【実施例】
【0056】
以下、製造例、試験例及び配合例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0057】
〔製造例1〕湖南甜茶抽出物の製造
細切りにした湖南甜茶の葉部の乾燥物400gに50質量%エタノール4000mLを加え、還流抽出器で80℃にて2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理をした。得られた抽出液を合わせて減圧下で濃縮し、さらに乾燥して湖南甜茶抽出物90.4gを得た(試料1)。
【0058】
〔製造例2〕湖南甜茶抽出物の酸加水分解物の製造
製造例1で得られた湖南甜茶抽出物5.0gに、95質量%メタノールと5質量%塩酸とを混合した混合溶媒50mL(混合比(質量基準)=1:1.7)を加え、加熱還流下にて、2時間反応させた。反応終了後に水1000mLを加え、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)カラムに付し、水、メタノールの順で溶出し、メタノール画分として酸加水分解物2.8gを得た(試料2)。
【0059】
〔試験例1〕TNF−α産生抑制作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてTNF−α産生抑制作用を試験した。
【0060】
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
6cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、4時間培養した。
【0061】
培養終了後、培地を抜き、終濃度2%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて溶解した試料溶液(試料1,2)を各ウェルに100μLずつ添加し、終濃度1μg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS,E.coli0111;B4,DIFCO社製)を100μL加え、24時間培養した。培養終了後、各ウェルの培養上清中のTNF−α量を、サンドイッチELISA法を用いて測定し、測定結果から下記式によりTNF−α産生抑制率(%)を算出した。
【0062】
TNF−α産生抑制率(%)={(B−A)/B}×100
式中、Aは「試料溶液添加時のTNF−α量」を表し、Bは「試料溶液無添加時のTNF−α量」を表す。
【0063】
試料溶液の濃度を段階的に減少させて、各濃度におけるTNF−α産生抑制率を算出し、その結果から内挿法により、TNF−αの産生を50%阻害する試料濃度IC
50(μg/mL)を求めた。
結果を表1に示す。
【0064】
[表1]
試 料 IC50(μg/mL)
試料1 200
試料2 50
【0065】
表1に示すように、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は優れたTNF−α産生抑制作用を有することが確認された。また、TNF−α産生抑制作用の程度は、湖南甜茶抽出物及び/又はその酸加水分解物の濃度によって調節できることが確認された。
【0066】
〔試験例2〕ヒアルロニダーゼ活性阻害作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてヒアルロニダーゼ活性阻害作用を試験した。
【0067】
試料(試料1,2)を溶解した0.1mol/Lの酢酸緩衝液(pH3.5)0.2mL(試料濃度;400μg/mL)にヒアルロニダーゼ溶液(Type IV-S(from bovine testis),SIGMA社製,400NFU/mL)0.1mLを加え、37℃で20分間反応させた。さらに、活性化剤として2.5mmol/Lの塩化カルシウム0.2mLを加え、37℃で20分間反応させた。これに0.4mg/mLのヒアルロン酸カリウム溶液(from Rooster Comb)0.5mLを加え、37℃で40分間反応させた。
【0068】
その後、0.4mol/L水酸化ナトリウムを0.2mL加えて反応を停止し、冷却した後、各反応溶液にホウ酸溶液0.2mLを加え、3分間煮沸した。氷冷後、p−DABA試薬6mLを加え、37℃で20分間反応させた。その後、波長585nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。得られた測定結果から、下記式によりヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)を算出した。
【0069】
阻害率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
式中、Stは「試料溶液の波長585nmにおける吸光度」を表し、Sbは「試料溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度」を表し、Ctは「コントロール溶液の波長585nmにおける吸光度」を表し、Cbは「コントロール溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度」を表す。
結果を表2に示す。
【0070】
[表2]
試 料 ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)
試料1 25.8
試料2 95.3
【0071】
表2に示す結果から、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は優れたヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有することが確認された。
【0072】
〔試験例3〕ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を試験した。
【0073】
ラット好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を15%FBS添加S−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を4.0×10
5cells/mLの細胞密度に希釈し、終濃度0.5μg/mLとなるようにDNP-specific IgEを添加した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
【0074】
培養終了後、培地を抜き、シリガリアン緩衝液500μLにて洗浄を2回行った。次に、同緩衝液30μL及び同緩衝液にて調製した試料溶液10μLを加え、37℃にて10分間静置した。その後、100ng/mLのDNP−BSA溶液10μLを加え、37℃にて15分間静置し、ヘキソサミニダーゼを遊離させた。その後、96ウェルプレートを氷上に静置することにより遊離を停止した。各ウェルの細胞上清10μL及び1mmol/Lのp−NAG(p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサイド)溶液10μLを、新たな96ウェルプレートに添加し、37℃で1時間反応させた。反応終了後、各ウェルに0.1mol/LのNa
2CO
3/NaHCO
3250μLを加え、波長415nmにおける吸光度を測定した。また、空試験として、細胞上清10μLと、0.1mol/LのNa
2CO
3/NaHCO
3250μLとの混合液の波長415nmにおける吸光度を測定し、補正した。得られた測定結果から、下記式によりヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)を算出した。
【0075】
ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)={1−(B−C)/A}×100
式中、Aは「試料無添加での波長415nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料添加での波長415nmにおける吸光度」を表し、Cは「試料添加・p−NAG無添加での波長415nmにおける吸光度」を表す。
【0076】
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率を算出し、その結果から内挿法により、ヘキソサミニダーゼの遊離を50%阻害する試料濃度IC
50(μg/mL)を求めた。
結果を表3に示す。
【0077】
[表3]
試 料 IC50(μg/ml)
試料1 406
試料2 40.9
【0078】
表3に示す結果から、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は優れたヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を有することが確認された。また、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用の程度は、湖南甜茶抽出物及び/又はその酸加水分解物の濃度によって調節できることが確認された。
【0079】
〔試験例4〕血小板凝集抑制作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにして血小板凝集抑制作用を試験した。
【0080】
(1)血小板浮遊液の調製
採血したウサギの血液に77mmol/LのEDTA(pH7.4)を1/10量加えて、遠心(180×g,10分,室温)して血小板浮遊液(P.R.P.)を得た。さらに遠心(810×g,10分,4℃)し、上清を除去して血小板を得た。これを血小板洗浄液(0.15mol/Lの塩化ナトリウムと、0.15mol/Lのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)と、77mmol/LのEDTA溶液(pH7.4)とを90:8:2で混合)に浮遊させ、上記と同様に遠心し、得られた血小板を血小板浮遊液(145mmol/Lの塩化ナトリウム、5mmol/Lの塩化カリウム及び5.5mmol/Lのグルコースを含む10mmol/LのHEPES緩衝液,pH7.4)に浮遊させて血小板数を調整(3.0×10
5cells/μL)し、洗浄血小板浮遊液を得た。
【0081】
(2)血小板凝集抑制作用試験
得られた洗浄血小板浮遊液222μLに200mmol/Lの塩化カルシウム溶液1μLを加え、37℃で1分間反応させた。これに試料溶液2μLを加え、さらに2分間反応させ、撹拌子を入れて1分間撹拌した後、コラーゲン溶液を25μL添加して、37℃の温度条件下で10分間の血小板凝集率を測定した。また、コントロールとして試料溶液を添加しない以外は同様にして血小板凝集率を測定した。得られた測定結果から、下記式により、血小板凝集抑制率(%)を算出した。
【0082】
血小板凝集抑制率(%)=(A−B)/A×100
式中、Aは「コントロールの血小板凝集率」を表し、Bは「試料添加時の血小板凝集率」を表す。
結果を表4に示す。
【0083】
[表4]
試 料 試料濃度(μg/mL) 血小板凝集抑制率(%)
試料1 25 69.6
試料2 400 19.6
【0084】
表4に示す結果から、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は、血小板凝集抑制作用を有することが確認された。特に、湖南甜茶抽出物(試料1)は、優れた血小板凝集抑制率を有することが確認された。
【0085】
〔試験例5〕エストロゲン様作用試験
製造例2で得られた試料2について、以下のようにしてエストロゲン様作用を試験した。
【0086】
ヒト乳癌由来細胞(MCF−7)を、10%FBS、1%NEAA及び1mmoL/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を活性炭処理した10%FBS、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有し、フェノールレッドを含有しないMEM(T−MEM)培地を用いて、3.0×10
4cells/mLの細胞密度に希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり450μLずつ播種し、細胞を定着させるため培養した。
【0087】
6時間後(0日目)にT−MEMで終濃度の10倍に調製した試料溶液(試料濃度:12.5μg/mL)を各ウェルに50μLずつ添加し、培養を続けた。3日目に培地を抜き、T−MEMで終濃度に調製した試料溶液を各ウェルに0.5mLずつ添加し、さらに培養を続けた。
【0088】
エストロゲン様作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMに終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各ウェルに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。ポジティブコントロールとして、1×10
−9Mエストラジオールを使用した。得られた測定結果から、下記式により、エストロゲン様作用率(%)を算出した。
【0089】
エストロゲン様作用率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の吸光度」を表す。
【0090】
上記式により算出した結果、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)のエストロゲン様作用率は、214.3±2.0%であり、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れたエストロゲン様作用を有することが確認された。
【0091】
〔試験例6〕IV型コラーゲン産生促進作用試験
製造例2で得られた試料2について、以下のようにしてIV型コラーゲン産生促進作用を試験した。
【0092】
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10
5cells/mLの細胞密度になるようにダルベッコMEM培地を用いて希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
【0093】
培養終了後、培地を抜き、0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地に溶解した試料溶液(試料濃度:100μg/mL)を各ウェルに150μLずつ添加し、3日間培養した。培養後、各ウェルの培地中のIV型コラーゲン量をELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりIV型コラーゲン産生促進率(%)を算出した。
【0094】
IV型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時のIV型コラーゲン量」を表し、Bは「試料無添加時のIV型コラーゲン量」を表す。
【0095】
上記式により算出した結果、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)のIV型コラーゲン産生促進率は、209.3±19.2%であり、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れたIV型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
【0096】
〔試験例7〕紫外線照射によるダメージ回復作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにして紫外線照射によるダメージ回復作用を試験した。
【0097】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10
5cells/mLの細胞密度になるようにα−MEM培地を用いて希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種した。24時間培養後、培地を100μLのPBS(−)へ交換し、1.0J/cm
2のUV−Bを照射した。照射後、直ちに、PBS(−)を抜き、10%FBS含有α−MEMに溶解した試料溶液(試料濃度;100μg/mL)を各ウェルに400μLずつ添加し、24時間培養した。
【0098】
紫外線(UV−B)照射によるダメージ回復作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各ウェルに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出し、抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様に細胞を播種した後、UV−Bを照射しない細胞及びUV−Bを照射し試料溶液を添加しない細胞についても同様に測定し、それぞれ非照射群及び照射群とした。得られた測定結果から、下記式により、紫外線(UV−B)照射によるダメージ回復率(%)を算出した。
【0099】
ダメージ回復率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
式中、Ntは「UV−Bを照射していない細胞での吸光度」を表し、Cは「UV−Bを照射し試料溶液を添加していない細胞での吸光度」を表し、Saは「UV−Bを照射し試料溶液を添加した細胞」での吸光度を表す。
結果を表5に示す。
【0100】
[表5]
試 料 紫外線照射によるダメージ回復率(%)
試料1 7.1±1.9
試料2 53.4±1.8
【0101】
表5に示すように、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は、紫外線照射によるダメージ回復作用を有することが確認された。特に湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れた紫外線によるダメージ回復作用を有することが確認された。
【0102】
〔試験例8〕トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用試験
製造例2で得られた試料2について、以下のようにしてトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を試験した。
【0103】
ヒト正常新生児皮膚表皮角化細胞(NHEK)を、ヒト正常新生児表皮角化細胞用培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
5cells/mLの細胞密度になるようにKGMを用いて希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、2日間培養した。
【0104】
培養終了後、KGMで溶解した試料溶液(試料濃度:25μg/mL)を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。培養終了後、培地を抜き、細胞をプレートに固定させて細胞表面に発現したトランスグルタミナーゼ−1の量を、モノクロナール抗ヒトトランスグルタミナーゼ−1抗体を用いたELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりトランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)を算出した。
【0105】
トランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
【0106】
上記式により算出した結果、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)のトランスグルタミナーゼ−1産生促進率は、115.5±1.9%であり、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れたトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有することが確認された。
【0107】
〔試験例9〕テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を試験した。
【0108】
蓋付V底試験管にて、テストステロン(和光純薬工業社製)4.2mgをプロピレングリコール1mLに溶解したもの20μLと、1mg/mLのNADPHを含有する5mmol/mLのトリス塩酸緩衝液(pH7.13)825μLとを混合した。
【0109】
さらに、各試料(試料1,2)のエタノール水溶液80μL及びS−9(ラット肝臓ホモジネート,オリエンタル酵母工業社製)75μLを加えて混合し、37℃にて30分間インキュベートした。その後、塩化メチレン1mLを加えて反応を停止させた。これを遠心分離し(1600×g,10分間)、塩化メチレン層を分取して、分取した塩化メチレン層について、下記の条件にてガスクロマトグラフィー分析をし、3α−アンドロスタンジオール、5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)及びテストステロンの濃度(μg/mL)を定量した。コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶媒を同量(80μL)用いて同様に処理し、ガスクロマトグラフィー分析をした。
【0110】
[ガスクロマトグラフィー条件]
使用装置:Shimadzu GC-7A(島津製作所社製)
カラム:DB−1701(内径:0.53mm,長さ:30m,膜厚:1.0μm,J&W Scientific社製)
カラム温度:240℃
注入口温度:300℃
検出器:FID
試料注入量:1μL
スプリット比:1:2
キャリアガス:窒素ガス
キャリアガス流速:3mL/min
【0111】
3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンの濃度の定量は、下記の方法により行った。
3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンの標準品を塩化メチレンに溶解し、当該溶液についてガスクロマトグラフィー分析をし、これらの化合物の濃度(μg/mL)及びピーク面積から、ピーク面積と化合物の濃度との対応関係を予め求めておいた。そして、テストステロンとS−9との反応後の3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンのそれぞれのピーク面積あたりの濃度を、予め求めておいた対応関係を利用して、下記式(1)に基づいて求めた。
【0112】
A=B×C/D・・・(1)
式中、Aは「3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT又はテストステロンの濃度(μg/mL)」を表し、Bは「3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT又はテストステロンのピーク面積」を表し、Cは「標準品の濃度(μg/mL)」を表し、Dは「標準品のピーク面積」を表す。
【0113】
式(1)に基づいて算出された化合物濃度を用いて、下記式(2)に基づき、変換率(テストステロン5α−レダクターゼによりテストステロンが還元されて生成した3α−アンドロスタンジオール及び5α−DHTの濃度と、テストステロンの初期濃度との濃度比)を算出した。
【0114】
変換率=(E+F)/(E+F+G)・・・(2)
式中、Eは「3α−アンドロスタンジオールの濃度(μg/mL)」を表し、Fは「5α−DHTの濃度(μg/mL)」を表し、Gは「テストステロンの濃度(μg/mL)」を表す。
【0115】
式(2)に基づいて算出された変換率を用いて、下記式(3)に基づき、テストステロン5α−レダクターゼ阻害率(%)を算出した。
阻害率(%)=(1−H/I)×100・・・(3)
式中、Hは「試料添加時の変換率」を表し、Iは「コントロールの変換率」を表す。
【0116】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、テストステロン5α−レダクターゼ阻害率が50%になる試料濃度IC
50(μg/mL)を内挿法により求めた。
結果を表6に示す。
【0117】
[表6]
試 料 IC50(μg/mL)
試料1 1123
試料2 201
【0118】
表6に示すように、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は、優れたテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有することが確認された。また、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用の程度は、湖南甜茶抽出物及び/又はその酸加水分解物の濃度によって調節できることが確認された。
【0119】
〔試験例10〕アンドロゲン受容体結合阻害作用試験
製造例1で得られた試料1について、以下のようにしてアンドロゲン受容体結合阻害作用を試験した。
【0120】
マウス自然発生乳癌(シオノギ癌;SC115)よりクローニングされたアンドロゲン依存性マウス乳癌細胞(SC−3細胞)を、2%DCC−FBS及び10
−8mol/Lのテストステロンを含有するMEM培地(以下、MEM−2という。)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
5cells/μLの細胞密度になるようにMEM−2培地で希釈し、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、37℃、5%CO
2−95%airの条件下で培養した。24時間後、試料(試料1)及び1.0×10
−9mol/LのDHTを添加した0.5%BSA含有HamF12+MEM培地(以下、HMB培地という。)に培地を交換して48時間培養した。その後、培地を0.97mmol/LのMTTを含むMEM−2培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
【0121】
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記結合阻害率の計算式における吸光度はこの補正済み吸光度である)。上記と並行して、試料単独でSC−3細胞に及ぼす影響をみるため、HMB培地にDHTを添加せず試料のみを添加して、同様の培養と測定とを行った。さらに、コントロールとして、試料及びDHTを添加しないHMB培地で培養した場合、並びに試料を添加せずDHTのみを添加したHMB培地で培養した場合についても同様の測定を行った。測定結果より、アンドロゲン受容体結合阻害率(%)を下記式により算出した。
【0122】
アンドロゲン受容体結合阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
式中、Aは「DHT添加・試料添加の場合の吸光度」を表し、Bは「DHT無添加・試料添加の場合の吸光度」を表し、Cは「DHT添加・試料無添加の場合の吸光度」を表し、Dは「DHT無添加・試料無添加の場合の吸光度」を表す。
【0123】
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、各濃度におけるアンドロゲンの結合阻害率(%)を求め、その結果から内挿法により、アンドロゲンの受容体への結合を50%阻害する試料濃度IC
50(μg/mL)を求めた。
【0124】
湖南甜茶抽出物(試料1)のIC
50は、60.0μg/mLであり、湖南甜茶抽出物(試料1)は、優れたアンドロゲン受容体結合阻害作用を有することが確認された。また、アンドロゲン受容体結合阻害作用の程度は、湖南甜茶抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0125】
〔配合例1〕
下記組成の乳液を常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.1g
ホホバオイル 4.0g
オリーブオイル 2.0g
スクワラン 2.0g
セタノール 2.0g
モノステアリン酸グリセリル 2.0g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0g
黄杞エキス 0.1g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
イチョウ葉エキス 0.1g
コンキオリン 0.1g
オウバクエキス 0.1g
カミツレエキス 0.1g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0126】
〔配合例2〕
下記組成の化粧水を常法により製造した。
湖南甜茶酸加水分解物(製造例2) 0.1g
グリセリン 3.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
油溶性甘草エキス 0.1g
海藻エキス 0.1g
キシロビオースミクスチャー 0.5g
クジンエキス 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0127】
〔配合例3〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
セタノール 3.0g
スクワラン 10.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
酵母抽出液 0.1g
シソ抽出液 0.1g
シナノキ抽出液 0.1g
ジユ抽出液 0.1g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0128】
〔配合例4〕
下記組成のパックを常法により製造した。
湖南甜茶酸加水分解物(製造例2) 0.2g
ポリビニルアルコール 15.0g
ポリエチレングリコール 3.0g
プロピレングリコール 7.0g
エタノール 10.0g
セージ抽出液 0.1g
トウキ抽出液 0.1g
ニンジン抽出液 0.1g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0129】
〔配合例5〕
下記組成の養毛ヘアトニックを常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.2g
塩酸ピリドキシン 0.1g
レゾルシン 0.01g
D−パントテニルアルコール 0.1g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
L−メントール 0.05g
1,3−ブチレングリコール 4.0g
ニンジンエキス 0.5g
エタノール 25.0g
香料 0.01g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0130】
〔配合例6〕
下記組成のシャンプー(クリームシャンプー)を常法により製造した。
湖南甜茶酸加水分解物(製造例2) 0.2g
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 30.0g
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム 20.0g
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 6.0g
ヤシ油脂肪酸モジエタノールアミド 4.0g
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
ムクロジエキス 0.2g
黄杞エキス 0.5g
オウバクエキス 0.3g
ローズマリーエキス 0.5g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
香料 0.01g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0131】
〔配合例7〕
下記組成のリンスを常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.2g
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5g
ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0g
セチルアルコール 2.0g
オクチルドデカノール 1.0g
カチオン化セルロース 0.5g
プロピレングリコール 5.0g
ムクロジエキス 0.2g
黄杞エキス 0.5g
オウバクエキス 0.3g
ローズマリーエキス 0.5g
香料 3.0g
精製水 残部(全量を100gとする)