(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施するための形態に係る放射線源強度測定装置及び放射線源強度測定方法を、前立腺癌用の微小放射線源挿入装置に適用した例に基づいて、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施の形態に係る微小放射線源挿入装置1は、微小放射線源を前立腺(患部)に挿入する際に挿入対象の微小放射線源の強度を自動的に計測する機能を備えるものであり、
図1に示すように、本体10と、微小放射線源を患部に挿入するための挿入具20と、挿入具20内を移動中の微小放射線源からの放射線を測定し、微小放射線源の強度を求める測定部30と、から構成される。
【0023】
本体10と挿入具20とは、基本的に、従来のものと同一の構成を有しており、本体10は、支持部11と超音波プローブ装置12とテンプレート13とを備える。
【0024】
支持部11は、全体を支持する棒状、板状等の部材であり、高さ調整が可能な支持台・ステージ等に設置される。
【0025】
超音波プローブ装置12は、支持部11に載置され、先端部に超音波プローブ12aが配置された棒状の形状を有する。超音波プローブ装置12は、
図8に例示するように、術時には、先端部が砕石位にある患者の肛門から直腸に挿入される。超音波プローブ装置12の先端部には、超音波プローブ12aが配置されており、この超音波プローブ12aから超音波を発射し、その反射波を測定することで、患部及び挿入された微小放射線源等を画像化して出力する。
【0026】
図1に示すテンプレート13は、
図2に示すように、微小放射線源を体内に挿入する位置を規定するための複数の位置基準穴13aが形成されたプレートであり、支持部11に立設されている。テンプレート13は、術時には、
図8に示すように、砕石位にある患者の会陰部に押し当てられ、後述するガイド針21が、いずれかの位置基準穴13aを貫通して患者の患部に挿入される。なお、位置基準穴13aが形成された全ての位置に微小放射線源が挿入される訳ではなく、患者の状態に応じて、微小放射線源を挿入する位置が決定され、その位置の位置基準穴13aが使用される。
【0027】
一方、
図1に示す挿入具20は、
図3(a)に示すように、ガイド針21と、アプリケータ22と、アプリケータ22に装着される線源カートリッジ23と、から構成される。
【0028】
ガイド針21は、放射線を透過する金属、例えば、チタン合金やステンレススチールから構成され、微小放射線源が通過する1mm径程度の通路(貫通孔)を内部に有し、術時には、
図8に示すように、テンプレート13の位置基準穴13aを貫通してその先端が患者の患部に至るまで挿入される。
【0029】
アプリケータ22は、
図3(a)に示すように、線源カートリッジ23が装着される装着部24と、ユーザ(泌尿器科医等の医師)により手動で操作される操作部25を備える。装着部24には、
図3(b)に示すように、線源カートリッジ23が装着される。操作部25は、ユーザの操作に従って、装着部24に装着された線源カートリッジ23に内装されている微小放射線源26を、ガイド針21内を通して患者の患部に押し込む。
【0030】
微小放射線源26は、
図4に示すように、例えば、径0.8mm、長さ4.5mm程度のチタン合金等のカプセル26aと、カプセル26aに封入された短半減期、低エネルギー核種(例えば、
125I、
103Pd)26bとから構成される。
【0031】
図1に示す測定部30は、微小放射線源26がガイド針21内を移動している最中に、その微小放射線源26から放射される放射線の強度を測定するための装置である。測定部30は、本体11に装着された放射線センサ31と、信号処理回路32と、コンピュータ33とから構成される。
【0032】
放射線センサ31は、例えば、NaIシンチレーション測定器などから構成され、ガイド針21内の微小放射線源26から放射された放射線の量を所定のサンプリング周期で測定し、測定値を出力する。放射線センサ31は、複数のサンプリング周期を備え、コンピュータ33からの制御信号により、切り替え可能である。また、放射線センサ31は、ある程度の指向性を有し、本実施形態では、正面方向(ガイド針21の方向)に指向性があるものとする。
【0033】
放射線センサ31と微小放射線源26との位置関係は、ガイド針21の位置(ガイド針21が挿入されるテンプレート13の位置基準穴13aの位置)とガイド針21内での微小放射線源26の位置とに応じて変化する。放射線センサ31は、微小放射線源26が放射線センサ31のほぼ正面(指向性の方向)の所定範囲(測定域S)に位置するときに、放射線の正しい測定値が得られる。
【0034】
信号処理回路32は、
図5に示すように、増幅器321とA/D(アナログ−ディジタル)変換器322とを備え、コンピュータ33の制御に従って、放射線センサ31の出力信号を増幅し、A/D変換して、コンピュータ33に供給する。
【0035】
コンピュータ33は、パーソナルコンピュータ等から構成され、制御部331と、入出力I/F(インタフェース)332と、記憶部333と、入力部335と、表示部336と、放音部337とを備える。
制御部331は、プロセッサ等から構成され、放射線センサ31と信号処理回路32を制御し、放射線センサ31の出力信号を信号処理回路32を介して取りこみ、
図9及び
図12を参照して後述する放射線源強度測定処理及び測定パラメータ設定処理を実行する。
I/F(インタフェース)332は、制御部331と外部装置との間で信号を送受信する。具体的には、I/F(インタフェース)332は、制御部31からの制御信号を放射線センサ31と信号処理回路32に供給し、信号処理回路が出力する測定データを制御部331に供給する。
記憶部333は、RAM(Random Access Memory)、ハードデスク装置、フラッシュメモリなどから構成され、制御部331のワークメモリとして機能する。また、記憶部333は、制御部331が、
図9及び
図12を参照して後述する放射線源強度測定処理及び測定パラメータ設定処理を実行するためのコンピュータプログラムを記憶する。
【0036】
さらに、記憶部333は、
図6に例示するパラメータテーブル334を記憶する。パラメータテーブル334は、テンプレート13に形成された複数の位置基準穴13aの識別番号と、その位置基準穴13aにガイド針21を挿通して微小放射線源26を挿入する際に、その強度を測定するための測定パラメータと、を対応付けて格納する。
【0037】
各測定パラメータは、測定のサンプリング周期、微小放射線源26の強度の特定に使用するデータ数(サンプル数)、測定値(放射線強度)から微小放射線源26の強度を求めるための係数、等を含む。
【0038】
これらの測定パラメータは、放射線センサ31と微小放射線源26との距離Dの変動、微小放射線源26の移動速度の変動などを考慮して、どのような条件下でも、適切に測定が可能となるように設計された測定パラメータである。
【0039】
具体的には、放射線センサ31の位置は固定であるため、
図7に示す放射線センサ31と挿入対象の微小放射線源26が搬送されるガイド針21との距離Dは、挿入位置、即ち、使用する位置基準穴13aに応じて変化する。一般に、放射線量(放射線センサ31の測定値(カウント数C))は、微小放射線源26からの距離Dの2乗に反比例する(C∝1/D
2)。従って、距離Dの変化に伴って、測定値から線源強度への変換も調整する必要がある。また、放射線センサ31が放射線を適切に測定できるのは、微小放射線源26が放射線センサ31のほぼ正面の所定範囲(測定域)Sに位置するときのみである。しかし、微小放射線源26がどのタイミングでどの程度の期間、測定域Sに位置するかはユーザによって差があり特定できない。但し、通常、搬送速度は、5cm/秒〜20cm/秒である。一般に、搬送速度が遅い場合には、測定が容易であるが、搬送速度が高速になるに従って正確な測定が困難となる。従って、搬送速度が20cm/秒程度でも正確な測定が可能なように、計測パラメータを設定する必要がある。さらに、放射線のカウント数Cは、±√C程度の誤差が予定されている。このため、サンプリング周期とサンプル数をある程度確保して、誤差を抑える必要がある。
【0040】
パラメータテーブル334に設定される測定パラメータは、これらの条件を満たすように予め設計された値である。なお、測定パラメータの具体的な設定手法については、後述する。
【0041】
次に、上記構成の微小放射線源挿入装置1を用いて、微小放射線源26を患者の患部に挿入しつつ該微小放射線源26の強度を測定する動作を
図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0042】
まず、通常の微小放射線源挿入時と同様に、患者の患部の断層画像等を用いて、どの位置にどの順番で微小放射線源26を挿入するかを決定する。
【0043】
次に、決定した挿入位置に微小放射線源26を挿入するために使用するテンプレート13の基準位置穴13aを特定する。この例では、理解を容易にするため、第001の基準位置穴13a,第007の基準位置穴13a、第024の基準位置穴13a...第nの基準位置穴13aという順に使用するものとする。次に、
図11(a)に例示するように、記憶部333に、特定した基準位置穴13aの識別番号を含む作業テーブルを登録する。
【0044】
続いて、ユーザは、第001の基準位置穴13aにガイド針21を挿通し、さらに、患者の患部にガイド針21を挿入する。挿入の深さは、超音波プローブ装置12等により確認可能である。
【0045】
ユーザは、コンピュータ33に測定開始を指示すると共に使用している位置基準穴13aの識別番号001を入力する。
【0046】
続いて、ユーザは、線源カートリッジ23を挿入具20の装着部24に装着し、操作部25を操作して、微小放射線源26をガイド針21内を移動させて、患者の患部に挿入する。
【0047】
一方、コンピュータ33(の制御部331)は、測定開始の指示及び位置基準穴13aの識別番号001の入力に応答して、記憶部333に記憶された動作プログラムを実行することにより
図9に示す放射線源強度測定処理を開始し、まず、パラメータテーブル334より001番目のエントリの測定パラメータを読み出す(ステップS11)。例えば、
図6の場合、サンプリング周期として30ms、サンプル数3,係数1.02を読み出す。
【0048】
次に、制御部331は、ステップS11で読み出した動作パラメータに従って、放射線センサ31のサンプリング周期を設定する(ステップS12)。この例では、30msに設定する。放射線センサ31は、設定されたサンプリング周期で、放射線量を測定する。
【0049】
制御部331は、放射線センサ31から供給される測定値を順次取り込み、記憶部333に記憶する(ステップS13)。制御部331は、この動作を、挿入操作が終了したと判別するまで(ステップS14;Yes)まで、繰り返す。挿入操作の終了は、例えば、カウント数Cが一旦大きくなった後、相対的に十分小さい測定値が複数サンプリング周期連続したことで、判定することが可能である。
【0050】
この間に、ユーザは、操作部25を操作して、微小放射線源26をガイド針21を通して患者の患部に挿入する。
これにより、記憶部333には、
図10に例示するような時間と測定値との関係が記録される。
【0051】
次に、コンピュータ33は、微小放射線源26が測定域Sに位置している期間に取得された値を特定する(ステップS15)。特定手法は任意であるが、例えば、測定値のうちの最大のもの(ピーク値)を特定し、ピーク値の90%以上の値を有し、且つ、サンプリングタイミングが連続する一連の測定値を、微小放射線源26が測定域Sに位置している期間に取得された値として特定する。
図10のデータで例示すると、ピーク値P2の90%以上の値を有し且つサンプリングタイミングが連続するP1〜P5が、微小放射線源26が測定域Sに位置している期間に取得された値として特定される。
【0052】
次に、特定した測定値のうちから、測定パラメータに規定されているサンプル数だけ、測定値を抽出する(ステップS16)。このときは、測定域Sに位置している期間に測定された値であると特定した測定値のうちから、測定パラメータで特定されている個数だけ抽出する。この例では、サンプル数として3が設定されているので、5つのうち3つを抽出する。抽出の手法は任意であるが、例えば、最初と最後のものを除いて、P2〜P4の3つを抽出する。抽出する3つはサンプル期間が連続するデータである。
【0053】
次に、抽出した3個の測定値の平均値を求め、この平均値に測定パラメータ中の係数kを乗算して微小放射線源26の強度をk・平均値として求める(ステップS17)。この例では、係数1.02を平均値に乗算する。
【0054】
次に、求めた強度(実測強度)Iが、その微小放射線源26の公称(定格)強度との差(誤差)ΔIが、予め設定された許容誤差内か否かを判別する(ステップS18)。許容誤差は任意であるが、例えば、±10%程度を設定できる。
【0055】
誤差ΔIが許容誤差を超える場合(ステップS18;No)、制御部331は、表示部336と放音部337を駆動して、異常を警告する(ステップS19)。この際、実測強度が、公称強度より大きいのか、小さいのか、誤差ΔIがどの程度かが理解できるように報知する。医師は、報知内容を参照し、例えば、挿入した微小放射線源26の強度が公称よりも小さい場合には、隣接位置に他の微小放射線源26を挿入したり、隣接する微小放射線源26との間隔を詰める等の処理を行うことができる。また、挿入した微小放射線源26の強度が公称よりも大きい場合には、隣接する微小放射線源26との間隔を広げる等の処理を行うことができる。
【0056】
誤差ΔIが許容誤差内の場合(ステップS18;Yes)、制御部331は、実測強度、誤差等を報知する表示する(ステップS20)。
制御部331は、測定結果を、
図11(b)に例示するように、作業テーブルに登録し(ステップS21)、処理を終了する。
【0057】
以上で、1つの微小放射線源26を患部に挿入する共にその強度を測定する処理を終了したことになる。
【0058】
続いて、ユーザと制御部331とは、次の挿入位置、この例では、第007の位置基準穴13aについて、同様の処理を実行し、微小放射線源26の挿入と測定とを実行する。
以下、全ての挿入を終了するまで同様の動作を繰り返す。
こうして、挿入と測定とが並行し実行され、効率良く挿入と測定とを行うことができる。
全ての作業が終了すると、記憶部333には、
図11(c)に例示するように、作業テーブルが完成する。
なお、作業の途中で、挿入位置を変更・修正するような場合には、必要に応じて、入力部335を操作して、作業テーブルを修正してもよい。また、作業テーブルを表示部336に適宜表示することも可能である。
【0059】
次に、コンピュータ33の記憶部333に格納されたパラメータテーブル334に各測定パラメータを設定する方法の一例を説明する。この処理は、例えば、微小放射線源挿入装置1の使用開始時等に一度実行し、以後、適宜校正すればよい。
まず、強度が高精度に校正された校正済微小放射線源を用意する。
次に、放射線センサ31のサンプリング周期を、選択できる範囲内で十分短い期間に設定する。
【0060】
次に、コンピュータ33を操作して、記憶部333に記憶された動作プログラムを実行することにより
図12に示す測定パラメータ設定処理を起動する。コンピュータ33は、処理を開始すると、まず、テンプレート13の識別番号Nを001とする(ステップS31)。
【0061】
次に、ユーザは、テンプレート13の第Nの位置基準穴13aにガイド針21を装着する。続いて、リニアアクチュエータ等を使用して、想定される最大速度(通常、20cm/秒程度)で、少なくとも測定域Sを含む所定距離だけ校正済微小放射線源を移動させ、放射線センサ31で放射線強度を測定する。
【0062】
制御部331は、放射線センサ31から供給される測定値を順次取り込み、記憶部333に記憶する(ステップS32)。制御部331は、この動作を、校正済微小放射線源の移動が終了したと判別するまで(ステップS33;Yes)、繰り返す。これにより、記憶部333には、
図13に例示するような時間と測定値との関係が記録される。
【0063】
次に、コンピュータ33は、校正済微小放射線源が測定域Sに位置している期間に取得された測定値を特定する(ステップS34)。特定手法は任意であるが、例えば、測定値のうちの最大のもの(ピーク値)を特定し、ピーク値の90%以上の値を有し、且つ、サンプリング期間が連続する一連の測定値(例えば、
図13のSD)を、校正済微小放射線源が測定域Sに位置している期間に取得された値として特定する。特定した測定値のうち最初と最後の測定値を除外するようにしてもよい。また、サンプル周期×(測定値の数−1)≦LS/V(LSは測定域Sの長さ、Vは校正済微小放射線源の移動速度)となるように、測定値の数を抑えても良い。測定域Sは、例えば、校正済微小放射線源を低速(例えば、3cm/秒)で移動させつつ放射線センサ31で放射線の強度を測定することにより、容易に位置と長さを特定することができる。例えば、校正済微小放射線源を低速(例えば、挿入時の微小放射線源26の速度よりも十分に低速、例えば3cm/秒)で移動させつつ放射線センサ31の測定値をプロットし、最大値の95%程度の測定値が得られる距離を測定域Sの距離として特定できる。
【0064】
次に、サンプリング周期×(測定値の数−1)=校正済微小放射線源が測定域Sを通過するのに要する時間を有功に活用できるように、サンプリング周期とサンプル数を求める(ステップS35)。例えば、放射線センサ31の選択可能なサンプリング周期とサンプル数の積が、校正済微小放射線源が測定域Sを速度Vで通過するのに要する時間の範囲内で最大値となる組み合わせを選択する。
【0065】
次に、測定値の平均値AVを求め、この平均値AVで校正済微小放射線源の放射能(Bq)を除算して係数kを求める(ステップS36)。
次に、求めたサンプリング周期とサンプル数と係数kを識別番号Nに対応付けて、記憶部333内のパラメータテーブル334に登録する(ステップS37)。
【0066】
続いて、識別番号Nが最終値に達したか否かを判別し(ステップS38)、達していなければ(ステップS38;No)、識別番号Nを+1して(ステップS39)、処理を繰り返す。
【0067】
ユーザは、更新された識別番号で特定される位置基準穴13aにガイド針21を装着し、校正済微小放射線源を移動させて、同様の処理を行う。
一方、終了していれば(ステップS38;Yes)、測定パラメータ設定処理を終了する。
【0068】
なお、理解を容易にするため、識別番号Nを001から順番に更新して設定する例を示したが、識別番号Nの初期値と更新順序等は任意である。
なお、測定パラメータを設定する処理を、全挿入位置(位置基準穴13a)について実行する必要はなく、複数の挿入位置について実行し、他は補完法等により設定してもよい。
また、測定時に使用するコンピュータ33と測定パラメータ設定時に使用するコンピュータは同一である必要はない。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態によれば、挿入対象の微小放射線源26がガイド針21を移動中にその強度を自動的に測定するので、微小放射線源26の強度を効率よく測定することが可能となる。また、取り違えが発生している場合でも、容易に検出することができる。さらに、微小放射線源の移動速度は、施術者により大きな差があるが、だれが担当した場合でも、適切な測定が可能となる。
【0070】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態において、患部に挿入した微小放射線源26の数が増加すると、挿入された微小放射線源26からの放射線を無視できなくなる。このような、場合には、測定値は例えば
図14に示すようになり、微小放射線源26が近傍に存在しない状態でも一定量の放射線を検出してしまう。このため、各微小放射線源26に関し、
図9の放射線源強度測定処理の最初のステップS13で測定した、測定開始時点での測定値(環境放射線量)Iiniを、以後の放射線源強度測定処理のステップS13での各測定値から減算し、減算後の値を上述のステップS15以下の処理に使用すればよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、1種類の微小放射線源を患部に挿入する例を示したが、複数種(複数強度)の放射線源を挿入することも可能である。この場合、例えば、
図15に示すように、作業テーブルに、基準位置穴毎の挿入予定の微小放射線源26の強度を登録し、実測強度と登録されている挿入予定強度との差(誤差)が許容誤差を超える場合に、警告を発するようにしてもよい。
【0072】
測定パラメータの例として、サンプリング周期、サンプル数、係数kを例示したが、他の測定パラメータを追加してもよい。また、例えば、サンプリング周期を位置基準穴毎に設定し、サンプル数を全位置基準穴に共通とし、或いは、サンプリング周期を全位置基準穴に共通とし、サンプリング周期を位置基準穴毎に設定する等してもよい。
また、理解を容易にするため、放射線センサ31の測定値に係数kを乗算することで、微小放射線源26の強度を求めたが、他の処理、例えば、より複雑な演算を行って、その強度を求める等してもよい。
パラメータテーブル334を使用する例を示したが、測定パラメータをテーブル以外の形態で記憶しておいてもよい。また、作業テーブルを使用する例を示したが、作業テーブルを使用するか否かは任意である。
上記実施の形態においては、微小放射線源26の挿入位置を規定するためにテンプレート13(位置基準穴13a)を使用したが、挿入位置を調整できるならば他の手法を使用することも可能である。
また、警報又は報知を行う場合に満たすべき基準(条件)や警報及び報知の態様も任意である。例えば、基準を誤差の%で表現したが、例えば、許容誤差を±3Bqのように、強度の絶対値で定義してもよい。
【0073】
また、ガイド針21を用いて微小放射線源26を患部に導く例を示したが、他の任意のガイドを用いて微小放射線源26を患部に導いてもよい。この場合は、微小放射線源26がガイドに沿って移動する際に、その強度を測定すればよい。
【0074】
上述の各部の材質、サイズ等の数値、フローチャート、パラメータの種類等は例示であり適宜変更可能である。また、測定手法、測定パラメータの設定手法等についても、上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
【0075】
さらに、上記実施の形態においては、本願発明に係る測定装置と方法と前立腺に微小放射線源を挿入する挿入装置に適用した例を示したが、他の種類の癌に微小放射線源を挿入する挿入装置や挿入方法にも同様に本願発明を適用可能である。
【0076】
なお、上述の放射線源強度測定処理、測定パラメータ設定処理等は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、一般のコンピュータに上述の放射線源強度測定処理、測定パラメータ設定処理等を実行するためのプログラムを格納した媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM等)から該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するコンピュータシステムを構成することができる。また、これらのプログラム、プログラムを格納した記録媒体を頒布することも可能である。