特許第5668717号(P5668717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5668717
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20150122BHJP
   C30B 15/10 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   C30B29/06 502B
   C30B15/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-95912(P2012-95912)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-224224(P2013-224224A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2014年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 明浩
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−018506(JP,A)
【文献】 特開2007−277024(JP,A)
【文献】 特開2000−211994(JP,A)
【文献】 特開昭59−213697(JP,A)
【文献】 特開平09−175898(JP,A)
【文献】 特開平05−105577(JP,A)
【文献】 特表2003−505335(JP,A)
【文献】 実開昭62−175077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填する工程と、前記石英ガラスルツボ内で前記シリコン多結晶を溶融してシリコン融液とする工程と、前記シリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる工程とを繰り返し、同一の石英ガラスルツボを用いて複数本のシリコン単結晶を製造する方法であって、
前記シリコン単結晶の最初の引き上げにおいて、ルツボ形状を有するルツボ基材の内部にルツボ形状に加工した合成石英ガラス材を配置し、該合成石英ガラス材の内部に多結晶シリコンを充填して溶融するとともに、前記合成石英ガラス材を前記ルツボ基材の内面に溶着させて前記石英ガラスルツボを製造し、引き続き、前記多結晶シリコンの溶融によって生じたシリコン融液から最初のシリコン単結晶を引き上げ、その後、2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいては、前記最初の引き上げにおける前記多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面よりもシリコン融液の液面が低くなるように前記石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填して、シリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
【請求項2】
前記合成石英ガラス材を、直接法又はスート法により作製され、粉砕することなくルツボ形状に加工されたものとすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【請求項3】
前記2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいては、前記多結晶シリコンの溶融によって生じるシリコン融液の液面がそれぞれ等しくなるように前記石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【請求項4】
前記合成石英ガラス材を、水酸基含有量が100ppm以下のものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【請求項5】
前記2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいて、前記最初の引き上げにおける前記多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面よりもシリコン融液の液面が5mm以上低くなるように前記石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填して、シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【請求項6】
前記最初のシリコン単結晶を引き上げる前に、前記多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面より5mm以上液面を下げてから、前記最初のシリコン単結晶を引き上げることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶の製造には、チョクラルスキー法(CZ法)と呼ばれる方法が広く採用されている。このチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造では、一般に、石英ガラスルツボ(石英ルツボとも呼ばれる)の内部に多結晶シリコン(ポリシリコン)を充填し、加熱により溶融してシリコン融液とし、このシリコン融液に種結晶を浸漬した後引き上げ、シリコン単結晶インゴットを育成する。
【0003】
従来より、シリコン単結晶の育成中に、高温下で石英ガラスルツボに含まれる気泡が膨張し、ルツボ内周面が剥離してシリコン単結晶が有転位化すること(例えば、特許文献1参照)や、石英ガラスルツボ表面がアモルファスからクリストバライトに変わり、このクリストバライトの剥離によってシリコン単結晶が有転位化すること(例えば、特許文献2参照)が言われている。
【0004】
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造中の石英ガラスルツボ表面のクリストバライト化(結晶化)については、特許文献3や特許文献4によると、「結晶化の初期段階では結晶生成核を基点として点状に発生し、単結晶引上げの進行にともなって、結晶化はリング状に広がる」、「このような結晶化の進展現象により結晶化斑点が生成される。この結晶化斑点の外周部は茶色を呈しているので、茶褐色斑点と呼ばれることもある。」、「結晶化斑点は、単結晶引上げ時間、すなわち、シリコン融液と石英ルツボの内表面とが直接接触する時間の経過とともに増加するが、所定の時間が経過すると結晶化斑点は一定の密度に収束して推移する」と記載されている。また、「かかる結晶化斑点はいったん生成した後、シリコン融液により溶解し始め、次第に結晶化斑点の大きさが小さくなる」とも記載されている。
【0005】
この石英ガラスルツボ表面のクリストバライト化は、ルツボ中のアルカリ金属などの不純物濃度が高いと促進されると言われている。また、デバイス特性への影響を考えても、不純物濃度は低い方が良い。よって、石英ガラスルツボには気泡がないことや不純物濃度が低いことが求められる。
【0006】
気泡が無く、不純物濃度も極めて低い合成石英ガラスの製造方法として、直接法やスート法が挙げられる。直接法とは、四塩化ケイ素(SiCl)などのケイ素化合物を酸水素火炎中で加水分解することにより直接堆積・ガラス化させて合成する方法である。また、スート法とは、以下のような手順で合成石英ガラスを製造する方法である。まず、直接法よりも低温の約1100℃で、四塩化ケイ素(SiCl)などのケイ素化合物を酸水素火炎中で加水分解することにより、多孔質のシリカのかたまり(スート)を合成する。これを、塩素系化合物などの適当なガス中で熱処理して水分を除去する。最後に、約1500℃以上の温度で回転させながらスートを引き下げて下端から順に加熱してガラス化していく(非特許文献1参照)。
【0007】
これらの合成石英ガラスを用いて石英ガラスルツボを作ればシリコン単結晶の有転位化を回避できるが、ルツボ自体の耐熱性(耐熱変形性、変形耐性とも言う)が低い(すなわち、高温下で変形しやすい)という問題がある。この耐熱性の問題を解決する方法として、例えば、(1)シラン化合物から合成された合成石英ガラスを粉砕し、真空下で加熱溶融し、ルツボに成形する方法(特許文献5)や、(2)シラン化合物の直接火炎法によって製造された、水素分子含有量が1×1017molecules/cm以上である合成石英ガラス部材を粉砕、粒度調整、洗浄の各工程を経て合成石英ガラス粉としたのち、これを真空下にて1500〜1900℃で電気溶融し、成型する方法(特許文献6)が挙げられる。
【0008】
特許文献5の方法では、合成石英ガラスを粉砕し、その際の粒度を600μm以下と規定して、これを10−1Torr(13.33Pa)、1500〜1900℃で真空加圧溶融をすることにより水酸基・塩素の含有量を低下させて耐熱性の良い合成石英ガラスルツボを作ることができる。真空加圧溶融なのでルツボ内に1mm以上の気泡は無い。これは、通常のアーク溶融法によって製造した石英ガラスルツボの気泡レベル(例えば、ルツボ1つあたり、1〜2mmの気泡3個程度、2mm以上の気泡なし)よりも良好である。なお、アーク溶融法とは、回転している型内に原料粉を供給しルツボ状の原料粉体層を形成し、その内側からアーク放電加熱し溶融して石英ガラスルツボを製造する方法である(例えば、特許文献7参照)。
【0009】
また、特許文献6の方法によれば、合成石英ガラス部材を水素分子含有量が1×1016molecules/cm以上で歪点が1130℃以上、OH基含有量、塩素含有量がいずれも1ppm以下のものとしたものは、高純度であり、高温における粘度が例えば1400℃で1010ポイズ以上とすることができ、したがってこれをシリコン単結晶引き上げ用ルツボ材とすることができる。
【0010】
また、特許文献8には、石英原料粉を不活性ガス雰囲気下で溶融し、さらに2000℃以上、0.05torr(6.665Pa)以上の真空度に5時間以上保持して精製して得た石英ガラス片を、石英ガラスルツボの内表面に貼り合わせ、加熱溶融して一体化する方法が開示されている。また、その加熱溶融方法として、アーク放電や酸水素炎バーナ等を用いることが例示されている。
【0011】
また、特許文献9には、マルチプリング法による単結晶引き上げにおいて、引き上げ開始前の石英ルツボ内の原料融液の液面位置を、直前に行った単結晶引き上げにおける引き上げ開始前の液面位置よりも低い位置に変更することが記載されている。
[0029]段落には、3本目以降の原料融液の初期の液面位置を、直前に行った単結晶引き上げにおける原料融液の初期の液面位置よりも低い位置に変更するとあり、[0030]−[0032]、[0039]段落には、原料融液の初期の液面位置を順次低い位置に変更すると記載されている。
【0012】
即ち、2本目の原料融液の初期の液面位置を1本目よりも低くするだけではなく、全ての結晶引き上げの都度、1本前の原料融液の初期の液面位置よりも低い位置に変更している。
これは、それぞれの単結晶育成時に、それぞれの原料融液の初期の液面位置で石英ルツボ内表面に局部的な損傷が生じても、その損傷が以降の単結晶育成時に進展せず、原料融液の初期の液面位置による石英ルツボ内表面の損傷の進展を効果的に抑制することができるためである([0022]段落)。
更には、原料融液の液面位置で石英ルツボに含まれる不純物が原料融液中に溶出したり、石英(Si酸化物)が剥離することにより、単結晶の有転位化が顕著に発生するため([0017]段落)、この回避方法として上記方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−329493号公報
【特許文献2】特開2001−342029号公報
【特許文献3】特開2001−240494号公報
【特許文献4】特開平11−228291号公報
【特許文献5】特開平8−40735号公報
【特許文献6】特開平8−48532号公報
【特許文献7】特開2005−239533号公報
【特許文献8】特開2004−2082号公報
【特許文献9】特開2010−018506号公報
【特許文献10】特開平4−295018号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】非晶質シリカ材料応用ハンドブック、リアライズ社、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特に同一の石英ガラスルツボを用いて複数のシリコン単結晶を製造するマルチプリング法では、引き上げの際のシリコン単結晶の有転位化の回避のため、石英ガラスルツボは高純度(すなわち、不純物が少ない)で、かつ気泡が無いものが求められ、さらに、ルツボの耐熱性も必要である。
【0016】
特許文献5及び特許文献6の方法のいずれも合成石英を粉砕しているため、アーク溶融法よりはルツボ内の気泡が少ないといえども皆無ではない。そのため、昨今のシリコン単結晶の大型化により石英ガラスルツボへの熱負荷も大きくなっている現状では、シリコン単結晶製造中にルツボ内の気泡が膨張してしまう。これが原因となってシリコン単結晶が有転位化する場合が多いという問題があった。
【0017】
また、特許文献8の方法で用いている石英材料は、合成石英の粉を溶融し、精製した石英ガラス片である。従って、石英ガラス片中に少なからず気泡が存在している。そのため、特許文献8に開示された石英ガラスルツボを用いてシリコン単結晶を製造しても、シリコン単結晶の有転位化を十分抑制できないという問題がある。また、加熱溶融方法にしても、ガラス片を石英ガラスルツボに酸水素炎バーナで溶着することは、うまく熱を伝えることができず、現実的には非常に難しい。また、ルツボが大型化すると、酸水素炎バーナやアーク放電では局所的な加熱による大きな温度勾配によりルツボや板材が割れる可能性が高く、現実に溶着するのは非常に困難である。
【0018】
また、特許文献9では、2本目以降の液面位置を引き上げの都度変えるため、2本目以降の単結晶重量や原料チャージ量をそれぞれ変えるといった煩雑な方法が必要で、生産性が悪い。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、シリコン単結晶の製造の際のルツボに起因するシリコン単結晶の有転位化を効率的に回避することができるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填する工程と、前記石英ガラスルツボ内で前記シリコン多結晶を溶融してシリコン融液とする工程と、前記シリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる工程とを繰り返し、同一の石英ガラスルツボを用いて複数本のシリコン単結晶を製造する方法であって、前記シリコン単結晶の最初の引き上げにおいて、ルツボ形状を有するルツボ基材の内部にルツボ形状に加工した合成石英ガラス材を配置し、該合成石英ガラス材の内部に多結晶シリコンを充填して溶融するとともに、前記合成石英ガラス材を前記ルツボ基材の内面に溶着させて前記石英ガラスルツボを製造し、引き続き、前記多結晶シリコンの溶融によって生じたシリコン融液から最初のシリコン単結晶を引き上げ、その後、2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいては、前記最初の引き上げにおける前記多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面よりもシリコン融液の液面が低くなるように前記石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填して、シリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【0021】
このように、合成石英ガラス材をルツボ基材の内面に溶着するので、ルツボ基材により石英ガラスルツボの耐熱性を確保しつつ、内面が合成石英ガラス材となるので、気泡やクリストバライトに起因するシリコン単結晶の有転位化を回避することができる。この合成石英ガラス材とルツボ基材との溶着を、多結晶シリコンを溶融する際の加熱により同時に行い、引き続き、シリコン融液からシリコン単結晶を引き上げることとすれば、溶着を均一にでき、さらに、全体として工程を減らすことができる上に、ルツボを一旦冷却する必要が無い。
【0022】
また、最初のシリコン単結晶引き上げにおける多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面を最も高くすることで、融液の温度によって当該液面の位置まではルツボ基材に合成石英ガラス材が十分に溶着して内径が一定になり、2本目以降の引き上げ時には、それより下の位置、すなわち、ルツボ内径が一定の位置で引き上げることができるため、有転位化を確実に抑制できる。
以上より、本発明によれば、高品質なシリコン単結晶を歩留まりよく製造することができる。
【0023】
このとき、前記合成石英ガラス材を、直接法又はスート法により作製され、粉砕することなくルツボ形状に加工されたものとすることが好ましい。
このように加工することで、実質的に気泡を含まず、また、不純物濃度も極めて低いままルツボ形状を有する合成石英ガラス材とすることができる。
【0024】
このとき、前記2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいては、前記多結晶シリコンの溶融によって生じるシリコン融液の液面がそれぞれ等しくなるように前記石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填することが好ましい。
このように、2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいてシリコン融液の液面をそれぞれ等しくすることで、同じ品質、直径のシリコン単結晶を同じ条件で効率的に引き上げることができ、生産性をより向上できる。
【0025】
このとき、前記合成石英ガラス材を、水酸基含有量が100ppm以下のものとすることが好ましい。
このような合成石英ガラス材を用いることで、複数本のシリコン単結晶の引き上げの後半においても、クリストバライトの剥離によりシリコン単結晶の有転位化が発生することを確実に防止できる。
【0026】
このとき、前記2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいて、前記最初の引き上げにおける前記多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面よりもシリコン融液の液面が5mm以上低くなるように前記石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填して、シリコン単結晶を引き上げることが好ましい。
このようにシリコン融液の液面が初期の液面より5mm以上低ければ、ルツボ上部の合成石英ガラス材の溶着が不完全な部分から十分に液面が離れているため、引き上げ開始からシリコン単結晶の有転位化を確実に防止することができる。
【0027】
このとき、前記最初のシリコン単結晶を引き上げる前に、前記多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面より5mm以上液面を下げてから、前記最初のシリコン単結晶を引き上げることが好ましい。
このように一旦シリコン融液の液面を5mm以上下げることで、ルツボ上部の合成石英ガラス材の溶着が不完全な部分から十分に液面を離すことができるため、最初のシリコン単結晶の引き上げ開始から有転位化を確実に防止することができる。また、最初の引き上げにおけるシリコン融液の初期の液面をできるだけ高くして、ルツボの上端付近まで確実に合成石英ガラス材を溶着でき、さらに、その後液面を下げて標準の融液量でシリコン単結晶を引き上げることができるため生産性も良い。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、マルチプリング法によるシリコン単結晶の製造おいて、石英ガラスルツボが起因の有転位化を効率的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明において製造する石英ガラスルツボを示す概略断面図である。
図2】本発明において製造する石英ガラスルツボの一部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
本発明は、石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填する工程と、石英ガラスルツボ内でシリコン多結晶を溶融してシリコン融液とする工程と、シリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる工程とを繰り返し、同一の石英ガラスルツボを用いて複数本のシリコン単結晶を製造する方法である。
このようなマルチプリング法によれば、コストを低減でき、操業効率が良いが、石英ガラスルツボが長時間使用されることでルツボ起因の有転位化が発生しやすくなってしまう。本発明では、このようなルツボ起因の有転位化を効果的に防止できる。
【0032】
本発明では、マルチプリング法におけるシリコン単結晶の最初の引き上げにおいて、ルツボ形状を有するルツボ基材の内部にルツボ形状に加工した合成石英ガラス材を配置し、該合成石英ガラス材の内部に多結晶シリコンを充填して溶融するとともに、当該溶融の際の加熱により合成石英ガラス材をルツボ基材の内面に溶着させて石英ガラスルツボを製造し、引き続き、多結晶シリコンの溶融によって生じたシリコン融液から最初のシリコン単結晶を引き上げる。
【0033】
上記のように合成石英ガラス材をルツボ基材の内面に溶着するので、石英ガラスルツボのうち合成石英ガラス材からなる部分を、シリコン単結晶を製造する際のシリコン融液と接触するルツボ内面とすることができ、気泡やクリストバライトに起因するシリコン単結晶の有転位化を回避することができる。さらに、ルツボ基材に溶着するので耐熱性をルツボ基材に担わせることができ、合成石英ガラス材自体の熱変形等の問題は生じず、石英ガラスルツボの耐熱性を確保することができる。また、合成石英ガラス材とルツボ基材との溶着を、シリコン単結晶引上機内で多結晶シリコンを溶融する際の加熱により同時に行うこととし、また、その後引き続き、シリコン融液からシリコン単結晶を引き上げることとすれば、全体として工程を減らすことができる上に、ルツボを一旦冷却する必要が無い。そのため、シリコン単結晶を製造するために必要な総エネルギーや製造時間を削減することができる。さらに、シリコン融液の存在により、合成石英ガラス材を均一に溶着できる。
【0034】
上記のような最初のシリコン単結晶の引き上げにおいて、原料となる多結晶シリコンの溶融の際の加熱で、図1に示すような、石英ガラスからなるルツボ基材20の内面に合成石英ガラス材30が溶着されて、合成石英ガラスルツボ10が製造される。
本発明におけるルツボ基材20と合成石英ガラス材30は例えば以下のように準備することができる。
【0035】
まず、本発明で準備するルツボ基材20は、通常の石英ガラスルツボでよい。ただし、本発明によって製造する石英ガラスルツボとの区別のため、本発明の説明においては「ルツボ基材」と呼ぶ。本発明のルツボ基材は、現在工業的に使用されている石英ガラスルツボを用いれば良く、その製法も特に限定されず、例えば、現在工業的に実施されているアーク溶融法で良い。アーク溶融法とは、例えば特許文献7に開示されているような、回転している型内に原料粉を供給してルツボ状の原料粉体層を形成し、その内側からアーク放電加熱し溶融して石英ガラスルツボを製造する方法である。その他、ゾルゲル法や、スリップキャスト法等によりルツボ基材を製造することができる。この場合、本発明ではルツボ基材の内面は、必ずしも高純度層や無気泡層となっている必要はない。
【0036】
一方、ルツボ基材20の内面に溶着するための、ルツボ形状の合成石英ガラス材30を以下のようにして準備する。
【0037】
まず、例えば直接法又はスート法により合成石英ガラス材を作製する。直接法又はスート法によれば、実質的に気泡を含まず、また、不純物濃度も極めて低い合成石英ガラス材を作製することができる。
【0038】
このとき、合成石英ガラス材を厚さ1mm以上の板状のものとして作製することが好ましい。合成石英ガラス材の厚さが1mm以上であれば、ルツボ形状への加工の際の破損を防止することができる。また、シリコン単結晶の原料の多結晶シリコンを充填する際の破損も防止することができる。一方、合成石英ガラス材の厚さは10mm以下であることが望ましい。このような厚さであれば、R加工などの工数が増えすぎることがない。また、板状の合成石英ガラス材はフォトマスク用などとして市販もされており、容易に入手可能である。
【0039】
次に、合成石英ガラス材を、粉砕することなくルツボ形状に加工することが好ましい。これにより、図1に示したようなルツボ形状を有する、合成石英ガラス材30とすることができる。
直接法又はスート法により作製された合成石英ガラス材を粉砕することなく加工することで、実質的に気泡を含まず、また、不純物濃度も極めて低いまま、ルツボ形状の合成石英ガラス材30とすることができる。また、工程数も減少することから、安価に準備することができる。
【0040】
なお、本発明では行わないことが好ましい「合成石英ガラス材の粉砕」とは、合成石英ガラス材から粉末(例えば、平均粒径1mm以下の粉末)への加工を意味し、すなわち、直接法またはスート法により製造した合成石英ガラス材から塊状、板状等の形状に切り出し、加工すること等は含まない。本発明では、このような切り出し、加工等を行うことが好ましい。
【0041】
この工程では、合成石英ガラス材がルツボ形状となるように加工すればよく、その具体的な方法は特に限定されない。また、合成石英ガラス材のルツボ形状への加工において、一つの合成石英ガラス材からルツボ形状を構成してもよいし、複数の合成石英ガラス材からルツボ形状を構成してもよい。
【0042】
一つの合成石英ガラス材からルツボ形状を構成するには、例えば、カーボン製や合成石英製の治具に熱をかけながら押し付け、一気にルツボ形状へと加工することができる。このような場合、合成石英ガラス材を板状としておけば加工が容易となり、好ましい。
【0043】
複数の合成石英ガラス材からルツボ形状を構成する場合には、各々の合成石英ガラス材をルツボ形状へと加工しやすい合成石英ガラス片とすることができる。このような合成石英ガラス片の個々の形状は特に限定されない。
複数の合成石英ガラス材は、R加工等や酸水素炎バーナー等を用いた溶接により、複数の合成石英ガラス材からルツボ形状を構成するようにすることができる。このような加工及び溶接等は、後述のルツボ基材に溶着する工程よりも前に行えばよい。また、複数の合成石英ガラス材が、全体としてルツボ形状を構成し、そのルツボ形状のままルツボ基材に溶着されればよく、必ずしも複数の合成石英ガラス片を予め溶接等により一体化する必要はない。
【0044】
以上のようにルツボ形状の合成石英ガラス材30を準備することができるが、本発明では、合成石英ガラス材が、水酸基含有量が100ppm以下、さらには50ppm以下、30ppm以下、最も好ましくは1ppm以下のものであることが好ましい。
水酸基含有量が例えば200ppm以上と高い場合、粘度が低く、合成石英ガラス材が変形しやすいため、ルツボ基材とより密着するが、一方、結晶化(クリストバライト化)が起きやすく、ルツボの耐久性に問題が生じる場合があった。合成石英ガラス材の水酸基含有量は100ppm以下であれば、マルチ次数を重ねても(引上本数が増えても)、上記のようなクリストバライトの剥離に伴うシリコン単結晶の有転位化を効果的に抑制できる。これにより、合成石英ガラス材とルツボ基材の密着性は低くなるが、本発明では、多結晶シリコンを充填して溶融の際に溶着するため密着性の問題は発生しない。
【0045】
合成石英ガラス材の水酸基含有量の調整方法は特に限定されないが、例えば、特許文献10に開示されているように、火炎バーナーを多重管バーナーとし、その中心ノズルから供給される原料シラン化合物と支燃性ガスとしての酸素ガスとの混合ガスの組成比を変えることや、支燃性ガスに不活性ガスを混合することにより、合成石英ガラスを作製するときの成長溶融面の表面温度を制御することで調整可能である。
【0046】
なお、ルツボ基材の準備と、合成石英ガラス材の作製及びルツボ形状への加工とは独立に行うことができ、どちらを先に行ってもよいし、並行して行うこともできる。
【0047】
そして、マルチプリング法における最初のシリコン単結晶の引き上げを行う前に、上記のように準備したルツボ基材20の内部にルツボ形状に加工した合成石英ガラス材30を配置(セット)する。このときのルツボ形状の合成石英ガラス材30としては、一つの合成石英ガラス材からルツボ形状に加工したもの、複数の合成石英ガラス材を溶接してルツボ形状としたもののいずれでもよい。この場合、合成石英ガラス材は、予め一体化したものを用いるようにすることが好ましい。
次に、合成石英ガラス材30の内部に多結晶シリコンを充填する。次に、多結晶シリコンをシリコン単結晶引上機内で溶融し、この際の加熱により、ルツボ基材20と合成石英ガラス材30との溶着を行う。パワー(加熱のための投入電力)や加熱時間は任意であり、シリコン多結晶原料を溶融することができればよく、通常の多結晶シリコンの溶融と同様に、引上機、ルツボのサイズ等に依存して決定することができる。
【0048】
また、上部に位置する合成石英ガラス材がルツボ基材20に溶着する前に倒れてこないように、上記合成石英ガラス材30をルツボ基材20に配置した後に、ルツボ基材20と合成石英ガラス材30を上端部で溶接(図2の溶接部40)しておくことが好ましく、さらに、ルツボ基材20と合成石英ガラス材30との間に雰囲気ガスが閉じ込められないよう、気抜きを設けることが好ましい。
【0049】
上記のように多結晶シリコンを融液にする際の加熱により溶着することで、内側のシリコン融液の存在で合成石英ガラス材のルツボ基材への溶着が均一に行われる利点がある。ただし、図2に示すように、最初の引き上げの融液の初期液面(多結晶シリコンが溶融した時点での液面)ML1付近より下方は均一に溶着されるが、当該液面ML1付近より上の部分では十分に溶着されず、溶着部分と未溶着部分の間で段差が生じてしまうことを本発明者は見出した。このような段差があると、ルツボ内径が変化してしまい、この状態でシリコン単結晶を引き上げると、シリコン単結晶引き上げ中に融液の液面の半径がルツボ内径に応じて変化し、熱履歴が変化してしまう。これにより、結晶品質の変化や、有転位化の発生などの恐れがある。また、ルツボ内径の変化部(段差)は合成石英ガラス材が延び、肉厚が減少している可能性が高い。従って、全ての引き上げで融液の初期液面位置を同じにしていると、当該初期液面位置の合成石英ガラス材が浸食されてクラックが生じる可能性がある。そうするとクラック部がパーティクルの発生源となり、シリコン単結晶の有転位化を招いてしまう。
【0050】
上記のような課題を解決するために、本発明では、2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいては、最初の引き上げにおける多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面よりもシリコン融液の液面が低くなるように石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填して、シリコン単結晶を引き上げる。
最初の引き上げにおける多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面(図2のML1)付近までは合成石英ガラス材は十分に溶着されているため、当該液面付近より下方はルツボ内径が一定となる。このため、2本目以降の引き上げのシリコン融液の液面(図2のML2〜)が最初の液面(ML1)より低ければ、引き上げ初期から終了までルツボ内径が一定の状態で引き上げが可能であり、上記した有転位化を防止できる。
【0051】
このとき、2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいては、多結晶シリコンの溶融によって生じるシリコン融液の液面がそれぞれ等しくなるように石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填する。
本発明では、ルツボの内面に合成石英ガラス材が貼り付けられているため、不純物は極めて低濃度で、シリコン単結晶が有転位化する程不純物が融液に溶出することは無く、またクリストバライト化も起きないために、これが剥離する問題も生じない。従って、上記のように溶融された融液の液面を引き上げの2本目と3本目以降で同じにしても、特許文献9に記載されているような損傷等が生じて、これがシリコン単結晶の有転位化を招くことはない。このため、引き上げの2本目以降で同じ液面の高さとすることができるため、特許文献9のような引き上げ毎に複雑な融液の液面変更は不要で、同じ条件で2本目以降の引き上げを実施でき、生産性が向上し、容易に有転位化を抑制できる。
【0052】
また、2本目以降のシリコン単結晶の引き上げにおいて、最初(1本目)の引き上げにおける多結晶シリコンの溶融によって生じたシリコン融液の液面(ML1)よりもシリコン融液の液面(ML2〜)が5mm以上低くなるように石英ガラスルツボに多結晶シリコンを充填して、シリコン単結晶を引き上げることが好ましい。
図1のように、最初の引き上げにおける融液の初期液面ML1と2本目以降の引き上げのシリコン融液の液面ML2の差dが5mm以上であれば、合成石英ガラス材の未溶着部分の段差の影響を確実に抑制することができ、効率的に有転位化を防止することができる。
【0053】
また、最初のシリコン単結晶を引き上げる前に、多結晶シリコンの溶融によって生じた初期のシリコン融液の液面より5mm以上液面を下げてから、最初のシリコン単結晶を引き上げることが好ましい。
多結晶シリコンの溶融によって生じたシリコン融液の液面(ML1)、すなわち最初の多結晶シリコンの溶融が終了した段階のシリコン融液の初期液面の位置より引き上げ開始の位置が5mm以上低ければ、最初のシリコン単結晶を引き上げる時にもルツボ内径の段差の影響は確実に避けることができる。従って、最初の引き上げにおける有転位化も防止するために、最初の引き上げ前に液面を下げて、その後引き上げを開始することが好ましい。具体的には、例えば、口径が32インチ(800mm)の石英ルツボを用いた場合は最初の多結晶シリコンの溶融が終了した後、シリコン融液から5kg程度のダミー結晶(多結晶又は単結晶)を育成して、当該ダミー結晶を炉外へ一旦取り出すことで、液面を5mm下げることができる。これにより、最初の単結晶引き上げの開始時点から、ルツボ内径の変化(段差)の影響を確実に回避することができ、歩留まりをより向上できる。また、このような液面を下げる工程を行うことで、最初の溶融後の初期液面の位置を可能な限りルツボ上端に近い位置まで高くすることができ、合成石英ガラス材の十分な溶着をより確実に達成できる。
【0054】
尚、本発明においては結晶引上重量には何ら制限はなく、全ての引き上げにおいて結晶引上重量は同じにしても問題ない。これは上述の通り、内貼りルツボ(ルツボ基材内面に合成石英ガラス材が溶着されたルツボ)では、液面位置における損傷を考慮する必要はないからである。即ち結晶引上重量が同じ場合には残存融液の液面位置は同じになるが、この残存融液の液面位置における損傷が生じてもシリコン単結晶の有転位化を招くことはない。もちろん、結晶引上重量を変えることもできる。
上記のような液面の位置は、多結晶シリコンの充填量で容易に調整することができる。
【0055】
以上のような本発明の製造方法であれば、生産性良く、高品質のシリコン単結晶を製造することができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1−3、比較例1,2)
口径32インチ(800mm)の石英ガラスルツボを用いて、直径300mmのシリコン単結晶をマルチプリングで3本引き上げた。この3本引きのマルチプリングを10回繰り返した。実施例1−3、比較例1,2におけるルツボ種類、原料重量、引上重量、有転位化回数を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例1−3、比較例1では、石英ガラスルツボとして、上部を溶接した内貼りルツボを用いた。
具体的には、スート法により厚さ5mmの合成石英ガラス材の板材を作製し、この合成石英ガラス材を、アーク溶融法で作製した口径32インチ(800mm)の石英ガラスからなるルツボ基材(水酸基含有量は150ppm)の内面形状に合わせて、切り出し、R加工し、溶接し、ルツボ形状とした。ルツボ形状に加工した合成石英ガラス材30をルツボ基材20内に配置し(図1参照)、その中に原料として多結晶シリコンを充填し、多結晶シリコンの溶融において合成石英ガラス材をルツボ基材に溶着した。
【0059】
実施例1では、1本目の原料重量を標準条件より10kg増やし410kgとし、溶融後そのまま1本目の結晶を引き上げた。有転位化は僅か2回の発生であった。
2本目、3本目の原料重量は標準条件の400kgとした。即ち、2本目、3本目の原料融液の液面位置は1本目の原料融液の初期液面位置より約10mm下がっている。これにより、ルツボ内径が変化しているエリアは融液に触れず、1回も有転位化することなくシリコン単結晶を製造できた。
【0060】
実施例2では、初めに410kgの原料を溶融したが、そのまま1本目の結晶を引き上げるのではなく、10kg分の結晶を育成して、当該結晶を一度炉外に取り出し、これにより、引き上げ前に融液の液面を下げた。即ち、1本目の結晶引き上げ開始の時からルツボ内径が変化しているエリアは融液が触れていない。これにより、1本目においても1回も有転位化しなかった。2本目、3本目は400kgの原料とし、この時も1回も有転位化しなかった。
【0061】
実施例3では、合成石英ガラス材(内ルツボ)のOH基濃度を200ppmとした以外は、実施例2と同様とした。2本目までの有転位化状況は実施例2と同様であったが、3本目では2回有転位化した。
【0062】
比較例1では、全3本とも400kgの原料とした以外は、実施例1と同様にシリコン単結晶を製造した。即ち、全3本の引き上げにおいて、融液の液面は初期の位置と同じになり、ルツボ内径が変化しているエリアに融液が触れていた。1−2本目は2回ずつ有転位化し、3本目では4回有転位化してしまった。
【0063】
比較例2では、アーク溶融法により作製した従来のルツボを用いた。全3本とも、400kgの原料とした。1本目は実施例の内貼りルツボに比べてはるかに多い有転位化が発生し、2本目以降も有転位化が発生し、2本に1回程度の頻度で発生し続けた。
【0064】
なお、表1の有転位化回数は、10回繰り返し行ったときの総数である。有転位化した場合は再溶融を行うが、このときにルツボの表面状態(気泡、結晶化度)は変わってしまうので、再溶融後の更なる有転位化は区別する必要があるが、今回は再溶融後に有転位化は発生しなかった。即ち、各結晶引上において、2回以上有転位化することは無かった。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0066】
10…石英ガラスルツボ、 20…ルツボ基材、
30…合成石英ガラス材、 40…溶接部。
図1
図2