(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒートパイプが少なくとも一部が湾曲部を備えて、並列配置された複数のヒートパイプであって、前記伝熱ブロックが、前記並列配置された複数のヒートパイプの両端部に位置するヒートパイプの側面および複数のヒートパイプの下面と熱的に接続されて配置されている請求項1に記載のヒートシンク。
前記第1の放熱フィン部は、前記第1の伝熱板材の表面に垂直に配置された平行な複数の薄板フィンからなっており、前記第1の伝熱板材の長手方向の一方の端部もしくは全面において、前記第1の伝熱板材の幅方向に沿って所定間隔で設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒートシンク。
前記第2の放熱フィン部は、前記第2の伝熱板材の表面に垂直に配置された平行な複数の薄板フィンからなっており、前記第2の伝熱板材の長手方向に沿って概ね全面にわたって設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒートシンク。
前記複数のヒートパイプは、扁平形状のヒートパイプからなり、少なくとも中央部において相互に接触しかつ平行に配置され、前記複数のヒートパイプの一部のヒートパイプの前記湾曲部が、前記第2の放熱フィン部が配置された前記第2の伝熱板材の前記端部に沿って配置されていることを特徴とする、請求項2から4の何れか1項に記載のヒートシンク。
前記複数のヒートパイプは、扁平形状のヒートパイプからなり、相互に接触せずにヒートパイプ同士が間隔を置いて平行に配置され、前記複数のヒートパイプの一部のヒートパイプの前記湾曲部が、前記第2の放熱フィン部が配置された前記第2の伝熱板材の前記端部に沿って配置されていることを特徴とする、請求項2から4の何れか1項に記載のヒートシンク。
前記複数のヒートパイプは、前記第2の伝熱板材の長手方向に沿って中央に配置された直線状のヒートパイプを中心に対称または非対称に配置されていることを特徴とする、請求項2から6の何れか1項に記載のヒートシンク。
前記第1の伝熱板材および前記第2の伝熱板材によって、前記ヒートパイプが挟まれた状態で、ヒートシンク周囲部において固定する固定部材を備えていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1項に記載のヒートシンク。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータをはじめとして各種電気・電子機器の高性能化、小型化が著しく進みつつある。しかしノート型パソコンやラップトップ型、或いは
デスクトップ型のパソコンに搭載されるCPU、MPU等の高性能化はそれに伴う発熱量の増大をもたらしている。他方で、電気・電子機器の小型化の要求が一層高まり、電気・電子機器内の省スペース化の要求が高まってきている。
【0003】
高性能化するCPU、MPU等の発熱部品の冷却が常に重要な技術課題として大きなウエイトを占めている。更に、コンピュータ以外の電気・電子機器においても、高性能化する発熱部品・発熱素子の冷却は、電気・電子機器内の省スペース化の要求の中で、重要な課題として大きなウエイトを占めている。
【0004】
電気・電子機器に搭載されている電子部品を冷却する方法として、被冷却部品に冷却体を取り付けることによって、その被冷却部品を直接的に冷却する方法等が知られている。このような被冷却部品に取り付ける冷却体として、例えば銅材やアルミニウム材などの伝熱性に優れた材料の板材、即ち、ベースプレートとその一方の面に薄板材のフィンを接合したヒートシンクを用いることが多い。
【0005】
被冷却部品からの熱を受ける受熱部であるベースプレートに薄板フィンを設けて、被冷却部品の熱を放散する上述した方法は、電気機器の放熱器として一般的に使用されている。従来、ベースプレートおよびその上に設けられる放熱フィンからなるヒートシンク(放熱器)には、ベースプレートおよび放熱フィンが一体的に形成されるアルミニウムの押し出し材等が使用されてきたが、放熱性能の高性能化のために銅が使用されている。
【0006】
銅は熱伝導性に優れているけれども、ベースプレートが大きい場合や熱源がベースプレートの端部に寄っている場合は、熱のスプレッド効果(ベースプレートの全体に熱が伝わる)が十分でなく、ヒートパイプやベーパーチャンバーをベースプレートに設けて、ベースプレートの全体に熱が伝わるスプレッド効果を高めて、放熱性能を向上させていた。
【0007】
ベーパーチャンバーは、コスト高で、取り付けネジ用の穴加工等が当初から設計に盛り込まないと対応できず、設計の柔軟性にかけるという問題があった。また、ヒートパイプを銅のブロックに埋め込む形状についても、ヒートパイプを埋め込む溝部分への切削などの機械加工が必要となり、コストが高くなるという問題があった。これらの問題点を解決するために、第1のプレート材および第2のプレート材の2枚の板材でヒートパイプを挟み込む構造が用いられるようになった。この構造によると、ヒートパイプを固定するための切削等の機械加工が不要になり、製造コストの低下を図ることができ、また、ヒートパイプ周囲に空間が形成されるので、ベース部の重量が軽くなり、全体として軽量化が図れる。
【0008】
熱を所望の位置に移動させるヒートパイプの内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。即ち、ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって熱の移動が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第1のプレート材および第2のプレート材の2枚の板材でヒートパイプを挟み込む構造では、ヒートパイプの端部はプレート材の幅もしくは長手方向のうち一方向のみに広げられるが、被冷却部品と接触する複数のヒートパイプ部分は、被冷却部品から効果的に熱を移動するために、中央部に集められて配置されるので、ヒートパイプの側面部分に空間ができて、空間部に対応する位置の放熱フィンに熱が十分伝わらず、放熱が十分でないという問題点があった。
【0011】
また、ヒートパイプの側面の空間部分に熱を伝えるためにヒートシンク全体を金属ブロックで埋め込む方式だと、前述のようにヒートパイプを埋め込む溝部分への切削などの機械加工が複雑となり、コストが高くなるという問題があった。
【0012】
従って、この発明の目的は、機械加工が少なく、軽量かつ低コストで、放熱性能を向上することができる、高性能のヒートシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者は従来の問題点を解決するため、鋭意研究を重ねた。その結果、ヒートパイプの端部の広がる方向はヒートパイプと第1のプレート材によって熱を広げ、ヒートパイプの側面部分は熱伝導性の良い金属ブロックを熱的に接続させることで、ヒートシンク全面に金属ブロックを使用することなく、ヒートパイプ端部方向および側面方向に効果的に熱を広げることができることが判明した。
【0014】
この発明のヒートシンクの第1の態様は、一方の面に発熱部品と熱的に接続され、薄板フィンからなる第1の放熱フィン部が熱的に接続された第1の伝熱板材と、
一方の面に薄板フィンからなる第2の放熱フィン部が熱的に接続された第2の伝熱板材と、
前記第1の伝熱板材の他方の面と前記第2の伝熱板材の他方の面との間に熱的に接続されたヒートパイプと、
前記ヒートパイプの側面および下面に熱的に接続され、前記第2の伝熱板材との間で前記ヒートパイプを挟むように、熱的に接続されて配置された伝熱ブロックと、
を備え、
前記伝熱ブロックは、前記ヒートパイプの側面側となる側端部にそれぞれ位置して互いに連結された2つの両端ブロック部と、2つの前記両端ブロック部の連結部分に
一体または別体に設けられて2つの該両端ブロック部と熱的に接続される受熱部と、を有して、前記ヒートパイプの長手方向に前記第1の伝熱板材と熱的に接続されて配置されており、
2つの前記両端ブロック部は、それぞれ
厚みのあるブロッ
クであり、前記ヒートパイプ側の該両端ブロック部の側面が前記ヒートパイプの側面にそれぞれ接触して熱的に接続され、2つの該両端ブロック部の連結部分が
該両端ブロック部に比べて薄い板状になっており、
前記受熱部は、
前記両端ブロック部に比べて薄い板状であり、一方の面が前記発熱部品に接続され、他方の面が前記ヒートパイプの下面と熱的に接続されており、
前記ヒートパイプは、該ヒートパイプの上下の面が2つの前記両端ブロック部の連結部分及び前記第1の伝熱板材と、前記第2の伝熱板材と、の間に挟まれ、該ヒートパイプの側面が2つの前記両端ブロック部の間に挟まれて、前記第1の伝熱板材、前記第2の伝熱板材及び前記伝熱ブロックと熱的に接続されていることを特徴とするヒートシンクであ
る。
【0015】
この発明のヒートシンクの第
2の態様は、前記ヒートパイプが少なくとも一部が湾曲部を備えて、並列配置された複数のヒートパイプであって、前記伝熱ブロックが、前記並列配置された複数のヒートパイプの両端部に位置するヒートパイプの側面および複数のヒートパイプの下面と熱的に接続されて配置されているヒートシンクである。
【0016】
この発明のヒートシンクの第
3の態様は、前記第1の放熱フィン部は、前記第1の伝熱板材の表面に垂直に配置された平行な複数の薄板フィンからなっており、前記第1の伝熱板材の長手方向の一方の端部において、前記第1の伝熱板材の幅方向に沿って所定間隔で設けられていることを特徴とするヒートシンクである。
【0017】
この発明のヒートシンクの第
4の態様は、前記第2の放熱フィン部は、前記第2の伝熱板材の表面に垂直に配置された平行な複数の薄板フィンからなっており、前記第2の伝熱板材の長手方向に沿って概ね全面にわたって設けられていることを特徴とするヒートシンクである。
【0018】
この発明のヒートシンクの第
5の態様は、前記複数のヒートパイプは、扁平形状のヒートパイプからなり、少なくとも中央部において相互に接触しかつ平行に配置され、前記複数のヒートパイプの一部のヒートパイプの前記湾曲部が、前記第2の放熱フィン部が配置された前記第2の伝熱板材の前記端部に沿って配置されていることを特徴とするヒートシンクである。
【0019】
この発明のヒートシンクの第
6の態様は、前記複数のヒートパイプは、扁平形状のヒートパイプからなり、相互に接触せずにヒートパイプ同士が間隔を置いて平行に配置され、前記複数のヒートパイプの一部のヒートパイプの前記湾曲部が、前記第2の放熱フィン部が配置された前記第2の伝熱板材の前記端部に沿って配置されていることを特徴とするヒートシンクである。
【0020】
この発明のヒートシンクの第
7の態様は、前記複数のヒートパイプは、前記第2の伝熱板材の長手方向に沿って中央に配置された直線状のヒートパイプを中心に対称または非対称に配置されていることを特徴とするヒートシンクである。
【0021】
この発明のヒートシンクの第
8の態様は、前記第1の伝熱板材および前記第2の伝熱板材によって、前記ヒートパイプが挟まれた状態で、ヒートシンク周囲部に固定する固定部材を備えていることを特徴とするヒートシンクである。
【発明の効果】
【0022】
この発明のヒートシンクによると、第1のプレート材および第2のプレート材の2枚の板材でヒートパイプを挟み込む構造を採用し、少なくとも1つのヒートパイプを長手方向に広げるかあるいは複数のヒートパイプの端部をプレート材の長手方向および幅方向に広げて配置すると共に、被冷却部品と接触する複数のヒートパイプの部分は、中央部に集めて、ヒートパイプの側面部分に形成される空間に熱伝導性に優れたブロックをそれぞれ配置するので、空間部に対応する位置の放熱フィンにも熱が十分に伝わり、放熱性能が向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明のヒートシンクを、図面を参照しながら説明する。
この発明のヒートシンクの1つの態様は、一方の面に発熱部品と熱的に接続され、薄板フィンからなる第1の放熱フィン部が熱的に接続された第1の伝熱板材と、一方の面に薄板フィンからなる第2の放熱フィン部が熱的に接続された第2の伝熱板材と、前記第1の伝熱板材の他方の面と前記第2の伝熱板材の他方の面との間に熱的に接続されたヒートパイプと、前記ヒートパイプの側面および
下面に熱的に接続され、前記第2の伝熱板材との間で前記ヒートパイプを挟むように、熱的に接続されて配置された伝熱ブロックを備えたヒートシンクである。
【0025】
図1は、この発明のヒートシンクの1つの態様を説明するための斜視図である。
図2は、この発明のヒートシンクの第1の態様の裏面を示す図である。
図1および
図2に示すように、
図1に示すヒートシンクでは、裏面側に、2つの第1の伝熱板材2−1、2−2、及びその間に伝熱ブロック6が熱的に接続された状態で配設されている。伝熱ブロック6は、伝熱性に優れた2つの側端部に位置する両端ブロック部6−1、6−2と両端ブロック部を接続する受熱部10とを備えており、これらは一体的に形成されている。伝熱ブロック6の両端ブロック部6−1,6−2は厚みのあるブロックであり、これらを接続する受熱部10は両端ブロック部に比べて薄い板状となっている。伝熱ブロック6の受熱部10の位置に比較的薄い板状の連結部を設けて、その上に受熱部10を熱的に接合することも可能である。受熱部10に熱源としての発熱部品20(
図5参照)が接続される。
【0026】
図1に示すように、ヒートシンク1の上面側には、第1の伝熱板材2−1、2−1、伝熱ブロック6に対向するように、第2の伝熱板材3が設けられている。第2の伝熱板材3と、第1の伝熱板材2−1、2−2及び伝熱ブロック6の間には、
図2に破線で示すように、複数のヒートパイプ7−1〜7−5が挟まれて熱的に接続された状態で配設されている。
複数のヒートパイプ7−1〜7−5の上下の面は、第1の伝熱部材2−1、2−2及び受熱部10と接触して熱的に接続されている。また、伝熱ブロック6の両端ブロック部6−1、6−2は厚みのあるブロック形状であり、両端ブロック部6−1、6−2のヒートパイプ側の側面は一番外側のヒートパイプ7−5、7−1の側面とそれぞれ接触して熱的に接続されている。
【0027】
第1の伝熱板材2−1のヒートパイプと接していない面(
図1では下側)の一方の端部には、所定のピッチ(フィンピッチ)で配置された複数の薄板フィンからなる第1の放熱フィン部5が、第1の伝熱板材2−1と熱的に接続された状態で接合されている。更に、第2の伝熱板材3のヒートパイプに接していない面表面(
図1では上側)には、概ね全体にわたって、所定フィンピッチで配置された複数の薄板フィンからなる第2の放熱フィン部4が、第2の伝熱板材3と熱的に接続された状態で接合されている。
【0028】
第1の伝熱部材2−1に接合された第1の放熱フィン部5、および第2の伝熱板部材3に接合された第2の放熱フィン部4は、必ずしも押し出し材のように一体成形されたものでなくても良く、所望のフィンピッチで複数の薄板フィン伝熱板材の表面に接合することにより放熱フィン部を形成することができる。
【0029】
上述のように、第1の伝熱板材2−1、2−2及び伝熱ブロック6の受熱部10と、第2の伝熱板材3の間には、複数のヒートパイプ7−1〜7−5がサンドイッチ状に挟まれて熱的に接続されている。
図2に示す態様においては、5本のヒートパイプが並列に配置されている。ヒートパイプの形状は、第1の伝熱板材2−1、2−2および伝熱ブロック6と第2の伝熱板材3との接触面積を大きくすることが好ましく、
図2の態様では、扁平形状が好ましい。複数のヒートパイプ7−1〜7−5は、第2伝熱板材3の長手方向の中央部と伝熱ブロック6に挟まれている位置では、互いに側面が接触した状態で隙間無く配置されている。
【0030】
また、複数のヒートパイプ7−1〜7−5は、中央に配置された1本のヒートパイプ7−3以外は、第1の放熱フィン部5側において、第1および第2伝熱板材の幅方向に向かって広がって配置されている。特に、一部のヒートパイプ7−2、7−4の端部は、直角に曲げられて第1の放熱フィン部に沿って幅方向に延伸するよう配置されている。他の一部のヒートパイプ7−1、7−5の端部は、それぞれ第2伝熱板材の幅方向に向かって広がるように配置され、伝熱板材の幅方向に熱が伝えられることにより第2の伝熱板材3上に接合されている薄板フィンの全体に熱が伝わるように構成されている。
【0031】
複数のヒートパイプ7−1〜7−5は、伝熱ブロック6以外の位置では、上下を第1の伝熱板材2−1、2−2と第2の伝熱板材3に挟まれた状態で熱的に接続されている。また複数のヒートパイプ7−1〜7−5は、伝熱ブロック6の位置では、複数のヒートパイプ7−1〜7−5が幅方向の中央部分に相互に接触した状態で隙間無く配置されており、上下が第2の伝熱板材3と受熱部10に挟まれた状態で熱的に接続され、外側に配置されているヒートパイプ7−1、7−5の側面はそれぞれ伝熱ブロック6の両端ブロック部6−2、6−1と接触している。
【0032】
伝熱ブロック6の受熱部10のヒートパイプ7−1〜7−5と接触していない面は、熱源と接続される受熱面を形成し、受熱面で吸収した熱をヒートパイプ7−1〜7−5に伝達している。このように構成することにより、受熱部10の受熱面で吸収した熱が伝熱ブロック6を介して、複数のヒートパイプの下面と側面から伝達することができるので、より効率的にヒートパイプに熱を伝達することが可能となる。
尚、ヒートパイプは、上述の通り、側面を互いに接触させた状態で配置するのが好ましいが、相互に接触させずにヒートパイプ同士を間隔を置いて平行に配置することもできる。ヒートパイプが相互に接触しない状態でも、受熱部10を介してそれぞれのヒートパイプに伝熱される。
【0033】
図2に示す態様においては、伝熱ブロック6の両端ブロック部6−1、6−2が、並列配置された複数のヒートパイプの両外側のヒートパイプ7−1、7−5の中央部の直線状の部分の側面に接触するように配置されている。両端ブロック部6−1、6−2
は、受熱部10により連結されており、受熱部10はヒートパイプの中央部の
下面に熱的に接続するよう配置される。即ち、上述したように、複数のヒートパイプ7−1〜7−5は、伝熱ブロック6以外の部分では、第1の伝熱板材2−1、2−2および第2の伝熱板材3に挟まれており、伝熱ブロック6の部分では、伝熱ブロック6と第2の伝熱板材3に上下左右を挟まれている。
【0034】
両端ブロック部6−1、6−2の上面は第2の伝熱板材3と半田等により接合される。これにより、受熱部10からの熱をより効率的に第2の伝熱板材3に伝達することができる。なお、両端ブロック部6−1、6−2と第2の伝熱板材3は、第1の伝熱板材2−1,2−2とは別部材であり、第1の伝熱板材2−1,2−2と第2の伝熱板3は、接触部分(例えば、後述する四隅の固定部8等)において、半田接合等により固定するのが好ましい。また、第1の伝熱板材2−1、2−2と伝熱ブロック6も接触部分において半田接合等に固定することが望ましい。
【0035】
発熱部品(熱源)から受熱部10に伝達された熱は、受熱部10の裏面から複数のヒートパイプに伝達されるとともに、横方向に広がって両端ブロック部6−1、6−2に伝わる。
即ち、発熱部品から受熱部10へ伝わった熱は受熱部10の受熱面の反対側に直接接触している複数のヒートパイプ7−1、7−2、7−3、7−4、7−5に伝達され、さらに受熱部10の熱は両端ブロック部6−1、6−2に伝わって、ヒートパイプ7−1、7−5の側面にも伝達される。また、両端ブロック部6−1、6−2およびヒートパイプは、第2の伝熱板材3に熱的に接続されているので、受熱部10により受熱した熱はこれらを介して、第2の伝熱板材3概ね全域に伝達される。その結果、熱は、第2の伝熱板材3の上面の概ね全体に接合された複数の薄板フィンからなる第2の放熱フィン部4に伝熱され、放熱フィンからヒートシンクの外部に放熱される。
【0036】
図3は、この発明のヒートシンクの1つの態様の上面図である。
図3に示すように、第1の伝熱板材2−1、2−2および第2の伝熱板材3を固定する四隅の固定部8を除いて、所定のフィンピッチで、並列配置された複数の薄板フィンが第2の伝熱板材3の一方の面(図の上面)の概ね全体に接合されている。
【0037】
第2の放熱フィン部4の一端側には第1のカバー9−1が設けられ、ヒートシンク10の中央部の両側部には第2のカバー9−2が設けられている。第1及び第2のカバー9−1、9−2は、本発明のヒートシンクを実装するときのカバーとして用いられるものであり、クッション性があるものが好ましく、多孔質状の樹脂、例えばスポンジ状のものを用いることができる。
【0038】
図4は、この発明のヒートシンクの1つの態様の正面図である。
図4に示すように、第1の伝熱板材2−1のヒートパイプと接する面とは反対の面(
図4では下側)の一方の端部には、薄板フィンからなる第1の放熱フィン部5が熱的に接続されて配置されている。第1の放熱フィン部の複数の薄板フィンは、第1の伝熱板材2−1,2−2の長手方向に沿って配置されている。
【0039】
第2の伝熱板材3のヒートパイプと接する面とは反対の面(
図4では上側)の概ね全体にわたって薄板フィンからなる第2の放熱フィン部4が熱的に接続されて配置されている。第2の放熱フィン部4の複数の薄板フィンも、第2の伝熱板材3の長手方向に沿って配置されている。
【0040】
第1の放熱フィン部5および第2の放熱フィン部4は、それぞれ第1の伝熱板材2−1,2−2および第2の伝熱板材3上に、所望のフィンピッチで形成されている。第1の伝熱板材2−1と2−2と、第2の伝熱板材3の間には、並列された複数のヒートパイプ7−1〜7−5がサンドイッチ状に挟まれて熱的に接続されている。
【0041】
第2の伝熱板材3の長手方向の中央部付近では、複数のヒートパイプ7−1〜7−5が相互に接触した状態で、隙間無く配置されている。複数のヒートパイプの中央部は、伝熱性に優れた伝熱ブロック6と熱的に接続されている。伝熱ブロック6は、中央部の受熱部10、及び伝熱性に優れた金属製の両側部ブロック部6−1、6−2が一体的に形成されている。発熱部品(熱源)から受熱面である伝熱ブロック6の受熱部10に伝わった熱は、複数のヒートパイプ7−1、7−2、7−3、7−4、7−5、および、両側部ブロック部6−1、6−2に伝わり、複数のヒートパイプ7−1〜7−5および両端ブロック部6−1、6−2によって第2の伝熱板材3の縦横方向の概ね全域に伝達される。
【0042】
図5は、
図1に示すヒートシンクの側面図である。第1の伝熱板材2−1,2−2のヒートパイプと接していない面(
図5では下側)の一方の端部には、薄板フィンからなる第1の放熱フィン部5が熱的に接続されて配置されている。第1の伝熱板材2−1,2−2の間には伝熱ブロック6が熱的に接続されて配置されている。第2の伝熱板材3のヒートパイプと接していない側の表面(
図5では上側)には概ね全体にわたって薄板フィンからなる第2の放熱フィン部4が熱的に接続されて配置されている。
【0043】
図6から
図10は、この発明のヒートシンクの他の態様を説明するための図である。
図6は斜視図である。
図7は裏面を示す図である。
図8は上面図である。
図9は正面図である。
図10は側面図である。その詳細は、
図1から
図5を参照して説明したものと、放熱フィンの一部を覆うカバー9−1、9−2を除いて同一である。
【0044】
第1の伝熱板材2−1、2−2および第2の伝熱板材3は、第1の放熱フィン部5および第2の放熱フィン部4とそれぞれ熱的に接続された状態で、並列配置された複数のヒートパイプ7−1〜7−5をサンドイッチ状に挟んだまま固定部8によって固定されている。複数のヒートパイプは、中央部において伝熱性に優れた金属製の伝熱ブロック6と熱的に接続された状態で配置されている。伝熱ブロック6は、前述と同様に、両側部に形成された伝熱性に優れた金属製の両端ブロック部6−1、6−2と、受熱部10とが一体的に形成されている。
【0045】
両外側の2本のヒートパイプ7−1、7−5の中央部の直線状の側面部分および複数のヒートパイプ7−1〜7−5の中央部の
下面に接触して配置されたブロック部6−1、6−2、受熱部10からなる伝熱ブロック6によって、発熱部品の熱が横方向に広がって伝わる。その結果、ヒートシンクの全体にわたって熱が広がり、放熱フィンを通ってヒートシンク外に熱が放散される。
【0046】
図11は、この発明のヒートシンクの薄板フィンを伝熱板材(2−1、2−2、又は3)に接合した形状を説明する断面図である。薄板フィンは、ヒートシンクの配置場所、配置可能な空間その他の条件に合致するように各種形状を採ることができる。また各種形状の薄板フィンを、自在に組み合わせることができる。
【0047】
図11(a)に示す態様では、底面、垂直面、上面からなる断面コの字形状の薄板フィンを横方向に並列に配置して放熱フィン部4を形成する。この態様では、複数の底面が並列配置されて平らな受熱面を形成し、平らな受熱面に第1の伝熱板材2−1、2−2または第2の伝熱板材3が熱的に接続される。同時に複数の放熱フィンが並列配置された上面も平らな面を形成する。薄板フィンの接続方法としては、例えば、半田付、ロウ付け等の他、種々の公知の技術を採用することができる(他の例でも同様である)。
【0048】
図11(b)に示す態様では、底面および垂直面からなる断面L字形の薄板フィンを横方向に並列に配置して放熱フィン部4を形成する。この態様においても、複数の底面が並列配置されて平らな受熱面を形成し、放熱フィン部4は上面側が開放されている。
【0049】
図11(c)に示す態様では、上述した底面、垂直面、上面からなる断面コの字形状の薄板フィン、および、底面および垂直面からなる断面L字形の薄板フィンを適宜組み合わせて、放熱フィン部4を形成する。組み合わせは、図示する態様に限らず、両端部側に
図11(c)を参照して説明した放熱フィン部4を配置し、中央部に11(a)を参照して説明した放熱フィン部を組み合わせる等、その他の自在な組み合わせも可能である。
【0050】
上述した
図11(a)〜(c)に示す態様の薄板フィンは、底面が半田、ロウ付け等で第1の伝熱板2または第2の伝熱板3に接合されて固定される。なお、第1の伝熱板材2−1、2−2および第2の伝熱板材3の両面上に、それぞれ、
図11(a)から(c)に示す態様の薄板フィンを、同じ薄板フィンおよび異なる薄板フィンを含めて、適宜組み合わせることができる。例えば第1の伝熱板材2−1の下側の面に
図11(a)に示すように薄板フィンを取り付け、第2の伝熱板材3の上側の面に
図11(b)に示すように薄板フィンを取り付けることができる。
【0051】
上述したように、この発明のヒートシンクによると、機械加工が少なく、軽量かつ低コストで、放熱性能を向上することができる、高性能のヒートシンクを提供することができる。