(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体デバイスの半導体層(203)の上方に形成されるエッチング停止層(204A)及び前記エッチング停止層の上方に形成される第1のマスク層(204B)を備えている積層物(204)を前記半導体層(203)の上方に形成することと、
マスク形状(204M)を得るために前記第1のマスク層(204B)をパターニングすることと、
前記マスク形状(204M)の側壁上に側壁スペーサ要素(206)を形成することと、
前記マスク形状(204M)を前記側壁スペーサ要素(206)に対して選択的に除去することと、
チャネル区域とドレイン及びソース区域とをそれぞれ画定するように前記側壁スペーサ要素(206)の一部を露出させる第1の開口(207N)を有する第2のマスク層(207)を設けることと、
前記チャネル区域に対応するフィン(210)を前記半導体層(203)内に形成するために前記側壁スペーサ要素(206)及び前記第2のマスク層(207)をエッチングマスクとして用いることによって前記半導体層(203)内に溝を形成することと、
少なくとも前記フィン(210)の側壁上にゲート電極構造(220)を形成することと、
前記フィン(210)に接続するドレイン(211D)及びソース(211S)領域を前記ドレイン及びソース区域内に形成することとを備えた方法。
請求項1の方法であって、前記第2のマスク層(207)を設けることは分離構造(208)の位置及び横方向の寸法を規定する第2の開口(207M)を設けることを備えている方法。
請求項4の方法であって、前記フィン(210)の実効高さを調整するために前記半導体層(203)の表面に対応する高さレベルより下まで前記開口内で前記誘電体材質を窪ませることを更に備えた方法。
請求項6の方法であって、傾斜角を用いることによってカウンタドーピング注入を実行して前記半導体層の露出させられた側壁区域で前記ドレイン及びソース領域に対するカウンタドーピングドーパントを導入することを更に備えた方法。
請求項1の方法であって、前記ゲート電極構造(220)を形成することは、前記第2のマスク層(207)の前記第1の開口(207N)内で前記フィン(210)の露出させられた側壁区域上に誘電体材質を形成することと、前記ドレイン及びソース領域を形成するのに先立ち前記第1の開口(207N)内にプレイスホルダ材質及びゲート電極材質の少なくとも一方を堆積させることとを備えている方法。
請求項8の方法であって、前記第2のマスク層を除去することと、プレイスホルダ材質及びゲート電極材質の前記少なくとも一方を注入マスクとして用いながら前記ドレイン及びソース領域を形成することとを更に備えた方法。
請求項1の方法であって、前記ドレイン及びソース領域を形成するのに先立ち前記ドレイン及びソース区域における前記半導体層(203)内に空洞を形成することと、前記空洞を歪誘起半導体材質で充填することとを更に備えた方法。
【背景技術】
【0002】
CPU、記憶デバイス、ASIC(特定用途向け集積回路)等の高度な集積回路の製造は、特定の回路レイアウトに従い所与のチップ区域上への多数の回路要素の形成を必要とし、電界効果トランジスタは、集積回路の性能を実質的に決定する回路要素の1つの重要な種類の典型である。概して多くのプロセス技術が現在のところ実施されており、電界効果トランジスタを含め多くの種類の複雑な回路に対しては、動作速度及び/又は電力消費及び/又は費用効果を考慮した優れた特性により、現在のところMOS技術が最も有望な手法の1つである。例えばMOS技術を用いた複雑な集積回路の製造においては、何百万のトランジスタ、例えばNチャネルトランジスタ及び/又はPチャネルトランジスタが結晶性の半導体層を含む基板上に形成される。電界効果トランジスタは、Nチャネルトランジスタ又はPチャネルトランジスタのいずれが考慮されているかにかかわらず、典型的には複数の所謂PN接合を備えており、PN接合は、ドレイン及びソース領域と称される高濃度にドープされた領域とその高濃度にドープされた領域に隣接して配置される低濃度にドープされた又は非ドープの領域、例えばチャネル領域との界面によって形成されている。電界効果トランジスタにおいては、チャネル領域の伝導性、即ち伝導性チャネルの駆動電流能力は、チャネル領域に隣接して形成され且つ薄い絶縁層によってチャネル領域から隔てられているゲート電極によって制御される。ゲート電極への適切な制御電圧の印加による伝導性チャネルが形成されている場合、チャネル領域の伝導性はドーパント濃度、電荷キャリアの移動度に依存し、加えてプレーナトランジスタアーキテクチャに対しては、チャネル長とも称されるソース及びドレイン領域間の距離にも依存する。
【0003】
現在、実質的に無制限の入手可能性、シリコン並びに関連する材質及びプロセスの十分に理解された特性、並びにこの50年で蓄積されてきた経験により、集積回路の大半はシリコンに基いている。従っておそらくシリコンは、大量生産品に対して設計される将来の回路世代のために選択される材質であり続けるであろう。半導体デバイスを製造する場合における主要な重要性に対する1つの理由は、互いに異なる領域の信頼性のある電気的絶縁を可能にするシリコン/二酸化シリコン界面の優れた特性にあった。シリコン/二酸化シリコン界面は高温で安定であり従って、例えば界面の電気的特性を犠牲にすることなくドーパントを活性化し且つ結晶損傷を取り除くための焼鈍サイクルに対して要求されるような後続の高温処理の実行を可能にする。
【0004】
上述した理由のため二酸化シリコンは、大抵は多結晶シリコン又は他の金属含有材質からなるゲート電極をシリコンチャネル領域から隔てるゲート絶縁層として、電界効果トランジスタにおいて好適に用いられる。電界効果トランジスタのデバイス性能を着実に向上させることにおいて、スイッチング速度及び駆動電流能力を改善するために、チャネル領域の長さが絶えず減少させられてきた。トランジスタの動作は、所与の供給電圧に対して望ましい駆動電流を供給するのに十分高い電荷密度にまでチャネル領域の表面を反転させるためにゲート電極に供給される電圧によって制御されるので、ゲート電極、チャネル領域及びそれらの間に配置される二酸化シリコンにより形成されるキャパシタによって提供されるある程度の容量性結合は維持される必要がある。プレーナトランジスタ構造に対してチャネル長を減少させることは、トランジスタ動作の間の所謂短チャネル挙動を避けるために大きな容量性結合を必要とすることが判明している。短チャネル挙動は、漏れ電流の増大とスレッショルド電圧のチャネル長への依存とをもたらす可能性がある。比較的低い供給電圧及びそれにより低下させられたスレッショルド電圧を有する積極的に縮小化されたトランジスタデバイスは、漏れ電流の指数関数的な増大に悩まされることがある一方で、ゲート電極のチャネル領域に対する強化された容量性結合を必要とする。このように二酸化シリコン層の厚みは、ゲートとチャネル領域の間で要求される容量を提供するためにこれに対応して減少させられる必要がある。例えば約0.08μmのチャネル長は、約1.2nmの薄さの二酸化シリコンからなるゲート絶縁体を必要とする。一般的に極めて短いチャネルを有する高速トランジスタ要素が高速な応用のために好適に用いられるであろう一方で、長いチャネルを有するトランジスタ要素は記憶トランジスタ要素のようにより臨界的でない応用のために用いられるであろうが、極薄の二酸化シリコンゲート絶縁層を通っての電荷キャリアの直接的なトンネリングに起因する比較的大きな漏れ電流は、性能駆動回路(performance driven circuits)に対する要求に適合することがきない1〜2nmの範囲の酸化物厚に対する値に達する可能性がある。
【0005】
そこで、特に極めて薄い二酸化シリコンゲート層に対して、二酸化シリコンに代わるゲート絶縁層のための材質が検討されてきた。有望な代替的材質は、対応して形成されるゲート絶縁層の物理的により大きな厚みが、極めて薄い二酸化シリコン層によって得られたであろう容量性結合を提供するように、顕著に高い誘電率を呈する材質を含む。一般に、二酸化シリコンとの特定の容量性結合を達成するために要求される厚みは、容量等価厚み(capacitance equivalent thickness)(CET)と称される。
【0006】
このように二酸化シリコンに代わる高誘電率材質として、kが約25のタンタル酸化物(Ta
2O
5)、kが約150のストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO
3)、ハフニウム酸化物(HfO
2)、HfSiO、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)等が提案されてきた。
【0007】
上で特定した戦略に基く洗練されたプレーナトランジスタアーキテクチャの性能及び可制御性について顕著な優位性が得られるであろうが、更なるデバイスの縮小化を考慮して、新規なトランジスタ構造が提案されてきており、その構造においては、所望のチャネル幅を得る一方で同時にチャネル領域を通る電流フローの良好な可制御性を維持する試みにおいて「三次元」アーキテクチャが提供され得る。この目的のために所謂FinFETSが提案されてきており、FinFETSにおいては絶縁体上シリコン(SOI)基板の薄い活性層内にシリコンの薄い薄片(sliver)又はフィン(fin)が形成されてよく、両側壁上にはゲート誘電体材質及びゲート電極材質が設けられてよく、それによりダブルゲートトランジスタを実現することができ、ダブルゲートトランジスタのチャネル領域は完全に減損している(fully depleted)であろう。典型的には洗練された応用においては、シリコンフィンの幅は約10nmであり、その高さは約30nmである。基本ダブルゲートトランジスタアーキテクチャの修正バージョンにおいては、ゲート誘電体材質及びゲート電極はフィンの上面上にも形成されてよく、それによりトライゲートアーキテクチャが実現される。
図1a及び1bを参照して、従来のFinFETSの基本構成及び従来の製造技術に付随する特性を更に詳細に説明する。
【0008】
図1aは従来のダブルゲート又はフィン電界効果トランジスタ(FinFET)150を備えた半導体デバイス100の斜視図を模式的に示している。図示されるように、デバイス100はシリコン基板のような基板101を備えていてよく、基板101上には埋め込み絶縁層102が例えば二酸化シリコン材質の形態で形成されている。また
図1aにおいては、フィン110は埋め込み酸化物層102上に形成されたシリコン層(図示せず)の残留部分を代表するように示されており、それによりSOI構造を画定している。フィン110はドレイン及びソース領域111の一部とチャネル領域(図示せず)とを備えていてよく、これらはフィン110のそれぞれの側壁110A及び110B上に形成されてよいゲート電極構造120A,120Bによって覆われていてよく、ゲート電極構造120A,120Bは多結晶シリコン等の電極材質と組み合わされる二酸化シリコンのような適切なゲート誘電体材質を備えていてよい。フィン110の上面はキャップ層112によって覆われていてよく、キャップ層112はシリコン窒化物等から構成されていてよい。図示されるように、両電極構造120A,120Bはキャップ層112上に形成される電極材質によって接続されていてよい。フィン110は全般的なデバイス要求に対応して高さ110H、幅110W及び長さ110Lを有していてよく、フィン110内の実効チャネル長は、フィン110によって規定される長さ方向に沿ったゲート電極構造120A,120Bの延びによって実質的に決定されてよい。
【0009】
典型的にはFinFET150を備えた半導体デバイス100は、埋め込み絶縁層102上に形成された活性シリコン層をパターニングし、次いでゲート電極構造120A,120Bを形成するために適切に設計された製造プロセスを実行し、ドレイン及びソース領域111並びにチャネル領域のための適切なドーパントプロファイルを画定し、そして適切なコンタクト層を形成することによって形成される。
【0010】
動作の間、適切な供給電圧及び適切な制御電圧をゲート電極120A,120Bに印加することによって、ドレインからソースへの電流フローが確立される。従ってチャネル領域、即ちゲート電極構造120A,120Bによって囲まれたフィン110の一部をフィン110の両側から制御することができ、強化されたチャネル制御を提供することが期待される完全に減損した構造が得られる。
【0011】
図1bはデバイス100の上面図を概略的に示しており、3つのFETトランジスタ150が設けられている。図示されるように、トランジスタ150のドレイン領域とソース領域は、エピタキシャル再成長シリコン材質によって接続されていてよく、それによりドレイン側とソース側にそれぞれシリコン層103が形成される。典型的には、ドレイン側及びソース側でのシリコン材質は選択的エピタキシャル成長技術によって形成することができ、従って種々のダブルゲート構造120A,120Bのゲート電極材質に必要なオフセットを設けるためのスペーサ要素104が要求される。個々のトランジスタセル150のドレイン及びソース領域として作用する半導体層103がドレイン側及びソース側に設けられてよいが、それにもかかわらず領域111(
図1a参照)のようなドレイン及びソース領域の一部は、スペーサ要素104の存在を理由として設けられている必要があるであろうし、それによりフィン内の限定された量のシリコン体積に起因し且つ埋め込み酸化物中へのドーパントの外方拡散に起因する適度に高い直列抵抗が生じることがある。従って、これらのトランジスタは、チャネルの完全な減損に起因し且つ2つ又は3つのゲートからの制御に起因する優れた短チャネル挙動を示すのであるが、キャップ層112(
図1a参照)が省略され且つゲート誘電体材質によって置換された場合、各個々のトランジスタ150内ではフィンにおけるドレイン及びソース領域111の高い直列抵抗によって駆動電流が制限され、現在のところこの技術は、バルク構造内又は部分的に減損したSOI構造内に提供され得る標準的なプレーナトランジスタアーキテクチャに対抗することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示は添付図面と共に以下の記述を参照することによって理解することができ、図面において同様の参照番号は同様の要素を特定する。
【0019】
【
図1a】
図1aはSOI基板に基く従来のFinFETトランジスタセルを備えた半導体デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図1b】
図1bはSOI基板に基く従来のFinFETトランジスタセルを備えた半導体デバイスを模式的に示す上面図である。
【
図2a】
図2aはバルク基板内に形成されるフィンを含む「三次元」トランジスタ構造を模式的に示す斜視図であり、ドレイン及びソース領域並びにフィンは、例示的な実施形態に従いゲート電極構造に関する自己整合プロセス技術を提供することによって共通の製造プロセスにおいて形成することができる。
【
図2b】
図2bは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その1)である。
【
図2c】
図2cは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その2)である。
【
図2d】
図2dは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その3)である。
【
図2e】
図2eは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その4)である。
【
図2f】
図2fは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その5)である。
【
図2g】
図2gは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その6)である。
【
図2h】
図2hは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その7)である。
【
図2i】
図2iは例示的な実施形態に従いバルク半導体層内にフィンを形成する種々の製造段階の間における複数のFinFETトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その8)である。
【
図2j】
図2jは例示的な実施形態に従いウエル注入プロセスを実行するのに先立つフィンを模式的に示す断面図である。
【
図2k】
図2kはウエル注入プロセスの後を模式的に示す斜視図である。
【
図2l】
図2lはウエル注入プロセスの後を模式的に示す断面図である。
【
図2m】
図2mは例示的な実施形態に従い自己整合のゲート電極構造を形成する種々の製造段階における半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その1)である。
【
図2n】
図2nは例示的な実施形態に従い自己整合のゲート電極構造を形成する種々の製造段階における半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その2)である。
【
図2o】
図2oは例示的な実施形態に従い自己整合のゲート電極構造を形成する種々の製造段階における半導体デバイスを模式的に示す斜視図(その3)である。
【
図2p】
図2pはフィン方向に沿って模式的に示す断面図である。
【
図2q】
図2qは半導体デバイスを模式的に示す上面図である。
【
図2r】
図2rは例示的な実施形態に従い種々の製造段階の間におけるフィン長さ方向に沿って模式的に示す断面図(その1)である。
【
図2s】
図2sは例示的な実施形態に従い種々の製造段階の間におけるフィン長さ方向に沿って模式的に示す断面図(その2)である。
【
図2t】
図2tは例示的な実施形態に従い種々の製造段階の間におけるフィン長さ方向に沿って模式的に示す断面図(その3)である。
【
図2u】
図2uは例示的な実施形態に従い種々の製造段階の間におけるフィン長さ方向に沿って模式的に示す断面図(その4)である。
【
図2v】
図2vは例示的な実施形態に従い種々の製造段階の間におけるフィン長さ方向に沿って模式的に示す断面図(その5)である。
【
図2w】
図2wは例示的な実施形態に従い金属置換ゲート及び高k誘電体材質のフィン幅方向に沿って模式的に示す断面図である。
【
図3a】
図3aは更に他の例示的な実施形態に従い複数のダブルチャネルトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す断面図(その1)である。
【
図3b】
図3bは更に他の例示的な実施形態に従い複数のダブルチャネルトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す断面図(その2)である。
【
図3c】
図3cは更に他の例示的な実施形態に従い複数のダブルチャネルトランジスタセルを含む半導体デバイスを模式的に示す断面図(その3)である。
【0020】
ここに開示される主題が種々の修正及び代替的な形態を許容し得る一方で、その具体的な実施形態が例示の目的で図面に示されてきており、ここに更に詳細に説明される。しかしながら、具体的な実施形態のここでの説明は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図しているのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲により画定されるような本発明の精神及び範囲内にある全ての改変、均等なもの及び代替案を網羅する意図であることが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の種々の例示的な実施形態が以下に説明される。明瞭のために、実際の実装の全ての特徴は本明細書において説明されていない。言うまでもなく、そのようないかなる実際の実施形態の開発においても、1つの実装と他とで異なるものになるであろうシステム関連及びビジネス関連の制約の遵守のような開発者の特定の目標を達成するために、多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解されるであろう。また、そのような開発努力は得てして複雑で且つ時間のかかるものになろうが、この開示の利益を享受する当業者にとっては経常的業務であろうことが理解されよう。
【0022】
添付図面を参照して本主題を以下に説明する。種々の構成、システム及びデバイスが、説明のみを目的とし且つ当業者に周知の詳細と相まって本開示を不明確にすることのないように、図面内に模式的に描かれている。それでもなお、本開示の例示的な実例を説明するために添付図面が含まれているものである。ここで用いられている語句(words and phrases)は、関連分野を含めた当業者によるそれらの語句の理解と矛盾しないような意味において理解され且つ解釈されるべきである。用語又は句(term or phrase)の特別な定義、即ち当業者によって理解されるようなありふれた且つ慣例的な意味とは異なる定義は、ここでの用語又は句の一貫した使用によって暗示されることを意図したものではない。用語又は句が特別な意味、即ち当業者によって理解される以外の意味を有することが意図される限りにおいて、そのような特別の定義は、用語又は句に対する特別な定義を直接的に且つ明白に提供する定義的な方法で明細書中に明示的に記載されるであろう。
【0023】
概して本開示は、FinFETSとも称されることがあるダブルゲートトランジスタ、又はトライゲートトランジスタがバルク基板上に形成されてよい方法及び半導体デバイスに関する。即ち、トランジスタのチャネル領域を収容するためのフィン要素が半導体層内に形成されてよく、フィンの高さは対応する半導体層の厚みよりも小さい。従ってこの意味において、任意の更なる埋め込み絶縁層がバルク半導体層の「深さ(depth)」において設けられてよいかにかかわらず、シリコン体積(silicon volume)のような付加的な半導体体積が実際のフィン要素の下方に設けられていてよい任意のトランジスタ構造が考えられてよい。幾つかの例示的な実施形態では、自己整合(self-aligned)製造シーケンスにおいて達成することができる低抵抗ドレイン及びソース区域と組み合わされたフィン及び2つ又は3つのゲート電極構造のための基本構造を完成させた後に、十分に確立されたプレーナ処理技術を用いて、ドレイン及びソースのドーパントプロファイルを調節し、例えば歪誘起メカニズム等を適用することによってチャネル領域の全体の直列抵抗を高めることができる。その結果、三次元トランジスタ構造の利点を維持することができる一方で、従来のFinFETS又はトライゲートトランジスタの駆動電流制限を著しく低減し、同時に高度に効率的な全体の製造処理フローを提供することができる。
【0024】
図2aは半導体デバイス200の斜視図を概略的に示し、半導体デバイス200は、半導体層203をその上に形成するためのシリコン基板又は任意の他の適切なキャリア材質のような基板201を備えていてよく、半導体層203は場合によってはゲルマニウム、炭素等の付加的な成分を備えているシリコン層を代表してよく、一方他の場合には任意の他の適切な半導体成分が用いられてよい。1つの例示的な実施形態では、半導体層203は、少なくとも局部的にデバイス区域内にある基板201の実質的に結晶性の材質の一部をなすことができるシリコンベースの材質を代表してよく、デバイス区域内に複数のダブルゲート又はトライゲートのトランジスタ250が形成されることになる。半導体デバイス200は全体の要求に応じて、他のデバイス区域内にあるSOI構造を有していてよいことが理解されるべきである。図示されるように、1つ以上のトランジスタ250は半導体層203内に形成される共通ドレイン領域211D及び共通ソース領域211Sを有していてよく、この場合ドレイン及びソース領域211D,211Sはそれぞれのフィン210によって接続されていてよく、各フィン210は1つのトランジスタ250のチャネル領域の役割を果たしてよい。従って、フィン210はまた、隣接するフィン210間にそれぞれの凹部203Rを設けることによって半導体層203内に形成されていてよく、それによりフィン210の三次元の寸法、例えばその高さ、幅及び長さが規定される。また凹部203Rは、フィン210の少なくとも側壁上に及び、幾つかの例示的実施形態においては加えてフィン210の上面上に形成されることになるそれぞれのゲート電極構造の位置をも規定してよい。後で更に詳細に説明されるように、ドレイン及びソース領域211D,211S、フィン210並びに凹部203R内及びフィン210の上方のそれぞれの電極構造は、自己整合の手法によってそれぞれの隔離構造(図示せず)と共に設けられてよく、隔離構造は1つ以上のトランジスタ250を包囲し且つ凹部内に形成されるべきゲート電極材質に関して凹部の絶縁を提供することができ、これについても後で更に詳細に説明する。
【0025】
図2bは初期の製造段階における半導体デバイス200を模式的に示している。図示されるように、積層物(layer stack)204が半導体層203上に形成されてよく、積層物204は、半導体層203上に形成されるエッチング停止層204Aと、エッチング停止層204A上に形成されるマスク層204Bとから構成されていてよい。例えば、エッチング停止層204Aは二酸化シリコン材質の形態で提供されてよい一方で、マスク層204Bはシリコンから構成されていてよい。またレジスト形状(resist features)205は、考慮されている技術標準に従う幅及び間隔を有する線状形状の形態で設けられていてよい。即ち、レジスト形状205によって規定される幅及び間隔は、対応する技術標準の限界寸法を表していてよく、対応するリソグラフィ技術に基いて確実に且つ再現性良くパターニングすることができる。
【0026】
図2bに示されるような半導体デバイス200は以下のようなプロセスに基いて形成することができる。半導体層203を備えた基板201は、例えばシリコンバルク基板の形態で提供されてよい一方で、他の場合には前述したように基板201及び半導体層203のための異なる構造が採用されてよい。その後、例えば十分に確立された技術に基いて酸化物層を例えば約2〜5nmの適切な厚みに成長させることによって、エッチング停止層204Aが形成されてよい。次いで十分に確立されたプラズマ支援の又は熱的に活性化された堆積のレシピを用いて、例えばシリコン材質の形態にあるマスク層204Bが例えば約60〜80nmの厚みで堆積させられてよい。積層物204内の二酸化シリコン材質及びシリコンを用いることによって、半導体層203内に形成されるべきフィンに対するマスク形状を提供するための適切なハードマスクを形成する場合に、積層物204をパターニングするための十分に確立されたレシピを用いることができる。更なるプロセスの間に要求されるエッチング停止能力を得ることができる限りにおいて、他の材質が積層物204のために用いられてよいことが理解されるべきである。エッチング停止層204Aは、二酸化シリコンから構成される場合、層204Aが例えばマスク層204Bで覆われている(capped)ときにフッ化水素酸(HF)のようなウエット化学エッチング薬品との接触に際しての横方向のエッチングを回避するような適切な厚みを有するように設けられていてよい。このようにして、それぞれのウエット化学エッチングプロセスの間におけるそれぞれの形状の任意の不所望なアンダーエッチングが抑制される。一方マスク層204Bはフィン210の望ましい最終的な幅に等しいかそれよりも大きい厚みを有するように設けられてよく、何故ならばこれらのフィンは、後の製造段階でマスク層204Bから形成されることになるマスク形状の側壁上に共形的な手法で形成されるべき側壁スペーサ要素に基いて形成されてよいからである。また積層物204を設けた後に、十分に確立されたリソグラフィ技術に基いてレジスト形状205が設けられてよい。
【0027】
図2cはマスク形状204Mを有する半導体デバイス200を模式的に示しており、マスク形状204Mはそれらの横方向の寸法に関してはレジスト形状205(
図2b)に実質的に対応していてよいが、マスク形状204Mの高さはマスク層204B(
図2b)の最初の厚みによって規定される。形状204Mは適切に設計されたエッチングプロセスに基いて形成されてよく、幾つかの例示的な実施形態においては、層204B,204Aがそれぞれシリコン及び二酸化シリコンから構成される場合には、多結晶ゲート電極をパターニングするための十分に確立されたエッチングレシピを基礎として用いることができる。その後、任意の適切な技術に基いてレジスト形状205が除去されてよい。
【0028】
図2dはマスク形状204Mの露出させられた側壁部分上に形成される側壁スペーサ要素206を有するデバイス200を模式的に示している。例えば側壁スペーサ要素206はシリコン窒化物から構成されていてよく、所望の程度のエッチング選択性及び後続のプロセスとの両立性が確保することができる限りにおいて、シリコン炭化物、窒素含有シリコン炭化物等の他の適切な材質が用いられてよい。スペーサ206は、例えば熱的に活性化された化学的気相堆積(CVD)技術によって、スペーサ要素206に基いて形成されることになるフィンの望ましい最終的な幅に実質的に対応してよい堆積厚みを制御しながら、シリコン窒化物材質を堆積させることによって形成することができる。スペーサ材質の堆積の後、エッチング停止層204Aに関して選択的であってよい異方性エッチングプロセスが実行されてよい。幾つかの例示的な実施形態においては、マスク形状204Mに関して選択的であってよく周知のプロセス技術を用いて達成することができるエッチングレシピを使用可能である一方、他の場合には層204Aの高度なエッチング停止能力が維持される限りにおいてスペーサ材質及びマスク形状204Mに対して非選択的なエッチングレシピも使用可能である。
【0029】
図2eはマスク形状204Mの選択的な除去の後のデバイス200を模式的に示しており、選択的な除去は、エッチング停止層204A及びスペーサ要素206に関して十分に高い選択性をもたらすことができる任意の適切な選択エッチング薬品によって達成され得る。例えば臭化水素(HBr)に基く多くのプラズマ支援エッチングレシピが使用可能であり、他の場合において、二酸化シリコン、シリコン窒化物及びシリコンがエッチング停止層204A、スペーサ206及びマスク形状204Mの材質として用いられてよいときには、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)に基くウエット化学的技術が採用されてよい。TMAHは酸化物(2000〜3000:1)及び窒化物(約10000:1)に対して極めて選択的であり従って、半導体層203内にフィンを形成するためのハードマスク要素としての役割をなすスペーサ206の材質を必要以上に消費することなしに、露出させられたマスク形状204Mを効果的に除去する。例えばTMAHに基くウエット化学的エッチングプロセスは、例えばマスク形状204Mの露出させられた表面部分上に形成されることのある生来の酸化物を除去するために、プラズマ支援プロセスと組み合わされてもよい。
【0030】
図2fは半導体層203内のチャネル区域にフィンを形成するための更なるマスクを形成する一方で同時にそれぞれのドレイン及びソース区域(
図2a参照)を画定する更に進んだ製造段階における半導体デバイス200を模式的に示している。図示されるように、マスク層207はマスク要素207A,207Bを備えていてよく、これらは
図2aに示されるドレイン及びソース領域211D,211Sのようなドレイン及びソース区域に対応していてよい。またマスク要素207Cは、チャネル区域及び、ダブルゲート又はトライゲートトランジスタのためのゲート電極構造がその内部に形成されることになる領域としての役割を果たしてよい一方で、マスク形状207Dは分離溝(isolation trenches)が半導体層203内おいてその内部に形成されることになるそれぞれの区域としての役割を果たしてよい。一方のマスク形状207A,207B及び他方の形状207C,207Dは、後の製造段階におけるマスク要素207C,207Dの選択的な除去を可能にするために、異なる材質から構成されてよい。例えば、形状207A,207Bはシリコン窒化物から構成されてよく、形状207C,207Dはシリコン材質から構成されてよい。
【0031】
マスク層207はシリコンのような適切な材質の層を堆積させることによって形成することができ、その厚みは、半導体層203内に更に形成されるべきフィンの上端からソース/ドレイン注入種(implantation species)を遮るのに必要な最終的なゲート高さ以上になるように選択されてよい。例えばマスク層207の厚みは約70〜90nmであってよい。その後、層207がリソグラフィプロセスによってパターニングされてよく、そのプロセス内においてマスク形状207C,207Dの位置が同時に規定され、従ってドレイン及びソース区域、ゲート電極並びに分離構造の横方向の寸法及び位置が自己整合の手法によって与えられる。対応するリソグラフィプロセスを実行した後、十分に確立されたエッチングレシピ、例えば前述したような二酸化シリコンに対してシリコンを選択的にエッチングするためのレシピを用いて、マスク層207を異方的にエッチングすることができる。その後、マスク要素207A,207Bを形成するための適切な充填材質が例えばシリコン窒化物の形態で堆積させられ、この場合、対応して現れる表面トポロジは、化学的機械的研磨(CMP)のような平坦化プロセスを実行することによって平坦化されてよく、残りのマスク形状207C,207Dは、平坦化プロセスの高度な制御を提供するためのCMP停止層として用いられてよい。次いでゲート電極及びチャネル区域と分離構造とに対応するマスク要素207C,207Dは、例えば前述したのと同様なプロセスを用いることによって選択的に除去されてよい。例えば窒化物及び酸化物に対して選択的にシリコンを効率よく除去するためにTMAHが用いられてよい。
【0032】
図2gは上述したプロセスシーケンスの終了の後の半導体デバイス200を模式的に示している。従ってそれぞれの開口207N,207Mがマスク層207内に形成され、それによりチャネル区域、即ちフィンがその内部に形成されるべき区域を画定すると共に分離溝区域をも画定する一方、残りのマスク要素207A,207Bは更に形成されることになるドレイン及びソース区域となってよい。開口207N,207Mに基いて、分離溝を形成するための要求に応じて、最初にエッチング停止層204Aを通り半導体層203内へ所望の深さまでエッチングするように、異方性エッチングプロセスが実行されてよい。例えば約250〜350nmのエッチング深さが用いられてよく、この場合エッチングプロセスは十分に確立されたプラズマ支援レシピに基いて実行することができる。その後、半導体層203内に形成された対応する溝は、二酸化シリコンのような適切な誘電体材質によって充填されてよく、開口207N,207Mも充填されてよい。更に誘電体充填材質の密度を高めるために焼鈍プロセスが実行されてよく、また任意の過剰な材質はCMPによって除去されてよく、それによりプレーナ表面トポロジが提供され、この場合マスク要素207A,207BはCMP停止層として作用してよい。
【0033】
図2hは上述したプロセスシーケンスの終了の後の半導体デバイス200を模式的に示している。図示されるように、開口207M(
図2g参照)に対応して半導体層203内に分離構造208が形成されてよく、この製造段階では、分離構造208の誘電体材質はマスク要素207A,207Bによって画定される表面まで上方に延びていてよい。同様にして、マスク層207に基いて実行された先行する溝エッチングプロセスの間、スペーサ要素206(
図2e参照)もまた開口207N内のハードマスクとして作用することができ、「深い」フィン210Lをもたらすので、更に形成されるべきフィンのそれぞれの下部210Lに隣接して分離構造208Aを形成することができる。
【0034】
図2iは更に進んだ製造段階における半導体デバイス200を模式的に示している。図示されるように、分離構造208の上方並びに分離構造208A及び深いフィン210L(
図2h参照)の上方に形成された誘電体材質は除去されてよい一方で、構造208,208A内の誘電体材質の凹部形成の程度を規定することによってフィン210を実際に形成するために、分離構造208,208A内に望ましい凹部208Rが形成されてよい。対応する制御された材質除去は高度に希釈されたHF溶液を用いて達成することができ、所与のエッチングレートに対して凹部208Rの深さは、深いフィン210Lの上部を表すフィン210の高さ210Hを調節するために調節されてよい。また幾つかの例示的な実施形態では、フィン210の上面を露出させるために、例えば選択的異方性エッチングプロセスに基き、「キャップ層」、即ちスペーサ要素206(
図2e)が除去されてよい。この場合、フィン210はトライゲートトランジスタ要素のチャネル領域の役割をなす。
【0035】
図2jは開口207C(
図2i参照)に沿った断面図を模式的に示している。図示されるように、分離構造208(
図2i参照)に必要な特定の深さにまで及ぶように分離領域208Aが半導体層203内に形成されており、深いフィン210Aが分離領域208Aを隔てている。また凹部208Rはフィン210の有効高さを規定し、幾つかの例示的な実施形態では、有効高さはデバイス全体の要求に応じて約20〜30nmに選択されてよい。一方、フィン210の幅210Wはスペーサ要素206(
図2i参照)によって決定することができ、スペーサ要素206は凹部208Rの形成に際してエッチングマスクとして用いることができる。他方、フィン210の長さ、即ち
図2jにおいて図面に垂直な方向の寸法は、開口207C(
図2i参照)の幅によって決定することができる。またこの製造段階においては、エッチング停止層204Aの残りはフィン210の上面上に設けられたままでよい。その結果、トランジスタ要素の基本構造がフィン210の形態でもたらされてよく、この場合、
図2aに示されるような基本構造の他に、凹部208Rは半導体材質の層203内よりはむしろそれぞれの分離領域208A内に設けられてよいことが理解されるべきである。
【0036】
図2kは適切に設計された「プレーナ」プロセス技術がトライゲートトランジスタ構造を完成させるために適用されてよい更に進んだ製造段階における半導体デバイス200を模式的に示している。
図2kにおいては、Nチャネルトランジスタ及びPチャネルトランジスタのための基本的トランジスタ特性を画定するために注入シーケンス209が実行されてよい。Nチャネルトランジスタに対しては、パンチスルー(punch through)を防止するためにP型ドーパント種が導入されてよく、このことは0度の傾斜角で注入209を実行することによって達成することができ、この場合、他の種類のトランジスタは十分に確立されたリソグラフィ技術に従ってレジストマスクでマスクされていてよい。幾つかの例示的な実施形態では、注入シーケンス209は傾斜注入ステップ209Aを含むことができ、傾斜注入ステップ209Aでは、イオンビームはフィン210の幅方向と実質的に平行な回転軸に対応して傾斜させられていてよい。従って傾斜注入ステップ209Aの間は、Nチャネルトランジスタに対してカウンタドーパントであるP型ドーパントが、ドレイン及びソース区域211S,211Dの露出させられた側壁211F内に取り込まれてよい。一方、5〜10度の傾斜角を用いると共に適切な注入走査形態を用いることによって、フィン210へのドーパント種の顕著な取り込みを抑制することができる。同様に、対応するNチャネルトランジスタをマスキングしながらN型ドーパント種をPチャネルトランジスタ内に導入することができる。ドレイン及びソース区域211S,211Dの露出させられた側壁部分211Fでのカウンタドーパント種の取り込みは従って、後の製造段階において凹部208R内に形成されてよいゲート誘電体材質及びゲート電極材質に関して増大された「分離区域」を提供することができ、増大された分離区域は減少された寄生ゲート・ソース/ドレイン容量をもたらすことができる。従って、注入プロセス209及び209Aの照射量(dose)及びエネルギは、後の製造段階において実行されるべき対応するソース/ドレイン注入プロセスに適切に適合させられてよい。
【0037】
図2lは注入プロセス209の後のデバイス200の断面図を模式的に示している。図示されるように、209Wで示されるウエル(well)注入種をデバイス要求に従う所望の深さで深いフィン210L内に取り込むことができる。対応するウエル注入209Wは分離領域208A内にも導入されてよいことが理解されるべきである。次いで、ゲート酸化物等のゲート誘電体材質の形成に対してデバイス200を準備するために、十分に確立された洗浄プロセスが実行され、それに続き誘電体材質の堆積及び/又は酸化、例えばフィン210の露出された表面上への二酸化シリコンの成長がなされてよい。その後、十分に確立された「プレーナ」プロセスレシピに基き、ゲート電極材質が例えば多結晶シリコンの形態で堆積させられてよい。
【0038】
図2mは、上述したプロセスシーケンスの後であって且つ、結果として得られた表面トポロジを、例えばCMPに基きマスク要素207A,207BをCMP停止材質として用いて任意の過剰なゲート電極材質を除去することにより平坦化した後の半導体デバイス200を模式的に示している。従って、複数の個々のゲート電極構造(図示せず)を備えていてよいゲート電極構造220がマスク要素207A,207Bの間に形成されてよい一方で、それぞれの犠牲「ゲート電極構造」220Sが分離構造208の上方に形成されてよい。幾つかの例示的な実施形態では、ゲート電極構造220はゲート誘電体と組み合わせて実際のゲート電極の役割をなしてよく、従って誘電体材質等に関する適切なパラメータが選択されてよいことが理解されるべきである。他の場合には、
図2mに示されるようなゲート電極構造220はプレイスホルダ(place holder)として用いられてよく、後の製造段階において金属含有電極材質及び高k誘電体材質に基く高性能なゲート電極構造で置換されてよい。
【0039】
図2nは更に進んだ段階における半導体デバイス200を模式的に示しており、その段階においてはマスク材質230がそれぞれの電極材質220,220Sの上端上に形成されてよく、例えば酸化物層の形態にあるマスク材質230は酸化プロセス等に基き生成することができる。またエッチングマスク231が、露出させられた部分を保護するためにデバイス200の上方に形成されてよく、その内部にはゲート電極は形成されないことになる。即ち、エッチングマスク231は犠牲構造220Sに対応する部分を露出させてよく、また構造220を覆ってよい。その後、露出されたマスク材質230を除去するために例えばフッ化水素酸を用いることによって適切に設計されたエッチングシーケンスが実行され、次いで例えば窒化物及び酸化物に対して選択的な多結晶シリコンの形態にある構造220Sの材質を選択的に除去するために、選択的プラズマ支援エッチングプロセスが実行されてよい。この場合にも、プレーナトランジスタ構造において用いられる技術と同様なエッチング戦略が用いられてよい。他の場合には、前述したようにウエット化学的エッチング薬品が用いられてよい。
【0040】
図2oは上述したプロセスシーケンス及びエッチングマスク231の除去の後の半導体デバイス200を模式的に示している。従って分離構造208は露出させられている一方で、マスク要素207A,207Bはドレイン及びソース区域211S,211Dを依然として覆っていてよい。その後、マスク要素207A,207Bはマスク材質230及び分離構造208に対して選択的に除去されてよい。この除去は、マスク要素207A,207Bがシリコン窒化物から構成される場合、加熱したリン酸を用いることによって達成することができる。
【0041】
図2pはマスク要素207A,207Bを除去した後におけるフィン210の幅方向に沿った断面図を模式的に示している。従って図示されるように、ゲート電極構造220が凹部208Rの内部及び上方並びにフィン210の周囲及び上方に形成される一方で、それぞれのゲート誘電体221A,221B,221Cがフィン210の表面上に設けられる。即ち図示された実施形態においてはトライゲート構造がもたらされてよく、トライゲート構造においては、フィン210の両側壁上にゲート誘電体221A,221Cが形成されてよい一方で、フィン210の上面上にもゲート誘電体材質221Bが形成されてよい。またゲート電極構造220、即ちそのゲート電極材質222、例えば多結晶シリコン材質上には、マスク材質230が依然として形成されていてよい。
【0042】
図2qは
図2pに示されるようなデバイス200の上面図を模式的に示している。従ってドレイン及びソース区域211D,211Sとフィン210の形態にあるそれぞれのチャネル領域とを備えたトライゲートトランジスタ250が、分離構造208によって横方向に包囲されている。図示されるように、チャネル、即ちフィン210、従ってゲート電極構造220の長さは、既に実行されたマスキング形態によって規定することができ、それによりドレイン及びソース区域211D,211S並びに分離構造208の自己整合のパターニング及び位置決めがここでも提供される。
【0043】
図2rはその左側に
図2qのII左線(line II left)に沿った断面図を模式的に示しており、その右側には
図2qのII右線(line II right)に沿った断面図が示されている。従って
図2rの左側に示されるように、フィン210の上端上に形成されたゲート誘電体材質221Bを伴うゲート電極材質222とドレイン及びソース区域211D,211Sとの組み合わせは、プレーナトランジスタアーキテクチャと比較してよく似た構造を有していてよい。右側において、「ギャップ」区域、即ち
図2qに示されるような隣接するフィン210間の区域の対応する断面図は、フィン210の高さ(
図2rの左側を参照)が分離領域の凹部形成の程度によって規定されるという基本的概念を示している。従って
図2rの左側に示されるようなトランジスタ250の構造は、十分に確立されたプレーナプロセス技術の採用を可能にし、それによりフィン210内の大きなシリコン体積の提供が可能になることに加えて、トランジスタ250の総合的な電気的特性を適切に調節するための高い効率性の提供が可能になる。この目的のために、十分に確立された注入技術、応力誘起メカニズム等を実施することができる。
【0044】
図2s〜2vを参照して、Pチャネルトランジスタ及びNチャネルトランジスタに対する所望のトランジスタ性能を得るための例示的な実施形態に従うそれぞれのプロセス技術を説明する。
【0045】
図2sは
図2qに示される断面に沿った断面図を模式的に示しており、即ち
図2sの左側にはフィン210の長さ方向における断面が示されており、右側にはギャップ区域内の対応する断面が示されている。図示されるように、トランジスタ構造250Nは、Nチャネルトランジスタを代表していてよく、またドレイン及びソース領域211を画定するドレイン及びソース区域211S,211D(
図2r参照)内でフィン210に隣接する高度なドーパントプロファイルを備えていてよい。例えば、フィン210によって代表され得るチャネル領域213と共に適切なPN接合を形成するために、プレーナトランジスタ構成におけるのと同様に、拡張領域211Eが設けられてよい。またドレイン及びソース領域211内のドーパント濃度を適切に規定するために、スペーサ構造223がゲート電極材質222の側壁上に形成されてよい。
【0046】
図2sの右側にはギャップ区域内で対応する構造が示されている。ここでは、前述したように分離領域208A内の凹部内にまでゲート電極材質222が延在している一方で、幾つかの例示的な実施形態では、ゲート電極材質222に対してのドレイン及びソース領域211のオフセットの増大が、注入プロセス209(
図2k参照)の間のカウンタドーピング(counter-doping)によって達成されてよく、その場合、半導体層203の露出させられた側壁部分がウエルドーパント種に対応するドーパント種を受け取ることができ、それによりドレイン及びソース領域211に関して「撤回された(withdrawn)」PN接合がもたらされ、ドレイン及びソース領域211とゲート電極材質222の間での寄生容量がオフセットの増大に起因して低減される。
【0047】
図2sに示されるようなトランジスタ構造250Nは、Pチャネルトランジスタをマスキングしながら適切な注入プロセスを実行することによって、例えば、フィン210とドレイン及びソース領域211との間の区域におけるウエルドーパント濃度を適切に高めるために、十分に確立されたレシピに従ってハロー(halo)注入プロセスを用いることによって、完成することができる。その後、拡張領域211Eが例えば適切に設計されたオフセットスペーサの構造223を用いることによって形成されてよく、次いでスペーサ構造223は、所望の濃度プロファイルを確立するための後続の深いドレイン及びソース区域の注入に際して注入マスクとして作用するように、適切な幅に形成される。スペーサ構造223は、対応する注入プロセスの後に形成されるであろう複数の個々のスペーサ要素を備えていてよいことが理解されるべきである。
【0048】
図2tは幾つかの例示的な実施形態に従うPチャネルトランジスタのための対応するトランジスタ構造250Pを模式的に示している。図示されるように、トランジスタ250Pは例えばシリコン/ゲルマニウム合金等の形態にある歪誘起材質214を備えていてよく、歪誘起材質214は、フィン210内の電流フロー方向に沿った圧縮歪成分を確立してその内部でのホール移動度を高めるように、フィン210の近傍の材質203内にまで組み込まれていてよい。歪誘起材質214は、例えばスペーサ構造223又は任意の他の適切なマスク材質に基き半導体層203内へ空洞(cavity)をエッチングすることと、その後に所望の半導体合金214を成長させるための選択的エピタキシャル成長プロセスとによって形成することができ、半導体合金214はまた高濃度にドープされた材質の形態でもたらされてよいので、場合によっては深いドレイン及びソース領域を形成するための1つの注入プロセスを回避することができる。図示されるように歪誘起材質214は、適切と考えられる場合には、ある程度過剰な高さを有するように設けられてよい。また、それぞれの拡張領域211Eはチャネル領域、即ちフィン210に接続されるように形成されてよい。
【0049】
図2tの右側には、ギャップ領域に対応する構造が示されている。図示されるようにこの場合にも、ゲート電極材質222とドレイン及びソース領域211との間で、傾斜注入209A(
図2k参照)を含む注入プロセス209の間に形成されたであろうカウンタドープ領域203Cに起因して、増大したオフセットを得ることができる。
【0050】
それぞれの歪誘起メカニズムは、例えばシリコン/炭素のような適切な半導体合金の形態で、又はドレイン及びソース領域211の形成の間にそれぞれの応力記憶技術を適用することによって、Nチャネルトランジスタ250N内にも設けられてよいことが理解されるべきである。即ち、ドレイン及びソース領域211の少なくとも一部が、シリコン窒化物層のような覆っている硬い材質層に基いて実質的に非晶質状態で再成長させられて、歪んだ状態にあるドレイン及びソース領域の再成長部分が生成されてよい。他の例示的な実施形態においては、ドレイン及びソース領域211を形成した後に、これらの領域は、後続のシリサイド化プロセスに関する利益を提供するために、場合によっては引張応力コンタクト材質等の応力誘起材質と一緒に窪ませられてよい。
【0051】
トランジスタ250N,250Pのドレイン及びソース領域211を形成するためのドーパント種の組み込みの後、ドーパントを活性化させると共に注入誘起損傷を再結晶化させるために、最終的な焼鈍プロセスが実行されてよく、それにより最終的な所望のドーパントプロファイルも調整される。
【0052】
図2uは更に進んだ製造段階におけるトランジスタ構造250Nを模式的に示している。図示されるようにコンタクト構造240が設けられてよく、コンタクト構造240は二酸化シリコン等のような層間誘電体材質241を備えていてよく、その内部には1つ以上のコンタクト要素242が組み込まれていてよい。コンタクト要素242はタングステン、銅、アルミニウム等のような任意の適切な金属から構成されていてよく、場合によっては全体のプロセス及びデバイス要求に応じて適切な導電性バリア材質と組み合わされていてよい。幾つかの例示的実施形態では、コンタクト要素242は高い内部引張応力レベルを有する金属含有材質を備えていてよく、金属含有材質は例えば、タングステン材質を形成するための十分に確立された堆積レシピに基いて完成されてよく、それによりチャネル又はフィン210内に所望の引張応力レベルがもたらされる。
【0053】
図2uの右側はギャップ区域におけるコンタクトレベル240の構造を模式的に示している。図示されるようにこの区域においても、1つ以上のコンタクト要素242又は連続的に拡がるコンタクト要素が設けられてよく、ドレイン及びソース領域211に対する全体的な接触抵抗が低減されている。
【0054】
典型的にはコンタクトレベル240は、十分に確立された「プレーナ」プロセス技術に基いて、例えば耐熱性金属を堆積させると共に後続の二酸化シリコン等の適切な誘電体材質の堆積を伴う熱処理の間における化学反応を開始することによって、形成することができ、誘電体材質はCMP等によって平坦化されてよい。その後、それぞれのコンタクト開口を得るために誘電体材質がリソグラフィ及び異方性エッチング技術によってパターニングされてよく、コンタクト開口は次いでタングステン等のような所望のコンタクト金属で充填されてよい。
【0055】
図2vは上述したのと同様な構造を有していてよいPチャネルトランジスタ250Pのコンタクト構造240を模式的に示している。
【0056】
次いで、例えば低k誘電体材質の形態にある誘電体材質を設けると共にその内部に第1のメタライゼーション(metallization)層の金属線と接続してよいビアを形成することによって、メタライゼーションシステムが形成されてよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、ゲート電極構造220は、高k誘電体材質と組み合わされた金属含有電極材質を含む高性能な構造で置換されてよい。この目的のため、誘電体材質241内にコンタクト電極242を形成するのに先立ち、ゲート電極材質222が例えばTMAHに基いて選択的に除去されてよく、TMAHによってシリコンを二酸化シリコン及びシリコン窒化物に対して選択的に効率よく除去することができる。他の場合にはHBrに基くプラズマ支援プロセスのような他の選択的エッチングレシピが用いられてよい一方で、他の例示的な実施形態では、ゲート電極構造220及び周囲の誘電体材質の材料組成に応じて任意の選択的エッチングプロセスが用いられてよい。その後、誘電体材質221Bのようなゲート誘電体がフィン210の露出させられた側壁部分から除去されてよい。この除去は、ゲート誘電体が二酸化シリコンから実質的に構成されていてよい場合には、HFを用いることによって達成することができる。
【0058】
図2wは上述したプロセスシーケンスの後の更に進んだ製造段階におけるフィン幅方向に沿った断面図を模式的に示している。図示されるように、デバイス200は置換ゲート電極構造220Rを備えていてよく、置換ゲート電極構造220Rは、チタン窒化物等のような金属含有材質222Rと高k誘電体材質221Rの組み合わせを備えていてよく、高k誘電体材質221Rはフィン210の側壁部分及び上面を覆っていてよい。このように、フィン210の側壁上に形成されたそれぞれのゲート電極構造220A,220Cとフィン210の上端上に形成されたゲート電極構造220Bとを含むトライゲート構造が提供されてよく、それにより複数のトランジスタセル250A,…,250Dもまた提供されてよい。その結果、トランジスタセル250A,…,250Dの各々又はそれらの組み合わせは、適切に選択された金属材質222R並びに対応するドレイン及びソース領域を形成するための製造シーケンスに基いて各導電性タイプ対する特定のスレッショルド電圧を提供するトライゲートトランジスタの役割をなす。より大きなスレッショルド電圧が要求される場合には、スレッショルド電圧における適度に大きいシフトを生成するために、異なる仕事関数を有する多重化ゲート金属が集積化されてよく、他の場合には、スレッショルド電圧の僅かなシフトを生成するために、適切に設計されたハロー注入が実行されてよい。
【0059】
従って、低い直列抵抗に起因する高いトランジスタ性能を有し且つプレーナトランジスタ構造に対して十分に確立されているような安定し且つ効率的な製造技術の使用を伴う効果的な三次元トランジスタ構造を得ることができる。また、ドレイン及びソース領域、チャネル領域、即ちフィン210、並びにそれぞれの分離構造の自己整合配置を前述したマスキング形態に基き達成することができる。更に、従来の戦略と比較して、複数のトランジスタに対する連続的なドレイン及びソース領域を提供するための複雑なエピタキシャル成長プロセスを回避することができ、それにより全体的なプロセス効率を高めるのにも寄与する。
【0060】
図3a〜3cを参照して、ダブルゲート、即ちFinFETトランジスタ構造を形成するための対応するプロセスシーケンスを更に詳細に説明する。一般的に、トライゲートトランジスタ構造250に対して前述したのと極めて類似したプロセスシーケンスが用いられてよいが、適度に厚いキャップ層がフィンの上端上に設けられてよく、このことは半導体材質内におけるフィンのパターニングに用いられる対応するハードマスクを除去しないことによって達成され得る。従って、対応するゲート電極材質は厚い絶縁体(insulator)によってフィンの上端から絶縁されてよく、電流フローはフィンの側面でのみ生じる。一般にトライゲート構造と比較して同等の実効トランジスタ幅に対して、FinFETは増大した高さのフィンを必要とする一方で、上面の上方に設けられたゲート電極はフィン内における減損に対して実質的に効果を及ぼさないであろうから、フィンの幅は減少させられる必要があるであろう。
【0061】
図3aは
図2jに示されるような半導体デバイス200と比較して極めて類似した構造を有していてよい半導体デバイス300の断面図を模式的に示している。この理由により、同様の要素は最初の桁の数字が「2」の代わりに「3」であることを除き同一の参照番号によって示されている。従ってデバイス300は、それぞれの深いフィン310Lによって隔てられた分離領域308Aを含む半導体層303を備えていてよく、深いフィン310L上にはフィン310が設けられ、フィン310は、シリコン窒化物要素のようなキャップ要素306と例えば二酸化シリコンの形態にあるエッチング停止材質304Aの組み合わせによって上面を覆われている。上述したようにフィン210と比較して、フィン310は約30〜40nmの増大された高さを有していてよく、その幅は約10〜15nmの範囲に減少させられていてよい。
【0062】
半導体デバイス300は、
図2b〜2jに対応する説明に従うデバイス200を参照して前述したのと同一の製造技術に基いて形成することができる。従って対応する説明は省略する。しかし、
図2b〜2jを参照して説明したプロセス形態とは対照的に、キャップ要素306は、スペーサ要素206(例えば
図2g参照)を参照して説明されてもいるような、フィン310をパターニングするためのハードマスクとして前もって形成されている対応するスペーサ要素であってよいことが理解されるべきである。またキャップ要素306は、フィン310に対する要求に適合するように、減少させられた幅で形成されてよいことも理解されるべきである。同様に、半導体デバイス200を参照しながら
図2iを参照して説明されてもいるような、分離領域308A内において凹部308Rを形成するためのプロセスは、所望の増大された高さのフィン310を得るために適切に適合させられてよい。
【0063】
図3bは基本ウエル注入種309Wを伴うデバイス300の断面図を模式的に示しており、基本ウエル注入種309Wは、半導体デバイス200を参照しながら
図2k,2lを参照して前述したように注入されてよい。その後、デバイス200を参照して説明したように、更なる処理が続いてよい。即ち、適切な誘電体材質を設けると共にゲート電極材質を堆積させることによって、それぞれのゲート電極構造又はダミーゲート電極構造が形成されてよい。その後、ドレイン及びソース区域が露出させられてよく、基本トランジスタ構造を完成させるために対応する「プレーナ」製造プロセスが適用されてよい。また、必要に応じて、前述したようにゲート電極構造が高k誘電体材質と金属含有電極材質の組み合わせに置換されてよい。
【0064】
図3cは進行した製造段階における半導体デバイス300を模式的に示しており、その製造段階においては、フィン310の周囲に置換ゲート電極構造320Rが高k誘電体材質321との組み合わせにおいて設けられてよい。その結果、トランジスタセル350A,…,350Dの各々に対してダブルゲート構造が確立されてよく、即ち第1のゲート電極構造320Aがフィン310の一方の側壁上に設けられてよく、第2のゲート電極構造320Cが反対側の側壁上に設けられてよい。一方、フィン310の上面はキャップ306とエッチング停止層304A(
図3b参照)の組み合わせによって覆われたままであってよい。
【0065】
結果として、本開示は強化された三次元トランジスタ構造、即ちダブルゲート及びトライゲートトランジスタ構造を提供し、三次元トランジスタ構造内ではバルク半導体材質に基きトランジスタのフィンを提供することができ、それにより増大されたトランジスタ体積がもたらされる一方で、同時に従来のFinFET及びトライゲートトランジスタアーキテクチャの場合には典型的であった高抵抗なドレイン及びソース部分として作用する可能性のある中間フィン部分を必要とすることなしに、連続的なドレイン及びソース区域がフィンのチャネル領域と接続することができる。また、チャネル区域、即ちフィン並びにこれに伴いゲート電極構造、ドレイン及びソース領域並びに分離構造は、自己整合プロセスシーケンスを可能にするマスキング形態に基いて設けることができる一方で、連続的なドレイン及びソース区域を提供するための複雑な選択的エピタキシャル成長プロセスを回避することができる。更に、フィンを形成した後に、二次元又はプレーナトランジスタ製造プロセスからの十分に確立され且つ効果的なプロセス技術が場合によっては効果的な歪誘起メカニズムを含んで適用されてよく、増大された半導体体積をフィン内に提供すると共にフィン内の高抵抗なドレイン及びソース部分を回避することに加えて、更なる性能向上メカニズムが有利に適用され得る。
【0066】
以上開示された特定の実施形態は例示にすぎず、本発明は改変されてよく、また、ここでの教示の利益を享受する当業者に明らかな、均等であるが異なるやり方で実施されてよい。例えば、上述したプロセスステップは異なる順序で実行されてよい。また、以下の特許請求の範囲に記載されていることを除き、ここで示されている構成又は設計の詳細に限定することは意図されていない。従って、以上開示された特定の実施形態が変更され又は修正されてよく、そのような全ての変形が本発明の精神及び範囲内にあるものとみなされることは明らかである。従って、ここでの保護の対象は以下の特許請求の範囲に記載された通りである。