特許第5677586号(P5677586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5677586扁平形状の超小型電子パッケージを含む電子アセンブリ、および扁平形状の超小型電子パッケージの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677586
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】扁平形状の超小型電子パッケージを含む電子アセンブリ、および扁平形状の超小型電子パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20150205BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 25/10 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20150205BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H01L23/12 501S
   H01L23/12 501B
   H01L23/40 C
   H01L25/10 Z
   H05K1/18 J
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-542041(P2013-542041)
(86)(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公表番号】特表2013-546191(P2013-546191A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011061338
(87)【国際公開番号】WO2012074783
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2013年6月18日
(31)【優先権主張番号】12/959,515
(32)【優先日】2010年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マヌシャロウ、マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナラ、ラヴィ
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−209689(JP,A)
【文献】 特開2005−101137(JP,A)
【文献】 特開2010−098225(JP,A)
【文献】 特開2007−311688(JP,A)
【文献】 特開2007−287803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/14、
H01L 25/00−25/16、
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリであって、
扁平形状の超小型電子パッケージと、
導電性の配線構造アレイを用いて、前記扁平形状の超小型電子パッケージに取り付けられた基板と
を備え、
前記扁平形状の超小型電子パッケージは、
第1面と、これに対向する第2面とを有する超小型電子ダイと、
前記超小型電子ダイの少なくとも一部の周りに構築されたパッケージ基板と
前記パッケージ基板の前記第1面に設けられた前記導電性の配線構造アレイと
を有し、
前記パッケージ基板は、
前記超小型電子ダイの前記第1面が位置する前記パッケージ基板の第1面を形成し、内部に複数のパッドが形成された電気的絶縁層を含み、
前記配線構造アレイのうちの個々の配線構造は、第1端と、これに対向する第2端とを有し、
前記第1端は、前記複数のパッドのいずれかに接続され
前記基板は、開口部を内部に有し、
前記基板は、前記電子アセンブリの底面を画定し、前記電気的絶縁層の前記複数のパッドは、前記電子アセンブリの上面を画定し、
前記底面は、第1の側と、これに対向する第2の側とを有し、前記上面が、前記底面の前記第2の側に位置しており、
前記超小型電子ダイの前記第1面は、前記底面の前記第1の側に位置し、前記基板の前記開口部から突出している、
電子アセンブリ。
【請求項2】
前記扁平形状の超小型電子パッケージ、前記超小型電子ダイの前記第1面に隣接するように取り付けられた冷却デバイスをさらに備える、
請求項1に記載の電子アセンブリ。
【請求項3】
前記パッケージ基板は、前記超小型電子ダイに電気的に接続され、少なくとも一部が前記電気的絶縁層の中に位置する導電層を含む請求項1または請求項2に記載の電子アセンブリ。
【請求項4】
前記パッケージ基板は、前記パッケージ基板の第2面を形成する、前記導電層の上に設けられた保護層を含み、前記電子アセンブリの前記上面と前記パッケージ基板の前記第2面とは同一面である、請求項3に記載の電子アセンブリ。
【請求項5】
前記保護層から露出されたパッケージオンパッケージパッドを含む請求項4に記載の電子アセンブリ。
【請求項6】
超小型電子素子用のパッケージの製造方法であって、
犠牲基板に取り付けられ、第1面と、これに対向する第2面とを有するキャリアを提供する工程と、
超小型電子ダイを前記キャリアの前記第1面に取り付ける工程と、
配線構造用の複数のパッドを、前記キャリアの前記第1面に形成する工程と、
前記キャリアおよび前記超小型電子ダイの上に誘電体層を形成する工程と、
前記超小型電子ダイに電気的な接続を形成する工程と、
前記電気的な接続の上に保護層を形成する工程と、
前記キャリアと前記犠牲基板とを除去する工程と
を備え
前記キャリアを提供する工程は、
銅製の第1層と、銅製の第2層と、前記銅製の第1層および前記銅製の第2層の間のバリア層とを含む銅製の多層膜を提供する工程を有する、製造方法。
【請求項7】
超小型電子素子用のパッケージの製造方法であって、
犠牲基板に取り付けられ、第1面と、これに対向する第2面とを有するキャリアを提供する工程と、
超小型電子ダイを前記キャリアの前記第1面側に取り付ける工程と、
配線構造用の複数のパッドを、前記キャリアの前記第1面に形成する工程と、
前記キャリアおよび前記超小型電子ダイの上に誘電体層を形成する工程と、
前記超小型電子ダイに電気的な接続を形成する工程と、
前記電気的な接続の上に保護層を形成する工程と、
前記キャリアと前記犠牲基板とを除去する工程と
を備え、
前記超小型電子ダイを前記キャリアに取り付ける工程は、
前記キャリアの中にキャビティを形成する工程と、
前記キャビティの中に前記超小型電子ダイを取り付ける工程と
を有する、製造方法。
【請求項8】
前記複数のパッドの上に配線構造を形成する工程をさらに備える、
請求項6または請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記超小型電子ダイの厚み、および、前記超小型電子ダイを前記パッケージの中に埋め込む深さの少なくとも一方に基づいて、前記銅製の第1層の厚みを選択する工程をさらに備える、
請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記超小型電子ダイを取り付ける工程は、
前記超小型電子ダイを前記誘電体層の中に埋め込む工程を有する、
請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記超小型電子ダイを取り付ける工程は、
前記キャリアの中にキャビティを形成する工程と、前記キャビティの中に前記超小型電子ダイを取り付ける工程とを有する、
請求項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記超小型電子ダイに前記電気的な接続を形成する工程は、
前記超小型電子ダイの導電構造に至るビアを形成する工程と、
前記ビアを導電材料でめっきする工程と、
前記誘電体層の中に金属層を形成して、前記ビアの中の前記導電材料に電気的に接続する工程と
を有する、請求項6から請求項11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
接続サイトを露呈させるために前記保護層の中に開口部を形成する工程をさらに備える、請求項6から請求項12のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示する実施形態は、概して、超小型電子素子に係り、より詳しくは、扁平形状の超小型電子パッケージに係る。
【背景技術】
【0002】
計算用途向けのダイなどの超小型電子素子はパッケージに収容されており、パッケージには、他の機能とともに、ダイその他の素子を収容して守り、さらには、素子をプリント基板または類似した構造に電気的に接続する機能を有する。これまで長い間の超小型電子部品における小型化の傾向は、パッケージされた部品のみならずパッケージ化にも影響があったが、この傾向は、移動用途向けのデバイスに顕著であった。より具体的には、移動用途においても、その他の市場分野においても、パッケージの全高(z高と称されることもある)を低く抑えることが重要な要件となってきている。
【0003】
開示される実施形態は、以下の詳細な記載を、添付図面とともに読むことで、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の実施形態における扁平形状の超小型電子パッケージの断面図である。
図2】本発明の実施形態における扁平形状の超小型電子パッケージの断面図である。
図3】本発明の実施形態における扁平形状の超小型電子パッケージの断面図である。
図4】本発明の実施形態における扁平形状の超小型電子パッケージの断面図である。
図5】本発明の一実施形態におけるPOPアーキテクチャを可能とする超小型電子パッケージの断面図である。
図6】本発明の一実施形態における、電子アセンブリの分解概略図である。
図7】本発明の一実施形態における、電子アセンブリの断面図である。
図8】本発明の別の実施形態における、電子アセンブリの断面図である。
図9】本発明の一実施形態における、超小型電子素子のパッケージの製造方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態における製造プロセスの一工程における超小型電子パッケージの一部の断面図である。
図11】本発明の一実施形態における製造プロセスの様々な工程の超小型電子パッケージの一部の断面図である。
図12】本発明の一実施形態における製造プロセスの一工程における超小型電子パッケージの一部の断面図である。
図13】本発明の一実施形態における製造プロセスの一工程における超小型電子パッケージの一部の断面図である。
図14】本発明の一実施形態における製造プロセスの一工程における超小型電子パッケージの一部の断面図である。
図15】本発明の一実施形態における製造プロセスの一工程における超小型電子パッケージの一部の断面図である。
図16】本発明の一実施形態における製造プロセスの一工程における超小型電子パッケージの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図示を簡潔及び明瞭にすべく、図面は、構造の概略を示し、公知の特徴部および技術の説明および詳細は省くことで、本発明に関して説明する実施形態の説明を不当にあいまいにしないようにしている。さらに、図面の部材は、必ずしも実寸に即して表されているわけではない。図面の部材の一部を、サイズが他の部材よりも強調して描くことで、本発明の実施形態の理解を促している場合がある。一部の図面は、理解を助けるために理想的な形で示されている場合がある(たとえば、直線、鋭角、平行な平面で図示されている構造が、現実的には、より非対称で、秩序だっていない場合もありうる)。異なる図面間の同じ参照番号は、同じ部材を示しており、同様の参照番号は、いつもではないが、類似部材を示している場合が多い。
【0006】
「第1」「第2」「第3」「第4」といった用語が明細書および請求項で利用されている場合には、これらの用語は、同様の部材の間を区別するために利用されているのであり、必ずしも特定のシーケンシャルな、または時系列の順序を示しているわけではない点に留意されたい。利用される用語は、適切な状況においては交換可能であり、ここで説明する本発明の実施形態は、たとえば、ここに記載された順序以外の順序で行うこともできる。同様に、ここに記載する方法が、一例のステップ、工程を含むと示されている場合であっても、この工程の順序は、必ずしもこれら工程を実行可能な唯一の順序ではなく、述べられる工程の一部を省く、述べられていない他の一定の工程を方法に加える、の両方または片方を行うことも可能である点に留意されたい。さらに、ここで利用される「備える」「有する」「含む」等の表現は、非包括的な包含を意味しており、リストされる部材を含むプロセス、方法、物品、または装置が、必ずしもこれらリストされる部材に限定されず、リストには明示的に含まれていない、またはこれらプロセス、方法、物品、または装置に潜在的に含まれうる部材を含んでもよいことを意味している。
【0007】
本発明の一実施形態で、「左」「右」「前」「後」「上部」「底部」「上」「下」等の用語が明細書および請求項で利用されている場合、これらの用語は、説明を目的として利用されているのであり、そうではないと明示されている場合、または文脈からそうではないとおかしい場合を除き、必ずしも永久的な相対的位置関係を示しているわけではない。利用されるこれらの用語は、適切な状況下においては入れ替えることができる。たとえば、説明される本発明の実施形態を、図示されていたり説明されていたりする向きとは異なる向きで実行することもできる。ここで利用される「連結」という用語は、電気的または非電気的に直接または間接に接続されるものとして定義される。本文書において、物体同士が「隣接」している、という表現は、その言い回しの利用されている文脈に応じて、物理的に互いに接触している場合、互いの非常に近くにある場合、または、互いと同じ一般的な領域または面積の範囲の中にある場合のいずれかであってよい。「一実施形態」という言い回しが利用されている場合、必ずしも同じ実施形態のことを言及しているわけではない。
【0008】
本発明の一実施形態では、第1面と、これに対向する第2面とを有する超小型電子ダイと、超小型電子ダイの少なくとも一部の周りに構築されたパッケージ基板とを備える扁平形状の超小型電子パッケージが提供される。パッケージ基板は、パッケージ基板の第1面を形成する電気的絶縁層と、さらに、超小型電子ダイに電気的に接続された導電層と、またさらに、パッケージ基板の第2面を形成する、導電層の上に設けられた保護層と、を有する。超小型電子ダイの第1面は、パッケージ基板の第1面に位置している。電気的絶縁層の内部には、複数のパッドが形成されている。超小型電子パッケージはさらに、パッケージ基板の第1面に設けられた導電性の配線構造アレイを備える。配線構造アレイのうちの個々の配線構造は、第1端と、これに対向する第2端とを有し、第1端は、複数のパッドのいずれかに接続される。
【0009】
パッケージの高さを低くすることは、移動機器分野を含む様々な市場分野において益々重要になってきている。本発明のいくつかの実施形態では、既存の解決法では達成があまり見込めないパッケージの高さを提供する、BBUL(bumpless build-up layer)技術を利用して形成される逆パッケージ構成を設けている。特定の実施形態では、以下で詳述するように、ダイをパッケージのダイと同じ側のボールグリッドアレイ(BGA)パッドにルーティングされて(routed out)、ダイを、BGAパッドに取り付けられているBGAボールが画定する空間に配置する。本発明の実施形態は、受け身型の冷却で十分な、比較的バンプの数が少なく、比較的低い電力要件のダイに適しているが、他の実施形態では、比較的バンプの数が多く、比較的高い電力要件の(したがって、よりロバストな熱管理の解決方法が必要となる)ダイに適していたり、このようなダイに最適化されていたりする場合もある。
【0010】
図面を参照すると、図1から図4は、本発明の実施形態における扁平形状の超小型電子パッケージ100の断面図を示す。図1に示すように、超小型電子パッケージ100は、表面111とこれに対向する表面112とを有する超小型電子ダイ110を含む。パッケージ基板120は、超小型電子ダイ110の少なくとも一部の周りに設けられており、電気的絶縁層121、超小型電子ダイ110に(ビア129を用いて)電気的に接続されている導電層122、および、導電層122の上の保護層123を含む。図では導電層が1層のみ示されているが、実施形態によっては、パッケージ100が、公知のプロセスに従って形成され、相互接続された導電層を複数含んでもよい。その場合には、保護層123は、最上/最後の金属層の上に形成されてよい。一例では、これらの導電層が銅その他の金属層であってよく、セミアディティブ(SAP)法等を利用して形成することもできる。保護層は、電気的短絡を防ぎ、導電層を形成する銅その他の材料の腐食を防ぐことで下に設けられている導電層を保護して、これら材料を素子(element)から守る。一例では、保護層123がはんだレジスト等を含んでよい。
【0011】
電気的絶縁層121(その底面は、パッケージ基板120の側面126を形成している)の内部には、複数のパッド130が形成されている。反対側126に配置されているパッケージ120の側面127は、保護層123の上面により形成されている。超小型電子ダイ110の表面111は、パッケージ基板の側面126に位置している。
【0012】
超小型電子パッケージ100は、さらに、パッケージ基板120の側面126に位置している導電性の配線構造のアレイ140を含む。導電性の配線構造のアレイ140は、ボールグリッドアレイ(BGA)ボールであってよく、これは、パッド130がBGAパッドであってよいことを意味している。または、配線構造が、はんだグリッドアレイ(SGA)ボールであってもよい。アレイにおける個々の配線構造はそれぞれ端部141および反対の端部142を有し、端部141はパッド130の1つに接続されている。配線構造140の端部142は、パッド130から距離155の位置にある平面150を定義している。ダイ110の表面111は、パッド130から第2の距離に位置している。一実施形態では、第2の距離は、距離155より短く、別の実施形態では、第2の距離が距離155より長い。これら2つの実施形態のうち、前者の実施形態が図1に示すものに類似していてよい。この前者の実施形態では、ダイが、従来のアーキテクチャにみられるような、保護層123の上に取り付けられているのではなくて、配線構造140が画定する領域または空間の中に位置しており、この構成によって、本発明の実施形態の好適な成果物である扁平形状のパッケージが形成される。
【0013】
上述した2つの実施形態のうち、後者の実施形態(つまり、第2の距離が距離155より長い実施形態であって、言い換えると、ダイ110の表面111が平面150の下に延びている実施形態)は、図2に示すように、ダイの厚みを大きくすることで、達成することができる。または、様々なパッケージ基板の厚みを操作すること、および、(比較的薄い)ダイをパッケージ基板に設けるレベルを操作すること、の片方または両方により、図1に示すものに類似した厚みを有するダイを利用しても、達成することができる。この後者の実施形態では、z高が図1の実施形態より大きいが、後で説明するように、このほうが熱管理機能面では有利な場合もある。
【0014】
通常、BBULの環境にあるパッケージ基板は、一般的に、ダイだけでなく、パッケージ全体を含むものとして考えられる。当業者であれば理解するように、BBUL技術は、パッケージ基板の表面に取り付けられるのではなく、パッケージの基板の内部に埋め込まれたダイに関するものである。BBUL技術では、複数のビルドアップ層をダイの周りに設けることで、フリップチップバンプまたはその他の外部ダイ取り付けメカニズムが不要となる。
【0015】
BBUL技術の他の特徴に、ダイを埋め込む深さを調節することができる、という点がある。本発明の実施形態では、ダイの埋め込み深さを調節することができる(方法は後述する)ということは、超小型電子ダイ110を、パッケージ基板120の中の一定の基準点に対する様々な位置に設けることができる、ということを意味する。例えば、パッド130が画定する平面を、超小型電子ダイ110の位置を画定する基準点として利用することができる。従って図1の参照に戻ると、パッド130を利用して、電気的絶縁層121の中の平面160を画定することができる。そして、図示されているように、配線構造140が平面160の161側に設けられ、保護層123が平面の他の側(例えば162側)に設けられる。
【0016】
基準となるフレームを画定したところで、以下で超小型電子パッケージ100の様々な実施形態を説明する。第1の実施形態では、超小型電子ダイ110の表面111が、平面160の161側にある。本実施形態(ここでは「部分的に埋め込まれた」実施形態と称する)の一例を、図1および図2に示す。第2の実施形態では、超小型電子ダイ110の表面111および表面112が、両方とも平面160の161側に位置している。本実施形態(ここでは「完全に外側にある」または「埋め込まれていない」実施形態と称する)の一例を、図3に示す。第3の実施形態では、超小型電子ダイ110の表面111(表面112とともに)が、平面160の162側に位置している(または平面160自身にある)。本実施形態(ここでは、「完全に埋め込まれている」と称する)の一例を、図4に示す。
【0017】
前述した実施形態のいずれか、またはすべてが、扁平型の超小型電子パッケージの利点をもつことができる。パッケージオンパッケージ(POP)構成をとすることにより、さらなる利点も達成される可能性もある。POPアーキテクチャは、一部には利用空間が節約できたり、製造面で利点があったりすることから、モバイルデバイス等の一定のカテゴリ―の製品において利用が増えてきている重要な技術の1つである。本発明の実施形態では、後述するようにPOPアーキテクチャが利用可能である。
【0018】
図5は、本発明の一実施形態におけるPOPアーキテクチャを可能とする一実施形態の超小型電子パッケージ100の断面図である。図5に示すように、保護層123は、パッケージオンパッケージパッド570を露呈させるために(標準的なリソグラフィー技術を利用して)切り開かれてよい。これらのPOPパッドは、BGAパッド130に直接接続されるものとして示されているが、代わりに、基板の中のルーティングを利用してダイ110に接続されてもよい。パッド570は、POP構成の中の超小型電子パッケージ100に積層されるメモリモジュール等(不図示)等の上部パッケージの取り付け点として利用されてよい。
【0019】
図6は、本発明の一実施形態における電子アセンブリ600の分解概略図であり、図7は、本発明の一実施形態における電子アセンブリ600の断面図である。電子アセンブリ600は、扁平型の超小型電子パッケージ100を含む。図6では、パッケージ100が、前の図の部材の殆どが省かれた一般的ブロックとして表されている(配線構造140の一部は示されている)。電子アセンブリ600は、さらに、パッケージ100が取り付けられる基板680も含んでいる。(明確化のために、パッケージ100は、基板680の上に懸架されており、破線が取り付け位置の場所を示している。)取り付けは、公知の技術を利用して、配線構造140を対応するパッド681(基板680上に位置している)に接触させて、配線構造140にリフロー処理を行うことで、パッケージと基板との間に電気的な接続を形成する。
【0020】
図示されている実施形態では、基板680が開口部682を有している。開口部は、基板を完全に貫通しているので、基板の片側から他の側に、物体を(開口部を通して)基板の中心に通すことができる。この構成の現実的な利点は、後段でも詳述するが、高電力(またはその他の)用途においては、熱管理構造(たとえばヒートシンク)を、超小型電子ダイ110に接触させたり、または、ここからの放熱を手助けさせたりすることができる点である。この利点は、基板680が開口部を有さない構成では、熱管理構造をダイに接触させるために十分な空間をとることができないため、生じえない。
【0021】
基板680が、電子アセンブリ600の底面601を画定しており、電気的絶縁層121のパッド130が、電子アセンブリの上面602を画定している。パッド130および層121は、図1から図5に示されているが、図6には示されていない。上面602は、少し違う文脈で上述した平面160と少なくとも大体同等である。同様に、底面601が、少し違う文脈で上述した平面150と少なくとも大体同等である。図示したように、底面601は、691側と692側とを有しており、上面602は、底面601の692側に位置している。
【0022】
一実施形態では、超小型電子ダイ110の表面111が、底面601の691側に位置しており、基板680の開口部682から突出している。この実施形態の一例は、図7に示されている。さらに図7には、パッケージ100に冷却デバイス710が、ダイ110の111面に隣接するように取り付けられている様子も示されている。冷却デバイス710は、ヒートシンク、熱拡散器、マイクロチャネル、その他、適切な熱管理構造であってよい。
【0023】
別の実施形態では、超小型電子ダイ110の表面111が、底面601の692側に位置している。図8に示すこの実施形態では、ダイ110が開口部682を貫通していない。その代りに、冷却デバイス710またはその少なくとも一部が、基板680とパッケージ100とが連結された後に、691側から開口部682内を通されて、底面601の692側に位置している。(その代わり、冷却デバイス710は、パッケージと基板とが取り付けられる前に、パッケージ100に取り付けてもよい。)
【0024】
図9は、本発明の一実施形態における、超小型電子素子のパッケージの製造方法900を示すフローチャートである。一例では、方法900は、最初に図1に示した超小型電子パッケージ100に類似した超小型電子パッケージを形成する。ウェハレベルまたはパネルレベルで加工することができる。方法900はさらに、図10から図16に示されており、図10から図16は全て、本発明の一実施形態における製造プロセスの様々な工程における超小型電子パッケージ1000の一部の断面図である。これら図面は片側の製造しか示していないが、少なくとも一部の実施形態では、連続して、両面に対する製造工程を並列して行うこともできる。両面に対する並列加工処理は、図10から図13に示すものとともに、その鏡面対称な画像を含んでよく、これら両面の間に犠牲コアが含まれてよい。
【0025】
方法900の工程910では、第1面とこれに対向する第2面とを有するキャリアを提供して、犠牲基板に取り付ける。一例として、キャリアは図10に示すキャリア1005であってよい。キャリアの第1面は、キャリア1005の面1006に類似したものであってよく、キャリアの第2面は、キャリア1005の面1007に類似したものであってよい。一実施形態では、キャリアは銅製の膜などであってよい。別の例では、犠牲基板が、これも図10に示されている基板1015に類似したものであってよく、剥がすことができるコアの形態であってよい。犠牲基板でこの部分が、製造中に加工可能であってよい。
【0026】
一実施形態では、工程910が、銅製の(または別の適切な材料からなる)第1層と、銅製(または別の適切な材料からなる)第2層とからなり、バリア層が、第1層と第2層との間に設けられた、銅製の多層膜を提供する。一例では、第1層、第2層、および、バリア層が、それぞれ、図10に示されている層1091、層1092、および、層1093にそれぞれ類似していてよい。バリア層は、たとえば、ニッケルまたは別の適した金属、ビルドアップ膜、はんだレジスト、ドライフィルムレジスト、その他の、エッチストップとして機能できる、またはダイを載置することができる平坦な表面を画定することができる材料を含んでよい。
【0027】
方法900の工程920では、キャリアの第1面に超小型電子ダイを取り付ける。一例では、超小型電子ダイは、最初に図1に示した超小型電子ダイ110に類似したものであってよい。別の例では、超小型電子ダイが図10に示す超小型電子ダイ1010に類似していてよい。図10に示す実施形態では、工程920が、ダイを、変更されていないキャリア1005に取り付けることを含んでよく、このキャリア1005は、ほぼ図10に示す形態であってよい。別の実施形態では、工程920が、キャリアの中にキャビティを形成して、超小型電子ダイをキャビティの中に設置することを含んでよい。この実施形態が図11に示されており、この図では、パッケージ1000が、キャリア1005の1006面にキャビティ1110を有しており、キャビティ1110の中にダイ1010が設けられている様子を示している。
【0028】
一例では、キャビティは、当技術分野で公知の技術を利用してキャリアに積層されているドライフィルム層をパターニングすることで形成することができる。パターニングには、キャリアの第1層からバリア層までを全て除去する公知のエッチング処理が含まれてもよい。(したがっては第1層の厚みは、少なくとも部分的には、キャビティの深さになる。)別の例として、ダイは、キャビティに取り付ける前にダイの裏面にダイ裏面接着フィルム(DBF)を予め塗布する方法または類似した方法によって、接着剤をキャリアに塗布することにより取り付けることもできる。適宜、DBFには、金属粒子(銅または銀)を加えて、熱放逸特性を向上させることもできる。
【0029】
ダイをパッケージ基板に埋め込む深さは、少なくとも一部には、銅製の第1層の厚み、または、その内部の対応するキャビティの深さに応じて決定されてよい。(この構想は、関連する構造の詳細を説明した後で詳述する。)したがって一実施形態における方法900は、さらに、超小型電子ダイの厚み、および、超小型電子ダイをパッケージの中に埋め込む深さのうち少なくとも一方に基づいて、銅製の第1層の厚みを選択することを含む。
【0030】
方法900の工程930では、キャリアの第1面に配線構造用のパッドを形成する。一例では、パッドは、最初に図1に示したパッド130に類似したものであってよい。別の例では、パッドは、図11に示したパッド1130に類似したものであってよい。一部の実施形態ではパッドには銅が含まれてもよく、(不図示の)所望の表面仕上げ加工が施されてもよい。一実施形態では、金を利用する表面加工(gold-based surface finish)を施してよい。
【0031】
方法900の工程940では、キャリアおよび超小型電子ダイの上に誘電体層を形成する。一例では、誘電体層は、最初に図1に示した電気的絶縁層121に類似したものであってよい。別の例では、誘電体層は、図12に示した誘電体層1221に類似していてよい。一実施形態では、誘電膜を積層して(たとえばパネル全体に)、ビルドアッププロセスの残りの工程における基準平面(level plane)とすることもできる。キャリアは、積層前に、粗面処理(roughened)を施されて、誘電膜に接着しやすくしてもよい。
【0032】
方法900の工程950では、超小型電子ダイへの電気的な接続を形成する。一実施形態では、工程950は、超小型電子ダイの導電構造に(landing on)ビアを形成して、ビアに導電材料をめっきして、誘電体層の中に金属層を形成して、これをビアの中の導電材料に電気的に接続することを含む。図12では、これらの特徴部が、ビア1229、導電構造1217、および、金属層1222として観察される。特定の実施形態では、SAP技術を利用して、ダイ上のパッドのビア、および、パッケージの基板部分の金属製の第1層をめっきする。(不図示の)別の層を利用して、ダイのバンプからBGAパッドへのルーティングを行うこともできる。この別の層を利用するか否かは、必要な入出力バンプ数、配電が可能か否か、および、配置の制約その他の要素を考慮して決定される。
【0033】
方法900の工程960では、電気的な接続の上に保護層を設ける。一例では、保護層は、最初に図1に示した保護層123に類似したものであってよい。別の例では、保護層は、図13に示した保護層1323に類似していてもよい。
【0034】
ダイをパッケージ基板に埋め込む深さが、少なくとも一部には、銅製の第1層の厚み、または、その内部の対応するキャビティの深さに応じて決定されてよい、ということは上述した。例えば、キャビティを形成せず、ダイを図10に示すように設ける場合には、形成される構造(パッケージの製造の完了後)は、ここでは、完全に埋め込まれた構成と称するものとなり、これは、ダイが、配線構造パッドと保護層との間におおまかに位置している誘電層の中に位置することを意味する。この構成の一例は、図4に示されている。したがって、超小型電子ダイをパッケージに完全に埋め込む、ということは、少なくとも1つの実施形態では、超小型電子ダイをキャビティのないキャリアに取り付けることを意味する。他方で、キャビティを形成して、ダイを図11に示すように設ける場合には、形成される構造(パッケージ製造の完了後)は、ここでは、部分的に埋め込まれた構成と称するものであり、これは、ダイの1つの表面が、配線構造のパッドの片面に位置して、第の別の表面が、配線構造のパッドの別の面に位置していることを意味する。この構成の例は、図1および図2に示されている。したがって、超小型電子ダイをパッケージに部分的に埋め込む、ということは、少なくとも1つの実施形態では、超小型電子ダイを、特定の深さをもつキャビティの内部のキャリアに取り付けることを意味する。深さが十分大きい場合、および/または、ダイの厚みによっては、ここで埋め込まれていない構成と称されるものとなる場合もある(図3を参照)。
【0035】
方法900の工程970では、キャリアおよび犠牲基板を除去する。一例では、この除去工程は、エッチングプロセスを利用して行われてよい。この工程が完了すると、残りの構造を逆にして、図14に示すようなパッケージ1000が出来上がる。
【0036】
方法900の工程980では、パッドの上に配線構造を形成する。この工程は、標準的なボールの取り付けプロセスを利用して行うことができる。一例では、配線構造が、最初に図1に示した配線構造140に類似していてよい。別の例では、配線構造が、図15に示す配線構造1540に類似していてよい。
【0037】
方法900の、随意に行われてよい工程990で、保護層に開口部を形成して、パッケージの接続サイトを露呈させる。接続サイトは、たとえば、POPアーキテクチャ等の別の超小型電子パッケージを取り付けることができる接続点として利用することができる。一例では、接続サイトは、図5に示すパッケージオンパッケージパッド570に類似したものであってよい。別の例では、接続サイトは、図16に示す接続サイト1670に類似したものであってよい。保護層の開口部は、たとえば、これも図16に示されている開口部1671に類似したものであってよい。
【0038】
本発明を特定の実施形態を参照して記載してきたが、当業者には、本発明の精神または範囲を逸脱せずに様々な変更を行うことができることは明らかである。本発明の実施形態の開示は、本発明の範囲の例示であり、限定として捉えられるべきではない。本発明の範囲は、添付請求項の範囲によってのみ限定される。例えば、当業者には、ここに記載する超小型電子パッケージおよび関連する構造および方法が、様々な実施形態で実装されることが明らかであり、これら実施形態のいくつかの前述した説明は、必ずしもすべての可能性のある実施形態の完全な説明ではない場合もある点を理解する。
【0039】
加えて、別の利点、他の有利な点、および、解決法も、特定の実施形態に関して記載された。これらの利点、有利な点、および、解決法、並びに、これら利点、有利な点、または解決法を生じさせる、またはより顕著に示す関連する要素(1または複数)は、請求項のいずれかまたはすべての重要な、必須の、または本質的な特徴または要素として捉えられるべきではない。
【0040】
さらに、ここに開示した実施形態および限定が、(1)請求項には明示的に請求されていない、および、(2)要素であったり、要素を表す可能性のある潜在的な均等物であったり、および、均等論における請求項の限定である場合、これら実施形態および限定は、公に捧げたものと理解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図16