【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物と接着性付与剤とを含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物であって、前記接着性付与剤は、下記式(1−1)で表される構造単位と下記式(1−2)で表される構造単位との間に、下記式(1−3)で表される構造単位及び/又は下記式(1−4)で表される構造単位を有する化合物を含有
し、前記接着性付与剤の下記式(2)官能基当量は100〜15000であり、前記接着性付与剤の含有量が、0.01〜15質量%である縮合硬化型シリコーン樹脂組成物である。
【0008】
【化1】
【0009】
式(1−1)及び式(1−2)中、R
1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)及び式(1−4)中、R
1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(1−3)中、mは、1〜50の整数であり、式(1−4)中、nは、1〜1500の整数である。式(1−1)〜(1−3)中、Aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、下記式(2)で表される基である。ただし、式(1−1)〜(1−3)中、少なくとも1つのAは式(2)で表される基である。
【0010】
【化2】
【0011】
式(2)中、R
2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R
2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R
3はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R
4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。式(2)中、xは0〜2の整数である。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明者は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物に接着性付与剤として特定の構造を有する化合物を配合することにより、極めて優れた接着性を有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物を含有する。
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物とは、硬化前は液状であり、反応副生成物を発生させながら硬化することでゴム弾性体となるシリコーン樹脂のことを意味する。具体的には、ポリシロキサン中に、アルコキシシリル基やアセトキシシリル基等の加水分解性基が存在し、空気中の水分でこれらの基がシラノール基に加水分解され、該シラノール基同士が縮合することで安定なシロキサン結合が形成され架橋する。
例えば、付加硬化型シリコーン樹脂混合物は、副生成物はほとんど発生しないが、架橋剤として通常用いられる白金触媒が、硫黄、窒素、リン原子を含む化合物と接触すると硬化阻害を生じることがあるため、硬化条件を厳密に管理する必要がある。一方、前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物は、硬化条件を厳密に管理することなく硬化させることができる。
【0014】
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物は、一般的に公知な1液型や2液型を用いることができる。1液型としてはオキシム型、アルコール型、アセトン型、酢酸型等が挙げられ、これらの中でも、金属への腐食がないアルコール型及びアセトン型が好ましい。
2液型としては、アルコール型、アセトン型等が挙げられる。
【0015】
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物の縮合硬化反応には、必要に応じて、スズ、チタン、アミン化合物を触媒として用いてもよい。
【0016】
前記縮合硬化型シリコーン樹脂混合物のうち、市販されているものとしては、例えば、1液縮合アセトン型のものとして、KE−3490、KE−3493、KE−3494、KE−3497、KE−3466、KE−3412、KE−3421、KE−3423、KE−3495(いずれも信越シリコーン社製)、1液縮合アルコール型のものとして、KE−4806−W、KE−4901−W、KE−4920T、KE−4920、KE−4921−B、KE−4921−W(いずれも信越シリコーン社製)、2液縮合アセトン型のものとして、KE−200、KE−210(いずれも信越シリコーン社製)等が挙げられる。
【0017】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、接着性付与剤として、前記式(1−1)で表される構造単位と前記式(1−2)で表される構造単位との間に、前記式(1−3)で表される構造単位及び/又は前記式(1−4)で表される構造単位を有するシリコーン化合物(以下、「本発明にかかる接着性付与剤」ともいう)を含有する。
なお、式(1−1)及び式(1−2)で表される構造単位は分子末端を意味する。
【0018】
本発明にかかる接着性付与剤は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
本発明にかかる接着性付与剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
前記式(1−1)及び前記式(1−2)中、R
1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。なお、本明細書において、「それぞれ独立に」とは、「同一であってもよいし、異なっていてもよい」ことを意味する。
【0020】
前記R
1aで表される炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
【0021】
前記R
1aで表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
前記R
1aで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
【0023】
前記R
1aで表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−フェニルエチル基、β−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0024】
前記R
1aは、これらの中でも、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。
【0025】
前記式(1−3)及び前記式(1−4)中、R
1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。
【0026】
前記R
1bで表される炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
【0027】
前記R
1bで表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
前記R
1bで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
【0029】
前記R
1bで表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−フェニルエチル基、β−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0030】
前記R
1bは、これらの中でも、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。
【0031】
前記式(1−3)中、mは、1〜50の整数であり、好ましくは2〜45の整数である。前記式(1−4)中、nは、1〜1500の整数であり、好ましくは2〜1400の整数である。
なお、m及び/又はnが2以上である場合、繰り返し単位中の各R
1bは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
前記式(1−1)〜(1−3)中、Aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、前記式(2)で表される基である。
前記Aで表される炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基としては、それぞれ前記R
1aや前記R
1bと同様のものが挙げられる。
【0033】
本発明の接着性付与剤が前記式(1−3)で表される構造単位を有さない場合、接着性を向上させる効果に優れること等から、前記式(1−1)及び前記式(1−2)中のAは、いずれも式(2)で表される基であることが好ましい。
【0034】
前記式(2)中、R
2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表す。
前記R
2aで表される炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、n−オクチレン基、及び、これらのアルキレン基の一部の炭素原子が酸素原子で置換されてなる基等が挙げられる。なかでも、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、及び、これらのアルキレン基の一部の炭素原子が酸素原子で置換されてなる基が好ましい。
【0035】
前記式(2)中、R
2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
前記R
2bで表される炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、及び、イソプロピレン基が挙げられる。
なお、式(2)中のxが2である場合、2つのR
2bは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
前記式(2)中、R
3はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
前記R
3で表される炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、及び、イソプロピレン基が挙げられる。
なお、式(2)中のxが1以上である場合、各R
3は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
前記式(2)中、R
4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。
前記R
4で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及び、イソプロピル基が挙げられる。
前記R
4で表されるOH基を有する炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
なお、式(2)中のxが1以上である場合、各R
4は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
前記式(2)中、xは、0〜2の整数である。式(2)中のxは、0又は1の整数であることが好ましい。
なお、xが0である場合とは、R
2aとNH基とが直接結合している場合を意味する。
【0039】
本発明にかかる接着性付与剤としては、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物との相溶性や、原料の入手性の観点等から、前記式(2)中のR
3がメチレン基、R
4がそれぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシメチル基であるものが好ましい。
【0040】
本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量の好ましい下限は100、好ましい上限は15000である。本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量が100未満であると、前記式(2)で表される基の官能基当量に見合った接着性を示さなかったり、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物との相溶性に劣るものとなったりすることがある。本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量が15000を超えると、得られる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物の接着性が不充分となることがある。
本発明にかかる接着性付与剤の前記式(2)の官能基当量のより好ましい下限は200、より好ましい上限は12000、更に好ましい下限は500、更に好ましい上限は10000である。
本発明にかかる接着性付与剤の官能基当量とは、(接着性付与剤の分子量)/(カルバメート基のモル数)で定義され、mとnの比率に応じたものとなる。
【0041】
本発明にかかる接着性付与剤の製造方法としては、例えば、下記式(3−1)で表される構造単位と下記式(3−2)で表される構造単位との間に、下記式(3−3)で表される構造単位及び/又は下記式(3−4)で表される構造単位を有するシリコーン化合物(以下、「アミノ基を有するシリコーン化合物」ともいう)と、下記式(4)で表される環状カーボネート化合物(以下、単に「環状カーボネート化合物ともいう)とを反応させる方法等が挙げられる。
【0042】
【化3】
【0043】
式(3−1)及び式(3−2)中、R
1aはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(3−3)及び式(3−4)中、R
1bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。式(3−3)中、mは、1〜50の整数であり、式(3−4)中、nは、1〜1500の整数である。式(3−1)〜式(3−3)中、Bはそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、下記式(5)で表される基である。ただし、式(3−1)〜(3−3)中、少なくとも1つのBは式(5)で表される基である。
なお、式(3−1)及び式(3−2)中のR
1aと式(1−1)及び式(1−2)中のR
1aとは、それぞれ同じ基となり、式(3−3)及び式(3−4)中のR
1bと式(1−3)及び式(1−4)中のR
1bとは、それぞれ同じ基となる。
【0044】
【化4】
【0045】
式(4)中、R
3は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R
4は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、OH基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は、ハロゲノ基を表す。
なお、式(4)中のR
3と式(2)中のR
3とは、それぞれ同じ基となり、式(4)中のR
4と式(2)中のR
4とは、それぞれ同じ基となる。
【0046】
【化5】
【0047】
式(5)中、R
2aは、ケイ素原子に結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を表し、R
2bはそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。式(5)中、xは0〜2の整数である。
なお、式(5)中のR
2aと式(2)中のR
2aとは、それぞれ同じ基となり、式(5)中のR
2bと式(2)中のR
2bとは、それぞれ同じ基となる。
また、式(5)中のxが2以上である場合、各R
2bは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基当量は、前記した本発明にかかる接着性付与剤の官能基当量に相当する。なお、本発明にかかる接着性付与剤の官能基とは、カルバメート基(NHCOO)である。
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基当量を測定する方法としては、例えば、過塩素酸を用いた非水中和滴定等の方法が挙げられる。
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基当量の値より、本発明にかかる接着性付与剤に含まれる官能基であるカルバメート基(NHCOO)基のモル数、すなわち官能基当量が計算できる。
【0049】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物の合成方法としては、米国特許第3355424号明細書、米国特許第2947771号明細書、米国特許第3890269号明細書等に開示されている、アルキルアミノ基を有するジアルコキシアルキルシラン単位がシロキサンの鎖中に挿入されることへとつながる重縮合反応を用いた方法を用いることができる。この反応は通常、酸性又はアルカリ性触媒の存在下で行われる。この反応はジアルコキシアルキルシラン及び環状シロキサンを用いる重合反応として行うこともできる。
【0050】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物のうち市販されているものとしては、例えば、KF−864、KF−865、KF−868、KF−857、KF−8001、KF−862(モノアミン型)、KF−859、KF−393、KF−860、KF−880、KF−8004、KF−8002、KF−8005、KF−867、KF−869、KF−861(ジアミン型)、X−22−1660B−3、X−22−9409(両末端アミン、側鎖フェニル型)、PAM−E、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008(両末端アミン型)(いずれも信越シリコーン社製)、BY16−205、BY16−849、FZ−3785、BY16−872、BY16−213、FZ−3705(いずれも東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0051】
前記環状カーボネート化合物としては、例えば、下記式(6)で表される化合物等が挙げられる。なかでも、反応の容易さや性能の観点から、前記式(4)中のR
3がメチレン基であるものが好ましく、エチレンカーボネート、グリセロールカーボネートがより好ましい。
【0052】
【化6】
【0053】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物と前記環状カーボネート化合物との反応における前記環状カーボネート化合物の使用量としては、前記アミノ基を有するシリコーン化合物のアミノ基1モルに対して0.5〜10モルであることが好ましく、0.8〜5モルであることがより好ましい。
ここでいうアミノ基は、前記環状カーボネート化合物と反応し得るアミノ基であり、詳しくは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基である。
【0054】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物と前記環状カーボネート化合物との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。用いる溶媒としては、アミノ基を有するシリコーン化合物が溶解しやすく、適度な極性を有する溶媒が好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0055】
前記アミノ基を有するシリコーン化合物と前記環状カーボネート化合物との反応は、使用する溶媒に応じて40〜180℃の範囲内の温度で行うことが好ましいが、80〜160℃の範囲内の温度で溶媒を用いずに行うことがより好ましい。
【0056】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物中の本発明にかかる接着性付与剤の含有量の好ましい下限は0.01質量%、好ましい上限は15質量%である。本発明にかかる接着性付与剤の含有量が0.01質量%未満であると、接着性を向上させる効果が充分に発揮されないことがある。本発明にかかる接着性付与剤の含有量が15質量%を超えると、硬化物の硬度に悪影響を及ぼすことがある。本発明にかかる接着性付与剤の含有量のより好ましい下限は0.1質量%、より好ましい上限は10質量%、更に好ましい下限は0.3質量%、更に好ましい上限は5質量%である。
【0057】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明にかかる接着性付与剤に加えて、その他の接着性付与剤を含有していてもよい。
【0058】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物及び本発明にかかる接着性付与剤に加えて、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0059】
前記添加剤としては、例えば、無機フィラー、酸化防止剤、無機蛍光体、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、分散剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤、溶剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等が挙げられる。
【0060】
前記無機フィラーとしては特に限定されず、光学特性を低下させない微粒子状のものが挙げられる。具体的には例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0061】
前記無機蛍光体としては、例えば、LEDに広く利用されている、イットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系蛍光体、ZnS系蛍光体、Y
2O
2S系蛍光体、赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体等が挙げられる。
【0062】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、縮合硬化型シリコーン樹脂混合物と、本発明にかかる接着性付与剤と、必要に応じて使用する添加剤とを混合することによって製造することができる。
【0063】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、1液型又は2液型とすることできる。
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、光半導体素子等の基材に塗布し硬化させて使用することができる。
【0064】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、ディスペンサーを使用する方法、ポッティング法、スクリーン印刷、トランスファー成形、インジェクション成形等の方法が挙げられる。
【0065】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、室温又は加熱によって硬化させることができる。本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させることによって得られる縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物もまた、本発明の1つである。
【0066】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を加熱して硬化させる際の最終的な加熱温度は、通常100℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、120〜200℃であることがより好ましく、120〜180℃であることが更に好ましい。
【0067】
本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物の用途としては、例えば、電子材料用の封止材組成物、建築用シーリング剤組成物、自動車用シーリング剤組成物、接着剤組成物等が挙げられる。
前記電子材料としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材や、光半導体素子や、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子や、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等が挙げられる。なかでも、光半導体素子の封止材として好適に用いることができる。
光半導体素子が本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂硬化物で封止されている光半導体素子封止体もまた、本発明の1つである。
【0068】
また、本発明の縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の用途に使用することができる。