器、33…直並列変換器、34…再変調器、35…振幅位相歪付与器、36…OFDM変調器、37…減算器、38…絶対値算出器、39…干渉帯域検出器、40…平均化器、91a…無線LAN基地局、91b…無線LAN基地局、92a…受信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6