特許第5666086号(P5666086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666086
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】シリコンウェハ洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20150122BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20150122BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H01L21/304 647Z
   H01L21/304 642A
   H01L21/304 648F
   H01L21/304 648Z
   B01F15/02 C
   B08B3/10 Z
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2008-330560(P2008-330560)
(22)【出願日】2008年12月25日
(65)【公開番号】特開2010-153615(P2010-153615A)
(43)【公開日】2010年7月8日
【審査請求日】2011年6月6日
【審判番号】不服2013-5952(P2013-5952/J1)
【審判請求日】2013年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榛原 照男
【合議体】
【審判長】 松本 貢
【審判官】 加藤 浩一
【審判官】 飯田 清司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−136255(JP,A)
【文献】 特開2007−175651(JP,A)
【文献】 特開2003−225546(JP,A)
【文献】 特開2003−265939(JP,A)
【文献】 特開2005−288394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/304
B08B3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イクロバブル生成装置を備えるシリコンウェハを洗浄するシリコンウェハ洗浄装置であって、
前記マイクロバブル生成装置は、
マイクロバブルを生成するマイクロバブル生成機構と、
前記マイクロバブル生成機構によって生成されたマイクロバブルを導出するために前記マイクロバブル生成機構に接続された導出導管とを備え、
前記マイクロバブル生成機構はマイクロバブルを外部に噴出する噴出口を備え、前記導出導管は互いに連通する拡幅部と管部とを備え、前記拡幅部はマイクロバブルの流路断面積が前記管部より大きく、前記マイクロバブル生成機構は前記拡幅部に接続されており、 前記シリコンウェハ洗浄装置は、さらに
被洗浄体としてのシリコンウェハを収容する、洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽内の洗浄液を循環する、ポンプ及び管路を有するポンプ装置とを備え、
前記マイクロバブル生成装置は、前記ポンプ装置の管路に設けられていることを特徴とするシリコンウェハ洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル生成装置、及び該マイクロバブル生成装置を備えるシリコンウェハ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンウェハを用いた半導体LSIの製造技術においては、より大口径のウェハの使用やより微細な加工技術が必要となってきている。さらに工程の複雑化に伴う製品の品質の維持向上、生産コストの低減等の問題の解決もまた必要となってきている。
【0003】
特にシリコンウェハを用いた半導体LSIの製造技術の多くの分野において、種々の溶液による処理を含むいわゆるウェット処理工程が必須の工程となっている。かかるウェット処理工程のうち特に重要な工程は洗浄工程、エッチング工程等である。従来これらのウェット処理工程においては主に溶液の種類、濃度、又は処理温度、時間等の選択の点において改良が重ねられてきている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら近年のさらなる微細な加工技術の必要性、工程の複雑化、高清浄化、低コスト化に伴う要求を満たすにはこれら従来技術では十分ではなかった。さらに近年では、環境保護対策の厳格化、廃液処理の低コスト化の要求により、希薄薬液洗浄、薬液レス洗浄等の処理が望まれてきている。
【0004】
また、近年、マイクロバブルを半導体洗浄に応用する研究開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来のマイクロバブルを用いた洗浄装置においては、マイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置のノズルは洗浄槽内の底に設置されており、洗浄槽内においてマイクロバブル生成装置がスペースを取るため、他の装置の設置の際に障害となり、装置の設置に手間がかかっていた。この不都合を解消するために、洗浄槽とは別にバッファータンクが設けられ、このバッファータンク内にマイクロバブル生成装置が設けられている洗浄装置がある。しかしながら、この洗浄装置は、より大きな設置スペースを必要としていた。このため、マイクロバブル生成装置を洗浄槽内の洗浄液を循環させるための管路内に配置するインライン配置が好ましく、従来、インライン配置されたマイクロバブル生成装置を有する洗浄装置があった。
【非特許文献1】服部毅編著「新版シリコンウェハ表面のクリーン化技術」リアライズ社(2000)
【特許文献1】特開2008−103701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マイクロバブル生成装置を狭い管路中に設置すると、マイクロバブルがマイクロバブル生成装置の吹き出し口付近で合体し、バブルサイズが大きくなってしまっていた。特に渦流を伴うマイクロバブル生成装置の場合、渦流によるコアンダー効果によりバブルが管路の中心に集められ、バブルサイズがより大きくなってしまっていた。このため、従来の洗浄装置においては、マイクロバブルの生成効率が落ちてしまい、シリコンウェハの洗浄性能が低くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、マイクロバブルの生成効率を向上させることができ、シリコンウェハの洗浄性能を向上させることができるマイクロバブル生成装置及びシリコンウェハ洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、マイクロバブルを生成するマイクロバブル生成機構と、前記マイクロバブル生成機構によって生成されたマイクロバブルを導出するために前記マイクロバブル生成機構に接続された導出導管とを備え、前記マイクロバブル生成機構はマイクロバブルを外部に噴出する噴出口を備え、前記導出導管は互いに連通する拡幅部と管部とを備え、前記拡幅部はマイクロバブルの流路断面積が前記管部より大きく、前記マイクロバブル生成機構は前記拡幅部に接続されていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記拡幅部におけるマイクロバブルの流路軸と前記管部におけるマイクロバブルの流路軸とが互いに同一方向に延びるように、前記マイクロバブル生成機構及び前記管部が前記拡幅部に接続されている。
【0009】
より好ましくは、前記拡幅部におけるマイクロバブルの流れ方向と、前記管部におけるマイクロバブルの流れ方向は、互いに逆方向である。
【0010】
また、好ましくは、前記拡幅部におけるマイクロバブルの流路軸と前記管部におけるマイクロバブルの流路軸とが互いに交差するように、前記マイクロバブル生成機構及び前記管部が前記拡幅部に接続されている。
【0011】
より好ましくは、前記拡幅部における流路軸と前記管部における流路軸とが互いに直交するように、前記マイクロバブル生成機構及び前記管部が前記拡幅部に接続されている。
【0012】
好ましくは、前記マイクロバブル生成機構は、前記噴出口が前記管部におけるマイクロバブルの流路軸線上から外れるように前記拡幅部に接続されている。
【0013】
また、好ましくは、前記拡幅部は流路断面が円形である。
【0014】
また、好ましくは、前記管部は前記拡幅部において前記噴出口の近傍に設けられている。
【0015】
本願発明に係るシリコンウェハ洗浄装置は、上述のマイクロバブル生成装置を備えるシリコンウェハを洗浄するシリコンウェハ洗浄装置であって、被洗浄体としてのシリコンウェハを収容する、洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄液を循環する、ポンプ及び管路を有するポンプ装置とを備え、前記マイクロバブル生成装置は、前記ポンプ装置の管路に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、マイクロバブルを生成するマイクロバブル生成機構が、生成されたマイクロバブルを導出するための導出導管おいて、マイクロバブルの流路断面積が管部より大きい拡幅部に接続されているので、マイクロバブル生成装置の噴出口から噴出されたマイクロバブルは、拡幅部内において互いに干渉することなく分散される。このため、従来のように生成されたマイクロバブルが互いに合体して洗浄効果の低い大きなバブルサイズのバブルになることを防止でき、生成されたマイクロバブルは、拡幅部において、バブルサイズを保持して安定化し、洗浄効果の高い小さなバブルサイズのマイクロバブルを管部から外部に供給することができる。このように、本願発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、洗浄効果の高い小さなバブルサイズのマイクロバブルを外部に提供することができ、マイクロバブルの生成効率を向上させることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、構造が簡単であり、装置を小型化することができ、適用する装置、例えばシリコンウェハの洗浄装置において、装置の配置の自由度を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明に係るシリコンウェハ洗浄装置によれば、洗浄性能を向上させることができる。また、装置を小型化することができ、装置設計の自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図であり、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は正面図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1は、マイクロバブルMを生成するマイクロバブル生成機構10と、マイクロバブル生成機構10によって生成されたマイクロバブルMを外部に導出するための導出導管20とを備える。
【0022】
マイクロバブル生成機構10は、生成したマイクロバブルを外部に噴出するための噴出口11を備える。マイクロバブル生成機構10は、液体及び気体が供給され、この液体と共に、直径がμmオーダーの微小な気泡を噴出する。マイクロバブル生成機構10は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴うものが好ましく、例えば、旋回液流式、スタティックミキサ式、エジェクタ式、キャビテーション式、ベンチュリ式、遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせ、加圧溶解式のマイクロバブル発生法を利用するものが好ましい。後述のシリコンウェハ洗浄装置においては、生成されたマイクロバブルを含有する液体を洗浄槽に搬送する必要があり、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴う場合、洗浄槽にマイクロバブルを搬送するための追加の搬送装置等を省略することができるからである。但し、マイクロバブル生成機構10は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴わない、液体が静止しているものであってもよい。この場合、後述のシリコンウェハ洗浄装置において、マイクロバブルを含有する液体を洗浄槽に搬送するための搬送装置が必要になる。このような、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴わない、液体が静止しているマイクロバブル生成機構10としては、細孔式、回転式、超音波式、蒸気凝縮式、電気分解式のマイクロバブル発生法を利用するものがある。
【0023】
また、導出導管20は、拡幅部21と、管部22とを備える。導出導管20において、拡幅部21と管部22とは互いに接続されており、互いに連通している。マイクロバブル生成機構10は、拡幅部21に接続されており、噴出口11から拡径部21内に軸zを中心軸として円錐形状に広がるマイクロバブルMを噴出する。
【0024】
拡幅部21は、軸zを中心軸とする中空円柱形であり、底面23、24と、円筒形の周面25とを有し、拡幅部21の一方の底面23を介してマイクロバブル生成機構10の噴出口11が連通しており、他方の底面24を介して管部22が連通している。マイクロバブル生成機構10の噴出口11は、軸zを中心軸とする円筒状の開口であり、管部22は、軸zを中心軸とする円筒状の管である。つまり、マイクロバブル生成装置1において、拡幅部21内を流れるマイクロバブルの流路軸と、管部22内を流れるマイクロバブルの流路軸とは、同一の軸zであり、マイクロバブルは、互いに同一方向に流れるようになっている。
【0025】
導出導管20において、拡幅部21のマイクロバブルの流路断面の面積、即ち、マイクロバブルの流路軸である軸zに直交する断面の面積は、管部22のマイクロバブルの流路断面の面積、即ち、マイクロバブルの流路軸である軸zに直交する断面の面積より大きい。また、拡幅部21の流路断面の面積は、マイクロバブル生成機構10の噴出口11の軸zに直交する断面(流路断面)の面積よりも大きい。更に、拡幅部21の流路断面の面積及び流路軸z方向の長さは、マイクロバブル生成機構10から噴出されたマイクロバブルがバブルサイズを維持しながら拡散して安定化するような大きさに設定されている。
【0026】
拡幅部21のサイズに関しては、マイクロバブル生成機構10に供給する液体の流量、この供給する液体の種類や濃度、温度、マイクロバブル生成機構10に供給する気体の流量、又はマイクロバブル生成機構10の仕様等に応じて異なる。マイクロバブル生成機構10の仕様としては、例えば、種類、即ちマイクロバブルの発生法、サイズ、バブル発生効率等がある。
【0027】
例えば、拡幅部21の流路断面の直径d1は、50〜500mm、好ましくは75〜300mm、より好ましくは100〜200mmであり、拡幅部21の軸z方向の長さl1は、50〜500mm、好ましくは75〜400mm、より好ましくは100〜300mmであり、拡幅部21の容量は、0.1〜50l(リットル)、好ましくは0.2〜10l、より好ましくは0.5〜5lである。また、噴出口11の流路断面の直径に対する拡幅部21の流路断面の直径の比は、旋回液流方式のように、噴出口の直径が比較的小さく、スプレー状(円錐状)にマイクロバブルを噴出するタイプのマイクロバブル生成機構においては、10〜100倍、好ましくは15〜80倍、より好ましくは20〜60倍である。また、エジェクタ式のように、噴出口の直径が比較的大きく、噴出口の形状のままマイクロバブルを噴出するタイプのマイクロバブル生成機構においては、噴出口11の流路断面の直径に対する拡幅部21の流路断面の直径の比は、1.5〜50倍、好ましくは2〜40倍、より好ましくは3〜30倍である。管部22の流路断面の直径d2は、拡幅部21における液体の流量に適した値を選択すればよい。
【0028】
尚、拡幅部21のサイズは上述のものに限られるものではなく、具体的な上述の条件に応じて設定される。拡幅部21の直径d1が小さすぎる場合、拡幅部21の長さl1が短すぎる場合、又は拡幅部21の容量が小さすぎる場合、発生するバブルサイズが大きくなってしまい、また、拡幅部21の直径d1が大きすぎる場合、拡幅部21の長さl1が長すぎる場合、拡幅部21の容量が大きすぎる場合、マイクロバブル生成装置1の設置のために広いスペースが必要となると共に、液体の使用量が増加してしまう。拡幅部21のサイズは、このような事項も考慮して設定されることが好ましい。
【0029】
このように、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1においては、マイクロバブル生成機構10が、導出導管20の流路断面積の大きな拡幅部21を介して、流路断面積の小さい管部22に接続しており、マイクロバブル生成機構10によって生成されたマイクロバブルは、先ず、流路断面積の広い拡幅部21に噴出される。このため、噴出されたマイクロバブルは、管路壁に衝突することなく拡散することができ、マイクロバブルが互いに干渉して大きなバブルサイズのバブルとなることがなく、噴出された際の小さなバブルサイズを維持しながら拡幅部21内において液体内で安定化するまで拡散することができる。従って、拡幅部21から管部22に、洗浄効果の高い、噴出された際の小さなバブルサイズが維持されたマイクロバブルを供給することができ、外部にこの小さなバブルサイズのマイクロバブルを導出することができる。
【0030】
また、マイクロバブル生成装置1は、マイクロバブル生成機構10と、拡幅部21及び管部22を有する導出導管20とから構成されており、その構成が簡単である。
【0031】
このように本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1は、洗浄効果の高い小さなバブルサイズのマイクロバブルを外部に提供することができる。また、マイクロバブル生成装置1は、構造が簡単であり、装置を小型化することができる。
【0032】
尚、本実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1においては、拡幅部21の形状を中空円柱形としたが、拡幅部21の形状はこれに限るものではない。例えば、拡幅部21は、中空直方体形であってもよい。
【0033】
次いで、上記本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1を備える、シリコンウェハの洗浄装置について説明する。図2は、マイクロバブル生成装置1を備えるシリコンウェハ洗浄装置の概略構成を示す図である。
【0034】
図2に示すように、シリコンウェハ洗浄装置100は、洗浄液102が貯留された洗浄槽101と、洗浄槽101内の洗浄液102を循環させるためのポンプ103と管路104,105とを備える。ポンプ103は、管路104を介して洗浄槽101から洗浄液102を吸い込み、管路105を介して洗浄槽101に洗浄液102を供給する。また、シリコンウェハ洗浄装置100は、マイクロバブル生成装置1を備える。マイクロバブル生成装置1は、管路105の途中に設けられている。
【0035】
以下に、シリコンウェハ洗浄装置100におけるシリコンウェハWの洗浄処理について説明する。
【0036】
例えば単結晶シリコンインゴットから切断された複数枚のシリコンウェハWを図示しないホルダに表面が互いに向き合うように等間隔に配置し、洗浄槽101内に配置して洗浄槽101に貯留された洗浄液102内に浸漬させる。次いで、ポンプ103を作動させて洗浄液102を洗浄槽101及び管路104、105間において循環させる。また、マイクロバブル生成装置1を作動させて、マイクロバブル生成機構10によって循環する洗浄液102内にマイクロバブルを生成し、噴射口11を介して導出導管20の拡幅部21にマイクロバブルを噴出して、マイクロバブルを安定化させる。そして、安定化された小さなバブルサイズのマイクロバブルを含む洗浄液102を管部22を介して管路105に導出し、洗浄槽101内にマイクロバブルを供給する。洗浄槽101において、洗浄液102はマイクロバブルに満たされ、循環する、マイクロバブルを含む洗浄液102によって、シリコンウェハWが洗浄される。
【0037】
上述の本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1を備えるシリコンウェハ洗浄装置100においては、洗浄槽101内に、洗浄効果の高い小さなバブルサイズのマイクロバブルが供給されるので、洗浄力が高く、シリコンウェハWを高い洗浄度で洗浄することができ、シリコンウェハの洗浄性能を向上させる
また、マイクロバブル生成装置1は上述のように小型であるので、シリコンウェハ洗浄装置100において、配置位置の自由度が高く、シリコンウェハ洗浄装置100の設計の自由度を向上させることができる。また、シリコンウェハ洗浄装置100を小型化することができ、使用や移動を容易にすることができ、取り扱いを容易にすることができる。
【0038】
次いで、本発明に係るマイクロバブル生成装置の他の実施の形態について説明する。以下、上記本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1と異なる部分のみ説明し、同一部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置200は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。
【0040】
図3に示すように、マイクロバブル生成装置200において、導出導管210は、拡幅部21に対する管部22の接続位置が異なる。導出導管210において、管部22は、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zと同じではなく、平行にずらされている。
【0041】
第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1においては、管路22の流路軸(軸z)が拡幅部21におけるマイクロバブルの流路軸(軸z)と同一であり、マイクロバブル生成機構10の噴出口11のマイクロバブル噴出方向に管路22の入口開口があるので、拡幅部21内において渦流が発生した場合、渦流の中心に空気の通路が形成され、この空気により、液体内のバブルのバブルサイズが大きくなってしまう場合がある。これに対して、第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置200においては、管部22が、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zに対して平行にオフセットされているので、拡幅部21内における渦流の発生を防止することができ、小さなバブルサイズのマイクロバブルをより多く管部22に供給することができる。本実施の形態は、特に、渦流を発生するマイクロバブル発生法を使用するマイクロバブル生成機構10において特に有効である。渦流を発生するマイクロバブル発生法には、旋回液流式、スタティックミキサ式、又は遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせがある。
【0042】
図4〜7は、本発明の第3〜6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を夫々示す図である。
【0043】
本発明の第3の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置300は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。図4に示すように、マイクロバブル生成装置300において、導出導管310は、拡幅部21に対する管部22の接続位置が異なる。導出導管310において、管部22は、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zと同じではなく、平行にずらされており、また、管部22は、拡幅部21においてマイクロバブル生成機構10が取り付けられている底面23上に接続されている。この構成により、拡幅部21におけるマイクロバブルの流れ方向と、管部22におけるマイクロバブルの流れ方向は互いに逆向きとなる。
【0044】
本発明の第4の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置400は、マイクロバブル生成装置300に対して導出導管の構造のみが異なる。図5に示すように、マイクロバブル生成装置400において、導出導管410は、拡幅部411の形状が異なる。導出導管410において、拡幅部411は、マイクロバブル生成機構10及び管部22が接続された底面412が、流路軸z、z1に対して直交せず、マイクロバブル生成機構10の接続位置から管部22の接続位置方向に向かって、底面412が、向かい合う底面24から離れるように形成されている。
【0045】
本発明の第5の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置500は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。図6に示すように、マイクロバブル生成装置500において、導出導管510は、拡幅部21に対する管部22の接続位置が異なる。導出導管510において、管部22は、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zと同じではなく、互いに直交する。つまり、管部22は、拡幅部21の円筒形の周面25に立設されている。本実施の形態においては、管部22は底面23側の縁部に立設されている。この構成により、拡幅部21におけるマイクロバブルの流れ方向と、管部22におけるマイクロバブルの流れ方向は互いに直交する。尚、管部22は、拡幅部21においてマイクロバブル生成機構10が取り付けられている底面23側に取り付けられるものとしたが、管部22を底面24側に設けてもよい。
【0046】
本発明の第6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置600は、マイクロバブル生成装置500に対して導出導管の構造のみが異なる。図7に示すように、マイクロバブル生成装置600において、導出導管610は、拡幅部611の形状が異なる。導出導管610において、拡幅部611は、管部22が接続された周面612が円筒状ではなく、マイクロバブル生成機構10の接続された底面23から対向する底面24に向かって、流路断面積が減少するように形成されている。即ち、図7に示すように、拡幅部611の周面612は略円錐台周面を形成しており、拡幅部611は流路軸zに沿う断面が台形状となるように形成されている。これは、拡幅部611に気泡が溜まりにくくするためである。
【0047】
上記本発明の第3〜第6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置300〜600においては、上記本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置200と同一の効果を奏することができる。
【0048】
図8は、本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置700は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。
【0049】
図8に示すように、マイクロバブル生成装置700において、導出導管710は、拡幅部21に対して、マイクロバブル生成機構10が取り付けられた底面23に拡幅部21内に液体を供給する供給管路711が接続されている点が異なる。本実施の形態においては、底面23の縁部に2つの供給管路711が設けられているが、供給管路711の数はこれに限るものではない。
【0050】
本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置700においては、拡幅部21において、マイクロバブル生成機構10が取り付けられた底面23の縁部に、拡幅部21内に液体を供給する供給管路711が設けられているので、拡幅部21内の底面23縁部近傍の領域(領域p)の液体を流動させて、領域pにおける液体の滞留を防止することができる。
【0051】
本発明に係るマイクロバブル生成装置は、上記本発明の各実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の形状や構成に限定されるものではなく、例えば、各実施の形態の組み合わせであってもよい。また、例えば、マイクロバブル生成装置1の拡幅部21の形状は、図9に示すように、流路軸zを中心軸としてマイクロバブルの流れ方向に広がる中空円錐形状(円錐台形状)であってもよく、また、図10に示すように、流路軸zを中心軸としてマイクロバブルの流れ方向に広がり、所定の位置から再度狭まるような形状であってもよい。また、管部22は、流路軸z1が拡幅部の流路軸zに対して直交せずに、斜めに交わるように配設されていてもよい。
【0052】
本発明に係るマイクロバブル生成装置の設置の向きは、図1及び図3〜10に示した向きに限定されるものではない。但し、気泡が拡幅部21に滞留しにくくするために、管部22はできるだけ上側にあるほうが好ましい。例えば、図4、5に示すマイクロバブル生成装置を右に90度回転させた設置方向、図6、7に示すマイクロバブル生成装置を左に90度回転させた設置方向であってもよい。
【0053】
本発明に係るマイクロバブル生成装置の材質についても特に制限は無い。
【0054】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、シリコンウェハ洗浄装置以外の洗浄装置、例えば、部品洗浄機、洗濯機等に適用してもよい。更に、浴槽、生簀、水族館の水槽、又は鑑賞魚用の水槽に設置してもよい。この場合、例えば、循環ろ過フィルターの循環路に接続することが考えられる。また、家庭用シャワーのホースの途中や水道管の途中に設けてもよい。
【0055】
また、具体的には、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、エッチング力を有するアルカリ洗浄液において適用可能である。
【0056】
マイクロバブルの作用により、エッチング力を有するアルカリ洗浄液でのエッチングレートが向上されることが知られている(特許文献1参照)。本発明に係るマイクロバブル生成装置を有するシリコンウェハ洗浄装置100により、従来のマイクロバブル生成装置が洗浄槽内に浸漬された従来のシリコンウェハ洗浄装置と同等にエッチングレートを向上させることができる。
【実施例】
【0057】
先ず、直径200mmシリコンウェハのミラー面に、CVDによりポリシリコン層を厚さ約1μm堆積させて評価用試料を作製した。次いで、洗浄前の試料のポリシリコン層の厚さをナノスペック(ナノメトリクス社製)を用いて測定した。
【0058】
次いで、図11に示すように、シリコンウェハ洗浄装置110を用いて上記試料の洗浄を行った(実施例1)。シリコンウェハ洗浄装置110は、図2シリコンウェハ洗浄装置100において、マイクロバブル生成装置として図6に示す形状のマイクロバブル生成装置500を使用したものである。マイクロバブル生成機構500には、旋回液流式(ナノプラネット研究所製M2−MS/PTFE型)を使用した。拡幅部は、直径100mm×長さ200mmの形状であって、石英ガラス製のものを使用した。洗浄処理において、具体的には、洗浄槽101内には洗浄液としてエッチング力を有するアルカリ洗浄液、例えば、テクニクリーン200EF(主成分:アルカリ性無機塩、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、水)を、超純水にて20倍に希釈したものを用いた。また、洗浄処理毎に使用した洗浄液は廃棄し、新しい洗浄液を使用した。洗浄槽101内には上記洗浄液を20L(リットル)入れ、洗浄液の温度を50℃にし、この洗浄液内に試料を30分間浸漬した。その後、洗浄した試料を取り出し、20℃超純水槽に入れて10分間リンスした。その後この試料をスピンドライヤーにて乾燥した。
【0059】
次いで、上述のように洗浄処理を行った実施例1に係る試料について、洗浄前の測定と同様に、試料のポリシリコン層の厚さを測定した。
【0060】
また、図12に示すように、マイクロバブル生成装置を有しないシリコンウェハ洗浄装置800によって、上記試料の洗浄を行った(比較例1)。即ち、マイクロバブルを用いない、洗浄液の循環を行わない洗浄処理を行った。
【0061】
さらに、図13に示すように、マイクロバブル生成装置(ナノプラネット研究所製M2−MS/PTFE型)のノズル部が洗浄槽901の底面に1つ配設されたシリコンウェハ洗浄装置900によって、上記試料の洗浄を行った(比較例2)。
【0062】
また、図14に示すように、マイクロバブル生成装置1002のマイクロバブル生成機構1003のマイクロバブル吹き出し口に、外径3/4インチ、内径5/8インチのテフロン(登録商標)(PFA)チューブ1004を直接接続し(図15参照)、そのテフロンチューブ1004を洗浄槽1001に導入したシリコンウェハ洗浄装置1000によって、上記試料の洗浄を行った(比較例3)。
【0063】
比較例1〜3における洗浄処理、つまり、洗浄槽、洗浄液組成、洗浄液量、洗浄時間、リンス時間、及び乾燥方法等は上記実施例1と同様である。また、実施例1と同様に洗浄後の試料の測定を行った。
【0064】
実施例1の試料、比較例1〜3の試料の測定した洗浄前後のポリシリコン層の厚さから、エッチングレートを算出した。この結果を表1に示す。尚、表1において、液流量は、マイクロバブル生成装置に導入する洗浄液の流量であり、導入空気量は、マイクロバブル生成装置に導入する空気の流量である。
【0065】
【表1】
【0066】
表1に示すように、本発明に係るシリコンウェハ洗浄装置(実施例1)によれば、従来のマイクロバブル発生装置が洗浄槽内に浸漬された従来のシリコンウェハ洗浄装置(比較例2)と同等のエッチングレート向上の効果が得られることが分かる。つまり、本発明に係るシリコンウェハ洗浄装置(実施例1)はマイクロバブルを効果的に発生することができることが分かる。
【0067】
わずかに実施例1の方が比較例2よりもエッチレートが低いが、これは液流量、空気導入量が実施例1の方が少ないことが影響していると考えられ、実施例1は比較例2とほぼ同等のマイクロバブル生成能力があるものと考えられる。
【0068】
マイクロバブル生成機構のマイクロバブル吹き出し口にテフロンチューブを直接接続した比較例3では、テフロンチューブが細すぎるため渦流が発生し、大きな気泡が生成していた。マイクロバブルなしの比較例1と比較して有意なエッチングレートの向上は見られなかった。
【0069】
このように、本願発明に係るシリコンウェハ洗浄装置によれば、従来のマイクロバブル発生装置が洗浄槽内に浸漬された従来のシリコンウェハ洗浄装置と同等にシリコンウェハ表面の各種汚染物質(パーティクル、イオン、メタル、有機物等)の除去能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図であり、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は正面図である。
図2図1のマイクロバブル生成装置を備えるシリコンウェハ洗浄装置の概略構成を示す図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
図4】本発明の第3の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
図5】本発明の第4の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
図6】本発明の第5の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
図7】本発明の第6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
図8】本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
図9図1のマイクロバブル生成装置の変形例を示す図である。
図10図1のマイクロバブル生成装置の他の変形例を示す図である。
図11】実施例1におけるシリコンウェハ洗浄装置を示す図である。
図12】比較例1におけるシリコンウェハ洗浄装置を示す図である。
図13】比較例2におけるシリコンウェハ洗浄装置を示す図である。
図14】比較例3におけるシリコンウェハ洗浄装置を示す図である。
図15図14のシリコンウェハ洗浄装置のマイクロバブル生成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1,200,300,400,500,600,700 マイクロバブル生成装置
10 マイクロバブル生成機構
11 噴出口
20,210,310,410,510,610 導出導管
21,411,611 拡幅部
22 管部
23,24,412 底面
25,612 周面
100 シリコンウェハ洗浄装置
101 洗浄槽
102 洗浄液
103 ポンプ
104,105 管路
711 供給管路
z,z1 軸
M マイクロバブル
W シリコンウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15