(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態は、指向性送信技術を提供する。例えば、装置は、シーケンス選択モジュールと、複数の放出素子とを備えるとしてよい。シーケンス選択モジュールは、指向性送信パターンのシーケンスを選択し、選択されたシーケンスはそれぞれ、期間に対応する。複数の放出素子は、選択されたシーケンスに応じた期間でブロードキャストをワイヤレス送信する。当該ブロードキャストは、例えば、ビーコンおよび/またはデータブロードキャストを含むとしてよい。
【0013】
このようなシーケンスを利用することによって、繰り返し発生する送信の衝突の可能性が低減され得る。このため、実施形態は、ワイヤレスネットワークのロバスト性を改善するという効果を奏し得る。
【0014】
本明細書においては「一実施形態」または「実施形態」という場合、当該実施形態に関連付けて説明されている特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。このため、「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が本明細書で何度も使用されるが、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているとは限らない。また、特定の特徴、構造、または特性を、1以上の実施形態において任意に適切に組み合わせるとしてよい。
【0015】
上述したように、従来のワイヤレスネットワークは、全方向性ブロードキャスト送信を行っている。このようなブロードキャスト送信は、クライアントデバイスにネットワークを発見させ、ネットワークとクライアントデバイスとを同期させ、およびネットワークとクライアントデバイスとを対応付けることを可能とするビーコンを含むとしてよい。また、このようなブロードキャスト送信は、データ送信を含むとしてよい。しかし、実施形態は、このようなブロードキャスト送信の例に限定されない。
【0016】
本明細書に記載する技術は、さまざまな種類のネットワークで利用され得る。このようなネットワークの例は、米国電気電子学会(IEEE)802.15規格のワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク(WPAN)、例えば、Blurtooth(登録商標)ネットワークを含む。また、本明細書に記載する技術は、IEEE802.11規格のワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)で利用されるとしてよい。さらにネットワークの例を挙げると、IEEE802.16規格のワイヤレス・メトロポリタン・エリア・ネットワーク(WMAN)、例えばWiMAXネットワークが含まれる。WiMAXネットワークは、ビーム形成機能によって指向性送信をサポートし得る。また、本明細書に記載する技術は、60GHzネットワークにおいて利用されるとしてよい。上述したネットワークは、例として挙げられているのみで、本発明を限定するものではない。このため、本明細書に記載されている技術は、その他の種類のネットワークでも利用されるとしてよい。
【0017】
指向性通信機能を持つネットワークでは、複数の指向性送信に基づいて、全方向性ブロードキャストをサポートするとしてよい。このため、M個の方向をサポートするデバイスについては、ビーコンブロードキャスト送信は、ビーコンフレームをM回送信することによって実現されるとしてよい(例えば、サポートしている方向それぞれについて、1回の送信)。
【0018】
この特徴の一例を
図1に示す。
図1は、ネットワークコントローラ102の送信セクタの一例を示す(平面斜視)図である。具体的には、
図1は、8個のセクタ(S
0からS
7)を示す。これらのセクタはそれぞれ、利用可能な送信パノラマ103内にある。説明の便宜上、利用可能な送信パノラマ103は、ネットワークコントローラ102の全周(つまり、360度)を網羅するものとする。しかし、これに代えて、その他の範囲をカバーするパノラマであってもよい。
【0019】
ネットワークコントローラ102は、フレームをブロードキャストするべく、当該フレームを8回送信する。より具体的には、ネットワークコントローラ102は、セクタS
0からS
7のそれぞれにおいて、フレームを連続して送信する。本明細書で説明するように、この技術は、さまざまな種類のブロードキャスト、例えば、ビーコン、データ送信等について用いられるとしてよい。
図1では8個のセクタを示しているが、利用する指向性送信セクタの数は任意であってよい。さらに、実施形態では、セクタ以外のパターンを利用するとしてよい。
【0020】
ワイヤレスネットワークは通常、複数のデバイスが通信媒体を共有できるように多元接続方法を採用する。そのような方法の1つとして、搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式(CSMA/CA)がある。CSMA/CA方式では、搬送波感知方式によってこのような共有を可能とする。より具体的には、デバイスは、フレームを送信する前に搬送波感知を行う。この搬送波感知で、リモートデバイスから別の信号が送信されている最中か否かを検出する。当該デバイスは、別の信号が送信されている最中であれば、フレームの送信を延期して、フレーム再送信まである期間(「バックオフ遅延」とも呼ばれる)にわたって待機する。
【0021】
このような構成に代えて、または、このような構成に加えて、ワイヤレスネットワークでは、各デバイスに固有のタイムスロットを割り当てることによって共有を可能とする時分割多元接続(TDMA)技術を利用するとしてよい。
【0022】
図2は、ワイヤレス通信ネットワークのTDMA方式200の一例を示す図である。この割り当てには、スーパーフレーム202
0から202
Nのシーケンスの繰り返しが含まれる。各スーパーフレームは、ビーコン期間(BP)204を含む。より具体的には、
図2は、スーパーフレーム202
0から202
Nがそれぞれ、BP204
0から204
Nを含む様子を示している。
【0023】
BP204
0―Nでは、ネットワークコントローラノード(例えば、PNC)に、ビーコンを送信するリソースを与える。コントローラノードは、複数回(整数Mで示す)の指向性送信によって、このようなビーコンをブロードキャストする。従って、
図2は、BP204
0−204
Nのそれぞれが複数の部分(P
0−P
M−1)を含む様子を示している。指向性送信はそれぞれ、これら複数の部分P
0−P
M−1のうち対応する1つにおいて実行される。このため、
図1の状況においてTDMA方式200が採用される場合、ネットワークコントローラが8個の指向性送信セクタを持つので、M=8となる。
【0024】
図示されていないが、同様にスーパーフレーム202
0−202
N内のデータスロットによって、デバイス(例えば、ネットワークコントローラ)は、データ送信をブロードキャストすることができるようになる。このため、これらデータスロットもまた、複数回の指向性データ送信用にM個の部分を持つとしてよい。
【0025】
ネットワークコントローラは、ブロードキャスト(例えば、ビーコン)の送信において、さまざまな指向性送信方法を利用するとしてよい。方法の1つに、連続するスーパーフレームについて、同じ指向性送信シーケンスを用いる方法がある。この場合、
図1を参照して説明すると、セクタS
0からS
7の指向性ブロードキャストフレーム送信は、連続するスーパーフレームにおいて、同じシーケンスで実行される。
【0026】
しかし、連続する期間について指向性送信のシーケンスを同じとする場合、さまざまな問題が発生し得る。例えば、1つのワイヤレスネットワーク内での特定の指向性送信は、近接するワイヤレスネットワークにおける特定のデータ通信と、常に干渉する場合がある。この問題を、一例として、
図3を参照しつつ以下で説明する。
【0027】
図3は、動作環境300の一例を示す図である。この環境では、同時に動作しているワイヤレスネットワークが2つ、互いに近接している。より具体的に言うと、
図3は、ネットワークコントローラ306aが制御する第1のワイヤレスネットワーク302と、ネットワークコントローラ306bが制御する第2のワイヤレスネットワーク304とを示している。さまざまなクライアントデバイス(CD)が、これら2つのネットワークに参加している。例えば、
図3では、ネットワーク302に参加しているデバイス308aおよび308b、ならびに、ネットワーク304に参加しているデバイス308cおよび308dを示している。
【0028】
ネットワークコントローラ306aおよび306bはそれぞれ、ビーコン送信シーケンスを周期的に送信する。例えば、スーパーフレーム毎に、ネットワークコントローラ306aは、セクタS
0からS
7用に対応する個別ビーコンシーケンスを送信する(つまり、[S
0、S
1、S
2、S
3、S
4、S
5、S
6、S
7])。
【0029】
また、デバイス308dが、ネットワークコントローラ306bにデータ送信320を送る様子が図示されている。
図3は、このデータ送信において、ネットワークコントローラ306aがセクタS
5に対応するビーコン送信322を送っている様子を示している。デバイス308cはネットワークコントローラ306aのセクタS
5内にあるものの、ビーコン送信322を受信しない。これは、ビーコン送信322がデータ送信320と衝突する(
図3では、衝突324として図示している)ためである。従って、この衝突によって、デバイス308cは、ネットワーク302の発見、ネットワーク302との同期、および/または、ネットワーク302との対応付けを行う機能が、損なわれてしまったり、または、不可能になってしまう。
【0030】
ネットワークコントローラ(例えば、ネットワークコントローラ306a)が常に同じビーコン送信シーケンスを利用すると、ビーコン(および/またはその他のブロードキャスト)のうち1以上の受信が決して成功しないデバイスが出てくることがあり得る。これは、これらの送信が、近接するネットワークにおけるスケジューリングされた送信(例えば、周期的なビデオストリーミング、別のビーコン、ビーム形成トレーニングシーケンス等)と衝突するためである。このような衝突が発生すると、デバイスは、ネットワークコントローラの発見/ネットワークコントローラとの対応付け/ネットワークコントローラとの通信が実行できなくなったり、または、ネットワークコントローラから非常に長期間にわたって(仮にあったとすると)ブロードキャストフレームを受信したりという問題が生じ得る。従って、ビーコン(またはその他のブロードキャスト)について用いられる指向性シーケンスは、プロトコルのロバスト性に影響を及ぼし得る。
【0031】
実施形態は、このような問題を回避する技術を実現する。例えば、期間(例えば、スーパーフレーム)毎に指向性送信パターンシーケンスを変更するとしてよい。このような構成とすると、ワイヤレス通信プロトコルのロバスト性および性能を高め得る。例えば、同時に動作している複数のワイヤレスネットワーク環境において発生する衝突が低減され得る。
【0032】
図3を再び参照しつつ説明すると、ネットワークコントローラ306aは、このような方法を利用して、連続するビーコン(および/またはその他のブロードキャスト)について指向性送信パターンシーケンスを異ならせるとしてよい(例えば、セクタS
0からS
7のシーケンスを異ならせるとしてよい)。このようにシーケンスを異ならせることによって、ネットワークコントローラ(例えば、PNC)は、別のネットワークに対応付けられている送信であって、上記のような方法を利用していなければ干渉していたであろう送信を別のデバイスが送っていない期間においてクライアントデバイスが当該コントローラの送信を受信する確率を上げることが出来る。
【0033】
実施形態では、さまざまな方法を用いて、ブロードキャストフレームを送信するシーケンスを変更するとしてよい。例えば、ランダム方式および/またはラウンドロビン方式を用いるとしてよい。しかし、これらに代えて、または、これらに加えて、その他の方法を利用するとしてよい。
【0034】
ランダム方式を用いる場合、デバイス(例えば、ネットワークコントローラ)は、各ブロードキャスト(例えば、ビーコン)の送信前に、指向性送信シーケンスをランダムに生成する。そして、当該デバイスは、このシーケンスを用いてブロードキャストを送信する。
【0035】
例えば、合計M個(Mは、1以上の整数)の方向がサポートされている場合、デバイスはシーケンスCを生成する。Cは、シーケンス[S
0,S
1,・・・,S
N−1]のランダム置換である。連続する期間(例えば、連続するスーパーフレーム)についてCをランダムに生成することによって、送信デバイスは、送信するブロードキャストがその他の送信と衝突することなく任意のデバイスに到達する可能性を高くすることが出来る。
【0036】
ラウンドロビン方式を用いる場合、デバイスがサポートするM個の方向のシーケンスは、連続する期間(例えば、連続するスーパーフレーム)について、一周するようにシフトされる。このようにシフトする様子の一例を
図4に示す。
図4では、スーパーフレーム402
0から402
Mまでを含むシーケンス400を示す。各スーパーフレームは、ビーコン期間(BP)を含む。具体的には、
図4は、それぞれBP404
0から404
Mを含むスーパーフレーム402
0から402
Mを図示している。
【0037】
図4に示すように、スーパーフレーム402
0のBP404
0では、デバイスは指向性シーケンス[S
0,S
1,・・・,S
M−1]を用いる。スーパーフレーム402
1では、第1番目の方向はS
1となる。この結果、指向性シーケンスは[S
1,S
2,・・・,S
0]となる。従って、スーパーフレーム402
M−1では、シーケンスは[S
M−1,S
0,・・・,S
M−2]となる。
【0038】
このため、スーパーフレーム402
0から402
M−1は、本明細書ではラウンドと呼ぶ、スーパーフレームシーケンスを含む。所与のラウンドでは、M個の方向のそれぞれが、ある指向性シーケンスにおいて最初に来ることになる。これが一巡すると、次のラウンドが開始される。従って、
図4は、ラウンド406
0と、その後に続くラウンド406
1とを図示している。
【0039】
本明細書で説明する指向性送信技術は、さまざまな種類の送信について利用されるとしてよい。上述した例は、ビーコン送信およびデータブロードキャストを含む。しかし、開示される技術は、その他の種類の送信に用いられるとしてよい。例えば、送信の一例を挙げると、(これらに限定されないが)、データフレーム、管理フレーム、および制御フレームがある。実施形態によると、このようなフレームはブロードキャストされるとしてよい。従って、複数のフレーム(例えば、連続するフレーム)について、本明細書で説明するように、指向性送信パターンシーケンスを異ならせるとしてよい。
【0040】
データフレームは、フレーム本体において高位のレイヤからのプロトコルおよびデータを搬送する。従って、データフレームは、1以上のアプリケーションに対応付けられるペイロード情報を運ぶとしてよい。
【0041】
管理フレームは、局(ステーション)による通信の確立および維持を可能とするフレームである。IEEE802.11ネットワークの場合、管理フレームは、認証フレーム、非認証フレーム、対応付け要求フレーム、対応付け応答フレーム、再対応付け要求フレーム、再対応付け応答フレーム、非対応付けフレーム、ビーコンフレーム、プローブ要求フレーム、および、プローブ応答フレームを含む。
【0042】
制御フレームは、局同士の間でのデータフレームの送信を支援するフレームである。IEEE802.11の制御フレームの例を挙げると、Request to Send(送信要求:RTS)フレーム、Clear to Send(受信準備完了:CTS)フレーム、確認(ACK)フレームが含まれる。
【0043】
図5は、ネットワークコントローラに含まれ得る実装例500を示す図である。
図5に示すように、実装例500は、アンテナモジュール502と、送受信モジュール504と、ホストモジュール506とを備えるとしてよい。これらの構成要素は、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの任意の組み合わせによって実装されるとしてよい。
【0044】
アンテナモジュール502は、リモートデバイスとの間においてワイヤレス信号を交換する。また、アンテナモジュール502は、1以上の指向性放出パターンによってワイヤレス信号を送信するとしてよい。このため、アンテナモジュール502は、複数のアンテナおよび/または複数の放出素子(例えば、フェーズドアレイ放出素子)を有するとしてよい。アンテナモジュール502の実装例に関する詳細な内容は、
図6を参照しつつ後述する。
【0045】
送受信モジュール504は、アンテナモジュール502とホストモジュール506との間のインターフェースを実現する。例えば、送受信モジュール504は、ホストモジュール506からシンボル520を受信して、これに対応して、アンテナモジュール502によってワイヤレス送信される信号522を生成する。これには、処理、例えば、変調、増幅、および/または、フィルタリングが含まれるとしてよい。しかし、その他の処理を利用するとしてよい。
【0046】
逆に、受信部510は、アンテナモジュール502が受信した信号524を取得して、対応するシンボル526を生成する。受信部510は、シンボル526をホストモジュール506に提供する。このようにシンボル526を生成するには、処理、例えば(これらに限定されないが)復調、増幅、および/または、フィルタリングを行うとしてよい。
【0047】
ホストモジュール506と送受信モジュール504との間で交換されるシンボルは、1以上のプロトコル、および/または、1以上のユーザアプリケーションに対応付けられるメッセージまたは情報を形成するとしてよい。このようにして、ホストモジュール506は、このようなプロトコルおよび/またはユーザアプリケーションに対応する動作を実行するとしてよい。プロトコルの例には、さまざまな媒体アクセスプロトコル、ネットワークプロトコル、トランスポートプロトコル、および/または、セッション層プロトコルが含まれる。ユーザアプリケーションの例には、電話通信、メッセージ通信、電子メール、ウェブ閲覧、コンテンツ(例えば、ビデオおよびオーディオ)配信/受信等が含まれる。
【0048】
また、ホストモジュール506は、送受信モジュール504との間で、制御情報540を交換するとしてよい。この制御情報は、送受信モジュール504の動作及び状態に関する情報であってよい。例えば、制御情報540は、ホストモジュール506が送受信モジュール504に送信する命令を含むとしてよい。このような命令によって、送受信モジュール504の動作パラメータ/特性が構築されるとしてよい。制御情報540はさらに、ホストモジュール506が送受信モジュール504から受信するデータ(例えば、動作状態情報)を含むとしてよい。
【0049】
図5は、送信部508と、受信部510と、制御モジュール512と、シーケンス選択モジュール514と、指向性制御モジュール516と、記憶モジュール518とを有する送受信モジュール504を示す図である。これらの構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、または、これらの任意の組み合わせによって実装されるとしてよい。
【0050】
送信部508は、シンボル520に基づいて信号522を生成する。逆に、受信部510は、受信した信号524に基づいてシンボル526を生成する。このような特徴を実現するべく、送信部508および受信部510はそれぞれ、さまざまな構成要素、例えば、変調器、復調器、増幅器、フィルタ、バッファ、アップコンバータ、および/または、ダウンコンバータ等を含むとしてよい。このような構成要素は、ハードウェア(例えば、電子機器)、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせによって実装されるとしてよい。
【0051】
信号522および524は、さまざまな形式の信号であってよい。例えば、これらの信号は、IEEE802.11、IEEE802.15、および/または、IEEE802.16のネットワークにおいて送信されるための形式を持つ信号であってよい。しかし、実施形態はこのようなネットワークの例に限定されない。
【0052】
制御モジュール512は、送受信モジュール504のさまざまな動作を制御する。例えば、制御モジュール512は、送信部508および受信部510の動作特性を確立するとしてよい。このような特性には、これらに限定されないが、タイミング特性、増幅特性、変調/復調特性等が含まれるとしてよい。
図5に図示されるように、このような特性の確立は、命令528および530によって実現されるとしてよい。命令528および530はそれぞれ、送信部508および受信部510に送信される。
【0053】
制御モジュール512はさらに、指向性送信という特徴の利用を制御する。具体的には、
図5では、開始信号532およびトリガ信号534を生成する制御モジュール512を図示している。これらの信号は、シーケンス選択モジュール514および指向性制御モジュール516の動作を制御する。
【0054】
より具体的に説明すると、開始信号532が活性化されると、シーケンス選択モジュール514は、アンテナモジュール502が利用するべき指向性送信パターンシーケンスを示す指向性シーケンス536を生成する。シーケンス選択モジュール514は、さまざまな方法(例えば、ランダム形式、ラウンドロビン方式等)に従ってこのシーケンスを生成するとしてよい。
【0055】
実施形態によると、制御モジュール512は、新たな指向性送信パターンシーケンスを利用する度に、開始信号532を活性化するとしてよい。例えば、本明細書に記載されるように、制御モジュール512はスーパーフレーム毎に開始信号532を活性化するとしてよい。しかし、開始信号532の活性化はその他の方法に従って行われるとしてよい。
【0056】
図5に示すように、指向性シーケンス536は、指向性制御モジュール516に送信される。そして、指向性制御モジュール516は、指向性シーケンス536に対応して、アンテナモジュール502の動作特性を確立する。これは、
図5に示すように、設定パラメータ542でアンテナモジュール502を設定することを含むとしてよい。
【0057】
設定パラメータ542は、アンテナモジュール502が有する各アンテナおよび/または各放出素子に適用されるべき特定のパラメータを特定するとしてよい。このようなパラメータの例は、(これらに限定されないが)、増幅ゲイン、減衰係数、および/または、位相シフト値を含む。実施形態によると、設定パラメータ542は、複数のパラメータ群を含む。それぞれのパラメータ群は、指向性シーケンス536で特定される指向性送信パターンの1以上のパラメータを含む。
【0058】
指向性制御モジュール516は、トリガ信号534(制御モジュール512から受信する)に応じてアンテナモジュール502を設定する。これには、トリガ信号534がパラメータ群の配信を制御して、ブロードキャストに含まれる対応する指向性送信に同期して当該パラメータ群をアンテナモジュール502が採用することが含まれるとしてよい。
【0059】
実施形態によると、指向性制御モジュール516は、記憶モジュール518から設定パラメータ542を取得するとしてよい。この特徴は、パラメータ値538として
図5に図示されている。このように、記憶モジュール518は、複数の指向性送信パターンに関する情報を記憶しているとしてよい。例えば、記憶モジュール518は、指向性シーケンス536が採用する索引付け方法に従って索引付けされる動作パラメータ群を記憶する。このような記憶媒体の例は、後述する。
【0060】
図6は、アンテナモジュール502の実装例を示す図である。
図6に示すように、この実装例では、複数の放出素子602aから602n、複数の処理ノード604aから604n、スプリッタモジュール606、およびインターフェースモジュール608が設けられる。これらの構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせによって実装されるとしてよい。
【0061】
各放出素子602は、独立したアンテナであってよい。この構成に代えて、または、この構成に加えて、各放出素子602は、フェーズドアレイアンテナまたは切替型ビームアンテナが有する放出素子であってよい。このため、放出素子602aから602nは、1以上の独立したアンテナ、および/または、1以上のフェーズドアレイ、および/または、1以上の切替型ビームアンテナを形成するとしてよい。
図6に示すように、放出素子602aから602nはそれぞれ、処理ノード604aから604nのうち対応する1つの処理ノードに結合されている。
【0062】
図6に示すように、スプリッタモジュール606は、(
図5に示す送受信モジュール504が生成する)信号522を受信する。受信すると、スプリッタモジュール606は、信号522を「分割」して、互いに略同一の複数の入力信号620aから620nを生成する。このように分割すると、ある程度の挿入損失が発生し得る。入力信号620aから620nは、処理ノード604aから604nに送信される。
【0063】
処理ノード604aから604nは、入力信号620aから620nに基づいて、処理済信号622aから622nを生成する。そして、処理済信号622aから622nは、放出素子602aから602nに送信される。処理ノード604aから604nは、処理済信号622aから622nを生成するべく、入力信号620aから620nに対してさまざまな処理を実行するとしてよい。
【0064】
処理ノード604aから604nが実行する処理の例としては、(これらに限定されないが)、減衰、増幅、および/または位相シフトが含まれる。さらに処理の一例として、スイッチングも挙げられる。例えば、処理ノード604aから604nのうち1以上が、対応する入力信号620の通過または遮蔽を選択するとしてよい。このため、入力信号620が遮蔽されると、対応する出力信号622はエネルギーがゼロの(ヌル)信号であるとしてよい。
【0065】
処理ノード604aから604nが処理済信号622aから622nをどのように生成するかは、制御信号624aから624nによって決まる。このため、これらの信号は、減衰係数、増幅ゲイン、位相シフト値、スイッチング命令等を運ぶとしてよい。
【0066】
実施形態によると、制御信号624aから624nは、インターフェースモジュール608が受信する設定パラメータ542に含まれる。これらのパラメータは、さまざまな形式(例えば、アナログ、デジタル、シリアル、パラレル等)で受信されるとしてよい。インターフェースモジュール608は、これらのパラメータを抽出して、制御信号624aから624nとしてフォーマッティングする。上述したように、制御信号624aから624nはそれぞれ、処理ノード604aから604nに送信される。
【0067】
図6の実装例は、本発明の例示を目的としたもので、本発明を限定するものではない。従って、アンテナモジュール602の実装例は、その他の構成要素を有するとしてよい。例えば、実装例は、1以上の増幅器および/またはフィルタを含むとしてよい。このような増幅器および/またはフィルタは、処理ノード604a−604nと、放出素子602a−602nとの間に結合されるとしてよい。
【0068】
以下では、
図5および
図6を参照しつつ、ブロードキャスト方法を説明する。当該方法では、放出素子602aから602nがそれぞれ、特定の放出パターンを持つアンテナである。例えば、放出素子602aから602nのパターンは、複数の送信セクタ、例えば、
図1に示すセクタS
0からS
7に対応するとしてよい。
【0069】
従って、この方法では、処理ノード604aから604nは、入力信号620aから620nを通過または遮蔽するスイッチングノードとして動作する。上述したように、処理ノード604aから604nは、制御信号624aから624nによって制御される。この場合、これらの制御信号は、2進法式のスイッチングコマンド(例えば、スイッチ開放状態またはスイッチ閉鎖状態を持つ)を運ぶ。
【0070】
放出素子602aから602nのそれぞれが特定の放出パターンに対応するので、制御信号624aから624nは、処理ノード604aから604nのうち1つを逐次選択して開放状態として、残りの処理ノードを閉鎖状態とするとしてよい。このような選択方式に基づいて、放出素子602aから602nのうち1つのみが一度に信号を発するようになる。
【0071】
図7は、ロジックフローの実施形態を示す図である。具体的には、
図7は、本明細書に記載する1以上の実施形態が実行する処理を表すロジックフロー700を示す。
図7は特定のシーケンスを図示しているが、他のシーケンスであってもよい。また、図示されている処理は、さまざまに組み合わせて、並列に、および/または、逐次実行されるとしてよい。
【0072】
図7に示すフローは、ワイヤレスブロードキャストの送信を含む。このブロードキャストは、さまざまな形式の情報を搬送するとしてよい。例えば、実施形態によると、ワイヤレスブロードキャストは、ビーコンおよび/またはデータフレームであってよい。しかし、実施形態はこれらの例に限定されない。
【0073】
ブロック702において、複数の指向性送信パターンを含む第1のシーケンスを選択する。
図5に関連付けて説明すると、この段階は、シーケンス選択モジュール514によって実行されるとしてよい。複数の指向性送信パターンはそれぞれ、利用可能な送信パノラマ内の一のセクタに対応するとしてよい。例えば、指向性送信パターンは、
図1のセクタS
0からS
7に対応するとしてよい。
【0074】
ブロック704において、ワイヤレスブロードキャストが、第1の期間内に送信される。より具体的に説明すると、ワイヤレスブロードキャストは、ブロック702で選択されたシーケンスに応じた第1の期間内で送信される。この第1の期間は、TDMA送信形式における第1のスーパーフレームであってよい。
【0075】
図7に示すように、ブロック706において、複数の指向性送信パターンを含む第2のシーケンスを選択する。
図5を再度参照して説明すると、このブロックは、シーケンス選択モジュール514によって実行されるとしてよい。
【0076】
ブロック708において、ワイヤレスブロードキャストは第2の期間内に送信される。より具体的に説明すると、ブロードキャストは、複数の指向性送信パターンを含む第2のシーケンスに応じた第2の期間内で送信される。この第2の期間は、TDMA送信形式における第2のスーパーフレームであってよい。例えば、第1および第2のスーパーフレームは、連続するスーパーフレームであってよい。
【0077】
上記の説明によると、ブロック702および706は、指向性送信パターンシーケンスの選択を含む。この選択は、さまざまな方法、例えば、ランダム方式および/またはラウンドロビン方式に従って行われるとしてよい。しかし、実施形態はこれらに限定されない。
【0078】
本明細書に記載するように、さまざまな実施形態は、ハードウェア素子、ソフトウェア素子、または、これらの任意の組み合わせを用いて実装されるとしてよい。ハードウェア素子の例には、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子(例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、インダクタ等)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ロジックゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセット等が含まれるとしてよい。
【0079】
ソフトウェアの例には、ソフトウェア構成要素、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、機械プログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、方法、プロシージャ、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令群、演算コード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、ワード、値、シンボル、またはこれらの任意の組み合わせが含まれるとしてよい。
【0080】
一部の実施形態は、例えば、一の命令または命令群を格納する機械読み出し可能な媒体または物品を用いて、実装されるとしてよい。当該命令または命令群は、機械によって実行されると、当該実施形態に係る方法および/または処理を当該機械に実行させるとしてよい。このような機械は、例えば、任意の適切なプロセッシングプラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、プロセッシングデバイス、コンピューティングシステム、プロセッシングシステム、コンピュータ、プロセッサ等を含むとしてよく、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の適切な組み合わせを用いて実装され得る。
【0081】
機械読み出し可能な媒体または物品は、例えば、任意の適切な種類のメモリユニット、メモリデバイス、メモリ物品、メモリ媒体、ストレージデバイス、ストレージ物品、記憶媒体、および/またはストレージユニット、例えば、メモリ、取り外し可能または取り外し不可能な媒体、消去可能または消去不可能な媒体、書き込み可能または書き換え可能な媒体、デジタル媒体またはアナログ媒体、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD−ROM)、追記型コンパクト・ディスク(CD−R)、書き換え可能コンパクト・ディスク(CD−RW)、光ディスク、磁気媒体、光磁気媒体、取り外し可能なメモリカードまたはメモリディスク、さまざまな種類のDVD、テープ、カセット等を含むとしてよい。命令は、任意の適切な種類のコード、例えば、ソースコード、コンパイルされたコード、インタプリタで解釈されたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、暗号化されたコード等を含むとしてよく、任意の適切な高級プログラミング言語、低級プログラミング言語、オブジェクト指向プログラミング言語、視覚的なプログラミング言語、コンパイルされたプログラミング言語、および/または、インタプリタで解釈されたプログラミング言語を用いて実装されるとしてよい。
【0082】
本発明のさまざまな実施形態を上述したが、例示のために記載されたに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解されたい。例えば、本明細書に記載する指向性送信技術は、TDMAを採用するネットワークに限定されるものではない。その他の送信形式、例えば、CSMA/CAおよび搬送波感知多重アクセス/衝突検知方式(CSMA/CD)等を採用するネットワークも、上述したような指向性送信技術を採用するとしてよい。
【0083】
従って、本発明の精神および範囲を逸脱することなく本明細書に記載した形態および詳細な内容をさまざまに変更することができるのは、当業者には明らかである。このため、本発明の範囲は上述した実施形態例のいずれにも限定されるべきではなく、本発明の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義されるべきである。