(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684743
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】ペリクル収納容器及びペリクル保管方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20150226BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
G03F1/66
B65D85/38 R
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-6109(P2012-6109)
(22)【出願日】2012年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-145328(P2013-145328A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
(72)【発明者】
【氏名】白崎 享
【審査官】
赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−025183(JP,A)
【文献】
実開平01−173744(JP,U)
【文献】
特開平10−010705(JP,A)
【文献】
特開2006−245375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側にペリクル膜が膜粘着層を介して粘着されたペリクルフレームの他面側に、前記ペリクルフレームの外周縁に沿ってマスク粘着層が形成されているペリクルを、前記マスク粘着層側を当接して載置する第1載置台が形成されている樹脂製の容器本体と、前記第1載置台に載置された前記ペリクルに当接することなく被覆し且つ前記容器本体の周縁部で嵌め合い係止される樹脂製の蓋体とから構成されるペリクル収納容器であって、
前記ペリクルが前記容器本体と同一樹脂からなる第1載置台に載置された状態で収納された前記ペリクル収納容器を、前記蓋体が下側となるように上下を逆転したとき、前記ペリクルが、前記マスク粘着層側が前記ペリクル収納容器に非接触状態で収納されるように、前記膜粘着層側で当接して載置される前記蓋体と同一樹脂からなる第2載置台が、前記蓋体に形成されていることを特徴とするペリクル収納容器。
【請求項2】
前記第1載置台及び前記第2載置台の各外周縁に沿って、前記ペリクルの位置決用ピンが周設されていることを特徴とする請求項1に記載のペリクル収納容器。
【請求項3】
前記マスク粘着層にセパレータが剥離可能に貼着されており、前記セパレータが前記容器本体の第1載置台に当接するように前記ペリクルが載置される請求項1又は請求項2に記載のペリクル収納容器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のペリクル収納容器を用い、前記容器本体の第1載置台に、前記マスク粘着層側を当接して載置した前記ペリクルを、その外周面に接触することなく被覆するように前記容器本体に前記蓋体を被着した後、前記蓋体の周縁部と前記容器本体の周縁部とで嵌め合い係止して、前記ペリクルを前記ペリクル収納容器内に収納し、
次いで、前記ペリクル収納容器を、前記蓋体が下側となるように上下を逆転して、前記膜粘着層側が当接するように前記ペリクルを前記蓋体の前記第2載置台に載置し、前記マスク粘着層側が前記ペリクル収納容器に非接触状態の前記ペリクルを保管することを特徴とするペリクルの保管方法。
【請求項5】
前記マスク粘着層にセパレータを剥離可能に貼着し、前記セパレータが前記容器本体の第1載置台に当接するように前記ペリクルを載置することを特徴とする請求項4に記載のペリクルの保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一面側にペリクル膜が貼着されたペリクルフレームの他面側に、そのペリクルフレームの外周縁に沿ってマスク粘着層が形成されているペリクルを収納するペリクル収納容器及びペリクル保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIや超LSI等の半導体製造或は液晶ディスプレイ等の製造において、半導体ウエハー或いは液晶用原板に光を照射してパターンを作製するリソグラフィーの作業が行われる。この際に、フォトマスク或いはレチクルにゴミが付着していると、このゴミが光を吸収したり光を曲げてしまうために、転写したパターンが変形したり、エッジがガサツいたものとなる他、下地が黒く汚れたりする等の現象が発生することがある。かかる作業は通常クリーンルームで行われているが、それでもフォトマスクを常に清浄に保つことが難しいため、透明なペリクル膜がペリクルフレームに貼着されたペリクルが使用されている。このペリクルをフォトマスク上に載置して露光を行うことにより、異物はフォトマスクの表面には直接付着せず、ペリクル膜上に付着するため、リソグラフィーの際に、焦点をフォトマスクのパターン上に合わせておけば、ペリクル膜上の異物は転写に無関係となる。
【0003】
かかるペリクルは、それ自体に異物が付着すると、フォトマスクへの異物付着にも繋がるため、高い清浄性が求められる。このため、その保管や輸送の際には、ペリクル収納容器が用いられる。かかるペリクル収納容器として、例えば下記特許文献1に記載されているものがある。具体的には、ペリクル枠の上端面にペリクル膜が張設され、下端面にマスク粘着層が形成され、且つこのマスク粘着層にライナーが剥離可能に貼着されたペリクルを収納する容器であって、底部に前記ペリクルが載置される載置台が形成された容器本体と、前記ペリクル枠の上端面に当接する当接部を有し、この当接部により前記ペリクルを下方に押しつけるように前記容器本体に取り付けられる蓋体とを具備するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−24240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたペリクル収納容器にペリクルを収納して保管や輸送に供しても、保管や輸送中にペリクルに異物が付着することを防止できる。更に、ペリクル収納容器に収納したペリクルは、その一部が容器本体と蓋体とに挟まれており、輸送中にペリクルが横ずれして発塵することも防止できる。
【0006】
しかし、ペリクル収納容器に収納して所定期間保管したペリクルを、そのマスク粘着層によってフォトマスクに張り付けたとき、フォトマスクの歪みが問題になってきた。このため、本発明者等がフォトマスクの歪み発生原因について検討したところ、ペリクル収納容器に収納して保管したペリクルのマスク粘着層の平坦度が低下していることが、その発生原因の一つであることが判明した。
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、収納したペリクルを保管しても、そのマスク粘着層の平坦度を保持できるペリクル収納容器及びペリクル保管方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたペリクル収納容器は、一面側にペリクル膜が膜粘着層を介して粘着されたペリクルフレームの他面側に、前記ペリクルフレームの外周縁に沿ってマスク粘着層が形成されているペリクルを、前記マスク粘着層側を当接して載置する第1載置台が形成されている
樹脂製の容器本体と、前記第1載置台に載置された前記ペリクルに当接することなく被覆し且つ前記容器本体の周縁部で嵌め合い係止される
樹脂製の蓋体とから構成されるペリクル収納容器であって、前記ペリクルが前記容器本体
と同一樹脂からなる第1載置台に載置された状態で収納された前記ペリクル収納容器を、前記蓋体が下側となるように上下を逆転したとき、前記ペリクルが、
前記マスク粘着層側が前記ペリクル収納容器に非接触状態で収納されるように、前記膜粘着層側で当接して載置される
前記蓋体と同一樹脂からなる第2載置台が、前記蓋体に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載されたペリクル収納容器は、請求項1に記載されたものであって、前記第1載置台及び前記第2載置台の各外周縁に沿って、前記ペリクルの位置決用ピンが周設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載されたペリクル収納容器は、請求項1又は請求項2に記載されたものであって、前記マスク粘着層にセパレータが剥離可能に貼着されており、前記セパレータが前記容器本体の第1載置台に当接するように前記ペリクルが載置されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載されたペリクルの保管方法は、請求項1又は請求項2に記載のペリクル収納容器を用い、前記容器本体の第1載置台に、前記マスク粘着層側を当接して載置した前記ペリクルを、その外周面に接触することなく被覆するように前記容器本体に前記蓋体を被着した後、前記蓋体の周縁部と前記容器本体の周縁部とで嵌め合い係止して、前記ペリクルを前記ペリクル収納容器内に収納し、次いで、前記ペリクル収納容器を、前記蓋体が下側となるように上下を逆転し
て、前記膜粘着層側が当接するように
前記ペリクルを前記蓋体の
前記第2載置台に載置し
、前記マスク粘着層側が前記ペリクル収納容器に非接触状態の前記ペリクルを保管することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載されたペリクルの保管方法は、請求項4に記載されたものであって、前記マスク粘着層にセパレータを剥離可能に貼着し、前記セパレータが前記容器本体の第1載置台に当接するように前記ペリクルを載置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
一般的にペリクル収納容器は樹脂製であるため、ペリクルが載置されるペリクル収納容器の載置台の平坦度はペリクルのマスク粘着層の平坦度に比較して劣るものとなる。かかるペリクル収納容器の載置台に載置されたペリクルのマスク粘着層は、保管中に載置台の平坦度に倣って次第に変形し、その平坦度が低下する。
【0014】
この点、本発明に係るペリクル収納容器は、その容器本体の第1載置部にマスク粘着層側を当接させて収納したペリクルを保管する際に、蓋体が上側となるようにペリクル収納容器の上下を逆転させて、ペリクルを蓋体の第2載置部に載置する。この状態のペリクルは、そのペリクル膜の貼着部側が蓋体の第2載置部に当接しているが、マスク粘着層はペリクル収納容器と非接触状態である。かかる非接触状態をペリクルの保管中に保持できる結果、保管が終了してペリクル収納容器から取り出されたペリクルのマスク粘着層の平坦度は、ペリクルの作製当初の平坦度を維持できる。その結果、ペリクルをフォトマスクに張り付けたとき、マスク粘着層の平坦度の低下に起因するフォトマスクの歪み可及的に小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るペリクル収納容器を形成する容器本体12、蓋体14及びペリクル16の概略を説明する説明図である。
【
図2】
図1に示すペリクル16を説明する部分拡大断面図である。
【
図3】
図1に示す容器本体12の断面図及び正面図である。
【
図4】
図1に示すペリクル収納容器10の蓋体14の断面図及び蓋体14の開口部側から見た正面図である。
【
図5】
図1に示す容器本体12と蓋体14とで形成したペリクル収納容器10の部分断面図及びその部分拡大断面図である。
【
図6】
図5に示すペリクル収納容器10の上下を逆転した状態を説明する部分断面図及びその部分拡大断面図である。
【
図7】
図1に示す容器本体12及び蓋体14の各載置台の平坦度を示すグラフである。
【
図8】容器本体12の載置部に載置されたペリクル16に当接する当接部が形成された蓋体102を用いたペリクル収納容器100を説明する部分断面図及び部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0017】
本発明に係るペリクル収納容器を構成する容器本体及び蓋体の一例を
図1に示す。
図1に示す容器本体12及び蓋体14は樹脂製であって、その周縁部で嵌め合い係止される。かかる容器本体12と蓋体14との間には、ペリクル16が収納される。このペリクル16は、その部分断面図である
図2に示すように、四角形状のアルミニウム等の金属製のペリクルフレーム16aの一面側に透明なフッ素樹脂等のペリクル膜16bが膜粘着層16cによって貼着されている。更に、ペリクルフレーム16aの他面側に、フォトマスクに貼着するマスク粘着層16dが形成されている。このマスク粘着層16dは、その表面にセパレータ16eが剥離可能に貼着されている。尚、容器本体12と蓋体14とは、ABS樹脂(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂シートを真空成型で形成したものや一箇所又は数箇所のゲートから金型内に樹脂を高速注入する射出成型で形成したものが用いられる。
【0018】
かかる容器本体12の断面図を
図3(a)に示し、その正面図を
図3(b)に示す。
図3(a)(b)に示すように、容器本体12は、四角形状であって、ペリクル16のマスク粘着層16d側が載置される第1載置台12aが枠状に突出して形成されていると共に、第1載置台12aの外周縁に沿って複数個のペリクル16の位置決用ピン12bが周設されている。この容器本体12に被着される蓋体14の断面図を
図4(a)に示し、その開口部側から見た正面図を
図4(b)に示す。
図4(a)(b)に示すように、蓋体14は、四角形状であって、容器本体12に被着したとき、容器本体12の第1載置台12aと対向する位置に第2載置台14aが枠状に形成されている。かかる第2載置台14aの外周縁に沿って複数個のペリクル16の位置決用ピン14bが周設されている。
【0019】
図3に示す容器本体12と
図4に示す蓋体14とによって形成されたペリクル収納容器内にペリクル16を収納する際には、
図5(a)に示すように容器本体12の第1載置台12aにペリクル16を載置した後、ペリクル16を被覆するように蓋体14を容器本体12に被着し、容器本体12と蓋体14との周縁部で嵌め合い係止して、ペリクル収納容器10を形成する。形成されたペリクル収納容器10では、その部分拡大断面図である
図5(b)に示すようにペリクル16は、そのマスク粘着層16d側のセパレータ16eが容器本体12の第1載置台12aに当接して載置されている。この状態のペリクル16は、蓋体14とは非接触状態である。
【0020】
図5に示すように容器本体12の第1載置台12a上にペリクル16を載置した状態で保管すると、ペリクル16のマスク粘着層16dが第1載置台12aの平坦度に倣って次第に変形し、マスク粘着層16dの平坦度が低下する。このため、
図5に示すペリクル収納容器10の上下を逆転し、
図6(a)に示すように蓋体14を下側とし、蓋体14の第2載置台14aにペリクル16を載置する。このように蓋体14の第2載置台14aに載置したペリクル16は、
図6(b)に示すようにペリクル16の膜粘着層16c側が第2載置台14aに当接して載置される。このため、ペリクル16のマスク粘着層16d側はペリクル収納容器10に非接触状態とすることができる。このため、
図6に示す状態でペリクル16を保管することによって、保管中にマスク粘着層16d側が容器本体12の第1載置台12aに当接することに因るマスク粘着層16dの変形を防止でき、マスク粘着層16dの平坦度をペリクル16の作製時の状態を維持できる。
【0021】
ところで、ペリクル16をペリクル収納容器10に収納する際に、膜粘着層16c側が蓋体14の第2載置台14aに載置されるように、ペリクル16を蓋体14に載置することによって、ペリクル収納容器10の上下を逆転する操作を不要にできる。しかしながら、一般的にペリクル16のペリクル収納容器10への収納作業及び取り出し作業は、ペリクル16のマスク粘着層16d側が下側となるようにして行われている。このため、ペリクル16の収納装置や取出装置は、ペリクル16のマスク粘着層16d側が下側で各作業が行われることを前提として設計されており、その変更は至難のことである。この点、
図1〜
図6に示すペリクル収納容器10及び保管方法によれば、従来のペリクル16の収納装置や取出装置をそのまま使用できる。
【0022】
図1〜
図6に示すペリクル収納容器10及び保管方法によれば、ペリクル収納容器10に収納されたペリクル16を所定期間保管しても、取り出されたペリクル16のマスク粘着層16dの平坦度を、ペリクル16の作製時の平坦度を維持できる。このため、ペリクル16を、そのマスク粘着層16dによってフォトマスクに張り付けたときのフォトマスクの歪み発生という問題を解消できる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
ペリクル収納容器10を形成する容器本体12及び蓋体14をポリカーボネート樹脂により製作した。この容器本体12は、
図3に示すように四角形状であって、ペリクル16のマスク粘着層16d側が載置される第1載置台12aが枠状に突出して形成されていると共に、第1載置台12aの外周縁に沿って複数個のペリクル16の位置決用ピン12bが周設されている。また、蓋体14は、
図4に示すように四角形状であって、容器本体12に被着したとき、容器本体12の第1載置台12aと対向する位置に第2載置台14aが枠状に形成されている。この第2載置台14aにも、その外周縁に沿って複数個のペリクル16の位置決用ピン14bが周設されている。
【0025】
図3に示す容器本体12の第1載置台12aの平坦度と
図4に示す蓋体14の第2載置台14aの平坦度を測定した。この平坦度の測定結果を
図7(a)(b)に示す。
図7(a)は容器本体12の第1載置台12aの平坦度であり、
図7(b)は蓋体14の第2載置台14aの平坦度である。この平坦度は、第1載置台12aと第2載置台14aとの各任意位置で測定した高さを、想定した仮想平面の高さからの変位として示した。
図7(a)(b)に示す測定ポイントのうち、1,13,23,35の測定ポイントが各載置台のコーナ部であり、コーナ部とコーナ部との間の各測定ポイントは載置台の各辺中途部の測定ポイントである。
図7(a)(b)から判るように、容器本体12及び蓋体14の各載置台の各辺の中央部分が凸形状になっている。容器本体12の第1載置台12aの仮想平面の高さからの変位の平均値は53μmであり、蓋体14の第2載置台14aの仮想平面の高さからの変位の平均値は34μmであった。
【0026】
この容器本体12の第1載置台12a上にペリクル16を載置した。このペリクル16は、四角形状のアルミニウム製のペリクルフレーム16aの一面側に透明なフッ素樹脂のペリクル膜16bが膜粘着層16cによって貼着されている。更に、ペリクルフレーム16aの他面側に、平坦度が10μmのマスク粘着層16dが形成されている。このマスク粘着層16dは、その表面にセパレータ16eが剥離可能に貼着されている。容器本体12の第1載置台12aに、マスク粘着層16d側のセパレータ16eが当接している。このように容器本体12の第1載置台12aに載置したペリクル16を覆うように蓋体14を容器本体12に被着し、周縁部で嵌め合い係止してペリクル収納容器10を形成した。ペリクル収納容器10に収容されたペリクル16は蓋体14と非接触状態であった。
【0027】
次いで、ペリクル収納容器10の上下を逆転して蓋体14を下側とした。蓋体14の第2載置台14aに、膜粘着層16c側が当接してペリクル16が載置されていた。このペリクル16のマスク粘着層16d側のセパレータ16eは、ペリクル収納容器10と非接触状態であった。このように蓋体14を下側にしたペリクル収納容器10に収納されたペリクル16を1ヶ月間保管した。その後、ペリクル収納容器10を、容器本体12が下側となるように上下を逆転して蓋体14を開け、ペリクル16を取り出した。セパレータ16eを剥離してマスク粘着層16dの平坦度を測定したところ、10μmとペリクル16の作製時の平坦度を維持できた。
【0028】
(比較例)
図8に示すように実施例1で用いた容器本体12に、実施例1と同様にマスク粘着層16dの平坦度が10μmのペリクル16を載置した後、容器本体12に蓋体102を被着してペリクル収納容器100を形成した。この蓋体102は、ポリカーボネート樹脂製であり、
図8に示すように容器本体12に載置されたペリクル16の膜粘着層16c側に当接する当接部104が形成されている。この状態で実施例1と同様にペリクル16を1ヶ月間保管した。その後、ペリクル収納容器10の蓋体102を開け、ペリクル16を取り出した。セパレータ16eを剥離してマスク粘着層16dの平坦度を測定したところ、20μmと平坦度が悪化していた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るペリクル収納容器は、半導体装置用のペリクルの収納容器及び保管容器として用いることができ、半導体装置用のペリクルよりも大型の液晶用のペリクルの収納容器及び保管容器として用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
10,100はペリクル収納容器、12は容器本体、12aは第1載置台、12b,14bは位置決用ピン、14,102は蓋体、14aは第2載置台、16はペリクル、16aはペリクルフレーム、16bはペリクル膜、16cは膜粘着層、16dはマスク粘着層、16eはセパレータ、104は当接部である。