(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671601
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】同期処理システム及び半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
H03K 5/00 20060101AFI20150129BHJP
G06F 13/42 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
H03K5/00 V
G06F13/42 350Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-252037(P2013-252037)
(22)【出願日】2013年12月5日
(62)【分割の表示】特願2009-288099(P2009-288099)の分割
【原出願日】2009年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-75829(P2014-75829A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2013年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】門田 大輔
【審査官】
白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−289131(JP,A)
【文献】
特開平08−241286(JP,A)
【文献】
特開2009−153311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/00
G06F 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がカウンタを内部に有する複数の半導体集積回路を有し、外部手段からの処理動作開始指令に応じて共通のクロックパルスを初期値から所定値まで計数する計数動作を前記複数の半導体集積回路内の前記カウンタに同期して繰り返し実行させ、前記外部手段からの処理動作停止指令に応じて前記カウンタに前記計数動作を停止させる同期処理システムであって、
前記複数の半導体集積回路のうちのいずれか1をマスターチップとし、前記マスターチップ以外の半導体集積回路をスレーブチップとし、
前記マスターチップは、前記処理動作開始指令に応答して前記クロックパルスに同期して一定時間幅の同期制御信号を生成すると共に、前記マスターチップ内の前記カウンタが前記所定値に達するときの前記クロックパルスに同期して前記同期制御信号を生成し、前記処理動作停止指令に応答して前記同期制御信号の生成を停止する第1同期制御手段と、
前記第1同期制御手段からの前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記マスターチップ内のカウンタに前記計数動作を実行させる第1カウンタ制御手段と、を備え、
前記スレーブチップは、前記マスターチップから前記同期制御信号を受信する第2同期制御手段と、
前記第2同期制御手段で受信された前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記スレーブチップ内の前記カウンタに前記計数動作を実行させる第2カウンタ制御手段と、を備え、
前記第2カウンタ制御手段は、前記マスターチップ内の前記カウンタの計数値が前記所定値に達した時点において前記同期制御信号の供給があるときには前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値に関係無く前記スレーブチップ内の前記カウンタにその計数値を初期値に戻してから前記計数動作を実行させ、前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値が前記マスターチップ内の前記カウンタの計数値よりも先に前記所定値に達した場合には、前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値を前記初期値に戻し、前記マスターチップ内のカウンタの計数値が前記所定値に達するまで前記初期値を維持することを特徴とする同期処理システム。
【請求項2】
各々がカウンタを内部に有する複数の半導体集積回路を有し、外部手段からの処理動作開始指令に応じて共通のクロックパルスを初期値から所定値まで計数する計数動作を前記複数の半導体集積回路内の前記カウンタに同期して繰り返し実行させ、前記外部手段からの処理動作停止指令に応じて前記カウンタに前記計数動作を停止させる同期処理システムであって、
前記複数の半導体集積回路のうちのいずれか1をマスターチップとし、前記マスターチップ以外の半導体集積回路をスレーブチップとし、
前記マスターチップは、前記処理動作開始指令に応答して前記クロックパルスに同期して一定時間幅の同期制御信号を生成すると共に、前記マスターチップ内の前記カウンタが前記所定値に達するときの前記クロックパルスに同期して前記同期制御信号を生成し、前記処理動作停止指令に応答して前記同期制御信号の生成を停止する第1同期制御手段と、
前記第1同期制御手段からの前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記マスターチップ内のカウンタに前記計数動作を実行させる第1カウンタ制御手段と、を備え、
前記スレーブチップは、前記マスターチップから前記同期制御信号を受信する第2同期制御手段と、
前記第2同期制御手段で受信された前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記スレーブチップ内の前記カウンタに前記計数動作を実行させる第2カウンタ制御手段と、を備え、
前記第2カウンタ制御手段は、前記マスターチップ内の前記カウンタの計数値が前記所定値に達した時点において前記同期制御信号の供給があるときには前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値に関係無く前記スレーブチップ内の前記カウンタにその計数値を初期値に戻してから前記計数動作を実行させ、前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値が前記所定値に達した時点において前記同期制御信号の供給がないときには前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値を前記初期値に戻し、前記スレーブチップ内の前記カウンタに前記計数動作を停止させることを特徴とする同期処理システム。
【請求項3】
前記第2カウンタ制御手段は、前記スレーブチップ内の前記カウンタの前記計数動作中に前記同期制御信号の供給があるときには前記スレーブチップ内の前記カウンタの前記計数動作を中断させて前記スレーブチップ内の前記カウンタに前記初期値からの前記計数動作を実行させることを特徴とする請求項1又は2記載の同期処理システム。
【請求項4】
前記複数の半導体集積回路の構成は同一であって、外部からのマスター/スレーブ切り替え信号に応じて前記複数の半導体集積回路のうちのいずれか1が選択的に前記マスターチップとされ、前記マスターチップ以外の半導体集積回路が前記スレーブチップとされることを特徴とする請求項1又は2記載の同期処理システム。
【請求項5】
前記一定時間幅は前記クロックパルスの周期に等しいことを特徴とする請求項1又は2記載の同期処理システム。
【請求項6】
カウンタと、同期制御手段と、カウンタ制御手段とを備え、前記同期制御手段及び前記カウンタ制御手段各々の制御によって前記カウンタがクロックパルスを初期値から所定値まで計数する計数動作を実行する半導体集積回路であって、
前記半導体集積回路をマスターチップ及びスレーブチップのうちのいずれか一方に選択的に設定する設定手段を更に備え、
前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記マスターチップとして設定されたときには前記同期制御手段は、外部手段からの処理動作開始指令に応答して前記クロックパルスに同期して一定時間幅の同期制御信号を生成すると共に、前記カウンタが前記所定値に達するときの前記クロックパルスに同期して前記同期制御信号を生成し、前記外部手段からの処理動作停止指令に応答して前記同期制御信号の生成を停止し、
前記カウンタ制御手段は、前記同期制御手段からの前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記カウンタに前記計数動作を実行させ、
前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記スレーブチップとして設定されたときには前記同期制御手段は、前記マスターチップから前記同期制御信号を受信し、
前記カウンタ制御手段は、前記同期制御手段で受信された前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記カウンタに前記計数動作を実行させ、
前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記スレーブチップに設定されたときには前記カウンタ制御手段は、前記カウンタの前記計数動作中に前記同期制御信号の供給があるときには前記カウンタの前記計数動作を中断させて前記カウンタに初期値からの前記計数動作を実行させ、
前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記スレーブチップに設定されたときには前記カウンタ制御手段は、前記カウンタの計数値が前記所定値に達した時点において前記同期制御信号の供給がないときには前記カウンタの計数値を前記初期値に戻し、前記カウンタに前記計数動作を停止させることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
前記一定時間幅は前記クロックパルスの周期に等しいことを特徴とする請求項6記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体集積回路を備え、その半導体集積回路各々の処理動作の同期制御する同期処理システム及びその半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチップ(半導体集積回路)間の同期制御により液晶表示パネル等の処理対象物の処理を行う同期処理システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の2つのチップのうちの一方をマスターチップとし、他方をスレーブチップとしてそのマスターチップの動作に同期してスレーブチップが動作する表示同期ための同期処理システムが示されている。このシステムではマスターチップはスレーブチップに対して1フレームに相当する周期信号(fsync信号)を供給してチップ間の処理動作の同期がとれるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来のシステムにおいては、各チップが効率よく表示処理等の処理動作を開始して停止することが考慮されておらず、外部信号等からその開始/停止の制御を行う場合、別途端子や制御回路を必要としていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、半導体集積回路が処理動作の開始及び停止を効率よく行うことができる同期処理システム及びその半導体集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の同期処理システムは、各々がカウンタを内部に有する複数の半導体集積回路を有し、外部手段からの処理動作開始指令に応じて共通のクロックパルスを初期値から所定値まで計数する計数動作を前記複数の半導体集積回路内の前記カウンタに同期して繰り返し実行させ、前記外部手段からの処理動作停止指令に応じて前記カウンタに前記計数動作を停止させる同期処理システムであって、前記複数の半導体集積回路のうちのいずれか1をマスターチップとし、前記マスターチップ以外の半導体集積回路をスレーブチップとし、前記マスターチップは、前記処理動作開始指令に応答して前記クロックパルスに同期して一定時間幅の同期制御信号を生成すると共に、前記マスターチップ内の前記カウンタが前記所定値に達するときの前記クロックパルスに同期して前記同期制御信号を生成し、前記処理動作停止指令に応答して前記同期制御信号の生成を停止する第1同期制御手段と、前記第1同期制御手段からの前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記マスターチップ内のカウンタに前記計数動作を実行させる第1カウンタ制御手段と、を備え、前記スレーブチップは、前記マスターチップから前記同期制御信号を受信する第2同期制御手段と、前記第2同期制御手段で受信された前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記スレーブチップ内の前記カウンタに前記計数動作を実行させる第2カウンタ制御手段と、を備え、前記第2カウンタ制御手段は、前記マスターチップ内の前記カウンタの計数値が前記所定値に達した時点において前記同期制御信号の供給があるときには前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値に関係無く前記スレーブチップ内の前記カウンタにその計数値を初期値に戻してから前記計数動作を実行させ
、前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値が前記マスターチップ内の前記カウンタの計数値よりも先に前記所定値に達した場合には、前記スレーブチップ内の前記カウンタの計数値を前記初期値に戻し、前記マスターチップ内のカウンタの計数値が前記所定値に達するまで前記初期値を維持することを特徴としている。
【0008】
本発明の半導体集積回路は、カウンタと、同期制御手段と、カウンタ制御手段とを備え、前記同期制御手段及び前記カウンタ制御手段各々の制御によって前記カウンタがクロックパルスを初期値から所定値まで計数する計数動作を実行する半導体集積回路であって、前記半導体集積回路をマスターチップ及びスレーブチップのうちのいずれか一方に選択的に設定する設定手段を更に備え、前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記マスターチップとして設定されたときには前記同期制御手段は、外部手段からの処理動作開始指令に応答して前記クロックパルスに同期して一定時間幅の同期制御信号を生成すると共に、前記カウンタが前記所定値に達するときの前記クロックパルスに同期して前記同期制御信号を生成し、前記外部手段からの処理動作停止指令に応答して前記同期制御信号の生成を停止し、前記カウンタ制御手段は、前記同期制御手段からの前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記カウンタに前記計数動作を実行させ、前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記スレーブチップとして設定されたときには前記同期制御手段は、前記マスターチップから前記同期制御信号を受信し、前記カウンタ制御手段は、前記同期制御手段で受信された前記同期制御信号の供給に応答して前記クロックパルスに同期して前記カウンタに前記計数動作を実行させ、前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記スレーブチップに設定されたときには前記カウンタ制御手段は、前記カウンタの前記計数動作中に前記同期制御信号の供給があるときには前記カウンタの前記計数動作を中断させて前記カウンタに初期値からの前記計数動作を実行させ
、前記設定手段によって前記半導体集積回路が前記スレーブチップに設定されたときには前記カウンタ制御手段は、前記カウンタの計数値が前記所定値に達した時点において前記同期制御信号の供給がないときには前記カウンタの計数値を前記初期値に戻し、前記カウンタに前記計数動作を停止させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の同期処理システムによれば、マスターチップとスレーブチップとの間を1つの同期制御信号ラインによって接続するだけで外部からの処理動作開始指令に応じてマスターチップ及びスレーブチップ各々のカウンタの計数動作を同時に開始させ、外部からの処理動作停止指令に応じてマスターチップ及びスレーブチップ各々のカウンタの計数動作を同時に停止させることができ、また、そのカウンタの計数動作を互いに同期させることができる。更に、マスターチップとスレーブチップとの間でカウンタの計数動作に同期ずれが生じてもマスターチップからの同期制御信号に応じてスレーブチップのカウンタの計数値が初期値に強制的に設定された後、計数動作が開始されるので、その同期ずれを補正することができる。よって、各チップが処理動作の開始及び停止を効率よく行うことができる。
【0010】
本発明の半導体集積回路によれば、マスターチップとして設定された場合にはスレーブチップとの間を1つの同期制御信号ラインによって接続するだけで外部からの処理動作開始指令に応じて自身のカウンタの計数動作とスレーブチップのカウンタの計数動作を同時に開始させ、外部からの処理動作停止指令に応じて自身のカウンタの計数動作とスレーブチップのカウンタの計数動作を同時に停止させることができ、また、そのカウンタの計数動作を互いに同期させることができる。スレーブチップとして設定された場合にはマスターブチップとの間を1つの同期制御信号ラインによって接続するだけでマスターチップからの同期制御信号に応じてマスターチップのカウンタの計数動作と同時に自身のカウンタの計数動作を同時に開始させ、また、マスターチップのカウンタの計数動作と同時に自身のカウンタの計数動作を同時に停止させることができ、また、そのカウンタの計数動作を互いに同期させることができる。更に、スレーブチップのカウンタの計数動作に同期ずれが生じてもマスターチップからの同期制御信号に応じてスレーブチップのカウンタの計数値が初期値に強制的に設定された後、計数動作が開始されるので、その同期ずれを補正することができる。よって、各チップが処理動作の開始及び停止を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】処理動作開始の動作信号が生成されたときのマスターチップ及びスレーブチップの動作波形を示す図である。
【
図3】処理動作停止の動作信号が生成されたときのマスターチップ及びスレーブチップの動作波形を示す図である。
【
図4】スレーブチップの内部カウンタのアップ計数中に同期ずれを起こした場合にそれを補正するためのマスターチップ及びスレーブチップの動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明による同期処理システムを示している。このシステムは、CPU11、データバス12、チップ13〜15を備えている。チップ13〜15は3つに限らず複数であれば良い。
【0014】
CPU11はデータバス12を介してチップ13〜15に対してアクセスを行い、チップ13〜15に対して必要な書き込みデータや処理動作開始/停止の動作信号を送信する回路である。
【0015】
チップ13〜15は同一構成のチップであり、例えば、液晶表示パネルのソースドライバを構成する半導体集積回路からなる。チップ13〜15はインタフェース131,141,151、同期制御回路132,142,152及びカウンタ制御回路133,143,153を各々備えている。インタフェース131,141,151はCPU11からの信号やデータを受信して同期制御回路132,142,152に供給する。カウンタ制御回路133,143,153各々はクロックパルスを計数する内部カウンタ134,144,154を備えている。クロックパルスは外部のクロック発生器(図示せず)から信号として供給されチップ13〜15各々内における動作タイミングを司る共通のクロックとなり、その内部カウンタ134,144,154の計数値がチップ13〜15内の処理行程(ステップ)を特定する。ステップは例えば、上記のソースドライバの場合には表示パネルのスキャンライン(行ライン)毎のデータをデータライン(列ライン)に印加するアドレシング動作であり、上記の処理動作開始/停止はアドレッシング動作の開始/停止である。また、内部カウンタ134,144,154の計数値は上記のソースドライバの場合にはラインカウンタとして用いられる。
【0016】
同期制御回路132,142,152はチップ13〜15間の同期を制御する回路である。同期制御回路132,142,152にはマスター/スレーブ切り替え信号13A,14A,15Aが個別に供給され、チップ13〜15のうちのいずれか1がマスターチップとなり、その他がスレーブチップとなる。同期制御回路132,142,152間は同期制御信号ライン16で互いに接続されている。マスター/スレーブ切り替え信号13A,14A,15AはCPU11から生成されても良いし、他の制御手段から生成されても良い。
【0017】
同期制御回路132,142,152各々は、マスター/スレーブ切り替え信号13A,14A,15Aに応じてマスターチップに設定されている時にはCPU11からの処理動作開始の動作信号(処理動作開始指令)に応答して一定期間T1だけLレベルの同期制御信号を生成する。その生成された同期制御信号はマスターチップのカウンタ制御回路(133,143,153のいずれか1)に供給されると共に、同期制御信号ライン16を介してスレーブチップの同期制御回路(132,142,152のいずれか2)に供給され、これによりカウンタ制御回路133,143,153の内部カウンタ134,144,154が初期値0から所定値Nまでのカウントを開始する。所定値Nは1以上の整数であり、上記のステップの最大番号である。また、マスターチップのカウンタ(134,144,154のいずれか1)がNカウント出力を生成すると、それによりマスターチップの同期制御回路(132,142,152のいずれか1)は、一定期間T1だけLレベルの同期制御信号を再度生成する。同期制御信号はマスターチップのカウンタ制御回路(133,143,153のいずれか1)に供給されると共に同期制御信号ライン16を介してスレーブチップの同期制御回路に供給され、これによりカウンタ制御回路133,143,153のカウンタ135,145,155が再度、初期値0から所定値Nまで計数する。Lレベルの同期制御信号の周期は上記のソースドライバの場合には映像信号の1フレームに相当する期間である。
【0018】
同期制御回路132,142,152各々は、マスター/スレーブ切り替え信号13A,14A,15Aに応じてマスターチップに設定されている時にはCPU11からの処理動作停止の動作信号(処理動作停止指令)に応答して上記のLレベルの同期制御信号の生成を停止する。これによりカウンタ制御回路133,143,153各々のカウンタ134,144,154はNカウントした後、初期値0に戻って計数動作を停止する。
【0019】
また、同期制御回路132,142,152各々は、マスター/スレーブ切り替え信号13A,14A,15Aに応じてスレーブチップに設定されている時にはLレベルの同期制御信号に応答してカウンタ制御回路133,143,153のカウンタ134,144,154に初期値0からNカウントさせる。
【0020】
なお、CPU11が外部手段に相当し、各チップ13,14,15のインタフェース131,141,151及び同期制御回路132,142,152が同期制御手段に相当し、カウンタ制御回路133,143,153がカウンタ制御手段に相当する。また、同期制御回路132,142,152にマスターチップ及びスレーブチップのうちのいずれか一方に選択的に設定する設定手段は備えられている。
【0021】
次に、かかる構成の同期処理システムにおいて、マスター/スレーブ切り替え信号13Aに応じてチップ13がマスターチップに設定され、マスター/スレーブ切り替え信号14Aに応じてチップ14がスレーブチップに設定され、マスター/スレーブ切り替え信号15Aに応じてチップ15がスレーブチップに設定された場合の同期処理について
図2〜
図4を参照して説明する。
【0022】
図2はCPU11が処理動作開始の動作信号を生成したときのマスターチップ13及びスレーブチップ14,15の動作波形を示している。チップ13,14,15のカウンタ制御回路133,143,153には共通のクロックパルスが供給される。
【0023】
図2に示すように、時点t1で処理動作開始の動作信号がHレベルでマスターチップ13に供給されると、マスターチップ13の同期制御回路132はその直後のクロックパルスの立ち上がりタイミングt2で処理動作開始の動作信号を読み取り、直ちに一定期間T1だけLレベルの同期制御信号を生成する。一定期間T1は例えば、クロックパルスの周期に等しい長さである。同期制御信号はカウンタ制御回路133に供給されると共に同期制御信号ライン16を介してスレーブチップ14,15に供給される。
【0024】
マスターチップ13では、同期制御回路132からの同期制御信号に対してカウンタ制御回路133は次のクロックパルスの立ち上がりタイミングt3で応答してその内部のカウンタ134の計数値を初期値0にリセットさせる。
【0025】
スレーブチップ14,15では、
図2に示すように同期制御回路132からの同期制御信号が同期制御信号ライン16を介して同期制御回路142,152各々に供給される。同期制御回路142,152各々はこの同期制御信号を受信してカウンタ制御回路143,153に供給する。カウンタ制御回路143,153はクロックパルスの立ち上がりタイミングt3でLレベルの同期制御信号に応答してその内部カウンタ144,154の計数値を初期値0にリセットさせる。
【0026】
よって、それ以降、カウンタ制御回路133,143,153の内部カウンタ134,144,154がクロックパルスの立ち上がり毎にアップ計数することになる。
【0027】
マスターチップ13においては、カウンタ制御回路133の内部カウンタ134の計数値が所定値Nに達した時点t4で同期制御回路132は一定期間T1だけLレベルの同期制御信号を生成する。同期制御信号はカウンタ制御回路133に供給されると共に同期制御信号ライン16を介してスレーブチップ14,15に供給される。
【0028】
また、マスターチップ13においては、同期制御回路132からのLレベルの同期制御信号に対してカウンタ制御回路133は次のクロックパルスの立ち上がりタイミングt5で応答してその内部のカウンタ134の計数値を初期値0にリセットさせる。同様に、スレーブチップ14,15では、同期制御回路132からの同期制御信号が同期制御信号ライン16を介して同期制御回路142,152に供給される。同期制御回路142,152各々はこの同期制御信号を受信してカウンタ制御回路143,153に供給する。カウンタ制御回路143,153はクロックパルスの立ち上がりタイミングt5で同期制御信号に応答してその内部カウンタ144,154の計数値を初期値0にリセットさせる。
【0029】
よって、カウンタ制御回路133,143,153の内部カウンタ134,144,154は再度クロックパルスの立ち上がり毎にアップ計数することになるので、チップ13,14,15各々において処理動作が継続される。
【0030】
なお、処理動作ではチップ13,14,15各々において、CPU11からデータバス12を介して受信されたデータがカウンタ134,144,154の計数値に応じて処理される。
【0031】
図3は各カウンタ制御回路133,143,153の内部カウンタ134,144,154のアップ計数中にCPU11が処理動作停止の動作信号を生成したときのマスターチップ及びスレーブチップの動作波形を示している。
【0032】
図3に示すように、例えば、時点t11で処理動作停止の動作信号がLレベルでマスターチップ13に供給されると、マスターチップ13の同期制御回路132はカウンタ制御回路133の内部カウンタ134の計数値が所定値Nに達する時点t12で処理動作停止の動作信号を読み取る。処理動作停止の動作信号に応じて同期制御回路132はLレベルの同期制御信号を生成しない。この結果、
図3に示すように、マスターチップ13及びスレーブチップ14,15のカウンタ制御回路133,143,153各々の内部カウンタ134,144,154の計数値が所定値Nを終了する時点であるクロックパルスの立ち上がりタイミングt13で内部カウンタ134,144,154の計数値が初期値0に戻り、その後のクロックパルスの立ち上がりで内部カウンタ134,144,154がアップ動作しなくなる。よって、計数動作が停止するのでチップ13,14,15各々において処理動作が停止される。
【0033】
図4はスレーブチップ14,15の各カウンタ制御回路143,153の内部カウンタ144,154のアップ計数中に同期ずれを起こした場合にそれを補正するためのマスターチップ及びスレーブチップの動作波形を示している。
【0034】
図4の例では、マスターチップ13の内部カウンタ134の計数値がN−2の時点においてスレーブチップ14の内部カウンタ144の計数値はNとなり+2だけずれ、スレーブチップ15の内部カウンタ154の計数値はN−4となり−2だけずれている。
【0035】
図4に示すように、スレーブチップ14においてはカウンタ制御回路143の内部カウンタ144の計数値が所定値Nを終了する時点であるクロックパルスの立ち上がりタイミングt21で、内部カウンタ144の計数値が0に戻って計数動作が一旦終了する。
【0036】
マスターチップ13においては、カウンタ制御回路133の内部カウンタ134の計数値が所定値Nに達した時点t22で同期制御回路132は一定期間T1だけLレベルの同期制御信号を生成する。同期制御信号はカウンタ制御回路133に供給されると共に同期制御信号ライン16を介してスレーブチップ14,15に供給される。
【0037】
マスターチップ13においては、
図2の場合と同様に同期制御回路132からのLレベルの同期制御信号に対してカウンタ制御回路133の内部カウンタ134の計数値は次のクロックパルスの立ち上がりタイミングt23で応答して初期値0にリセットされ、処理動作が継続される。
【0038】
スレーブチップ14,15においては、同期制御回路132からの同期制御信号が同期制御回路142,152を介してカウンタ制御回路143,153に供給される。カウンタ制御回路143,153はクロックパルスの立ち上がりタイミングt23で同期制御信号に応答してその内部カウンタ144,154の計数値を初期値0にリセットさせる。
【0039】
スレーブチップ14においては、内部カウンタ144の計数値は既に初期値0にあるので、内部カウンタ144がクロックパルスに応答するようにされて処理動作が正常に実行されることになる。
【0040】
スレーブチップ15においては内部カウンタ154の計数値が所定値Nに達する前に強制的に初期値0にリセットされることにより処理動作が一旦中断された後、正常に実行されることになる。
【0041】
よって、チップ13,14,15のカウンタ制御回路133,143,153の内部カウンタ134,144,154はその後、
図4に示すように、クロックパルスの立ち上がり毎に計数値を一致させてアップ計数することになるので、スレーブチップ14,15の同期ずれが補正される。
【0042】
なお、上記した実施例においては、カウンタ134,144,154がカウンタ制御回路133,143,153内部に設けられているが、各チップ13,14,15内でカウンタ制御回路133,143,153外部に設けられていても良い。
【0043】
また、上記した実施例においては、マスターチップ及びスレーブチップの設定が外部からのマスター/スレーブ切り替え信号に応じて行われるが、チップ13〜15のうちのいずれか1が予めマスターチップに、それ以外がスレーブチップにチップ内のレジスタ設定で行われても良い。更に、複数のチップを上記した実施例のように同一構成とすることにより、いずれのチップでもマスターチップ又はスレーブチップに設定することができ、汎用性が向上するという利点があります。
【0044】
また、上記した実施例においては、マスターチップには処理動作開始/停止の動作信号がインタフェースを介して同期制御回路に供給されるが、インタフェースを介すことなく同期制御回路に直接供給される構成でも良い。
【0045】
本発明は、各々がカウンタを内部に有し、そのカウンタの計数動作を同時に開始させて、その計数動作を繰り返し実行させ、同時に停止させる複数のチップを備えた装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11 CPU
12 データバス
13〜15 チップ
131,141,151 インタフェース
132,142,152 同期制御回路
133,143,153 カウンタ制御回路
134,144,154 カウンタ