(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体は、少なくとも高弾性係数、高熱伝導率、低熱膨張係数のうちのいずれか1つを有する材料により作られていることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
前記筐体は、低収縮ニアネットシェイプ鋳造法と、低収縮ニアネットシェイプ反応侵入法のうちの少なくともいずれか一方を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
前記筐体と前記第1レンズユニットとの間の前記第1接合部には、熱変形分離装置が設けられており、前記熱変形分離装置は、前記筐体と前記第1レンズユニットとの熱変形を分離することを特徴とする請求項28に記載の支持ユニット。
前記筐体は、セラミック材料により作られているとともに、低収縮ニアネットシェイプ鋳造法と、低収縮ニアネットシェイプ反応侵入法とのうちの少なくともいずれか一方を用いて形成されていることを特徴とする請求項28に記載の支持ユニット。
前記筐体と前記第1レンズユニットとの間の前記第1接合部には、熱的シフト補償装置が設けられており、前記熱的シフト補償装置は、前記筐体と前記第1レンズユニットとの間での熱によるシフトを補償することを特徴とする請求項33に記載の支持ユニット。
前記筐体は、セラミック材料により作られているとともに、低収縮ニアネットシェイプ鋳造法と、低収縮ニアネットシェイプ反応侵入法とのうちの少なくともいずれか一方を用いて形成されていることを特徴とする請求項33に記載の支持ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下に、本発明の支持ユニット3を備えた、本発明の反射屈折投影光学系2を有する、本発明の露光装置1の好適な第1実施形態について
図1を参照して説明する。
【0036】
露光装置1はマスク4に形成されたパターン像を基板5に転写する。この目的を達成するために、露光装置1は、マスクに光を照射する照明系6と、投影光学系2を有する。投影光学系2は、マスク4に形成されたパターン像をウエハ等の基板5に投影する。
【0037】
投影光学系2は、2つの長尺の光学素子ユニット、即ち、支持ユニット3に搭載され支持された第1光学素子ユニット7及び第2光学素子ユニット8の形状を有する、2つの補助光学系を有する。以下に詳しく述べるように、支持ユニット3は、各々が第1光学軸を有する2つの第1光学素子を保持する第1光学素子モジュールをも形成する。
【0038】
当然のことながら、本発明で、「長尺光学素子ユニット」の語は、光学軸を備えた光学素子ユニットであって、その光学軸に沿った大きさが、その光学軸と直交する最大の光学素子の大きさよりも大きい、光学素子ユニットを指す。そのような光学素子ユニットは、通常、断面が円形の略筒形状を有する。しかしながら、断面を多角形や楕円等の他の形状とすることもできる。
【0039】
投影光学ユニット2は、マスク4と基板5の間の光路の一部を受ける。具体的には、第1光学素子ユニット7は光路の第1部分を受け、第2光学素子ユニット8は光路の第2部分を受ける。支持ユニット3は、第1光学素子ユニット7と第2光学素子ユニット8との間に位置する、光路の第3部分を受ける。
【0040】
各光学素子ユニット7、8は、それぞれ、互いに連結された第2光学素子モジュール7.1および8.1の積層構造を有する。各第2光学素子モジュール7.1及び8.1は、1つ以上の第2光学素子7.2及び8.2のほかに、この第2光学素子7.2及び8.2をそれぞれ支持する支持フレームをそれぞれ有する。
【0041】
第1光学素子ユニットの第2光学素子7.2は、第2光学軸7.3を投影光学系2の直線的な光学軸の一部と規定し、第2光学素子ユニット8の第2光学素子8.2は、第3光学軸8.3を投影光学系2の直線的な光学軸の他の一部と規定する。
【0042】
少なくとも第2光学素子7.2及び8.2のいくつかは、それぞれ、対応する制御装置(図示せず)により制御される位置可変装置を用いて、露光装置1の動作中に位置を可変できる。この目的達成のために、制御装置は、露光装置2からの実際の画像品質情報を受信し、この情報に従って第2光学素子モジュール7.1及び8.1それぞれの位置可変装置の動作を制御する。
【0043】
第1光学素子モジュールを形成する支持ユニット3は、投影光学ユニット2内の中央に配置した第1筐体ユニット3.1を有する。第1筐体ユニット3.1は、第2光学軸7.3及び8.3と同一直線上にあって、中央に位置する第1筐体軸3.2を有する。第1筐体ユニット3.1は、さらに、第1筐体軸3.2の周方向に延びる外壁3.3を有する。
【0044】
外壁3.3は第1筐体軸3.2に関して実質的に回転対称である。外壁3.3は、第1筐体軸3.2と垂直な平面において、実質的に円形の断面を有する。しかし、当然ながら、本発明の他の実施形態においては、第1筐体軸3.2に関して実質的に対称な、他のいかなる形状も選択可能である。当然ながら、本発明では、「第1筐体軸3.2に関して実質的に対称である」との語は、第1筐体軸に関して実質的に360°以内の角度で回転させて変形させた筐体の外部形状を含む意味に解すべきである。
【0045】
第1筐体ユニット3.1は、第1光学素子ユニット7及び第2光学素子ユニット8の荷重を受けるに十分な剛性と強度を有している。さらに、筐体3.1は光学的機能を有する。この目的達成のため、筐体は第1光学素子ユニット7と第2光学素子ユニット8の間に、気密性、光密性を有する包囲部を形成する。この気密性、光密性を実現するために、2003年11月11日に出願されたドイツ特許出願 103 52 820.2号に開示されているように、第1光学素子ユニット7と第2光学素子ユニット8の両者が、結合要素9によって、気密性、光密性を有するように筐体に搭載される。この開示内容は参照により本発明に含まれる。これらの結合要素9は、筐体と光学素子ユニット7、8それぞれとを熱変形により分離することができる。したがって、言い換えれば、筐体ユニット3.1は、第1光学素子ユニット7と第2光学素子ユニット8とを支持する機能と、後者間の光路の第3部分を気密性、光密性を有するように包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0046】
さらに、反射屈折投影光学系2の反射部を形成する補助光学系10が、第1筐体ユニット3.1内に設置されている。さらに補助光学系は、ミラー10.1及び10.2の形態をとって、2つの反射型光学素子により形成される。これらのミラー10.1及び10.2は、第1筐体ユニット3.1内の光路の形状を規定する。ミラー10.1及び10.2はともに、第1筐体軸3.2に関して半径方向にずらされて、即ち、横方向にずらされて搭載される。ミラー10.1及び10.2はともに、静定させて、即ち、平衡させて第1筐体ユニット3.1に搭載されている。
【0047】
この目的達成のために、第1筐体軸3.2と実質的に同一直線上の中央ホルダ軸を有する回転対称の円形リング状のミラーホルダ10.3に、ミラー10.1が搭載される。同様に、第1筐体軸3.2と実質的に同一直線上の中央ホルダ軸を有する回転対称の円形リング状のミラーホルダ10.4に、ミラー10.2が搭載される。ミラー10.1及び10.2の各々に対して、ミラーホルダ10.3及び10.4にそれぞれ結合した、適当な3つのミラー支持部10.5および10.6がそれぞれ設けられる。ミラー支持部10.5及び10.6は、それぞれのミラー10.1及び10.2の第1光学的利用領域10.7及び10.8のそれぞれの領域で、ミラー10.1及び10.2をそれぞれ支持する。次に、ミラーホルダ10.3及び10.4が、3つの均等に分散した適当な筐体支持部10.9及び10.10によって、それぞれ静定させて筐体に搭載される。ミラー10.1及び10.2をそれぞれ搭載し調整するように構成された第1筐体ユニット3.1の内部接合部に、筐体支持部10.9及び10.10が、それぞれ搭載される。
【0048】
当然のことながら、本発明の他の実施形態によれば、ミラーは静定させて第1筐体ユニットに直接搭載することもできる。さらに、当然のことながら、本発明の他の実施形態によれば、ミラーの一方又は両方を、不静定させて筐体又はミラーホルダに搭載することもできる。例えば、各ミラーに所定の変形を施すために、過剰静定させて搭載することもできる。
【0049】
対称的なミラーホルダ10.3及び10.4 は、第1筐体ユニット3.1内でのそれぞれのミラー10.1及び10.2の組立の大幅な簡略化を可能とする。これはとりわけ、ミラーホルダ10.3及び10.4と、外壁3.3の内周までの距離が一定であるため、外壁3.3の内周に均等に分布した同一のホルダ支持部を使用することが可能となるからである。
【0050】
しかし、当然のことながら、本発明の他の実施形態によれば、
図1に破線10.11及び10.12で示すように、各々のミラー10.1及び10.2は第1光学的使用領域を超えてそれぞれ周方向に延長することができる。このこと、即ち、各ミラーの周囲に均等に配置した支持部を用いることによって、より簡単でより均等なミラーの支持が可能となる。さらに、そのような構成は、ミラー及び支持部の動的及び熱的挙動の観点においても利点がある。もちろん、そのような場合、各々のミラーには、投影プロセスで用いられる光の通路を形成する収納部が設けられる。さらに、場合によっては、投影プロセス中に第1領域のみが光学的に使用され、第2領域は光学的に使用されないとしても、ミラーは基本的に対称的な形状を有する。そのような構成により、ミラーは大きな不使用領域を有し、より大きなものとなるが、上記の動的及び熱的挙動の観点における利点は、とりわけ不利益を大きく上回ることがわかった。
【0051】
反射屈折投影光学系2の反射部分を形成する補助光学系10は、反射型光学素子のみを有している。しかし、当然のことながら、本発明によれば、筐体内の補助光学系は、さらにレンズ等の光学屈折素子や光学回折素子等の他の光学素子を含むこともできる。
【0052】
ミラー10.1の第1光学的利用領域10.7は、第1筐体軸3.2に対して傾斜している第1光学軸10.13を規定する。同じことがミラー10.2にも当てはめられ、第1光学的利用領域10.8は、第1筐体軸3.2に対して傾斜している第1光学軸10.14を規定する。この傾斜により、ミラー10.1及び10.2は、それぞれ第1筐体軸3.2に関して横方向にずれており、このため、第2光学軸7.3及び8.3に関して横方向にずれている。言い換えると、ミラー10.1及び10.2は、それぞれ第2光学軸7.3及び8.3に関して、軸外となる位置に配置されている。
【0053】
筐体3.1の上部には、単一の第1接合平面3.5を有する第1接合部3.4が設けられている。第1接合部3.4は、向かい合わせの第2接合部を有する第1光学素子ユニット7に対して、第1支持接合部を形成している。第1接合部3.4は、筐体3.1に対して第1光学素子ユニット7を調整可能となるように構成されている。第1接合部3.4は、また第1光学素子ユニット7から支持ユニット3への光路の第1通路を形成する。
【0054】
第1接合部3.4が形成された上部とは反対側の筐体3.1の下部には、単一の第3接合平面3.7を有する第3接合部3.6が設けられている。この第3接合部3.6は、向かい合う第4接合部を有する第2光学素子ユニット8に対して、第3支持接合部を形成している。第3接合部 3.6は、筐体3.1に対して第2光学素子ユニット8を調整可能となるように構成されている。第3接合部3.6は、また支持ユニット3から第2光学素子ユニット8への光路の第2通路を形成している。
【0055】
これらの接合平面3.5及び3.7は、回転、フライス加工、研削、研磨等及びこれらの組み合わせ等の製造プロセスにより容易に形成することができる。これらにより、構造が全体的に単純化できる。
【0056】
第1接合面3.5は、第2接合面3.7と平行である。さらに、第1光学素子ユニット7の第2光学軸7.3と第2光学素子ユニット8の第3光学軸8.3は所定の位置関係をとるように調整されている。この所定の位置関係は、任意の必要な位置関係であって、例えば互いに平行あるいは傾斜した位置関係の場合がある。開示した実施形態においては、第1光学素子ユニット7の第1光学軸7.3と、第2光学素子ユニット8の第2光学軸8.3は、投影光学系2の直線的な光学軸の役割を明確にするために、平行の特別な場合として同一直線上となるように調整されている。
【0057】
開示した実施形態においては、第1接合部3.4は、第2光学軸7.3及び第1筐体軸3.2と同一直線上にある第1接合部軸を有している。さらに、第3接合部は、第1筐体軸3.2及び第3光学軸8.3と同一直線上にあり、したがって、第1接合部軸と同一直線上にある第2接合部軸を有する。しかし、当然のことながら、必要となる光路の形状によっては、光学素子ユニット及び筐体との各結合の簡単な調整によって、接合面、接合部軸及び光学軸それぞれの他の配置が可能である。
【0058】
第2光学軸7.3 及び第3光学軸8.3を、第1光学素子モジュール3の対称軸を形成する第1筐体軸3.2と同一直線上に配置することにより、ミラー10.1及び10.2を軸外に配置しているにもかかわらず、長さ全体にわたって実質的に回転対称な外形を有する投影ユニット2が得られる。同一直線上にある第2光学軸7.3及び8.3に沿った方向から見ると、第1光学素子モジュール3の外形は、光学素子ユニット7及び8の外形と同心状となっている。上記に概説したように、外形の構造を対称に維持することにより、従来の非対称な構造に比べて、投影ユニット2の製造が大幅に簡略化され、動的及び熱的な挙動に関して非常に大きな利点が得られる。
【0059】
筐体3.1の下部には、各々が単一の補助接合平面3.9を有する、補助接合部3.8がさらに設けられている。各補助接合面3.9は、支持ユニット3の設置接合部を形成する。各補助接合部3.9において、支持ユニット3、従って投影光学系2が、空間内での投影光学系2の位置を決める支持要素11と結合する。各補助接合面3.9は、また、支持ユニット3に対する基準接合部を形成している。
【0060】
補助接合面3.9は、第2接合面3.7と分離しているが同一平面上にある。そのため、筐体3.1の下部の全ての接合面3.7及び3.9は、1回の共通の工程で形成され、このことにより、システム全体の精度が向上する。各接合面の表面品質に影響を与える、製造工程中の乗り上げによる悪影響を避けるため、表面には傾斜面及び/又は周辺補助部を設けている。
【0061】
当然ながら、接合面を同一平面とした上記の構造は極めて有用である。しかし、当然ながら、本発明の他の実施形態においては、他の表面形状を選択することもできる。好ましくは、少なくとも各光学素子ユニットとの支持接合面を形成する第1及び第2接合面は、大きな研磨装置等を用いた製造工程中に、この面にアクセスし易くするために、筐体の他の部分よりも筐体から突出している。
【0062】
当然ながら、筐体ユニット3.1には、計測学上の目的等の任意の目的で、アクセス容易な外部接合部を設けることもできる。さらに、
図1の破線12で示したように、光学素子ユニットを外部から支持する外側支持部を接合面に設けることもできる。
【0063】
筐体ユニット3.1は、SiCを含むセラミック材料で形成された、複数のセラミック結合部品により製造されている。これらの部品は、低収縮ニアネットシェイプ鋳造法により製造される。筐体ユニット3.1の部品は、圧延等の処理がされ、所望の形状となる。次に、筐体ユニット3.1には低収縮ニアネットシェイプ反応侵入法によりセラミック被覆を形成する。このため、筐体ユニット3.1は、高い弾性率、高い熱伝導率及び低い熱膨張係数を有する。この強度と剛性のため、光学素子ユニットを搭載する間、筐体ユニット3.1は空間内で自由な姿勢をとることができ、特に回転させることができるため、作業がなされる各領域に容易にアクセスすることが可能となる。
【0064】
筐体ユニット3.1はモノリシック構造を有する。しかし、当然ながら、本発明の他の実施形態によれば、筐体は、分離可能な複数の部品、例えば、
図1において破線3.10で示したような2つの部品で構成することもできる。実施形態においては、2つのミラー10.1及び10.2の間の距離は、筐体の部品の間に1つまたはそれ以上のスペーサを導入することで調整可能である。さらに、筐体は、
図1に鎖線3.11で示したように分離可能な3つの部品で構成することもできる。そのような構成とすることで、筐体は、2つの単純な板状部品と1つの単純な筒状部品から容易に組み立てることができる。
【0065】
以下に本発明による投影光学系の例をいくつか記載し、投影光学系の補助光学系の他の好適な変形例について説明する。これらの投影光学系の部品は、その構造及び機能において、
図1を参照して上述した実施形態の部品に対応する。
図1を参照して上述したように、本発明によれば、これら全ての投影光学系は、露光装置に適用可能である。
【0066】
[第2実施形態]
図2は、本発明による支持ユニット103を備えた本発明による反射屈折投影光学ユニット102 の第2の好適な実施形態を表す概略図であり、この支持ユニット103は、先と同様に本発明による第1光学素子モジュールを形成する。
【0067】
投影光学ユニット102は、先と同様に、2つの長尺の光学素子ユニット、即ち、筐体103.1を構成する支持ユニット103に搭載され、支持された第1光学素子ユニット107及び第2光学素子ユニット108の形態をとって、2つの屈折補助光学系を備える。光学素子ユニット107及び108は、それぞれ、先と同様に第2光学素子モジュール107.1及び108.1の積層構造を有する。
【0068】
上記の実施形態のように、各光学素子ユニット107、108は、それぞれ、互いに連結された第2光学素子モジュール107.1、108.1を有する。その各第2光学素子モジュールは、光学素子を支持する支持フレームだけでなく、1つ以上の光学素子を有する。 第1光学素子ユニット107は、光学素子で規定される光学軸107.3を有し、一方、第2光学素子ユニット108は、同様に光学素子で規定される光学軸108.3を有する。光学軸107.3は、光学軸108.3と同一直線上にある。
【0069】
第1光学素子モジュール103は、光学軸107.3及び108.3と同一直線上にある第1筐体軸103.2を対称の中心軸とする回転対称の第1筐体ユニット103.1を有する。
【0070】
第1光学素子モジュール103 は、さらに、投影光学ユニット102の反射屈折補助光学系110を有する。この目的達成のために、第1光学素子モジュールは、反射素子110.1、110.2及び、レンズ等の1つ又はそれ以上の屈折素子110.15の形態をとって、複数の第1光学素子を有する。これら第1光学素子110.1、110.2、110.15は全て、第1筐体軸103.2に対して傾いた光学軸を有する。特に、反射素子110.2及び屈折素子110.15は、第1筐体軸103.2と直交する、従って、光学軸107.3及び光学軸108.3の両方と直交する、共通の第1光学軸110.14を有する。
【0071】
第1光学素子110.1、110.2、110.15の全ては、適当な支持部により静定させて、第1筐体ユニット103.1に搭載される。
【0072】
支持ユニット103は、第1光学素子ユニット107及び第2光学素子ユニット108の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えた鋼鉄製筐体ユニット103.1を有する。光学素子ユニット107、108が、それぞれ、実質的に筐体ユニット103.1内に突き出ることがないように、各光学素子ユニット107、108は、光学素子モジュールの最内部に配置されたフランジ部によって筐体ユニット103.1に搭載される。このため、筐体の大きさは小型に維持され、筐体ユニット103.1の費用を低減できる。
【0073】
さらに、筐体ユニット103.1は光学的な機能を有する。この目的を達成するため、筐体ユニットには、第1光学素子ユニット107と第2光学素子ユニット108の間の光路の一部に、気密性、光密性を有するエンクロージャが形成されている。この気密性、光密性を実現するため、光学素子ユニット107及び108は、上記の通り、気密、光密となるように結合要素によって筐体ユニットに搭載されている。言い換えれば、筐体ユニット103.1は、光学素子ユニット107及び108を支持する機能と、後者間に位置する光路の第3部分を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0074】
さらに、筐体ユニット103.1下部には、単一の補助接合面103.9をそれぞれ備えた補助接合部が設けられている。各補助接合面103.9は、支持ユニット103の設置接合部を形成している。各補助接合部103.9において、支持ユニット103、従って投影光学ユニット102が、投影光学ユニット102の空間的な位置を決めている支持要素111と結合している。各補助接合面103.9は、また、支持ユニット103の基準接合部を形成している。
【0075】
[第3実施形態]
図3は、本発明による支持ユニット203を備えた、本発明による反射屈折投影光学ユニット202の第3の好適な実施形態を表す概略図であり、支持ユニット203は先と同様に本発明による第1光学素子モジュールを形成している。
【0076】
投影光学ユニット202は、先と同様に、2つの長尺の光学素子ユニット、即ち、筐体203.1を備えた支持ユニット203に搭載され支持された第1光学素子ユニット207及び第2光学素子ユニット208の形態で、2つの屈折補助光学系を有する。光学素子ユニット207及び208は、それぞれ、先と同様に、第2光学素子モジュール207.1及び208.1の積層構造を有する。
【0077】
上記の実施形態のように、各光学素子ユニット207、208は、互いに連結された第2光学素子モジュール207.1、208.1の積層構造を有する。この各第2光学素子モジュールは、光学素子を支持する支持フレームだけでなく、1つ又はそれ以上の光学素子を有する。第1光学素子ユニット207は、光学素子で規定される光学軸207.3を有し、一方、第2光学素子ユニット208は、同様に光学素子で規定される光学軸208.3を有する。光学軸207.3は、光学軸208.3と同一直線上にある。
【0078】
第1光学素子モジュール203は、光学軸207.3及び208.3と同一直線上にある第1筐体軸203.2を対称の中心軸とする回転対称の第1筐体ユニット203.1を有する。
【0079】
第1光学素子モジュール203 は、さらに、投影光学ユニット202の反射屈折補助光学系210を有する。この目的達成のために、第1光学素子モジュールは、複数の反射素子210.1、210.2、210.16、210.17及び、レンズ等の複数の屈折素子210.15、210.18の形状を有する複数の第1光学素子を有する。これら第1光学素子210.1、210.2、210.15、210.16、210.17、210.18は全て、第1筐体軸203.2に対して傾いた光学軸を有し、従って、光学軸207.3及び光学軸208.3の両方に対して傾いた光学軸を有する。
【0080】
第1光学素子210.1、210.2、210.15、210.16、210.17、210.18の全ては、それぞれ、
図1との関連で上述した方法と同様の方法で、リング状ホルダ210.19、210.20、210.21により、適当な方法により静定させて、第1筐体ユニット203.1に搭載される。
【0081】
支持ユニット203は、先と同様に、第1光学素子ユニット207及び第2光学素子ユニット208の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えた鋼鉄製筐体ユニット203.1を有する。光学素子ユニット207、208が、それぞれ、実質的に筐体ユニット内に突き出ることがないように、各光学素子ユニット207、208は、光学素子モジュールの最内部に配置されたフランジ部によって筐体ユニット203.1に搭載される。このため、筐体の大きさは小型に維持され、筐体ユニット203.1のコストを低減できる。
【0082】
本発明によれば、第1光学素子210.1、210.2、210.15、210.16、210.17、210.18が軸からずれた配置となっているにも関わらず、筐体ユニット203.1は、その外部形状が、光学素子ユニット207、208の外部形状と実質的に同一平面となるように配置されている。 従って、熱的、動的な挙動の点で有利な、非常に小型で対称性のある構造が実現できる。
【0083】
さらに、筐体ユニット203.1は光学的な機能を有する。この目的を達成するため、筐体ユニットは、第1光学素子ユニット207と第2光学素子ユニット208の間の光路の一部に対して、気密性、光密性を備えたエンクロージャを形成している。この気密性、光密性を実現するため、光学素子ユニット207及び208は、上記の通り、気密、光密となるように結合要素によって筐体ユニットに搭載されている。言い換えれば、筐体ユニット203.1は、光学素子ユニット207及び208を支持する機能と、後者間に位置する光路の第3部分を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0084】
さらに、筐体ユニット203.1下部には、補助接合部を形成する、放射状に突き出た回転対称のフランジ部が設けられ、各補助接合部には単一の補助接合面203.9が設けられている。各補助接合面203.9は、支持ユニット203の設置接合部を形成している。各補助接合部203.9において、支持ユニット203、従って投影光学ユニット202が、投影光学ユニット202の空間的な位置を決めている支持要素111と結合している。各補助接合面203.9は、また、支持ユニット203の基準接合部を形成している。
【0085】
[第4実施形態]
以下に、本発明の支持ユニット303を備えた、本発明の反射屈折投影光学系302を有する、本発明の露光装置301の第4の好適な実施形態について
図4を参照して説明する。基本的な構造及び機能に関して、この第4実施形態は、
図1を参照して上述した実施形態と変わらない。
【0086】
露光装置301は、マスク304上に形成されたパターン像を基板308に転写するように構成される。この目的達成のため、露光装置301は、マスクに光を照射する照明系306と、投影光学系302を有する。投影光学系302は、マスク 304に形成されたパターン像をウエハ等の基板305に投影する。
【0087】
投影光学系302は、4つのレンズユニット、即ち、支持ユニット303に搭載され支持された、第1レンズユニット307、第2レンズユニット308及び2つの第3レンズユニット313の形状を有する、4つの補助光学系を有する。第1レンズユニット307及び 第2レンズユニット308は、第1レンズユニット対を形成し、一方、2つの第3レンズユニット313は第2レンズユニット対を形成する。投影光学系302は、先と同様にマスク304と基板305の間の光路の一部を受ける。
【0088】
各レンズユニット307、308、313は、それぞれ、互いに連結されたレンズモジュール307.1、308.1、313.1、313.4の積層構造を有する。各レンズモジュール307.1、308.1、313.1は、それぞれ、レンズ307.2、308.2、313.2をそれぞれ支持する支持フレームだけでなく、レンズ307.2、308.2、313.2を有する。第1レンズユニットは第1光学軸307.3を有し、一方、第2レンズユニット308は第2光学軸308.3を有する。第3レンズモジュール313.1は、第3光学軸313.3を有する。各レンズユニット313の外縁部の第3レンズモジュール313.4は、反射素子313.5をさらに有する。
【0089】
反射素子313.5だけでなく、少なくともレンズ307.2、308.2、313.2のいくつかは、それぞれ、付随する制御装置(図示せず)により制御される位置可変装置によって、露光装置301の動作中に位置を変えることができる。この目的達成のため、 制御装置は投影光学系302からの実際の画像品質情報を受け取り、この情報に応答して、反射素子313.5だけでなく、各レンズモジュール307.1、308.1、313.2の位置可変装置の動作の制御を行う。
【0090】
支持ユニット303は、第1レンズユニット307、第2レンズユニット308及び第3レンズユニット313の荷重に耐えうる十分な剛性と強度とを備えた筐体303.1を有する。さらに、筐体303.1は光学的に機能する。この目的達成のため、筐体は、第1レンズユニット307と第2レンズユニット308との間の光路の一部に、気密性、光密性を備えたエンクロージャを形成している。この気密性、光密性を実現するため、参照により本願に組み込まれる、2003年11月11日出願のドイツ特許出願103 52 820.2号に開示されているように、第1レンズユニット307、第2レンズユニット308及び第3レンズユニット313は全て、結合要素309によって気密、光密となるように筐体に搭載されている。これらの結合要素309は、筐体とレンズユニット307、308及び313それぞれとを熱変形により分離することができる。したがって、言い換えれば、筐体ユニット303.1は、第1レンズユニット307と第2レンズユニット308とを支持する機能と、後者間の光路を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0091】
さらに、反射屈折投影光学系302の補助光学系310が、筐体303.1内に設置されている。さらにこの補助光学系は、プリズム310.1により構成されている。このプリズム310.1は、3つの適当な支持部310.3により、静定させて、即ち、平衡させて筐体303.1に搭載されている。当然ながら、本発明の他の実施形態においては、筐体に同様にして静定させて搭載したフレームに、ビームスプリッタを搭載することもできる。
【0092】
筐体303.1の上部には、単一の第1接合平面303.3を有する第1接合部303.2が設けられている。第1接合部303.2は、第1レンズユニット307に対して、第1支持接合部を形成している。筐体303.1の下部には、単一の第2接合平面303.5を有する第2接合部303.4が設けられている。この第2接合部303.4は、第2レンズユニット308に対して、第2支持接合部を形成している。筐体303.1の対向する垂直な側面には、単一の第3接合平面303.9を有する第3接合部303.8が設けられている。各第3接合部303.8は、第3レンズユニット313の1つに対して、第3支持接合部を形成している。これらの接合平面303.3、303.5及び303.9は、回転、フライス加工、研削、研磨等及びこれらの組み合わせ等の製造プロセスにより容易に形成することができる。これらにより、構造が全体的に単純化できる。
【0093】
第1接合面303.3は、第2接合面303.5と平行である。さらに、第1レンズユニット307の第1光学軸307.3と第2レンズユニット308の第2光学軸308.3は、横方向にずれており、第1の方向と平行である。開示した実施形態においては、第1接合部は、第1光学軸307.3と同一直線上にある第1接合部軸を有する。さらに、第2接合部は、第2光学軸308.3と同一直線上にあり、従って第1接合部軸とは横方向にずれ、平行な第2接合部軸を有する。第3レンズユニット313の第3光学軸313.3は、第2方向と同一直線方向にあり、平行である。
【0094】
各第1接合面303.3は、第3接合面303.9と直交する。さらに、第1方向は、第2方向に対して横方向に延びる。特に、第1方向は、実質的に第2方向と直交する。従って、第1レンズユニット307の第1光学軸307.3と、第3レンズユニット313の第3光学軸313.3は、実質的に直交するように調整されている。開示した実施形態においては、第1接合部は、第1光学軸307.3と同一直線上にある第1接合部軸を有する。さらに、この接合部は、第3光学軸313.3と同一直線上にあり、従って、第1接合部軸と直交する第3接合部軸を有する。
【0095】
しかし、当然のことながら、必要となる光路の形状によっては、レンズユニット及び筐体との各結合の簡単な調整によって、接合面、接合部軸及び光学軸それぞれの他の配置が可能である。
【0096】
さらに筐体303.1の下部には、各々が単一の補助接合平面303.7を有する2つの補助接合部303.6が設けられている。各補助接合面303.7は、支持ユニット303の設置接合部を形成する。各補助接合面303.7において、支持ユニット303、従って投影光学系302が、空間での投影光学系302の位置を決める支持要素311と結合する。各補助接合面303.7は、また、支持ユニット303に対する基準接合部を形成している。
【0097】
補助接合面303.7は、第2接合面303.5と分離しているが同一平面上にある。そのため、筐体303.1の下部の全ての接合面303.5及び303.7は1回の共通工程で形成され、このことにより、システム全体の精度が向上する。各接合面の表面品質に影響を与える、製造工程中の乗り上げによる悪影響を避けるため、周辺部表面には傾斜面を設けている。
【0098】
当然ながら、接合面を同一平面とした上記の構造は極めて有用である。しかし、これも当然ながら、本発明の他の実施形態においては、他の表面形状を選択することもできる。大きな研磨装置等を用いた製造工程中に、この面へのアクセスを容易にするため、少なくとも各レンズユニットとの支持接合面を形成する第1及び第2接合面が、筐体の他の部分よりも筐体から突出しているのが好ましい。
【0099】
当然ながら、筐体ユニット303.1には、計測学上の目的等の任意の目的で、さらにアクセス容易な外部接合部を設けることもできる。さらに、レンズユニットを外部から支持する外側支持部を接合部に設けることができる。
【0100】
筐体303.1は、SiCを含むセラミック材料で形成された、モノリシック構造を有する。筐体303.1は、低収縮ニアネットシェイプ鋳造法により製造される。筐体303.1の部品は、圧延等の処理がされ、所望の形状となる。次に、筐体303.1には低収縮ニアネットシェイプ反応侵入法によりセラミック被覆を形成する。このため、筐体303.1は、高い弾性率、高い熱伝導率及び低い熱膨張係数を有する。
【0101】
この強度と剛性のため、レンズユニットを搭載する間、筐体ユニット303.1は空間内で自由な姿勢をとることができ、特に回転させることができるため、作業がなされる各領域に容易にアクセスすることが可能となる。筐体303.1に搭載する工程で各レンズユニットを容易に位置決めできるように、各接合面303.2、303.4 及び303.8は、圧縮空気等の供給源314と接続された空気軸受ユニットを有する。
【0102】
前述の通り、それぞれ2つ又は4つのレンズユニットを設けた2つの実施形態と関連させて本発明について記載した。しかし、当然のことながら、本発明の他の変形例では、支持ユニットにより支持された他の数のレンズユニットを含むこともできる。
【0103】
以下に述べる本発明による投影光学系のいくつかの例では、投影光学系の補助光学系の他の変形例について説明する。これらの投影光学系の構成部品は、
図1及び4と関連させて記述した実施形態の構成部品と、構造及び機能において一致している。
図1及び4と関連させて記述したように、これらの投影光学系は全て、本発明による露光装置に適用できる。
【0104】
[第5実施形態]
図5は、本発明による支持ユニット403を備えた、本発明による反射屈折投影光学系402のさらに好適な実施形態の部分断面図である。
【0105】
投影光学系402は、2つの長尺のレンズユニットの形状を有する2つの屈折補助光学系、即ち、第1レンズユニット407の形状を有する第1レンズユニット、及び第2レンズユニット408の形状を有する第2レンズユニットを有し、これらは筐体403.1を備えた支持ユニット403に搭載され、支持されている。投影光学系402はさらに、第3補助光学系、即ち、第3レンズユニット413の形状を有する第3レンズユニットを有する。
【0106】
反射屈折投影光学系402の反射部を形成する第4補助光学系410が、筐体403.1内に設置されている。さらにこの補助光学系は、プリズム410の形状を有する反射素子により構成されている。このプリズム410は、筐体403.1内の光路の形状を規定し、適当な支持部により静定させて筐体403.1に搭載される。
【0107】
上記の実施形態のように、各レンズユニット407、408、413は、それぞれ、互いに連結されたレンズモジュールの積層構造を有する。各レンズモジュールは、それぞれ、レンズを支持する支持フレームだけでなく、レンズを有する。外側端部の第3レンズユニット413は、反射素子413.5をさらに有する。第1レンズユニット407は第1光学軸407.3を有し、一方、第2レンズユニット408は第2光学軸408.3を有し、第3レンズユニット413は第3光学軸413.3を有する。第1光学軸407.3は、第2光学軸408.3と同一直線上にあり、一方、第3光学軸413.3は、第1光学軸407.3と第2光学軸408.3の両者と直交する。
【0108】
支持ユニット403は、第1レンズユニット407、第2レンズユニット408及び第3レンズユニット413の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えた鋼鉄製筐体403.1を有する。レンズユニット407、408及び413が、それぞれ、実質的に筐体403.1内に突き出ないように、各レンズユニット407、408及び413は、レンズモジュールの最内部に配置されたフランジ部によって筐体ユニット403.1に搭載される。このため、筐体の大きさは小型に維持され、筐体ユニット403.1のコストを低減できる。
【0109】
さらに、筐体403.1は光学的な機能を有する。この目的を達成するため、筐体ユニットは、第1レンズユニット407と第2レンズユニット408の間の光路の一部に、気密性、光密性を有するエンクロージャを形成している。この気密性、光密性を実現するため、レンズユニット407、408及び413は、上記の通り、気密、光密となるように結合要素によって筐体に搭載されている。言い換えれば、筐体ユニット403.1は、レンズユニット407、408及び413を支持する機能と、後者間に位置する光路の第3部分を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0110】
さらに、筐体ユニット403.1下部には、単一の補助接合面403.7をそれぞれ備えた補助接合部が設けられている。各補助接合面403.7は、支持ユニット403の設置接合部を形成している。各補助接合部403.7において、支持ユニット403、従って投影光学ユニット402が、投影光学ユニット402の空間的な位置を決めている支持要素411と結合している。また、各補助接合面403.7は、支持ユニット403の基準接合部を形成している。
【0111】
[第6実施形態]
図6は、本発明による支持ユニット503を備えた、本発明による反射屈折投影光学系502のさらに好適な実施形態の部分断面図である。本実施形態は
図5の実施形態と大部分で一致している。そのため、同じような構成部品は、同じ参照番号にダッシュを付けて指定し、ここでは主に相違点のみについて言及する。
【0112】
主な相違点は、レンズユニット507、508及び513と筐体503.1との接続にある。各レンズユニット507、508及び513は、レンズユニット507、508及び513それぞれの、中心寄りのレンズモジュールに配置されたフランジ部によって、筐体503.1に搭載されている。そのため、各レンズユニット507、508及び513は、筐体503.1内に突き出ている。筐体503.1の大きさは、
図5の筐体403.1と比較すると増大しているが、この配置は、投影光学系502の振動挙動に関して有利である。そのため、
図1との関連で記述したような外部支持部12を設ける必要がない。
【0113】
[第7実施形態]
図7は、本発明による支持ユニット603を備えた、本発明による反射屈折投影光学系602のさらに好適な実施形態の部分断面図である。本実施形態は
図5の実施形態と大部分で一致している。そのため、同じような構成部品は、同じ参照番号にダッシュを2つ付けて指定し、ここでは主に相違点のみについて言及する。
【0114】
主な相違点は、レンズユニット607、608及び613と筐体603.1との接続と、筐体603.1の大きさにある。各レンズユニット607、608及び613は、レンズユニット607、608及び613それぞれの外側端部のレンズモジュールに配置されたフランジ部によって、筐体603.1に搭載されている。そのため、レンズユニット607、608及び613は、それぞれ、実質的に筐体603.1内側に伸びている。筐体603.1の大きさは、
図5の筐体403.1と比較すると増大しているが、この配置は、レンズユニット607、608及び613が、外部からの影響から筐体603.1によって守られる点で有利である。特に、投影光学系602に対する、所定の、あるいは好適な特定の環境条件を、筐体603.1内で維持することが容易となる。
【0115】
[第8実施形態]
図8は、本発明による支持ユニット703を備えた、本発明による反射屈折投影光学系702のさらに好適な実施形態の部分断面図である。
【0116】
投影光学系702は、2つの長尺のレンズユニットの形状を有する2つの屈折補助光学系、即ち、第1レンズユニット707の形状を有する第1レンズユニット、及び第2レンズユニット708の形状を有する第2レンズユニットを有し、これらは筐体703.1を備えた支持ユニット703に搭載され、支持されている。投影光学系702はさらに、第3補助光学系、即ち、2つの第3レンズユニット713の形状を有する2つの第3レンズユニットを有する。
【0117】
反射屈折投影光学系702の反射部を形成する第4補助光学系710が、筐体703.1内に設置されている。さらにこの補助光学系は、両面ミラー710の形状を有する反射素子により形成されている。このミラー710は、筐体703.1内の光路の形状を規定し、適当な支持部により静定させて筐体703.1に搭載される。
【0118】
上記の実施形態のように、各レンズユニット707、708、713は、互いに連結されたレンズモジュールの積層構造を有する。各レンズモジュールは、レンズを支持する支持フレームだけでなく、レンズを有する。第3レンズユニット713は、さらに外側端部に反射素子713.5を有する。第1レンズユニット707は第1光学軸707.3を有し、一方、第2レンズユニット708は第2光学軸708.3を有し、各第3レンズユニット713は第3光学軸713.3を有する。第1光学軸707.3は、第2光学軸708.3と同一直線上にあり、一方、各第3光学軸713.3は、互いに同一直線上にあるが、第1光学軸707.3と第2光学軸708.3の両者と直交する。
【0119】
支持ユニット703は、第1レンズユニット707、第2レンズユニット708及び第3レンズユニット713の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えた鋼鉄製筐体703.1を有する。レンズユニット707、708及び713が、それぞれ、実質的に筐体703.1に突き出ないように、各レンズユニット707、708及び713は、レンズモジュールの最内部に配置されたフランジ部によって筐体ユニット703.1に搭載される。このため、筐体の大きさは小型に維持され、筐体ユニット703.1のコストを低減できる。
【0120】
さらに、筐体703.1は光学的な機能を有する。この目的達成のため、筐体ユニットは、第1レンズユニット707と第2レンズユニット708の間の光路の一部に、気密性、光密性を有するエンクロージャを形成している。この気密性、光密性を実現するため、レンズユニット707、708及び713は、上記の通り、気密、光密となるように結合要素によって筐体に搭載されている。言い換えれば、筐体ユニット703.1は、レンズユニット707、708及び713を支持する機能と、後者間に位置する光路の第3部分を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0121】
さらに、筐体ユニット703.1下部には、単一の補助接合面703.7をそれぞれ備えた補助接合部が設けられている。各補助接合面703.7は、支持ユニット703の設置接合部を形成している。各補助接合部703.7において、支持ユニット703、従って投影光学ユニット702が、投影光学ユニット702の空間的な位置を決めている支持要素711と結合している。各補助接合面703.7は、また、支持ユニット703の基準接合部を形成している。
【0122】
[第9実施形態]
図9は、本発明による支持ユニット803を備えた、本発明による反射屈折投影光学系802のさらに好適な実施形態の部分断面図である。
【0123】
投影光学系802は、2つの長尺のレンズユニットの形状を有する2つの屈折補助光学系、即ち、第1レンズユニット807の形状を有する第1レンズユニット、及び第2レンズユニット808の形状を有する第2レンズユニットを有し、これらは筐体803.1を備えた支持ユニット803に搭載され、支持されている。投影光学系802はさらに、第3補助光学系、即ち、第3レンズユニット813の形状を有する第3レンズユニットを有する。
【0124】
反射屈折投影光学系802の反射部を形成する第4補助光学系810が、筐体803.1内に設置されている。さらにこの補助光学系は、ミラー810.1とビームスプリッタ810.2の形状を有する反射素子を有している。このミラー810.1及びビームスプリッタ810.2は、筐体803.1内の光路の形状を規定し、適当な支持部により静定させて筐体803.1に搭載される。
【0125】
上記の実施形態のように、各レンズユニット807、808、813は、互いに連結されたレンズモジュールの積層構造を有する。各レンズモジュールは、それぞれ、レンズを支持する支持フレームだけでなく、レンズを有する。第3レンズユニット813は、外側端部に反射素子813.5をさらに有する。第1レンズユニット807は第1光学軸807.3を有し、一方、第2レンズユニット808は第2光学軸808.3を有し、各第3レンズユニット813は第3光学軸813.3を有する。第1光学軸807.3は、第2光学軸808.3と平行で横方向にずれており、一方、第3光学軸813.3は、第1光学軸807.3と第2光学軸808.3の両者と直交する。
【0126】
支持ユニット803は、第1レンズユニット807、第2レンズユニット808及び第3レンズユニット813の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えたセラミック製筐体803.1を有する。レンズユニット807、808及び813が、それぞれ、実質的に筐体803.1に突き出ないように、各レンズユニット807、808及び813は、レンズモジュールの最内部に配置されたフランジ部によって筐体803.1に搭載される。このため、筐体の大きさは小型に維持され、筐体803.1のコストを低減できる。
【0127】
さらに、筐体803.1は、先と同様に、光学的な機能を有する。この目的達成のため、筐体は、第1レンズユニット807と第2レンズユニット808の間の光路の一部に、気密性、光密性を有するエンクロージャを形成している。この気密性、光密性を実現するため、レンズユニット807、808及び813は、上記の通り、気密、光密となるように結合要素によって筐体に搭載されている。従って、言い換えれば、筐体803.1は、レンズユニット807、808及び813を支持する機能と、後者間に位置する光路の第3部分を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0128】
さらに、筐体803.1の下部には、単一の補助接合面803.7をそれぞれ備えた補助接合部が設けられている。各補助接合面803.7は、支持ユニット803の設置接合部を形成している。各補助接合部803.7において、支持ユニット803、従って投影光学ユニット802が、投影光学ユニット802の空間的な位置を決めている支持要素811と結合している。 各補助接合面803.7は、また、支持ユニット803の基準接合部を形成している。
【0129】
[第10実施形態]
図10は、本発明による支持ユニット903を備えた、本発明による反射屈折投影光学系902のさらに好適な実施形態の部分断面図である。
【0130】
投影光学系902は、2つの長尺のレンズユニットの形状を有する2つの屈折補助光学系、即ち、第1レンズユニット907の形状を有する第1レンズユニット、及び第2レンズユニット908の形状を有する第2レンズユニットを有し、これらは筐体903.1を備えた支持ユニット903に搭載され、支持されている。投影光学系902は、さらに、第3補助光学系、即ち、第3レンズユニット913の形状を有する第3レンズユニットを有する。
【0131】
反射屈折投影光学系902の反射部を形成する第4補助光学系910が、筐体903.1内に設置されている。さらにこの補助光学系は、レンズまたはレンズ群910.3の形状を有する屈折光学素子だけでなく、プリズム910.1とミラー910.2の形状を有する2つの反射素子を有している。このプリズム910.1、ミラー910.2、及びレンズ又はレンズ群910.3は、筐体903.1内の光路の形状を規定し、適当な支持部により静定させて筐体903.1に搭載される。
【0132】
上記の実施形態のように、各レンズユニット907、908、913は、それぞれ、互いに連結されたレンズモジュールの積層構造を有する。各レンズモジュールは、レンズを支持する支持フレームだけでなく、レンズを有する。第3レンズユニット913は、外側端部に反射素子913.5をさらに有する。第1レンズユニット907は第1光学軸907.3を有し、一方、第2レンズユニット908は第2光学軸908.3を有し、第3レンズユニット913は第3光学軸913.3を有する。第1光学軸907.3は、第2光学軸908.3と同一直線上にあり、一方、第3光学軸913.3は、第1光学軸907.3と第2光学軸908.3の両者と平行であり、横方向にずれている。
【0133】
支持ユニット903は、第1レンズユニット907、第2レンズユニット908及び第3レンズユニット913の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えた鋼鉄製筐体903.1を有する。レンズユニット907、908及び913が、それぞれ、実質的に筐体903.1内に突き出ないように、各レンズユニット907、908及び913は、レンズモジュールの最内部に配置されたフランジ部によって筐体903.1に搭載される。このため、筐体の大きさは小型に維持され、筐体903.1のコストを低減できる。
【0134】
さらに、筐体903.1は、先と同様に、光学的な機能を有する。この目的達成のため、筐体は、第1レンズユニット907と第2レンズユニット908の間の光路の一部に、気密性、光密性を有するエンクロージャを形成している。この気密性、光密性を実現するため、レンズユニット907、908及び913は、上記の通り、気密、光密となるように結合要素によって筐体に搭載されている。言い換えれば、筐体ユニット903.1は、レンズユニット907、908及び913を支持する機能と、後者間に位置する光路の第3部分を気密、光密に包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0135】
さらに、筐体903.1の下部には、単一の補助接合面903.7をそれぞれ備えた補助接合部が設けられている。各補助接合面903.7は、支持ユニット903の設置接合部を形成している。各補助接合部903.7において、支持ユニット903、従って投影光学ユニット902が、投影光学ユニット902の空間的な位置を決めている支持要素911と結合している。各補助接合面903.7は、また、支持ユニット903の基準接合部を形成している。
【0136】
[第11実施形態]
以下に、本発明の支持ユニット1003を備えた、本発明の反射屈折投影光学系1002を有する、本発明の露光装置1001のさらに好適な実施形態について
図11を参照して説明する。基本的な構成、機能に関して、本実施形態は
図1を参照して記述した実施形態と異ならない。そのため、同じような構成部品は、同じ参照番号に1000を加えて指定し、ここでは主に相違点のみについて言及する。
【0137】
露光装置1001はマスク1004に形成されたパターン像を基板1005に転写する。この目的達成のために、露光装置1001は、マスクに光を照射する照明系1006と、投影光学系1002を有する。この投影光学系1002は、マスク1004に形成されたパターン像をウエハ等の基板1005に投影する。
【0138】
投影光学系1002は、2つの長尺のレンズユニットの形状を有する2つの補助光学系、即ち、支持ユニット1003に搭載され支持された、第1レンズユニット1007の形状を有する第1レンズユニット、及び第2レンズユニット1008の形状を有する第2レンズユニットを有する。
【0139】
投影光学ユニット1002は、マスク1004と基板1005の間の光路の一部を受ける。具体的には、第1レンズユニット1007は光路の第1部分を受け、第2レンズユニット1008は光路の第2部分を受ける。支持ユニット1003は、第1レンズユニット1007と第2レンズユニット1008との間に位置する、光路の第3部分を受ける。
【0140】
各レンズユニット1007、1008は、それぞれ、互いに連結されたレンズモジュール1007.1および1008.1の積層構造を有する。レンズモジュール1007.1及び1008.1は、それぞれ、このレンズ1007.2及び1008.2をそれぞれ支持する支持フレームだけでなく、レンズ1007.2及び1008.2をそれぞれ有する。第1レンズユニットは、第1光学軸1007.3を有し、一方、第2レンズユニット1008は、第2光学軸1008.3を有する。
【0141】
少なくともレンズ1007.2及び1008.2のいくつかは、それぞれ、対応する制御装置(図示せず)により制御される位置可変装置を用いて、露光装置1001の動作中に位置を可変できる。この目的達成のために、制御装置は、投影光学系1002から実際の画像品質情報を受信し、この情報に従って、対応するレンズモジュール1007.1及び1008.1それぞれの位置可変装置の動作を制御する。
【0142】
支持ユニット1003は、投影光学系1002内部の中央に配置された支持部1003.1を有する。支持部1003.1は、第1レンズユニット1007及び第2レンズユニット1008の荷重に耐えるに十分な剛性と強度を備えている。支持部1003.1は、上側支持板1003.13と下側支持板1003.14を有する。これらの支持板1003.13及び1003.14は、支持部1003.1周囲に均等に配置された複数の支持支柱1003.15で結合されている。その結合は任意の手段で行うことができる。詳細には、開示内容が参照により本願に取り込まれるドイツ特許公報DE 198 30 719 A1号に開示されているように行うことができる。
【0143】
さらに、支持ユニット1003は光学的機能を有する。この目的達成のため、蛇腹部1003.16の形状を有する分離した包囲部が、上側支持板1003.13と下側支持板1003.14の間に搭載されている。蛇腹部1003.16は、上側支持板1003.13及び下側支持板1003.14とともに、第1レンズユニット1007と第2レンズユニット1008の間の光路の一部に、気密性、光密性を有する包囲部を形成する。この気密性、光密性を実現するために、2003年11月11日に出願されたドイツ特許出願 103 52 820.2号に開示されているように、第1レンズユニット1007と第2レンズユニット1008の両者が、結合要素1009によって、気密性、光密性を有するように支持ユニット1003に搭載される。この開示内容は参照により本願に含まれる。これらの結合要素1009は、支持ユニット1003とレンズユニット1007、1008それぞれとを熱変形により分離することもできる。したがって、言い換えれば、支持ユニット1003は、第1レンズユニット1007と第2レンズユニット1008とを支持する機能と、後者間の光路の第3部分を気密性、光密性を有するように包囲する機能とを併せ持っているといえる。
【0144】
さらに、反射屈折投影光学系1002の反射部を形成する補助光学系1010が、支持ユニット1003内に設置されている。さらに補助光学系は、ミラー1010.1及び1010.2の形状を有する2つの反射素子により形成される。これらのミラー1010.1及び1010.2は、支持ユニット1003内の光路の形状を規定する。ミラー1010.1及び1010.2はともに、3つの適当な支持部1010.3により静定させて、即ち、平衡させて支持ユニット1003に搭載されている。
【0145】
当然のことながら、本発明の他の実施形態によれば、ミラーは、同様に支持ユニットに静定させて搭載されたミラーフレームに搭載することもできる。さらに、当然のことながら、本発明の他の実施形態によれば、ミラーの一方又は両方を、不静定させて支持ユニットに搭載することもできる。例えば、過剰静定搭載法が、各ミラーに生じる変形を限定するために用いられる。
【0146】
補助光学系1010のうち、反射屈折投影光学系1002の反射部分を形成するのは反射型光学素子のみである。しかし、当然のことながら、本発明の他の実施形態によれば、支持ユニット内の補助光学系は、さらにレンズ等の屈折光学素子や、光学回折素子等の他の光学素子を含むこともできる。
【0147】
上側支持板1003.13には、単一の第1接合面1003.3を有する第1接合部1003.2が設けられている。第1接合部1003.2は、第1レンズユニット1007に対して、第1支持接合部を形成している。第1接合部1003.2は、第1レンズユニット1007から支持ユニット1003への光路の第1通路をも形成している。
【0148】
第1接合部1003.2とは反対側の支持ユニット1003下部において、下側支持板1003.14には単一の第2接合平面1003.5を有する第2接合部1003.4が設けられている。この第2接合部1003.4は、第2レンズユニット1008に対して、第2支持接合部を形成している。第2接合部1003.4は、また支持ユニット1003から第2レンズユニット1008への光路の第2通路を形成している。
【0149】
第1接合面1003.3は、第2接合面1003.5と平行である。さらに、第1レンズユニット1007の第1光学軸 1007.3と、第2レンズユニット1008の第2光学軸1008.3は、所定の位置関係をとるように調整されている。この所定の位置関係は、例えば互いに平行あるいは傾斜した場合等、任意の所要の位置関係である。開示した実施形態においては、第1レンズユニット1007の第1光学軸 1007.3と、第2レンズユニット1008の第2光学軸1008.3は、平行の特別な場合として同一直線上となるように調整されている。
【0150】
開示した実施形態においては、第1接合部は、第1光学軸1007.3と同一直線上にある第1接合部軸を有している。さらに、第2接合部は、第2光学軸1008.3と同一直線上にあり、したがって、第1接合部軸と同一直線上にある第2接合部軸を有する。しかし、当然のことながら、光路の所望の形状に応じて、レンズユニットと支持ユニットとの間の各結合の簡易な調整により、接合面、接合部軸及び光学軸それぞれにつき他の配置が可能である。
【0151】
さらに支持ユニット1003の下部には、各々が単一の補助接合面1003.7を有する補助接合部1003.6が設けられている。各補助接合面1003.7は、支持ユニット1003の設置接合部を形成する。各補助接合面1003.7において、支持ユニット1003、従って投影光学系1002が、空間内での投影光学系1002の位置を決める支持要素1011と結合する。また、各補助接合面1003.7は、支持ユニット1003に対する基準接合部を形成している。
【0152】
補助接合面1003.7は、第2接合面1003.5と分離しているが同一平面上にある。そのため、支持ユニット1003の下部の全ての接合面1003.5及び1003.7は1回の共通の工程で形成され、このことにより、システム全体の精度が向上する。各接合面の表面品質に影響を与える、製造工程中の乗り上げによる悪影響を避けるため、表面には傾斜面及び/又は周辺補助部を設けている。
【0153】
[第12実施形態]
以下に、本発明の支持ユニット3を備えた、本発明の反射屈折投影光学系2を有する、本発明の露光装置1の第12の好適な実施形態について
図12を参照して説明する。基本的な構成、機能に関して、本実施形態は
図1を参照して記述した実施形態と異ならない。特に、露光装置1の構成部品の大部分は、
図1の露光装置1の構成部品と同一である。そのため、
図12において、
図1の構成部品と同じ構成部品は、同じ参照番号で指定し、これら同一の構成部品に関しては、
図1との関連で行った説明を参照するに留める。広範囲で同一設計となっているため、ここでは主に相違点のみについて言及する。
【0154】
図1の実施形態との違いは、第1レンズユニット7及び第2レンズユニット8をそれぞれ筐体3.1に搭載するための結合装置1109.1及び1109.2の設計にある。下記に説明するように、結合装置1109.1及び1109.2は、筐体3.1に対するレンズユニット7及び8の光学軸7.3及び8.3の熱的軸シフト補償を可能とする。
【0155】
各レンズユニット7及び8の外殻を形成する、第1レンズユニット7及び第2レンズユニット8の構成部品は、第1熱膨張係数α
1を有する第1材料で作られている。これらの構成部品内部の温度上昇によって起こる、これらの構成部品の熱膨張は、特にレンズユニット7及び8が筐体3.1に直接結合している場合には、レンズユニット7及び8の光学軸7.3及び8.3に沿って、第1レンズユニット7の点と、第2レンズユニット8の点との間で軸シフトを引き起こす。結合装置1109.1及び1109.2 は、熱膨張の際に、第1レンズユニット7の中心点7.4及び第2レンズユニット8の中心点8.4が、実質的に第1接合面3.3及び第2接合面3.5それぞれとの軸方向の距離を確実に保つことにより、この熱膨張による効果を大幅に減少ないし補償する。
【0156】
この目的達成のため、第1結合装置1109.1が、第1レンズユニット7の周囲に均一に配置した複数の結合ユニット1109.3により形成されている。各結合ユニット 1109.3は、第1結合要素1109.4及び第2結合要素1109.5を有する。第1結合要素1109.4は、第1端部において、第1接合部3.2の第1接合面3.3と結合しており、第1レンズユニット7の第1熱膨張係数α
1とは異なる第2熱膨張係数α
2を有している。第2結合要素1109.5は、第1端部と、第1結合要素1109.4の第2端部とで結合している。第2結合要素1109.5は、第2端部において、第1レンズユニット7と結合している。第2結合要素1109.5は、第1レンズユニット7の第1熱膨張係数α
1及び第1結合要素1109.4の第2熱膨張係数α
2と異なる、第3熱膨張係数α
3を有する。
【0157】
図12に示すように、第1レンズユニット7の大きさをL
1、第1結合要素 1109.4の大きさをL
2、第2結合要素1109.5の大きさをL
3とすると、第1接合面3.3より上の第1レンズユニット7の中心点7.4の軸方向の高さHは次のように計算される。
H = L
1 -L
3 + L
2 (1)
【0158】
温度の変化ΔTと、各構成部品7、1109.4及び1109.5の熱膨張係数の関数とすると、第1接合面3.3上の第1レンズユニット7の中心点7.4の高さHの変化ΔH は次のように計算される。
ΔH(ΔT;α
1;α
2;α
3) = ΔL
1(ΔT;α
1) - ΔL
3(ΔT;α
3) + ΔL
2(ΔT;α
2) (2)
【0159】
当然ながら、熱膨張係数α
1、α
2、α
3及びL
1、L
2及びL
3は、次の条件を実質的に満たすように選ぶことができる。
ΔH(ΔT;α
1;α
2;αα
2) = ΔL
1(ΔT;α
1) - ΔL
3(ΔT;α
3) + ΔL
2(ΔT;α
2) = 0 (3)
【0160】
一例として、全ての構成部品について温度の変化ΔTが実質的に一定のとき、各構成部品の基準寸法をL
1R、L
2R、L
3Rとすると、式(3)は次のようになる。
ΔH = L
lR・α
1 - L
3R・α
3 + L
2R・α
2 = 0 (3)
【0161】
L
2R=xL
1R、L
3R=yL
1R とすると、式(3)は次のように書き換えられる。
ΔH = L
lR・α
1 - y・L
1R・α
3 + x・L
1R・α
2 = 0 (4)
【0164】
従って、当然ながら、例えば、第1レンズユニット7の外殻の所定の材料に対して、第1結合要素1109.4及び第2結合要素1109.5の適当な材料の組み合わせ及び大きさを求めることができる。例えば、第1レンズユニット7の外殻が鋼鉄製、第1結合要素1109.4がアンバー製、第2結合要素1109.5がアルミニウム製の場合、即ち、α
1=10・10
-6、α
2=1・10
-6、α
3=24・10
-6の場合、現実的な大きさでの式(5)の解は、
【0166】
と x = 0.56、 y = 0.44 の間にある。
【0167】
第2結合要素1109.5と第1レンズユニット7との結合だけでなく、第1結合要素1109.4と第2結合要素1109.5との結合は、どのような形式でもよい。放射状熱変形分離が可能な結合が好ましい。さらに、結合ユニット1109.3の数はいくつでもよい。好ましくは、3つの結合ユニット1109.3が第1レンズユニット7の周辺に均等に配置される。
【0168】
気密、光密な光路のエンクロージャには、蛇腹1109.6あるいは気密、高密でフレキシブルな他の構成部品が用いられる。
【0169】
第2結合装置1109.2は、筒状の第1結合要素1109.7及び筒状の第2結合要素1109.8により形成される。第1結合要素1109.7及び第2結合要素1109.8の両者は、第2レンズユニット8と同軸になるように配置されている。
【0170】
第1結合要素1109.7は、第1端部において、第2接合部3.4の第2接合面3.5と結合しており、第2レンズユニット8の第1熱膨張係数α
1とは異なる第2熱膨張係数α
2を有している。第2結合要素1109.8は、第1端部と、第1結合要素1109.7の第2端部とで結合している。第2結合要素1109.8は、第2端部において、第2レンズユニット8と結合している。第2結合要素1109.8は、第2レンズユニット8の第1熱膨張係数α
1及び第1結合要素1109.7の第2熱膨張係数α
2とは異なる、第3熱膨張係数α
3を有する。そのため、熱膨張係数と、第1、第2結合要素1109.7、1109.8の大きさを第1結合装置1109.1に関して記述したのと同様に適切に選択すれば、軸シフト補償が実現できる。
【0171】
気密、光密な光路のエンクロージャが、気密、光密に結合された第1、第2結合要素1109.7、1109.8により得られる。もちろん、他の付加的な気密、光密なエンクロージャを選択することもできる。
【0172】
当然ながら、基準点、及び一定の距離を置いてこの基準点を形成する点として、投影光学系2の他の点の組を選択することができる。もちろん、筐体3.1の熱膨張に対する補償は、第1レンズユニット7及び第2レンズユニット8上の2点間の距離を任意の温度において一定に保つことによっても実現できる。さらに、当然ながら、1つの投影光学系には、1つの種類の結合装置のみが使用可能である。
【0173】
前述の通り、本発明では、SiCを含むセラミック製または鋼鉄製の筐体を有する実施形態についてそれぞれ記述した。しかし、当然ながら、本発明の他の変形例には、他の材料、特にSiNや、C/C-SiC等の他のセラミック材料、他の金属又は金属合金で作製された筐体が含まれる。
【0174】
最後に、これまでに引用された全ての参考文献の開示内容は、参照により本願に組み込まれる。上記の参考文献の記載、または、参考文献に関する解説について、正確さも完全さも全く主張しない。