(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図であり、
図1(a)は斜視図であり、
図1(b)は正面図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1は、マイクロバブルMを生成するマイクロバブル生成機構10と、マイクロバブル生成機構10によって生成されたマイクロバブルMを外部に導出するための導出導管20とを備える。
【0022】
マイクロバブル生成機構10は、生成したマイクロバブルを外部に噴出するための噴出口11を備える。マイクロバブル生成機構10は、液体及び気体が供給され、この液体と共に、直径がμmオーダーの微小な気泡を噴出する。マイクロバブル生成機構10は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴うものが好ましく、例えば、旋回液流式、スタティックミキサ式、エジェクタ式、キャビテーション式、ベンチュリ式、遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせ、加圧溶解式のマイクロバブル発生法を利用するものが好ましい。後述のシリコンウェハ洗浄装置においては、生成されたマイクロバブルを含有する液体を洗浄槽に搬送する必要があり、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴う場合、洗浄槽にマイクロバブルを搬送するための追加の搬送装置等を省略することができるからである。但し、マイクロバブル生成機構10は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴わない、液体が静止しているものであってもよい。この場合、後述のシリコンウェハ洗浄装置において、マイクロバブルを含有する液体を洗浄槽に搬送するための搬送装置が必要になる。このような、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴わない、液体が静止しているマイクロバブル生成機構10としては、細孔式、回転式、超音波式、蒸気凝縮式、電気分解式のマイクロバブル発生法を利用するものがある。
【0023】
また、導出導管20は、拡幅部21と、管部22とを備える。導出導管20において、拡幅部21と管部22とは互いに接続されており、互いに連通している。マイクロバブル生成機構10は、拡幅部21に接続されており、噴出口11から拡径部21内に軸zを中心軸として円錐形状に広がるマイクロバブルMを噴出する。
【0024】
拡幅部21は、軸zを中心軸とする中空円柱形であり、底面23、24と、円筒形の周面25とを有し、拡幅部21の一方の底面23を介してマイクロバブル生成機構10の噴出口11が連通しており、他方の底面24を介して管部22が連通している。マイクロバブル生成機構10の噴出口11は、軸zを中心軸とする円筒状の開口であり、管部22は、軸zを中心軸とする円筒状の管である。つまり、マイクロバブル生成装置1において、拡幅部21内を流れるマイクロバブルの流路軸と、管部22内を流れるマイクロバブルの流路軸とは、同一の軸zであり、マイクロバブルは、互いに同一方向に流れるようになっている。
【0025】
導出導管20において、拡幅部21のマイクロバブルの流路断面の面積、即ち、マイクロバブルの流路軸である軸zに直交する断面の面積は、管部22のマイクロバブルの流路断面の面積、即ち、マイクロバブルの流路軸である軸zに直交する断面の面積より大きい。また、拡幅部21の流路断面の面積は、マイクロバブル生成機構10の噴出口11の軸zに直交する断面(流路断面)の面積よりも大きい。更に、拡幅部21の流路断面の面積及び流路軸z方向の長さは、マイクロバブル生成機構10から噴出されたマイクロバブルがバブルサイズを維持しながら拡散して安定化するような大きさに設定されている。
【0026】
拡幅部21のサイズに関しては、マイクロバブル生成機構10に供給する液体の流量、この供給する液体の種類や濃度、温度、マイクロバブル生成機構10に供給する気体の流量、又はマイクロバブル生成機構10の仕様等に応じて異なる。マイクロバブル生成機構10の仕様としては、例えば、種類、即ちマイクロバブルの発生法、サイズ、バブル発生効率等がある。
【0027】
例えば、拡幅部21の流路断面の直径d1は、50〜500mm、好ましくは75〜300mm、より好ましくは100〜200mmであり、拡幅部21の軸z方向の長さl1は、50〜500mm、好ましくは75〜400mm、より好ましくは100〜300mmであり、拡幅部21の容量は、0.1〜50l(リットル)、好ましくは0.2〜10l、より好ましくは0.5〜5lである。また、噴出口11の流路断面の直径に対する拡幅部21の流路断面の直径の比は、旋回液流方式のように、噴出口の直径が比較的小さく、スプレー状(円錐状)にマイクロバブルを噴出するタイプのマイクロバブル生成機構においては、10〜100倍、好ましくは15〜80倍、より好ましくは20〜60倍である。また、エジェクタ式のように、噴出口の直径が比較的大きく、噴出口の形状のままマイクロバブルを噴出するタイプのマイクロバブル生成機構においては、噴出口11の流路断面の直径に対する拡幅部21の流路断面の直径の比は、1.5〜50倍、好ましくは2〜40倍、より好ましくは3〜30倍である。管部22の流路断面の直径d2は、拡幅部21における液体の流量に適した値を選択すればよい。
【0028】
尚、拡幅部21のサイズは上述のものに限られるものではなく、具体的な上述の条件に応じて設定される。拡幅部21の直径d1が小さすぎる場合、拡幅部21の長さl1が短すぎる場合、又は拡幅部21の容量が小さすぎる場合、発生するバブルサイズが大きくなってしまい、また、拡幅部21の直径d1が大きすぎる場合、拡幅部21の長さl1が長すぎる場合、拡幅部21の容量が大きすぎる場合、マイクロバブル生成装置1の設置のために広いスペースが必要となると共に、液体の使用量が増加してしまう。拡幅部21のサイズは、このような事項も考慮して設定されることが好ましい。
【0029】
このように、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1においては、マイクロバブル生成機構10が、導出導管20の流路断面積の大きな拡幅部21を介して、流路断面積の小さい管部22に接続しており、マイクロバブル生成機構10によって生成されたマイクロバブルは、先ず、流路断面積の広い拡幅部21に噴出される。このため、噴出されたマイクロバブルは、管路壁に衝突することなく拡散することができ、マイクロバブルが互いに干渉して大きなバブルサイズのバブルとなることがなく、噴出された際の小さなバブルサイズを維持しながら拡幅部21内において液体内で安定化するまで拡散することができる。従って、拡幅部21から管部22に、洗浄効果の高い、噴出された際の小さなバブルサイズが維持されたマイクロバブルを供給することができ、外部にこの小さなバブルサイズのマイクロバブルを導出することができる。
【0030】
また、マイクロバブル生成装置1は、マイクロバブル生成機構10と、拡幅部21及び管部22を有する導出導管20とから構成されており、その構成が簡単である。
【0031】
このように本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1は、洗浄効果の高い小さなバブルサイズのマイクロバブルを外部に提供することができる。また、マイクロバブル生成装置1は、構造が簡単であり、装置を小型化することができる。
【0032】
尚、本実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1においては、拡幅部21の形状を中空円柱形としたが、拡幅部21の形状はこれに限るものではない。例えば、拡幅部21は、中空直方体形であってもよい。
【0033】
次いで、上記本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1を備える、シリコンウェハの洗浄装置について説明する。
図2は、マイクロバブル生成装置1を備えるシリコンウェハ洗浄装置の概略構成を示す図である。
【0034】
図2に示すように、シリコンウェハ洗浄装置100は、洗浄液102が貯留された洗浄槽101と、洗浄槽101内の洗浄液102を循環させるためのポンプ103と管路104,105とを備える。ポンプ103は、管路104を介して洗浄槽101から洗浄液102を吸い込み、管路105を介して洗浄槽101に洗浄液102を供給する。また、シリコンウェハ洗浄装置100は、マイクロバブル生成装置1を備える。マイクロバブル生成装置1は、管路105の途中に設けられている。
【0035】
以下に、シリコンウェハ洗浄装置100におけるシリコンウェハWの洗浄処理について説明する。
【0036】
例えば単結晶シリコンインゴットから切断された複数枚のシリコンウェハWを図示しないホルダに表面が互いに向き合うように等間隔に配置し、洗浄槽101内に配置して洗浄槽101に貯留された洗浄液102内に浸漬させる。次いで、ポンプ103を作動させて洗浄液102を洗浄槽101及び管路104、105間において循環させる。また、マイクロバブル生成装置1を作動させて、マイクロバブル生成機構10によって循環する洗浄液102内にマイクロバブルを生成し、噴射口11を介して導出導管20の拡幅部21にマイクロバブルを噴出して、マイクロバブルを安定化させる。そして、安定化された小さなバブルサイズのマイクロバブルを含む洗浄液102を管部22を介して管路105に導出し、洗浄槽101内にマイクロバブルを供給する。洗浄槽101において、洗浄液102はマイクロバブルに満たされ、循環する、マイクロバブルを含む洗浄液102によって、シリコンウェハWが洗浄される。
【0037】
上述の本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1を備えるシリコンウェハ洗浄装置100においては、洗浄槽101内に、洗浄効果の高い小さなバブルサイズのマイクロバブルが供給されるので、洗浄力が高く、シリコンウェハWを高い洗浄度で洗浄することができ、シリコンウェハの洗浄性能を向上させる
また、マイクロバブル生成装置1は上述のように小型であるので、シリコンウェハ洗浄装置100において、配置位置の自由度が高く、シリコンウェハ洗浄装置100の設計の自由度を向上させることができる。また、シリコンウェハ洗浄装置100を小型化することができ、使用や移動を容易にすることができ、取り扱いを容易にすることができる。
【0038】
次いで、本発明に係るマイクロバブル生成装置の他の実施の形態について説明する。以下、上記本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1と異なる部分のみ説明し、同一部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置200は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。
【0040】
図3に示すように、マイクロバブル生成装置200において、導出導管210は、拡幅部21に対する管部22の接続位置が異なる。導出導管210において、管部22は、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zと同じではなく、平行にずらされている。
【0041】
第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1においては、管路22の流路軸(軸z)が拡幅部21におけるマイクロバブルの流路軸(軸z)と同一であり、マイクロバブル生成機構10の噴出口11のマイクロバブル噴出方向に管路22の入口開口があるので、拡幅部21内において渦流が発生した場合、渦流の中心に空気の通路が形成され、この空気により、液体内のバブルのバブルサイズが大きくなってしまう場合がある。これに対して、第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置200においては、管部22が、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zに対して平行にオフセットされているので、拡幅部21内における渦流の発生を防止することができ、小さなバブルサイズのマイクロバブルをより多く管部22に供給することができる。本実施の形態は、特に、渦流を発生するマイクロバブル発生法を使用するマイクロバブル生成機構10において特に有効である。渦流を発生するマイクロバブル発生法には、旋回液流式、スタティックミキサ式、又は遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせがある。
【0042】
図4〜7は、本発明の第3〜6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を夫々示す図である。
【0043】
本発明の第3の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置300は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。
図4に示すように、マイクロバブル生成装置300において、導出導管310は、拡幅部21に対する管部22の接続位置が異なる。導出導管310において、管部22は、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zと同じではなく、平行にずらされており、また、管部22は、拡幅部21においてマイクロバブル生成機構10が取り付けられている底面23上に接続されている。この構成により、拡幅部21におけるマイクロバブルの流れ方向と、管部22におけるマイクロバブルの流れ方向は互いに逆向きとなる。
【0044】
本発明の第4の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置400は、マイクロバブル生成装置300に対して導出導管の構造のみが異なる。
図5に示すように、マイクロバブル生成装置400において、導出導管410は、拡幅部411の形状が異なる。導出導管410において、拡幅部411は、マイクロバブル生成機構10及び管部22が接続された底面412が、流路軸z、z1に対して直交せず、マイクロバブル生成機構10の接続位置から管部22の接続位置方向に向かって、底面412が、向かい合う底面24から離れるように形成されている。
【0045】
本発明の第5の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置500は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。
図6に示すように、マイクロバブル生成装置500において、導出導管510は、拡幅部21に対する管部22の接続位置が異なる。導出導管510において、管部22は、その流路軸z1が拡幅部21におけるマイクロバブルMの流路軸zと同じではなく、互いに直交する。つまり、管部22は、拡幅部21の円筒形の周面25に立設されている。本実施の形態においては、管部22は底面23側の縁部に立設されている。この構成により、拡幅部21におけるマイクロバブルの流れ方向と、管部22におけるマイクロバブルの流れ方向は互いに直交する。尚、管部22は、拡幅部21においてマイクロバブル生成機構10が取り付けられている底面23側に取り付けられるものとしたが、管部22を底面24側に設けてもよい。
【0046】
本発明の第6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置600は、マイクロバブル生成装置500に対して導出導管の構造のみが異なる。
図7に示すように、マイクロバブル生成装置600において、導出導管610は、拡幅部611の形状が異なる。導出導管610において、拡幅部611は、管部22が接続された周面612が円筒状ではなく、マイクロバブル生成機構10の接続された底面23から対向する底面24に向かって、流路断面積が減少するように形成されている。即ち、
図7に示すように、拡幅部611の周面612は略円錐台周面を形成しており、拡幅部611は流路軸zに沿う断面が台形状となるように形成されている。これは、拡幅部611に気泡が溜まりにくくするためである。
【0047】
上記本発明の第3〜第6の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置300〜600においては、上記本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置200と同一の効果を奏することができる。
【0048】
図8は、本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置700は、マイクロバブル生成装置1に対して導出導管の構造のみが異なる。
【0049】
図8に示すように、マイクロバブル生成装置700において、導出導管710は、拡幅部21に対して、マイクロバブル生成機構10が取り付けられた底面23に拡幅部21内に液体を供給する供給管路711が接続されている点が異なる。本実施の形態においては、底面23の縁部に2つの供給管路711が設けられているが、供給管路711の数はこれに限るものではない。
【0050】
本発明の第7の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置700においては、拡幅部21において、マイクロバブル生成機構10が取り付けられた底面23の縁部に、拡幅部21内に液体を供給する供給管路711が設けられているので、拡幅部21内の底面23縁部近傍の領域(領域p)の液体を流動させて、領域pにおける液体の滞留を防止することができる。
【0051】
本発明に係るマイクロバブル生成装置は、上記本発明の各実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の形状や構成に限定されるものではなく、例えば、各実施の形態の組み合わせであってもよい。また、例えば、マイクロバブル生成装置1の拡幅部21の形状は、
図9に示すように、流路軸zを中心軸としてマイクロバブルの流れ方向に広がる中空円錐形状(円錐台形状)であってもよく、また、
図10に示すように、流路軸zを中心軸としてマイクロバブルの流れ方向に広がり、所定の位置から再度狭まるような形状であってもよい。また、管部22は、流路軸z1が拡幅部の流路軸zに対して直交せずに、斜めに交わるように配設されていてもよい。
【0052】
本発明に係るマイクロバブル生成装置の設置の向きは、
図1及び
図3〜10に示した向きに限定されるものではない。但し、気泡が拡幅部21に滞留しにくくするために、管部22はできるだけ上側にあるほうが好ましい。例えば、
図4、5に示すマイクロバブル生成装置を右に90度回転させた設置方向、
図6、7に示すマイクロバブル生成装置を左に90度回転させた設置方向であってもよい。
【0053】
本発明に係るマイクロバブル生成装置の材質についても特に制限は無い。
【0054】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、シリコンウェハ洗浄装置以外の洗浄装置、例えば、部品洗浄機、洗濯機等に適用してもよい。更に、浴槽、生簀、水族館の水槽、又は鑑賞魚用の水槽に設置してもよい。この場合、例えば、循環ろ過フィルターの循環路に接続することが考えられる。また、家庭用シャワーのホースの途中や水道管の途中に設けてもよい。
【0055】
また、具体的には、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、エッチング力を有するアルカリ洗浄液において適用可能である。
【0056】
マイクロバブルの作用により、エッチング力を有するアルカリ洗浄液でのエッチングレートが向上されることが知られている(特許文献1参照)。本発明に係るマイクロバブル生成装置を有するシリコンウェハ洗浄装置100により、従来のマイクロバブル生成装置が洗浄槽内に浸漬された従来のシリコンウェハ洗浄装置と同等にエッチングレートを向上させることができる。
【実施例】
【0057】
先ず、直径200mmシリコンウェハのミラー面に、CVDによりポリシリコン層を厚さ約1μm堆積させて評価用試料を作製した。次いで、洗浄前の試料のポリシリコン層の厚さをナノスペック(ナノメトリクス社製)を用いて測定した。
【0058】
次いで、
図11に示すように、シリコンウェハ洗浄装置110を用いて上記試料の洗浄を行った(実施例1)。シリコンウェハ洗浄装置110は、
図2シリコンウェハ洗浄装置100において、マイクロバブル生成装置として
図6に示す形状のマイクロバブル生成装置500を使用したものである。マイクロバブル生成機構500には、旋回液流式(ナノプラネット研究所製M2−MS/PTFE型)を使用した。拡幅部は、直径100mm×長さ200mmの形状であって、石英ガラス製のものを使用した。洗浄処理において、具体的には、洗浄槽101内には洗浄液としてエッチング力を有するアルカリ洗浄液、例えば、テクニクリーン200EF(主成分:アルカリ性無機塩、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、水)を、超純水にて20倍に希釈したものを用いた。また、洗浄処理毎に使用した洗浄液は廃棄し、新しい洗浄液を使用した。洗浄槽101内には上記洗浄液を20L(リットル)入れ、洗浄液の温度を50℃にし、この洗浄液内に試料を30分間浸漬した。その後、洗浄した試料を取り出し、20℃超純水槽に入れて10分間リンスした。その後この試料をスピンドライヤーにて乾燥した。
【0059】
次いで、上述のように洗浄処理を行った実施例1に係る試料について、洗浄前の測定と同様に、試料のポリシリコン層の厚さを測定した。
【0060】
また、
図12に示すように、マイクロバブル生成装置を有しないシリコンウェハ洗浄装置800によって、上記試料の洗浄を行った(比較例1)。即ち、マイクロバブルを用いない、洗浄液の循環を行わない洗浄処理を行った。
【0061】
さらに、
図13に示すように、マイクロバブル生成装置(ナノプラネット研究所製M2−MS/PTFE型)のノズル部が洗浄槽901の底面に1つ配設されたシリコンウェハ洗浄装置900によって、上記試料の洗浄を行った(比較例2)。
【0062】
また、
図14に示すように、マイクロバブル生成装置1002のマイクロバブル生成機構1003のマイクロバブル吹き出し口に、外径3/4インチ、内径5/8インチのテフロン(登録商標)(PFA)チューブ1004を直接接続し(
図15参照)、そのテフロンチューブ1004を洗浄槽1001に導入したシリコンウェハ洗浄装置1000によって、上記試料の洗浄を行った(比較例3)。
【0063】
比較例1〜3における洗浄処理、つまり、洗浄槽、洗浄液組成、洗浄液量、洗浄時間、リンス時間、及び乾燥方法等は上記実施例1と同様である。また、実施例1と同様に洗浄後の試料の測定を行った。
【0064】
実施例1の試料、比較例1〜3の試料の測定した洗浄前後のポリシリコン層の厚さから、エッチングレートを算出した。この結果を表1に示す。尚、表1において、液流量は、マイクロバブル生成装置に導入する洗浄液の流量であり、導入空気量は、マイクロバブル生成装置に導入する空気の流量である。
【0065】
【表1】
【0066】
表1に示すように、本発明に係るシリコンウェハ洗浄装置(実施例1)によれば、従来のマイクロバブル発生装置が洗浄槽内に浸漬された従来のシリコンウェハ洗浄装置(比較例2)と同等のエッチングレート向上の効果が得られることが分かる。つまり、本発明に係るシリコンウェハ洗浄装置(実施例1)はマイクロバブルを効果的に発生することができることが分かる。
【0067】
わずかに実施例1の方が比較例2よりもエッチレートが低いが、これは液流量、空気導入量が実施例1の方が少ないことが影響していると考えられ、実施例1は比較例2とほぼ同等のマイクロバブル生成能力があるものと考えられる。
【0068】
マイクロバブル生成機構のマイクロバブル吹き出し口にテフロンチューブを直接接続した比較例3では、テフロンチューブが細すぎるため渦流が発生し、大きな気泡が生成していた。マイクロバブルなしの比較例1と比較して有意なエッチングレートの向上は見られなかった。
【0069】
このように、本願発明に係るシリコンウェハ洗浄装置によれば、従来のマイクロバブル発生装置が洗浄槽内に浸漬された従来のシリコンウェハ洗浄装置と同等にシリコンウェハ表面の各種汚染物質(パーティクル、イオン、メタル、有機物等)の除去能力を向上させることができる。