特許第5672687号(P5672687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5672687-イオン交換装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672687
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】イオン交換装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20150129BHJP
   B01J 47/02 20060101ALI20150129BHJP
   B01J 49/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   C02F1/42 A
   B01J47/02 120
   B01J49/00 113
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-227453(P2009-227453)
(22)【出願日】2009年9月30日
(65)【公開番号】特開2011-72927(P2011-72927A)
(43)【公開日】2011年4月14日
【審査請求日】2012年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 守
(72)【発明者】
【氏名】石塚 諭
(72)【発明者】
【氏名】竹山 一
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 洋一
(72)【発明者】
【氏名】福井 長雄
【審査官】 菊地 則義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−205263(JP,A)
【文献】 特開2006−007027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/42
B01J 39/00−49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にイオン交換樹脂が充填されるイオン交換装置用塔体であって、該塔体内に遮水性の仕切板によって上室と下室とが区画形成されており、該塔体外を引き回された連通手段によって該上室と下室とが連通されているイオン交換装置用塔体と、
該塔体の上室及び下室のうち一方に収容されたカチオン交換樹脂と、
他方に収容されたアニオン交換樹脂と
該上室の上部に液を供給又は排出するための上部給排配管と、
該下室の下部に液を供給又は排出するための下部給排配管と、
を備えており、
前記連通手段は、
該上室の下部に液を給排するための第1の連通配管と、
該下室の上部に液を給排するための第2の連通配管と、
該第1の連通配管と第2の連通配管とを連通する第3の連通配管と、
該第3の連通配管の開閉手段と、
該第1の連通配管及び第2の連通配管にそれぞれ設けられた再生液の給排手段と
を備え、
前記上室の上部、上室の下部、下室の上部及び下室の下部にそれぞれ、水は通すがイオン交換樹脂の通過を阻止する集配水部材が配置され、
前記上部給排配管、第1の連通配管、第2の連通配管及び下部給排配管の末端がそれぞれ該集配水部材に接続され、
前記上室の上部及び下室の上部にそれぞれ粒状の不活性樹脂が充填されており、上室上部の集配水部材及び下室上部の集配水部材がそれぞれ該不活性樹脂中に埋設されており、
前記仕切板は下に凸に湾曲し、
上室下部の集配水部材及び下室上部の集配水部材は該仕切板に沿う形状を有することを特徴とするイオン交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを備えた再生型のイオン交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業等における純水や超純水製造設備などにおいて、イオン交換装置が広く用いられている。このイオン交換装置の1つとして、混床式イオン交換装置が周知である。
【0003】
混床式イオン交換装置は、強酸性カチオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂とが混合された混合イオン交換樹脂層を有するイオン交換塔を備え、例えば原水の下降流通水によりイオン交換塔において原水中のカチオン及びアニオンを同時にイオン交換して純度の高い純水を製造するようにしている。そして、各イオン交換樹脂の再生を行う時には同一塔内で、混合イオン交換樹脂層を逆洗分離し、各イオン交換樹脂の比重差により上層に強塩基性アニオン交換樹脂層を、下層に強酸性カチオン交換樹脂層を形成した後、各イオン交換樹脂層にそれぞれの再生剤を通液して両イオン交換樹脂を個別に再生するようにしている。この再生操作は同一塔内で行われることもあるし、各イオン交換樹脂を別の塔に個別に抜き出し、それぞれの塔内で個別に再生を行うこともある。
【0004】
従来の混床式イオン交換装置にあっては、「逆再生」と呼ばれるカチオン・アニオン交換樹脂の分離不完全による不具合が生じることがある。
【0005】
即ち、カチオン交換樹脂はH形で使用され、その再生は酸溶液を通液することにより行われる。一方、アニオン交換樹脂はOH形で使用され、その再生はアルカリ溶液を通液することにより行われる。前述の通り、混床式脱塩塔のイオン交換樹脂の再生に先立って、先ず混床に上向流通水を施して、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを比重差で分離した後、例えば、HClを塔下部から導入してカチオン交換樹脂の再生を行い、またNaOHを塔上部から導入してアニオン交換樹脂の再生を行う。各々の再生廃液は、アニオン交換樹脂床とカチオン交換樹脂床との界面部分に設けた排出配管より排出する。その後、Nガスを塔底部から導入してアニオン交換樹脂とイオン交換樹脂を混合して混床とし、通水を再開する。
【0006】
このような再生型混床式イオン交換塔においては、HCl,NaOHによる各イオン交換樹脂の再生に先立って、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを十分に分離する必要がある。この分離が完全に行われず、例えば、アニオン交換樹脂中にカチオン交換樹脂が混入すると、アルカリ(主として水酸化ナトリウムが使用される。)による再生(逆再生)でカチオン交換樹脂がNa形となり、この樹脂を使って脱イオンを行うとナトリウムイオンが放出される。また、カチオン交換樹脂中にアニオン交換樹脂が混入すると、酸(主として硫酸又は塩酸が使用される。)による再生(逆再生)でアニオン交換樹脂がSO形又はCl形となり、脱イオンに際して硫酸イオン又は塩素イオンが放出される。
【0007】
このような逆再生を防止しようとしたイオン交換装置として、特開平10−137751(特許文献1)には、塔内を通水性の仕切板で上下2室に区画し、一方の室にカチオン交換樹脂を充填し、他方の室にアニオン交換樹脂を充填したものが記載されている。この仕切板は、水の流通を許容するが、イオン交換樹脂の流通は、阻止するものであり、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合が防止される。この特許文献1の塔体は一塔式であり、装置面積が小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−137751
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特開平10−137751のイオン交換装置は、アニオン交換樹脂層とカチオン交換樹層とを仕切る仕切板が通水性であるため、再生時には、カチオン交換樹脂再生用の酸溶液が仕切板を通過してアニオン交換樹脂と接触することにより、逆再生が生じる。また、アニオン交換樹脂再生用のアルカリ溶液が仕切板を通過してカチオン交換樹脂と接触することにより、逆再生が生じる。特許文献1の0023,0027,0028段落には、再生時に一方の再生剤が他方のイオン交換樹脂層に流入しないように純水をバランス水として通水することが記載されているが、再生剤の混入を完全に防止するには不十分であり、逆再生が生じてしまう。
【0010】
本発明は、塔内部におけるアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の逆再生が確実に防止され、再生直後でも高水質の脱イオン水を生産することができるイオン交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項)のイオン交換装置は、内部にイオン交換樹脂が充填されるイオン交換装置用塔体であって、該塔体内に遮水性の仕切板によって上室と下室とが区画形成されており、該塔体外を引き回された連通手段によって該上室と下室とが連通されているイオン交換装置用塔体と、該塔体の上室及び下室のうち一方に収容されたカチオン交換樹脂と、他方に収容されたアニオン交換樹脂と、該上室の上部に液を供給又は排出するための上部給排配管と、該下室の下部に液を供給又は排出するための下部給排配管と、を備えており、前記連通手段は、該上室の下部に液を給排するための第1の連通配管と、該下室の上部に液を給排するための第2の連通配管と、該第1の連通配管と第2の連通配管とを連通する第3の連通配管と、該第3の連通配管の開閉手段と、該第1の連通配管及び第2の連通配管にそれぞれ設けられた再生液の給排手段とを備え、前記上室の上部、上室の下部、下室の上部及び下室の下部にそれぞれ、水は通すがイオン交換樹脂の通過を阻止する集配水部材が配置され、前記上部給排配管、第1の連通配管、第2の連通配管及び下部給排配管の末端がそれぞれ該集配水部材に接続され、前記上室の上部及び下室の上部にそれぞれ粒状の不活性樹脂が充填されており、上室上部の集配水部材及び下室上部の集配水部材がそれぞれ該不活性樹脂中に埋設されており、前記仕切板は下に凸に湾曲し、上室下部の集配水部材及び下室上部の集配水部材は該仕切板に沿う形状を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塔体及びイオン交換装置においては、上室と下室とが遮水性の仕切板で区画され、一方の室にカチオン交換樹脂が収容され、他方の室にアニオン交換樹脂が収容されている。被処理水(原水)は、一方の室に供給され、連通手段を介して他方の室に流入し、該他方の室から取り出される。
【0017】
このイオン交換装置では、イオン交換樹脂の再生時には、各室に別々に酸又はアルカリが供給される。従って、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが混合することは全くなく、しかも、両室を区画する仕切板は遮水性であり、一方の室に供給された酸又はアルカリが仕切板を通過して他方の室に流入することは全くなく、逆再生が防止される。
【0018】
本発明の塔体は、内部を仕切板で上下2室に区画したものであり、アニオン交換塔とカチオン交換塔とを別々に設置したものと比べて設置スペースが少なくなり、配管の長さも少なくて済み、さらにイオン交換樹脂を充填するイオン交換樹脂室間を1枚の仕切板で分離するようにしたことにより、イオン交換装置の高さを低くできる。また、安価に製作できる。
【0019】
本発明のイオン交換装置では、第1の連通配管及び第2の連通配管を介して上室及び下室にそれぞれ酸又はアルカリを容易に通水して効率よく再生を行うことができる。この際、第3の連通配管を閉とすることにより、酸、アルカリの混合が完全に防止される。そして、上室及び下室のイオン交換樹脂を同時に再生することができ、再生時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
本発明のイオン交換装置によれば、上室及び下室に水の局部的な滞留が生じることがなく、効率よく処理水(脱イオン水)の生産及びイオン交換樹脂の再生を行うことができる。
【0021】
本発明のイオン交換装置は、上室及び下室の上部に不活性樹脂を充填しており、イオン交換樹脂の流動が抑制される。イオン交換樹脂が流動すると、採水時又は再生時に液が均等にイオン交換樹脂と接触しないため水質の低下が生じるおそれがあるが、本発明によれば、かかる水質低下が防止され、高水質の処理水を得ることができる。また、採水時と再生時の被処理水と再生剤の通水方向は特に限定されないが、採水を上向流、再生を下向流とする方が、高水質の処理水を得ることができるため望ましい。これは不活性樹脂の充填により、十分に再生されたイオン交換樹脂が各イオン交換樹脂の上部に固定され、採水時は被処理水の出口側にこのイオン交換樹脂が位置する為と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態に係るイオン交換装置を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1を参照し、実施の形態について説明する。
【0024】
塔体1は筒軸心方向を鉛直方向とした円筒部1aと、頂部の鏡板部1bと、底部の鏡板部1cとによって外殻が構成されている。鏡板部1bは上に凸に湾曲し、鏡板部1cは下に凸に湾曲している。
【0025】
この塔体1内が遮水性の仕切板2によって上室20と下室30との2室に区画されている。この実施の形態では、仕切板2は、水を全く通過させない金属又は合成樹脂製のものであり、鏡板部1cと同様に下に凸に湾曲している。仕切板2の周縁部は、円筒部1aの内周面に対し溶接等により水密的に結合されている。
【0026】
上室20内の上部に第1の集配水部材4が配置され、この第1の集配水部材4に上部給排配管3が接続されている。上室20内の下部に第2の集配水部材6が設置され、この集配水部材6に第1の連通配管5が接続されている。下室30内の上部に第3の集配水部材9が設置され、この集配水部材9に第2の連通配管8が接続されている。連通配管5,8は、第3の連通配管11によって接続され、この連通配管11に弁12が設置されている。
【0027】
連通配管5,8の末端部には、再生液の給排手段としての弁7,10が設けられている。下室30の下部には、第4の集配水部材14が設置され、この集配水部材14に下部給排配管13が設置されている。
【0028】
上室20内の大部分にカチオン交換樹脂21が充填され、このカチオン交換樹脂21の上側に粒状の不活性樹脂22が充填されている。第1の集配水部材4はこの不活性樹脂22内に埋設されている。
【0029】
下室30内の大部分にアニオン交換樹脂31が充填され、このアニオン交換樹脂31の上側に粒状の不活性樹脂32が充填されている。第3の集配水部材9はこの不活性樹脂32中に埋設されている。不活性樹脂としては、イオン交換樹脂よりも比重の小さいポリアクリロニトリル系樹脂などが用いられる。不活性樹脂の粒径は、イオン交換樹脂と同程度が好ましい。
【0030】
集配水部材4,6,9,14としては、従来のイオン交換装置で使用されている集水板や、放射状に延在させた配管に多数のスリットを設けたストレーナーなどを使用することができる。例えば、イオン交換樹脂の大きさが約0.4mm程度の場合、ストレーナーとしてスリットの幅が約0.2mmのものを使用するのが好ましい。集配水部材4,6,9,14は、鏡板部1b、仕切板2、鏡板部1cに沿う形状を有しており、鏡板部1b、仕切板2、鏡板部1cに沿うデッドスペースが小さいものとなっている。
【0031】
このイオン交換装置を用いた脱イオン水の生産(採水)時のフローを図1(a)に示す。この場合、弁12を開、弁7,10を閉とし、下部給排配管13から原水(被処理水)を供給する。この原水は集配水部材14、アニオン交換樹脂31、不活性樹脂32、集配水部材9、連通配管8,12,5、集配水部材6、カチオン交換樹脂21、不活性樹脂22、集配水部材4、上部給排配管3の順に流れ、処理水(脱イオン水)として取り出される。
【0032】
アニオン交換樹脂31及びカチオン交換樹脂21の再生時には、図1(b)のように弁12を閉、弁7,10を開とし、上部給排配管3からHCl、HSOなどの酸溶液を供給すると共に、第3の連通配管8からNaOHなどのアルカリ溶液を供給する。酸溶液は、集配水部材4、不活性樹脂22、カチオン交換樹脂21、集配水部材6、連通配管5、弁7の順に流れ、再生廃水(酸)として流出し、これによりカチオン交換樹脂21が再生される。アルカリ溶液は、集配水部材9、不活性樹脂32、アニオン交換樹脂31、集配水部材14、下部給排配管13の順に流れ、再生廃水(アルカリ)として流出し、これにより、アニオン交換樹脂31が再生される。
【0033】
再生終了後は、図1(b)のHCl溶液、NaOH溶液の代わりに、それぞれ純水を通水し、各経路及び樹脂をリンスした後、必要に応じて純水で上室と下室を個別に下向流洗浄しながら洗浄排水を排出し、その後、純水を上室20と下室30との間で所定時間循環させ、次いで、採水工程に復帰する。この再生に際しては、カチオン交換樹脂21とアニオン交換樹脂31とが混ざり合うことは全くない。また、再生用の酸溶液が下室30に流入したり、アルカリ溶液が上室20に混入することが全くなく、逆再生が完全に防止される。加えて、カチオン交換樹脂21とアニオン交換樹脂31とを同時に並行して再生することができ、再生時間が著しく短いものとなる。
【0034】
このイオン交換装置は、1つの塔体1内を1枚の仕切板2によって上下2室に区画したものであり、塔体の高さが低く、設置スペースも小さい。また、上室20と下室30とを連通する配管5,11,8が短くてすむ。
【0035】
このイオン交換装置では集配水部材4,6,9,14が鏡板部1b、仕切板2、鏡板部1cに沿って設けられており、水の局部的な滞留が防止される。
【0036】
このイオン交換装置では、上室20及び下室30の上部に不活性樹脂22,32を充填しており、カチオン交換樹脂21及びアニオン交換樹脂31の流動が防止され、採水時及び再生時に液が均等にカチオン交換樹脂21及びアニオン交換樹脂31と接触するようになっており、高水質の脱イオン水が得られると共に、十分に再生が行われるようになる。
【0037】
上記実施の形態では、上室20にカチオン交換樹脂を収容し、下室30にアニオン交換樹脂を収容しているが、逆としてもよい。上記実施の形態では、上室20と下室30とが配管5,11,8を介して連通されているが、塔体1の外部を引き回されている限り、これに限定されない。また、この実施の形態では、3個の弁7,10,12を用いているが、2個の三方弁を用いて流路切り替えを行うようにしてもよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例について説明する。実施例では図1に示すイオン交換装置を用いた。諸元は次の通りである。
塔体直径 : 450mm
塔体の高さ : 3000mm
上室容積 : 190L
下室容積 : 260L
カチオン交換樹脂の充填量 : 150L
アニオン交換樹脂の充填量 : 200L
不活性樹脂22の充填量 : 30L
不活性樹脂32の充填量 : 30L
【0039】
比較例では、市販の混床型イオン交換装置を用いた。諸元は次の通りである。
塔体直径 : 450mm
塔体の高さ : 4000mm
容積 : 640L
カチオン交換樹脂の充填量 : 150L
アニオン交換樹脂の充填量 : 200L
【0040】
各イオン交換装置にRO処理水(導電率:5μS/cm、金属Na:1ppm、塩化物イオン:1ppm、SiO:1ppm)を一定時間通水し、下記の酸溶液及びアルカリ溶液を用いて同時に再生し、その後の処理水質を確認した結果である。
(1) 運転条件
通水流量:15m/h
(2) 再生条件
HCl :5% 通水流量:0.75m/h、30分
NaOH :5% 通水流量:1m/h、加温40℃、40分
(3) 強塩基性陰イオン交換樹脂:Dow 550A
強酸性陽イオン交換樹脂 :Dow 650C
【0041】
<再生時間比較>
実施例のイオン交換装置の再生時間(min)は、40(薬品通液時間)+40(純水による薬品押出時間)+5(純水で洗浄しながら排水)+15(純水の循環洗浄)=100minであった。
一方、従来型混床式イオン交換装置再生時間は、10(樹脂分離時間)+30(カチオン交換樹脂:薬品通液時間)+30(カチオン交換樹脂:薬品押出時間)+40(アニオン交換樹脂:薬品通液時間)+40(アニオン交換樹脂:薬品押出時間)+5(純水で洗浄しながら排水)+15(樹脂混合時間)+30(循環洗浄)=200minであった。
【0042】
この実施例及び比較例で再生されたイオン交換装置で採水工程を開始したときの処理水の比抵抗値の経時変化を表1に示す。また、再生後の採水開始後、1時間経過した時点での処理水の水質を表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
表1,2から明らかな通り、本発明によれば、従来の混床式イオン交換塔に比べ、逆再生による水質立上り時間の短縮(表1)および高純度化(表2)が可能であり、且つアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を同時に再生できるため、再生時間も半減でき、且つ装置コスト、設置面積は同等以下である。
【符号の説明】
【0046】
1 塔体
1b,1c 鏡板
2 仕切板
3 上部給排配管
4,6,9,14 集配水部材
5,8,11 連通配管
13 下部給排配管
20 上室
30 下室
図1