(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3領域の曝露勾配を除去する工程が、前記放射線感受性を有する材料の層を、該放射線感受性を有する材料の熱分解温度以上の温度に加熱する工程を有する、請求項1に記載の方法。
前記第4領域をスリム化する工程が、前記放射線感受性を有する材料の層のネガ型現像を実行することで前記第4領域の一部を除去する工程を有する、請求項4乃至6のいずれかに記載の方法。
前記第4領域をスリム化する工程が、前記放射線感受性を有する材料の層のポジ型現像を実行することで前記第4領域の一部を除去する工程を有し、前記ポジ型現像の現像溶液は希釈溶液である、請求項4乃至6のいずれかに記載の方法。
前記第4領域をスリム化する工程が、前記放射線感受性を有する材料の層のポジ型現像を実行することで前記第4領域の一部を除去する工程を有し、前記放射線感受性を有する材料の層がミュート剤を有する、請求項4乃至6のいずれかに記載の方法。
前記第4領域をスリム化する工程が、前記放射線感受性を有する材料の層のポジ型現像を超低温で実行することで前記第4領域の一部を除去する工程を有し、前記超低温はポジ型現像溶液の凝固点よりも高くて25℃未満である、請求項4乃至6のいずれかに記載の方法。
前記フラッド曝露を実行する工程が、可視スペクトル中の波長及び/又は紫外スペクトル中の波長を有する電磁(EM)放射線に前記基板を曝露する工程を有する、請求項4に記載の方法。
前記フラッド曝露を実行する工程が、連続EM放射線、パルス状EM放射線、多色EM放射線、単色EM放射線、広帯域EM放射線、及び/又は狭帯域EM放射線を前記基板に曝露する工程を有する、請求項4に記載の方法。
前記フラッド曝露を実行する工程が、436nmのEM放射線、365nmのEM放射線、248nmのEM放射線、193nmのEM放射線、157nmのEM放射線、及び/又は深紫外(DUV)EM放射線を前記基板に曝露する工程を有する、請求項4に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造においてコストと性能が競合し続ける必要があることで、集積回路のデバイス密度は連続的に増大してきた。半導体集積回路における高集積及び小型化を実現するため、半導体ウエハ上に形成された回路パターンの小型化もまた実現されなければならない。
【0003】
設計規則は、デバイス又はラインが意図せずに互いに相互作用しないことを保証するように、デバイス間空間許容度を定めるか、又は、ラインを相互接続する。半導体デバイスの全体のサイズ及び密度を決定する一の重要なレイアウト設計規則は、限界寸法(CD)である。回路の限界寸法とは、1つのラインの最小幅又は2つのライン間の最小空間として定義される。他の重要な設計規則は最小ピッチである。最小ピッチとは、所与の部位の最小幅に、その隣接する部位の端部までの距離を加えたものとして定義される。
【0004】
フォトリソグラフィは、マスク上の幾何学形状とパターンを半導体ウエハ表面に転写することによって、半導体ウエハを製造する標準的手法である。基本的なフォトリソグラフィプロセスは、放射線感受性を有する材料の層−たとえばフォトレジスト層−にパターンを有する光源を投影する工程を有する。その後現像工程が行われる。
【0005】
最小の限界寸法とピッチを有する微細パターンを生成するためには、明確に結像された光のパターンを投影することが必要となる。しかし、半導体ウエハ上に小さな部位の明確な像を投影する能力、及び、照射されたマスクからの十分な回折次数を捕獲する縮小レンズ系の能力は、使用する光の波長によって制限される。現在のフォトリソグラフィ装置は、波長248nm又は193nmの深紫外(DUV)光を用いる。この波長248nm又は193nmのDUV光は、最小部位サイズを約50nmにまで小さくすることを可能にする。
【0006】
投影系が印刷可能な最小部位サイズは、CD=k
1・λ/N
Aによって近似的に与えられる。ここで、CDは最小部位サイズすなわち限界寸法で、k
1はプロセス関連の因子を表す係数で、製造用の値は典型的には0.4に等しく、λは使用される光の波長で、N
Aは、半導体ウエハから見たレンズの開口数である。この式によると、最小部位サイズは、波長の減少及び/又は開口数の増大によって減少することで、より確かな集束ビーム及びより小さなスポットサイズが実現される。
【0007】
フォトリソグラフィプロセスは、曝露装置を利用して、ウエハ上の放射線感受性を有する材料の層に放射線を照射することで、マスクを介して、そのマスク上のパターンをそのウエハに転写する。パターンのレイアウトの限界寸法がリソグラフィ装置の解像度の限界に接近することで、光学近接効果(OPE)が、放射線感受性を有する材料の層へのマスク上の部位の転写に影響を及ぼし始める。その結果、マスクと実際のレイアウトパターンが異なり始める。光学近接効果は、投影系における光の回折の結果生じることが知られている。回折が起こることで、隣接する部位同士が、パターンに依存したばらつきを生じさせるように相互作用する。部位同士が近接すればするほど、近接効果がより現れる。よってラインパターンを近接させる能力は、光学パラメータの制約を超えてしまう。
【0008】
従って、上述の説明によると、半導体ウエハ上に形成される回路パターンを引き続き小型化するためには、半導体デバイスをパターニングする新たな改善された方法が必要である。一の非光学的手法は、結像及び第1現像の完了後に放射線感受性を有する材料のライン幅を狭くすることである。幅を狭くすることは、「スリム化」又は「縮小」としても知られている。これらの語句は、本願において同義として用いられる。
【0009】
上述したように、半導体ウエハのパターニングは一般に、放射線感受性を有する材料−たとえばフォトレジスト−の薄膜又は層で前記ウエハ(基板)の表面を被覆する工程、及び、マスクを介して放射線源からの放射線を投影することによって、前記放射線感受性を有する材料を放射線のパターンに曝露する工程を有する。その後、現像プロセスは、前記放射線感受性を有する材料の様々な領域を除去するのに用いられる。除去される具体的な領域は、材料の性質及び現像用化学物質に依存する。例として、ポジ型のフォトレジストでは、照射領域は第1現像用化学物質を用いることによって除去され、かつ、非照射領域は第2現像用化学物質を用いることによって除去されてよい。逆に、ネガ型のフォトレジストでは、非照射領域は第3現像用化学物質を用いることによって除去され、かつ、照射領域は第4現像用化学物質を用いることによって除去されてよい。フォトレジストの除去された領域は、エッチングの準備が整ったパターンに下地のウエハ表面を曝露する。
【0010】
ポジ型のパターン現像の例として、典型的なリソグラフィパターニング法が、
図1Aと
図1Bに図示されている。
図1Aに図示されているように、放射線感受性を有する材料の層102が基板101上に形成される。放射線感受性を有する材料の層102は、マスク103を介して電磁(EM)放射線107に曝露される。レチクル又はマスク103は、パターンを形成する透明領域104と不透明領域108を有する。距離(又はピッチ)109は、
図1Aに図示されているように不透明領域108間で定義される。透明領域104は、EM放射線107を、放射線感受性を有する材料の層102へ向かうように透過させる。不透明領域108は、EM放射線107が放射線感受性を有する材料の層102へ向かうように透過するのを防止する。その結果、放射線感受性を有する材料の層102は、EM放射線107に曝露される曝露領域105、及び、EM放射線107に曝露されない非曝露領域106を有する。
図1Aに図示されているように、不透明領域108は、放射線感受性を有する材料の層102上で結像されることで、非曝露領域106と位置合わせされた対応する放射線感受性を有する材料の部位を形成する。
【0011】
図1Bに図示されているように、現像プロセスによって放射線感受性を有する材料の層102の曝露領域105を除去した後、非曝露領域106は、基板101上に残り、かつ、マスク103から転写されたパターンを形成する。曝露領域105の除去後に残された放射線感受性を有する材料の領域は、放射線感受性を有する材料のラインと呼ばれる。
図1Aと
図1Bに図示されているように、不透明領域108は、放射線感受性を有する材料の層102上で結像されることで、対応する放射線感受性を有する材料部位(つまり非曝露領域106)を形成する。
図1Aと
図1Bに図示されているように、非曝露領域106間のピッチ110は、マスク103の不透明領域108間のピッチ109によって決定される。この例では、パターニングされた部位のピッチ110は、放射線感受性を有する材料のラインの限界寸法111の幅の約2倍である。よって、限界寸法111は、マスク103の不透明領域間の距離及び現像プロセスによって決定される。放射線感受性を有する材料のラインの限界寸法111をさらに減少させるには、後述するように、さらなるプロセスが必要となる。
【0012】
放射線感受性を有する材料のライン幅を減少させる一の典型的な方法は、定格温度で実行されるポジ型現像の後に放射線感受性を有する材料の非曝露領域106をプラズマに基づいてエッチングする工程を有する。プラズマに基づくエッチングは、様々な問題−たとえばプロセスの安定性及び高いフロントエンドコスト−に悩まされる。他のスリム化又は縮小法は湿式法−たとえば高温でポジ型現像を実行する工程−を有する。しかし湿式現像法は、後述するように、フォトリソグラフィ像におけるばらつきによって生じる/悪化する異方的なスリム化に悩まされる恐れがある。
【0013】
フォトリソグラフィ像のさらなる詳細が
図2に与えられている。放射線感受性を有する材料の層202が基板201上に形成される。放射線感受性を有する材料の層202は、マスク203を介してEM放射線207に曝露される。
図2に図示されているように、マスク203は、パターンを形成する透明領域204と不透明領域208を有する。不透明領域208間の距離(又はピッチ)209が
図2に図示されている。透明領域204は、EM放射線207を、ポジ型の放射線感受性を有する材料202へ向かうように透過させる。不透明領域208は、EM放射線207が、ポジ型の放射線感受性を有する材料202へ向かうように透過するのを防止する。
【0014】
2種類の像パターン−すなわち曝露領域と非曝露領域−のみを生成することが望ましいが、
図2は、各異なるEM放射線107への曝露レベルを有する放射線感受性を有する材料202の3つの領域を図示している。曝露領域205と非曝露領域206は、部分的に曝露された領域214によって隔てられる。このとき曝露勾配が、部分的に曝露された領域214全体にわたって広がっている。この曝露勾配は、様々な因子−放射線感受性を有する材料の厚さ、焦点深度、及び近接効果−によって影響を受ける恐れがある。よってこの曝露変化すなわち勾配は、異方的なスリム化を誘起する。この異方的なスリム化は、放射線感受性を有する材料のライン内に弱点を生成する恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
基板をパターニングする方法−基板上に転写可能なパターンの限界寸法を減少させる方法を含む−が本明細書に記載されている。複数の化学処理が、放射線感受性を有する材料のラインの限界寸法の等方的な減少を実現させるのに用いられる。
【0020】
図3を参照すると、本発明の実施例では、放射線感受性を有する材料の層が基板301上に形成される。基板301は、半導体−たとえば単結晶シリコン、ゲルマニウム−及び他の任意の半導体を有してよい。代替実施例では、基板301は、集積回路、受動的マイクロエレクトロニクスデバイス(たとえばキャパシタ、インダクタ)、及び能動的マイクロエレクトロニクスデバイス(たとえばトランジスタ、光検出器、レーザー、ダイオード)の製造に用いられる任意の材料を有してよい。基板301は、能動的マイクロエレクトロニクスデバイスと受動的マイクロエレクトロニクスデバイスを、それらの上に形成された(複数の)伝導層から隔てる絶縁材料を有してよい。一の実施例では、基板301はp型単結晶シリコン基板を有する。p型単結晶シリコン基板は1層以上の絶縁層−たとえば二酸化シリコン、シリコン窒化物、サファイア、及び他の絶縁材料−を有する。
【0021】
上述したように、基板301は、底部層と放射線感受性を有する材料の層302との間に設けられた1層以上の薄膜又は層を有する膜の積層体を有してよい。基板301中の各薄膜は、伝導層、非伝導層、又は半導体層を有してよい。たとえば薄膜は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属シリケート、金属シリサイド、シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、ドーピングされたシリコン、二酸化シリコン、シリコン窒化物、シリコンカーバイド、シリコン酸窒化物等を含む材料層を有してよい。それに加えてたとえば、薄膜は、約4であるSiO
2の誘電率(たとえば熱二酸化シリコンの誘電率は3.8〜3.9の範囲でありうる)よりも小さな公称誘電率を有する低誘電率(つまりlow-k)又は超低誘電率(つまり超low-k)誘電層を有してよい。より詳細には、薄膜は、3.7未満の誘電率を有してよく、又は、1.6〜3.7の範囲の誘電率を有してよい。
【0022】
本発明の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302はたとえば、248nmの放射線感受性を有する材料、193nmの放射線感受性を有する材料、157nmの放射線感受性を有する材料、及び/又は極紫外の放射線感受性を有する材料を有してよい。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は、ポリ(ヒドロキシスチレン)を主成分とするレジスト又は(アクリラート)メタクリラートを主成分とするレジストを有する。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は、適切な波長の放射線への曝露を実行し、それに続いて曝露後ベーキングを実行する際の極性の変化に起因して溶解度を切り換える材料を有する。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は、適切な波長の放射線への曝露を実行し、それに続いて曝露後ベーキングを実行する際に酸を触媒とする脱保護を供する材料を有する。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は、放射線への曝露に続いて熱分解ベーキングを実行する際に酸を触媒とする脱保護を供する材料を有する。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は、酸の洗浄を実行し、かつ酸洗浄後ベーキングを実行した際に酸を触媒とする脱保護を供する材料を有する。
【0023】
他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は、酸発生剤−たとえば光酸発生剤及び/又は熱酸発生剤−を有する。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は保護ポリマーを有する。前記保護ポリマーは、該保護ポリマーの熱分解温度以上の温度にまで加熱される際に、脱保護される。他の実施例によると、放射線感受性を有する材料の層302は保護ポリマーを有する。前記保護ポリマーは、酸洗浄処理の実行後に、前記保護ポリマーの熱分解温度以上の温度にまで加熱される際に、脱保護される。
【0024】
放射線感受性を有する材料の層302は、トラックシステムを用いて形成されてよい。たとえばトラックシステムは、東京エレクトロン株式会社(TEL)から市販されている、クリーントラックACT8、ACT12、又は、リシウスレジストコーティング及び現像システムを有してよい。基板上に放射線感受性を有する材料の層を形成する他のシステム及び方法は、当業者には周知である。
【0025】
放射線感受性を有する材料の層302を基板301に堆積した後、放射線感受性を有する材料の層は、堆積後ベーキング(PAB)において熱処理されてよい。たとえば基板温度は、約30秒〜約180秒の期間中、約50℃〜約200℃にまで昇温されてよい。堆積後に基板を加熱及び冷却する装置を有するトラックシステム−たとえば上述したトラックシステムの1つ−は、PABを実行するのに用いられてよい。基板上の曝露された放射線感受性を有する材料膜を熱処理する他のシステム及び方法は、当業者には周知である。
【0026】
図3に図示されているように、放射線感受性を有する材料の層302は、マスク303を介して放射線307に曝露される。マスク303は、放射線307が放射線感受性を有する材料の層302へ向かうように透過するのを防止する不透明領域310、及び、放射線307を、放射線感受性を有する材料の層302へ向かうように透過させる透明領域304を有する。マスク303は、湿式(たとえば浸漬)リソグラフィ又は乾式リソグラフィでの使用−約365nm〜約13nmの範囲の波長を含む−に適した任意のマスクを有してよい。マスク303は、バイナリマスク又はガラスマスク上のクロムを有してよい。あるいはその代わりに、マスク303は、交互位相シフトマスク又は埋め込み位相シフトマスクを有してよい。
【0027】
EM放射線のパターンに対する放射線感受性を有する材料の層302の曝露は、乾式又は湿式のフォトリソグラフィシステムで実行されてよい。リソグラフィシステムはたとえば、365nm、248nm、193nm、157nm、及び13nmの波長でのEM放射線のパターンを供する能力を有してよい。像パターンは、任意の適切な従来のステッピングリソグラフィシステム又は走査型リソグラフィシステムを用いて形成されてよい。たとえばフォトリソグラフィシステムは、ASMLオランダB.V.又は米国キャノンの半導体装置事業部から市販されているものであってよい。マスク303はたとえば、法線入射光及び変形照明光−たとえば輪帯照明、四極照射、及び、双極照射−で照射されてよい。マスク303を用いて放射線感受性を有する材料の層302を放射線に曝露するこれらの照明方法は、当業者には既知である。
【0028】
上述した曝露後に基板を加熱及び冷却する装置を有する上述のトラックシステムは、曝露後ベーキング(PEB)を実行するのに用いられてよい。基板上の曝露された放射線感受性を有する材料の層を熱処理する他のシステム及び方法は、当業者には周知である。
【0029】
さらに
図3を参照すると、リソグラフィシステムを用いることによってマスク303を介して放射線307を投影した結果として得られた放射線のパターンによって、放射線感受性を有する材料の層302内に生成される放射線曝露プロファイル305及び応答プロファイル306が図示されている。
図3に図示されているように、透明領域304に対応する第1領域312は放射線307からの高い量の放射線曝露を受け、不透明領域310に対応する第2領域313は放射線307からの低い量の放射線曝露を受け、かつ、不透明領域310の端部に対応する第3領域314は放射線307からの高い量〜低い量の範囲に属する中程度すなわち勾配を有する放射線曝露を受ける。放射線感受性を有する材料の層302の第1領域312に対応する応答プロファイル306は、上部閾値308よりも大きい。他方、第2領域313に対応する応答プロファイル306は、下部閾値309よりも小さい。さらに第3領域314に対応する応答プロファイル306は、下部閾値309と上部閾値308の間に属する。さらに第3領域314に対応する応答プロファイル306は、第3領域314の幅にわたる曝露勾配を表しうる。
【0030】
一の実施例では、
図3に図示されているように、応答プロファイル306は、放射線曝露プロファイル305に比例する放射線感受性を有する材料の層302内での酸の濃度を表しうる。放射線感受性を有する材料の層302内に存在する酸は、保護ポリマーの酸を触媒とした脱保護を助けうる。そのため、酸の濃度は、放射線感受性を有する材料の層302内の脱保護されたポリマーの化学濃度に比例しうる。よって他の実施例では、応答曲線306は、放射線曝露プロファイル305に略比例する放射線感受性を有する材料の層302内の脱保護されたポリマーの化学濃度を表しうる。
【0031】
一の実施例では、上部閾値308は、第1現像用化学物質が用いられたときの放射線感受性を有する材料の層302の溶解度の第1閾値に対応する。一の実施例では、下部閾値309は、第2現像用化学物質が用いられたときの放射線感受性を有する材料の層302の溶解度の第2閾値に対応する。
【0032】
一の実施例では、マスク303の透明領域304に対応し、かつ、放射線曝露プロファイル305において高い放射線曝露量を有する放射線感受性を有する材料の層302の第1領域312は、第1現像用化学物質を用いることによって基板301から選択的に除去される。放射線曝露プロファイル305において低い放射線曝露量を有する放射線感受性を有する材料の層302の第2領域313は、第1現像用化学物質を用いることによって選択的に影響を受けないか、又は最小限の影響しか受けないことが可能である。不透明領域310の端部に略対応し、かつ、放射線曝露プロファイル305において中程度の放射線曝露量(つまり上部閾値308と下部閾値309の間の放射線曝露量)を有する第3領域314は、基板301上に残るが、相対的な保護のレベルに比例して第1現像用化学物質に対する耐性の選択性を示しうる。
【0033】
反対に、放射線曝露プロファイル305において低い放射線曝露量を有する放射線感受性を有する材料の層302の第2領域313は、第2現像用化学物質への曝露によって選択的に除去されうる。透明領域304に対応し、かつ、放射線曝露プロファイル305において高い放射線曝露量を有する放射線感受性を有する材料の層302の第1領域312は、第2現像用化学物質を用いることによって選択的に影響を受けないか、又は最小限の影響しか受けないことが可能である。不透明領域310の端部に略対応し、かつ、放射線曝露プロファイル305において中程度の放射線曝露量(つまり上部閾値308と下部閾値309の間の放射線曝露量)を有する第3領域314は、基板301上に残るが、相対的な保護のレベルに比例して第2現像用化学物質に対する耐性の選択性を示しうる。
【0034】
一の実施例では、第1領域312については、応答プロファイル306は、放射線感受性を有する材料の層302内で上部閾値308よりも大きい酸の濃度を有する。一の実施例では、上部閾値308は、放射線感受性を有する材料の層302の酸のレベルの溶解度の閾値を表す。たとえば放射線感受性を有する材料の層302内での酸の濃度が、酸の濃度の上部閾値308よりも大きい場合、放射線感受性を有する材料の層302は、第1現像用化学物質が用いられるときに可溶となる。
【0035】
一の実施例では、第2領域313については、応答プロファイル306は、放射線感受性を有する材料の層302内で下部閾値309よりも小さい酸の濃度を有する。一の実施例では、下部閾値309は、放射線感受性を有する材料の層302の酸のレベルの溶解度の別の閾値を表す。たとえば放射線感受性を有する材料の層302内での酸の濃度が、酸の濃度の下部閾値309よりも小さい場合、放射線感受性を有する材料の層302は、第2現像用化学物質が用いられるときに可溶となる。
【0036】
一の実施例では、酸の濃度の上部閾値308は完全な酸のレベルの約30%〜約60%の範囲で、かつ、酸の濃度の下部閾値309は完全な酸のレベルの約10%〜約25%の範囲である。一の実施例では、完全な酸のレベルとは、放射線に完全に曝露された放射線感受性を有する材料の酸のレベルと定義される。他の実施例では、完全な酸のレベルとは、実質的にすべての酸発生剤材料が放射線307と反応することで酸種を生成するときの酸の濃度、又は、実質的にすべての熱酸発生剤が分解して酸種を生成するときの酸の濃度として定義される。
【0037】
マスク303による放射線307の回折に起因して、中程度の放射線曝露に対応する第3領域314が生成される。一の実施例では、第3領域314は、上部閾値308と下部閾値309との間の酸の濃度を有する。高い放射線曝露量に対応する第1領域312は、第1現像用化学物質を用いることによって選択的に除去されてよい。低い放射線曝露量に対応する第2領域313は、第2現像用化学物質を用いることによって選択的に除去されてよい。中程度の放射線曝露量に対応する第3領域314は、第1現像用化学物質及び/又は第2現像用化学物質を用いる間、実質的に基板301上に残りうる。
【0038】
さらに
図3を参照すると、第1領域312は、第1限界寸法320によって特徴付けられてよい。たとえば第1限界寸法は、ポジ型の現像後のポジ型の限界寸法に関連付けられてよい。それに加えて、第2領域313は、第2限界寸法322によって特徴付けられてよい。たとえば第2限界寸法322は、ネガ型の現像後のネガ型の限界寸法に関連付けられてよい。
【0039】
第3限界寸法324は、結像された放射線感受性を有する材料のポジ型現像に関連付けられてよい。第3限界寸法324は、第2領域313及び隣接する(複数の)第3領域314を有する。第4限界寸法326は、結像された放射線感受性を有する材料のネガ型現像に関連付けられてよい。第4限界寸法326は、第1領域312及び隣接する(複数の)第3領域314を有する。
【0040】
本明細書で用いられているように、ポジ型の現像用化学物質とは、高い放射線曝露量を有する第1領域312を選択的に除去し、かつ、アルカリ、アミン等の塩基を含む溶媒系を指称する。一の実施例では、第1領域312を選択的に除去するポジ型の現像用化学物質は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を有する。他の実施例では、第1領域312を選択的に除去するポジ型の現像用化学物質は、塩基、水、及び任意の界面活性剤を有する。
【0041】
本明細書で用いられているように、ネガ型の現像用化学物質とは、低い放射線曝露量を有する第2領域313を選択的に除去し、かつ、有機溶媒を有する指称する。ネガ型の現像用化学物質はさらに、有機溶媒、任意の水、及び任意の界面活性剤を有してよい。
【0042】
結像された放射線感受性を有する材料の現像に利用される現像用化学物質の特性をよりよく理解するため、以下の項が定義される。R
MINとは最小の現像速度として定義される。R
MAXとは最大の現像速度として定義される。現像速度は便宜上[nm/s]で表される。ポジ型の現像では、R
MINが低レベルの脱保護で観測される一方で、R
MAXが高レベルの脱保護で観測される。対照的に、ネガ型の現像では、R
MINが高レベルの脱保護で観測される一方で、R
MAXが低レベルの脱保護で観測される。
【0043】
放射線感受性を有する材料を有する典型的な実施例が、
図4A-
図4Eに図示されている。膜の積層体400は、放射線感受性を有する材料の層402で被覆された基板401を有する。放射線感受性を有する材料の層402は、放射線に対して曝露されるときに酸に変換されうる酸発生剤を有する。放射線407は、マスク403を介して、放射線感受性を有する材料の層402へ投影される。
図4Bに図示されているように、放射線感受性を有する材料の層402中の第1領域412は、マスク403中の透明領域404に対応し、かつ、放射線407からの高い放射線曝露量を受ける。放射線感受性を有する材料の層402中の第2領域413は、マスク403中の不透明領域410に対応し、かつ、放射線407からの低い放射線曝露量を受ける。放射線感受性を有する材料の層402中の第3領域414は、マスク403中の不透明領域410の端部に略対応し、かつ、放射線407からの高い量〜低い量の範囲に属する中程度の放射線曝露量を受ける。
【0044】
領域412-414をさらに特徴付けると、一の実施例では、第1領域412では高い放射線曝露量の結果、酸発生剤から酸への変換割合が高く、第2領域413では低い放射線曝露量の結果、酸発生剤から酸への変換割合が低く、かつ、第3領域414は、高い放射線曝露量から低い放射線曝露量の範囲に属する中程度の放射線曝露量の結果、曝露勾配を有する。曝露勾配では、酸発生剤から酸への変換割合は、高い変換割合から低い変換割合の範囲に属する中程度の変換割合となる。
【0045】
さらに
図4Bを参照すると、第1領域412は第1限界空間寸法420によって特徴付けられてよい。たとえば第1限界空間寸法420は、ポジ型の現像後のポジ型の限界寸法に関連付けられてよい。それに加えて第2領域413は第2限界空間寸法422によって特徴付けられてよい。たとえば第2限界空間寸法422は、ネガ型の現像後のネガ型の限界寸法に関連付けられてよい。逆に、第3限界空間寸法424は、ポジ型の現像後に残る放射線感受性を有する材料の層402に関連付けられ、かつ、第4限界空間寸法426は、ネガ型の現像後に残る放射線感受性を有する材料の層402に関連付けられてよい。現像後に残る放射線感受性を有する材料の層402−たとえば第3限界空間寸法424及び第4限界空間寸法426によって特徴付けられるそれらの部位−は一般に、放射線感受性を有する材料のラインと指称される。たとえば放射線感受性を有する材料がフォトレジストであるとき、第3限界空間寸法424及び第4限界空間寸法426によって画定される部位は一般にフォトレジストラインと指称される。
【0046】
一の実施例では、高い放射線曝露量に対応する第1領域412は、基板401へ入射する放射線の50%以上を受け、低い放射線曝露量に対応する第2領域413は、基板401へ入射する放射線の15%未満を受け、かつ、中程度の放射線曝露量に対応する第3領域414は、基板401へ入射する放射線の15%〜50%を受ける。
【0047】
一の実施例では、放射線407に曝露量が高くなることで、第1領域412中の酸濃度は、上部酸濃度閾値よりも高いレベルにまで増大する。上部酸濃度閾値は、放射線感受性を有する材料の層402の溶解度の第1閾値である。一の実施例では、第1領域412中の酸濃度が、放射線感受性を有する材料の層402の溶解度の第1閾値(たとえば酸濃度閾値)よりも高いレベルにまで増大するとき、第1領域412は、第1現像用化学物質が用いられるときに可溶となる。
【0048】
他の実施例では、第1領域412中の脱保護ポリマーの化学濃度が、放射線感受性を有する材料の層402の溶解度の第1閾値(たとえば酸濃度閾値)よりも高いレベルにまで増大するとき、第1領域412は、第1現像用化学物質が用いられるときに可溶となる。
【0049】
低い放射線曝露量に対応する第2領域413では、脱保護ポリマーの酸濃度及び/又は化学濃度は、放射線感受性を有する材料の層402の溶解度の下部閾値(酸濃度閾値)未満である。第2領域413は、第2現像用化学物質が用いられるときに可溶となる。
【0050】
典型的には、第1溶解度閾値及び第2溶解度閾値は、放射線感受性を有する材料の層402の材料特性によって決定される。中程度の放射線曝露量に対応する第3領域414は、酸濃度が第1溶解度閾値〜第2溶解度閾値の範囲である曝露勾配を有する。つまり第3領域414は、第1現像用化学物質又は第2現像用化学物質のいずれかが放射線感受性を有する材料の層402に用いられるときには十分に溶けない。
【0051】
EM放射線407へ放射線感受性を有する材料の層402を曝露した後、曝露された放射線感受性を有する材料の層402は、第1曝露後ベーキング(PEB)において熱処理されてよい。たとえば基板温度は、約30秒〜約180秒の間、約50℃〜約200℃にまで昇温されてよい。PEBは、トラックシステムのモジュール内で実行されてよい。
【0052】
ここで
図4Cを参照すると、高い放射線曝露量に対応する第1領域412は、第1現像用化学物質を含む第1現像プロセスを用いることによって選択的に除去されてよい。第1現像プロセスは、放射線感受性を有する材料の層402のポジ型現像を有してよい。一の実施例では、第1領域412を選択的に除去する第1現像用化学物質は、アルカリ、アミン等の塩基を含む。一の実施例では、第1領域412を選択的に除去する第1現像用化学物質はテトラメチルアンモニウム(TMAH)を有する。他の実施例では、第1領域412を選択的に除去する第1現像用化学物質は、塩基、水、及び任意の界面活性剤を有する。
【0053】
一の実施例では、曝露された放射線感受性を有する材料の層402を有する基板401は、第1現像用化学物質中で可溶な第1領域412を除去する第1現像用化学物質を含む現像用溶液と接した状態にされる。その後基板は乾燥される。現像プロセスは、所定期間(たとえば約30秒〜約180秒)、所定温度(たとえば室温)、及び所定圧力(たとえば大気圧)で実行されてよい。現像プロセスは、現像システム−たとえば上述のトラックシステム−中で基板を現像溶液に曝す工程を有してよい。
【0054】
図4Cに図示されているように、第1限界寸法420’(第1領域412が除去された領域に対応する)、第2限界寸法422’(第2領域413に対応する)、第3限界寸法424’(両側に第3領域414を有する第2領域413に対応する)、及び、第4限界寸法426’ (両側に第3領域414を有する除去された領域に対応する)が、後述するように、調節、制御、及び/又は最適化されてよい。
【0055】
図4Cに表されているように、第2領域413及び第3領域414は、基板401上に残り、かつ、放射線感受性を有する材料のラインを構成する。
【0056】
図4Dを参照すると、放射線感受性を有する材料の層402の第1現像用化学物質の処理を実行した後、曝露された放射線感受性を有する材料の層402は、第4領域430を形成する条件に曝される。第3領域414及び第2領域413は、実質的に均一な放射線曝露及び/又は脱保護レベルに変換されることで、第4領域430が形成される。
【0057】
一の実施例では、第4領域430では、実質的に均一である高い変換割合で酸発生剤が酸となる。従って脱保護ポリマーの領域は実質的に均一となる。第3領域414及び第2領域413での酸発生剤から酸への高い変換割合に影響を及ぼすことで第4領域を形成する典型的な方法は、放射線のフラッド曝露、酸洗浄処理、及び/又は昇温状態でのベーキングを有する。この実施例の他の態様では、第4領域430は、脱保護ポリマーの実質的に均一な領域である。第4領域430内での脱保護レベルが実質的に均一であることで、後で用いられる化学物質との均一な反応が可能となる。つまり均一性は、等方的なスリム化を可能となる。よって曝露勾配を除去した後、寸法W
O(つまり既存の限界寸法424’)は、
図4Eに図示されているように、第4領域430から厚さxを実質的に等方的に除去することによって、所望の限界寸法すなわち目標の限界寸法W
fにまでスリム化されることで、所望の第5領域432が形成される。
【0058】
図4Eを参照すると、本発明の実施例では、放射線感受性を有する材料のライン−つまり第4領域430−から厚さxを実質的に均一に除去して、限界寸法W
fを有するスリム化された放射線感受性を有する材料のライン−つまり第5領域432−を供することは、後述するように、ネガ型の現像用化学物質の組成を調節し、ポジ型の現像用化学物質の濃度を調節し、放射線感受性を有する材料の層の組成を調節することで、薄い層(muted layer)を供する工程、前記ネガ型の現像用化学物質又はポジ型の現像用化学物質の堆積期間を調節する工程、及び/又は、前記現像用化学物質の温度を調節する工程によって実現されてよい。
【0059】
ここで
図5を参照すると、本発明の実施例による基板をパターニングする方法のフローチャート500が与えられている。フローチャート500は、基板上に放射線感受性を有する層−保護されたポリマー及び酸発生剤を有する−を形成する工程510で開始される。520では、当該方法は、放射線感受性を有する材料層のパターニング曝露を実行する工程を有する。パターニング曝露中、放射線感受性を有する材料層は、マスク限界寸法(CD)を有するマスクを用いることによって、電磁(EM)放射線のパターンに曝露されることで、第1領域、第2領域、及び第3領域を形成する。マスクCDは、マスクの不透明領域、マスクの透明領域、マスクピッチ等を特徴付ける任意の限界寸法を有してよい。第1領域は、高い放射線曝露量を有するものとして特徴付けられてよい。第2領域は、低い放射線曝露量を有するものとして特徴付けられてよい。第3領域は、中程度の放射線曝露量を有するものとして特徴付けられてよい。
【0060】
530では、曝露後ベーキング(PEB)が実行される。PEBでは、基板温度は曝露後温度にまで昇温される。PEBは、曝露後温度、基板が曝露後温度に昇温されるまでの時間、曝露後温度を実現する加熱速度、曝露後温度を減少させる冷却速度、基板を曝露後温度にまで昇温する間の前記基板の周囲の気体環境の圧力、及び/又は、基板を曝露後温度にまで昇温する間の前記基板の周囲の気体環境の組成を設定する工程を有してよい。曝露後温度はランプ状又はステップ状であってよい。
【0061】
540では、放射線感受性を有する材料層のポジ型現像が実行される。前記放射線感受性を有する材料層のポジ型現像では、第1領域が、第1現像用化学物質を用いることによって基板から除去される。第1領域の除去は、第1限界寸法によって特徴付けられてよい。ポジ型現像プロセスは、第1現像用化学物質の組成、第1現像用化学物質を用いる期間、及び/又は第1現像用化学物質を用いる温度を設定する工程を有してよい。第1現像用化学物質は塩基性溶液を有してよい。第1現像用化学物質は、塩基性溶液、水、及び任意の界面活性剤をさらに有してよい。その後残るものは、低放射線曝露量の第2領域を有する放射線感受性を有する材料層である。第3領域は、第2領域に直接隣接した位置に中程度の曝露量を有する。このような第2領域と第3領域の組み合わせが、放射線感受性を有する材料のラインを形成する。
【0062】
550では、第2領域のみならず第3領域をも有する放射線感受性を有する材料層は、酸発生剤から酸への高い変換割合、及び/若しくは、ポリマーの高い脱保護割合に影響を及ぼす化学物質並びに/又は条件に曝露される。曝露勾配の除去は、たとえばフラッド曝露を行い、その後フラッド曝露後ベーキング、熱分解ベーキングを行うような操作、又は、酸洗浄を行い、その後酸洗浄後ベーキングを行うような操作を実行することによって実現されてよい。曝露勾配を除去するこれらの方法は、第3領域と第2領域の結合から得られる脱保護された第4領域を与える。これらの方法は、第4領域を、略均一に脱保護された状態、及び、放射線に対する感受性を弱めた状態にする。
【0063】
本発明の一の実施例によると、放射線感受性を有する材料層のフラッド曝露が実行されてよい。フラッド曝露の間、放射線感受性を有する材料層は、パターンを有していない放射線に曝露される。フラッド曝露は、マスク又はレチクル無しで基板を電磁(EM)放射線に曝露する工程を有してよい。EM放射線は、可視スペクトル中の波長及び/又は紫外スペクトル中の波長を占めて良い。それに加えて、フラッド曝露は、連続EM放射線、パルス状EM放射線、多色EM放射線、単色EM放射線、広帯域EM放射線、及び/又は狭帯域EM放射線を基板に曝露する工程を有してよい。
【0064】
たとえばフラッド曝露は、436nmのEM放射線、365nmのEM放射線、248nmのEM放射線、193nmのEM放射線、157nmのEM放射線、及び/又は深紫外(DUV)EM放射線を基板に曝露する工程を有してよい。それに加えてたとえば、フラッド曝露は、放射線感受性を有する材料層中に酸を生成することの可能な波長のEM放射線に基板を曝露する工程を有してよい。
【0065】
フラッド曝露に続いて、フラッド曝露後ベーキング(PFEB)が実行される。PFEBでは、基板温度はPFEB温度にまで昇温される。フラッド曝露後ベーキングは、PFEB温度、基板がPFEB温度に昇温されるまでの時間、PFEB温度を実現する加熱速度、PFEB温度を減少させる冷却速度、基板をPFEB温度にまで昇温する間の前記基板の周囲の気体環境の圧力、及び/又は、基板をPFEB温度にまで昇温する間の前記基板の周囲の気体環境の組成を設定する工程を有してよい。
【0066】
本発明の他の実施例によると、放射線感受性を有する材料層の熱分解ベーキング(TDB)が実行されてよい。熱分解ベーキングでは、TDB温度は、酸発生剤が熱分解することで酸を生成して、その結果酸を触媒とする放射線感受性を有する材料の分解が促進される温度、又は、保護ポリマー−たとえばターブチルカーボネート(tBOC)により保護された放射線感受性を有する材料−が実質的に脱保護される温度を有してよい。如何なる場合でも、最終結果は、これまで曝露されなかった放射線感受性を有する材料層の第2領域を実質的に脱保護/分解するだけではなく、第3領域の曝露勾配を実質的に除去する。ベーキング温度は、放射線感受性を有する材料層のガラス遷移温度(T
g)を超えてはならないことに留意して欲しい。
【0067】
本発明の他の実施例によると、放射線感受性を有する材料層の酸洗浄が実行されてよい。酸洗浄は、放射線感受性を有する材料層の表面に十分な量の酸を供することができる。それにより十分な温度にまで加熱されることで、放射線感受性を有する材料層の脱保護又は熱分解が促進又は改善されうる。適切な酸洗浄は、典型的な酸性化合物−たとえば硫酸、ジクロル酢酸−を有してよい。
【0068】
560では、第4領域のスリム化が実行される。第4領域のスリム化では、放射線感受性を有する材料のラインの寸法は実質的に均一に減少する。本発明の実施例によると、以降で詳述するように、これは様々な方法により実現されてよい。
【0069】
図6を参照すると、本発明の実施例による基板をパターニングする方法に係るフローチャート600が与えられている。フローチャート600は、基板上に放射線感受性を有する材料層を形成する工程610で開始される。620では、基板上に放射線感受性を有する材料層に対してパターンを有する曝露が実行される。630では、第1曝露後ベーキング(PEB)が実行される。PEBでは、基板温度がPEB温度にまで昇温される。640では、結像された放射線感受性を有する層のポジ型現像が実行される。ポジ型現像では、第1領域が、第1現像用化学物質を用いることによって基板から除去される。650では、放射線感受性を有する材料層のフラッド曝露が実行されてよい。フラッド曝露中、放射線感受性を有する材料層はパターンを有しない放射線に対して曝露される。660では、フラッド曝露後ベーキング(PFEB)が実行される。PFEBでは、基板温度がPFEB温度にまで昇温される。670では、放射線感受性を有する材料層のスリム化が実行される。スリム化では、放射線感受性を有する材料層の寸法が減少する。
【0070】
図7を参照すると、本発明の実施例による基板をパターニングする方法に係るフローチャート700が与えられている。フローチャート700は、基板上に放射線感受性を有する材料層を形成する工程710で開始される。720では、基板上に放射線感受性を有する材料層に対してパターンを有する曝露が実行される。730では、曝露後ベーキング(PEB)が実行される。PEBでは、基板温度がPEB温度にまで昇温される。740では、結像された放射線感受性を有する層のポジ型現像が実行される。ポジ型現像では、第1領域が、第1現像用化学物質を用いることによって基板から除去される。750では、放射線感受性を有する材料の熱分解ベーキング(TDB)が実行される。760では、放射線感受性を有する材料層のスリム化が実行される。スリム化では、放射線感受性を有する材料層の寸法が減少する。
【0071】
図8を参照すると、本発明の実施例による基板をパターニングする方法に係るフローチャート800が与えられている。フローチャート800は、基板上に放射線感受性を有する材料層を形成する工程810で開始される。820では、基板上に放射線感受性を有する材料層に対してパターンを有する曝露が実行される。830では、曝露後ベーキング(PEB)が実行される。PEBでは、基板温度がPEB温度にまで昇温される。840では、結像された放射線感受性を有する層のポジ型現像が実行される。ポジ型現像では、第1領域が、第1現像用化学物質を用いることによって基板から除去される。850では、放射線感受性を有する材料の酸洗浄が実行される。860では、放射線感受性を有する材料の酸洗浄後ベーキングが実行される。870では、放射線感受性を有する材料層のスリム化が実行される。スリム化では、放射線感受性を有する材料層の寸法が減少する。
【0072】
図9を参照すると、チャート900は、実質的に脱保護された放射線感受性を有する材料層のスリミング−つまり
図5〜
図8の560、670、760、及び870におけるスリミングの実行−を行う別の方法を供する。上述したように、実質的に脱保護された第4領域は、ポジ型の現像用化学物質が用いられるときには相対的に溶けるが、ネガ型の現像用化学物質が用いられるときには相対的に溶けない。
【0073】
本発明の実施例によると、現像用化学物質は、単純に前記現像用化学物質に対する曝露時間を制御することによって、予測可能で再現可能な性能を可能にする等方的溶解速度を供するように調節されてよい。たとえば現像用化学物質及び/又は条件は、約0.1nm/sec〜約5nm/sec、約0.2nm/sec〜約4nm/sec、又は約0.5nm/sec〜約2nm/secの範囲の溶解速度を設定するように調節されてよい。一例では、溶解速度は約1nm/secであってよい。
【0074】
別の910では、スリム化は、ネガ型の現像を実行することによって実現されてよい。ネガ型の現像用化学物質は、一般的には低脱保護領域を選択的に除去するが、かなり低い現像速度だが高脱保護領域を望ましい状態で除去しうる。ネガ型の現像用化学物質は、一般的には有機溶媒を有し、かつ、1種類以上の補助有機溶媒、任意の水、及び任意の界面活性剤をさらに有してよい。よって高脱保護の放射線感受性を有する材料のラインのスリム化は、R
MINでのネガ型現像によって影響される。ネガ型の現像用化学物質の最適化は、所望の溶解速度が得られるように溶媒(の混合物)を選択することによって実現されうる。
【0075】
別の920-940では、スリム化は、ポジ型の現像用化学物質を利用することによって実現されてよい。ポジ型の現像用化学物質は、一般的には高脱保護領域に対して選択性を有するが、かなり低い現像速度を供するように修正された条件下で用いられてよい。ポジ型の現像用化学物質の溶解速度は、たとえばポジ型の化学溶液−放射線感受性を有する材料層中のミュート剤を含む−を希釈する、又は、超低温でポジ型の現像用化学物質を用いることによって減少しうる。上述したように、ポジ型の現像用化学物質は、一般的には塩基−たとえばアルカリ、アミン等−、水、及び、任意の界面活性剤を有する。一の典型的な塩基は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)である。
【0076】
別の920では、スリム化は、希釈ポジ型現像用化学溶液を用いてポジ型現像を実行することによって実現されてよい。たとえば現像速度は、ポジ型現像用化学物質を希釈することによって1/100、1/200、1/500、又は1/1000に減少しうる。希釈したポジ型現像用化学物質の最適化は、所望の溶解速度が得られるように適切な希釈因子を選択することによってすぐに実現されうる。
【0077】
別の930では、スリム化は、抑制された放射線感受性を有する材料層上でポジ型現像用化学物質を用いたポジ型現像を実行することによって実現されてよい。たとえば膜の積層体を形成する間、放射線感受性を有する材料の溶液は、ミュート剤をさらに有してよい。そのため、このプロセスは、高い脱保護レベルでは、R
MAX(付近)で現像するが、ミュート剤が存在するため、高い脱保護の放射線感受性を有する材料の実効溶解速度は、所望の溶解速度にまで減少する。一の典型的なミュート剤はコール酸である。
【0078】
別の940では、スリム化は、超低温でポジ型の現像用化学物質を用いてポジ型現像を実行することによって実現されうる。本明細書で用いられているように、超低温とは、現像用化学物質の凝固点よりも高くて室温よりも低い温度と定義される。たとえば超低温は、約0℃〜約20℃、約0℃〜約15℃、又は、約5℃〜約10℃の範囲であってよい。
【0079】
しかも上述のスリム化方法は組み合わせられてよい。スリム化工程は、ネガ型の現像用化学物質の組成を調節する工程、ポジ型の現像用化学物質の濃度を調節する工程、放射線感受性を有する材料層の組成を調節する工程、ネガ型若しくはポジ型の現像用化学物質の使用期間を調節する工程、及び/又は、現像用化学物質の温度を調節する工程によって実現されうる。
【0080】
ここで
図10Aを参照すると、本発明の実施例による基板をパターニングするシステム1000が表されている。当該システム1000は、放射線感受性を有する材料層で基板を被覆するトラックシステム1010、パターンを有するEM放射線に前記基板を曝露するパターン曝露システム1040を含むリソグラフィシステム1020、前記放射線感受性を有する材料層の実質的に完全な脱保護に影響を及ぼす曝露勾配除去システム1050、並びに、前記トラックシステム1010、前記パターン曝露システム1040、及び前記曝露勾配除去システム1050の間で前記基板を搬送させる搬送システム1030を有する。
【0081】
図10Aに図示されているように、曝露勾配除去システム1050は、リソグラフィシステム1020内部でパターン曝露システム1040と一体化されてもよい。パターン曝露システム1040は、放射線源、マスク結像システム、及び基板ホルダを有してよい。曝露勾配除去システム1050がフラッド曝露システムを有するとき、その曝露勾配除去システム1050は、放射線源、マスクのない結像システム、温度制御装置、及び基板ホルダを有してよい。曝露後ベーキングの実行に適した温度制御装置に加えて、上述したように、超低温でスリム化プロセスを実行するため、温度を下げることも適していると考えられる。
【0082】
図10Aの実施例では、曝露勾配除去システム1050は、連続EM放射線、パルス状EM放射線、多色EM放射線、単色EM放射線、広帯域EM放射線、及び/又は狭帯域EM放射線を基板に曝露してよい。曝露勾配除去システム1050は、1つ以上のランプ、1つ以上のLED、及び/又は1つ以上のレーザーを有する放射線源を有してよい。
【0083】
ここで
図10Bを参照すると、本発明の他の実施例による基板をパターニングするシステム1100が表されている。当該システム1100は、放射線感受性を有する材料層で基板を被覆するトラックシステム1110、パターンを有するEM放射線に前記基板を曝露するパターン曝露システム1140を含むリソグラフィシステム1120、熱分解を実行することで前記放射線感受性を有する材料層の実質的に完全な脱保護に影響を及ぼす曝露勾配除去システム1150、並びに、前記トラックシステム1110、前記パターン曝露システム1140、及び前記曝露勾配除去システム1150の間で前記基板を搬送させる搬送システム1130を有する。
【0084】
図10Bに図示されているように、曝露勾配除去システム1150は、トラックシステム1110内部で一体化されてもよい。曝露勾配除去システム1150は、熱分解ベーキングを実行する温度制御装置を有する。曝露後ベーキング及び熱分解ベーキングの実行に適した温度制御装置に加えて、上述したように、超低温でスリム化プロセスを実行するため、温度を下げることも適していると考えられる。
【0085】
ここで
図10Cを参照すると、本発明の他の実施例による基板をパターニングするシステム1200が表されている。当該システム1200は、放射線感受性を有する材料層で基板を被覆するトラックシステム1210、パターンを有するEM放射線に前記基板を曝露するパターン曝露システム1240を含むリソグラフィシステム1220、基板の酸洗浄と酸洗浄後ベーキングを実行することで前記放射線感受性を有する材料層の実質的に完全な脱保護に影響を及ぼす曝露勾配除去システム1250、並びに、前記トラックシステム1210、前記パターン曝露システム1240、及び前記曝露勾配除去システム1250の間で前記基板を搬送させる搬送システム1230を有する。
【0086】
図10Cに図示されているように、曝露勾配除去システム1250は、トラックシステム1210及びリソグラフィシステム1220とは別れていて、かつ、トラックシステム1210及び/又はリソグラフィシステム1220と結合するスタンドアローンのモジュールを有してよい。曝露勾配除去システム1250は、酸洗浄ステーション、温度制御装置、及び基板ホルダを有してよい。曝露後ベーキング及び酸洗浄後ベーキングの実行に適した温度制御装置に加えて、上述したように、超低温でスリム化プロセスを実行するため、温度を下げることも適していると考えられる。