特許第5669990号(P5669990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5669990縮合硬化型シリコーン樹脂組成物、縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物、及び、光半導体素子封止体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5669990
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】縮合硬化型シリコーン樹脂組成物、縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物、及び、光半導体素子封止体
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/08 20060101AFI20150129BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20150129BHJP
   C08G 77/388 20060101ALI20150129BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20150129BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20150129BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20150129BHJP
【FI】
   C08L83/08
   C08L83/06
   C08G77/388
   H01L23/30 R
   H01L23/30 F
   H01L33/00 420
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-534297(P2014-534297)
(86)(22)【出願日】2014年5月26日
(86)【国際出願番号】JP2014063822
【審査請求日】2014年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-170559(P2013-170559)
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-253170(P2013-253170)
(32)【優先日】2013年12月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 矩章
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝政
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−149131(JP,A)
【文献】 特開2012−012434(JP,A)
【文献】 特開2011−246693(JP,A)
【文献】 特開2011−178983(JP,A)
【文献】 特開2010−084118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00−83/16
C08G 77/00−77/62
H01L 23/00−23/56
33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合硬化型シリコーン樹脂混合物と接着性付与剤とを含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物であって、
前記接着性付与剤は、下記式(1−1)で表される構造単位と下記式(1−2)で表される構造単位との間に、下記式(1−3)で表される構造単位及び/又は下記式(1−4)で表される構造単位を有する化合物を含有し、前記接着性付与剤の下記式(2)官能基当量は100〜15000であり、前記接着性付与剤の含有量が、0.01〜15質量%であることを特徴とする縮合硬化型シリコーン樹脂組成物。
【化1】
式(1−1)及び式(1−2)中、R1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)及び式(1−4)中、R1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)中、mは、1〜50の整数であり、式(1−4)中、nは、1〜1500の整数である。式(1−1)〜(1−3)中、Aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、下記式(2)で表される基である。ただし、式(1−1)〜(1−3)中、少なくとも1つのAは式(2)で表される基である。
【化2】
式(2)中、R2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。式(2)中、xは0〜2の整数である。
【請求項2】
式(2)において、Rがメチレン基であり、Rがそれぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシメチル基である請求項1記載の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させることによって得られる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物。
【請求項4】
光半導体素子が請求項記載の縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物で封止されている光半導体素子封止体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性に優れる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物に関する。また、本発明は、該縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を用いてなる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物及び光半導体素子封止体に関する。
【背景技術】
【0002】
縮合硬化型シリコーン樹脂は、ポッティング材等のエレクトロニクス材料や建築用のシーラントとして幅広く用いられており、これらは空気中の水分と反応し、縮合硬化反応によってゴム状になることで、硬化時に接触している基材との接着性を発現する。しかしながら、従来の縮合硬化型シリコーン樹脂は、半導体材料の構成部材に対する接着性が低いという問題があった。例えば、光半導体デバイス用途においては、従来の縮合硬化型シリコーン樹脂はリフレクター材料であるPPA(ポリフタルアミド樹脂)に対しての接着性に乏しく、発光素子からの発熱や温度サイクルにより、更に接着性が低下し、基材とシリコーン樹脂間で剥離が生じるという問題があった。
【0003】
このような接着性の課題を解決するために、通常、シランカップリング剤等の接着性付与剤が配合されている。例えば、特許文献1、2にはアミノ基やグリシジル基を有するシランカップリング剤を配合する方法が開示されており、特許文献3には尿素結合を有するシランカップリング剤を用いることで、基材との接着性を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献4には、接着性を向上させるために基材へプライマー処理を行う方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているようなシランカップリング剤を配合する方法は、基材に対する接着性を向上させる効果が充分でなく、更に、著しい吸湿によって接着性が低下する等の耐久性に乏しいという欠点を有している。
また、特許文献4に開示されているようなプライマー処理を行う方法は、工程数が増えるため経済的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−194857号公報
【特許文献2】特開2012−219113号公報
【特許文献3】特開2011−251936号公報
【特許文献4】特開2001−040286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、接着性に優れる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を用いてなる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物及び光半導体素子封止体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物と接着性付与剤とを含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物であって、前記接着性付与剤は、下記式(1−1)で表される構造単位と下記式(1−2)で表される構造単位との間に、下記式(1−3)で表される構造単位及び/又は下記式(1−4)で表される構造単位を有する化合物を含有し、前記接着性付与剤の下記式(2)官能基当量は100〜15000であり、前記接着性付与剤の含有量が、0.01〜15質量%である縮合硬化型シリコーン樹脂組成物である。
【0008】
【化1】
【0009】
式(1−1)及び式(1−2)中、R1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)及び式(1−4)中、R1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)中、mは、1〜50の整数であり、式(1−4)中、nは、1〜1500の整数である。式(1−1)〜(1−3)中、Aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、下記式(2)で表される基である。ただし、式(1−1)〜(1−3)中、少なくとも1つのAは式(2)で表される基である。
【0010】
【化2】
【0011】
式(2)中、R2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。式(2)中、xは0〜2の整数である。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明者は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物に接着性付与剤として特定の構造を有する化合物を配合することにより、極めて優れた接着性を有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物を含有する。
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物とは、硬化前は液状であり、反応副生成物を発生させながら硬化することでゴム弾性体となるシリコーン樹脂のことを意味する。具体的には、ポリシロキサン中に、アルコキシシリル基やアセトキシシリル基等の加水分解性基が存在し、空気中の水分でこれらの基がシラノール基に加水分解され、該シラノール基同士が縮合することで安定なシロキサン結合が形成され架橋する。
例えば、付加硬化型シリコーン樹脂混合物は、副生成物はほとんど発生しないが、架橋剤として通常用いられる白金触媒が、硫黄、窒素、リン原子を含む化合物と接触すると硬化阻害を生じることがあるため、硬化条件を厳密に管理する必要がある。一方、前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物は、硬化条件を厳密に管理することなく硬化させることができる。
【0014】
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物は、一般的に公知な1液型や2液型を用いることができる。1液型としてはオキシム型、アルコール型、アセトン型、酢酸型等が挙げられ、これらの中でも、金属への腐食がないアルコール型及びアセトン型が好ましい。
2液型としては、アルコール型、アセトン型等が挙げられる。
【0015】
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物の縮合硬化反応には、必要に応じて、スズ、チタン、アミン化合物を触媒として用いてもよい。
【0016】
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物のうち、市販されているものとしては、例えば、1液縮合アセトン型のものとして、KE−3490、KE−3493、KE−3494、KE−3497、KE−3466、KE−3412、KE−3421、KE−3423、KE−3495(いずれも信越シリコーン社製)、1液縮合アルコール型のものとして、KE−4806−W、KE−4901−W、KE−4920T、KE−4920、KE−4921−B、KE−4921−W(いずれも信越シリコーン社製)、2液縮合アセトン型のものとして、KE−200、KE−210(いずれも信越シリコーン社製)等が挙げられる。
【0017】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、接着性付与剤として、前記式(1−1)で表される構造単位と前記式(1−2)で表される構造単位との間に、前記式(1−3)で表される構造単位及び/又は前記式(1−4)で表される構造単位を有するシリコーン化合物(以下、「本発明にかかる接着性付与剤」ともいう)を含有する。
なお、式(1−1)及び式(1−2)で表される構造単位は分子末端を意味する。
【0018】
本発明にかかる接着性付与剤は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
本発明にかかる接着性付与剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
前記式(1−1)及び前記式(1−2)中、R1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。なお、本明細書において、「それぞれ独立に」とは、「同一であってもよいし、異なっていてもよい」ことを意味する。
【0020】
前記R1aで表される炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
【0021】
前記R1aで表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
前記R1aで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
【0023】
前記R1aで表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−フェニルエチル基、β−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0024】
前記R1aは、これらの中でも、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。
【0025】
前記式(1−3)及び前記式(1−4)中、R1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。
【0026】
前記R1bで表される炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
【0027】
前記R1bで表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
前記R1bで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
【0029】
前記R1bで表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−フェニルエチル基、β−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0030】
前記R1bは、これらの中でも、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。
【0031】
前記式(1−3)中、mは、1〜50の整数であり、好ましくは2〜45の整数である。前記式(1−4)中、nは、1〜1500の整数であり、好ましくは2〜1400の整数である。
なお、m及び/又はnが2以上である場合、繰り返し単位中の各R1bは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
前記式(1−1)〜(1−3)中、Aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、前記式(2)で表される基である。
前記Aで表される炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基としては、それぞれ前記R1aや前記R1bと同様のものが挙げられる。
【0033】
本発明の接着性付与剤が前記式(1−3)で表される構造単位を有さない場合、接着性を向上させる効果に優れること等から、前記式(1−1)及び前記式(1−2)中のAは、いずれも式(2)で表される基であることが好ましい。
【0034】
前記式(2)中、R2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表す。
前記R2aで表される炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、n−オクチレン基、及び、これらのアルキレン基の一部の炭素原子が酸素原子で置換されてなる基等が挙げられる。なかでも、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、及び、これらのアルキレン基の一部の炭素原子が酸素原子で置換されてなる基が好ましい。
【0035】
前記式(2)中、R2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
前記R2bで表される炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、及び、イソプロピレン基が挙げられる。
なお、式(2)中のxが2である場合、2つのR2bは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
前記式(2)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
前記Rで表される炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、及び、イソプロピレン基が挙げられる。
なお、式(2)中のxが1以上である場合、各Rは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
前記式(2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。
前記Rで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及び、イソプロピル基が挙げられる。
前記Rで表されるOH基を有する炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
なお、式(2)中のxが1以上である場合、各Rは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
前記式(2)中、xは、0〜2の整数である。式(2)中のxは、0又は1の整数であることが好ましい。
なお、xが0である場合とは、R2aとNH基とが直接結合している場合を意味する。
【0039】
本発明にかかる接着性付与剤としては、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物との相溶性や、原料の入手性の観点等から、前記式(2)中のRがメチレン基、Rがそれぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシメチル基であるものが好ましい。
【0040】
本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量の好ましい下限は100、好ましい上限は15000である。本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量が100未満であると、前記式(2)で表される基の官能基当量に見合った接着性を示さなかったり、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物との相溶性に劣るものとなったりすることがある。本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量が15000を超えると、得られる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物の接着性が不充分となることがある。
本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量のより好ましい下限は200、より好ましい上限は12000、更に好ましい下限は500、更に好ましい上限は10000である。
本発明にかかる接着性付与剤の官能基当量とは、(接着性付与剤の分子量)/(カルバメート基のモル数)で定義され、mとnの比率に応じたものとなる。
【0041】
本発明にかかる接着性付与剤の製造方法としては、例えば、下記式(3−1)で表される構造単位と下記式(3−2)で表される構造単位との間に、下記式(3−3)で表される構造単位及び/又は下記式(3−4)で表される構造単位を有するシリコーン化合物(以下、「アミノ基を有するシリコーン化合物」ともいう)と、下記式(4)で表される環状カーボネート化合物(以下、単に「環状カーボネート化合物ともいう)とを反応させる方法等が挙げられる。
【0042】
【化3】
【0043】
式(3−1)及び式(3−2)中、R1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(3−3)及び式(3−4)中、R1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(3−3)中、mは、1〜50の整数であり、式(3−4)中、nは、1〜1500の整数である。式(3−1)〜式(3−3)中、Bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、下記式(5)で表される基である。ただし、式(3−1)〜(3−3)中、少なくとも1つのBは式(5)で表される基である。
なお、式(3−1)及び式(3−2)中のR1aと式(1−1)及び式(1−2)中のR1aとは、それぞれ同じ基となり、式(3−3)及び式(3−4)中のR1bと式(1−3)及び式(1−4)中のR1bとは、それぞれ同じ基となる。
【0044】
【化4】
【0045】
式(4)中、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。
なお、式(4)中のRと式(2)中のRとは、それぞれ同じ基となり、式(4)中のRと式(2)中のRとは、それぞれ同じ基となる。
【0046】
【化5】
【0047】
式(5)中、R2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。式(5)中、xは0〜2の整数である。
なお、式(5)中のR2aと式(2)中のR2aとは、それぞれ同じ基となり、式(5)中のR2bと式(2)中のR2bとは、それぞれ同じ基となる。
また、式(5)中のxが2以上である場合、各R2bは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基当量は、前記した本発明にかかる接着性付与剤の官能基当量に相当する。なお、本発明にかかる接着性付与剤の官能基とは、カルバメート基(NHCOO)である。
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基当量を測定する方法としては、例えば、過塩素酸を用いた非水中和滴定等の方法が挙げられる。
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基当量の値より、本発明にかかる接着性付与剤に含まれる官能基であるカルバメート基(NHCOO)基のモル数、すなわち官能基当量が計算できる。
【0049】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物の合成方法としては、米国特許第3355424号明細書、米国特許第2947771号明細書、米国特許第3890269号明細書等に開示されている、アルキルアミノ基を有するジアルコキシアルキルシラン単位がシロキサンの鎖中に挿入されることへとつながる重縮合反応を用いた方法を用いることができる。この反応は通常、酸性又はアルカリ性触媒の存在下で行われる。この反応はジアルコキシアルキルシラン及び環状シロキサンを用いる重合反応として行うこともできる。
【0050】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のうち市販されているものとしては、例えば、KF−864、KF−865、KF−868、KF−857、KF−8001、KF−862(モノアミン型)、KF−859、KF−393、KF−860、KF−880、KF−8004、KF−8002、KF−8005、KF−867、KF−869、KF−861(ジアミン型)、X−22−1660B−3、X−22−9409(両末端アミン、側鎖フェニル型)、PAM−E、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008(両末端アミン型)(いずれも信越シリコーン社製)、BY16−205、BY16−849、FZ−3785、BY16−872、BY16−213、FZ−3705(いずれも東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0051】
前記環状カーボネート化合物としては、例えば、下記式(6)で表される化合物等が挙げられる。なかでも、反応の容易さや性能の観点から、前記式(4)中のRがメチレン基であるものが好ましく、エチレンカーボネート、グリセロールカーボネートがより好ましい。
【0052】
【化6】
【0053】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物と前記環状カーボネート化合物との反応における前記環状カーボネート化合物の使用量としては、前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基1モルに対して0.5〜10モルであることが好ましく、0.8〜5モルであることがより好ましい。
ここでいうアミノ基は、前記環状カーボネート化合物と反応し得るアミノ基であり、詳しくは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基である。
【0054】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物と前記環状カーボネート化合物との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。用いる溶媒としては、アミノ基を有するシリコーン化合物が溶解しやすく、適度な極性を有する溶媒が好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0055】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物と前記環状カーボネート化合物との反応は、使用する溶媒に応じて40〜180℃の範囲内の温度で行うことが好ましいが、80〜160℃の範囲内の温度で溶媒を用いずに行うことがより好ましい。
【0056】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物中の本発明にかかる接着性付与剤の含有量の好ましい下限は0.01質量%、好ましい上限は15質量%である。本発明にかかる接着性付与剤の含有量が0.01質量%未満であると、接着性を向上させる効果が充分に発揮されないことがある。本発明にかかる接着性付与剤の含有量が15質量%を超えると、硬化物の硬度に悪影響を及ぼすことがある。本発明にかかる接着性付与剤の含有量のより好ましい下限は0.1質量%、より好ましい上限は10質量%、更に好ましい下限は0.3質量%、更に好ましい上限は5質量%である。
【0057】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明にかかる接着性付与剤に加えて、その他の接着性付与剤を含有していてもよい。
【0058】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物及び本発明にかかる接着性付与剤に加えて、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0059】
前記添加剤としては、例えば、無機フィラー、酸化防止剤、無機蛍光体、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、分散剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤、溶剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等が挙げられる。
【0060】
前記無機フィラーとしては特に限定されず、光学特性を低下させない微粒子状のものが挙げられる。具体的には例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0061】
前記無機蛍光体としては、例えば、LEDに広く利用されている、イットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系蛍光体、ZnS系蛍光体、YS系蛍光体、赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体等が挙げられる。
【0062】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物と、本発明にかかる接着性付与剤と、必要に応じて使用する添加剤とを混合することによって製造することができる。
【0063】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、1液型又は2液型とすることできる。
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、光半導体素子等の基材に塗布し硬化させて使用することができる。
【0064】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、ディスペンサーを使用する方法、ポッティング法、スクリーン印刷、トランスファー成形、インジェクション成形等の方法が挙げられる。
【0065】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、室温又は加熱によって硬化させることができる。本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させることによって得られる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物もまた、本発明の1つである。
【0066】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を加熱して硬化させる際の最終的な加熱温度は、通常100℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、120〜200℃であることがより好ましく、120〜180℃であることが更に好ましい。
【0067】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物の用途としては、例えば、電子材料用の封止材組成物、建築用シーリング剤組成物、自動車用シーリング剤組成物、接着剤組成物等が挙げられる。
前記電子材料としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材や、光半導体素子や、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子や、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等が挙げられる。なかでも、光半導体素子の封止材として好適に用いることができる。
光半導体素子が本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物で封止されている光半導体素子封止体もまた、本発明の1つである。
【0068】
また、本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の用途に使用することができる。
【発明の効果】
【0069】
本発明によれば、接着性に優れる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を用いてなる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物及び光半導体素子封止体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
【0071】
(製造例1)
(アミノ基を有するシリコーン化合物とエチレンカーボネートとの反応(接着性付与剤Aの調製))
磁気回転子、温度計及び冷却器を備え付けた50mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、アミノ基を有するシリコーン化合物(信越シリコーン社製、「KF−865」、アミノ基当量5000g/mol)10.0g(アミノ基2.00mmol)とエチレンカーボネート(分子量88.06)0.35g(4.00mmol)とを仕込み、120℃まで昇温させた後、マグネチックスターラーを用いて15時間撹拌した。中和滴定により残存アミノ基が1%未満であることを確認した。その後、反応液を、攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに移し、クロロベンゼン50g及び水50gを加えて分液し、有機層を濃縮することで、透明液体(接着性付与剤A)9.3gを取得した。
H−NMRにより、接着性付与剤Aを測定した結果、接着性付与剤Aは、前記式(1−1)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aがメチル基)と、前記式(1−2)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aがメチル基)と、前記式(1−3)で表される構造単位(R1bがメチル基、Aが式(2)で表される基であり、R2aがn−プロピレン基、xが0、Rがメチレン基、Rが水素)と、前記式(1−4)で表される構造単位(R1bがメチル基)とを有していることを確認した。
【0072】
(製造例2)
(アミノ基を有するシリコーン化合物とグリセロールカーボネートとの反応(接着性付与剤Bの調製))
磁気回転子、温度計及び冷却器を備え付けた50mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、アミノ基を有するシリコーン化合物(信越シリコーン社製、「KF−865」、アミノ基当量5000g/mol)10.0g(アミノ基2.00mmol)とグリセロールカーボネート(分子量118.09)0.47g(3.95mmol)とを仕込み、120℃まで昇温させた後、マグネチックスターラーを用いて15時間撹拌した。中和滴定により残存アミノ基が1%未満であることを確認した。その後、反応液を、攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに移し、クロロベンゼン50g及び水50gを加えて分液し、有機層を濃縮することで、透明液体(接着性付与剤B)9.3gを取得した。
H−NMRにより、接着性付与剤Bを測定した結果、接着性付与剤Bは、前記式(1−1)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aがメチル基)と、前記式(1−2)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aがメチル基)と、前記式(1−3)で表される構造単位(R1bがメチル基、Aが式(2)で表される基であり、R2aがn−プロピレン基、xが0、Rがメチレン基、Rがヒドロキシメチル基)と、前記式(1−4)で表される構造単位(R1bがメチル基)とを有していることを確認した。
【0073】
(製造例3)
(フェニル基及びアミノ基を有するシリコーン化合物とエチレンカーボネートとの反応(接着性付与剤Cの調製))
磁気回転子、温度計及び冷却器を備え付けた50mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、フェニル基及びアミノ基を有するシリコーン化合物(信越シリコーン社製、「X−22−1660B−3」、アミノ基当量2200g/mol)5.0g(アミノ基2.27mmol)とエチレンカーボネート(分子量88.06)1.0g(11.4mmol)とを仕込み、120℃まで昇温させた後、マグネチックスターラーを用いて15時間撹拌した。中和滴定により残存アミノ基が1%未満であることを確認した。その後、反応液を、攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに移し、クロロベンゼン50g及び水50gを加えて分液し、有機層を濃縮することで、透明液体(接着性付与剤C)4.1gを取得した。
H−NMRにより、接着性付与剤Cを測定した結果、接着性付与剤Cは、前記式(1−1)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aが式(2)で表される基であり、R2aがn−プロピレン基、xが0、Rがメチレン基、Rが水素)と、前記式(1−2)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aが式(2)で表される基であり、R2aがn−プロピレン基、xが0、Rがメチレン基、Rが水素)と、前記式(1−4)で表される構造単位(R1bがメチル基、フェニル基)とを有していることを確認した。
【0074】
(製造例4)
(フェニル基及びアミノ基を有するシリコーン化合物とグリセロールカーボネートとの反応(接着性付与剤Dの調製))
磁気回転子、温度計及び冷却器を備え付けた50mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、フェニル基及びアミノ基を有するシリコーン化合物(信越シリコーン社製、「X−22−1660B−3」、アミノ基当量2200g/mol)5.0g(アミノ基2.27mmol)とグリセロールカーボネート(分子量118.09)1.3g(11.4mmol)とを仕込み、120℃まで昇温させた後、マグネチックスターラーを用いて15時間撹拌した。中和滴定により残存アミノ基が1%未満であることを確認した。その後、反応液を、攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに移し、クロロベンゼン50g及び水50gを加えて分液し、有機層を濃縮することで、透明液体(接着性付与剤D)5.7gを取得した。
H−NMRにより、接着性付与剤Dを測定した結果、接着性付与剤Dは、前記式(1−1)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aが式(2)で表される基であり、R2aがn−プロピレン基、xが0、Rがメチレン基、Rがヒドロキシメチル基)と、前記式(1−2)で表される構造単位(R1aがメチル基、Aが式(2)で表される基であり、R2aがn−プロピレン基、xが0、Rがメチレン基、Rがヒドロキシメチル基)と、前記式(1−4)で表される構造単位(R1bがメチル基、フェニル基)とを有していることを確認した。
【0075】
(実施例1〜6、比較例1、2)
表1に記載した配合量で各成分を均一に混合し、その後、充分に脱気することで縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を調製した。
なお、表1中の縮合硬化型シリコーン樹脂混合物としては、2液縮合アセトン型シリコーン樹脂混合物(信越シリコーン社製、「KE−200」)を用いた。
また、表1中の接着性付与剤Eとしては、グリシドキシプロピルトリメトキシラン(東レ・ダウコーニング社製、「Z−6040」)を用いた。
【0076】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各縮合硬化型シリコーン樹脂組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0077】
(1)硬度(タイプA)
実施例及び比較例で得られた各縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を樹脂製モールドに流し込み、室温で1週間静置し、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化物をモールドから離型し、半径20mm×厚さ6mmの硬化物とし、硬度測定用試験片とした。得られた硬度測定用試験片について、ゴム・プラスチック硬度計(古里精機製作所社製、「KR−24A」)を用いて硬度(タイプA)を測定した。
【0078】
(2)PPA(ポリフタルアミド)に対する引張せん断接着強度
実施例及び比較例で得られた各縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を、接着部が20×25mmの長方形になるように2枚のPPA板(サイズ2×25×100mm)の間に2mm厚になるように流し込み、室温で1週間静置し、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させ、引張せん断試験片とした。接着基材であるPPA板は、150℃で1時間乾燥させたものを使用した。得られた接着試験片について、引張試験機(島津製作所社製、「AGS−X」)を用いて、つかみ具間距離100mm、試験速度5mm/minの条件で、引張せん断接着強度を測定した。
【0079】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、接着性に優れる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を用いてなる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物及び光半導体素子封止体を提供することができる。
【要約】
本発明は、接着性に優れる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を用いてなる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物及び光半導体素子封止体を提供することを目的とする。
本発明は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物と接着性付与剤とを含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物であって、前記接着性付与剤は、下記式(1−1)で表される構造単位と下記式(1−2)で表される構造単位との間に、下記式(1−3)で表される構造単位及び/又は下記式(1−4)で表される構造単位を有する化合物を含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物である。
式(1−1)及び式(1−2)中、R1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)及び式(1−4)中、R1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)中、mは、1〜50の整数であり、式(1−4)中、nは、1〜1500の整数である。式(1−1)〜(1−3)中、Aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、下記式(2)で表される基である。ただし、式(1−1)〜(1−3)中、少なくとも1つのAは式(2)で表される基である。
式(2)中、R2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。式(2)中、xは0〜2の整数である。
[化1]
[化2]