特許第5674314号(P5674314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674314レチクルSMIFポッド又は基板コンテナ及びそのパージ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674314
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】レチクルSMIFポッド又は基板コンテナ及びそのパージ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20150205BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H01L21/68 U
   B65D85/38 R
   H01L21/30 503E
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-552013(P2009-552013)
(86)(22)【出願日】2008年2月28日
(65)【公表番号】特表2010-520625(P2010-520625A)
(43)【公表日】2010年6月10日
(86)【国際出願番号】US2008055388
(87)【国際公開番号】WO2008106622
(87)【国際公開日】20080904
【審査請求日】2011年2月9日
(31)【優先権主張番号】60/892,196
(32)【優先日】2007年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テーベ,アンソニー,マチウス
(72)【発明者】
【氏名】ハーマイヤー,デヴィッド,エル
(72)【発明者】
【氏名】コルボウ,スティーブン,ピー
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−214479(JP,A)
【文献】 特表2002−510150(JP,A)
【文献】 特開2004−345715(JP,A)
【文献】 特開昭59−062775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造に用いるレチクルを保持するためのレチクルSMIFポッドであって、
開口した内部空間および開口した底部を備える上部の外殻と、
開口した底部において上部の外殻に封止係合し掛止されるように構成された扉とを備え、該扉は基部、前記基部から延在しかつ前記レチクルを受容するためのレチクルSMIFポッド受容領域を限定するレチクル用の支持部材、およびパージノズルと結合するための下向きのノズルインタフェースを備え、前記ノズルインタフェースは、パージガスを通すための中央開口部を備えた弾力性のあるポリマーにより形成されたディスク形状の片持ち状フランジ部を備え、前記片持ち状フランジ部は被支持フランジ部から半径方向外向きに延在し、前記被支持フランジ部は管状の脚部と一体であり、前記片持ち状のフランジ部は下向きのノズル係合面と上向きの面とを有し、前記片持ち状フランジ部の前記上向きの面は、前記ノズルインタフェースが前記パージノズルと係合しないときには非接触状態にあり、前記片持ち状フランジ部がパージノズルと係合すると、水平から上向きに、円錐状のまたは丸みを帯びた円錐状の状態へと前記中央開口部と同軸で変形可能に配置されているレクチルSMIFポッド。
【請求項2】
請求項1に記載のレチクルSMIFポッドであって、前記パージノズルは、さらにディフューザ本体を備え、該ディフューザ本体は前記レチクルSMIFポッド受容領域から離れる方向であって上方にかつ側方外側に向いた出口を有し、ディフューザ本体は前記管状の脚部に係合する大きさにされた中央軸穴を有するレチクルSMIFポッド。
【請求項3】
請求項1に記載のレチクルSMIFポッドであって、前記ノズルインタフェースは、当該レチクルSMIFポッドの前記扉のパージポート開口部内に係合し、前記ノズルインタフェースは開口した内部空間内に位置するディフューザ部を備え、前記ディフューザ部は前記レチクルSMIFポッド受容領域に開口する複数のディフューザポートを有するレチクルSMIFポッド。
【請求項4】
請求項1に記載のレチクルSMIFポッドであって、前記扉はパージポート開口部を有し、前記ノズルインタフェースはパージポート開口部と封止係合する大きさの環状の溝を備えたグロメット部および中央の軸穴を備え、前記片持ち状フランジ部は該中央の軸穴に隙間なく受容されるような大きさにされた管状部と一体化されているレチクルSMIFポッド。
【請求項5】
パージ可能な基板コンテナおよびパージステーションの組み合わせであって、前記パージステーションは上方に延在するパージノズルを備えた基板コンテナ受容域を有し、前記パージノズルは直径を有して水平面内に位置する円形の係合リップを有し、前記基板コンテナは前記円形の係合リップに対して半径方向外側の片持ち状フランジ部およびその内部の中央開口部を備えるノズルインタフェースを備え、前記片持ち状フランジ部は、水平方向に延在し、前記片持ち状フランジ部から半径方向内側の支持部と連結され、前記支持部は前記円形の係合リップの直径よりも小さい直径を有し、前記ノズルインタフェースを前記パージノズルと整列させた状態で前記基板コンテナが前記基板コンテナ受容域に配置されると、前記半径方向外側の片持ち状フランジ部は水平から円錐または丸みを帯びた円錐状態へと上方に曲がる組み合わせ。
【請求項6】
請求項5に記載の組み合わせであって、前記パージノズルは前記パージステーションに対して固定され、前記パージノズルと前記ノズルインタフェースとの係合が、前記パージノズルの上に部分的に載せられる前記基板コンテナの重量により与えられる組み合わせ。
【請求項7】
請求項5に記載の組み合わせであって、前記ノズルインタフェースが前記基板コンテナの中へ延在するディフューザポートを備えたグロメット部をさらに備える組み合わせ。
【請求項8】
請求項5に記載の組み合わせであって、前記パージステーションが、筐体を備え、かつ、レチクルSMIFポッドのストック器として構成され、基板コンテナがレチクルSMIFポッドとして構成される組み合わせ。
【請求項9】
請求項5に記載の組み合わせであって、前記基板コンテナが前部の開口したコンテナであり、ウェハー用の棚部を備えた組み合わせ。
【請求項10】
少なくとも1つの基板を保持するためのパージ可能な基板コンテナであって、
内部空間を限定し、開口した側部およびパージポート開口部を含むコンテナと、
前記開口したコンテナ内に前記少なくとも1つの基板を保持するため前記コンテナに取り付けられた支持部と、
前記開口した側部に封止可能に掛止できる扉と、
前記コンテナに前記パージポート開口部において取り付けられたパージガス注入用のパージノズルインタフェースアセンブリとを有し、該パージノズルインタフェースアセンブリは、中央開口部および該中央開口部に対して半径方向外側の片持ち状周辺部を備えた弾性ポリマーディスクを含み、前記弾性ポリマーディスクは前記片持ち状周辺部から半径方向内側で保持され、前記片持ち状周辺部は、該片持ち状周辺部が水平にかつ半径方向外側に延在する非撓み位置と、前記片持ち状部分が撓んで水平の非撓み位置から角度をなして上方に延在する封止係合位置とを有するパージノズルインタフェースアセンブリとを備えるパージ可能な基板コンテナ。
【請求項11】
基板コンテナをパージする方法であって、前記基板コンテナがその底側にパージポートを有し、前記パージポートは内側に管状脚部を一体で有する弾性ポリマー製の半径方向外向きに延びる片持ち状周辺部を備え、前記片持ち状周辺部は下向きの係合面部と反対の上方に向いた面とを有し、前記上方に向いた面は非接触状態にあり、
前記片持ち状周辺部の下向きの係合面と係合する上向きのノズルであって、上側の周囲リップを備えたノズルを有するパージステーション上に基板コンテナを配置する段階と、
前記ノズルに載せられる前記基板コンテナの重量により前記片持ち状周辺部を上方に曲げる段階とを備えた方法。

【請求項12】
パージポート開口部およびその内部に取り付けられたパージポートアセンブリとを備えた基板コンテナであって、前記パージポートアセンブリは両者とも弾性ポリマーで形成された本体部とノズル受容部とを備え、上記本体部は、それ自体の周りに延在し、前記パージポート開口部を封止嵌合する大きさにされた環状の通路形状をした溝を有し、前記本体部は、ディフューザポートと、前記本体部を通って軸方向に延び、前記ディフューザポートと連通する穴とをさらに有し、前記ノズル受容部は管状部と一体のフランジ部を備え、前記フランジ部は中央開口部を有し、かつ半径方向内側の被支持フランジ部および該被支持フランジ部と同心で被支持フランジ部から半径方向外側に延在する、半径方向外側の支持されない片持ち状フランジ部を備え、前記管状部は前記本体部の前記穴内に挿入されて保持される大きさにされ、それにより、前記フランジ部は前記コンテナの外部に位置され、前記ディフューザポートは内部に位置し、前記パージポートアセンブリを通る軸方向のパージ経路が存在する基板コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2007年2月28日に出願された米国仮特許出願特許第60/892196号の利益を要求するものであり、本出願はまた、2006年4月3日に出願された米国特許出願第11/396949号、2005年4月4日に出願された米国仮特許出願第60/668189号、および2008年2月12日に発行された米国特許第7328727号に関連し、これらの全ては参照により全体がここに導入される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、半導体製造に用いられる基板キャリア、更に具体的には搬送可能なレチクル/フォトマスク‐キャリアおよびそのようなキャリア内の環境を制御するためのパージシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体として用いるシリコンウェハーの処理は、その処理ステップの1つとして、典型的にフォトリソグラフィを含む。フォトリソグラフィにおいて、窒化シリコンの被覆物を含むウェハー表面は、感光性の液体ポリマーまたはフォトレジストで被覆されていて、所望のパターンを有するテンプレートを用いて照射光源に選択的に露光される。典型的に、紫外光がマスクまたはレチクルの表面を透過するかマスクまたはレチクルの表面で反射されて、フォトレジストで被覆されたウェハーの上に所望のパターンを投影する。光で露光されたフォトレジストの部分は化学的に変化し、それに続いて、マスク上のパターンの正確な形状にしたがって、露光されなかったフォトレジストを取り除き、ウェハー上の変化したフォトレジストを残したままにする化学的媒体にウェハーがさらされると、光で露光されたフォトレジストの部分は影響を受けないままである。ウェハーは、マスクの正確なデザインに従って、窒化層の露出部分を取り除き、ウェハー上の窒化層パターンを残したままにするエッチング処理を受ける。
【0004】
産業のトレンドは、より大きいウェハー上により細い線幅を必要とするより小さいおよび/またはより集積度の高いチップの製造に向かっている。明らかに、レチクルの表面がパターン化される細かさの程度と、このパターン化がウェハーの表面上に忠実に複製できる程度は、究極の半導体製品の品質に影響を与える要素である。パターンがウェハー表面上に再生できる解像度は、フォトレジストに被覆されたウェハーの表面上にパターンを投影するために使用される紫外光の波長に依存する。最高品質のフォトリソグラフィ機器は、100nmのオーダーの最小特性サイズを可能にする193nmの波長の遠紫外光を使用している。最近開発された機器では、157nmの極短紫外光を使用して70nm未満のサイズの特性の解像度を可能にしている。
【0005】
レチクルは、ウェハー上に再生されるパターンを含む非常に平らな硝子板である。典型的なレチクルの基板材料は石英である。最近の集積回路の重要な素子の極小サイズのために、容認できない品質の最終製品につながる処理中に、レチクルの有効表面(すなわち、表面上のパターン)から、フォトレジスト層の表面を損傷させるか、または、フォトレジスト層の上に投影されたイメージを変形させる可能性のある汚染物質が除かれることは必須である。典型的に、危険な微粒子のサイズは、極短紫外光がフォトリソグラフィ処理の一部であるとき、パターンでない部分とパターンの部分ではそれぞれ、0.1μmと0.03μmである。一般的に、レチクルのパターンのある表面は、薄くて工学的に透明なフィルム、好ましくはニトロセルロースにより被覆され、フレームに取り付けられて支持され、レチクルに取り付けられている。その目的は、汚染物質を封止し、像面内のそのような汚染により潜在的に引き起こされる印刷不良を減少させることである。
【0006】
しかし、極短紫外光は、遠紫外光のフォトリソグラフィのレチクルの特性よる透過に反して、パターン表面からの反射を利用する。このとき、この発明は極短紫外線の透過する薄膜材料を提供しない。結果として、極短紫外線リソグラフィに使用される反射フォトマスク(レチクル)は、従来のフォトリソグラフィに用いられるレチクルよりもかなりの大きな程度汚染や損傷の影響を受けやすい。この状況は、極短紫外線フォトリソグラフィに用いることになっているレチクルを、保管、移動、および搬送するために設計されたどのSMIFポッドにも高まる機能的要求を課している。
【0007】
製造中、処理中、搬送中、取り扱い中、移送中、または保管中に、レチクルの他表面との不要な意図しない接触は、スライド摩擦および摩耗のために、パターンの印刷されたレチクルの表面の繊細な特性に損傷を生じさせる可能性がある。同様に、一般的に当業者に理解されているように、レチクルの表面の微粒子によるどのような汚染も、そのような欠陥のあるレチクルを使用する処理の最終生産物に深刻な影響を与えるのに十分な程度、レチクルを潜在的に危険にさらす。この点において、この分野の技術は、レチクルのスライド摩擦、レチクルの結果として生じる摩耗、および、汚染微粒子の結果としての生成を減少させるかまたは除去するようにレチクルのコンテナ内でレチクルを位置決めして支持する、独創的アプローチを開発してきた。保管、処理、および移送中のウェハーの周囲の制御された環境を維持するための必要性を認めると、従来技術は、微粒子材料の進入を相対的に防止することができるようなコンテナを提供することにより、ウェハーのごく近傍の環境の管理を可能にする隔離技術のアプローチを発展させてきた。
【0008】
典型的に、コンテナには、処理機械によるコンテナの自動操作を可能にする標準化された機械的インタフェースが設けられている。そのようなコンテナは、200mmまでのフォトマスクを保持することができ、指定された標準的な機械的インタフェースのポッドまたはSMIFポッドである。そのような制御された環境でさえも、制御された環境に捕らえられた空気の気圧変動のため、または、コンテナの急激な移動および/または捕らえられた空気の体積の変動により引き起こされる捕らえられた空気の乱流のために、制御された環境内部で存在しうる微粒子の移動が依然発生しうる。例えば、薄壁SMIFポッドは、制御された環境内に捕らえられた空気の移動を引き起こす標高に関連する圧力の変化による壁の動きを経験しうる。気温の変化がコンテナ内の滞留を引き起こしうる。圧力の変動によるコンテナおよびその構成部材の寸法の変化は、キャリアのカバーと扉との間の封止を危険にさらし、キャリア内への微粒子の進入につながりうる。従来技術のアプローチは、外部環境と内部の制御された空気の体積との間の呼吸装置を意図している。呼吸装置は、空気の流れる通路を提供する。従来技術の呼吸装置は、外部環境からキャリアの内部の制御された環境への微粒子の侵入を防止する微粒子フィルタを含んでも良い。
【0009】
当業者ならば、微粒子汚染物質は均衡の半分にすぎないと考えるであろう。同様に重要なのは、周囲の空気の密封されたシステム内への通気、漏れ、または捕捉による気相汚染または空気中の分子汚染(AMC)である。例えば、適切な露点温度において、空気中の水分は空気から凝結し、凝結した水分のうちいくらかはレチクルの上に堆積する。完璧に封止したコンテナでさえも、処理中にレチクルがコンテナから取り除かれるとき、およびコンテナ内で移動されるときには、システム内に空気の侵入する可能性がある。レチクルのパターン表面上に凝結した水蒸気は、固体の微粒子のように光学を干渉しうる。重要であると信じられている気相または水蒸気の他の汚染源は、フォトマスクのライフサイクル期間中のレチクル/ポッドの洗浄操作により生じる溶媒残留物、キャリアの構造上の構成部材からのガス流出により生成される化学物質、およびキャリアの外殻とキャリアの扉との間の密封配置を破ることにより、周囲の空気からキャリアに進入する化学物質である。
【0010】
複数の汚染種が気相汚染に最大の貢献をしていると考えられている。これらはNH3(アンモニア)、SO2(二酸化硫黄)、H2O(水)、および凝結する有機物C6−C10を含む。フォトリソグラフィシステムにより、フォトマスクが436nmから157nmの範囲の波長のレーザー光源に露光される。現在193nmのレーザーがかなり一般的である。レーザーのエネルギーは、レチクルの表面上で欠陥の形成と増殖を促進させ化学反応を開始させうる。例えば、化学種のうちいくつかはSO42-およびNH4+などの非常に反応しやすい反応種を形成するように変化する。例えば酸などのこのような化学物質のうちのいくつかは、ガラスと反応しやすく、エッチングしてパターン表面上にぼやけを生成することによりレチクルを損傷させうる。塩基はレジスト被毒を生成しうる。凝結する有機物はSiCの形成につながりうる。一般的に、汚染の全ては、同じ効果、即ち、レチクルの機能を低下させる結晶成長をもたらすと考えられる。この点で、現在の考えでは、水分または水が結晶成長に必要な鍵となる材料のひとつであると考えられている。本質的に、水は前記汚染物質のうちのいくつかを組み合わせて塩を形成し、結晶成長の規定の元に一般的に協力する。例えば乾燥剤を用いる従来技術は、塩(または結晶)形成を防止するのに十分低いレベルまで水分の凝結を減らすことができないので、この問題を改善することはできていない。乾燥クリーンエア(CDA)またはの乾燥ガスによるレチクルキャリアのパージは、結晶成長を避けるのに必要なレベルまで、水分汚染を減少させることができない。したがって、レチクルのライフサイクルの各ステージにおいて、汚染を制御するメカニズムの必要性が存在する。
【0011】
化学物質汚染の影響を改善するために従来技術で一般的に使用されているアプローチのひとつは、定期的レチクル/マスク洗浄である。そのような洗浄の平均時間間隔(MTBC)は、193nm露光機器では、例えば約8000ウェハーに近づいている。MTBCの閾値は、レチクル/マスクを使用してウェハー状に印刷された欠陥の間の平均時間(MTBD)を抑えるために設定される。しかし、そのようなレチクル/マスクは、機能性を超えて解像度が悪化する前にかつマスクが廃棄される前に、影響を受けるそのような清浄度の数値には限度がある。上記の観点で、従来技術の1つは、保管中、移送中、操作中と同様に、キャリアにレチクルがないときであるスタンバイ状態中にも、キャリア内のレチクル環境が清潔に保たれることを確実にする必要性があると認識するはずである。所望の間、AMCまたは他の汚染物質の進入を絶対阻止する密封された環境を構築することは一般的に実現不可能である。特にレチクルおよびレチクルキャリアが移送または搬送されねばならないとき、レチクルキャリアを連続的にパージすることも実現不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,988,233号
【特許文献2】米国特許第5,810,062号
【特許文献3】米国特許第5,482,161号
【特許文献4】米国特許第6,736,268号
【特許文献5】米国再発行特許第38,221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の関連出願に開示されているようなパージ解決手段は、フォトマスクキャリア内のAMCの侵入、凝縮、および蓄積速度を著しく制御しているけれども、更なる改良が望まれている。従って、必要とされるものは、結晶塩の形成を排除または著しく減少させるレベルまで、および、レチクル上のいかなる汚染物質の存在も概して最小にするレベルまで、フォトマスクキャリア内のAMCの侵入、凝縮、および蓄積速度を更に改善するシステム、構造、または装置である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ある実施の形態において、保管中、移送中、処理中、および搬送中にレチクルを収納するための制御された環境を備えるレチクル/マスク‐キャリアを提供する。本発明の第1の実施の形態によれば、レチクル/マスク‐キャリアは、前記制御された環境内への微粒子および気相汚染物質の侵入および生成を制御する手段を備えている。
【0015】
本発明は、ポッド内、底部に開口扉を備えるポッド内、特にレチクルSMIFポッド内の制御された環境を提供および維持するシステム、構成部材、および処理を提供する。
【0016】
1つの実施の形態では、ポッドが、底部の開口したポッドの扉の下面上に位置する可撓性のノズル受けフランジを有する。ノズル受け封止部は、ノズルにより負荷を受けると軸方向に変形しあるいは曲がことで封止を形成する、下向きで略円形状の封止フランジを含む。
【0017】
本発明の複数の実施の形態は、底部の開口したポッドを着脱可能に受容するための受容器を提供する。好ましい実施の形態では、受容器は、底部の開口したポッドとのパージ接続のためのノズルインタフェースを備えたトレイとして構成される。ある実施の形態では、ポッド受容器は、ポッドの底部にある中央排出フィルタを通って下向きの通気を可能にするような大きさと位置の開口部を有する。
【0018】
ある実施の形態では、底部の開口したポッドは、トレイ上のノズルと直接インタフェースする一対の下向き封止フランジを有する。これらの封止フランジはポッドのおよび中身の重量の一部を支持する。ポッドのおよび中身の重量は、封止フランジに負荷を加えて変形させるので、封止フランジとノズルとの間の封止接触を改善する。1つの実施形態では、封止フランジは、扉部を通って延在する開口部内に受容される弾性(elastomericおよび/またはresilient)ブッシュやグロメットと組み合わされるかまたは一体化されてパージポートアセンブリを構成する。ブッシュ逆止めバルブ部材を受容できる穴部を内部に有する。
【0019】
ある実施の形態では、グロメットの一部としてのディフューザ部は、底部の開口したポッドの扉の上面の上方に延在する。ディフューザは、パターン表面および薄膜から離れる方向にパージガスを向けるように、好ましくは外側を向いた出口を有する。
【0020】
ある実施の形態では、トレイとポッドの扉との間のパージインタフェースの封止の完全性は、トレイ上のポッドの配置および/または安定性により影響を受けうる。1つの実施の形態では、ポッドの扉とトレイとの間のインタフェースは、トレイ上の不連続の接触領域に有り、ポッドとトレイとの間のほぼ3点または3領域の接触をもたらす。ポッドとの手動での接触に際して視覚的に認識できる垂直移動がなされ得、その場合、パージノズルと封止フランジとの弾性係合において、少なくとも垂直に約0.1インチ(約0.25cm)の許容差を有することが好ましい。
【0021】
ある実施の形態では、パージステーションは、底部の開口したポッドを受容するため積み重ね形態に配置された複数のトレイを提供する。トレイは移動可能であって、例えば水平方向に旋回可能であって、底部の開口したポッドへの容易なアクセスを提供する。
【0022】
もうひとつの態様によれば、トレイ内の開口部は、底部の開口したポッドの扉上のフィルタに対応しており、実質的に同心である。更に、フィルタは、好ましくはレチクルに実質的につりあった形状と大きさにされ、好ましくはレチクルと実質的に同心に位置される。
【0023】
本発明のさらにもう1つの実施の形態によれば、底部の開口したポッドは、レチクルキャリアの密封された空間の中へ加圧された非常にきれいな乾燥空気(XCDAと命名する)を連続的に噴射する手段と、封止された空間からXCDAを排出する手段とを備えている。このような密封された空間内への連続パージは、マスク/レチクル上の汚染物質を吹き飛ばし、ぼやけの形成またはひびの形成を防止するように機能する。好ましい実施の形態では、一重ねの旋回可能なトレイは、底部の開口した保管されたレチクルポッドの連続パージを提供するパージラインを有する。
【0024】
また、上記のようにウェハーコンテナに関連して発生する同様なぼやけおよび汚染も現れる。従って以下に記載するように、解決手段の態様はウェハーコンテナにも適用できる。
【0025】
本発明の更なる目的、利点、および新規な特徴は以下の説明にある程度記載されていて、以下の説明を精査することにより、または本発明の実施により学ぶことにより、当業者にはある程度明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る底部の開口した基板キャリアのアセンブリの底面斜視図である。
図2図1の基板キャリアのアセンブリの分解斜視図である。
図3】レチクルを支持するように示された図1のレチクルキャリアの基部または扉の斜視図である。
図4】ポッドの内部のディフューザノズルアセンブリを含む基部の側部断面図およびパージトレイの上方に位置するポッドをさらに描いた図である。
図4a図4に描かれた基部の側部断面図であり、パージトレイのパージノズルと係合するディフューザノズルアセンブリの封止フランジと共に描かれた図である。
図5】本発明の実施の形態に係るディフューザノズルアセンブリの構成部材を描いた詳細斜視図である。
図6】逆止バルブアセンブリと共に、本発明の実施の形態に係るディフューザノズルアセンブリの構成部材を描いた詳細斜視図である。
図7】本発明に係るパージ能力を備えた底部の開口したポッドを受容する、積み重ねられた複数の旋回可能なトレイを備えたポッドライブラリの斜視図である。
図8図7のポッドライブラリのトレイの上面の斜視図である。
図9図7のポットライブラリのトレイの底部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図は、特にレチクルキャリアとして構成される基板と、レチクルポッドのライブラリを提供する、積み重ねられた複数の旋回可能なトレイとして構成されるパージステーションとを保持する底部の開口したポッドの実施の形態を描いている。前と後ろ、右と左、頂部と底部、上と下、および水平と垂直へのどの参照も簡便な説明を意図していて、任意の位置または空間的方向へ本発明またはその構成部材を限定していない。「基板」が使用されるときは、半導体製造に用いられるウェハーまたはレチクルをここでは参照している。添付の図およびこの明細書中に指定されたどの寸法も、本発明の1つの実施の形態の潜在的デザインおよび意図する使用方法により、本発明の範囲から外れることなく変更されても良い。
【0028】
図1−4aでは、本発明の第1の実施の形態に係るパージ能力を備えたレチクルキャリア100として構成される基板用の底部の開口したポッドが描かれている。レチクルキャリア100(代わりに、レチクルコンテナ、レチクルポッド、またはレチクルボックスとも呼ばれる)は一般的に扉部106(代わりに、基部とも呼ばれる)を備え、前記扉部106は、キャリア外殻112(代わりにカバーとも呼ばれる)と結合して、密封された内部空間118を形成し、前記密封された内部空間118はレチクル124が保管可能かつ移送可能な封止された環境を提供する。用語「レチクル」は、微粒子および気相化学汚染物質による損傷の影響を受けやすい半導体産業で使用されている水晶ブランク、フォトマスク、マスクを含む広い意味に使用されている。一般的に、レチクル124は、上記したようにエッチングされたパターンの設けられた表面領域129を有する第2のパターン表面128と対向する第1の表面126を備えた正方形に形成される。レチクルの側面130は、第2のパターン表面128から第1のパターン表面126を離間させ、レチクルの周囲130の周りに延在する。なお、本発明はレチクル124の特定の形状に限定されない。
【0029】
図1―4aに示された扉部106は、側壁148により離間される対向する扉の上面136と扉の下面142とを含む。複数のレチクル支持部154、レチクル側部位置決め部材160、および後部位置決め部材166は、扉の上面136から外方向に延在し、前記扉の上面136の上部の周囲172に隣接して、離間した関係で配置され、扉の上面136の中央部分178の略周囲に配置されている。レチクル支持部154は、扉の上面136の上方の所定の高さ156にレチクル124を支持するように構成されている。レチクル側部位置決め部材160および後部位置決め部材166は、レチクルが、扉部106に関係しかつ図3に最も良く描かれているようにレチクル支持部154、レチクルの側部位置決め部材160、および後部位置決め部材166により限定されるレチクル受容領域168を実質的に占めかつその容積の境界を区切られるように、レチクル124の手動位置決めを案内する役目をし、レチクル支持部154上のレチクルの適切な横方向および後方の配置を確実にする。ガスケット184は、扉の上面136上の上部の周囲172に沿って輪状に配置される。好ましくは、扉部106およびキャリア外殻112はレチクル124を含む基板の形状と一致させる。
【0030】
次に、図2および図3を参照すると、扉部106は、該扉部106を通って延在し、扉の上面136上の第1開口部196、扉の下面142上の第2開口部202、および第1開口部196と第2開口部202とを連通する内周壁208により区画される中央開口190を有する。図2−3に示されている例示的な実施の形態では、第1および第2開口部196および202は、実質的に正方形の形状で、各々第1および第2領域212および214により特徴付けられる。内周壁208は、第1および第2開口部196および202の間において扉部106の側壁148とほぼ平行に延在する。内周壁208は、フィルタフレーム226が第1開口部196に対して実質的に垂直であるように、かつ扉の上面136とほぼ面一に位置されるようにフィルタフレーム226を確実に支持するのに適した周囲の棚部220を備えて構成されている。
【0031】
図2に描かれている実施の形態では、フィルタフレーム226は、本発明に係るフィルタ232が使用できる半剛体の成形されたプラスチック容器でもよい。フィルタフレーム226は、開口端248の周辺における周囲のフランジ242(代わりにリップとしても同定される)と、開口端248に従属し、かつフィルタ232を受容するようになっている空間262を限定する閉端252で終わるフィルタフレーム側壁258とを備えた実質的にハットの形状をしている。閉端252は、複数の孔264を限定する構造を有する。フィルタフレーム側壁258は、内周壁208上の周囲の棚部220に対する相補的な形状を有する肩部268を含む。フィルタフレームは、フランジ242が扉の上面136の上に位置しかつ肩部268が内周壁208の周囲の棚部220の上に確実に位置した状態で扉部106内に着脱可能に取り付けられるようにするため、扉の上面136上の第1開口部196を通って挿入されて中央孔190の中に隙間なく受容されるようにるように構成される。代わりの実施の形態では、弾性シールまたは例えば上記のガスケット184などのガスケットを、肩部268と周囲の棚部220との間に挟んで、フィルタフレーム226とフィルタ232との間の密封を提供することができる。
【0032】
本発明の1つの実施の形態では、第1開口部196の第1領域212は、レチクル124の第2のパターン表面128の表面領域129に実質的に比例して構成される。特定の実施の形態の1つの態様によれば、第1領域212は表面領域の少なくとも50%であり、更なる実施の形態では表面領域129の少なくとも60%であり、好ましくは、表面領域129の75%から100%の範囲内である。本発明の好ましい実施の形態では、第1領域212は実質的にレチクル受容領域168と同心である。さらに、組み立てられた構成において、即ち、キャリア外殻112が扉部106に合わされて、レチクル124がレチクル支持部154の上に支持されたとき、フィルタ232がその表面領域288を、密封された空間118内において第2のパターン表面128の少なくとも一部に対向した状態に配置されて、レチクルの周囲130が表面領域288の周囲289の上に重なるように、第1開口部196とレチクル支持部154の位置とが配置される。
【0033】
当業者ならば、表面領域288および第2のパターン表面128の他の有効な構成が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることは分るであろう。前記の有効な構成の全ては、密封された空間118と、レチクルキャリアのパージ、レチクルの処理、移送、搬送、および保管中に生成される拡散長と、レチクル124がレチクルキャリア100内に存在中に遭遇する他の状況とに部分的に基づき、第2のパターン表面128に対して表面領域288の範囲を最大にするように選択される。表面領域288は、第2のパターン表面128に隣接して配置される。本発明の方法によって表面領域288の範囲と場所とを選択することにより、密封空間118に存在するまたは進入する微粒子が、第2のパターン表面128上に拡散する代わりに、表面288の上に優先的に遭遇し定着する可能性が最大化される。当業者ならば、表面領域288の範囲は、フィルタ232への流体の進入を可能にする流通路の総数を表すことがわかるであろう。参照番号338に関連付けられた用語「高度表面領域」は、他方では、流体がフィルタ232の全体の厚み290を透過して流れるに伴う濾過が可能な全濾材の有効表面領域を意味する。有効表面領域はガスの吸収および化学反応を制御するものである。この点において、表面288は扉の上面136の大部分を超えて延在し得るので、本発明のフィルタ232が扉部106の構造的に重要な部材である点で、フィルタ232はSMIFポッドフィルタとは異なる。さらに、組み立てられた構成では、フィルタ232が密封された空間118を複数の孔264を通ってレチクルポッド100の外部の周囲雰囲気と流体連通させるように、基層276が閉口端252上に位置される。
【0034】
本発明の1つの実施の形態によれば、密封された空間118内の水分の濃度は、数ppbに近い濃度レベルを好ましくは維持する。例えば乾燥剤のような従来技術のアプローチを用いれば、密封された空間118内の水分濃度を、ほんの数ppm以内に制御できる。そのレベルの湿度制御は、密封された空間118を通って、例えば乾燥窒素ガスまたは乾燥アルゴンなどの非常に乾燥したガスを定期的に流すパージシステムにレチクルポッド100を連結することにより達成される。
【0035】
当業者ならば、非常に乾燥したパージガス、例えば乾燥窒素ガスおよび乾燥アルゴンガスを密封された空間内118への圧力下で注入することで、パージガスの少なくとも一部が、フィルタ232を通って、かつ、閉口端252を通って周囲の雰囲気に排出させられることが分かるであろう。レチクルキャリア100をパージする装置および方法は、米国特許第5,988,233号及び米国特許第5,810,062号に記載されており、これら2つの特許の全内容が全体として参照により本発明に組み込まれている。代わりの実施の形態では、密封された空間118は、パージディフューザ取付具を通ってパージガスが流れることにより加圧される。パージガスはフィルタ232を通って密封された空間118から排出される。一般的に、密封された空間118のパージにより、ガス流中に微量汚染物質を取り込むことにより、微量汚染物質が除去される。乾燥ガスによるパージも、フィルタ232を除湿する。圧力を加えたパージは、物理吸着媒体による濾材および微粒子を特に濾過する濾材に弱い力で結合された微粒子および他の汚染物質を除去することができる。実際には、パージは、汚染物質を吸収する能力を補充することによりフィルタ232を再生させる。当業者ならば、本発明のフィルタ232の能力が、消耗したフィルタ232を交換することによっても補充することができることは理解できるであろう。
【0036】
図2図4図4a、図5、および図6に描かれた1つの実施の形態によれば、ノズルインタフェース、またはパージポートアセンブリ350は一般的にディフューザ本体部352、ノズル受容部354、および任意に逆止弁アセンブリ356およびフィルタ357を含む。本体部352は一般的に側部のチャンネル状溝360を限定する胴体部358および上半球部362を含む。ディフューザ本体部352は、中空の内部空間364を限定する。複数のディフューザポート366は、上半球部362の片側に限定され、穴部として外表面368に形成された中空の内部空間364を通って延在する。ノズル受容部354は、一般的に下端374において弾性を有して可撓性の封止フランジ部372を一体で備えた脚部すなわち管状部370を含む。管状部として構成される脚部370は中空の内部空間376を限定する。入口すなわち開口部378はフランジ部372を通って内部空間376に至り延在する。フランジ部372は、管状部370に隣接しかつ一体の被支持フランジ部381と、被支持フランジ部381と一体かつ同心で半径方向外向の片持状フランジ部383とを含む。被支持部分372は、適切には1/4インチ(約0.64cm)から3/4インチ(約1.91cm)の直径d1を有し、片持状のフランジ部は、適切には3/8インチ(約0.95cm)から1インチ(約2.54cm)の直径d2を有する。
【0037】
ディフューザ本体部およびノズル受容部は、Hytrel(登録商標)(イーアイ・デュポン・デュ・ニューマス・アンド・カンパニー社(E.I. Dupont de Nemours and Company)のポリマー製品)などの弾性ポリマーにより形成される。エラストマーを含むPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの他の熱可塑性プラスチックも適している。
【0038】
図2に描かれているように、扉部106は、扉の上面136から扉の下面142まで貫通して延在する開口部400、402を限定する。各開口部400,402は、内向の周縁404を有する。胴体部358の底縁380は、丸みを帯びさせられるかまたは斜角を付けられて、扉の上面136から開口部400、402の中へのディフューザ本体部352の挿入が可能となっている。
【0039】
別個のパージポートアセンブリ350が、各開口部400、402を通って受容される。内向の周縁403は、側部の溝360に受容されて、前記パージディフューザアセンブリが開口内に定位置でシール状態で固定される。重要なことには、ディフューザポート366は、パージガスがレチクルの各側部の中間に導入され、パターン表面薄膜から離れる方向に向けられるように、側壁148に向かって外方向に向けられている。図4および図4aに描かれているように、封止挿入部354の脚部または管状部370は、下向きフランジ部372を備えたディフューザ本体部352の中空内部空間364内に封止状態で受容される。
【0040】
図7図9において、積み重ねられた状態に配置され、中央カラム504の周りを水平方向に旋回可能であって、底部の開口したポッド100への容易なアクセスを提供する複数のパージトレイ502を含むパージステーション500の実施の形態が描かれている。筐体503をステーションの閉じ込めを提供するために設けてもよい。各トレイ502は、一般的に、基板コンテナまたはレチクルポッド受容領域509を限定する溝507と、ポッド100のフィルタフレーム226に対応する中央の開口部508とを限定する平面状のデッキ部506を含む。1対のパージノズル510は、図4および図4aに描かれているように、トレイ502から上方向に延在し、管状部512を通って非常に乾燥したパージガスの供給源300.1と連結される。各パージノズル510は、上部の周囲のリップ514を有し、入口ポート518を備えた略ボウル形状の溝516を限定している。リップ514は、適切には被支持フランジ部分の直径d1より大きく、片持ち状フランジ部の直径d2よりも小さい直径d3を有する。トレイ502は第3のポッド当接点520をさらに含んでも良い。
【0041】
使用時には、ポッド100が、図4に描かれているように各フランジ部372がパージノズル510の1つに位置合わせされた状態でトレイ502上方に設置される。ポッド100がトレイ502上に載せられると、フランジ部372は、パージノズル510と係合し、図4aに描かれているように、ポッド100の重量により負荷を受けるので、角度まで上方に屈曲すなわち偏向する。本体部の下面503は、片持ち状フランジ部に対する湾曲した硬い係止部を提供する。第3のポッド当接点520は、ポッド100が、パージノズル510および第3のポッド当接点520でのみトレイ502上に支持されるように、扉の下面142の点に当接しても良い。好ましくは、手動力が加わったときの、フランジ部372を備えたパージノズル510の弾性係合には、好ましくは垂直に少なくとも約0.1インチ(約0.25cm)の許容誤差があり、フランジ372上に載せられるポッド100の重量により、ポッド100に下向きに力が加わった際に視覚的に認識できる垂直移動が依然としてなされ得る。
【0042】
次に、乾燥ガスが、管状部512を通って導入され、パージノズル510を通って流れ、入口開口部378を通ってパージディフューザアセンブリ350内に流れる。この乾燥ガスは、次に、ディフューザポート366を通って密封された空間118に導入される。ディフューザポート366は、レチクルから外側に離れる方向に向いているので、該ガスはどのパターン表面上にも突き当たらない。パージガスの一部は、フィルタ232を通って退出し閉口端252を通って周囲の雰囲気中に放出される。
【0043】
各パージディフューザアセンブリ350は、封止挿入部354の中空の内部空間376に受容される逆止弁アセンブリ356を備えて、一方向の流れの通過を可能にして、システム不使用時には、密封された空間118に気体または微粒子の汚染物質が進入または排出されるのを防止しても良い。上記で参照した米国特許第5,482,161号に記載されたようなスリットを備えたダイアフラム弁も、逆止弁アセンブリ356と共にまたは逆止弁アセンブリ356なしに使用することができる。これは、フィルタ232が備える濾材276、278、280、282および他の媒体の、レチクルキャリア100の外部の周囲雰囲気への露出を制限するための機械的手段である。
【0044】
当業者なら分るであろうが、当然、本SMIFレチクルポッドの多くの代わりの実施の形態が可能であり、これらは本発明の範囲内に含まれる。さらに、この発明の特徴は、ウェハーを保管するFOUPS(前開き統合型ポッド(front opening unified pods))などの他の基板コンテナにも応用できる。そのようなウェハーコンテナは米国特許第6,736,268号および米国再発行特許第38,221号に開示されており、これらの開示は参照によってここに組み込まれる。本発明に適用可能なこれらの基板コンテナは好ましくは約1/3リットルから10リットルまでの範囲の内部容積を有し、一般的かつ原則的にはポリカーボネートなどの硬いポリマーから成っている。上記の説明は多くの特定を含むけれども、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではなく、本発明の現在において好ましい実施の形態のいくつかの詳細な説明を単に提供するものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
図7
図8
図9