(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ジャックに着脱可能に装着され、先端側に設けた、前記ジャックと通電するための電極部と、前記電極部の内部に空間を形成して設けた接点信号発生部と、を備える差込部と、この差込部に連続して設け、前記電極部で通電した信号を送るケーブルを接続した本体部と、を備えるプラグであって、
前記接点信号発生部は、その壁面に形成した開口部と、この開口部から一部が露出可能に前記空間内に収納された可動部材と、この可動部材の移動により押下されるスイッチと、を備え、
前記可動部材は、前記ジャックから離脱したときには、前記スイッチから離間して前記開口部から一部が露出され、前記ジャックに装着されたときには、前記ジャック壁面に押されて前記スイッチを押下する大きさに形成され、
前記スイッチは、前記空間内に付勢部材により付勢されて設けられ、前記付勢部材に抗して前記可動部材に押下されたときに、前記ジャックと通電したことを示す接点信号を出力する
ことを特徴とするプラグ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態に係るプラグについて説明する。
図1に示すように、第一実施形態に係るプラグPは、装置(例えばオーディオ装置)Aの本体に設けられたジャック30に着脱可能に装着されてジャック30と通電する差込部1と、この差込部1に連続して設け、差込部1がジャック30から取り出した信号を伝達するケーブルCを接続した本体部2と、を備えている。ケーブルCは、他端側が、プラグPを介して、差込部1がジャック30から取り出した信号を利用する機器(例えばスピーカ)Sに接続されている。第一実施形態に係るプラグPは、差込部1にプラグPとジャック30との電気的な接続状態を示す情報である接点信号を出力する接点信号発生部13(
図2参照)を設けた点に特徴がある。このため、以下では、この差込部1について主に説明する。
【0024】
なお、ここでは、オーディオ装置AおよびスピーカSは、プラグPの接点信号発生部(
図2参照)で発生された接点信号を表示する接続表示部50をそれぞれ備えている。後記するプラグPの接点信号発生部13(
図2参照)で発生された接点信号が、ケーブルCを介してオーディオ装置AまたはスピーカSに出力されると、接続表示部50で接点信号が表示され、これによって、使用者が、プラグPとジャック30との電気的な接続状態を判別可能となっている。
【0025】
ここで、プラグPの差込部1の説明に先立ち、差込部1が着脱可能に装着されるジャック30の構成について
図4を参照して簡単に説明する。
ジャック30は、
図4に示すように、オーディオ装置Aの本体およびスピーカSに設けられ、プラグPの差込部1を着脱可能に装着し、装着状態でオーディオ装置Aの本体(
図1参照)によって生成された信号をプラグPの差込部1に伝達するものである。
【0026】
ジャック30は、
図4に示すように、プラグPの差込部1が挿入される有底円筒状の挿入穴31と、この挿入穴31の開口端部31aを略垂直方向に外側に曲折させてなり、オーディオ装置Aの本体およびスピーカSの表面に沿って当接する当接部32と、プラグPの差込部1が挿入された状態で、差込部1の後記(
図2参照)する電極部11のスリーブ電極部11aと接触するスリーブ端子33aと、後記するリング電極部11bと接触するリング端子33bと、後記するチップ電極部11cと接触するチップ端子33cと、を有している。
【0027】
各端子33a〜33cは、プラグPの差込部1の後記する電極部11の各電極部11a〜11cの配列に対応して、挿入穴31の手前側(開口端部31a側)から奥側に向かって、スリーブ端子33a、リング端子33b、チップ端子33cの順に配設されている。このように構成されたジャック30は、プラグPと適合するようになっている。例えば、プラグPを、いわゆる110号プラグとした場合、このプラグPに適合するジャック30としては、例えば、238号A、B、Cジャック等が該当する。
【0028】
次に、プラグPの差込部1の構成について説明する。
【0029】
図2に示すように、差込部1は、先端側に設けた、オーディオ装置Aの本体(
図1参照)に設けられたジャック30(
図1参照)と通電するための電極部11と、電極部11の内部に空間を形成して設けた接点信号発生部13と、本体部2に接続される接続部19と、を主に備えている。なお、以下の説明で、上下方向は、紙面の方向と同じとする。
【0030】
電極部11は、差込部1の基端側から先端側に向かって、円筒状のスリーブ電極部11a、円筒状のリング電極部11b、有底円筒状のチップ電極部11c、の順で配列された3つのセグメントを有している。各電極部11a〜11cの間には、絶縁リング11dが介在されており、各電極部11a〜11cが互いに電気的に絶縁されるようになっている。この各電極部11a〜11cおよび絶縁リング11dは、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)の径と略同等か、若干小さい径で形成されている。
【0031】
また、電極部11は、さらに、スリーブ電極部11aの上端側に連続して、各電極部11a〜11cよりも拡径した拡径部12を備えている。この拡径部12は、各電極部11a〜11cがジャック30の挿入穴31(
図4参照)に装着された状態で、開口端部31a(
図4参照)から突出する部分となる。拡径部12は、下端部12aが略平坦に形成されており、各電極部11a〜11cがジャック30の挿入穴31(
図4参照)に挿入されると、この下端部12aがジャック30の当接部32(
図4参照)に当接し、その位置で差込部1を係止するようになっている。
【0032】
電極部11は、差込部1が、後記するジャック30の挿入穴31に挿入されると、スリーブ電極部11aが、ジャック30に設けられたスリーブ端子33a(
図4参照)に接触し、リング電極部11bが、ジャック30に設けられたリング端子33b(
図4参照)に接触し、チップ電極部11cが、ジャック30に設けられたチップ端子33c(
図4参照)に接触して互いに電気的に接続されるようになっている。
【0033】
接点信号発生部13は、電極部11の内部に空間を形成して設けられ、マイクロスイッチ14(スイッチ)と、電極部11の壁面に形成した第一の開口部15a(開口部)と、この第一の開口部15aから離間して電極部11の壁面に形成した第二の開口部15b(開口部)と、第一の開口部15aから一部が露出可能に空間内に収納された第一の球体16a(可動部材)と、第一の球体16aよりもマイクロスイッチ14に近接した位置で第一の球体16aと接し、第二の開口部15bから一部が露出可能に空間内に収納された第二の球体16b(可動部材)と、を備えている。
【0034】
マイクロスイッチ14は、拡径部12内の空間を横切るように水平方向に延びる案内板17aの下端側に固定部材(図示せず)を介して固定されており、支持板17aに沿って固定される固定電極部14aと、この固定電極部14aに対して可動する可動電極部14bと、を備えている。この固定電極部14aと可動電極部14bは、それぞれ、可動電極部14bの変位に応じて接離する接点(図示せず)を備えている。
【0035】
可動電極部14bは、内部から図示しない付勢部材によって下方に付勢されて固定電極部14aの表面から所定量突出した状態で静止しており、第二の球体16bによって、先端部に鉛直上向きの押圧力が加えられると、固定電極部14a側に押圧され、この押圧力が解除されると、付勢部材の復元圧によって元の位置に復元するようになっている。なお以下では、可動電極部14bが固定電極部14a側に押圧されることを、可動電極部14bが固定電極部14a側に押し下げられると表現する。
【0036】
また、マイクロスイッチ14は、図示しない回路部を有している。この回路部は、固定電極部14aと可動電極部14bにそれぞれ設けられた接点(図示せず)が接触して生じた電流を流入することによって起動すると共に、接点信号を出力するようになっている。
このように構成されたマイクロスイッチ14は、可動電極部14bの先端部に鉛直上向きの押圧力が加えられて、可動電極部14bが所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下されると、互いの接点(図示せず)が接触してON状態となる(通電状態)と共に、図示しない回路部に電流が流れて、回路部(図示せず)が接点信号を出力するようになっている。
【0037】
一方、この状態から、マイクロスイッチ14の可動電極部14bの先端部に加えられた鉛直上向きの押圧力が解除されると、可動電極部14bが付勢部材の復元力によって押し戻されて元の位置に復元する。これによって、マイクロスイッチ14はOFF状態となり、回路部(図示せず)に電流が流れないので、回路部(図示せず)が接点信号を出力しなくなる。
【0038】
なお、ここでは、マイクロスイッチ14の可動電極部14bが所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下されたときには、接点信号を出力し、それ以外のときは、接点信号を出力しないこととしたが、これに限られず、マイクロスイッチ14の可動電極部14bが所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下されたときには、プラグPとジャック30(
図1参照)とが電気的に接続されていることを示す接点信号を出力し、それ以外のときは、プラグPとジャック30(
図1参照)とが電気的に接続されていないことを示す接点信号(断信号)を出力するようにしてもよいことはもちろんである。つまり、マイクロスイッチ14は、ON状態のときとOFF状態のときとで異なる接点信号を出力することとしてもよい。
【0039】
第一の開口部15aと第二の開口部15bは、電極部11のスリーブ電極部11aの壁面の一部を矩形状や楕円状に切り欠いて形成されており、接点信号発生部13の内部と外部とを連通するものである。第一の開口部15aは、第一の球体16aの一部を壁面から露出可能な大きさに形成され、第二の開口部15bは、第二の球体16bの一部を壁面から露出可能な大きさに形成されている。
【0040】
この第一の開口部15aと第二の開口部15bは、スリーブ電極部11aの壁面における対向する位置に設けられている。さらに、第一の開口部15aと第二の開口部15bは、スリーブ電極部11aの壁面における高さ位置が異なっており、第一の開口部15aよりも第二の開口部15bの方がマイクロスイッチ14に近接する位置に形成されている。
【0041】
また、第一の開口部15aの下端部には、接点信号発生部13の空間内(スリーブ電極部11aの空間内)を横断するように水平方向に配設され、第一の球体16aを案内する案内板17bが設けられている。
【0042】
第一の球体16aは、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)から離脱したときには、一部が、第一の開口部15aから露出し、他部が、案内板17bに当接した状態で、接点信号発生部13の空間内に保持されている。
また、第二の球体16bは、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)から離脱したときには、一部が、第二の開口部15bから露出し、他部が第一の球体16aに当接した状態で、接点信号発生部13の内部の空間内に保持されている。また、この状態で、第二の球体16bは、マイクロスイッチ14の可動電極部14bの先端部と、所定距離を空けて近接している。
【0043】
第一の球体16aと第二の球体16bは、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)から離脱したときには、次のような位置関係となる。第一の球体16aは、第一の開口部15aから一部が露出され、第二の球体16bは、第二の開口部15bから一部が露出された状態で接点信号発生部13の内部で互いに接しており、第一の球体16aと第二の球体16bとは、点対称に向き合った位置で静止している。
【0044】
この第一の球体16aは、第一の開口部15aとの接点(支点P
1〔
図3A〜E参照〕)と、第二の球体16bとの接点P
2(
図3A〜E参照)とにより接点信号発生部13の内部で保持されている。また、第二の球体16bは、第二の開口部15bとの接点(支点P
3〔
図3A〜C参照〕)と、第一の球体16aとの接点P
2(
図3A〜E参照)とにより接点信号発生部13の内部で保持されている。
【0045】
この状態から、第一の球体16aが、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)に挿入されたときには、ジャック30の挿入穴31の壁面31b(
図4参照)に押圧されて接点信号発生部13の内部の空間内に収納され、第二の球体16bをマイクロスイッチ14の可動電極部14b側へ押圧するようになっている。そして、この状態から、第二の球体16bが、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)に挿入されたときには、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)の壁面31bに押されて接点信号発生部13の内部の空間内に収納され、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを鉛直上向きに押圧し、可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側へ押下するようになっている。
【0046】
第一の球体16aは、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)から離脱したときには、第一の開口部15aから一部が露出され、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)に装着されたときには、ジャック30の挿入穴31の壁面31b(
図4参照)に押されて、第二の球体16bをマイクロスイッチ14の可動電極部14b側へと押下する大きさに形成され、第二の球体16bは、ジャック30の挿入穴31(
図4参照)から離脱したときには、マイクロスイッチ14の可動電極部14bから離間して第二の開口部15bから一部が露出され、ジャック30の挿入穴31に装着されたときには、ジャック30の挿入穴31の壁面31b(
図4参照)に押されて、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側へと押下する大きさに形成されている。ここでは、第一の球体16aと第二の球体16bとが同じ大きさであるものとする。
【0047】
次に、
図3A〜Eを参照して、差込部1をジャック30に挿入したときに、第一の球体16aと第二の球体16bとが協働してマイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下するときの、つまり、第一の球体16aと第二の球体16bとが正常に動作するときの好適な設定例について説明する。なお、この例では、第一の球体16aと第二の球体16bとが同寸法であるものとする。
【0048】
図3Aに示すように、第一の球体16aと第二の球体16bの径をr
1とし、接点信号発生部13の内径をRとすると、次の式(1)に示す関係が成立している。なお、接点信号発生部13の内径Rは、ジャック30の挿入穴31の径と略同等か若干小さくなっている。
【0049】
(数1)
3/4R≦r
1<R ・・・式(1)
【0050】
また、式(1)で示すように、第一の球体16aおよび第二の球体16bの径r
1を、接点信号発生部13の半径、つまり、1/2Rよりも大きく形成すると、第一の球体16aの一部が第一の開口部15aに係合され、第二の球体16bの一部が第二の開口部15bに係合された状態で第一の球体16aと第二の球体16bとが接点P
2で接した状態で互いに押圧し合いながら接点信号発生部13内に保持される。これにより、第一の球体16aの動きを第二の球体16bに伝えやすくなる。
【0051】
また、第一の球体16aにおいて、差込部1をジャック30の挿入穴31に挿入したときに開口端部31aと接触して鉛直上向きの押圧力が入力される点を支点P
1とする。
図3Aの状態(静止状態)において、第一の球体16aは、支点P
1と第一の球体16aの中心O
1とを結んだ線と、中心O
1から鉛直下向きに下ろした線とでなす角度が45°<θ
1<90°となるように、第一の開口部15aから一部が露出している。すなわち、第一の球体16aの支点P
1は、
図3Aに示す静止状態から矢印A
1方向に回動して
図3Cに示すように接点信号発生部13の内部に収容されて静止するまでの間に、45°<θ
1<90°の範囲で回動する。これは、差込部1をジャック30に挿入したときに、第一の球体16aが正常に動作する場合の支点P
1の回動範囲を示している。
【0052】
さらに、
図3A〜Cに示すように、接点P
2と、第二の球体16bにおいて接点信号発生部13に支持される点(
図3A〜Cでは第二の開口部15bとの接点である支点P
3)とを通る線でなる面を境として第二の球体16bを上下の領域に分けた場合に、第二の球体16bの中心O
2が、上側の領域(
図3A〜Cにおいてドットで示した領域)内に位置している。
これにより、第一の球体16aと第二の球体16bの接点P
2を介して、第一の球体16aから第二の球体16bへと押圧力が適切に伝えられ、第一の球体16aを、第二の球体16bをマイクロスイッチ14側へと押し上げつつ、
図3Aに示す矢印A
1方向に回動させることができる。
【0053】
図3Aに示すように、第一の球体16aは、支点P
1に開口端部31aから鉛直上向きの押圧力が入力されると、
図3Bに示すように、この押圧力を接点P
2を介して第二の球体16bに伝えて、第二の球体16bをマイクロスイッチ14側へと押し上げながら、案内板17bに沿って
図3Aに示す矢印A
1方向、つまり、接点信号発生部13の内部に向かって移動する。また、第二の球体16bは、第一の球体16aが接点信号発生部13の内部に向かって移動するのにともない、接点信号発生部13の内部側へと押圧される。
【0054】
そして、
図3Cに示すように、第一の球体16aの全体が接点信号発生部13の内部に収容されるとともに、挿入穴31の壁面31bによって第一の開口部15aが閉じられる。そして、第一の球体16aは、壁面31bから支点P
1に伝えられた押圧力と、第二の球体16bから接点P
2に伝えられた押圧力とにより接点信号発生部13の内部で保持される。この一連の動きにおいて、
図3A〜Cに示すように、第一の球体16aの支点P
1の回動範囲は、中心O
1から支点P
1に向かって下ろした線と中心O
1から鉛直方向に下ろした線L
1とでなす角度をθ
1としたときに、45°<θ
1<90°となる。
【0055】
続いて、第二の球体16aにおいて開口端部31aと接触して鉛直上向きの押圧力が入力される点を支点P
4とし、中心O
2と支点P
4とを結んだ線と、第二の球体16bの中心O
2から鉛直下向きに下ろした線と、でなす角度をθ
2とする。このとき、
図3Cに示した状態において、第二の球体16bは、45°<θ
2<90°となるように、第二の開口部15bから一部が露出している。すなわち、第二の球体16bの支点P
4は、
図3Cに示した状態から、
図3Dに示す矢印A
2方向に回動して、
図3Eに示したようにマイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ押下するまでに、45°<θ
2<90°の範囲内で回動する。これは、差込部1をジャック30に挿入したときに、第二の球体16bが正常に動作する場合の支点P
4の回動範囲を示している。
【0056】
さらに、
図3DおよびEに示すように、第一の球体16aと第二の球体16bとの接点P
2と、第二の球体16bにおいて接点信号発生部13に支持される点(
図3Dでは第二の開口部15bとの接点である支点P
3、
図3Eでは壁面31bとの接点である支点P
4)とを通る線でなる面を境として第二の球体16bを上下の領域に分けた場合に、第二の球体16bの中心O
2が、上側の領域(
図3D、Eにおいてドットで示した領域)内に位置している。
【0057】
図3Cにおいて、第二の球体16bは、接点P
2と支点P
3とマイクロスイッチの可動電極部14bの三点により支持されて、接点信号発生部13の内部で保持されている。この状態から、プラグPの差込部1がジャック30の挿入穴31にさらに挿入されると、
図3Dに示すように、第二の球体16bにおいて、開口端部31aと接触する支点P
4に、開口端部31aから鉛直上向きの押圧力が入力されると、第二の球体16bは、この押圧力によりマイクロスイッチ14側へと押し上げられる。
【0058】
そして、プラグPの差込部1がジャック30の挿入穴31にさらに挿入されると、
図3Eに示すように、第二の球体16bは、開口端部31aから支点P
4に入力された押圧力によりさらにマイクロスイッチ14側へと押し上げられる。これとともに、ジャック30の挿入穴31の壁面31bによって第二の開口部15bが完全に閉じられることで、第二の球体16bが、壁面31bによって接点信号発生部13の内部側へと押圧され、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下する。
この一連の動きにおいて、
図3D〜Eに示すように、第二の球体16bの支点P
4の回動範囲は、中心O
1から支点P
4に向かって下ろした線と中心O
1から鉛直方向に下ろした線とでなす角度をθ
2としたときに、45°<θ
2<90°となる。
【0059】
また、第二の球体16bは、
図3A〜Eに示したように、第一の球体16aの支点P
1に開口端部31aから押圧力が入力され始めてから、第二の球体16bによりマイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ押下するまでの一連の動作に応じて第二の球体16bを支持する点(接点P
2と支点P
3あるいは支点P
4)の位置が変化されても、常に、重心位置(中心O
2の位置)が前記した上側の領域に位置している。
【0060】
以上説明した例によれば、第一の球体16aと第二の球体16bとが正常に動作し、第一の球体16aと第二の球体16bとが協働してマイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下することができる。
【0061】
一方、例えば、
図3Fに示すように、第一の球体16aと第二の球体16bとの接点P
2と、第二の球体16bと第二の開口部15bの接点である支点P
3とを結んだ線でなる面を境として第二の球体16bを上下の領域に分けた場合において、第二の球体16bの中心O
2が、下側の領域内に位置していると、第二の球体16bの重心位置が下がってしまう。このため、第一の球体16aの支点P
1に開口端部31aから押圧力が加えられても、第一の球体16aが、第二の球体16bをマイクロスイッチ14側へと押し上げることができず、
図3Aに示す矢印A
1方向に適切に移動させることができない。
【0062】
このような第一の球体16aと第二の球体16bの素材は特に限定されないが、接点信号発生部13をジャック30の挿入穴31(
図4参照)へ脱着する際に、第一の球体16aまたは第二の球体16bが、第一の開口部15aまたは第二の開口部15bと接触することによる接触面の摩耗を抑制するため、接点信号発生部13の壁面(スリーブ電極部11aの壁面)と同じ素材で製造するとよい。
【0063】
再び
図2を参照し、接点信号発生部13は、内部に、上端側から下端側まで連続する内部が空洞の空孔部18を有している(
図4参照)。この空孔部18は、内部に導電線を挿通するものであり、ここでは、接点信号発生部13の内部に2箇所設けられている。この2つの空孔部18は、接点信号発生部13の壁面(スリーブ電極部11aの壁面)における、第一の開口部15aと第二の開口部15bと重ならない位置に、対向して配設されている。ここでは、一方の空孔部18には、電極部11のスリーブ電極部11aに導かれるスリーブ導線41が配線され、他方の空孔部18には、電極部11のチップ電極部11cに導かれるチップ導線42が配線されている。
【0064】
接続部19は、差込部1を本体部2に接続するものであり、差込部1の先端部に設けられ、外周面に雄ねじが形成された円筒状部材である。接続部19は、本体部2(
図1参照)に設けられた、雄ねじと対応する雌ねじが形成された被接続部(図示せず)と螺合されるようになっている。このようにして、差込部1と本体部2とを備えるプラグPが形成される。この接続部19の雄ねじと被接続部の雌ねじでなるねじは、例えば、JISB0205に規定されたメートル並目ねじとすることができる。
【0065】
また、接続部19は、空洞部19aに、ケーブルCの一端側を挿通し、接続部19の下端側に設けられた接点信号発生部13に導いている。
このケーブルCは、一端側が、マイクロスイッチ14に接続され、他端側が、本体部2(図示せず)を挿通した後、オーディオ装置A(
図1参照)で生成された音声信号を利用する機器に接続されている。ケーブルCは、差込部1がジャック30から取り出した音声信号を、この音声信号を利用する機器(図示せず)に伝達可能となっている。オーディオ装置A(
図1参照)で生成された音声信号を利用する機器としては、例えば、スピーカ、イヤホン、ヘッドフォン等が該当する。また、ケーブルCは、マイクロスイッチ14から出力された接点信号を、前記したスピーカ、イヤホン、ヘッドフォン等に出力可能となっている。
【0066】
次に、
図4、5および適宜
図3A〜Eを参照して、第一実施形態に係るプラグPの差込部1をジャック30に装着する様子について説明する。
まず、
図4(a)上図に示すように、差込部1をジャック30の上方に配置し、電極部11側からジャック30の挿入穴31に挿入していく。
このとき、
図4(a)下図に示すように、第一の球体16aと第二の球体16bは、それぞれ静止状態の位置にある。
【0067】
なお、
図4(a)の下図では、差込部1を下端部側(電極部11側)から見上げた状態を示しているので、第二の球体16bが第一の球体16aの下方に位置している。また、
図4(a)の下図では、見易さのため、第一の球体16aおよび第2の球体16bを断面で表示しないこととした。以下に参照する
図4(b)、
図5(a)、(b)においても、同様とする。
【0068】
この状態で、差込部1をジャック30の挿入穴31にさらに挿入していくと、
図4(b)上図および
図3Aに示すように、ジャック30の挿入穴31の開口端部31aが、第一の球体16aの支点P
1に接触し、第一の球体16aの支点P
1に開口端部31aから鉛直上向きの押圧力を入力する。これにより、第一の球体16aが接点信号発生部13の内部側に押圧される。このとき、
図4(b)下図に示すように、第一の球体16aと第二の球体16bは、それぞれ静止状態の位置にある。
【0069】
そして、差込部1を、ジャック30の挿入穴31にさらに挿入すると、
図5(a)上図および
図3Cに示すように、第一の球体16aは、支点P
1に開口端部31aから押圧力が入力されることで、第二の球体16bを押し上げながら案内板17bに沿って接点信号発生部13の内部側へとさらに移動する。差込部1を、ジャック30の挿入穴31にさらに挿入すると、
図5(a)下図に示すように、第一の球体16aの全体が、接点信号発生部13の内部に収納される。このとき、第一の球体16aは、支点P
1により、ジャック30の挿入穴31の壁面31bと当接するため、この壁面31bから支点P
1に接点信号発生部13の内部側への押圧力が入力されるとともに、接点P
2を介して第二の球体16bからの押圧力が入力される。このようにして、第一の球体16aは、接点信号発生部13の内部で静止する。
【0070】
そして、差込部1を、ジャック30の挿入穴31にさらに挿入すると、
図5(a)上図および
図3Dに示すように、ジャック30の挿入穴31の開口端部31aが第二の球体16bの支点P
4に接触し、支点P
4に開口端部31aから鉛直上向きの押圧力を入力する。第二の球体16bは、この押圧力により、マイクロスイッチ14側へと押し上げられる。
【0071】
この状態で、差込部1を、ジャック30の挿入穴31にさらに挿入すると、
図5(b)上図、下図および
図3Eに示すように、ジャック30の挿入穴31の壁面31bで第二の開口部15bが徐々に閉じられていき、第二の球体16bが、壁面31bによって接点信号発生部13の内部側に押圧されるとともに、第一の球体16aと接点P
2で当接しながらマイクロスイッチ14の可動電極部14b側へと押し上げられていき、やがて全体が接点信号発生部13の内部に収納されて、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを鉛直上向きに押圧する。そして、第二の球体16bによって、マイクロスイッチ14の可動電極部14bが所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下される。
【0072】
これにより、マイクロスイッチ14の可動電極部14bの接点(図示せず)と、固定電極部14aの接点(図示せず)とが互いに接触してマイクロスイッチ14がON状態(通電状態)となり、回路部に電流が流れることによって回路部(図示せず)が起動し、この回路部(図示せず)からプラグPとジャック30とが電気的に接続されていることを示す接点信号が出力される。
【0073】
また、このとき、第二の開口部15bがジャック30の挿入穴31の壁面31bによって完全に閉じられているため、第二の球体16bは、第二の開口部15bから露出した部分でジャック30の挿入穴31の壁面31bと当接し、ジャック30の挿入穴31の壁面31bによって、接点信号発生部13の内部の空間内へと押圧され続けることになる。このため、
図5(b)上図の状態が維持される場合、第二の球体16bにより、マイクロスイッチ14がON状態を継続し、接点信号を継続して出力する。
例えば、差込部1がジャック30の挿入穴31に挿入された状態で、ねじり操作を行ったとしても、第一の球体16aと第二の球体16bは、位置を変えずにその場でそれぞれ回転するため、第一の球体16aと、第二の球体16bと、マイクロスイッチ14の可動電極部14bとの位置関係は変化しない。したがって、差込部1が、ジャック30の挿入穴31に挿入されている間は、マイクロスイッチ14がON状態を継続し、接点信号を継続して出力する。
【0074】
また、この状態で、
図5(b)上図に示すように、電極部11のスリーブ電極部11aが、ジャック30に設けられたスリーブ端子33aと接触し、電極部11のリング電極部11bが、ジャック30に設けられたリング端子33bと接触し、電極部11のチップ電極部11cが、ジャック30に設けられたチップ端子33cと接触して電気的に接続される。
これにより、プラグPがオーディオ装置Aの本体(
図1参照)で生成された音声信号をジャック30から取り出すことが可能となる。
【0075】
また、この状態で、差込部1は、拡径部12の下端部12aがジャック30の挿入穴31の当接部32に当接してその位置で係止される。
【0076】
一方、差込部1をジャック30から取り外すときは、差込部1は、挿入時の動作を逆向きにたどって動作する。このとき、
図5(b)の段階で、第二の球体16bがマイクロスイッチ14の可動電極部14bから離れているため、可動電極部14bは、図示しない付勢部材の復元力によって固定電極部14aから離間する方向に押し戻されて元の位置に復元する。これによって、マイクロスイッチ14はOFF状態となり、回路部(図示せず)に電流が流れなくなるので、接点信号を出力しない。
【0077】
ここで、差込部1のマイクロスイッチ14から出力された接点信号は、例えば、ケーブルCを介して、ケーブルCの他端部が接続されるスピーカS(
図1参照)に出力され、スピーカSに設けた接続表示部50(
図1参照)に表示されることによって、使用者が確認することが可能となる。例えば、この接続表示部50(
図1参照)を例えばLEDで構成し、差込部1のマイクロスイッチ14からケーブルCを介して接点信号が入力されたときには、スピーカS(
図1参照)において、この接続表示部50(
図1参照)を点灯あるいは点滅させ、差込部1のマイクロスイッチ14からケーブルCを介して接点信号が入力されていないときには、接続表示部50(
図1参照)を消灯させるように制御する。これにより、接点信号が可視化されるので、使用者がプラグPAとジャック30との電気的な接続状態を容易に判別することができる。
なお、接続表示部50は、接点信号が入力されていないときは、常時点灯し、接点信号が入力されると消灯するようになっていてもよい。
【0078】
そして、使用者は、この接続表示部50(
図1参照)を目視して得られた情報を基に、スピーカS(
図1参照)のON/OFFを切り替えることができる。例えば、前記した例では、接続表示部50(
図1参照)が点灯あるいは点滅しているときには、プラグPとジャック30とが電気的に接続されている、つまり、プラグPが、ジャック30から音声信号を取り出すことができる状態である、ということがわかるので、使用者が、スピーカS(
図1参照)をONして、オーディオ装置A(
図1参照)で生成された音声信号を確認することができる。
一方、接続表示部50(
図1参照)が消灯しているときには、プラグPとジャック30とが電気的に接続されていないことがわかるので、使用者が、スピーカS(
図1参照)をOFFする。このようにして、使用者が、差込部1のマイクロスイッチ14から出力され、スピーカS(
図1参照)の接続表示部50(
図1参照)に表示された接点信号に応じて、プラグPに接続して使用する機器のON/OFFを制御することができる。
【0079】
以上説明した第一実施形態に係るプラグPによれば、差込部1のマイクロスイッチ14から接点信号を出力することができるので、使用者が、プラグPとジャック30とが電気的に接続されているか否かを容易に判別することが可能となる。
また、接点信号発生部13において、可動部材を、第一の球体16aと第二の球体16bとしたことにより、差込部1をジャック30の挿入穴31に着脱する際の抜き差し操作や、差込部1をジャック30の挿入穴31に挿入した状態でのねじり操作等において、第一の球体16aと第二の球体16bが回転しながら挿入穴31の壁面31bと接触するので、第一の球体16aまたは第二の球体16bと、挿入穴31の壁面31bと、の接触面の摩耗を抑制することができる。さらに、第一の球体16aまたは第二の球体16bと、接点信号発生部13の壁面13a(スリーブ電極部11aの壁面)との、接触面の摩耗を抑制することができる。
また、可動部材を、第一の球体16aと第二の球体16bの二つの球体としたことにより、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを押下するストロークを長くすることができる。
【0080】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係るプラグについて説明する。
図1に示すように、第二実施形態に係るプラグPAは、装置(例えばオーディオ装置)Aの本体に設けられたジャック30に着脱可能に装着されてジャック30と通電する差込部1Aと、この差込部1Aに連続して設け、差込部1Aがジャック30から取り出した信号を伝達するケーブルCを接続した本体部2と、を備えている。ケーブルCは、他端部が、差込部1Aがジャック30から取り出した信号を利用する機器(例えばスピーカS)に接続されている。
第二実施形態に係るプラグPAは、第一実施形態に係るプラグに対し、差込部の接点信号発生部の構成が異なる。以下では、その他の第一実施形態と共通する構成は、同じ符号を付し、適宜説明を省略する。また、第一実施形態と同様に、プラグPAの差込部1Aについて、主に説明する。次に、第2実施形態に係るプラグPAの詳細な構成について、
図6を参照して説明する。
【0081】
図6に示すように、プラグPAの差込部1Aは、先端側に設けた、オーディオ装置Aの本体(
図1参照)に設けられたジャック30(
図4参照)と通電するための電極部11と、電極部11の内部に空間を形成して設けた接点信号発生部13Aと、本体部2に接続される接続部19と、を主に備えている。
【0082】
差込部1Aの接点信号発生部13Aは、電極部11の内部に空間を形成して設けられ、壁面に形成した開口部15cと、この開口部15cから一部が露出可能に空間内に収納された球体16c(可動部材)と、を備えている。
【0083】
開口部15cは、スリーブ電極部11aの壁面の一部を矩形状や楕円状に切り欠いて形成されており、接点信号発生部13の内部と外部とを連通するものである。開口部15cは、球体16cの一部を壁面から露出可能な大きさに形成されている。
この開口部15cの下端部には、接点信号発生部13の内部の空間を横断するように配設され、球体16cを案内する案内板17Abが設けられている。
【0084】
案内板17Abは、開口部15cの下端側から、球体16cの形状に沿ったアールを有して形成され、球体16cがジャック30の挿入穴31に挿入されたときには、球体16cをマイクロスイッチ14の可動電極部14bへと案内し、可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側へと押下可能なように、開口部15cから離れるにつれて徐々にマイクロスイッチ14側へと傾斜して立ち上って延びた後、拡径部12の内壁面と接続される。
【0085】
球体16cは、ジャック30の挿入穴31から離脱したときには、一部が、開口部15cから露出し、他部が、案内板17Abに当接した状態で、接点信号発生部13の内部の空間内に保持されている。この状態で、球体16cは、マイクロスイッチ14の可動電極部14bの先端部と、所定距離離間して近接している。
【0086】
次に、
図7A〜Dを参照して、差込部1Aがジャック30に挿入されたときに、球体16cがマイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下するための、つまり、球体16cを正常に動作させるための好適な設定例について説明する。
【0087】
図7Aに示すように、球体16cにおいて、プラグPAをジャック30の挿入穴31に挿入したときに開口端部31aと接触し、開口端部31aから鉛直上向きの押圧力が入力される点を支点P
5とし、この支点P
5と球体16cの中心O
3とを結んだ線と、中心O
3から鉛直方向に下ろした線とでなす角度をθ
3としたときに、45°<θ
3<90°の関係が成立している。
図7Aの状態(静止状態)において、球体16cは、支点P
5と球体16cの中心O
3とを結んだ線と、中心O
3から鉛直下向きに下ろした線とでなす角度が45°<θ
3<90°となるように、開口部15cから一部が露出している。すなわち、球体16cの支点P
5は、
図7Aに示す静止状態から矢印A
3方向に回動して
図7Dに示すようにマイクロスイッチ14の可動電極部14bを固定電極部14a側へ所定のストロークだけ押下するまでの間に、45°<θ
3<90°の範囲で回動する。これは、差込部1をジャック30に挿入したときに、球体16cが正常に動作する場合の支点P
5の回動範囲を示している。
【0088】
差込部1Aがジャック30の挿入穴31に挿入されると、
図7Aに示すように、開口端部31aが第一の球体16cの支点P
5に接触し、支点P
5に開口端部31aから鉛直上向きの押圧力が入力される。そして、球体16cは、
図7Bに示すように、開口端部31aにより矢印A
3方向に押し上げられながら案内板17Abに沿って接点信号発生部13Aの内部側に回動する。そして、差込部1Aがジャック30の挿入穴31にさらに挿入されると、
図7Cに示すように、球体16cが開口端部31aにより矢印A
3方向にさらに押し上げられながら案内板17Abに沿って接点信号発生部13Aの内部側に回動して、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを固定電極部14a側へと徐々に押し下げる。
【0089】
そして、差込部1Aがジャック30の挿入穴31にさらに挿入されると、
図7Dに示すように、球体16cが壁面31bによって接点信号発生部13Aの内部側に押圧されて、案内板17Abに沿って回動し、全体が接点信号発生部13Aの内部に収容されるとともに、壁面31bからの押圧力によりマイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下する。この一連の動きにおいて、
図7A〜Dに示すように、球体16cの支点P
5の回動範囲は、中心O
3から支点P
5に向かって下ろした線と中心O
3から鉛直方向に下ろした線とでなす角度θ
3としたときに、45°<θ
3<90°となる。
【0090】
このようにして、プラグPAをジャック30の挿入穴31に挿入したときに、球体16cが正常に動作して、マイクロスイッチ14の可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側に押下することができる。
【0091】
次に、
図8および適宜
図7A〜Dを参照して、第二実施形態に係るプラグPAの差込部1Aをジャック30に装着する様子について説明する。
まず、
図8(a)上図および
図7Aに示すように、差込部1Aをジャック30の上方に配置し、電極部11側からジャック30の挿入穴31に挿入していくと、球体16cの支点P
5がジャック30の挿入穴31の開口端部31aに接触する。このとき、
図8(a)下図に示すように、球体16cは、静止状態の位置にある。なお、
図8(a)、(b)の下図では、差込部1Aを下端部側(電極部11側)から見上げた状態を示している。
【0092】
この状態で、差込部1Aをジャック30の挿入穴31にさらに挿入していくと、
図8(b)上図および
図7Dに示すように、球体16cが、ジャック30の挿入穴31の開口端部31aによって鉛直上向きに押圧される。そして、差込部1Aを、ジャック30の挿入穴31にさらに挿入していくと、球体16cがジャック30の挿入穴31の壁面31bによって接点信号発生部13の内部側へと押圧されて、この押圧力により、案内板17Abに沿って回動し、全体が接点信号発生部13の内部に収納されるとともに、マイクロスイッチ14の可動電極部14bの先端部を鉛直上向きに押圧して、可動電極部14bを所定のストロークだけ固定電極部14a側へと押下する。
【0093】
これにより、マイクロスイッチ14の可動電極部14bの接点(図示せず)と、固定電極部14aの接点(図示せず)とが互いに接触してマイクロスイッチ14がON状態(通電状態)となり、回路部に電流が流れることによって回路部(図示せず)が起動し、この回路部(図示せず)からプラグPAとジャック30とが電気的に接続されていることを示す接点信号が出力される。
【0094】
また、このとき、接点信号発生部13の開口部15cがジャック30の挿入穴31の壁面31bによって外側から覆われているため、球体16cは、開口部15cから露出した部分でジャック30の挿入穴31の壁面31bと当接し、ジャック30の挿入穴31の壁面31bによって、接点信号発生部13の内部の空間内へと付勢され続けることになる。このため、球体16cは、接点信号発生部13の内部に収納された状態で静止する。
このようにして、差込部1がジャック30の挿入穴31に挿入された状態でねじり操作を行ったとしても、球体16cは、位置を変えずにその場でそれぞれ回転するため、球体16cと、マイクロスイッチ14の可動電極部14bとの位置関係は変化しない。
したがって、球体16cが、ジャック30の挿入穴31に挿入されている間は、マイクロスイッチ14がON状態を継続し、回路部(図示せず)から接点信号を継続して出力する。
【0095】
また、この状態で、
図8(b)上図に示すように、電極部11のスリーブ電極部11aが、ジャック30に設けられたスリーブ端子33aと接触し、電極部11のリング電極部11bが、ジャック30に設けられたリング端子33bと接触し、電極部11のチップ電極部11cが、ジャック30に設けられたチップ端子33cと接触して電気的に接続される。
これにより、プラグPAがオーディオ装置A(
図1参照)で生成された音声信号をジャック30から取り出すことが可能となる。
【0096】
一方、差込部1Aは、拡径部12の下端部12aがジャック30の挿入穴31の当接部32に当接する。そして、差込部1Aがその位置で係止されることになる。
【0097】
このようにして、差込部1Aのマイクロスイッチ14から出力された接点信号は、前記した第一実施形態において説明したのと同様に、ケーブルCを介して、ケーブルCの他端部が接続されるスピーカS(
図1参照)に出力され、スピーカSに設けられた接続表示部50(
図1参照)において表示されてもよい。これにより、接点信号が可視化されるので、使用者がプラグPAとジャック30との電気的な接続状態を容易に判別することができる。詳しい内容は、前記した第一実施形態において説明したのと同様であるので、ここでは省略する。
【0098】
一方、プラグPAの差込部1Aをジャック30から取り外すときは、差込部1Aは、
図8(b)、(a)の順に動作する。このとき、
図8(a)の段階で、接点信号発生部13の球体16cが、マイクロスイッチ14の可動電極部14bから離間しているため、可動電極部14bが、図示しない付勢部材の復元力によって押し戻されて元の位置に復元する。これによって、マイクロスイッチ14は、OFF状態となり、回路部(図示せず)に電流が流れなくなるので、回路部(図示せず)から接点信号が出力されなくなる。
【0099】
以上説明した第二実施形態に係るプラグPAによれば、差込部1Aのマイクロスイッチ14から接点信号を出力することができるので、使用者が、プラグPAとジャック30とが電気的に接続されているか否かを容易に判別することが可能となる。
また、接点信号発生部13において、可動部材として、球体16cを用いたことにより、差込部1をジャック30の挿入穴31に着脱する際の抜き差し操作や、差込部1をジャック30の挿入穴31に挿入した状態でのねじり操作等において、球体16cが回転しながら挿入穴31の壁面31bと接触するので、球体16cと挿入穴31の壁面31bとの接触面の摩耗を抑制することができる。さらに、球体16cと接点信号発生部13の壁面13a(スリーブ電極部11aの壁面)との接触面の摩耗を抑制することができる。
【0100】
また、簡素な構成で、プラグPAに、プラグPAとジャック30との電気的な接続状態を示す接点信号を出力する機構を設けることができるので、製造が容易であり、製造コストが安価となる。
【0101】
このように構成された第一、第二実施形態に係るプラグP、PAは、例えば、110号音声プラグ、2.5mm/3.5mm/6.3mm音声プラグ、バンタムジャック、ビデオジャック、キャノンコネクタおよびDCコネクタ等に適用可能である。
【0102】
以上、本発明の第一、第二実施形態に係るプラグP、PAについて説明したが、本発明は、前記した第一、第二実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能なことはもちろんである。
【0103】
第一、第二実施形態に係るプラグP、PAでは、可動部材(球体)と開口部の数を一致させていたが、これに限られるものではなく、例えば、
図9(a)および(b)に示すように、開口部の数が可動部材(球体)の数よりも少なくてもよい。例えば
図9(a)に示す差込部1Bは、可動部材を、球体16d、16eで構成し、開口部を、開口部15dで構成した。球体16dは、開口部15dから一部が露出した状態で接点信号発生部13B内に保持され、球体16eは、全体が、接点信号発生部13C内に収納されている。このような構成としても、差込部1Bをジャック30の挿入穴31に挿入すると、
図3A〜Cに示したように球体16dが動作され、球体16dの動作に応じて、球体16eが接点信号発生部13Bの内壁に沿って押し上げられることにより、マイクロスイッチ14をON状態とすることが可能である。
【0104】
また例えば、
図9(b)に示す差込部1Cは、可動部材を、球体16f〜16hで構成し、開口部を、開口部15e、15fで構成した。球体16fは、開口部15eから一部が露出した状態で接点信号発生部13C内に保持され、球体16gは、開口部15fから一部が露出した状態で接点信号発生部13C内に保持され、球体16hは、全体が、接点信号発生部13C内に収納されている。このような構成としても、差込部1Dをジャック30の挿入穴31に挿入すると、
図3A〜Eに示したように球体16f、16gが動作され、球体16fは、球体16gとの接点から伝えられた押圧力によりマイクロスイッチ14側へと押し上げられることにより、マイクロスイッチ14をON状態とすることが可能である。
このとき、マイクロスイッチ14を押下する球体16hは、他の球体16f、16gよりも小さくてもよく、開口部15e、15fの径よりも小さな径であっても構わない。
【0105】
なお、前記した第一または第二実施形態において、差込部1をジャック30に挿入したときに、第一の球体16aおよび第二の16bまたは球体16cを正常に動作させるための好適な設定例を説明したが、これに限られるものではない。ジャック30の開口端部31aから伝えられた鉛直上向きの押圧力を回転力に変えて第一の球体16aを矢印A
1(
図3A参照)方向に所定量回動させて第二の球体16bをマイクロスイッチ14側に押し上げるとともに、ジャック30の開口端部31aから伝えられた鉛直上向きの押圧力により第二の球体16bを矢印A
2(
図3D参照)方向に所定量回動させることができればよい。また、ジャック30の開口端部31aから伝えられた押圧力により、球体16cを案内板17Abに沿って矢印A
3(
図7A参照)方向に所定量回動させることができればよい。
【0106】
次に、
図10を参照して、第一実施形態に係るプラグPの本体部2に表示部21を設けた例について説明する。
プラグPは、
図10に示すように、差込部1と、本体部2と、を備えている。差込部1は、第一実施形態において説明したとおり、ジャック30に脱着可能に接続されて、ジャック30と通電した状態で、ジャック30から信号を取り出す部分であり、本体部2は、差込部1がジャック30から取り出した信号あるいはマイクロスイッチ14から出力された接点信号を入力してこの信号を利用する部分である。本体部2は、差込部1から延びるケーブルCを挿通するようになっており、このケーブルCを介して例えば、BlueTooth(登録商標)機器にさらに接続される、A/D変換またはD/A変換した音声信号の入出力を行うA/D変換器またはD/A変換器や、レベルメータ(VU計あるいはピークメータ)、FM/AMトランスミッタ、スピーカ、インカム送受信器およびビデオ変復調器に接続される。
【0107】
本体部2は、差込部1の接続部19(
図2参照)に設けられた雄ねじと対応する雌ねじが設けられた被接続部(図示せず)を有しており、この被接続部(図示せず)に、差込部1の接続部19(
図2または
図6参照)を接続することにより、差込部1を接続するようになっている。
【0108】
本体部2は、差込部1のマイクロスイッチ14から出力された接点信号を受信する図示しない接点信号入力部(図示せず)と、この接点信号入力部(図示せず)から接点信号を入力し、この接点信号を表示させる制御部(図示せず)と、この制御部(図示せず)によって制御され、接点信号を表示する表示部21と、を有している。
【0109】
表示部21は、
図10に示すように、ここでは、本体部2の上端部付近の周面に所定間隔で3つ設けられている。この表示部21は、接点信号を視認可能な態様で表示するものであれば特に限定されないが、例えば、LEDを用いることができる。
【0110】
例えば、差込部1のマイクロスイッチ14によって、ON状態のときとOFF状態のときとで異なる接点信号が出力される場合、本体部2は、接点信号入力部(図示せず)によって、差込部1のマイクロスイッチ14から出力された接点信号を入力すると、この接点信号を制御部(図示せず)に出力する。本体部2は、制御部(図示せず)によって、接点信号入力部(図示せず)から接点信号を入力すると、この接点信号を解析し、接点信号が、プラグPとジャック30とが電気的に接続されていることを示すものであると判定した場合、表示部21を点灯あるいは点滅させる。一方、本体部2は、制御部(図示せず)によって、プラグPとジャック30とが電気的に接続されていないことを示すものであると判定した場合、表示部21を消灯させる。なお、表示部21は、接点信号が入力されていないときは、常時点灯し、接点信号が入力されると消灯するようになっていてもよい。
【0111】
このように、プラグPによれば、差込部1のマイクロスイッチ14から出力された接点信号を、本体部2の表示部21によって表示することができるので、使用者がプラグPとジャック30との電気的な接続状態を容易に判別することが可能となる。
なお、ここでは、プラグPの本体部2に表示部21を設けた場合を例にとって説明したが、プラグPAの本体部2に表示部21を設けてもよいことはもちろんである。