(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663758
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】形状測定方法及び形状測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
G01B11/24 D
G01B11/24 K
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-182085(P2010-182085)
(22)【出願日】2010年8月17日
(65)【公開番号】特開2012-42260(P2012-42260A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智徳
(72)【発明者】
【氏名】宮倉 常太
(72)【発明者】
【氏名】浅野 秀光
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 剛
【審査官】
里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−066122(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/068217(WO,A1)
【文献】
特許第3229955(JP,B2)
【文献】
特開2005−331254(JP,A)
【文献】
特開2006−208174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01B 9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域スペクトルを有する光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像から前記被測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める形状測定方法において、
前記第1光路長と第2光路長の光路長差を光路長差変更手段で全走査区間に亘って変化させる第1の工程と、
前記第1の工程において、前記全走査区間内に部分的に設定された複数の測定区間で撮像手段によって3点以上撮像された前記干渉光強度分布画像を画像記憶手段に順次記憶する第2の工程と、
前記画像記憶手段に記憶された前記各測定区間の干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度の変化を示す干渉光強度列から前記各測定区間における特徴量を決定し、この特徴量から前記全走査区間における前記干渉光強度列のピーク位置を求め、このピーク位置から前記被測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める第3の工程と
を有する事を特徴とする形状測定方法。
【請求項2】
前記第3の工程は、前記各測定区間の各測定位置における干渉光強度列から前記各測定区間の各測定位置における特定波長の振幅を前記特徴量として算出し、前記特徴量として求められた各測定区間の各測定位置における振幅に曲線を当てはめ、この曲線のピーク位置を前記全走査区間における各測定位置の干渉光強度列のピーク位置として求める
事を特徴とする請求項1記載の形状測定方法。
【請求項3】
前記第3の工程は、前記各測定区間の特徴量から仮のピーク位置を算出すると共に、前記各測定区間の各測定位置の前記干渉光強度列から特定波長の位相を算出し、
前記仮のピーク位置、前記全走査区間内における前記測定区間の位置、及び前記特定波長の位相から前記ピーク位置を算出する
事を特徴とする請求項1記載の形状測定方法。
【請求項4】
前記全走査区間内における前記測定区間の位置が、前記測定位置によって異なる
事を特徴とする請求項1〜3記載の形状測定方法。
【請求項5】
前記被測定対象の前記撮像手段により撮像される撮像領域を複数の小領域に分割し、
前記第1の工程は、前記全走査区間における走査方向位置に応じて前記撮像手段によって撮像される小領域を切り替え、
前記第2の工程は、前記第1の工程において前記撮像手段によって撮像された区間を前記測定区間とする
事を特徴とする請求項1〜4記載の形状測定方法。
【請求項6】
広帯域スペクトルを有する光源と、
この光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、
前記光学系から出力される前記干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、
前記第1光路長と第2光路長の光路長差を全走査区間に亘って変化させる光路長変更手段と、
前記干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、
演算手段と
を備え、
前記画像記憶手段は、前記全走査区間内に部分的に設定された複数の測定区間内で、撮像手段によって3点以上撮像された前記干渉光強度分布画像を順次記憶し、
前記演算手段は、前記画像記憶手段に記憶された前記干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度の変化を示す干渉光強度列から前記各測定区間における特徴量を決定し、この特徴量から前記全走査区間における前記干渉光強度列のピーク位置を求め、このピーク位置を前記測定対象の各測定位置における光軸方向の位置として求める
事を特徴とする形状測定装置。
【請求項7】
前記演算手段は、
前記各測定区間の各測定位置における干渉光強度列から前記各測定区間の各測定位置における特定波長の振幅を前記特徴量として算出し、前記特徴量として求められた各測定区間の各測定位置における振幅に曲線を当てはめ、この曲線のピーク位置を前記全走査区間における各測定位置の干渉光強度列のピーク位置として求める
事を特徴とする請求項6記載の形状測定装置。
【請求項8】
前記演算手段は、前記各測定区間の特徴量から仮のピーク位置を算出すると共に、前記各測定区間の各測定位置の前記干渉光強度列から特定波長の位相を算出し、
前記仮のピーク位置、前記全走査区間内における前記測定区間の位置、及び前記特定波長の位相から前記ピーク位置を算出する
事を特徴とする請求項6記載の形状測定装置。
【請求項9】
前記被測定対象の前記撮像手段により撮像される撮像領域を複数の小領域に分割し、
前記撮像手段は、全走査区間における走査方向位置に応じて撮像する小領域を切り替えて撮像し、
前記記憶手段は、前記撮像手段が撮像する区間を前記測定区間とする
事を特徴とする請求項6〜8いずれか1項記載の形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域スペクトルを有する光源から測定面に対して照射された光と参照面に対して照射された光の干渉強度によって測定面の位置を測定する形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学系を用いて非接触で被測定物の三次元形状を測定する種々の形状測定装置が知られている。例えば、マイクロマシンやLSI等の微細な被測定物の三次元計測が可能な形状測定装置としては、白色干渉計が知られている。この白色干渉計は、白色光源から被測定物に照射され、被測定物から反射された白色光と、白色光源から参照面に照射され、参照面から反射された白色光とを干渉させると共に、参照面を光軸方向に移動させて最も干渉光強度の大きい参照面位置を検出し、この参照面位置に基づいて被測定物の光軸方向の高さを計測するものである(特許文献1)。
【0003】
このような白色干渉計のうち、演算処理を簡素化したものとして、光路長差を所定量変位させる前後の干渉縞強度の差分値の絶対値を重みとする検査位置の加重平均を算出し、この加重平均が示す値を差分値の絶対値が最大となるピーク位置として求めるようにした形状測定装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2006−068217号
【特許文献2】特許第3220955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、特許文献2の様な演算方法では、検出信号の特定波長内における位相による強度変化を観測し、これをもとにピーク位置を算出している。この様な方法を用いる場合、信号の強度変化に追従するために短いZピッチ間隔で測定を行う必要がある。このため、ダイナミックレンジの広い測定領域を測定する場合、多くの画像を取得しなければならず、測定時間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、この様な点に鑑みなされたもので、ダイナミックレンジの広い測定領域を測定する場合でも、高速な測定が可能な形状測定方法及び形状測定装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る形状測定方法は、広帯域スペクトルを有する光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を、撮像手段で撮像する第1の工程と、前記第1光路長と第2光路長の光路長差を光路長差変更手段で全走査区間に亘って変化させながら、前記全走査区間内に部分的に設定された複数の測定区間の干渉光強度分布画像を画像記憶手段に順次記憶する第2の工程と、前記画像記憶手段に記憶された前記各測定区間の干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度の変化を示す干渉光強度列から、前記全走査区間における前記干渉光強度列のピーク位置を求め、このピーク位置から前記被測定対象の各測定位置における光軸方向の位置を求める第3の工程とを有する事を特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る形状測定装置は、広帯域スペクトルを有する光源と、この光源からの光を被測定対象と参照面とに導くと共に、前記被測定対象及び参照面から反射された光を合成し、前記光源から前記被測定対象までの第1光路長と前記光源から前記参照面までの第2光路長との光路長差によって変化する前記被測定対象の測定面内の各測定位置に対応した干渉光強度を示す干渉光強度分布画像を生成する光学系と、前記光学系から出力される前記干渉光強度分布画像を撮像する撮像手段と、前記第1光路長と第2光路長の光路長差を全走査区間に亘って変化させる光路長変更手段と、前記全走査区間内に部分的に設定された複数の測定区間の干渉光強度分布画像を順次記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された前記干渉光強度分布画像の各測定位置における前記光路長差の変化に伴う干渉光強度の変化を示す干渉光強度列から、そのピーク値を求め、このピーク値を前記測定対象の各測定位置における光軸方向の位置として求める演算手段とを備えた事を特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、全走査区間中に部分的に設定された測定区間のみにおいて撮像を行っているため、測定時間を大幅に削減する事が可能である。
【0010】
なお、本発明に係る形状測定方法及び装置において、例えば、前記各測定区間の各測定位置における干渉光強度列から前記各測定区間の各測定位置における振幅を算出し、求められた各測定区間の各測定位置における振幅に曲線を当てはめ、この曲線のピーク位置を前記全走査区間における各測定位置の干渉光強度列のピーク位置として求める事が出来る。
【0011】
また、本発明に係る形状測定装置方法及び装置は、前記各測定区間の各測定位置の前記干渉光強度列から仮のピーク位置と特定波長の位相を算出し、前記仮のピーク位置、前記全走査区間内における前記測定区間の位置、及び前記特定波長から前記ピーク位置を算出するものであっても良い。
【0012】
上記構成によれば、測定点数の減少によって低下した測定精度を補完し、精密な立体形状測定が可能となる。
【0013】
また、本発明に係る形状測定方法及び装置は、前記被測定対象の前記撮像手段により撮像される撮像領域を複数の小領域に分割し、前記撮像手段は、全走査区間における走査方向位置に応じて撮像する小領域を切り替えて撮像し、前記記憶手段によって、前記撮像手段が撮像する区間を前記測定区間とするものであっても良い。
【0014】
上記構成によれば、参照面の走査1回分につき複数の小領域に関するデータを取得する事が可能となるため、立体形状測定の更なる高速化が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ダイナミックレンジの広い測定領域を測定する場合でも高速な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】同装置における形状測定方法を説明するための図である。
【
図3】同装置におけるサンプリング方法を示すための図である。
【
図4】同装置におけるピーク位置検出方法を示すための図である。
【
図5】同装置における形状測定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る形状測定装置における形状測定方法を説明するための図である。
【
図7】同装置における形状測定方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る形状測定装置及び形状測定方法について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る形状測定装置である白色干渉計の構成を示す図である。なお、ここでは、マイケルソン型の干渉計を示すが、ミラウ型等、他の等光路干渉計を用いることもできる。また、画像測定装置等、他の光学測定装置と併用したものでも良い。
【0019】
光源1は、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、LED等の広帯域スペクトルを有する白色光源である。光源1から出射された白色光は、コリメータレンズ2でコリメートされ、ビームスプリッタ3で2方向に分割される。一方の分割光は、被測定対象であるワーク4の測定面に照射され、他方の分割光は、参照板5の参照面に照射される。測定面及び参照面からそれぞれ反射された白色光は、ビームスプリッタ3で合成され、その際の干渉光が結像レンズ7を介してCCDカメラ8で撮像される。
【0020】
参照板5は、ピエゾ素子のような駆動手段6によって光軸方向に移動走査され、各走査位置での干渉像がCCDカメラ8によりサンプリングされ、画像メモリ9に記憶される。演算処理部10は、ワーク4の測定面の各測定位置での干渉光の強度とエンコーダ14から入力される参照板5の走査位置情報とに基づいて、ワーク4の測定面の高さ方向の位置を求める。入力部11は、演算処理部10に計測に必要なデータを入力する。出力部12は、演算処理部10で求められた測定結果を出力する。また、表示部13は、入力操作に必要な情報及び測定結果を表示する。
【0021】
次に、この白色干渉計による形状測定方法について説明する。
【0022】
光源1からの白色光は、ワーク4の測定面と参照板5の参照面で反射され、ビームスプリッタ3で合成される。そのときの干渉強度は、光源1からワーク4までの第1の光路長と、光源1から参照板5までの第2の光路長との光路長差によって決まる。第1及び第2の光路長が等しいときは、最も干渉光強度が大きくなる。干渉光強度は、参照板5をピエゾ素子6で光軸方向に移動走査することにより変化する。可干渉性の少ない白色光を使用することで、干渉縞の発生する範囲を狭くすることができる。これにより、例えば、
図2に示すように、参照面の移動走査により発生する測定面の各位置での干渉光強度の変化は、測定面の高さ(Z方向位置)に応じた位相で発生するので、測定面の各位置での干渉光強度の変化のピーク値が観測される参照面の走査位置を、測定面の対応する部位の高さとして求めることができる。
【0023】
図3は、本実施形態に係る形状測定装置におけるサンプリング方法を示すための図である。本実施形態においては、参照板5の全走査区間内に複数の測定区間21〜26が、50〜200nmピッチ程度の間隔で設定されており、参照板5がこの測定区間内21〜26に存在している時のみ撮像を行う。この時、一つの測定区間内における干渉光強度のデータの取得点数は、3点以上であることが望ましい。次に、各測定区間における観察結果からその測定区間における特徴量31〜36をそれぞれ決定する。なお、特徴量としては各測定区間での取得データの最大値−最小値や、取得データの微分絶対和、特定波長の振幅などが挙げられる。
【0024】
図4は、上記の方法で算出した特徴量からピーク位置を決定するため方法を示している。本実施形態においては、2次フィッティング等の方法を用いて、各測定区間における特徴量からピーク位置を検出する。本実施形態によれば、全走査区間中に部分的に設定された測定区間21〜26において撮像を行っているため、測定時間を大幅に削減する事が可能である。しかしながら、全走査区間において撮像を行っている訳ではないので、特徴量の最大値検出位置とピーク位置とに誤差が生じてしまう。この様にして生じた誤差は、上記の2次フィッティング等によって大幅に抑制される。
【0025】
ピーク位置を更に正確に求める為に、以下の様な方法を用いても良い。即ち、ピーク位置付近で取得したデータ群(例えば測定区間24、25において取得したデータ)に特定波長の正弦波を当てはめ、その正弦波の位相情報からピーク位置を精密に算出する方法である。この時、例えば、前述の方法で算出したピーク位置(以下、仮のピーク位置)をz、位相を計算した特定の測定データの位置をp、特定波長をλ、ピーク位置に対する位置pの位相差をΦとし、仮のピーク位置zに最も近くなる以下の位置をピーク位置として求める。なお、Nは任意の整数を表す。
【0027】
この様な方法では、まずピーク位置付近で取得したデータ群に、走査区間内における特定波長の正弦波を当てはめる。走査区間内には、ピーク位置の候補が複数個所存在するが、上記の方法によってこの複数の候補のうち、仮のピーク位置に最も近いものをピーク位置として採用する。この様な方法では、少ない測定点数でピーク位置を厳密に決定する事が可能となる。
【0028】
次に、本実施形態に係る形状測定装置の具体的な動作について説明する。
図5は、同装置における形状測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0029】
まず、参照板5を光軸方向に所定量移動する(S1)。次に参照板5が測定区間21〜26のいずれかの範囲内に存在するかどうかを検出し(S2)、参照板5が測定区間内に存在していた場合には測定面を撮像し、その干渉光強度の二次元の分布画像を画像メモリ9に記憶する(S3)。これを全走査区間についての測定が終了するまで繰り返し(S4)、所定枚の分布画像が画像メモリ9に蓄積されたら、
図3及び
図4に示すように、測定面の各測定位置における光路長差の変化に伴う干渉光強度の変化を示す干渉光強度列のピーク位置を検出する(S5)。そして、検出した各測定位置のピーク位置を測定点における高さとして表示、出力する(S6)。
【0030】
本実施形態に係る形状測定装置によれば、全走査区間中に部分的に設定された測定区間21〜26のみにおいて撮像を行っているため、測定時間を大幅に削減する事が可能である。また、このような手法においては測定精度が犠牲になる恐れもあるが、本実施形態に係る形状測定装置によれば、2次フィッティングや、特定波長の情報を用いた前述の手法によって、ピーク位置を正確に決定する事が可能となる。従って、本実施形態に係る形状測定装置によれば、測定精度を犠牲にする事無く、ダイナミックレンジの広いZ方向範囲の高速な測定、及びこれによる測定時間の大幅な短縮が可能となる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る形状測定装置について説明する。
図6は、同装置における形状測定方法を説明するための図である。本実施形態においては、形状測定装置によって観察される撮像領域を複数の小領域A〜Dに分割する。以下、本実施形態における形状観察方法について説明する。まず領域Aにおける測定区間21aについて、第1実施形態と同様に観察を行う。測定区間21aについての観察が終了した後に、観察対象の小領域(以下、観察対象領域)を領域Aから領域Bに変更し、測定区間21bについて観察を行う。以下同様に観察対象領域を切り替えながら観察を行う。全ての小領域についての観察が終了した後に再び観察対象領域を領域Aに切り替え、測定区間22aについて観察を行う。以下同様に、全小領域における全測定区間についての測定を行う。
【0032】
次に、本実施形態に係る形状測定装置の具体的な動作について説明する。
図7は、同装置における形状測定方法を説明するためのフローチャートである。基本的な動作は第1の実施形態と同じであるが、観察対象領域の確認及び変更を行う点が異なっている。
【0033】
まず、参照板5を光軸方向に所定量移動する(S11)。次に参照板5が測定区間内に存在するかどうかを検出し(S12)、参照板5が測定区間内に存在していた場合には測定面の干渉光強度の二次元の分布画像を画像メモリ9に記憶する(S13)。参照板5が測定区間内に存在していなかった場合には、観察対象領域での撮像が終了しているかどうかを確認し(S14)、終了していた場合には観察対象領域を切り替える(S15)。観察領域Dについての観察が終了したら観察対象領域を観察領域Aに戻す。これを全小領域における全測定区間についての測定が終了するまで繰り返し(S16)、所定枚の分布画像が画像メモリ9に蓄積されたら、測定面の各測定位置における光路長差の変化に伴う干渉光強度の変化を示す干渉光強度列のピーク位置を検出する(S17)。そして、検出した各測定位置のピーク位置を測定点における高さとして表示、出力する(S18)。
【0034】
本実施形態に係る形状測定装置においては、撮像素子としてCMOSカメラ等を用いると、撮像領域を狭くする事で通常のフレームレートよりも数倍高速の画像取得が可能となる。従って、この特性を活かして、CCDカメラの撮像領域を、例えば
図6に示すように4つに分割すると、フレームレートの4倍の高速化が図れる。より具体的には、フレームレート60枚/secのカメラを用いて40μmの高さ範囲を100nmピッチで測定する場合、実質フレームレートは60×4=240枚/secとなり、撮影時間は40000/100/60=6.7秒から、1.7秒まで短縮される。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第2の実施形態は、より一般的には、全走査区間における測定区間の位置を測定面の測定位置によって異ならせるということである。これにより、測定区間の分散化を図り、誤差の少ない測定が可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1…光源、2…コリメータレンズ、3…ビームスプリッタ、4…ワーク、5…参照板、6…駆動手段、7…結像レンズ、8…CCDカメラ、9…画像メモリ、10…演算処理部、11…入力部、12…出力部、13…表示部、14…エンコーダ、21〜26…測定区間、31〜36…特徴量、37…ピーク位置。