【実施例】
【0093】
下記の各実施例において、B型粘度、電導度、pHの測定は、特に記述のない限り、いずれも25℃で行った。また、レーザー回折法による平均粒子径は、体積基準の値である。
〔実施例1〕
細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP(SiO
2濃度20.2質量%、Na
2O濃度0.28質量%、比重1.132、pH10.18、B型粘度14.5mPa・s(25℃)、電導度2590μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)54.6nm(BECKMAN COUULTER社製Submicron Particle Analyzer N5装置にて測定)、窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)11.1nm(Quantachrome社製Monosorb装置にて測定)、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)の比D
1/D
2が4.9)1300gに純水119gを加えて、SiO
2濃度18.5質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が92℃になった時点で前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に92℃で加熱を続行した。前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更した時点から5時間45分後に該シリカゾルは著しい増粘を示した。次いで前記インペラーの回転数を3200r.p.m.に変更し、更に撹拌を続行した。前記インペラーの回転数を3200r.p.m.に変更した時点から40分後に該シリカゾルはゲル化により上部の流動性が殆どなくなった。次いでゲル状物の温度を84℃まで低下させ、回転数3200r.p.m.の撹拌を2時間30分続行した。この時点でゲル状物の流動性が回復した。次いでゲル状物の温度を90℃とし、更に回転数3200r.p.m.の撹拌を1時間30分続行した後、加熱を停止し、回転数を1200r.p.m.に変更して室温まで冷却した。ゲル状物は流動性の高いスラリーとなった。得られたシリカスラリーは1251g、SiO
2濃度21.0質量%、pH10.19、B型粘度77.5mPa・s、電導度2560μS/cmであり、乳白色を呈していた。レーザー回折法粒子径測定装置((株)島津製作所製SALD(登録商標)−7000)を用いて、得られたシリカスラリーの粒子径を測定したところ、粒子径の範囲は10〜20μmであり、平均粒子径は14.3μmであった。該シリカスラリーに少量のポリエチレングリコールを添加して乾燥させた後、偏光顕微鏡(鉱物顕微鏡)で観察したところ、ほぼ球状のシリカ凝集体粒子であった。更にこのシリカスラリーを走査型電子顕微鏡で観察すると、原料の細長い形状のコロイダルシリカの2次凝集粒子が更に凝集した3次凝集体であることが確認された。このアルカリ性シリカスラリー600gを圧力ホモジナイザー15MR型(APV社製)を用いて300kg/cm
2で30分循環粉砕した。この湿式粉砕により3次凝集体が破壊され、アルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルが得られた。得られたアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.136、SiO
2濃度20.7質量%、B型粘度8.7mPa・s、pH10.20、電導度2450μS/cmであり、未粉砕物は僅かに残存しているが、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.2〜1.0μmであり、平均粒子径は0.490μmであった。また、透過型電子顕微鏡観察では、原料の細長い形状のコロイダルシリカが少量残存しているものの、200nm〜1μmのほぼ球状の粒子であり、この粒子は明らかに細長い形状のコロイダルシリカが絡み合った凝集シリカ粒子であることが観察された。上記のアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル529gを、陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液して、酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル540gを得た。通液時のゲルは認められなかった。得られた酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.124、SiO
2濃度20.3質量%、B型粘度6.7mPa・s、pH2.53、電導度2000μS/cmであり、レーザー回折法による平均粒子径はアルカリ性ゾルと同じ0.490μmであった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ231m
2/gであり、換算粒子径は11.7nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径11.1nmから僅かに大きくなっている程度であり、ほぼ同じであった。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.66cm
3/g、細孔半径ピークは6.1nmであり、メソポーラスシリカに類似した細孔を有する多孔質シリカであることが判明した。
〔実施例2〕
細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP(SiO
2濃度20.2質量%、Na
2O濃度0.28質量%、比重1.132、pH10.15、B型粘度27.0mPa・s(25℃)、電導度2570μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)64.4nm、窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)11.1nm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)の比D
1/D
2が5.8)1207gに純水293gを加えて、SiO
2濃度16.3質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が92℃になった時点で前記インペラーの回転数を2700r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に92℃で加熱を続行した。インペラーの回転数を2700r.p.m.に変更した時点から4時間15分後にシリカゾルは著しい増粘を示した。次いで前記インペラーの回転数を3100r.p.m.に変更し、更に撹拌を続行した。前記インペラーの回転数を3100r.p.m.に変更した時点から40分後に該シリカゾルはゲル化により上部の流動性が殆どなくなったが、撹拌は可能であり、92℃での撹拌を続行した。ゲル化により上部の流動性が殆どなくなった時点から2時間30分後に流動性が良好となり、その後3時間撹拌を続行した。最後は粘度も低下し、流動性は非常に良好であった。加熱終了後、インペラーの回転数を1000r.p.m.として室温まで冷却した。得られたシリカスラリーは1320gであり乳白色であった。このシリカスラリーはSiO
2濃度18.5質量%、pH10.19、B型粘度46.0mPa・s、電導度2420μS/cmであった。また、レーザー回折法の粒子径の範囲は10〜20μmあり、平均粒子径は14.4μmであった。このアルカリ性シリカスラリー600gを圧力ホモジナイザー15MR型(APV社製)を用いて300kg/cm
2で30分循環粉砕し、アルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを得た。このゾルは比重1.110、SiO
2濃度17.8質量%、B型粘度7.0mPa・s、pH10.18、電導度2260μS/cmであり、未粉砕物が僅かに残存しているが、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.3〜1.0μmであり、平均粒子径は0.586μmであった。前記アルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル282gを陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液して、酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル300gを得た。通液時のゲルは認められなかった。得られた酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.096、SiO
2濃度16.9質量%、B型粘度5.8mPa・s、pH2.57、電導度1662μS/cmであり、レーザー回折法による平均粒子径はアルカリ性ゾルと同じ0.586μmであった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ232m
2/gであり、換算粒子径は11.7nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径11.1nmとほぼ同じであった。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.73cm
3/g、細孔半径ピークは6.1nmの多孔質シリカであった。前記アルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル300gを減圧下で濃縮し、高濃度のアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル187gを得た。このゾルは、比重1.200、SiO
2濃度28.6質量%、B型粘度98.0mPa・s、pH10.17、電導度3580μS/cmであった。このゾルは室温で1ヶ月以上放置しても沈降物は殆ど認められず安定であった。
〔実施例3〕
細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP(SiO
2濃度20.2質量%、Na
2O濃度0.28質量%、比重1.132、pH10.28、B型粘度25.0mPa・s、電導度2460μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)62.8nm、窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)12.0nm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)の比D
1/D
2が5.2)1300gに純水159gを加えて、SiO
2濃度18.0質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が91℃になった時点で前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に91℃で加熱を続行した。インペラーの回転数を2700r.p.m.に変更した時点から2時間30分後にシリカゾルは著しい増粘を示した。次いで前記インペラーの回転数を3100r.p.m.に変更し、更に撹拌を続行した。前記インペラーの回転数を3100r.p.m.に変更した時点から1時間後に該シリカゾルはゲル化により上部の流動性が殆どなくなったが、撹拌は可能であり、91℃での撹拌を続行した。ゲル化により上部の流動性が殆どなくなった時点から1時間30分後に流動性が良好となり、その後3時間撹拌を続行した。最後は粘度も低下し、流動性は非常に良好であった。加熱終了後、インペラーの回転数を1200r.p.m.として室温まで冷却した。得られたシリカスラリーは1368gであり乳白色であった。このシリカスラリーはSiO
2濃度19.2質量%、pH10.28、B型粘度48.5mPa・s(25℃)、電導度2340μS/cmであった。また、レーザー回折法の粒子径の範囲は10〜20μmあり、平均粒子径は13.3μmであった。このアルカリ性シリカスラリー1000gを圧力ホモジナイザーを用いて300kg/cm
2で45分循環粉砕し、アルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを得た。このゾルは比重1.114、SiO
2濃度18.3質量%、B型粘度7.5mPa・s、pH10.29、電導度2200μS/cmであり、未粉砕物が僅かに残存しているが、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.3〜1.3μmであり、平均粒子径は0.625μmであった。前記のアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル292gを、陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液して、酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル307gを得た。通液時のゲルは認められなかった。得られた酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.101、SiO
2濃度17.4質量%、B型粘度6.2mPa・s、pH2.59、電導度1750μS/cmであり、レーザー回折法による平均粒子径はアルカリ性ゾルと同じ0.625μmであった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを透過型電子顕微鏡で観察したところ、2次凝集シリカ粒子は分散性が良好であり、凝集粒子の形状はほぼ球状であった。
図1にこの酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルの透過型電子顕微鏡写真(1万倍)を示した。また
図2に走査型電子顕微鏡写真(5万倍)、
図3に走査型電子顕微鏡写真(20万倍)を示した。
図2及び
図3の走査型電子顕微鏡写真では、凝集粒子が細長い形状のコロイダルシリカの凝集体であることが観察される。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ227m
2/gであり、換算粒子径は12.0nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径12.0nmと一致した。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.75cm
3/g、細孔半径ピークは6.1nmであり、多孔質シリカであった。
〔実施例4〕
実施例1で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)1300gに純水119gを加えて、SiO
2濃度18.0質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径5.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数300r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が91℃になった時点で前記インペラーの回転数を2500r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に91℃で加熱を続行した。インペラーの回転数を2700r.p.m.に変更した時点から4時間30分後にシリカゾルは著しい増粘を示した。次いで前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更し、更に撹拌を続行した。液の粘度は非常に高いもののゲル状態にはならず、液全体が流動状態を維持した。前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更した時点から5時間撹拌を続行した。最後は粘度も低下し、流動性は良好であった。加熱終了後、インペラーの回転数を700r.p.m.として室温まで冷却した。得られたシリカスラリーは1274gであり乳白色であった。このシリカスラリーはSiO
2濃度20.6質量%、pH10.20、B型粘度53.0mPa・s、電導度2460μS/cmであった。また、レーザー回折法の粒子径の範囲は10〜20μmあり、平均粒子径は15.0μmであった。このアルカリ性シリカスラリー280gをポリビンに仕込み、超音波ホモジナイザーUS−1200CCVP型((株)日本精機製作所製)を用いて8分粉砕し、2次凝集シリカゾル280gを得た。その結果、シリカスラリー中の3次凝集シリカ粒子は、超音波振動のエネルギーにより破壊され、多孔質2次凝集シリカからなる凝集シリカゾルが得られた。得られたアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.134、SiO
2濃度20.6質量%、B型粘度12.5mPa・s、pH10.20、電導度2530μS/cmであり、未粉砕物は全く残存せず、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.3〜1.5μmであり、平均粒子径は0.603μmであった。このアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを高速遠心分離機にかけて2次凝集シリカを沈降させた後、上澄み部分の未凝集の細長い形状のコロイダルシリカの含有量を測定したところ、全シリカ中の16.4質量%であった。このアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを透過型電子顕微鏡で観察したところ、2次凝集シリカは分散性が良好であり、凝集粒子の形状はほぼ球状であった。
図4にこのゾルの透過型電子顕微鏡写真(1万倍)を示した。また
図5に走査型電子顕微鏡写真(5万倍)、
図6に走査型電子顕微鏡写真(20万倍)を示した。
図5及び
図6の走査型電子顕微鏡写真では、凝集粒子が細長い形状のコロイダルシリカの凝集体であることが観察される。
図5及び
図6の透過型電子顕微鏡写真では、凝集粒子が細長い形状のコロイダルシリカの凝集体であり、多孔質であることが判る。前記のアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル174gを、陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液して、酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル192gを得た。得られた酸性の2次凝集シリカゾルは、比重1.112、シリカ濃度18.66質量%、pH2.40、粘度11.0mPa・s、電導度2270μS/cmでレーザー回折法粒子径はアルカリ性ゾルと同じ平均値0.623μmであった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ235m
2/gであり、換算粒子径は11.6nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径11.1nmとほぼ一致した。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.84cm
3/g、細孔半径ピークは6.1nmであり、多孔質シリカであった。この酸性の2次凝集シリカゾルを110℃で乾燥後、乳鉢にて粉砕し、更に家庭用粉体ミキサーで3分間粉砕を行った後、300℃で焼成した。得られた2次凝集シリカパウダーは嵩密度0.19と非常に小さく、水分散してレーザー回折法粒子径を測定したところ、粒子径の範囲は1〜100μmの範囲にあり、平均値15.0μmであった。上記酸性の2次凝集シリカゾル(SiO
2濃度18.7質量%)2.32gに紫外線硬化樹脂組成物O−106(中京油脂(株)製、固形分濃度20質量%)13.0gを混合し、コーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物中の2次凝集シリカの分散は良好であった。得られたコーティング組成物を10μmのアプリケーターを用いて光透過率91.27%、厚さ1mmのガラス板上に塗布し、乾燥後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、硬化させた。得られた被膜は少しコロイド色を有し、艶の少ない膜であった。このガラス板をヘイズ測定器NDH−5000型(日本電色工業(株)製)を用いて測定したところ、全光線透過率91.23%、ヘイズ21.97%、平行光線透過率71.19%であり、明らかに光散乱効果及び光反射防止効果があることが判った。
〔実施例5〕
実施例2で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)1500gに純水54gを加えて、SiO
2濃度19.5質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が81℃になった時点で前記インペラーの回転数を3000r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に81℃で加熱を続行した。インペラーの回転数を3000r.p.m.に変更した時点から3時間後にシリカゾルは著しい増粘を示し、3時間30分後にはシリカゾルのゲル化により上部の流動性がなくなったが、攪拌は可能であった。シリカゾルのゲル化が生じてから3時間後には流動性が生じ、3時間40分後には流動性が良好となった。更に81℃で2時間攪拌を続行した。最後は粘度も低下し、流動性は非常に良好であった。その後加熱を終了し、攪拌の回転数を1400r.p.m.に変更し、室温まで冷却した。得られたシリカスラリーは1443gであり乳白色であった。このシリカスラリーはSiO
2濃度21.0質量%、pH10.18、B型粘度46.5mPa・s、電導度2590μS/cmであった。また、レーザー回折法の粒子径の範囲は8〜20μmあり、平均粒子径は12.0μmであった。このアルカリ性シリカスラリー930gに陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bのウェットパウダー98gを添加し、マグネチックスターラーにて40分間攪拌し、陽イオン交換を行った後、陽イオン交換樹脂を除去して、酸性のシリカスラリーを得た。この酸性のシリカスラリーは、SiO
2濃度20.2質量%、pH2.60、B型粘度26.8mPa・s、電導度1567μS/cmであった。この酸性のシリカスラリー500gを圧力ホモジナイザー15MR型(APV社製)を用いて300kg/cm
2で20分循環粉砕し、酸性の2次凝集コロイダルシリカ水性ゾルを得た。得られたゾルは、比重1.122、SiO
2濃度20.0質量%、B型粘度7.1mPa・s、pH3.30、電導度990μS/cmであり、未粉砕物は殆どなく、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.2〜0.7μmであり、粒子径分布は非常にシャープであり、平均粒子径は0.388μmであった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、1ヶ月以上放置しても沈降物は僅かに生成するだけで安定性は良好であった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ240m
2/gであり、換算粒子径は11.3nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径11.1nmとほぼ一致した。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.64cm
3/g、細孔半径ピークは6.0nmであり、多孔質シリカであった。
〔実施例6〕
実施例2で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)1400gに純水88gを加えて、SiO
2濃度19.0質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が93℃になった時点で前記インペラーの回転数を1900r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に93℃で加熱を続行した。インペラーの回転数を1900r.p.m.に変更した時点から3時間後にシリカゾルは著しい増粘を示してゲル化状態となった時点で加熱温度を83℃に下げて、攪拌を続行した。ゲル化状態となってから5時間30分後にはゲル化物が流動し始め、6時間30分後には流動は良好となった。流動が良好となってから更に1時間加熱攪拌を続行した後、加熱を終了し、攪拌の回転数を1400r.p.m.に変更し、室温まで冷却した。得られたシリカスラリーは1382gであり乳白色であった。このシリカスラリーはSiO
2濃度20.5質量%、pH10.19、B型粘度87.0mPa・s、電導度2580μS/cmであった。また、レーザー回折法の粒子径の範囲は8〜30μmあり、平均粒子径は15.5μmであった。このアルカリ性シリカスラリー100gを100mlのガラスビンに仕込み、完全に蓋をして超音波洗浄機(出力200W)を用いて5時間超音波粉砕を行って、多孔質2次凝集シリカからなる凝集シリカゾルが得られた。得られたアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.134、SiO
2濃度20.5質量%、B型粘度12.5mPa・s、pH10.19、電導度2750μS/cmであり、未粉砕物は殆ど存在せず、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.18〜0.70μmであり、平均粒子径は0.319μmであった。このゾルは、1ヶ月以上放置しても沈降物は僅かに生成するだけで安定性は良好であった。このアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bでイオン交換し、酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを作製した。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ242m
2/gであり、換算粒子径は11.2nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径11.1nmとほぼ一致した。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.68cm
3/g、細孔半径ピークは6.1nmであり、多孔質シリカであった。
〔実施例7〕
実施例1で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)1300gに純水200gを加えて、SiO
2濃度17.5質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が92℃になった時点で前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に92℃で加熱を続行した。インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更した時点から7時間30分後にシリカゾルは著しい増粘を示し、更にその1時間後にゲル化状態により攪拌は可能であるが、上部の流動性が殆どなくなった。次いでゲル状物の温度を83℃まで低下させて流動性を良くした後、1時間30分攪拌を続行した。その後、加熱を終了し、インペラーの回転数を1600r.p.m.として室温まで冷却した。得られたシリカスラリーは1395gであり乳白色であり、SiO
2濃度18.8質量%であった。次いでこのシリカスラリーを60℃常圧下で濃縮し、1215gのシリカスラリーを得た。このシリカスラリーはSiO
2濃度21.6質量%、pH10.18、B型粘度138mPa・s、電導度2850μS/cmであった。また、レーザー回折法の粒子径の範囲は10〜20μmあり、平均粒子径は14.3μmであった。このアルカリ性シリカスラリー580gに陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bのウェットパウダー67gを添加し、マグネチックスターラーにて30分間攪拌し、陽イオン交換を行った後、陽イオン交換樹脂を除去して、酸性のシリカスラリーを得た。この酸性のシリカスラリーは、SiO
2濃度20.5質量%、pH2.66、B型粘度65mPa・s、電導度1560μS/cmであった。また、この酸性のシリカスラリーのレーザー回折法による平均粒子径は、アルカリ性のシリカスラリーのレーザー回折法平均粒子径と同じ14.3μmであった。この酸性シリカのスラリー100gを100mlのガラスビンに仕込み、完全に蓋をして5時間超音波洗浄機(出力200W)を用いて超音波粉砕を行って、酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルが得られた。得られた酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルは、比重1.126、SiO
2濃度20.5質量%、B型粘度12.0mPa・s、pH3.02、電導度1290μS/cmであり、少し白いコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.1〜2.0μmであり、平均粒子径は0.582μmであった。このゾルは、1ヶ月以上放置しても沈降物は僅かに生成するだけで安定性は良好であった。この酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを110℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、更に300℃で焼成してシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末について、窒素ガス吸着法で比表面積を測定したところ243m
2/gであり、換算粒子径は11.2nmであった。この換算粒子径の値は、原料の細長い形状のコロイダルシリカの粒子径11.1nmとほぼ一致した。また、このシリカ粉末の細孔を細孔分布測定装置BELSORP−mini II(日本ベル(株)製)で測定したところ、メソ孔細孔容積は0.55cm
3/g、細孔半径ピークは6.0nmであり、多孔質シリカであった。この酸性の2次凝集コロイダルシリカ水性ゾルは、1ヶ月以上放置しても沈降物は僅かに生成するだけで安定性は良好であった。また、放置により生成した少量の沈降物は、振とうにより容易に分散することができた。
〔実施例8〕
実施例1で得られたSiO
2濃度20.3質量%の酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル320gを減圧で濃縮し、高濃度のゾル214gを得た。このゾルはSiO
2濃度30.3質量%、B型粘度42.5mPa・s、pH2.55、電導度2260μS/cmであり、室温で1ヶ月以上保管しても沈降物は殆ど認められず安定であった。この高濃度の酸性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル208gを減圧下で分散媒をメタノールに置換して、多孔質2次凝集シリカメタノールゾル195gを得た。得られたメタノールゾルは、比重1.007、SiO
2濃度32.2質量%、水分2.3質量%、pH(等質量の水との混合物)2.87、電導度(等質量の水との混合物)574μS/cm、B型粘度20.5mPa・sであり、若干の乾燥ゲルはあるものの良好なゾルであった。このメタノールゾルは、室温で1ヶ月の放置により少量の沈殿物を生じたが、振とうにより容易に分散した。前記メタノールゾル7.45g(SiO
2濃度32.2質量%)に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標)DPHA(日本化薬(株)製))35.0質量%、光開始剤イルガキュア((登録商標)184(チバガイキー社製))5.0質量%、イソプロパノール40.0質量%、メチルエチルケトン20.0質量%を含む紫外線硬化性樹脂組成物12.0g(樹脂成分4.80g)を攪拌下で加えて、多孔質2次凝集シリカを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物中の2次凝集シリカの分散は良好であった。この樹脂組成物を25.4μmのアプリケーターを用いて光透過率91.27%、厚さ1mmのガラス板上に塗布し、乾燥後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、硬化させた。得られた被膜は摺りガラス状であり、良好な防眩性を示した。該被膜を鉱物顕微鏡で観察したところ、平板状で10〜20μmの凝集粒子が確認された。この被膜付きガラス板をヘイズ測定器NDH−5000型(日本電色工業(株)製)を用いて測定したところ、全光線透過率89.43%、ヘイズ72.55%、平行光線透過率24.55%であった。前記メタノールゾルをビーカーに入れて110℃で乾燥後、ミキサーで3分間粉砕した後、更に300℃で焼成して多孔質2次凝集シリカ粉末を得た。この多孔質2次凝集シリカ粉末を純水に分散したスラリーのレーザー回折法による平均粒子径は14.5μmであった。また、このシリカ粉末の嵩比重は0.16であった。
〔実施例9〕
実施例2で得られた高濃度のアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾル(SiO
2濃度28.6質量%)120gを減圧下でエチレングリコールに溶媒置換して、多孔質2次凝集シリカエチレングリコールゾル117gを得た。得られた多孔質2次凝集シリカエチレングリコールゾルは、比重1.209、SiO
2濃度19.4質量%、水分2.5質量%、B型粘度110.0mPa・s、pH(等質量の水との混合物)10.52、電導度(等質量の水との混合物)548μS/cmであった。このゾルは透明感のあるコロイド色を呈する良好なゾルであった。このゾルは室温で1ヶ月以上放置しても沈降物は認められず安定であった。
〔比較例1〕
実施例1で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)を陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)−120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液し、酸性の細長い形状のコロイダルシリカ水性ゾルを得た。このゾルは、SiO
2濃度20.2質量%、比重1.124、pH2.49、B型粘度9.0mPa・s、電導度1910μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径54.6nmであった。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。このゾル1350gを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が93℃になった時点で前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に93℃で加熱を11時間続行した。この間、シリカゾルの増粘またはゲル化は全く起こらなかった。加熱を終了し、該インペラーの回転数を1200r.p.m.として室温まで冷却した。得られた液は1230gで、僅かにコロイド色を呈する透明な液であり、原料のシリカゾルと同じシリカゾルであった。このシリカゾルはSiO
2濃度22.1質量%、比重1.142、pH2.82、B型粘度12.5mPa・s、電導度1383μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径48.8nmであり、原料シリカゾル中の細長い形状のコロイダルシリカの2次凝集は起きていなかった。また、得られたゾルを透過型電子顕微鏡にて観察を行ったが、2次凝集粒子の存在は確認されなかった。
〔比較例2〕
実施例2で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)1400gを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が40℃になった時点で前記インペラーの回転数を3250r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に40℃で加熱を12時間続行した。この間、シリカゾルの若干の増粘は認められたが、著しい増粘またはゲル化は全く起こらなかった。加熱の終了と同時に攪拌を終了し、室温まで冷却した。得られた液は1395gで僅かにコロイド色を呈する透明な液で、原料シリカゾルと同じシリカゾルであった。このシリカゾルはSiO
2濃度20.3質量%、比重1.132、pH10.20、B型粘度26.2mPa・s、電導度2700μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径68.8nmであり、原料シリカゾル中の細長い形状のコロイダルシリカの2次凝集は起きていなかった。また、得られたゾルを透過型電子顕微鏡にて観察を行ったが、2次凝集粒子の存在は確認されなかった。
〔比較例3〕
細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP(SiO
2濃度20.2質量%、Na
2O濃度0.28質量%、比重1.132、pH10.17、B型粘度54.2mPa・s、電導度2610μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)71.8nm、窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)11.1nm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)の比D
1/D
2が6.5)550gに純水839gを加えて、SiO
2濃度8.0質量%の原料シリカゾルとした。このゾルは僅かにコロイド色を呈するが透明であった。この原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が93℃になった時点で前記インペラーの回転数を3200r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に93℃で加熱を11時間続行した。この間、シリカゾルの粘度が明らかに高くなり、3次凝集体の生成が確認されたが、著しい増粘またはゲル化は起こらなかった。加温終了後、攪拌の回転数を1400r.p.m.として室温まで冷却した。得られた液は1200gで僅かに白いコロイド色を呈する透明な液であった。外観はシリカゾルの色であるが、静定すると3次凝集体が沈降分離することが確認され、シリカスラリーであることがわかった。このシリカスラリーは、SiO
2濃度9.3質量%、pH10.18、B型粘度6.0mPa・s、電導度1360μS/cmであり、透明性コロイド色を示した。このシリカスラリーのレーザー回折法の粒子径の範囲は5〜15μmであり、平均粒子径は9.3μmであった。このアルカリ性シリカスラリー100gを100mlのガラスビンに仕込み、完全に蓋をして超音波洗浄機(200W)を用いて4時間超音波粉砕を行った。得られたゾルは、比重1.054、SiO
2濃度9.3質量%、pH10.18、B型粘度6.5mPa・s、電導度1362μS/cmで透明性コロイド色を示した。また、このゾルのレーザー回折法の粒子径の範囲は0.015〜0.15μmであり、平均粒子径は0.047μmであった。
〔比較例4〕
実施例1で用いた細長い形状のシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスUP)1300gを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱し、シリカゾルの温度が93℃で加熱を10時間続行した。この間、シリカゾルの増粘またはゲル化は全く起こらなかった。加熱を終了した後、インペラーの回転数を700r.p.m.に維持したままで室温まで冷却した。得られた液は1228gで、僅かにコロイド色を呈する透明な液であり、原料シリカゾルと同じシリカゾルであった。このシリカゾルはSiO
2濃度21.4質量%、比重1.139、pH10.17、B型粘度63.0mPa・s、電導度2740μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径72.0nmであり、原料シリカゾル中の細長い形状のコロイダルシリカの2次凝集は起きていなかった。また、得られたゾルを透過型電子顕微鏡にて観察を行ったが、2次凝集粒子の存在は確認されなかった。
〔比較例5〕
球状の水性シリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックス30(SiO
2濃度30.3質量%、Na
2O濃度0.33質量%、比重1.210、pH9.87、B型粘度6.8mPa・s、電導度4100μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)21.0nm、窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)12.0nm、動的光散乱法による測定粒子径(D
1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D
2)の比D
1/D
2が1.8)1400gをこの原料シリカゾルを2Lの容器(直径12.5cm、高さ20cm)に仕込み、直径4.5cmののこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機を用いて、前記インペラーの回転数700r.p.m.にして湯浴にて加熱した。シリカゾルの温度が93℃になった時点で前記インペラーの回転数を2750r.p.m.に変更し、高い剪断力の撹拌下に93℃で加熱を10時間続行した。この間、シリカゾルの増粘またはゲル化は全く起こらず、何の変化もなかった。加熱終了後、インペラーの回転数を1200r.p.m.に変更して室温まで冷却した。得られた液は1250gで僅かにコロイド色を呈する透明な液で、原料シリカゾルと同じシリカゾルであった。このシリカゾルは、SiO
2濃度33.9質量%、比重1.242、pH9.92、B型粘度8.2mPa・s、電導度4640μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径21.0nmであり、原料シリカゾル中の球状コロイダルシリカの2次凝集は全く起きていなかった。また、得られたゾルを透過型電子顕微鏡にて観察を行ったが、2次凝集粒子の存在は確認されなかった。