(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子の発光層の中心と前記凹部の上端を結ぶ線と前記凹部の光軸とがなす角βが、前記凹部の上面に配置された前記封止部材または前記透光性部材の表面における全反射の臨界角θcに対して、β>θcであることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
前記散乱面は、蛍光体粒子を該蛍光体粒子と屈折率が異なる蛍光体保持部材中に分散して成る面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光装置。
前記発光素子から出射した光が、前記波長変換部材又は前記散乱面のいずれかを経てから、前記凹部の上面から取り出されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発光装置。
前記収納器が、実装基板と、前記実装基板の上に形成された側壁とを備え、前記実装基板に前記発光素子が実装されており、前記側壁に前記散乱面が形成されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発光装置。
前記発光素子の発光層から前記凹部の底面までの距離が前記発光層の平面方向の最大幅の1/2以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の発光装置。
前記発光素子の発光層が、前記凹部の底面から上面までの距離の3分の1よりも上に配置することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の発光装置。
前記発光素子の発光層から前記凹部の上面までの距離が前記発光層の平面方向の最大幅の1/2以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の発光装置。
前記発光素子の発光層の端から前記凹部の側面までの最短距離が、前記発光素子の発光層の平面方向最大幅の1/2以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の発光装置。
前記支持部材は、前記凹部の底面から支持基板と第1の波長変換部材を順に積層して構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項14に記載のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面は模式図であり、そこに示された配置、寸法、比率、形状等は実際と異なる場合がある。また、各実施形態において他の実施形態と同一の符号を用いた部材は、同一又は対応する部材を表しており、説明を省略する場合がある。
【0013】
本件明細書において、「上」、「下」という用語は、発光装置の発光を取り出す側とその逆側を指す用語としても用いる。例えば、「上方」は、発光装置の発光を取り出す方向を指し、「下方」は、その逆の方向を指す。また、「上面」とは発光装置の発光を取り出
す側にある面を指し、「下面」とはその逆側の面を指す。発光装置に関する「内」という用語は、発光素子の発光層に近い側を指し、「外」という用語は、その逆側を指す。また、本件明細書において「透光性」とは、発光素子の発光波長における透過率が10%以上あることを指す。光が「混合」するとは、異なる色度を持った2種類の光が、新たな色度を持つ光として人間の目に認識されるように空間的に混じり合うことを言う。本件発明における「屈折率」とは、発光素子の発光波長における屈折率を指す。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置10を示す模式断面図である。発光素子20と、発光素子20の発光の一部を吸収して異なる波長に変換する波長変換部材30とが、パッケージ16(収納器)に収納されている。本実施の形態におけるパッケージ16は、平板状の絶縁部材に配線を形成した実装基板12とその実装基板12の上に形成された環状の側壁14によって構成される。上面視において、パッケージ16の外形は矩形であり、円形にくりぬかれて環状の側壁14が形成される。発光素子20は、例えば
図2に示すような構造を持ち、半導体から成る発光層38を内部に備えている。また、発光素子20の2つの電極42、46は、支持基板32に形成された電極とワイヤを介して実装基板12の配線12a、12bと接続されており、外部から通電可能となっている。
【0015】
発光素子20と波長変換部材30が収納できるように、パッケージ16には凹部16aが形成されている。また、本実施の形態では、発光素子20と波長変換部材30の発光を効率良く取り出せるように、凹部16aはすり鉢状となっている。即ち、パッケージ16の側壁14の内面と実装基板12の上面とにより凹部16aが構成されているが、パッケージ16の側壁14は環状となっており、その内径が上方にいくに従って広がっている。これによって凹部16aがすり鉢状となり、凹部16aの表面に入射した光を上方から効率的に取り出すことができる。また、凹部16aには透光性の封止部材28が充填されている。
図1におけるパッケージ16の凹部16aは、平面視では円形であり、その中央付近に矩形の発光素子20と矩形の波長変換部材30とが配置された構造となっている。また、発光素子20と波長変換部材30は、いずれも凹部16aの底面に対して略平行に設置されている。また、本実施の形態では、凹部16aの側面に蛍光体粒子54を分散させた蛍光体層56が形成されており、その蛍光体粒子54が、発光素子20の光を散乱すると同時に、波長変換も行う。より具体的には、パッケージの側壁14の内面に蛍光体粒子54を蛍光体保持部材55に分散した蛍光体層56を形成している。そしてパッケージの側壁14は、発光素子20の発光波長において蛍光体層56との界面で高い反射率を示す材料で構成されている。
【0016】
発光装置10は、凹部16aの上面が透光性部材57で覆われており、透光性部材57の発光素子側に、発光素子20の発光の一部を吸収して異なる波長の光を発する波長変換部材30が固定されている。波長変換部材30は板状であり、半導体発光素子20の側面が波長変換部材30に覆われずに露出しており、光を直接取り出すことができる。発光素子20の上面から出射した光は、主として波長変換部材30によって一部が波長変換され、発光素子20の側面及び下面から出射した光は、主として蛍光体層56によって一部が波長変換される。こうして波長変換された光と、もとの発光素子20の光とが混合することにより、所望の色の発光が得られる。例えば、発光素子20が青色を発光し、波長変換部材30が黄色を発光すれば、それらの混合によって白色の発光が得られる。
【0017】
本実施の形態における発光装置は、発光素子20の側面が波長変換部材30によって覆われずに露出している点に第1の特徴がある。従来の発光装置で、単純に発光素子20の側面を波長変換部材30で覆わずに露出した場合、発光素子20の側面から出射した光は波長変換部材30を通過しないで直接外部に取り出されるため、強い色むらが発生する。封止部材28中にフィラーなどの光を散乱する散乱剤を分散させれば、発光素子20の光と波長変換部材30の光とを混合して色むらを抑制することができる。しかし、色むらの抑制に十分な量の散乱剤を封止部材28に分散させると発光素子20の内部に戻る光の割合が増加してしまい、発光素子20に吸収される光の割合が増大して発光出力が低下する。
【0018】
そこで本実施の形態では、凹部16aの側面に蛍光体粒子54を分散させた蛍光体層56を形成しており、凹部16aの側面を散乱面18としている。即ち、パッケージの凹部16aの側面には蛍光体粒子54が分散しており、そこに光が入射すると蛍光体粒子54によって一部が波長変換されると共に散乱される。これによって、発光素子20と波長変換部材30の出射光のうち、パッケージの凹部16aの側面に当たる光はそこで散乱してから外部に取り出されることになり、その散乱過程で発光素子20の光と波長変換部材30の光が混合されて色むらが抑制される。また、パッケージの凹部16aの側面は、上端から中央に向けて傾斜した傾斜面となっているため、この傾斜面に散乱面を設けると散乱された光が凹部16aの上面に向かいやすくなる。
【0019】
即ち、本実施の形態における発光装置は、発光素子20の側面が波長変換部材30によって覆われずに露出しており、かつ、凹部16aの側面に発光素子20の光と波長変換部材30で波長変換された光の両方を散乱可能な散乱面18が形成された点に特徴があり、それによって色むらを抑制しながら、光取り出し効率を高めることができる。発光素子20の側面を波長変換部材30から露出することにより、波長変換部材30を通過させないで発光素子20の光を取り出せるため、波長変換部材30による吸収ロスを低減し、光取り出し効率を向上できる。また、発光素子20の側面から出た光が波長変換部材30によって散乱されて発光素子20に戻る確率が下がるため、そのことによっても光取り出し効率が向上する。一方、発光素子20の露出した側面から直接取り出された光は、凹部16aの側面に形成された散乱面18において散乱され、波長変換部材30を通過した光、つまり発光素子の光と波長変換された光の両方を含む光と共に、凹部16aの上面から混合光として取り出される。さらに、波長変換部材30を通過して散乱面18において散乱された光も、凹部16aの上面から混合光として取り出される。したがって、色むらの発生も抑制できる。
【0020】
本実施の形態の発光装置10について、色むらの抑制と光取り出し効率の向上効果について、さらに詳細に説明する。まず、光取り出しの観点では、発光素子20の側面が露出していることによって波長変換部材30による吸収ロスが減少するという効果に加えて、波長変換部材30から発光素子20への戻り光を抑制するという効果もある。即ち、波長変換部材30の中に発光素子20の発光波長と同程度の大きさを持つ蛍光体粒子が含まれている場合、蛍光体粒子によって発光素子20の光が散乱し、発光素子20への戻り光が発生する。発光素子20の側面が波長変換部材30から露出していれば、蛍光体粒子の散乱による側面からの戻り光がなくなり、戻り光による自己吸収が減少する。さらに、本実施の形態では、凹部16aの側面が散乱面であり、発光素子20の発光層38と波長変換部材30は、パッケージの凹部16aの側面から離間しているため、凹部16aの側面で散乱された光が発光素子20や波長変換部材30に戻る光の割合が少ない。特に、凹部16aの内径を上側に向かって徐々に広くなるようにすれば、凹部16aの側面で散乱された光が平均として上方に向かいやすくなるため、発光素子20や波長変換部材30に戻る割合は一層少なくなる。したがって、パッケージ16の側壁14を散乱面とすることによって、側壁14において光を散乱させて凹部の上面から取り出すことができ、発光出力は殆ど低下しない。これに対して、従来では、発光素子20や波長変換部材30の周囲を光散乱剤が分散された部材によって被覆することで発光を散乱させていたため、散乱した光が発光素子20や波長変換部材30に戻りやすく、光の自己吸収が起きていた。
【0021】
さらに、通常、発光装置駆動時の発光素子20の発熱量は波長変換部材30の発熱量より大きくなるため、本実施の形態のように、発光素子20の側面を波長変換部材30から露出させると、発光素子20の発熱による波長変換部材30の劣化も抑制できる。即ち、本実施の形態のように、発光素子20の側面を波長変換部材30で覆わずに露出させれば、波長変換部材30と発光素子20の接触面積も減少するため、発光素子20の発熱による波長変換部材30の劣化も抑制することができる。
【0022】
本実施の形態では、波長変換部材30が、発光素子20から凹部16aの上面へ向かう経路の途中に、発光素子20から離間して配置されており、発光素子20と凹部16aの側面又は底面との間には、波長変換部材30が存在しない。このように、波長変換部材30を発光素子から離間して設けることで、お互いの動作温度に影響を受けず、熱による劣化を抑制でき、信頼性の向上した発光装置とすることができる。また、透光性部材57をガラスなどの封止部材28よりも熱伝導率が高い部材とすることで、波長変換部材30の熱を透光性部材57へと熱引きすることができる。パッケージ内に透光性部材57を支持する金属枠体を設け、金属枠体を通じて熱引きすることもできる。また、本実施の形態では、発光素子20と凹部16aの側面又は底面との間に波長変換部材30が存在しないため、発光素子20からの光取り出し効率が向上する。発光素子20から側方及び下方に出射した光は、散乱面18を構成する蛍光体層56によって波長変換と散乱を受けるため、色むらの発生も抑制される。
【0023】
尚、本実施の形態では、波長変換部材30と発光素子20が離間しているため、発光素子20から出射した光の一部が、波長変換部材30と散乱面18の間を通過して凹部16a上面の開口に直接到達する場合がある。このような場合に、後述する
図3で説明するように、発光素子20から、波長変換部材30と散乱面18の間を通過して直接凹部16aの上面に到達する光が、凹部16aの上面に配置された封止部材28または透光性部材57の表面における全反射の臨界角θ
cより大きな角度で入射するように発光装置を構成することが好ましい。全反射によって凹部16a内へ戻された光は、散乱面18で散乱させることができる。したがって、発光素子20から出射した光が、波長変換部材30又は散乱面18のいずれかを通過してから、凹部16aの上面から取り出されることになり、色むらを改善することができる。
【0024】
また、波長変換部材30の幅を大きくする、または発光素子20に近づけるなど、波長変換部材30の幅や位置を調整することで、もしくは凹部16aの傾斜や深さを調整することで、発光素子20の露出した側面から出射した光が必ず波長変換部材30の通過または散乱面18における散乱を経て凹部16aの外へ取り出される構造としても良い。つまり、後述する
図4に示すように、発光素子20からの直接光が到達する領域の上端が凹部16aの側面に位置するようにしても良い。本実施の形態のように波長変換部材30と発光素子20との離間距離が大きい場合は、発光素子20から出射する光が凹部16aの上面から直接出射しない程度に波長変換部材30の幅を大きくすると、一方で波長変換部材30と凹部16aの側面との距離が小さくなり、波長変換部材30から側方へ出射した光と発光素子20から出射した光とが直接到達する領域が小さくなってしまう。そこで、発光素子20から出射した光の凹部16a外への直接出射を抑制するためには、本実施の形態のように、凹部16aの上面に表面が略平坦である透光性部材57を設けることが望ましい。これにより、発光素子20から出射して波長変換部材30を通過しない光を透光性部材57界面における全反射によって凹部内に戻すことができる。透光性部材57を設けず、封止部材28のみを凹部内に充填して、その表面を略平坦としてもよい。なお、これらの透光性部材57または封止部材28の表面は、発光素子20の上面と略平行であることが望ましい。
【0025】
また、本実施の形態では、後述する発光層38から凹部16aの底面までの距離dを一定以上離間させることで、発光素子20の下面からの発光の利用率を上げている。このため、特に発光素子の下面から出射した光を波長変換すると共に、色むらが生じないように外部に取り出すことが必要になる。また、発光素子20から凹部16aの底面(即ち実装基板12)に至る経路は放熱経路となるため、この経路は放熱性の高い部材で構成することが耐久性の点で好ましい。そこで本実施の形態では、凹部16aの側面に蛍光体粒子54を有する蛍光体層56を設け、それによって発光素子20の下面と側面から出射する光の波長変換と散乱を同時に行っている。放熱性を高めるためには、
図1に示すように、蛍光体層56を凹部16aの側面に設け、凹部16aの底面には実装基板12を露出させ、実装基板12と発光素子20または支持基板32を接続することが望ましい。発光素子20または支持基板32と接続する部材は、配線12a、12bとしてもよい。実装基板12が絶縁性の部材である場合は、金属からなる配線12a、12bと接続する方が放熱性を高めることができる。配線12a、12bと絶縁された金属部材等の放熱体を設け、この放熱体に支持部材を設けても良い。また、特に本実施の形態のように、発光素子20の下面に波長変換部材がない構造とする場合には、散乱面を蛍光体層で構成することで、発光素子20の発光が直接外部へ取り出されることを抑制できる。
【0026】
本実施の形態において、凹部16aの側面に形成する散乱面18は、できるだけ広い範囲に形成することが好ましいが、少なくとも凹部16aの側面の一部、より好ましくは側面全体に形成することが望ましい。これにより色むらを効果的に抑制することができる。即ち、色むらは、発光素子20から出射した光が波長変換部材30を通過する際の光路長の違いによって生じるが、発光素子20から板状の波長変換部材30の正面に照射されて波長変換部材30の主面から取り出される光については、波長変換部材30内における光路長が比較的均一で色むらが発生しにくいのに対し、波長変換部材30の側面から取り出される光については、波長変換部材30を斜めに進行して出射する光であるため、波長変換部材30の光路長の違いによる色むらが発生し易いからである。また、板状の波長変換部材30の側面から取り出される光は、主面から取り出される光よりも光路長が大きくなるため、波長変換された光の強度が大きくなる傾向にある。そこで、本実施の形態のように、波長変換部材30の側面から取り出される光を散乱面18において散乱させ、発光素子20から直接取り出された光と混合させて凹部16aの上面から取り出すように各部材を配置することで、色むらを低減することができる。
【0027】
特に、本実施の形態のように、発光素子20の側面を波長変換部材30から露出した場合、発光素子20の側面から出射する光による色むらが発生し易い。しかし、発光素子20の側面から出射した光は凹部16aの側面のうちの発光層38の側面に対面する領域に最も入射し易い。そこで、凹部16aの側面の中でも、特に発光層38の側面と対面する領域を含むように散乱面を形成することが好ましい。これにより、発光素子20の側面が波長変換部材に覆われずに露出していることによって発生する色むらも効果的に抑制することができる。より好ましくは、少なくとも凹部16aの側面のうち、波長変換部材30及び発光素子20から凹部16aの光軸方向と略垂直な方向(即ち、凹部16aの上面と略平行な方向)に出射された光が到達する領域に形成する。即ち、本実施の形態で言えば、少なくとも凹部16aの側面のうち、板状の波長変換部材30の側面からその側面と略垂直な方向に出射された光が到達する領域と、発光素子20の側面から発光層38と略平行な方向に出射された光が到達する領域に形成することが好ましい。波長変換部材30は、例えば板状など、発光素子20の主面に平行な方向に広がった形状になり易いため、波長変換部材30から側方に出射した波長変換された光は相対的に強度が強くなり易い。したがって、波長変換部材30から凹部16aの上面に略平行に出射した光が当たる領域にも散乱面18を形成することによって、発光素子20の側面から出射した光との混色が促進され、色むらがさらに効果的に抑制できる。
【0028】
また、凹部16aの側面の発光素子20及び波長変換部材30と対面する対面領域に、発光素子20の側面から出射した光と波長変換部材30の側面から出射した光の両方が直接到達する重複領域が設けられるように、発光素子20と波長変換部材30を配置してもよい。このとき、散乱面18は重複領域に設けることが望ましい。重複領域の上下には、発光素子20の側面から出射した光のみが直接到達する第1領域や、波長変換部材30の側面から出射した光のみが直接到達する第2領域が存在する場合がある。発光素子20からの直接光が強い第1領域に散乱面18を設けることで、光を散乱させ、重複領域や第2領域の光と混色して凹部16aの上面から取り出すことができ、色むらが抑制できる。また、波長変換された光が強い第2領域も同様に、散乱面18を設けることで色むらが抑制できる。また、発光素子20の上面から出射する光は波長変換部材30を通過して凹部16aの上面から取り出されるので、発光素子20の発光と波長変換された光の両方が混合されて凹部16aの上面から取り出される。本実施の形態において、発光素子20の下面に波長変換部材30が存在しないため、発光素子20の下面から出射する光は、発光素子20の下面から出射する光が凹部16aの底面又は側面に直接到達する。
【0029】
また、本実施の形態において、発光素子20の発光と波長変換部材30の発光を散乱面18によって良好に混色させるためには、発光素子20と波長変換部材30の発光を凹部の散乱面18の広い面に照射させることが有利である。そのために、発光素子20の発光層38と波長変換部材30との両方を、凹部16aの側面から離間して形成することが望ましい。さらに好ましくは、発光素子20の発光層38と波長変換部材30とを、凹部16aの側面と底面の両方から離間して形成する。発光層38と波長変換部材30との両方を凹部16aの側面や底面から離すことで、散乱面18において発光素子20から出射する光と波長変換部材30からの光の両方が重なる領域を広くでき、良好に混色させることができる。また、発光層38と波長変換部材30の両方が凹部16aの側面や底面から離れていると、散乱した光が発光素子20や波長変換部材30に戻る割合も減少し、光取り出し効率も向上する。
【0030】
特に、本実施の形態における発光装置10では、発光素子20の下面から出射した光を効率的に利用できるように発光素子20が凹部16a内に配置されている。即ち、
図3に示すように、発光層38の平面方向の最大幅をw[μm]として、発光素子20の発光層38から凹部16aの底面までの距離dが少なくとも0.5w[μm]以上となるように発光層38を配置することが好ましい。パッケージ16の構造によっては、凹部16aの底面が何らかの積層構造となっている場合もあり得るが、その場合は発光層38の発光が最も強く反射する面を基準とし、そこから発光層38までの距離をdとする。発光素子20が凹部16aの底面に直接固着される場合など、発光層38から光を反射する凹部16aの表面までの距離が近すぎる場合、発光層38から出た光は殆どが発光素子20に戻り、発光素子20内の半導体層や電極で再吸収されてしまう。発光層38の端から出て凹部16aの底面で反射する光を想定すると、発光層38から凹部16aの底面までの距離dが0.5wであれば、発光層38の端から下方に出射した光のうち、凹部16aの底面に対する入射角α(凹部16aの底面に対する法線と底面に入射する光線のなす角)が45°以上であれば外部に取り出せる。即ち、発光素子20の下方に出射する光の半分以上を外部に取り出すことができる。したがって、発光層38から凹部16aの底面までの距離dを0.5w以上とすることで、発光層38から下方に出射した光が発光素子20に戻らずに外部に出射され易くなる。この入射角αの臨界値は、発光層から凹部16aの底面までの距離dが長くなるほど小さくなり、発光を外部に取り出し易くなる。発光層38から凹部16aの底面までの距離dは、好ましくは1w[μm]以上、さらに好ましくは2w[μm]以上とすることが望ましい。また、発光層38は、散乱面を成す凹部16aの深さ(=凹部16aの底面から上面までの距離)の3分の1よりも上に配置することが望ましい。このように発光素子20中の発光層8を凹部16aの底面から十分に離間して配置することにより、発光層38から下方に発した光が凹部16aの底面で反射した後で再び発光素子20自身に戻る確率が下がり、さらには散乱面で散乱させることができ、発光素子20の発光を効率良く利用することが可能となる。
【0031】
また、凹部16a内における発光層38の位置は、発光素子20と波長変換部材30から出射する光のうち、パッケージの凹部16aの上面から直接外部に取り出される光の割合にも影響する。発光層38が凹部16aの上面から離間して配置されていると、凹部16aの外部に直接取り出される光の割合が減るため、散乱面18による混色の効果が高まる。発光層38の平面方向の最大幅をw[μm]として、発光素子20の発光層38から凹部16aの上面までの距離d
2が少なくとも0.5w[μm]以上、より好ましくは1w[μm]以上となるように発光層38を配置することが望ましい。また、距離d
2は、発光層38から凹部16aの底面までの距離dよりも大きいことが望ましい。ここで凹部16aの「上面」とは、凹部16aの上端を含む平面を指す。この「上面」の解釈は、他の実施形態でも同様である。
【0032】
また、
図3に示すように、発光層38の中心と凹部16aの上端を結ぶ線と凹部16aの光軸(=凹部が散乱機能のない反射鏡である場合の光軸方向)とがなす角をβとをすると、発光層38の中心から上面に出射する光のうち、凹部16aの光軸と出射する光線のなす角がβ以下の光線は全て凹部16aの上面に直接到達する。従って、上記角度βが小さくなるように凹部16aと発光層38の関係を決めれば、凹部16aの側面における散乱の効果が増大するため好ましい。角度βは、90°より小、より好ましくは70°以下であることが望ましい。一方、角度βが小すぎると、発光の指向性が強い発光装置となってしまう。また、角度βが小さすぎると、発光素子20の発光が凹部16aの側面で散乱を繰り返して発光素子20に戻り易くなり、発光装置10の出力が低下する。したがって、上記角度βは、30°以上、より好ましくは50°以上とすることが望ましい。角度βは、距離d
2によって調整できる。d
2が長くなるほど、βは小さくなる。また、角度βは、出射部である凹部16a上面の開口部の幅を増減させることによっても調整できる。開口部の幅を狭くすれば、βは小さくなる。尚、発光素子20の上面から出射される光は、発光素子20の表面と略垂直方向に強く出射する傾向がある。
【0033】
尚、凹部16a内に封止部材が充填される場合は、凹部16aの上面に到達した光は、全反射する臨界角θ
c以下の角度で凹部16aの上面に入射した場合は、そのまま外部に取り出され、臨界角θ
cより大きな角度で入射した場合は全反射により凹部16a内に戻される。臨界角θ
cが角度βよりも小さい場合は、直接取り出される光を少なくでき、全反射によって凹部16a内へ戻された光を散乱面で散乱させることができるので、より一層色むらが改善できる。封止部材は、その表面を略平坦な面とすることで、封止部材の表面における全反射を促進できる。一方、臨界角θ
cが角度βよりも大きい場合は、臨界角θ
c≧角度βとすることで直接取り出される光の割合が大きくなるが、そのことは光取り出し効率の点からは好ましい。また、距離d
2を長くすることにより、臨界角θ
c以上の出射角の光線の割合を小さくできるので、光取り出し効率の点からは好ましい。角度βは、出射部である凹部16a上面の開口部の幅を増減させることによっても調整できる。例えば、開口部の幅を狭くすれば、距離d
2を長くしても散乱面に到達する光の割合を大きくできる。一方、臨界角θ
c以上の出射角の光線の割合を大きくする、つまり出射部を幅広とすることや、距離d
2を短くすること、例えばd
2<dとすることで、直接取り出される光を少なくでき、全反射によって凹部16a内へ戻された光を散乱面で散乱させることができるので、より一層色むらが改善できる。
【0034】
また、発光素子20への戻り光を抑制するためには、発光素子20の発光層38が凹部16aの側面、即ち、散乱面から十分に離間していることが好ましい。発光素子20の発光層38を含み、発光素子20に平行な平面内で考えて、発光層38の端から凹部16aの側面までの最短距離が、発光層38の平面方向の最大幅をw[μm]として、0.5w[μm]以上、1w[μm]以上、より好ましくは3w[μm]以上となるように発光層38を配置することが望ましい。
【0035】
また、
図4に示すように、色むらの抑制の観点からは、発光素子20から出射した光が、波長変換部材30の通過又は散乱面18における散乱のいずれかを経てから、凹部16aの上面から取り出されることが好ましい。このことは、発光素子20から上方、側方、下方に進行する光に分けて考えることができる。本実施の形態では、発光素子20から上方に進み、凹部16aの上面へ直接向かう光は、波長変換部材30を通過してから上面に到達するため、波長変換部材30で波長変換された光と混色される。発光素子20から側方に出射した光は、波長変換部材30から側方に出射した光と共に凹部16aの側面に形成された散乱面18で散乱され、互いに混色される。発光素子20から下方に出射した光は、散乱面18で散乱され、もしくは実装基板12で反射され、波長変換された光と混色される。従って、発光素子20からいずれの方向に出射する光も、波長変換部材30で波長変換された光と混色され、色むらの発生が抑制される。また、本実施の形態では散乱面18を蛍光体層56によって形成しているため、発光素子20から出射した光は、波長変換部材30または蛍光体層56の少なくともいずれか一方を経て、その一部が波長変換されて、凹部16aの上面から取り出される。
【0036】
さらに、
図4に示すように、波長変換部材30の側面の上端と凹部16aの上端を結ぶ線と凹部16aの上面に垂直な線とがなす角をγとすると、角度γを小さくすることで波長変換部材30の側面と対面する散乱面を大きくすることができ、波長変換部材30の側面から直接外部へ取り出される光を減少させることができる。角度γは、90°より小、より好ましくは70°以下であることが望ましい。また、角度γが小さすぎると、散乱された光が波長変換部材30や発光素子20に戻り易くなり、発光装置10の出力が低下するため、角度γは、30°以上、より好ましくは50°以上とすることが望ましい。また、散乱面の傾斜を大きくすることで、波長変換部材30の側面と対面する領域を大きくできる。これによって、波長変換部材30の側面から出射した光を散乱させる面積を大きくでき、色むらを一層抑制できる。また、波長変換部材30と発光素子20は、
図4に示すように発光層38の側面から出射して波長変換部材30の外を進む光線が必ず凹部16aに当たるように大きさと配置を制御することが好ましい。これによって、発光素子20の露出した側面から出射した光を凹部16aに形成した散乱面で散乱することが可能となる。
【0037】
また、発光素子20と波長変換部材30を凹部16aの側面から離間させ、その離間距離を調整することで色むらが一層抑制される。例えば、
図4に示すように、凹部16aの側面において、発光素子20の発光層38の側面から出射した光が直接到達する領域を考えたときに、板状の波長変換部材30の側面からその側面と略垂直な方向に出射された光が到達する領域が、上記領域に含まれることが好ましい。この関係は、発光素子20と波長変換部材30を凹部16aの側面から十分に離間することで充足することができる。このような関係が充足していると、上記領域に散乱面18を形成しておくことで、発光素子20の側面から出射した光を波長変換部材30を通過した光と効率良く混色させ、色むらを効果的に抑制できる。また、波長変換部材30の庇状の張り出した部分を小さくすることや、波長変換部材30と発光層38との距離を大きくすることで、発光層38の側面から出射して凹部16aの側面に直接到達する光の出射角度を大きくでき、上記領域を大きくできる。なお、上記領域の上端は凹部16aの側面に位置することで、発光素子20から出射し光が凹部16aの上面から直接出射できなくなるので、発光素子20の直接光を凹部16aの側面の散乱面18によって散乱させ、波長変換部材30から出射された光と混合させて凹部16aから出射することができ、色むらが更に抑制される。
【0038】
本実施の形態において、発光素子20は、サファイア等の透光性材料から成る支持基板32を介してパッケージ16に固定されている。即ち、凹部16aの底面である実装基板12の上面に支持基板32が直接接着され、その上に発光素子20が直接固定されている。発光素子20と実装基板12の間に介在する支持部材は、発光素子20から実装基板12に向かう放熱経路となるため、熱伝導率の高い材料とすることが好ましい。例えば、本実施の形態であれば、支持部材を構成している支持基板32を熱伝導率の高い材料とすることが好ましい。支持基板32は、その主たる材料を熱伝導率が0.8[W/mK]以上、より好ましくは1.2[W/mK]以上、さらに好ましくは35[W/mK]以上とすることが望ましい。これによって発光素子20の放熱効率が高くなるため、長時間点灯しても発光出力の低下が少ない発光装置10とすることができる。尚、発光素子20と凹部16aの底面に介在する支持部材の一部として、熱伝導率が低い部材が全体の熱伝導を大きく阻害しない程度の薄膜に存在していても構わない。例えば、熱伝導率が支持基板32を、熱伝導率の低い接着層で接合しても、支持部材全体としての熱伝導が上述の範囲に収まる程度であれば良い。即ち、支持部材が複合材料から成る場合は、支持部材全体としての熱伝導率が所定の値以上であれば良い。熱引きを考慮すると、支持部材は配線12a、12bの少なくともいずれか一方に設けることが望ましい。また、配線と絶縁された金属部材等の放熱体に設け、この放熱体に支持部材を設けても良い。支持部材と配線12a、12bは樹脂、金属ペーストなどで接着される。熱伝導率の高い金属ペーストを用いることが望ましい。この場合、支持部材の表面に金属膜を設けて金属膜側を金属ペーストで接着すると、密着力を向上できる。金属膜は反射層として利用することもできる。
【0039】
また、発光素子20と凹部16aの間に介在して発光素子20を支持する支持部材は、発光素子20の発光を吸収しないよう、透光性を有することが好ましい。尚、全体として透光性を有していれば、発光素子20と凹部16aの底面に介在する支持部材の一部として、透光性の低い部材が全体の透光性を阻害しない程度の薄膜に存在していても構わない。例えば、透光性の支持基板32に、透光性の低い部材からなる層を形成しても、支持部材全体としての透光性が阻害されなければ良い。このような透光性の低い部材を発光素子20と凹部16aの底面との間に介在させる場合は、発光層38から凹部16aの底面に向かう光を遮断する割合が小さくなるように、支持基板32よりも狭い幅で設けることが望ましく、さらに好ましくは発光層38よりも狭い幅で設けることが望ましい。また、発光素子20と凹部16aの底面との間に発光素子20より面積の大きい光反射部材が存在する場合は、この光反射部材を実質的な凹部の底面として、発光層38の配置を調整することが望ましい。
【0040】
尚、支持部材として、蛍光体を含有させた第1の波長変換部材を配置することもできる。このとき支持部材は、凹部16aの底面から支持基板32、第1の波長変換部材の順に積層することが好ましく、それによって第1の波長変換部材を凹部16aの底面から離間させることができる。第1の波長変換部材が、凹部16aの底面から離間していると、第1の波長変換部材から発する光が散乱面に広く照射され易くなる。また、凹部16aで散乱や反射された光が第1の波長変換部材に戻る割合も減少する。また、支持基板32と第1の波長変換部材とから成る支持部材の側面と凹部16aとの間は、実質的に透光性の部材で満たされていることが好ましい。実質的に光を遮断するような部材が存在していると、散乱面18による混色が不均一となり、色むらの原因となるためである。特に、実質的に光を遮断する遮光性の部材が、凹部16aの中心に対して特定の方位にだけ存在していると、色むらが強く現れる。通電用のワイヤーのように、遮光面積の狭い部材は、実質的に光を遮断しないため問題ない。
【0041】
以下、本実施の形態において発光装置10を構成する各部材について詳細に説明する。
(発光素子20)
発光素子20は、半導体から成る発光層を備えたものであれば良い。特に窒化物半導体から成る発光層、中でも窒化ガリウム系化合物半導体(特にInGaN)から成る発光層を備えた発光素子であれば、可視光域の短波長域や近紫外域で強い発光が可能であるため、波長変換部材と好適に組み合わせることができる。発光素子20は、発光層38から出力される出射光の発光ピーク波長が近紫外線から可視光の短波長領域である240nm〜500nm付近、好ましくは380nm〜420nm、さらに好ましくは450nm〜470nmにある発光スペクトルを有することが望ましい。この波長域で発光をする発光素子であれば、種々の波長変換部材との組合せにより、所望の色、特に白色光の発光が可能となる。尚、発光素子20は、ZnSe系、InGaAs系、AlInGaP系などの半導体から成る発光層を有するものでも良い。
【0042】
図2は、発光素子20の一例を示す模式断面図である。サファイア等の透光性で絶縁性の基板34に、第1導電型(例えば、n型)の半導体層36、発光層38、第1導電型とは異なる導電型である第2導電型(例えば、p型)の半導体層40が順次積層されている。第2導電型の半導体層40と発光層38が一部除去されて第1導電型の半導体層36が露出しており、その露出面に第1電極(n側電極)42が形成されている。また、第2導電型の半導体層40には、第2電極(p側オーミック電極)44がほぼ全面に形成され、さらに外部と接続するための(p側)パッド電極46が形成されている。各電極は、透光性又は反射性の電極とすることができ、通常、電極形成面を上側として実装される場合は透光性の電極が用いられ、
図1に示すように電極形成面を下側としてフリップチップ実装される発光素子20の場合には反射電極が用いられる。
【0043】
図1に示すように、本実施の形態では、発光素子20の基板34を上側にして支持基板32の上にフリップチップ実装している。支持基板32の上面には実装用の電極が形成されており、はんだバンプ等を介して、発光素子20の第1電極42及び第2電極46と接続される。支持基板32の上面に形成された電極は、さらにワイヤによって実装基板12の配線12a、12bと接続される。これによって外部から発光素子20を電気駆動することが可能となる。支持基板32の上面に形成される電極には、通常、発光層38からの光を実質的に遮光する部材が用いられる。このため、支持基板32上面の電極は、支持基板32上面の一部のみに形成し、発光素子20から下方に向かう光が凹部16aの底面に到達できるようにする。好ましくは、上面視において発光素子20から突出した電極部を、発光素子20の幅よりも小さい幅で形成することが望ましい。
【0044】
尚、本発明で用いることのできる発光素子20は、
図2に示す構造のものに限定されない。例えば、各導電型層に、絶縁、半絶縁性、逆導電型構造が一部に設けられても良い。また、基板34は、導電性を持つものでも良く、その場合には、第1電極42を基板34の裏面に形成しても良い。また、基板34は、半導体層を成長させる際の基板であっても良いし、半導体層を成長させた後で貼りあわせたものでも良い。また、基板を剥離して半導体層のみを発光素子として用いることもできる。発光素子20の上面視形状は、典型的には矩形であり、好ましくは略正方形とする。略正方形とすることで発光素子20の各辺から散乱面までの距離をほぼ等しくでき、色むらを抑制し易い。支持基板32の上面視形状は発光素子20と略同一とすることが好ましい。発光素子20としては、1辺数百μm〜数mm程度のものを用いることができ、具体的には1辺400μm〜1mm程度の略正方形の素子を用いることができる。このとき、発光素子20の側面から散乱面18までの距離は例えば0.5〜2mm程度とする。
【0045】
(波長変換部材30)
波長変換部材30は、発光素子20の発光の一部を吸収して異なる波長の光を発光可能なものであれば特に限定されない。波長変換部材30は、蛍光体などの波長変換物質をガラスや樹脂などの透光性部材に含有させた部材でも良いし、波長変換物質の結晶やアモルファス体自身から成る部材であっても良い。
【0046】
波長変換物質としては、特に、近紫外光や可視光で励起される蛍光体が好ましい。特に、発光素子20が青色発光素子であり、白色の発光装置を構成したい場合には、波長変換物質として青色で励起されて黄色のブロードな発光を示す蛍光体を用いることが好ましい。このような蛍光体として、例えば、セリウムで付活されたガーネット構造を持つ蛍光体(特に、セリウムで付活され、アルミニウムを含みガーネット構造を持つ蛍光体)が挙げられる。セリウムで付活された蛍光体は、黄色にブロードは発光を示すため、青色発光との組合せによって演色性の良い白色を実現できる。また、ガーネット構造、特にアルミニウムを含むガーネット構造の蛍光体は、熱、光、水分に強く、高輝度な黄色発光を長時間維持することができる。例えば、波長変換物質として、(Re
1-xSm
x)
3(Al
1-yGa
y)
5O
12:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y、Gd、La、Lu、Tbからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。)で表されるYAG系蛍光体(一般にYAGと略記される)を用いることが好ましい。また、黄色蛍光体の他に、Lu
3Al
5O
12:Ce、BaMgAl
10O
17:Eu、BaMgAl
10O
17:Eu,Mn、(Zn,Cd)Zn:Cu、(Sr,Ca)
10(PO
4)
6Cl
2:Eu,Mn、(Sr,Ca)
2Si
5N
8:Eu、CaAlSiB
xN
3+x:Eu及びCaAlSiN
3:Euなどの蛍光体を用いて演色性を調整することもできる。
【0047】
また、特に発光素子20の発光波長が短波長である場合などは、波長変換部材30が2種類以上の波長変換物質を含んでいても良い。発光素子20からの1次光によって1種類目の波長変換物質を励起、発光させ、その波長変換物質の発する2次光によって別の種類の波長変換物質を励起、発光させることもできる。また、色度の異なる2種類の蛍光体を用いれば、2種類の蛍光体の量を調整することにより、色度図上において2種類の蛍光体と発光素子の色度点を結んでできる領域内の任意の色度点に対応する発光を得ることができる。
【0048】
例えば、波長変換部材30は、上記黄色発光する蛍光体に加えて、黄〜赤色発光を有する蛍光体を含んでいても良い。これによって赤味成分を増し、平均演色評価数Raの高い発光装置とすることをもできる。平均演色評価数Raの高い発光装置とすれば照明用途に適した発光装置となる。また、赤味成分を増やすことで、電球色を発光する発光装置とすることもできる。近紫外〜可視光を黄色〜赤色域に変換する蛍光体としては、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、珪酸塩蛍光体などが挙げられる。
【0049】
窒化物系蛍光体、酸窒化物(オキシナイトライド)蛍光体としては、Sr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−N:Eu、Sr−Si−N:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−N:Eu、Sr−Si−O−N:Euなどが挙げられる。窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体の中でも、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体が好ましく、次の一般式で表すことができる(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか)。
LSi
2O
2N
2:Eu、L
xSi
yN
(2/3x+4/3y):Eu、L
xSi
yO
zN
(2/3x+4/3y-2/3z):Eu
【0050】
珪酸塩蛍光体としては、L
2SiO
4:Eu(Lはアルカリ土類金属)、(Sr
xMae
1-x)
2SiO
4:Eu(MaeはCa、Baなどのアルカリ土類金属)などが好ましい。
【0051】
一方、波長変換物質を含有する透光性部材としては、発光素子20の光に対して透光性を持つ有機材料や無機材料を用いることができる。有機材料としては、透光性を持つ樹脂が好ましい。例えば、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物等を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の透光性を有する絶縁樹脂組成物を用いることができる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた樹脂も利用できる。また、無機材料としては、ガラス等のアモルファス材料、無機結晶、セラミックなどを用いることができる。尚、前述の通り、波長変換物質である蛍光体の結晶やアモルファス体自身を波長変換部材とした場合には、透光性部材は不要となる。
【0052】
波長変換部材を、無機材料から成る無機バインダーと蛍光体との複合材料とすると、波長変換部材内部での散乱を抑制し、耐久性も向上するので好ましい。無機バインダーとしては、サファイア等の無機結晶、ガラス等のアモルファス材料、セラミック等の種々の無機材料を用いることができる。一般に、ガラスやサファイア等の無機材料は、無機材料から成る蛍光体との屈折率差が小さい。例えば、アルミニウムを含むガーネット構造の蛍光体の屈折率は約1.7〜1.8であるが、一般的な透光性樹脂の屈折率が約1.5であるのに対し、ガラスの屈折率は約1.6、サファイアの屈折率は約1.7である。このため、波長変換部材内における蛍光体による光の散乱が少なく、波長変換部材から効率良く光を取り出すことができる。無機バインダーは、透光性であればどのような無機材料であっても良いが、蛍光体との屈折率差が0.3より小、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下であることが望ましい。
【0053】
この場合、波長変換部材の構造は、蛍光体と無機バインダーがほぼ均一に混在した構造であることが好ましい。例えば、波長変換部材の構造を、蛍光体と無機バインダーの一方が他方の中に島状に分散した海島構造にすれば、波長変換部材中で均一な波長変換を行うことができ好ましい。この場合、島状の蛍光体が無機バインダー中に分散している構造であっても、島状の無機バインダーが蛍光体中に分散している構造であっても良い。均一は波長変換のために海島構造における島の直径は例えば1μm〜50μm程度とすることができる。
【0054】
発光素子20の上面に設けられた波長変換部材30は、主として、発光素子20から出射する光のうちパッケージの凹部16aに当たらず直接外部に取り出される光を波長変換する役割を果たす。そのような光は散乱による混色が行われないため、発光素子20から出射した光が通過する光路長がほぼ均一となるように波長変換部材30を形成することが好ましい。これによって色むらの少ない発光装置とすることができる。具体的には、波長変換部材30は、発光素子20の上面を略均一な厚みで覆うことが好ましく、板状であることが好ましい。
【0055】
例えば、波長変換部材30は、板状であることが好ましい。波長変換部材30が板状である場合、波長変換部材30内の光の一部は、対向する2つの主面で全反射され、側面から出射する。このため、側面から出射する光は波長変換部材内における光路長が大きく、波長変換された光の強度が大きくなる傾向にあり、原理的に色むらが発生し易い。しかし、本実施の形態では、発光素子20の側面が露出されていることから波長変換部材30の側面と同じ方向に出射する発光素子20の発光も強くなる。このような発光素子20及び波長変換部材30から発する光を凹部16aで光を散乱させるため、波長変換部材30を板状としても色むらの発生が抑制される。また、この場合、波長変換部材30は、発光素子20と平行に設置することが好ましい。
【0056】
また、波長変換部材30は、無機材料から成ることが好ましい。特に、熱伝導率が0.8[W/mK]以上、より好ましくは1.2[W/mK]以上、さらに好ましくは35[W/mK]以上の無機材料で構成することが望ましい。具体的には、無機系蛍光体の結晶やアモルファス体自身を波長変換部材30としたり、無機系の蛍光体粒子を無機材料から成る透明部材に含有させて波長変換部材30とすることができる。無機系蛍光体の結晶やアモルファス体自身を波長変換部材30とする場合の例としては、YAG、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu等を挙げることができる。また、無機系の蛍光体粒子を無機材料から成る透明部材に含有させる場合、無機材料の透明部材としてはガラス等のアモルファス材料、無機結晶、セラミックなどを用いることができる。例えば、蛍光体粒子と透明部材の粒子の焼結体や、蛍光体粒子とガラスの焼結体を用いることができる。蛍光体粒子と他部材の多結晶体を用いてもよい。このような材料で波長変換部材を構成することにより、波長変換部材30自身の耐久性が高まると同時に、放熱も良好になり、信頼性の高い発光装置10を実現することができる。また、無機材料から成る波長変換部材30は、樹脂などの有機材料から成る場合に比べて硬度が高く、高温での加工も可能である。
【0057】
波長変換部材30は、平面方向の外寸が発光素子20よりも大きく、発光素子20の外周から庇状に張り出していることが好ましい。これによって発光素子20の上面からの出射光が波長変換部材30を通過してから外部に取り出されるようにできる。例えば波長変換部材30の大きさが発光素子20と同一である場合には、発光層38の側面から斜め上方に出射する光のほとんどが、波長変換部材30の外を通過し、かつ、凹部16aの側面の散乱面を避けて、直接凹部16aの外部に取り出される場合があり得る。そこで
図1に示すように、波長変換部材30を発光素子20よりも大きくし、発光素子20の外周から庇状に張り出すようにすれば、直接凹部16aの外部に取り出される光を減らすことができる。尚、このことが達成可能な程度に波長変換部材30が発光素子20の外周から張り出していれば、波長変換部材の大きさや平面形状は特に限定されない。但し、波長変換部材30があまり大きすぎると、凹部16aで散乱した光が再度波長変換部材30を通過することになり、色むらや発光出力低下の原因となる。本実施の形態における波長変換部材30の平面方向の最大寸法は、発光素子20の発光層38の平面方向の最大寸法の1.1倍以上、好ましくは1.5倍以上、かつ、3倍以下、好ましくは2倍以下とすることが望ましい。
【0058】
(第1の波長変換部材)
また支持基板32と発光素子30の間に、第1の波長変換部材を設けることもできる。第1の波長変換部材の材料や形状は、上述の波長変換部材30と同様のものを採用することができる。第1の波長変換部材は発光素子20の下面に接して形成されることが好ましく、主として発光素子20の下面から出射する光を波長変換すると共に、発光素子20を固定する基板としての役割や、発光素子20から実装基板12への放熱経路としての役割も果たす。本実施の形態では、発光素子20の側面や下面から出射する光と第1の波長変換部材から出射する光とは、凹部16aに形成された散乱面18で散乱し、混合されてから外部に出射される。したがって、第1の波長変換部材は、内部で光を散乱させる必要がないため、無機材料から成る無機バインダーと蛍光体との複合材料とすることが好ましい。これによって第1の波長変換部材から発光素子20への戻り光を抑制することができる。第1の波長変換部材は、色むらを考慮して形状や配置を厳しく制約する必要がなく、発光素子20の光を波長変換できれば比較的自由な形状や配置にすることができる。
【0059】
第1の波長変換部材は、板状であることが好ましい。第1の波長変換部材が板状であれば、発光素子20を安定して固着することができる。また、第1の波長変換部材を板状にすれば、発光装置10を製造する際に第1の波長変換部材を大きめの板状材料として加工しておき、それを所望の大きさに切り出して支持部材32の上に接着することができるため、発光装置10の組立が容易となるメリットもある。さらに、本実施の形態における第1の波長変換部材は発光素子20をフリップチップ実装する実装面としても機能するが、第1の波長変換部材が板状であれば、配線の形成も容易となる。例えば、大きめの板状に加工された第1の波長変換部材に配線パターンを一括して形成し、それを切り出して支持部材32の上に接着することもできる。第1の波長変換部材表面の配線パターンと発光素子20を金属や樹脂などの導電性部材や接着剤によって接続することで、配線パターンを介して発光素子20の発熱を第1の波長変換部材に逃がすことができる。発光素子20は、フリップチップ実装することで、発熱し易い発光層38を第1の波長変換部材に接近させることができ、効率良く放熱できる。尚、第1の波長変換部材が板状である場合、その端面における発光が強くなる傾向にあるため、原理的に色むらが発生し易い。しかし、本実施の形態では、発光素子20の側面が露出されていることから第1の波長変換部材の端面と同じ方向に出射する発光素子20の発光も強くなる。このような発光素子20及び第1の波長変換部材から発する光を凹部16aで光を散乱させるため、第1の波長変換部材を板状としても色むらの発生が抑制される。
【0060】
尚、このような板状の第1の波長変換部材の上面に、透光性の部材を配置して、その上に発光素子を設けることもできる。また、「板状」であるためには、全体の形状が板状であれば良く、発光素子を裁置するための凹部や孔を有していても良い。また、何らかの光学効果を得るためのパターンが表面に形成されていても良い。波長変換部材32または第1の波長変換部材が「板状」である場合に、平面形状は矩形に限らず、円形、楕円形など種々の形状でも良い。
【0061】
波長変換部材30の上面視形状は、好ましくは発光素子20と同じく略正方形とする。波長変換部材30は上面視において発光素子20と重なっており、発光素子20より大きいサイズとすることが好ましい。具体的には、波長変換部材30の1辺の長さを、発光素子20の1辺の長さの1.5〜3.5倍程度とすることができる。例えば、発光素子20が1辺約450μmの略正方形である場合には波長変換部材30を1辺約1mmの略正方形とし、発光素子20が1辺約1mmの略正方形である場合には波長変換部材30を1辺約1.5mmの略正方形とする。このとき、波長変換部材30の側面から散乱面までの距離は0.5〜1.5mm程度とすることができる。また、波長変換部材30の厚みは、所望の色度が得られる厚みを選択でき、例えば100μm〜200μmとする。尚、波長変換部材30と第1の波長変換部材を同一材料とすれば、部材の共通化によって製造コストの低減が可能になる。
【0062】
尚、波長変換部材30及び第1の波長変換部材の受光面、発光面にレンズパターンなどの、何らかの光学効果を得るためのパターンを形成しても良い。前述の通り、本実施の形態における波長変換部材30は「板状」であるが、全体的な形状が板状であれば、表面に何らかのパターンが形成されていても構わない。また、あるパターンが発光素子の固着面にあったとしても、そのパターンの周期が発光素子の大きさに対して十分に小さければ、発光素子を安定して固定することが可能である。
【0063】
(パッケージ16、凹部16a)
パッケージ16は、側面の一部が散乱面となった凹部16aを有し、発光素子20への電気的な接続が可能となるように発光素子20と波長変換部材30を収納可能であれば、どのような構造でも良い。本実施の形態では、パッケージ16は、平板状の絶縁部材に配線12a、12bを形成した実装基板12とその実装基板12の上に形成された環状の側壁14によって構成され、上面視においてパッケージ16の外形は矩形であり、円形にくりぬかれて環状の側壁14が形成される。実装基板12の上面と側壁14の内面とによって凹部16aが構成されている。また、本実施の形態では、凹部16aの側面に蛍光体粒子54を分散させた蛍光体層56を形成することによって凹部16aの側面を散乱面18としている。これによって、発光素子20から直接取り出される光を増大させ、かつ散乱面を設けて発光素子20から出射した光と波長変換部材30を通過して波長変換された光とを混色させ、凹部16aの上面から取り出すことができ、色むらを抑制して発光出力を向上できる。尚、本実施の形態では、凹部16aの側面を散乱面としているが、凹部16aの底面にも散乱面を設けることができる。例えば、実装基板12の表面にワイヤ接続の領域を残すように適当な散乱層を形成しても良い。また、本実施の形態では、半導体素子20の発光を散乱面18で散乱以外の光学効果(例えば、吸収や波長変換)を伴わないように、そのまま散乱させる構成としている。これによって散乱面18で生じる光のロスを抑制し、光取り出し効率を高めることができる。
【0064】
凹部16aは、発光素子20と波長変換部材30を収納可能であり、上面が光を取り出せるように開放されていれば、どのような形状でも良い。但し、凹部16aの底面は、発光素子20等を安定して固定できるように平坦であることが好ましい。また、凹部16aの内径は、底面から上面に向かって徐々に内径が大きくなっていることが好ましい。また、凹部16aは、平面視の形状が円形であることが好ましく、それによって発光の均一性を高めて色むらを抑制することができる。発光素子20は通常、平面視の形状が矩形であり、発光素子20の全面を波長変換部材で覆ったとしても色むらが発生し易いため、このような矩形の発光素子20を円形の凹部16aの散乱面で散乱させることで、発光の均一性を高めて色むらを抑制することができる。また、板状の波長変換部材30は、平面視の形状が矩形であると製造し易く、このような矩形の光源は円形の凹部16aの散乱面で散乱させることが好ましい。特に、発光素子20と波長変換部材30を含む光源の平面視形状が矩形である場合には、矩形の辺から出射される光と角部周辺から出射される光とで強度差が生じてしまうが、このように取り出された光を円形の凹部16aにおいて散乱させることで、光源の形状に起因する色むらを抑制することができる。さらに、凹部16aは、いずれの高さで見ても平面視で円形であるすり鉢状であることが好ましい。発光素子20と波長変換部材30を含む光源は、平面視で凹部16aの中心に配置されることが好ましい。尚、散乱面に照射された光を効率良く取り出すためには、上面視において、凹部16aの側面に形成された散乱面18が発光素子20及び波長変換部材30の外側に配置されて観察可能であることが望ましい。
【0065】
凹部16aの側面に形成する散乱面18は、発光素子20の発光と波長変換部材30の発光とを散乱可能な面である。散乱可能な面とするためには、上述の蛍光体層56を形成するほか、発光素子20の発光と波長変換部材30の発光の波長の短い方と同程度以下の大きさであって、周囲と屈折率の異なる材料からなる微細構造が分布した面とすることができる。
【0066】
例えば、透光性の母材中に母材と屈折率の異なる透光性の粒子を分散することで散乱面とすることができる。粒子と周囲の材料との屈折率差は、0.1以上、より好ましくは1.0以上とすることが望ましい。尚、ここで言う「屈折率」とは、空気中での屈折率を指す。また、粒子としては、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、シリカ、アルミナ、マグネシア、亜鉛華、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタニア、水酸化アルミニウム、マイカ、長石粉、石英粉などの無機系粒子、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、スチレン系架橋樹脂などの有機系粒子が使用でき、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。粒子としては、特に、Ti、Zr、Nb、Al、Siのいずれかを含む酸化物、AlN、MgF等が好ましい(Ti、Zr、Nb、Al、Siを含む酸化物としては、TiO
2、ZrO
2、Nb
2O
5、Al
2O
3が好ましい)。中でも、Ti、Zr、Nb、Alのいずれかを含む酸化物が好ましい。これらの材料から成る粒子は、屈折率が大きく、封止部材との屈折率が大きく取れるため散乱が強くなるので好ましい。また、何れの酸化物も、可視光領域では吸収を伴わず、効率の低減に関与しないため好ましい。粒子は、白色として観察される程度に含有させることが好ましく、これによって透光性が低く反射率の高い散乱面18とでき、凹部16aの上面からの光取り出し効率を向上できる。
【0067】
粒子の平均粒径Rは、散乱が効率良く生じるように、発光素子20の発光波長をλとして、0.4×λ/π<R<λを充足することが好ましい。粒子の平均粒径Rが0.4×λ/π以下になるとレイリー散乱領域に入り、散乱強度が波長の4乗に比例するようになる。したがって、長波長である蛍光体の発光の散乱が弱くなってしまう。粒子の平均粒径Rは、70nm以上、好ましくは200nm以上であり、400nm以下、好ましくは300nm以下であることが望ましい。また、粒子を含有させる量によって散乱面の散乱係数を調整することができる。例えば、粒子の量を全体の10〜50重量%とすることができ、特にTiO
2の粒子を含有させる場合は、20〜40重量%とすることが望ましい。粒子の含有量を30重量%以上とすれば、散乱面18における散乱が強くなると同時に、反射率も高くなるため好ましい。一方、粒子を含有する周囲の母材としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等が好ましい。中でもシリコーン樹脂は、熱硬化性で、耐光性が良く、比較的柔らかいという特性を持つ。シリコーン樹脂は、屈折率が約1.4と低いため、TiO2(屈折率約2.5)等の粒子との間の屈折率差をつけやすく、散乱面による散乱を強くするために好ましい。
【0068】
尚、凹部16aの側面に形成する散乱面18を別の手法で形成しても良い。例えば、粒子を凝集、焼結して形成した多孔質体を用いて側壁14を形成すれば、その内面を散乱面とすることができる。また、ゾル・ゲル法によって成形した多孔質体を用いて側壁14としても良い。こうした多孔質体では、多孔質体の材料と多孔質体の孔に存在する空気(或いは、そこに充填された異なる屈折率の物質)との屈折率差に基づいて散乱が生じる。尚、こうした多孔質体を側壁14に用いた場合、封止性能や気密性を高めるために多孔質体と樹脂との複合材料としても良い。また、透光性部材または反射性部材の表面に凹凸加工や粗面化を施すことや、表面に散乱粒子層を形成することで、散乱面とすることもできる。
【0069】
また、凹部16aの側面に形成する散乱面18は、できるだけ広い範囲に形成することが好ましいが、少なくとも凹部16aの側面の一部に形成することが好ましい。さらに好ましくは、凹部16aの側面全体に形成することが望ましい。これにより色むらを効果的に抑制することができる。即ち、色むらは、発光素子20から出射した光が波長変換部材30を通過する際の光路長の違いによって生じるが、発光素子20から凹部16aの底面や上面に向かう光については、波長変換部材30の光路長が比較的均一で色むらが発生しにくいのに対し、発光素子20から凹部16aの側面に向かって斜めに進行する光については、波長変換部材30の光路長の違いによる色むらが発生し易いからである。尚、凹部16aの側面の一部に散乱面18を設ける場合、発光素子20の周囲を均等に囲むように散乱面18を形成することが好ましい。即ち、平面視において、発光素子20の中心を基準として全ての方位に均等に散乱面18が形成されていることが好ましい。発光素子20の中心を基準として、ある方位にだけ散乱面18が広く形成されていたり、ある方位にだけ散乱面18が形成されていないような場合、色むらの原因となるからである。
【0070】
特に、本実施の形態のように、板状の波長変換部材30を有する場合、その板状体の側面において発光が強くなる傾向にあるため、色むらが発生し易い。しかし、凹部16aの底面に対して平行に設置された板状体であれば、その板状体の側面から出射した光は凹部16aの側面のうちの板状体の側面に対面する領域に最も入射し易い。そこで、凹部16aの側面の中でも、特に板状の波長変換部材の側面と対面する領域に散乱面を形成することが好ましい。これにより、波長変換部材30が板状であることによって発生する色むらも効果的に抑制することができる。また、発光素子20への戻り光を抑制するためには、散乱面は発光素子20からの光を発光素子20の主面に略平行な方向またはそれよりも凹部16aの上面側に放射する面を成すことが望ましい。
【0071】
尚、凹部16aの「底面」とは、凹部16aのうち、凹部16aの光軸方向における発光素子20の投影面を含み、その投影面と同じ高さ以下の領域をいい、凹部16aの「側面」とは、その「底面」から立ち上がった領域を指す。この「底面」と「側面」の解釈は、他の実施形態における凹部16aについても同様である。
(蛍光体層56)
【0072】
色むらを十分に抑制するためには、蛍光体粒子54によって発光素子20の光が散乱するように蛍光体粒子54を蛍光体層56に分散させる必要がある。そのために、蛍光体粒子54の平均粒径は、3μm以上、好ましくは10μm以上であることが望ましい。また、蛍光体粒子54と周囲の材料との屈折率差は、0より大きく0.4以下とすることが望ましい。尚、ここで言う「屈折率」とは、発光素子20の発光波長における屈折率を指す。蛍光体粒子54の材料としては、波長変換部材30と同様の蛍光体材料を用いることができる。
【0073】
蛍光体粒子54を分散させる蛍光体層56の材料としては、発光素子20の光に対して透光性を持つ有機材料や無機材料を用いることができる。有機材料としては、透光性を持つ樹脂が好ましい。例えば、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物等を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の透光性を有する絶縁樹脂組成物を用いることができる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた樹脂も利用できる。また、無機材料としては、ガラス等のアモルファス材料、無機結晶、セラミックなどを用いることができる。
【0074】
本実施の形態における側壁14は、発光素子20の発光に対して反射率の高い材料とすることが好ましい。例えば、蛍光体層56の外側にある側壁14の材料を、蛍光体層56を構成する材料よりも低屈折率にすれば、蛍光体層56と側壁14の界面での反射率が高くなり好ましい。側壁14の材料と蛍光体層56を構成する材料の屈折率差は、0.05以上、好ましくは0.1以上であることが望ましい。側壁14の材料としては、シリコーン、エポキシ等を用いることができる。
【0075】
本実施の形態において、蛍光体粒子54を含む蛍光体層56は、少なくとも凹部16aの側面の一部、好ましくは側面の全面に形成されていることが好ましい。これによって、発光素子20の側面を波長変換部材から露出させた場合に、発光素子20の側面から出射した光を確実に波長変換し、かつ、散乱させることができる。また、発光素子20の下面から出射した光を波長変換し、かつ、散乱するために、凹部16aの底面との境界まで凹部16aの側面を蛍光体層54で覆うことが好ましい。凹部16aが上に向かって大きくなっていく内径を有するすり鉢状の形状であれば、凹部16aの側面を蛍光体層54で覆うことによって、発光素子20の下面から出射する光も波長変換、散乱し易くなる。凹部16aの側面を蛍光体層16aで覆う構成とすれば、側壁14の内面を蛍光体層56で覆えば足りるため、発光装置10の組立が容易になる。
【0076】
尚、凹部16aの側面だけでなく、凹部16aの底面まで蛍光体層56を設けても良い。但し、凹部16aの底面のうち発光素子20から凹部16aの底面に至る経路中には蛍光体層56を設けないことが好ましい。発光素子20から凹部16aの底面に至る部分は発光素子20の放熱経路であるため、この経路中に蛍光体層56が存在すると放熱効率が低下し、蛍光体層56自身の劣化も加速される。
【0077】
また、本実施の形態における波長変換部材30は、発光素子20の上面のみに形成し、発光素子20の側面と下面は波長変換部材30から露出することが好ましい。発光素子20の上面に波長変換部材30を設けるのは、発光素子20から出射する光のうちパッケージの凹部16aに当たらないで外部に取り出される光を波長変換するためである。本実施の形態における波長変換部材30は、発光素子20の外周から庇状に張り出していることが好ましい。また、波長変換部材30は、無機材料から成ることが好ましい。
【0078】
蛍光体粒子54を含む蛍光体層56や、波長変換部材30は、上記黄色発光する蛍光体に加えて、黄〜赤色発光を有する蛍光体を含んでいても良い。このように異なる蛍光体を含む層を積層した多層構造としても良い。この場合、波長変換部材30は発光素子20側に短波長で発光する蛍光体層を配置することが好ましく、逆に蛍光体層56においては長波発光する蛍光体層を発光素子20側に配置することが好ましい。
【0079】
(支持基板32)
本実施の形態では、発光素子20の発光層38がパッケージの凹部16aの底面から所定距離だけ離間するように、発光素子20が支持基板32を介して実装基板12に固着されている。本実施に形態における支持基板32は、発光層38から下方に出射する光を効率良く利用できるよう発光層38の発光に対して透光性であることが好ましい。また、支持基板32は、発光素子20から実装基板12に至る放熱経路を形成しているため、熱伝導率の高い材料から成ることが好ましい。熱伝導率が0.8[W/mK]以上、より好ましくは1.2[W/mK]以上、さらに好ましくは35[W/mK]以上の材料で構成することが望ましい。
【0080】
支持基板32としては、例えば、サファイア、ガラス等の無機材料を用いることができる。中でもサファイアは、熱伝導率が比較的高く、発光素子20の発光する青色光に対して高い透過率を示すため好ましい。
【0081】
(実装基板12)
実装基板12は、表面に発光素子20と電気的に接続される配線を形成したものであれば良い。本実施の形態では、平板状の絶縁部材に配線を形成して実装基板12としている。絶縁部材として、窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミック、ガラスを用いることができる。また、Si等の半金属あるいは金属の表面に窒化アルミニウム等の絶縁性の薄膜層を形成して用いても良い。これらの実装基板12は、放熱性が高いため、好ましい。また、配線は、イオンミリング法或いはエッチング法等によって金属層のパターニングを施すことによって形成できる。例えば、窒化アルミニウムの表面に白金薄膜等からなる配線パターンを形成できる。更に、配線パターンを保護する目的で、SiO
2等の薄膜からなる保護膜を形成してもよい。また、支持部材が設けられる領域に、実装基板の配線と絶縁された金属部材等の放熱体を設けることもできる。
【0082】
(封止部材28)
凹部16aに充填される封止部材28の材料は透光性であれば特に限定されない。シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物等を使用することが耐久性の面で好ましいが、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の透光性を有する絶縁樹脂組成物を用いることもできる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた封止部材も利用できる。さらに、ガラス、シリカゲル等の耐光性に優れた無機物を用いることもできる。封止部材28は、発光素子20及び波長変換部材30からの光の透過率が波長変換部材30より高い部材であり、蛍光体の含有率が波長変換部材30より小さいことが好ましく、さらに好ましくは蛍光体を含有しない透光性の部材とする。また、光を散乱させる散乱剤は含有しないことが好ましい。尚、封止部材28の上面は、略平坦で、かつ、波長変換部材30と略平行であることが好ましい。これによって、板状である波長変換部材30の主面から斜めに出射した光や側面から出射した光や、波長変換部材30の外側を通過する発光素子20の発光が、封止部材28に高角度で入射し易くなるため、凹部16aに戻し、散乱させ易くなる。
【0083】
以上の実施形態は単なる例示であり、本件発明はこれらに限定されない。また、本件発明の各要素は、上記実施の形態で説明した部材で構成する場合に限られず、発明の複数の要素を単一の部材で構成したり、一つの要素を複数の部材で構成することもできる。