(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685186
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】太陽光集光用光学シートの設計方法
(51)【国際特許分類】
G02B 3/08 20060101AFI20150226BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20150226BHJP
H01L 31/054 20140101ALI20150226BHJP
【FI】
G02B3/08
G02B1/04
H01L31/04 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-516072(P2011-516072)
(86)(22)【出願日】2010年5月28日
(86)【国際出願番号】JP2010059100
(87)【国際公開番号】WO2010137695
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2013年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2009-130388(P2009-130388)
(32)【優先日】2009年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】豊原 誠
(72)【発明者】
【氏名】小野 陽二
(72)【発明者】
【氏名】松崎 一朗
【審査官】
薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−343435(JP,A)
【文献】
特開平05−156113(JP,A)
【文献】
特開2005−099802(JP,A)
【文献】
特開2007−525550(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/035698(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/001505(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/08
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材中に紫外線吸収剤を含む樹脂製太陽光集光用光学シートの設計方法であって、
メタルハライドランプ式耐候性試験(装置規格:JTM G 01:2000、日本試験機工業会)による加速劣化試験において、
T1時間の照射時間で試験した後の、400nm〜1850nmの波長領域における平均透過率の低下が
τuv(0)+τuv(T1)>τ0(0)+τ0(T1) (1)
を満たし、かつ、上記波長領域で各波長毎に初期値からの透過率低下が10%以下であるように基材中に含有させる紫外線吸収剤の量を決定することを特徴とする太陽光集光用光学シートの設計方法。
ただし、
T1=150×2.5×U1/U0
×{0.44×ln(W1/W0)+0.88}
×{(0.5×cos(α1−23.4))+cosα1}/{(0.5×cos(α0−23.4))+cosα0} (2)
U1:太陽光集光用光学シートを使用する環境での平均日照時間
W1:太陽光集光用光学シートを使用する環境での平均水蒸気量
α1:太陽光集光用光学シートを使用する場所の緯度
U0:実際に屋外曝露試験を実施した場所での日照時間
W0:実際に屋外曝露試験を実施した場所での平均水蒸気量
α0:実際に屋外曝露試験を実施した場所の緯度
τuv(0):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τuv(T1):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ0(0):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ0(T1):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
【請求項2】
基材中に紫外線吸収剤を含む樹脂製太陽光集光用光学シートの設計方法であって、
メタルハライドランプ式耐候性試験(装置規格:JTM G 01:2000、日本試験機工業会)による加速劣化試験において、
T1時間の照射時間で試験した後の、400nm〜1850nmの波長領域における平均透過率の低下が
τuv(0)+τuv(T1)>τ0(0)+τ0(T1) (1)
を満たし、かつ、上記波長領域で各波長毎に初期値からの透過率低下が10%以下であるように基材中に含有させる紫外線吸収剤の量を決定することを特徴とする太陽光集光用光学シートの設計方法。
ただし、
T1=150×2.5×D1/D0 (3)
D1:太陽光集光用光学シートを使用する環境での平均直達日射量
D0:実際に屋外曝露試験を実施した場所での平均直達日射量
τuv(0):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τuv(T1):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ0(0):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ0(T1):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
【請求項3】
平均透過率の低下が初期値に対し7%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光集光用光学シートの設計方法。
【請求項4】
基材がアクリル樹脂であり、紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光集光用光学シートの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
太陽電池ユニットに太陽光を集光させて、発電効率の向上が図られた太陽光発電施設において、太陽からの直達光を集光させる機能を有する太陽光集光用
光学シー
トの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集光型太陽光発電装置は、太陽光を集光レンズで太陽電池に集光させて発電させる装置である。太陽電池はレンズで集光された光を受光できるだけの面積を備えていればよい為、レンズサイズに比べ非常に小さなサイズにすることができ、発電装置の中でも非常に高価な太陽電池の使用量を減らしコストを低減できる。一方でレンズを使用するため、直達光が多い(日照時間が長い)地域で使用することが必要である。このような点から、集光型太陽光発電装置は、日照時間が長く、大面積化が可能な広大な土地がある地域で、電力供給用途として、普及しつつある。集光型発電装置の装置例としては、特許文献1などが挙げられる。
【0003】
一般的に光学用途で使用されるレンズは光を高効率に利用する為、透明性の高いアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などが使用されている。これらの樹脂には紫外線などの影響によるレンズの着色および樹脂劣化などを防止する為に、紫外線吸収剤を所定量入れているのが一般的である。これらの光学部材は屋内でTVのスクリーンやバックライト用部材として使用されているのが一般的であり、直接照射される紫外線量が低く、添加する紫外線吸収剤濃度も低い。また、特許文献2に示されるように、紫外線吸収剤を多量に入れることで樹脂の耐光性を向上することは可能であるが、紫外線吸収剤による着色が発生し透過率が低下するなどの光学面および着色による黄変などの外観面において問題が生じる、また成形性が低下するといった問題が生じる為、出来るだけ低濃度で添加することが一般的である。
【0004】
しかしながら太陽光集光レンズは非常に多量の紫外線が照射される環境であること、また20年以上といった長期の使用が必要である事などの理由で、上記のように紫外線吸収剤を多量に添加する必要がある一方で、着色、劣化による透過率低下の影響や成形性に与える影響などを考慮すると、適正量が分からなかったのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−343435公報
【特許文献2】特開平05−156113号公報 実施例等
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のような光学用途と比較し、遥かに多量の紫外線照射環境かつ長期間使用下において、透過率低下がなく効率よく集光できる性能を有するレンズシートの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は
基材中に紫外線吸収剤を含む
樹脂製太陽光集光用光学シートの設計方法であって、
メタルハライドランプ式耐候性試験(装置規格:JTM G 01:2000、日本試験機工業会)による加速劣化試験において、
T
1時間の照射時間で試験した後の、400nm〜1850nmの波長領域における平均透過率の低下
が
τuv(0)+τuv(T
1)>τ
0(0)+τ
0(T
1) (1)
を満たし、かつ、上記波長領域で各波長毎に初期値からの透過率低下が10%以下であるように基材中に含有させる紫外線吸収剤の量を決定することを特徴とする太陽光集光用光学シートの設計方法により解決できる。
ただし、
T
1=150×2.5×U
1/U
0
×{0.44×ln(W
1/W
0)+0.88}
×{(0.5×cos(α
1−23.4))+cosα
1}/{(0.5×cos(α
0−23.4))+cosα
0} (2)
U
1:太陽光集光用光学シートを使用する環境での平均日照時間
W
1:太陽光集光用光学シートを使用する環境での平均水蒸気量
α
1:太陽光集光用光学シートを使用する場所の緯度
U
0:実際に屋外曝露試験を実施した場
所での日照時間
W
0:実際に屋外曝露試験を実施した場
所での平均水蒸気量
α
0:実際に屋外曝露試験を実施した場
所の緯度
τuv(0):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τuv(T
1):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T
1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ
0(0):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ
0(T
1):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T
1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
【0008】
また、本発明は平均透過率の低下が初期値に対し7%以下であることが好ましく、400nm〜1000nmの各波長領域において透過率の低下が初期値に対し10%以下であることが好ましい。
【0010】
さらに上記の課題は、
基材中に紫外線吸収剤を含む樹脂製太陽光集光用光学シートの設計方法であって、
メタルハライドランプ式耐候性試験(装置規格:JTM G 01:2000、日本試験機工業会)による加速劣化試験において、
T
1時間の照射時間で試験した後の、400nm〜1850nmの波長領域における平均透過率の低下が
τuv(0)+τuv(T
1)>τ
0(0)+τ
0(T
1) (1)
を満たし、かつ、上記波長領域で各波長毎に初期値からの透過率低下が10%以下であるように基材中に含有させる紫外線吸収剤の量を決定することを特徴とする太陽光集光用光学シートの設計方法により解決できる。
ただし、
T
1=150×2.5×D
1/D
0 (3)
D
1:太陽光集光用光学シートを使用する環境での平均直達日射量
D
0:実際に屋外曝露試験を実施した場所
での平均直達日射量
τuv(0):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τuv(T
1):本発明の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T
1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ
0(0):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験前の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
τ
0(T
1):紫外線吸収剤を含まない以外は本発明と同一の太陽光集光用光学シートの耐候性試験T
1時間後の400nm〜1850nmの波長領域での平均透過率
【発明の効果】
【0011】
本発明により、長期屋外曝露における紫外線劣化に伴う透過率低下が少なく、集光効率を初期値から維持し、かつ、成型性に優れた
太陽光集光用光学シートを作製することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】屋外曝露および促進試験によるフレネルレンズシートの透過率変化を示す図である。
【
図3】600時間までの促進試験によるフレネルレンズシートの透過率変化を示す図である。
【
図4】促進試験600時間後におけるフレネルレンズシートの波長毎の透過率変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1にフレネルレンズを使用した太陽光発電装置の一例を示す。レンズに到達した光は、レンズ部により屈折されて所定位置にある太陽電池に集光される構造となっている。また、太陽電池の手前にはガラス製や金属性の2次集光レンズを使用し、集光効率を向上させることが多い。
【0014】
前記フレネルレンズシートは、
図1に示されるようなフレネルレンズ集合体として用いられることが多く、各フレネルレンズは透明樹脂の基材に同心円プリズムが形成されている。同心円プリズムの形成には、プレス成形、射出成形、紫外線硬化性樹脂を用いた2P(
Photo
Polymerization)成形などが適用可能である。
【0015】
基材となる透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の種々の透明樹脂が用いられ得るが、耐候性の点からアクリル樹脂、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂を主とするのが好ましい。
【0016】
本発明における太陽光集光用フレネルレンズシートの基材は、太陽光に含まれる紫外線による劣化を防止するために紫外線吸収剤が含有される。含有する紫外線吸収剤としては種々のものが採用可能であるが、吸収波長端が400nm未満、特に350nm〜380nmの範囲内にあるのが好ましく、この点からベンゾトリアゾール系であるのが好ましい。
【0017】
図2に示すように、宮古島において実際にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むフレネルレンズシート用材料であるPMMA樹脂の屋外曝露試験を実施しその透過率変化を観察した。その結果、10年間の屋外曝露における透過率の低下はないことが明らかとなった。
【0018】
次に、JTM G01:2000の装置規格で定められている試験機を使用し、所定環境下において超促進耐候性試験を実施した。装置は岩崎電気株式会社製の超促進耐候性試験機(SUV−F1)を使用した。この結果についても
図2に示す。この結果から、150時間の促進試験が宮古島での屋外曝露10年以上に相当することが分かった。
【0019】
一方、太陽光集光モジュールが設置される代表的な地域の環境を表1に示す。例えば、実際に太陽光モジュールを設置する場所としてスペインのトレドを想定した場合、宮古島の環境に比べ年間の日照時間が約1.7倍であることおよび湿度による太陽光の吸収、緯度による日差しの角度の違いから、宮古島における10年の曝露は例えばトレドであれば約6.5年の曝露に相当する。したがって、トレドにおける25年以上の長期間使用を考慮すると、宮古島での約40年の使用を考慮する必要があり、すなわち、超促進試験時間はおよそ600時間が必要となる。同様に、想定する設置場所が銚子ではおよそ410時間、アメリカのフェニックスではおよそ860時間、同じくラスベガスではおよそ950時間、同じくマイアミではおよそ570時間の超促進試験がそれぞれ必要となる。
【0021】
前記式(2)は上記の考え方を一般化したものである。実際の設置場所で約25年の長期使用に相当する宮古島での使用期間に換算し、さらに、宮古島での結果と超促進耐候性試験機での結果との相関から求められる必要な試験時間を示すものである。すなわち、式(2)は、「促進試験時間T
1=宮古島での25年相当の促進試験時間(150×2.5)×使用場所での日照時間補正×使用場所での水蒸気量補正×使用場所での緯度補正」なる経験則である。しかしながら、日射に影響を及ぼすのは大気中の絶対水蒸気量であるが、通常平均相対湿度が公表されている。そのため、宮古島および使用場所での平均最高気温における飽和水蒸気量に平均相対湿度を乗することで、宮古島および使用場所での水蒸気量を求めている。日照時間並びに湿度および最高気温の値としては、使用場所の属する国または領域より発表される値を使用するのが望ましい。
【0022】
一方、設置場所によっては、そこがその場所の年間の直達日射量が公表されている地域である場合がある。そのような場合には、上記の式(2)に変わって、式(3)を用いて促進試験時間T
1を求めることができる。
【0023】
設置場所としてトレドを想定した600時間の促進試験後での400nm〜1850nmの波長範囲における平均透過率変化を
図3に示す。ここで、透過率測定にはU−3410(日立製)の分光光度計を使用した。また、基材としてアクリル樹脂(PMMA)を、紫外線吸収剤にはベンゾトリアゾール系のJF−77(城北化学社製)を使用した。
【0024】
基材中の紫外線吸収剤濃度が増加すると初期透過率は低下する。これは紫外線吸収剤の影響で400nm程度より波長の短い光がカットされるため、また、添加量が増加すると共に紫外線吸収剤そのものによる着色が発生するためである。そのため、できるだけ紫外線吸収剤の添加量は抑えるべきである。一方で、紫外線吸収剤を添加しないと試験時間の増加と共に400nm〜1850nmの波長範囲における平均透過率が低下し、600時間後では初期値に対して約14%の透過率の低下が発生する。これでは紫外線曝露雰囲気下での長期使用において、フレネルレンズ集光体自身による透過率低下により発電量を低下させてしまう。この低下を下限値とした場合、初期値の低下は少なくとも7%以内である必要がある。また、促進曝露試験において、それ以上の低下が発生してはならない。
【0025】
次に、600時間の促進試験後での400nm〜1000nmの波長範囲における透過率の初期値に対する変化率を
図4に示す。紫外線による樹脂の劣化は特にこの波長範囲で発生し着色で透過率が低下する。また、太陽光の光強度は
図5に示すように、この波長範囲での強度が大きい為、この範囲での透過率ロスは発電量に大きく依存する。その為、この範囲での損失は出来るだけ抑制する必要があり、10%以下に押えることが必要である。
図4を見ると、0.02%の添加量においても約400nmの波長で30%以上の透過率の低下が発生している。一方で、0.14%の添加量では、試験後においても初期値からの変化がないことが確認できた為、少なくとも0.1%以上の濃度まで紫外線吸収剤量を添加することが望ましく、0.14%以上の濃度まで添加することがより望ましい。
【0026】
すなわち、太陽光モジュールに使用される太陽光集光用フレネルレンズシートには、初期状態での透過率がなるべく高く、かつ、長期間の使用によって透過率の低下の少ない素材が求められる。式(1)は上記の特徴を有する素材についての条件を表しており、左辺は本発明における光学シートの、促進試験前後の透過率の和であり、右辺は左辺で示される光学シートと同じ基材であって紫外線吸収剤を含まないものの、促進試験前後の透過率の和である。促進試験は、上記したように式(2)または式(3)で与えられるT
1時間行われる。
【0027】
τuv(0)+τuv(T
1)>τ
0(0)+τ
0(T
1) (1)
右辺は前記基材の種類が定まれば設置場所の条件により定まる。左辺のうち、τuv(0)は紫外線吸収剤の含有量が多いほど小さくなるが、τuv(T
1)については紫外線吸収剤の含有量が多いほど大きく(透過率の低下が少なく)なる傾向にあり、そのため適正な紫外線吸収剤の添加量を与える式となっている。
【0028】
一方で、先に述べたように紫外線吸収剤量は添加量の増加と共に着色や波長のカットにより初期透過率が低下する他に、添加剤の増加と共に成形時の揮発成分が増加することによる不具合が発生することがわかっている。そのため、出来れば0.3%以下の添加量に抑えることが好ましく、0.2%以下であるのがより好ましい。