(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体チップを含む回路素子を配置し、該回路素子から垂直配線及び水平配線を介して外部電極に接続される電子デバイスパッケージに組み込んで用いるための配線用電子部品の製造方法において、
配線基材に、これを貫通するビア配線を形成し、かつ、この配線基材の内側及び外側のそれぞれに、前記ビア配線に接続される内側配線及び外側配線を形成して、この内側配線、ビア配線、及び外側配線により前記水平配線を構成し、
前記内側配線に接続されてそこから垂直方向に伸びる前記垂直配線を形成し、
前記配線基材の最外側配線形成側に、外部接続用の開口位置を除いて、ソルダーレジストを塗布し、
エチレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂、プロピレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂、及び、カチオン重合開始剤を含有する液体状の接着剤を支持板の上に必要量を垂らすか或いは塗布して、紫外線UVの照射を行なった後に押し付けて貼り合わせるか或いは貼り付けた後に紫外線UVの照射を行ない、加熱することにより、前記ソルダーレジストを塗布した前記配線基材を前記支持板に接着する、
ことから成る配線用電子部品の製造方法。
前記垂直配線は、前記配線基材の内側配線形成側にレジストを塗布し、露光、現像して、垂直配線用の開口を形成した後、前記内側配線をメッキのための電流パスとして利用して、開口内をメッキ金属によって埋めることにより形成される請求項1に記載の配線用電子部品の製造方法。
半導体チップを含む回路素子を配置し、該回路素子から垂直配線及び水平配線を介して外部電極に接続される電子デバイスパッケージに組み込んで用いるための配線用電子部品の製造方法において、
配線基材面上に前記水平配線を形成し、
前記水平配線に接続されてそこから垂直方向に伸びる前記垂直配線を形成し、
エチレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂、プロピレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂、及び、カチオン重合開始剤を含有する液体状の接着剤を支持板の上に必要量を垂らすか或いは塗布して、紫外線UVの照射を行なった後に押し付けて貼り合わせるか或いは貼り付けた後に紫外線UVの照射を行ない、加熱することにより、前記水平配線及び前記垂直配線を形成した前記配線基材を前記支持板に接着する、
ことから成る配線用電子部品の製造方法。
半導体チップを含む回路素子を配置し、該回路素子から垂直配線及び水平配線を介して外部電極に接続される電子デバイスパッケージに組み込んで用いるための配線用電子部品の製造方法において、
水平配線用下層金属と、水平配線用上層金属と、垂直配線用金属から成る少なくとも3層の金属層からなる金属積層材を形成し、
水平配線用下層金属パターンを形成し、かつ、この水平配線用下層金属パターンを形成した金属積層材を、配線基材の上に貼り付けた後、パターニングを行うことにより垂直配線部を形成し、
垂直配線部をマスクとして、水平配線用上層金属のパターニングを行うことにより、パターニングした水平配線用下層金属及び水平配線用上層金属により水平配線部を形成し、
エチレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂、プロピレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂、及び、カチオン重合開始剤を含有する液体状の接着剤を支持板の上に必要量を垂らすか或いは塗布して、紫外線UVの照射を行なった後に押し付けて貼り合わせるか或いは貼り付けた後に紫外線UVの照射を行ない、加熱することにより、前記垂直配線部及び水平配線部を形成した前記配線基材を前記支持板に接着する、
ことから成る配線用電子部品の製造方法。
【背景技術】
【0002】
LSIを使ったエレクトニクス製品の小型化・高性能化に伴い、パッケージサイズの縮小化や高密度実装が強く要求されており、様々な実装パッケージ構造が提案されている。中でも高密度化のためにLSIを積層する両面電極パッケージ(以下DFPと略す)や基板内にICやLSIを実装するIC内蔵基板が近年提案されている。これらDFPやIC内蔵基板はLSIチップ搭載基板から離れて他方に電極を取り出したり、上方基板に接続のための垂直配線、あるいは配線のための水平配線も含めた構造が必要である。一般的にDFPの垂直配線は基板に予め作りこんだ構造や樹脂封止後に樹脂を開口してメッキで埋める方法、さらにはシリコン基板を貫通させ基板の両側に電極を取り出す構造が採られている。このように従来技術では垂直配線や再配線の形成は工程が複雑でコスト高になり易い構造になっている。
【0003】
特許文献1は、有機基板を用いたIC内蔵基板構造を開示する。このIC内蔵基板構造は、垂直配線として半田ボールや金属ポスト構造を挙げているが、上下の基板には製造工程の途中では支持板に相当する厚い金属層を設けており、上下の基板を接続後に厚い金属層を除去する工程が必要である。このためプロセスが複雑で大きなコスト要因となっている。
【0004】
このような問題点を解決するために、特許文献2は、両面電極パッケージDFPやウエハレベルチップサイズパッケージ(以下WLCSPと略す)の構造形成のための追加工程となる垂直配線や再配線を部品として集約させ、工程を簡素化した配線用電子部品を開示する。
図40(A)及び(B)は、特許文献2に開示の配線用電子部品の側面断面図及び斜視図をそれぞれ示している。この配線用電子部品は、電鋳法を用いて、複数の垂直配線及びそれに接続される水平配線を導電性材料の支持板により一体に連結して構成される。電鋳法を用いて構成したことによって、配線用電子部品が電子デバイスパッケージに組み込まれた後の工程において、水平配線や垂直配線のような配線部と支持板の剥がしが、熱や圧力で容易に行うことができる。これによって、複数個の垂直配線と水平配線が所定の位置で配線される。
【0005】
一般的に、半導体製造プロセスは、LSIを作りこむ前工程と、それをパッケージングする後工程に分かれるが、後工程メーカで前工程もカバーできる専業メーカは少ない。従来のウエハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP)のような電子デバイスパッケージの製造は、ウエハ上で再配線や垂直配線メッキ等の処理をするプロセス、すなわち前工程に近い設備を必要とし、従来の後工程設備だけではできなかったが、特許文献2に開示のような配線用電子部品を用いることにより、その製造を、専門メーカに任せることでコスト低減も実現することができる。この部品化によりWLCSPなどは前工程に近い設備が必要な工程をオフラインで部品に集約することができ、これによって、後工程メーカも大きな投資の必要なく参入できることになる。しかし、特許文献2に開示のような配線用電子部品は、電鋳とかメッキのようなコスト的に高価なプロセスを必要とする。また電鋳による場合、支持板を剥離するときに専用の装置を必要とし、この面でも工程が増えコスト増の要因となっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を具体化する配線用電子部品の第1の例を示す図であり、(A)及び(B)は1個の電子デバイスパッケージのための単体パターンの側面断面図及び斜視図をそれぞれ示している。
【
図2】配線基板に両面配線を形成した状態で示す図である。
【
図3】垂直配線を形成するためのレジストの塗布及び垂直配線用の開口の形成を説明する図である。
【
図4】開口内をメッキ金属によって埋めた状態で示す図である。
【
図5】垂直配線のためのレジストを除去した状態で示す図である。
【
図6】配線基板外側へのソルダーレジストの塗布を説明する図である。
【
図9】支持板の上に配線基板を貼り付ける前の状態を示す図である。
【
図10】支持板の上に配線基板を貼り付けた後の状態を示す図である。
【
図11】本発明を具体化する配線用電子部品の第2の例を示す図であり、1個の電子デバイスパッケージのための単体パターンの側面断面図である。
【
図14】垂直配線を形成するためのレジストの塗布、及び垂直配線用の開口の形成を説明する図である。
【
図15】垂直配線のメッキを行なって開口内をメッキ金属で埋めた状態で示す図である。
【
図16】垂直配線のためのレジストを除去した状態で示す図である。
【
図17】下層金属層のエッチングを説明する図である。
【
図18】支持板の上への接着剤滴下を説明する図である。
【
図20】支持板の上に配線基板を貼り付ける前の状態を示す図である。
【
図21】支持板の上に配線基板を貼り付けた後の状態を示す図である。
【
図22】3層の金属層を積層した金属積層材を例示する図である。
【
図23】水平配線用下層金属パターン形成を示す図である。
【
図24】金属積層材を、薄膜テープの上に貼り付けた状態で示す図である。
【
図25】垂直配線部のパターニングを行った状態で示す断面図である。
【
図26】水平配線用上層金属パターン形成を示す図である。
【
図27】支持板の上に配線基板を貼り付ける前の状態を示す図である。
【
図28】完成した配線用電子部品の第3の例を示す断面図である。
【
図29】多層有機基板上にLSIチップを接着しかつ接続した状態で示す図である。
【
図30】多層有機基板上に配線用電子部品の垂直配線を固定し、接続した状態で示す図である。
【
図32】支持板を剥離した後の状態で示す図である。
【
図33】有機基板の裏面側及びおもて面側に形成した外部接続用のバンプ電極を示す図である。
【
図34】基板上にLSIチップを接着し、かつ接続した状態で示す図であり、(A)は断面図を、(B)は斜視図を示している。
【
図35】配線用電子部品の第2の例を半導体LSIチップを装着した基板上に配置した状態で示す図である。
【
図36】配線用電子部品を、半導体LSIチップを装着した半導体基板上に接続した状態で示す図である。
【
図38】支持板を剥離した後の状態で示す図である。
【
図39】完成した電子デバイスパッケージを示す断面図である。
【
図40】(A)及び(B)は、特許文献2に開示の配線用電子部品を示す側面断面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示に基づき本発明を説明する。
図1は、本発明を具体化する配線用電子部品の第1の例を示す図であり、
図1(A)及び(B)は1個の電子デバイスパッケージのための単体パターンの側面断面図及び斜視図をそれぞれ示している。なお、単体パターンとして例示したが、実際の製造においては、多数個連結した状態で組み立てられて、最終或いは最終近くのプロセスで、個々に切り分ける個片化が行われる。図示のように、配線基板上に水平配線と、これに接続された垂直配線を備えている。図示の例の水平配線は、配線基板の内側に形成された内側配線と、その反対側に形成された外側配線と、配線基板を貫通して内側配線と外側配線を接続するビア配線により構成されている。このように、本明細書において、垂直配線が接続される側を、配線基板の内側と言い、その反対側の支持板が接続される側を外側と言う。配線用電子部品が電子デバイスパッケージに組み込まれた際には、例えば
図30に示されるように、支持板側が外側となる。これら内側配線、ビア配線、及び外側配線により、垂直配線位置から配線基板外側の任意の位置にまで再配線する水平配線が構成されている。このような外側配線を備えた配線基板の外側には、ソルダーレジストを塗布し、さらにその上に、温水で剥離容易なエチレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂A、プロピレングリコール骨格を有し両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂B、及び、カチオン重合開始剤Cを含有する接着剤を用いて、支持板が接着されている。更に、分子量が200から10,000のポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールDを加えても良い。上記A,B,C、Dの成分比は特に限定されるものではないが、成分Aを100重量部とするとBが10〜70重量部、Dが10〜80重量部である。光カチオン開始剤CはAとBの合計に対し0.1から10重量部である。本接着剤を剥離させる時に触れさせる水の温度は、30〜85℃、特に好ましくは、40から80℃である。
【0020】
支持板は、配線基板に剛性を付与して、平坦性を維持することのできる材料であれば、導電性、絶縁性のいずれの材料、例えば、平坦度の良いステンレス板などを用いることができる。このような配線基板は、電子デバイスパッケージに組み込んで用いられるが、その際、図示のような配線基板が多数個連結した状態で組み込まれ、製造の最終或いは最終近くのプロセスで、個々のデバイスに切り分ける個片化によって分離される。それ故に、多数個連結した状態で電子デバイスパッケージに組み込まれる際には、配線基板にある程度の剛性を備えた支持板が必要となる。
【0021】
次に、
図1に示すような配線用電子部品の製造について、
図2〜
図10を参照して、説明する。
図2は、配線基板に両面配線を形成した状態で示す図である。配線基材として機能する配線基板は、例えば、ポリイミド材、或いはガラスエポキシ材(ガラス繊維にエポキシ樹脂などを含浸させた材料のプリプレグ材)である。この配線基板には、これを貫通するビア配線を、例えば銅Cuによって形成する。また、この配線基板の内側及び外側のそれぞれに、ビア配線に接続される内側配線及び外側配線を、例えば銅Cuにより形成する。この内側配線、ビア配線、及び外側配線により、水平配線が構成される。
【0022】
次に、
図3に示すように、垂直配線を形成するためのレジストを塗布し、露光、現像して、垂直配線用の開口を形成する。
【0023】
次に、
図4に示すように、内側配線をメッキのための電流パスとして利用し、垂直配線のメッキを行なって、開口内をメッキ金属(例えば、水平配線と同材質の銅Cu)によって、埋める。
【0024】
次に、
図5に示すように、垂直配線のためのレジストを除去する。このように、垂直配線は、リソグラフィによって形成することができる。或いは、垂直配線は、垂直配線部を開口したマスク(例えばレジストマスクやプラスチック或いは金属の材質を用いたもの)を、
図2の上に配置して開口内を導電性ペースト、例えば銅ペーストを用いて充填し、しかる後に補強と低抵抗化のために垂直配線周りをメッキすることでも形成される。
【0025】
次に、
図6に示すように、配線基板外側に、ソルダーレジストを塗布するが、バンプ電極(
図33参照)が形成される位置に開口を形成する。ソルダーレジストは、電子回路基板表面の特定領域に施す耐熱性被覆材料であり、例えば、半田塗布の際にこの部分に半田が付着しないようにカバーする樹脂として用いられているような周知の材料のものである。
【0026】
次に、配線基板外側に支持板を接着して貼り付ける。このため、まず、
図7に示すように、液体状の接着剤をステンレスSUS等の支持板の上に必要量を垂らすか、あるいは塗布する。
【0027】
次に、
図8に示すように、水分で剥離する性能を発現させるための紫外線UVの照射を行なう。使用するランプは高圧水銀灯又はメタルハライドランプである。このときの照射量は365nm換算で1500から4500mjである。次に、接着剤を滴下した支持板の上に、ソルダーレジスト塗布済みの配線基板の位置を合わせて、押し付けて貼り合わせ加熱する。接着剤の硬化を目的とする加熱温度は85度前後で良い。あるいはシート状にして配線基板と支持板を貼付け、紫外線UVの照射を行なった後加熱する。
図9は、貼り付ける前の状態を示し、
図10は、貼り付けた後の状態を示している。貼り付けた後、液体状の接着剤は、支持板と配線基板の間の全面に延伸される。配線基板に設けたソルダーレジスト層には、外部電極用の開口による数10μ以上の凹凸部が存在する。その凹凸を吸収するためには液体の方が良い。また支持板と配線基板の平行度は重要であるため、接着剤液の中に球状のスペーサ(例えば、積水化学製ミクロパール)を入れても良い。スペーサの大きさは10μmから100μmくらいの大きさである。接着剤100重量部に対し0.01重量部から5重量部がスペーサの添加量である。
【0028】
これによって、
図10に示すように、配線用電子部品の第1の例が完成する。
図1を参照して前述したのと同じものである。用いた接着剤は、固まった後は水分で膨潤する性質を持っている。具体的には水分に触れると吸湿し、膨潤する。配線用電子部品は、電子デバイスパッケージに組み込んだ後の工程で、水分に触れさせて、膨潤させることにより、接着力は失われ、水に漬けておくだけで自己剥離に至る。このとき水の温度を上げれば剥離までの時間が短くなる。このように、ここで、配線基板外側に支持板を貼り付けるために用いた接着剤は、水分で剥離するために部品製作の途中工程では水分に触れないことが望ましい。このため水平配線や垂直配線の加工後の最後に貼り合せることが望ましい。
【0029】
さらに剥離を容易にするために予め支持板の表裏両面に接着剤を塗布あるいは浸漬し、UV照射後に加熱乾燥したものを用いても良い。これは、樹脂封止時に(
図31参照)、支持板の側面に封止樹脂が周り込んだ場合、接着剤が表面に露出せず、剥離時に水分に触れない可能性が生じ、それを避けるためである。即ち、支持板の側面や上面も剥離容易な接着剤で覆っておくことにより、封止樹脂が支持板の側面や一部上面に周りこんでも、必ず水に触れる面が確保されて、剥離を容易にするためである。
【0030】
図11は、本発明を具体化する配線用電子部品の第2の例を示す図であり、1個の電子デバイスパッケージのための単体パターンの側面断面図である。図示の配線用電子部品の第2の例は、第1の例と同様に、配線基板の内側に内側配線を備えているが、その外側には外側配線を備えていない点で、第1の例とは相違する。即ち、水平配線は、内側配線のみによって構成されている。内側配線には、第1の例と同様に、垂直配線が接続されている。このような配線基板の外側には、第1の例と同様に、温水で剥離容易な接着剤を用いて、支持板が接着されている。
【0031】
次に、
図11に示すような配線用電子部品の製造について、
図12〜
図21を参照して、説明する。まず、
図12に例示のように、下層金属層を形成した配線基板(例えば、銅箔付ポリイミド基板)を用いる。
【0032】
次に、
図13に示すように、銅箔(下層金属層)の上に、それとは異なる材質の別の上層金属層(例えば、銅箔に対してはニッケルNi)を加工する。この上層金属層は、後述するように、下層の銅箔のエッチング用マスクとして使用できるものであれば良く、下層金属と上層金属の組み合わせは、例示した銅とニッケルの組み合わせ以外にも、例えばCuとAu,AgやCrとCu、CrとNi等選択エッチング性の高い材料の組合せであれば良い。
【0033】
上層金属層の加工は、以下の垂直配線形成プロセスと同様にして、下層金属層(銅箔)の上にレジストを塗布し、露光し、現像してレジストに水平配線パターンの開口を形成し、さらに下層金属層をメッキのための電流パスとして利用し、メッキにより開口内を金属により埋めることにより行うことができる。この段階で、配線基板に、バンプ電極(
図39参照)のための開口を予めしておいても良い。
【0034】
次に、
図14に示すように、垂直配線を形成するためのレジストを塗布し、露光し、現像して、垂直配線用の開口を形成する。
【0035】
次に、
図15に示すように、上層金属層をメッキのための電流パスとして利用し、垂直配線のメッキを行なって、開口内をメッキ金属(例えば、上層金属と同一のニッケルNi)で埋める。
【0036】
次に、
図16に示すように、垂直配線のためのレジストを除去する。
【0037】
次に、
図17に示すように、上層金属層パターンをマスクとして下層金属層のエッチングを行なう。エッチング液を選択することにより、垂直配線用金属或いは上層金属をエッチングすることなく、下層金属層のみをエッチングすることが可能である。結果的に、下層金属層と上層金属層の両方のパターンは、全く同じパターンとなり、重なる形となり、この両者により内側配線(水平配線)が構成される。
【0038】
次に、配線基板外側に支持板を接着して貼り付ける。このため、まず、
図18に示すように、液体状の接着剤をステンレスSUS等の支持板の上に必要量を垂らすか、あるいは塗布する。
【0039】
次に、
図19に示すように、紫外線UVの照射を行なう。
【0040】
次に、
図20に示すように、接着剤を滴下した支持板の上に、
図17に示すように形成された配線基板の位置を合わせて、押し付けて貼り合わせて加熱する。あるいはシート状にして貼付け、紫外線UVの照射を行なった後加熱する。
図20は、貼り付ける前の状態を示し、
図21は、貼り付けた後の状態を示している。液体状の接着剤は、支持板と配線基板の間の全面に延伸される。
【0041】
これによって、
図21に示すように、配線用電子部品の第2の例が完成する。これは、
図11を参照して前述したのと同じものである。ここで用いた接着剤は、第1の例において説明したのと同じものであり、温水で剥離容易な接着剤である。
【0042】
次に、本発明を具体化する配線用電子部品の第3の例の製造について、
図22〜
図28を参照して、順次説明する。
図22に示すように、まず、水平配線用下層金属(例えば、薄膜銅)と、水平配線用上層金属(例えば、薄膜ニッケル)と、垂直配線用金属(例えば、厚膜銅)から成る少なくとも3層の金属層からなる金属積層材を形成する。これは、例えば、3層の金属層を貼り合わせて形成したクラッド材である。クラッド材とは、周知のように、異なる種類の金属を圧接加工により張り合わせた材料のことである。このような金属積層材は、クラッド材に限らず、例えば、メッキによって積層した金属積層材のように、3層の金属層を一体に積層したものであれば、どのような金属積層材も使用可能である。水平配線用下層金属及び水平配線用上層金属は導電性を有する必要があることに加えて、水平配線用下層金属は水平配線用上層金属のエッチング用マスクとして使用できるものであれば、水平配線用下層金属と水平配線用上層金属の組み合わせは、例示した銅とニッケルの組み合わせ以外にも、例えばCuとAu,AgやCrとCu、CrとNi等選択エッチング性の高い材料の組合せであれば良い。また、垂直配線用金属としては、水平配線用上層金属とは異なる材質であれば、水平配線用下層金属と同一であっても問題はなく、例えば銅などの導電性金属が使用可能である。また、水平配線用下層金属と水平配線用上層金属は、いずれも単一金属層により形成する必要は必ずしも無く、いずれかの表面にAuやAg等といった導電性の良い金属を形成することも可能である。
【0043】
図23は、水平配線用下層金属パターン形成を示す図である。この下層金属パターン形成は、リソグラフィにより行う。この際、水平配線用上層金属(例えば、ニッケル)は、水平配線用下層金属(例えば、銅)とは異なるエッチングレートの金属から選ばれる。エッチング液を選択することにより、水平配線用上層金属をエッチングすることなく、水平配線用下層金属のみをエッチングすることが可能である。さらに、水平配線用上層金属は、エッチングストッパのように機能するので、垂直配線用金属と水平配線用下層金属が同一金属(例えば、銅)で形成されていても、垂直配線用金属がエッチングされることはない。
【0044】
次に、
図24に示すように、下層金属パターンを形成した金属積層材を、配線基材として機能する薄膜テープの上に、接着強度の大きな接着剤を用いて貼り付ける。薄膜テープは、完成製品(電子デバイスパッケージ)において水平配線部(再配線)を覆う保護膜として機能する。
【0045】
また、この段階で、薄膜テープのバンプ電極(
図39参照)形成位置を予め開口しておいても良い。あるいは、
図39に示すように、この開口はパッケージ製造工程の最後の半田ボール(バンプ電極)付けの前に行なっても良い。
【0046】
次に、
図25に示すように、垂直配線部のパターニングを行う。垂直配線部のパターニングは、リソグラフィによって行う。このため、垂直配線用金属の表面に、垂直配線部形成用のレジストを塗布し、パターンを露光、現像してさらにエッチングを行い、レジストを除去して、垂直配線用金属の配線パターンを完成させる。エッチング液を選択することにより、水平配線用上層金属をエッチングすることなく、垂直配線用金属のみをエッチングすることが可能である。
【0047】
次に、
図26に示すように、水平配線部上層金属のパターニングを行う。水平配線部上層金属のパターニングは、垂直配線部をマスクとして、上層金属の全面エッチングにより行なう。これによって垂直配線部の直下以外の上層金属は削除される。水平配線部は、上述したようにパターニングした下層金属と、垂直配線部直下の上層金属により形成される。
【0048】
次に、薄膜テープ(配線基材として機能)外側に支持板を接着して貼り付ける。このため、上述の第1の例及び第2の例と同様に、液体状の接着剤をステンレスSUS等の支持板の上に必要量を垂らすか、あるいは塗布した後、紫外線UVの照射を行なう。この接着剤を滴下した支持板の上に、薄膜テープの位置を合わせて、押し付けて貼り合わせ加熱する。あるいはシート状にして貼付け、紫外線UVの照射を行なった後加熱する。
図27は、貼り付ける前の状態を示し、
図28は、貼り付けた後の状態を示している。液体状の接着剤は、支持板と配線基板の間の全面に延伸される。これによって、
図28に示すように、配線用電子部品の第3の例が完成する。ここで用いた接着剤は、第1の例或いは第2の例において説明したのと同じものであり、温水で剥離容易な接着剤である。この支持板は、電子デバイスパッケージ製造のための樹脂封止工程後に、剥離して除去する。
【0049】
以上説明したような本発明の配線用電子部品は、種々の電子デバイスパッケージに組み込んで使用することができる。以下、第1の例の配線用電子部品を有機基板タイプの電子デバイスパッケージに組み込んだ例を実施例1として、また、第2の例の配線用電子部品を片面配線基板タイプの電子デバイスパッケージに組み込んだ例を実施例2として説明する。これら実施例1及び実施例2以外にも、本発明の配線用電子部品は、例えば、特許文献1に開示されているようなリードフレームタイプの電子デバイスパッケージとか、或いはウエハレベルチップサイズパッケージ等の種々のタイプの電子デバイスパッケージに組み込んで使用することができる。
【実施例1】
【0050】
図29〜
図33を参照して、第1の例の配線用電子部品(
図1参照)を、有機基板タイプの電子デバイスパッケージに組み込んだ場合を例として、その製造について説明する。
図29は、多層有機基板上にLSIチップを接着しかつ接続した状態で示す図である。LSIチップは、多層有機基板上にダイボンド材により接着して、有機基板の最上層の配線パターンとはボンディングワイヤにより接続するものとして例示している。多層または単層有機基板の最上層の配線パターンに、ボンディングワイヤ接続電極となるボンディング用金属パッド部が形成されると共に、該パッド部への配線が形成される。この多層または単層有機基板の内側の金属パッド部と、LSIチップは、Auボンディングワイヤにより接続される。或いは、LSIチップは、有機基板に対してフリップチップボンド接続することもできる(図示省略)。
【0051】
多層または単層有機基板は、単層2層配線構造や複数層から成る基板の各層に、それぞれ配線パターンを形成した後これらの基板を貼り合わせ、必要に応じて各層の配線パターンを接続するためのスルーホールを形成したものである。このスルーホールの内部には導体層が形成され、この導体層が外側面に形成された端面電極部であるランドと接続されている。
【0052】
図30は、LSIチップを接着しかつ接続した多層有機基板上に、
図1に示した配線用電子部品の垂直配線を固定し、接続した状態で示す図である。垂直配線は、有機基板の配線パターンの所定の位置に、半田接続或いは銀ペースト等の導電性ペーストによる接続等により、固定されかつ電気的に接続される。垂直配線が有機基板の配線パターン上の所定の位置に配置した接続電極用金属パッド部に固定された段階では、電子デバイスパッケージ全体が、板状の支持板により一体に連結されている。
【0053】
図31は、樹脂封止した状態で示す図である。一体に連結されている配線用電子部品の垂直配線が固定された後、この状態で、有機基板の上面は、配線基板の下面までトランスファーモールドされ、或いは液状樹脂(材質は、例えばエポキシ系)を用いて樹脂封止される。
【0054】
図32は、支持板を剥離した後の状態で示す図である。上述したように、本発明の配線用電子部品の支持板は、温水で容易に剥離可能の接着剤を用いて貼り付けられているので、
図31に示す構成全体を、水あるいは温水に沈め、膨潤させることにより、接着力は失われ、支持板は自己剥離する。このとき水の温度を上げれば剥離までの時間が短くなる。実施例1に用いた接着剤の組成を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
この段階の構成により、完成製品として使用可能である。このように、所定の剛性を有する支持板により一体になった配線用電子部品を形成し、そして、この電子部品を、LSIチップが搭載された多層基板に接続した後、支持板と多層基板の間に樹脂を充填して、樹脂が固化した後に、剛性を必要としなくなった支持板が剥がされる。配線用電子部品のソルダーレジストは、完成製品の保護膜として機能する。ソルダーレジストに設けられている開口において露出した外側配線を外部電極として用いることができる。
【0057】
この後、
図33に示すように、有機基板の裏面側およびおもて面側においては、そこに形成された端面電極部(ランド)に外部接続用のバンプ電極(外部電極)を形成することができる。この後、さらに、チップ個片化のための切断を行って、製品として完成させる。
【実施例2】
【0058】
次に、
図34〜
図39を参照して、第2の例の配線用電子部品(
図11参照)を、片面配線基板タイプの電子デバイスパッケージに組み込んだ場合を例として、その製造について説明する。
図34は、基板上に、電子部品として半導体チップ(LSIチップ)を接着し、かつ接続した状態で示す図であり、(A)は断面図を、(B)は斜視図を示している。例示の基板は、上面に配線層を形成したシリコン基板(半導体基板)として例示している。
【0059】
半導体基板上に配線層を形成するために、半導体基板の全面に、配線パターンとなるべき金属のシード層を形成する(例えばスパッタ層あるいはナノ金属材料を塗膜)。このシード層としては、例えば、銅メッキを可能とする金、銀、銅、パラジューム箔を用いることができる。配線層のパターンはシード層の上にレジストを塗布し、パターンを露光、現像してさらにエッチングを行い、レジストを除去して完成させる。このシード層の上にメッキにより配線層を成長させる。或いは、ナノ金属粒子で直接シード層をパターニングにしてリソグラフィ工程を省略することもできる。この直接パターニングは、有機溶媒中に銅等のナノ金属粒子を含有させて、それをプリンターで実用されているインクジェット法で所望のパターンを描く方法である。
【0060】
半導体LSIチップは、基板上の配線層とはフリップチップボンド接続するものとして例示している。このフリップチップボンド接続に代えて、基板上の配線層に、ボンディングワイヤ接続電極となるボンディング用金属パッド部を形成して、ボンディングワイヤにより接続することも可能である。この場合、配線層上の金属パッド部と半導体LSIチップは、例えば、Auボンディングワイヤにより接続される。
【0061】
図35は、上述の配線用電子部品の第2の例(
図11参照)を、半導体LSIチップを装着した基板(
図34参照)上に配置した状態で示す図である。なお、ここでは、配線用電子部品の第2の例を用いるものとして説明するが、配線用電子部品の第1の例(
図1参照)或いは第3の例(
図28参照)も同様に用いることができる。
【0062】
図36は、配線用電子部品を、半導体LSIチップを装着した半導体基板上に接続した状態で示す図である。なお、図示したように、基板側を裏面として、その上に配置される配線用電子部品側をおもて面と称する。基板上面に形成した配線層の所定の位置には、配線用電子部品の垂直配線が固定され、かつ電気的に接続される。垂直配線を固定及び接続する手法としては、(1)超音波による接合、(2)銀ペースト等の導電性ペーストによる接続、(3)半田接続、(4)半導体基板側に設けた接続電極用金属パッド部に凹部を設ける一方、配線用電子部品側は凸部を設けて挿入圧着あるいは挿入してカシメる方法、により行うことができる。
【0063】
図37は、樹脂封止した状態で示す図である。一体に連結されている垂直配線が配線層の所定の位置に固定された後、この状態で、基板の上面は、支持板の下面までトランスファーモールドされ、或いは液状樹脂(材質は、例えばエポキシ系)を用いて樹脂封止される。
【0064】
図38は、支持板を剥離した後の状態で示す図である。例えば、実施例1について上述したように、
図37に示す構成全体を水あるいは温水に沈めることにより、支持板を剥離する。実施例2に用いた接着剤の組成を表2に示す。これにより
図38の上側に露出した配線基板(或いは
図28に示す薄膜テープ)は、完成製品の保護膜として機能する。配線用電子部品の第1の例(
図1参照)を用いた場合には、ソルダーレジストが保護膜となる。
【0065】
【表2】
【0066】
図39は、完成した電子デバイスパッケージを示す断面図である。
図39に示すように、おもて面側においては、保護膜(配線基板)に穴を空け、開口により露出した水平配線と接続される外部接続用電極(バンプ電極)を形成する。この水平配線により、垂直配線先端とは異なる位置に外部接続用電極を設けることができる。