(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンピュータシステムは、前記第1の光学検出器で測定された放出パワーと、前記第2の光学検出器で測定された反射パワーとに応じて前記調整メカニズムを制御する、請求項7に記載の熱処理装置。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路(IC)市場には、常に、より大きなメモリ容量、より速いスイッチング速度、及びより小さな特徴部サイズの需要がある。これらの需要に対処するために業界がとってきた主たるステップの1つは、大型の炉においてシリコンウェハのような多数の基板をバッチ処理することから、小型の反応チャンバーにおいて単一基板を処理することへと切り換えることである。
【0003】
[0003]一般に、このようなバッチ処理製造では、4つの基本的操作、即ち成層、パターン化、ドーピング及び熱処理が実行される。これら操作の多くは、種々の化学的及び物理的反応が生じ得るように基板を高い温度に加熱することを必要とする。特に関心があるのは、熱処理及び成層であり、その各々について以下に説明する。
【0004】
[0004]熱処理とは、特定の結果を得るために基板を単に加熱及び冷却する操作である。熱処理中には、付加的な材料が基板に追加されたり基板から除去されたりしない。急速熱処理又はアニールのような熱処理は、通常、比較的大量の熱エネルギー(高温度)を短い時間内に基板に与え、その後、基板を急速に冷却して、熱処理を終了させることを必要とする。このような処理中に基板へ伝達される熱エネルギーの量は、熱履歴として知られている。ある材料の熱履歴は、温度及びプロセス時間幅の関数である。プロセス時間が非常に短い場合には高温度でしか行えない超小型ICの製造では、低い熱履歴が望ましい。
【0005】
[0005]現在利用されている熱処理は、例えば、急速熱処理(RTP)及びインパルス(スパイク)アニールを含む。このようなプロセスは広範囲に利用されているが、現在の技術は理想的なものではない。このような技術は、基板の温度をランプアップ及びランプダウンさせる速度が遅過ぎるのに加えて、基板を高温度に長時間露出させる傾向がある。これらの問題は、基板のサイズが増大し、スイッチング速度が高くなり及び/又は特徴部のサイズが小さくなるにつれて、益々過酷になる。
【0006】
[0006]一般に、これらの熱処理は、所定の熱レシピに基づいて制御された条件のもとで基板の温度を上昇させる。これらの熱レシピは、基本的に、基板を加熱しなければならない温度と、温度の変化率、即ち温度のランプアップ及びランプダウン率と、熱処理システムが特定温度に留まる時間とで構成される。例えば、熱レシピは、基板を室温から1200℃以上の個別温度へ加熱し、各個別温度における処理時間を60秒まで又はそれ以上にすることを要求することがある。
【0007】
[0007]更に、基板におけるドーパントの拡散を最小にするといったある目的を満足するために、各基板が高い温度を受ける時間長さを制限しなければならない。これを達成するために、温度のランプアップ及びランプダウン率が高いのが好ましい。換言すれば、基板の温度をできるだけ短い時間内に低い温度から高い温度へ及びそれとは逆に調整して熱履歴を最小にできることが望まれる。
【0008】
[0008]高い温度ランプ率に対するこの要求は、典型的な温度ランプアップ率が、従来の炉の場合に5−15℃/分であるのに比して、200−400℃/sの範囲である急速熱処理(RTP)の開発を導くに至った。典型的なランプダウン率は、80−150℃/sの範囲である。
【0009】
[0009]
図1は、従来の異なる熱プロセスの熱プロフィールを示すグラフ100である。明らかなように、典型的なRTPシステムの熱プロフィール102は、250℃/sのランプアップ率と、90℃/sのランプダウン率とを有する。
【0010】
[0010]RTPの欠点は、たとえICデバイスが基板の頂部数ミクロンに存在するだけであっても、基板全体を加熱することである。これは、いかに速く基板を加熱及び冷却できるかを制限する。更に、基板全体が高い温度になると、熱は、周囲空間又は構造物へ消散するしかない。その結果、今日の技術現状のRTPシステムは、400℃/sのランプアップ率及び150℃/sのランプダウン率を得るのに苦労している。
【0011】
[0011]また、
図1は、レーザアニールプロセスの熱プロフィール104も示している。レーザアニールは、薄膜トランジスタ(TFT)パネルの製造中に使用される。このようなシステムは、レーザスポットを使用して、ポリシリコンを溶融し、再結晶化する。TFTパネル上の次々の露出フィールドを横切ってレーザスポットを走査することによりTFTパネル全体が露出される。基板用途の場合には、レーザパルスを使用して、約20−40nsの時間中に露出フィールドを照射し、ここで、露出フィールドは、基板を横切り及び基板を下るようにラスタ走査することにより得られる。レーザアニールに対する熱プロフィール104から明らかなように、ランプ率は、ほぼ瞬間的に数十億度/秒となる。しかしながら、レーザアニールに使用されるレーザパルス又はフラッシュは、速過ぎて、非溶融プロセスに対して充分なアニールを生じさせるに足る時間をしばしば与えない。また、露出領域に隣接するデバイス又は構造は、それらを溶融させる極端な温度に露出されるか、または低過ぎてほとんどアニールを生じさせない温度に露出されることがある。更に、基板の各部分の熱露出の均質化は、異なる領域が異なる率で吸収して大きな温度勾配を生じさせるので、達成が困難である。このプロセスは、平衡温度に熱拡散するには速過ぎて、甚だしいパターン依存性を生じさせる。その結果、この技術は、基板表面上の異なる領域が著しく異なる温度に加熱されて、短い距離にわたり大きな非均一性を生じさせることがあるので、単結晶シリコンのアニールには適していない。
【0012】
[0012]カナダのボルテックインダストリーズリミテッドにより現在開発中の別の熱処理システムは、フラッシュアシストスパイクアニールを使用して、短い時間内に基板に高い熱エネルギーを与え、次いで、領域を急速に冷却して、熱露出を制限するよう試みるものである。この熱処理システムの使用は、1060℃までスパイクアニールの接合深さを与えるが、フラッシュでのアクチベーションを1100℃まで改善するはずである。典型的に、RTPシステムは、通常ほぼ1060℃の希望温度までランプアップし、次いで、希望のフラッシュ温度に到達した直後にランプダウンを開始する。これは、高い温度から適当なアクチベーションを依然として得ながら、生じる拡散量を最小にするために行なわれる。このようなフラッシュアシストスパイクアニールの熱プロフィール106も、
図1に示されている。
【0013】
[0013]以上のことから、高いランプアップ及びランプダウン率で基板をアニールするための装置及び方法が要望される。これは、小型デバイスの製造に多大な制御を与え、性能向上をもたらす。更に、このような装置及び方法は、基板の各ポイントが実質的に均質な熱露出を有し、これにより、パターン依存性及び潜在的欠陥を低減するよう確保しなければならない。
【0014】
[0014]次いで、通常エネルギー又は熱の追加を必要とする別の基本的製造操作である成層に注目する。成層は、種々の技術を使用して基板の表面に薄い層又は膜を追加するもので、最も広く利用されているのは、成長及び堆積である。追加された層は、ICデバイスにおいては、半導体、誘電体(絶縁体)又は導体として機能する。これらの層は、均一な厚み、滑らかで且つ平坦な面、均一な組成及び粒子サイズ、応力のない膜、純度及び完全性等の種々の要件を満足しなければならない。エネルギーの追加を必要とする通常の堆積技術は、幾つか例を挙げると、化学気相堆積(CVD)、急速熱化学気相堆積(RTCVD)として知られている種々のCVD、低圧CVD(LPCVD)として知られている別の種々のCVD、及び原子層堆積(ALD)である。
【0015】
[0015]CVDは、窒化シリコン(Si
3N
4)のような1つ以上の層又は膜を基板表面に物理的に堆積するための最も広く利用されている技術である。CVDプロセス中に、最終的な膜に必要とされる原子又は分子を含むアンモニア(NH
3)及びジクロロシラン(DCS)のような種々のガスが反応チャンバーに注入される。熱、光又はプラズマのような高いエネルギーでガスとガスとの間の化学反応が誘発される。反応した原子又は分子は、基板表面に堆積し、所定厚みの薄膜を形成するように蓄積する。反応副産物は、反応チャンバーから実質的にフラッシュされる。堆積率は、供給エネルギーの反応条件、反応チャンバーに存在するガスの量及び比率、及び/又は反応チャンバー内の圧力を制御することで、操作することができる。
【0016】
[0016]反応エネルギーは、一般に、熱(伝導又は対流)、誘導RF、放射、プラズマ又は紫外線エネルギー源により供給される。温度は、一般に、室温から1250℃までの範囲であり、更に一般的には、250℃から850℃の範囲である。
【0017】
[0017]現在の熱推進プロセスでは、基板を高い温度に加熱することが望まれるが、基板をこれらの高い温度に著しく長く露出させないことも望まれる。換言すれば、基板の温度を低い温度から高い温度へ、及びそれとは逆に、できるだけ短い時間内に調整できることが望ましく、即ち低い熱履歴をもつことが望ましい。
【0018】
[0018]しかしながら、現在の熱推進プロセスは、基板の表面だけを加熱すればよいにも関わらず、基板全体を加熱する。基板全体を加熱することは、基板が温度の変化に抵抗する熱慣性をもつことになるので、どれほど速く基板を加熱及び冷却できるかを制限する。例えば、基板全体が高温になると、周囲空間又は構造物へ熱を消散しなければ、基板を冷却することができない。
【0019】
[0019]CVD又はLPCVDでは、種々のガスが反応チャンバーに同時に供給又は注入される。しかしながら、反応ガスと反応ガスとの間に生じる気相反応は、基板の周りの周囲空間を含む反応チャンバー内のいずれの位置にも発生し得る。周囲空間に生じる反応は、膜に埋設されることになる粒子を形成し得るので、望ましくない。また、気相反応は、流れに依存する堆積も生じさせ、この流れ依存性のために著しい非均一性を引き起こすことになる。
【0020】
[0020]近年、CVD及びLPCVDでの前記気相反応の問題に対処するためにALDが開発された。ALDでは、第1ガスが反応チャンバーに注入される。第1ガスの原子又は分子が基板の表面に付着する。次いで、パージガスが注入されて、第1ガスを反応チャンバーからフラッシュする。最終的に、第2ガスが反応チャンバーに注入され、基板の表面の第2ガスと反応させる。第1及び第2ガスが反応チャンバーに同時に存在しないので、周囲空間に気相反応は生じない。これは、周囲空間における粒子形成及び流れ依存性に関連した問題を排除する。しかしながら、ALDの堆積率は低く、約1Å/秒である。また、ALDは、CVDと同じ温度制約及び熱履歴の問題で束縛される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
[0021]以上に鑑み、基板上に層を堆積するものであって、気相反応問題を軽減する装置及び方法が要望される。より詳細には、このような装置及び方法は、基板の表面だけを加熱し、高いランプアップ及びランプダウン率、即ち低い熱履歴を与えるものでなければならない。また、このような装置及び方法は、均一な層厚み、滑らかで且つ平坦な層表面、均一な層組成及び粒子サイズ、応力の低い膜、純度及び完全性といった一般的及び特定のパラメータを満足するのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[0022]本発明の一実施形態によれば、基板上に層を堆積する装置が提供される。この装置は、反応チャンバーと、この反応チャンバーへ少なくとも1つのガスを注入するように構成されたガス注入器とを備えている。また、この装置は、連続波電磁放射ソースと、反応チャンバー内のステージと、これら連続波電磁放射ソースとステージとの間に配置された収束光学系とを備えている。ステージは、その上に基板を受け取るように構成される。収束光学系は、連続波電磁放射ソースからの連続波電磁放射を、基板の上面における連続波電磁放射の線へと収束するように構成される。連続波電磁放射の線は、基板の幅又は直径を横切って延びるのが好ましい。この装置は、更に、ステージと、連続波電磁放射の線を互いに並進移動するように構成された並進移動メカニズムも備えている。
【0023】
[0023]更に、本発明によれば、基板上に1つ以上の層を堆積するための方法が提供される。基板は、最初に反応チャンバーに配置される。反応チャンバーには1つ以上のガスが導入される。放射の線を並進移動するための所定の速度が決定される。この所定の速度は、基板を処理するための熱レシピ、基板の特性、連続波電磁放射の電力、この放射の線の幅、放射の線における電力密度、等の多数のファクタに基づくものである。
【0024】
[0024]次いで、連続波電磁放射が連続波放射ソースから放出され、好ましくは、コリメートされる。連続波電磁放射は、その後、基板の表面を横切って延びる放射の線へと収束される。次いで、放射の線は、一定の所定の速度で表面に対して並進移動される。
【0025】
[0025]導入されたガス(1つ又は複数)と、放射の線により発生される熱との結合で、少なくとも1つのガスが反応して基板の表面に層を堆積させる。望ましくない反応副産物は、次いで、反応チャンバーからフラッシュされる。所定厚みの層が基板の表面に形成されるまでこのプロセスが繰り返される。
【0026】
[0026]本発明の別の実施形態によれば、熱束処理装置が提供される。この熱束処理装置は、連続波電磁放射ソースと、ステージと、収束光学系と、並進移動メカニズムとを備えている。連続波電磁放射ソースは、1つ以上のレーザダイオードであるのが好ましい。ステージは、その上に基板を受け取るように構成される。収束光学系は、連続波電磁放射ソースとステージとの間に配置されると共に、連続波電磁放射ソースからの連続波電磁放射を、基板の上面における連続波電磁放射の線へと収束するように構成されるのが好ましい。連続波電磁放射の線の長さは、基板の全幅にわたって延びるのが好ましい。並進移動メカニズムは、ステージと、連続波電磁放射の線を互いに並進移動するように構成され、基板をしっかり把持するためのチャックを含むのが好ましい。
【0027】
[0027]更に、基板を熱処理するための方法が提供される。連続波放射が、基板の上面における放射の線へと収束される。放射の線は、表面に対して一定の所定速度で並進移動される。これは、基板の各ポイントが実質的に均質の熱露出又は熱履歴をもつことを許容する。ランプ電力ではなく走査速度を変調することによりプロセス制御が達成され、装置の制御が簡単化される。これは、欠陥を発生せずに高い局部加熱を許容する。
【0028】
[0028]それ故、本発明は、所与の瞬間に基板の表面の僅かな部分しか加熱しない。これは、全放射電力要求を緩和する。実際に、基板の弦が一度に1つしか加熱されないので、300mm基板において5kWの放射ソースだけで150kW/cm
2のエネルギー密度を達成できる。
【0029】
[0029]所与の瞬間に小さな領域を加熱することにより、数キロワットの放射電力だけで基板上に数百万度/秒のランプ率を達成することができる。更に、この高いランプ率は、上面を周囲温度から1200℃以上に加熱し、基板の体積温度が上昇し得る前にほぼ周囲温度へ冷却して戻すのを許容する。
【0030】
[0030]上述した装置及び方法は、基板表面を1ミリ秒以内に適度な温度に加熱することができる。更に、放射の線が基板の表面に熱を与えるだけであるので、ガスの反応は表面に生じるだけである。室温の反応が無視できる場合、これは、基板表面から離れたところに望ましからぬ気相反応を招くことなく、多数のガスを同時に注入するのを許容する。この方法は、大気圧において実行して反応物の高速な分解を生じさせることができ、これにより、高い堆積率が可能となる。
【0031】
[0031]本発明の別の実施形態によれば、ステージと、連続波電磁放射ソースと、一連のレンズと、並進移動メカニズムと、検出モジュールと、コンピュータシステムとを備えた熱処理装置が提供される。ステージは、その上に基板を受け取るように構成される。連続波電磁放射ソースは、ステージに隣接して配置され、基板に向う経路に沿って連続波電磁放射を放出するように構成される。一連のレンズは、連続波電磁放射ソースとステージとの間に配置される。一連のレンズは、連続波電磁放射を、基板の表面上の連続波電磁放射の線へと凝縮するように構成される。この凝縮は、放射を、連続波電磁放射の線に又はそれに向けて収斂又は集中させる。並進移動メカニズムは、ステージと、連続波電磁放射の線を互いに並進移動するように構成される。検出モジュールは、前記経路内に配置されて、連続波電磁放射を検出するように構成される。好ましい実施形態では、検出モジュールは、一連のレンズ間に配置され、更に好ましくは、伸張レンズと、連続波電磁放射を凝縮するように構成された残りのレンズとの間に配置される。コンピュータシステムは、検出モジュールに結合される。また、好ましい実施形態においては、連続波電磁放射の線は、その幅が500ミクロン以下で、その電力密度が少なくとも30kW/cm
2である。
【0032】
[0032]検出モジュールは、連続波電磁放射ソースから放出された放出連続波電磁放射を検出するように構成された少なくとも1つの放出電力検出器を含むのが好ましい。また、検出モジュールは、表面から反射された反射連続波電磁放射を検出するように構成された少なくとも1つの反射電力検出器も含むのが好ましい。放出連続波電磁放射の一部分をサンプリングするか、または反射連続波電磁放射の一部分をサンプリングするために少なくとも1つのビームスプリッタが設けられる。このビームスプリッタは、好ましくは、連続波電磁放射モジュールとステージとの間に配置され、更に好ましくは、一連のレンズ間に配置され、もっと好ましくは、伸張レンズと、連続波電磁放射を凝縮するように構成された残りのレンズとの間に配置される。一実施形態において、放出電力検出器と反射電力検出器は、810nmの連続波電磁放射を検出する。少なくとも1つの温度検出器は、810nm以外の波長の連続波電磁放射を検出することにより連続波電磁放射の線における表面の温度を検出するように構成される。この温度検出器と連続波電磁放射の線との間にフィルタが配置されるのが好ましい。このフィルタは、810nm以外の波長をもつ連続波電磁放射のみが温度検出器に到達するのを許容するように構成される。このフィルタは、光学高温計が900nmから2000nm、特に1500nmで動作するのを許容するように構成される。
【0033】
[0033]コンピュータシステムは、放出電力検出器へ放出される放出電力を決定するための手順と、反射電力検出器へ反射される反射電力を決定するための手順と、連続波電磁放射ソースに供給される電力を、前記検出、放出及び/又は反射された電力に基づいて制御するための手順とを含むのが好ましい。また、コンピュータシステムは、反射率を決定するための反射率手順を含んでもよい。反射率は、反射電力を放出電力で除算したものに比例する。また、コンピュータシステムは、連続波放射の線における表面の温度を決定するための手順を含んでもよい。温度は、放出電力から反射電力を差し引いたものに等しい吸収電力に比例する。
【0034】
[0034]一連のレンズは、連続波電磁放射ソースとステージとの間に配置された少なくとも1つの伸張レンズを含むのが好ましい。この少なくとも1つの伸張レンズは、連続波電磁放射ソースから放出された連続波電磁放射のビームを、連続波電磁放射の伸張ビームへと伸張するように構成される。一連のレンズは、更に、連続波電磁放射ソースとステージとの間に直列に配置された多数の円柱状レンズを含んでもよい。これら多数の円柱状レンズは、連続波電磁放射の伸張ビームを、基板の表面における連続波電磁放射の線へと収束するように構成される。
【0035】
[0035]連続波電磁放射ソースは、対向するレーザダイオードモジュールの多数のセットを備え、対向するレーザダイオードモジュールの多数のセットの各々は、別々に制御されるのが好ましい。また、レーザダイオードの各セットに対して個別の検出モジュールが設けられるのが好ましい。
【0036】
[0036]連続波電磁放射ソースと一連のレンズとの間にはインターリーブ合成器が配置されるのが好ましい。このインターリーブ合成器は、連続波電磁放射波長における反射向上のために誘電体スタックを使用するのが好ましい。基板からの熱放出信号は、連続波電磁放射より長い波長において一連のレンズ及びインターリーブ合成器を介して測定されるのが好ましい。インターリーブ合成器は、充満比向上光学系を使用して、一連のレンズのサイズを減少する。
【0037】
[0037]また、連続波電磁放射ソースとステージを互いに向って移動するために調整メカニズムが設けられてもよい。これは、コンピュータシステムが、検出モジュールにより得られた測定値に基づいて調整メカニズムを制御して、連続波放射の線を表面に収束した状態に保つのを許容する。別の実施形態では、散乱した連続波放射を連続波放射の線に向けて戻すように再指向するために反射面が設けられる。
【0038】
[0038]本発明の別の実施形態によれば、熱処理方法が提供される。基板の表面が、所定の電力密度で所定の時間中加熱される。これは、基板の表面を周囲温度(T
A)からプロセス温度(T
P)へ加熱するのを許容するが、表面から所定の深さにおける温度(T
D)は、周囲温度に、プロセス温度から周囲温度を引いたものの半分を加えたものより低く保たれる(T
D≦T
A+(T
P−T
A)/2)。好ましい実施形態では、所定の電力密度が少なくとも30kW/cm
2であり、所定の時間長さが100マイクロ秒から100ミリ秒であり、周囲温度が約500℃未満であり、プロセス温度が約700℃より高く、所定深さが当該深さの10倍であり、但し、当該深さとは、シリコンにおけるデバイス構造の最大深さである。
【0039】
[0039]また、熱処理方法は、最初に、表面に熱的向上層を被覆するステップを含んでもよい。また、散乱された連続波電磁放射は、放射の線に向って反射されて戻されてもよい。連続波電磁放射の放出電力、及び表面から反射された連続波電磁放射の反射電力が測定されてもよい。次いで、反射電力が放出電力と比較されてもよい。連続波電磁放射ソースへ供給される電力は、このような比較に基づいて制御されてもよい。また、反射された連続波電磁放射とは実質的に異なる波長において連続波電磁放射の線の焦点で基板からの熱放射の個別の測定がなされてもよい。温度は、表面上で線において決定されてもよい。また、吸収率、反射率及び放出率が決定されてもよい。
【0040】
[0040]収束の前に、走査方向に対する基板の最適な向きが選択されてもよい。最適な向きは、走査方向が基板の主たるスリップ平面との最小の重畳しかもたないよう確保することにより決定される。また、基板は予熱されてもよい。予熱は、連続波電磁放射ソースでの1つ以上の前走査で構成され、ホットプレートを使用して実行されるのが好ましい。
【0041】
[0041]更に、本発明によれば、一連のレンズは、少なくとも1つの伸張レンズと、複数の円柱状レンズとを含む。伸張レンズは、連続波電磁放射ソースとステージとの間に配置される。伸張レンズは、連続波電磁放射のビームを、連続波電磁放射の伸張されたビームへと伸張するように構成される。複数の円柱状レンズは、少なくとも1つの伸張レンズとステージとの間に直列に配置されるのが好ましい。複数の円柱状レンズは、連続波電磁放射の伸張されたビームを、基板の表面上の連続波電磁放射の線へと収束するように構成される。上記少なくとも1つの伸張レンズは、2つの伸張レンズを含むのが好ましく、一方、複数の円柱状レンズは、球面形状又は非球面形状を有する。複数の円柱状レンズのあるものは、球面形状を有し、他のものは、それを有していなくてもよい。複数のレンズの付近にガス注入器が設けられて、複数のレンズ間に冷却パージガスを循環するようにしてもよい。
【0042】
[0042]更に、熱処理装置のための自動収束メカニズムが設けられる。この自動収束メカニズムは、連続波電磁放射モジュールと、ステージと、少なくとも1つのフォト検出器と、並進移動メカニズムと、調整メカニズムと、コントローラとを含む。連続波電磁放射モジュールは、連続波電磁放射を、基板の表面上の連続波電磁放射の線へと収束するように構成される。ステージは、その上に基板を受け取るように構成される。少なくとも1つのフォト検出器がステージに結合される。少なくとも1つのフォト検出器は、連続波電磁放射の強度を測定するように構成される。並進移動メカニズムは、ステージと、連続波電磁放射モジュールを互いに並進移動するように構成される。調整メカニズムは、ステージに結合され、ステージの高さ、ロール及びピッチを調整するように構成される。最終的に、コントローラは、連続波電磁放射モジュール、少なくとも1つのフォト検出器、並進移動メカニズム、及び調整メカニズムに結合される。前記少なくとも1つのフォト検出器は、ステージに埋設された3つのフォト検出器を含むのが好ましい。3つのフォト検出器及びコントローラは、連続波電磁放射モジュールに対するステージのピッチ、ロール及び高さを測定するように構成される。
【0043】
[0043]使用中に、連続波電磁放射の線が基板の表面に自動的に収束される。自動収束メカニズムが設けられた後に、少なくとも1つのアパーチャーが貫通するツール基板がステージに配置される。少なくとも1つのアパーチャーは、少なくとも1つのフォト検出器と整列される。次いで、少なくとも1つのアパーチャーに、連続波電磁放射ソースからの連続波電磁放射が照射される。次いで、連続波電磁放射の強度が少なくとも1つのフォト検出器において測定され、その強度に基づいて、ステージと連続波電磁放射ソースとの位置が互いに調整される。
【0044】
[0044]次いで、ステージと連続波電磁放射ソースは、ツール基板の別のアパーチャーと別のフォト検出器とを整列するように互いに横方向に並進移動される。次いで、別のアパーチャーが連続波電磁放射ソースからの連続波電磁放射に露出される。次いで、別のフォト検出器において連続波電磁放射の別の強度が感知される。最終的に、この別の強度に基づいて、ステージと連続波電磁放射ソースの位置が互いにセットされる。ステージが連続波電磁放射ソースに対して所定の位置にくるまで、これらのステップが繰り返される。
【0045】
[0045]更に別の実施形態は、半導体基板を熱処理する方法を提供する。連続波電磁放射が、半導体基板の表面を部分的に横切って延びる連続波電磁放射の線へと収束される。次いで、連続波電磁放射の線と表面は、一定に所定速度で互いに並進移動される。その後、放射の線は、その長さに沿って、その長さに等しいか又はそれより若干短い距離だけシフトされる。再び、連続波電磁放射の線と表面とは、一定に所定速度で互いに並進移動される。このオーバー走査は、基板の各露出ポイントが実質的に均質な熱露出を有するのを許容する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[0068]
図2Aは、本発明の実施形態により基板を熱処理するための装置200を示す概略側面図である。基板の熱処理は、以下に説明する本発明の特徴を必要とする熱プロセスである。このような熱プロセスの実施例は、基板の熱アニール又は化学気相堆積(CVD)に使用される熱プロセスを含み、残りの図面全体を通じてこの両方を説明する。
【0049】
[0069]装置200は、連続波電磁放射モジュール201と、基板214を受け取るように構成されたステージ216と、並進移動メカニズム218とを備えている。連続波電磁放射モジュール201は、連続波電磁放射ソース202と、該連続波電磁放射ソース202とステージ216の間に配置された収束光学系220とを備えている。
【0050】
[0070]好ましい実施形態では、基板214は、単結晶シリコン基板、シリコン・オン・インスレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム又はその合金、薄膜トランジスタ(TFT)を製造するのに使用されるシリコン層を伴うガラス又は石英基板、等のような適当な基板である。しかしながら、単結晶シリコン基板の熱束処理は、TFT基板の場合より更に困難であることが明らかである。というのは、単結晶シリコン基板は、TFTより熱伝導率が著しく高く、且つ単結晶シリコン基板の用途は、熱プロセスのより厳密な制御を必要とするからである。
【0051】
[0071]連続波電磁放射ソース202は、「連続波」即ち光のような電磁放射線を放出することができる。「連続波」とは、放射ソースが、放射を連続的に、即ちバーストやパルスやフラッシュでない放射を放出するように構成されることを意味する。これは、通常バースト又はフラッシュ光を使用するレーザアニールに使用されるレーザとはかなり相違する。
【0052】
[0072]更に、連続波電磁放射は、基板の表面又はその付近で吸収されることが必要であるので、放射の波長は、基板が放射を吸収する範囲内のものである。シリコン基板の場合には、連続波電磁放射は、190nmから950nmの波長を有するのが好ましい。更に好ましくは、約808nmの波長を有する。
【0053】
[0073]或いは又、UV又はその付近で動作する高電力の連続波電磁放射レーザソースが使用されてもよく、この場合、このような連続波電磁放射レーザソースにより発生される波長は、ほとんどの反射性材料により強力に吸収されるものである。
【0054】
[0074]好ましい実施形態では、連続波電磁放射ソース202は、放射を少なくとも15秒間連続的に放出することができる。また、好ましい実施形態では、連続波電磁放射ソース202は、同じ波長の均一で且つ空間的にコヒレントな光を各々発生する複数のレーザダイオードを備えている。更に別の好ましい実施形態では、レーザダイオードの電力は、0.5kWから50kWの範囲であるが、約5kWであるのが好ましい。適当なレーザダイオードは、カリフォルニア州サンタクララのコヒレント・インク、カリフォルニア州のスペクトラ−フィジックス、又はセントチャールズミズリーのカッティング・エッジ・オプトロニックス・インクにより製造されたものでよい。好ましいレーザダイオードは、カッティング・エッジ・オプトロニックスにより製造されたものであるが、別の適当なレーザダイオードは、レーザダイオードモジュール当たり40−480ワットの連続波電力を与えるスペクトラ・フィジックスのMONSOON(登録商標)マルチバーモジュール(MBM)である。
【0055】
[0075]収束光学系220は、連続波電磁放射ソース202からの放射204を実質的に平行なビーム208へとコリメートする1つ以上のコリメータ206を含むのが好ましい。このコリメートされた放射208は、次いで、少なくとも1つのレンズ210により基板214の上面224における放射の線222へと収束される。
【0056】
[0076]レンズ210は、放射を線へと収束することのできる適当なレンズ又は一連のレンズである。好ましい実施形態では、レンズ210は、円柱状レンズである。或いは又、レンズ210は、1つ以上の凹レンズ、凸レンズ、平面ミラー、凹面ミラー、凸面ミラー、屈折レンズ、回折レンズ、フレネルレンズ、屈折率分布型レンズ、等であってもよい。収束光学系220は、
図11を参照して以下に詳細に説明する。
【0057】
[0077]ステージ216は、以下に説明するように、並進移動中に基板214をしっかり保持することのできるプラットホーム又はチャックである。好ましい実施形態では、ステージ216は、基板を把持する手段、例えば、摩擦、重力、機械的又は電気的システムを含む。適当な把持手段は、例えば、機械的クランプ、静電又は真空チャック等を含む。
【0058】
[0078]また、装置200は、ステージ216と放射の線222を互いに並進移動するように構成された並進移動メカニズム218も備えている。一実施形態では、並進移動メカニズム218は、ステージ216に結合され、ステージ216を連続波電磁放射ソース202及び/又は収束光学系220に対して移動する。別の実施形態では、並進移動メカニズム218は、連続波電磁放射ソース202及び/又は収束光学系220に結合され、連続波電磁放射ソース202及び/又は収束光学系220をステージ216に対して移動する。更に別の実施形態では、並進移動メカニズム218は、連続波電磁放射ソース202及び/又は収束光学系220と、ステージ216との両方を移動する。コンベヤシステム、ラック・ピニオンシステム、等の適当な並進移動メカニズムを使用することができる。
【0059】
[0079]並進移動メカニズム218は、ステージ216及び放射の線222が互いに移動する走査速度を制御するためにコントローラに結合されるのが好ましい。更に、ステージ216と放射の線222の互いの並進移動は、放射の線222に垂直で且つ基板214の上面224に平行な経路に沿って行なわれるのが好ましい。好ましい実施形態では、並進移動メカニズム218は、一定速度で移動する。この一定速度は、35ミクロン幅の線に対して約2cm/sであるのが好ましい。別の実施形態では、ステージ216と放射の線222の互いの並進移動は、放射の線222に垂直な経路に沿ったものでない。
【0060】
[0080]
図2Bは、
図2Aの2B−2B’線に沿って見た基板及びステージの概略上面図である。好ましい実施形態では、基板214は、直径が200又は300mmで、厚みが約750ミクロンの円形基板である。また、好ましい実施形態では、放射の線222は、その長さが少なくとも基板214の全直径又は幅を横切って延びる。また、放射の線222は、その幅228が3から500ミクロンであるのが好ましい。しかしながら、好ましい実施形態では、放射の線222は、その幅228が約35ミクロンである。この幅は、放射の最大強度の半分において測定される(全幅半最大(FWHM)としても知られている)。全ての実施形態において、線の長さは、その幅より長い。好ましい実施形態では、放射の線222は、この線が移動方向に垂直であり、即ちこの線が常に基板の固定線即ち弦252に平行に保たれるように、基板214を直線的に横断する。
【0061】
[0081]放射の線における好ましい電力密度は、10kW/cm
2から200kW/cm
2であり、公称範囲は60kW/cm
2付近である。基板の全面をこれらの電力密度で放射することは容易に達成できないが、この強度をもつ放射の線で基板を横切って走査することは可能である。例えば、ピーク電力密度が70kW/cm
2で、幅が400ミクロンの放射の線を使用して、100cm/sで走査した実験では、ランプアップ及びランプダウン率が4百万℃/sを越える状態で基板の表面が約1170℃に加熱された。
【0062】
[0082]
図3は、本発明の別の実施形態により基板を熱処理するための別の装置300を示す概略側面図である。この実施形態は、収束光学系320の別の構成を示す。この実施形態では、収束光学系320は、レンズ210と、1つ以上の放射ガイド、例えば、1つ以上の光ファイバー308及びプリズム306とを備えている。他の放射ガイド、例えば、導波器、ミラー、拡散器を使用することもできる。
【0063】
[0083]連続波電磁放射ソース202からの放射は、プリズム306に向けられ、該プリズムは、この放射を1つ以上の光ファイバー308へ向け直す。放射は、これら光ファイバー308を経てレンズ210へ伝送され、そこで、放射の線222へと収束される。
【0064】
[0084]上述した収束光学系220(
図2A)又は320の多数の異なる組合せを使用して、連続波電磁放射ソースからの放射を伝送し、放射の線へと収束してもよいことが明らかであろう。また、レーザダイオードの直線アレイを放射ソースとして使用することもできる。更に、均一な放射分布を形成する適当な手段、例えば、放射拡散器を使用してもよい。
【0065】
[0085]
図4は、基板214(
図2A)を熱処理するための方法を示すフローチャート400である。ステップ402において、
図2及び3を参照して上述した装置が用意される。次いで、ステップ404において、コントローラ226(
図2A)は、放射の線222(
図2A)及び基板が互いに移動する走査速度を決定する。この決定は、基板を処理するための熱レシピ、基板の特性、連続波電磁放射ソース202(
図2A)の電力、放射の線の幅、放射の線の電力密度、等に基づいて行なわれる。
【0066】
[0086]連続波電磁放射ソース202(
図2A)は、ステップ406において、連続波の放射204(
図2A)を放出する。この放射204は、ステップ408において、コリメートされた放射ビーム208(
図2A)へとコリメートされるのが好ましい。このコリメートされた放射ビーム208(
図2A)は、ステップ410において、放射の線222(
図2A)へと収束される。好ましい走査速度に基づき、ステージ216(
図2A)及び放射の線222(
図2A)が、ステップ412において、並進移動メカニズム218(
図2A)により互いに並進移動される。この並進移動は、放射の線222に垂直で且つ基板の上面に平行な経路に沿って行なわれ、放射の線が基板214全体を横断するようにされる。好ましい実施形態では、並進移動メカニズム218が放射ソース及び収束光学系を基板の上面に対して約2cm/sで走査させる。
【0067】
[0087]
図5は、
図4を参照して上述した方法に基づいて実行される熱処理中に固定ポイントにおける基板上の及び基板を通る温度対時間及び深さを示すグラフ500である。温度軸502は、固定ポイントにおける0から1400℃の温度を示す。軸504は、固定ポイントにおいて上面224(
図2B)から基板214(
図2B)内への深さを示す。軸506は、走査開始後のあるポイントにおける時間を秒で示す。固定ポイントは、508に位置すると仮定する。
【0068】
[0088]放射の線222(
図2B)が、基板214(
図2B)の上面224(
図2B)を横切って走査するときには、それが発生する熱を基板上の線即ち弦に受けさせる。放射の線が固定ポイントに到達する前には、固定ポイントの温度は、固定ポイントにおける上面でも基板断面全体でも、参照番号516で示すように周囲温度である。放射の線が508の固定ポイントに到達するや否や、上面の温度は、参照番号510で示すように、1200℃のようなプロセス温度(又はプロセスに必要な他の希望温度)へ約1e6C/sでランプアップする。同時に、基板は、ヒートシンクとして働いて、参照番号512で示すように、表面から離れるにつれて急激な温度降下を生じさせる。例えば、
図5に示すように、上面のポイントから0.04cmのところでは、温度が約200℃である。従って、加熱効果が上面のみに一般的に局所化される。これは、一般に、基板の上面224(
図2A)付近の領域しか熱処理を必要としないので、非常に好都合である。
【0069】
[0089]放射の線が固定ポイントを越えてそこから離れるにつれて、参照番号514で示すように、温度が急激に降下する。これも、基板がヒートシンクとして働いて、上面の熱を、残りの冷えた基板全体にわたり拡散するからである。これは、基板全体を同時に加熱するRTPのような従来の熱システムではなし得なかったことである。というのは、基板全体が高温度となるために、冷えた領域へ熱を容易に消散できないからである。実際に、
図5に示す時間スケールではRTPと比較ができない。というのは、重畳するRTPグラフは、1100℃でほぼ平坦な平面となって約1秒間延びるからである。1秒は、
図5に示す時間周期より400倍も大きい。
【0070】
[0090]それ故、従来のプロセスとは異なり、本発明は、基板の表面を所定の電力密度で所定の時間中(約1ミリ秒間)加熱して、基板の表面が、好ましくは500℃未満の周囲温度(T
A)から、好ましくは700℃より高いプロセス温度(T
P)へと加熱されるようにする。同時に、表面から所定深さの温度(T
D)は、周囲温度に、プロセス温度から周囲温度を引いたものの半分を加えたものより低く保たれ、即ちT
D≦T
A+(T
P−T
A)/2である。この所定の深さは、当該深さの約10倍であり、即ちSiにおけるデバイス構造体の最大深さの10倍である。典型的なSi基板では、デバイス構造体の最大深さが約3ミクロンである。
【0071】
[0091]基板の大部分へ熱をこのように伝達すると、局部的に強い熱吸収領域から弱い熱吸収領域へ熱が拡散するに充分な時間があるので、均質な熱露出が促進される。また、パターン密度の効果は、RTPに匹敵するものである。しかしながら、時間スケールは、熱伝達の拡散深さを、RTPの場合のように基板の数百ミクロン厚みではなく、数ミクロンに制限するに充分なほど短く、従って、全所要電力が相当に減少される。基板の大部分は、著しく加熱されず、温度ランプダウンのための理想的なヒートシンクとなる。
【0072】
[0092]従来のレーザアニールシステムの1つの問題は、基板の比較的小さなエリアを急速に加熱することにより応力に関連した欠陥が生じることである。それ故、実験を行なって、本発明の熱束処理が応力に関連した欠陥を基板に生じさせるかどうかテストした。ピーク応力は、最大温度ではなく、最大温度付近で生じる。放射の線が適当に細く且つ加熱の深さが適当に浅い場合には、最大熱勾配の領域を最高温度の領域から変位させて、スリップ窓を増加し、欠陥を減少することができる。この実験の間に、ピーク電力密度が60kW/cm
2で、幅が400ミクロンの放射の線のもとで、サンプルを20cm/において走査した。本発明は、ピーク熱勾配をピーク温度から変位することができ、従って、位置ずれを招くことなく、1keVの硼素インプラントで70nmのノードに適した超浅接合(USJ)形成を行うことができる。典型的なインプラント関連欠陥しか観察されなかった。
【0073】
[0093]
図6は、本発明の別の実施形態により基板上に層を堆積するための装置600を示す概略側面図である。この装置600は、
図2A及び
図2Bに示された装置200、並びに
図3に示された装置300と同様である。
図2A及び
図2Bに示されたものと同じ要素は、同じ参照番号を有する。更に、装置600は、CVD、ALD等の堆積プロセスを実行するのに使用されてもよい。
【0074】
[0094]
図2A及び
図2Bに関連して上述した要素に加えて、装置600は、多数の要素が収容された反応チャンバー602を示している。少なくとも1つの注入器604を使用して、1つ以上のガス616を反応チャンバー602に導入し、又は注入する。ガス注入器604は、好ましくは、1つ以上のガスソース612(1)−(N)を備え、これらは、ダクト610によりガスマニホールド606の1つ以上のガス導入口608に流体結合される。ガス注入器604は、反応チャンバー602内のいかなる適当な位置に配置されてもよい。例えば、ガスは、反応チャンバーの側に注入されて、放射の線と基板の表面との間の相対的移動の方向に直交して基板の表面を横切って流れてもよいし、或いはガスは、図示されたように、基板の上から注入されてもよい。
【0075】
[0095]
図6に示す実施形態では、連続波電磁放射は、コリメータによりコリメートされ、プリズム306により基板に向けて再指向され、次いで、レンズ210により線へと収束される。しかしながら、収束光学系220は、上述したように、エネルギーの線を基板214の上面224に収束できるいかなる適当な収束光学系を含んでもよいことが明らかであろう。更に、収束光学系は、チャンバーの外部に配置されてもよく、この場合、放射は透明窓を経てチャンバーへと通過されることが明らかであろう。更に、チャンバー及び/又はガスソースは、いかなる適当な形状及び/又は構成をとってもよい。
【0076】
[0096]
図7は、
図6に示す本発明の実施形態により基板に1つ以上の層を堆積するための方法を示すフローチャート700である。702において、基板214(
図6)が反応チャンバー602(
図6)に配置される。層614(
図6)に必要な原子又は分子を含むアンモニア(NH
3)及びジクロロシラン(DCS)のような1つ以上のガス616(
図6)が、704において、基板214(
図6)を収容する反応チャンバー602(
図6)に導入される。
【0077】
[0097]以下に述べるように、放射の線222(
図6)を並進移動する所定の速度が、706において、決定される。この所定の速度は、基板を処理するための熱レシピ、基板の特性、連続波電磁放射の電力、この放射の線の幅、放射の線における電力密度、等の多数のファクタに基づくものである。好ましい実施形態では、この所定の速度は、約2cm/sである。
【0078】
[0098]次いで、708において、連続波電磁放射が、上述したように、連続波電磁放射ソース202(
図6)から放出される。連続波電磁放射は、710において、コリメータ206(
図6)によりコリメートされるのが好ましい。
【0079】
[0099]連続波電磁放射は、その後、712において、基板の上面224(
図6)を横切って延びる放射の線222(
図6)へと収束される。好ましい実施形態では、放射の線の幅228(
図6)は、約35ミクロン幅である。次いで、放射の線は、714において、前記決定された一定の所定速度で表面に対して並進移動される。この並進移動は、コントローラ226(
図6)の制御のもとで、並進移動メカニズム218(
図6)により行なわれる。
【0080】
[0100]導入されたガス(1つ又は複数)616(
図6)と、放射の線により発生された熱との結合で、少なくとも1つのガス616が反応し、基板の表面に層614(
図6)を堆積させる。この反応は、ガスとガスとの間の化学反応、1つ以上のガスの分解等でよい。望ましからぬ反応副産物は、716において、反応チャンバーからフラッシュされる。
【0081】
[0101]このプロセスは、所定の厚みをもつ層614(
図6)が基板214(
図6)の上面224(
図6)に形成されるまで繰り返される。所定の走査速度は、膜/層を構成するのに何回もの走査が必要とされるので、上述した熱束アニールに必要な速度より速いのが好ましい。通常、各堆積層は、8から10Åである。必要とされる膜/層は、フラッシュメモリに使用されるトンネル酸化物の20Åから、スペーサ用途の1500Åまで変化する。それ故、好ましい走査速度は、一般に、数cm/sから約1m/sの範囲である。好ましい線幅228(
図6)は、上述したものと同じである。
【0082】
[0102]化学的反応は、連続波電磁放射又は放射の線を調整することで基板表面の温度を制御し、反応チャンバーに導入されるガス(1つ又は複数)の量及び/又は比を制御し、更に、反応チャンバー内の圧力を制御することにより、制御される。
【0083】
[0103]上述した方法は、基板表面を適度な温度に1ミリ秒以内に加熱することができる。更に、正に表面付近のガスが放射の線により加熱されるので、ガスの反応は、表面又はその付近のみで生じる。放射の線が動き続けるので加熱は非常に短時間であり、従って、正に表面付近のガスしか反応しない。表面から離れたところのガスは決して高温にならないので、望ましからぬ気相反応は防止される。これは、基板表面から離れたところに望ましからぬ気相反応を招くことなく、多数のガスを同時に注入するのを許容する。
【0084】
[0104]好ましい実施形態では、上述した方法は、数トル(Torr)から、大気圧より高い圧力までの圧力で実行されるが、大気圧が好ましい。
図8は、シミュレーションの結果を示すもので、この短い時間スケールにおいてこのような圧力で反応物の充分な分解が生じ得ることを示している。また、好ましい実施形態では、放射の線の温度は、堆積されている膜/層に依存するが、一般的に600から900℃の範囲である。
【0085】
[0105]
図8は、
図6に示された本発明の実施形態により850℃及び740Torrにおいてシランを分解するためのモンテカルロシミュレーションの結果を示すグラフ800である。低圧力でのこのシミュレーションは、参考としてここに援用するマイヤーソン、スコット及びツイ著のChemtronics1(1986年)150により公表された決定論的モデルを複製するものである。
【0086】
[0106]このグラフ800は、典型的なCVDガスであるジクロロシラン(DCS)のようなシランが、基板表面に堆積するのに必要な分子へと分解することを示している。分解は、ほぼ大気圧である740Torr及び850℃の温度で生じる。この温度及び圧力で分解が生じる全時間は、約6x10
−4秒である。この温度及び走査速度は、本発明でしかなし得ない。というのは、従来の方法では、反応が生じるに充分な時間を与えながら、このような短い時間内にこのような高い温度を達成することができないからである。
【0087】
[0107]基板上に層を堆積するための前記装置及び方法は、多数の効果を発揮する。例えば、高温度で費やされる時間が短いためにプロセスの熱履歴が低い。
【0088】
[0108]更に、放射の線が基板の表面に熱を印加するだけであるので、ガスの反応は表面にしか生じない。これは、気相搬送制限の低下を招く。また、これは、表面から離れたところでの気相反応の低下も招き、基板表面に望ましからぬ粒子が形成されるのを回避する。更に、この方法は、大気圧で行うことができ、シランのような反応物の高速分解を生じさせ、これにより、高い堆積率を可能にする。
【0089】
[0109]
図9Aは、本発明の更に別の実施形態により基板を熱処理するための更に別の装置900を示す側面図である。この装置900は、
図2A及び2Bに示された装置200、
図3に示された装置300、及び
図6に示された装置600と同様である。同様の名称をもつ要素は、同様であるが、以下に相違点を説明する。
【0090】
[0110]この装置900は、連続波電磁放射モジュール902と、基板906を受け取るように構成されたステージ904と、このステージ904及び連続波電磁放射モジュール902を互いに移動するための並進移動メカニズム(図示せず)とを備えている。連続波電磁放射モジュール902は、少なくとも1つの連続波電磁放射ソース908(A+B)と、この連続波電磁放射ソース908(A+B)と基板906との間に配置された光学系910(A+B)とを含むのが好ましい。上述したように、基板906は、単結晶シリコン基板、シリコン・オン・インスレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム又はその合金、薄膜トランジスタ(TFT)を製造するのに使用されるシリコン層を伴うガラス又は石英基板、等のような適当な基板である。
【0091】
[0111]連続波電磁放射ソース908(A+B)は、
図2Aを参照して説明した連続波電磁放射ソース202と同様である。好ましい実施形態では、連続波電磁放射ソース908(A+B)は、9kWまでの放射を発生し、これは、光学系910(A+B)により基板表面上の放射の線へと収束され、この放射の線は、幅が30ミクロンで、長さが少なくとも300mmである。また、好ましい実施形態では、連続波電磁放射ソース908(A+B)は、装置900の片側に15個のレーザダイオードモジュール908(A)を含むと共に、装置900の他側に16個のレーザダイオードモジュール908(B)を含む。レーザダイオードモジュール908(A)は、
図9Bに示すように、レーザダイオードモジュール908(B)に対して食い違わされており、即ちレーザダイオードモジュール908(A)から放出された放射は、レーザダイオードモジュール908(B)から放出された放射とインターデジテートする。また、好ましい実施形態では、対向するレーザダイオードモジュールの各セットは、1つ以上の電源916に電気的に結合される。或いは又、各単一のレーザダイオードモジュール、又はレーザダイオードモジュールの組合せが、1つ以上の電源により通電されてもよい。電源916は、コンピュータシステム914に電気的に結合される。
【0092】
[0112]好ましい実施形態では、この技術で良く理解されるように、水のような冷却流体が、連続波電磁放射ソース908(A+B)内に循環されて、これを冷えた状態に保持する。
【0093】
[0113]光学系910(A+B)は、上述した収束光学系と同様の収束光学系910(A)と、インターリーブ合成器910(B)とを備えている。インターリーブ合成器910(B)は、
図10を参照して以下に説明し、一方、収束光学系910(A)は、
図11を参照して以下に説明する。
【0094】
[0114]また、装置900は、
図11を参照して以下に説明するように、コンピュータシステム914に結合された検出モジュール912(A+B+C)も含むのが好ましい。
【0095】
[0115]コンピュータシステム914は、
図13を参照して以下に説明する方法を実行するための命令及び/又は手順を含む。
【0096】
[0116]
図9Cは、本発明の更に別の実施形態により基板962を熱処理するための更に別の装置950を示す後面図である。この実施形態では、連続波電磁放射の線は、基板962の幅全体を横切って延びず、むしろ、基板の直径又は幅の一部分を横切って延びるだけである。換言すれば、連続波電磁放射の線は、その長さ960が基板の直径又は幅968より短い。
【0097】
[0117]使用中に、連続波電磁放射の線は、基板表面を横切って2回以上の走査を行うのが好ましい。各次々の走査は、線の長さに沿った熱露出均一性が改善されるように、その前に走査されたエリアに重畳するのが好ましい。線シフトメカニズム966を使用して、連続波電磁放射の線と基板を線の長さに沿って互いにシフトし、即ち線の長さに実質的に共線的に且つ走査方向に実質的に垂直にシフトする。この重畳は、RTPに使用される回転式平均化と同様に基板上の全てのポイントの熱露出を平均化する。
【0098】
[0118]線シフトメカニズム966は、連続波電磁放射モジュール(放射ソース954及びレンズ956)を並進移動して、連続波電磁放射の線を基板に対して並進移動するのが好ましい。或いは又、ステージ964が線に対して並進移動されてもよく、或いは線及びステージの両方が互いに並進移動されてもよい。
【0099】
[0119]更に、このような実施形態では、連続波電磁放射の線の長さ960が基板962の直径又は幅の一部分を横切って延びるだけでよいので、少数のレーザダイオードモジュール966しか必要とされない。例えば、3つの対向するレーザダイオードモジュール966の間に2つのレーザダイオードモジュールがインターリーブされてもよい。
【0100】
[0120]
図10は、
図9A及び9Bに示されたインターリーブ合成器910(B)の概略側面図である。インターリーブ合成器910(B)は、光学系910(A+B)の一部分を形成し、以下に説明するように、放出された連続波電磁放射の充満比を改善するように使用される。好ましい実施形態では、インターリーブ合成器910(B)は、インターリーブプリズムアッセンブリである。
【0101】
[0121]更に、装置900(
図9A及び9B)の好ましい実施形態は、各レーザダイオードモジュール908(A)又は908(B)の高速軸出力をコリメートするためにマイクロレンズ(図示せず)を備えている。この好ましい実施形態では、各レーザダイオードモジュールのピッチ1002は、2.2mmであり、一方、高速軸コリメートマイクロレンズのアパーチャー1004は、0.9mmである。充満比とは、連続波電磁放射に露出される面積を、連続波電磁放射モジュールの全面積で除算したものである。それ故、例えば、レンズ系が、長さ1cmx幅900ミクロンのビームフットプリントを与え、更に、各レーザダイオードモジュールのピッチが2.2mmである場合には、充満比が900ミクロン/2.2mm即ち41%であり、即ち連続波電磁放射モジュールの放出面積の41%しか実際に連続波電磁放射を放出せず、一方、レーザモジュールの面のスペース又は面積の59%が暗である。この暗エリアは、長さ1cmx幅1.3mm(2.2−0.9)である。これは、連続波電磁放射が存在しない実質的に空のエリアを招く。
【0102】
[0122]光学性能を改善するために、充満比がインターリーブ合成器910(B)により増加されるのが好ましく、従って、より小さな後続の一連のレンズ910(A+B)(
図9A及び9B)を必要とする。好ましい実施形態では、インターリーブ合成器910(B)は、充満比を2倍にする。例えば、第4及び第5レーザダイオードモジュールから出力された連続波電磁放射は、
図10に示すように、第2及び第3レーザダイオードモジュールから放出された連続波電磁放射の間にインターリーブされる。従って、電力出力は、5個のレーザダイオードバーを3個のレーザダイオードバーのスペースに圧縮したものである。これは、その後のビーム伸張及び収束を容易にし、適度に高い電力密度を得られるようにする。
【0103】
[0123]好ましい実施形態では、インターリーブ合成器910(B)は、連続波電磁放射の波長において反射を向上させるためにBK7又は溶融シリカのような適当な光学ガラスに多層誘電体ミラーを使用している。
【0104】
[0124]
図11は、収束光学系910(A)及び検出モジュール912(A+B+C)の詳細な断面側面図である。収束光学系910(A)の目的は、連続波電磁放射ソース908(A+B)(
図9A及び
図9B)から放出された連続波電磁放射を、基板906の表面上で連続波放射の線へと収束することである。好ましい実施形態では、収束光学系910(A)は、A−Gと示された一連の7個のレンズを含む。レンズA−Gは、全て、球形状又は平面形状をもつ円柱状レンズであるのが好ましい。球形状をもつこのような円柱状レンズは、非球形状をもつ円柱状レンズに比して製造が比較的容易で且つコストが安いことから選択される。しかしながら、別の実施形態では、少数の非球状レンズ、又は非球形状をもつ円柱状レンズを、図示された球形状又は平面形状をもつ7個の円柱状レンズに置き換えることもできる。更に、連続波電磁放射の線へ収束するのとは別に、円柱状レンズ全体で光学的収差を著しく減少する。
【0105】
[0125]また、好ましい実施形態では、レンズAは、光学的にほぼ平坦な入口側と円柱状の出口側とを有する伸張レンズである。伸張レンズは、インターリーブ合成器910(B)(
図9A及び
図9B)により凝縮された連続波電磁放射を伸張し、その後、残りの集束レンズB−Gにより収束するのに使用される。例えば、好ましい実施形態では、連続波電磁放射のビームは、20mm幅へと伸張され、高速軸の発散は、0.1°未満へと減少される。発散の減少で、狭い線幅を得ることができる。更に、広いビームは、開口数0.4に対して受け入れられる作用距離を得られるようにする。残りのレンズB−Gにより収束されると、それにより生じるビームは、基板906の表面において約30ミクロンになる。
【0106】
[0126]最後のレンズGは、光学的にほぼ平坦な対向する入口側及び出口側を有し、レンズ環境からウェハ環境を分離するための単なるクオーツ窓として働くだけである。また、これは、焦点を放射ソースから若干離れるようにシフトする。
【0107】
[0127]好ましい実施形態では、窓から基板までの距離は、約8mmである。また、好ましい実施形態では、レンズA−Gは、次の処方データを有する。
【0108】
【表1】
但し、半径及び厚みは、ミリメーターである。「表面」は、レンズの表面を指し、ここで、「entry」は、レンズの入口面を指し、「exit」は、レンズの出口面を指す。材料は、レンズが作られた材料を指す。「X」、「AX」及び「SX」データは、アパーチャーの形状、即ち長方形又は楕円を指し、ここで、「X」は、特殊なアパーチャーデータを意味し、「S」は、手前のカラムのアパーチャー半径数が、指定されるのではなく、計算されることを意味し、「A」は、アパーチャー絞り、基本的には、線が通過できねばならない窓を意味する。例えば、レンズA(
図11)の入口面「A
entry」は、半径が0ミリメーター、即ち平坦であり、厚みが3mmであり、アパーチャー半径が4mmであり、長方形の形状で、且つBK7ガラスで作られている。前記チャートは、Sinclair Optic’s OSLO(登録商標)レイトレーシングソフトウェアを使用して作成されたものである。
【0109】
[0128]レンズA−Gは、フレーム1102により収束光学系910(A)内に位置保持されるのが好ましい。好ましい実施形態では、フレーム1102は、加工されたステンレススチールで作られる。また、フレーム1102は、レンズが使用中に整列ずれして、この整列ずれが単に焦点の線を基板表面に向って又はそこから離れてシフトする(或いは横方向に移動する)だけである場合には、健全なシステムを保証するためにある程度の公差も含むことが好ましい。この焦点のシフトは、
図14A−Dに関連して以下に述べるように、自動収束システムにより調整される。更に、好ましい使用の間に、パージガスがフレームへ圧送されて、ガス注入器1104を通してレンズ間のスペース1108へと圧送され、レンズを冷えた状態に保持する。このパージガスは、室温(レンズに結露が生じるのを回避するために)における窒素であるのが好ましい。
【0110】
[0129]検出モジュール912(A+B+C)は、少なくとも1つの反射電力検出器912(A)、少なくとも1つの放出電力検出器912(B)、及び/又は少なくとも1つのビームスプリッタ912(C)を含むのが好ましい。放出電力検出器912(B)は、連続波電磁放射ソース908(A+B)(
図9A及び9B)から放出された放出連続波電磁放射の一部分を検出するように構成され、一方、反射電力検出器912(A)は、基板906の表面から反射された反射連続波電磁放射の一部分を検出するように構成される。放出電力検出器912(B)は、連続波電磁放射ソースの出力を監視し、一方、反射電力検出器912(A)は、反射率、放出率、基板により吸収されたエネルギー、及び/又は基板の温度を検出するのに使用される。放出電力検出器912(B)及び反射電力検出器912(A)は、ハママツにより製造されたものが適当である。
【0111】
[0130]ビームスプリッタ912(C)は、その第1の実質的に平坦な表面に入射する放出連続波電磁放射の一部分を放出電力検出器912(B)に向かって反射することにより放出連続波電磁放射の一部分をサンプルするように構成される。好ましい実施形態では、その第1の平坦な表面とは反対の、ビームスプリッタ912(C)の第2の平坦な表面を使用して、基板の表面から反射された連続波電磁放射を、反射電力検出器912(A)に向けて反射する。ビームスプリッタは、連続波電磁放射ソース908(A+B)とステージ904(
図9A及び9B)との間に配置されるのが好ましい。また、ビームスプリッタ912(C)は、MgFのような反射防止コーティングが被覆されるのが好ましい。使用中に、ビームスプリッタ912(C)は、連続波電磁放射ソース908(A+B)により放出された連続波電磁放射の1%未満を反射又はサンプリングする。
【0112】
[0131]使用中に、検出された放出電力と検出された反射電力との比は、基板における吸収の測定値を与える。吸収は、放射エネルギーが吸収されて、熱のような他の形式のエネルギーへ変換され、次いで、熱放射に対するプランクの法則に基づいて、より長い波長で再放射される。
【0113】
[0132]好ましい実施形態では、放出電力検出器912(B)及び反射電力検出器912(A)が、810nmの連続波電磁放射を検出する。また、好ましい実施形態では、少なくとも1つの検出器912(A)は、連続波電磁放射の線において基板の温度を検出するための温度検出器として構成される。温度を検出するために、温度検出器は、810nm以外の波長、例えば、1500nmにおける連続波電磁放射を検出する。これは、反射された連続波電磁放射と検出器912(A)との間にフィルタ1106を配置することにより達成される。このフィルタ1106は、810nm以外の波長を有する連続波電磁放射のみが検出器912(A)に到達して、それが光学的高温計として働くのを許容すると共に、検出される信号が放出信号であって、光源からの反射ではないよう保証するように構成される。換言すれば、810nm以外の波長をもつのは、反射された放射だけである。好ましい実施形態では、フィルタは、900nmから2000nmにおいて光学的高温計の動作を許容するように構成され、1500nmが好ましい波長である。しかしながら、この温度測定は、放出率の変化に影響され易い。
【0114】
[0133]また、反射電力検出器912(A)及び放出電力検出器912(B)は、装置内のレンズが非ゼロ反射率であるために光学系内に散乱されることのある漂遊放射の収集を最小にしながら、検出される信号を最大にするためのピンホールアパーチャーを含むのが好ましい。
【0115】
[0134]15個及び16個の対向するレーザダイオードモジュールを含む好ましい実施形態では、15対の反射電力検出器912(A)及び放出電力検出器912(B)が設けられるのが好ましい。1つおきの反射電力検出器912(A)は、上述したように、温度検出器として構成されるのが好ましい。
【0116】
[0135]また、別の実施形態では、反射器1110が収束光学系910(A)と基板906との間に配置される。この反射器1110は、基板の表面から反射された放射を、連続波電磁放射の線へ反射して戻すように構成される。好ましい実施形態では、反射器1110は、曲率の中心がレンズの焦点に位置する円筒状ミラーである。
【0117】
[0136]
図12は、
図9A及び
図9Bに示された装置900の原型を示す等尺図である。明らかなように、半導体ウェハのような基板がチャンバー1202内でステージ904に配置される。連続波電磁放射モジュール902がチャンバー1202に結合される。更に、並進移動メカニズム218(
図2)のような並進移動メカニズムが、ステージ904を、矢印1206で示すように、連続波電磁放射モジュール902に対して移動する。コンピュータシステム914(
図9A及び
図9B)のような幾つかの電子装置がハウジング1210内に収容される。装置900は、基板906をこの装置900へ又はこの装置900から移送するためにファクトリーインターフェイス1208に結合されるのが好ましい。
【0118】
[0137]
図13は、熱プロセスを制御する方法1320のフローチャートである。この方法1320がステップ1322で開始されると、基板が、ステップ1323において、ステージ上で方向付けされ、その後の走査方向が、熱プロセスを最適に行えるものとなるようにする。これを行なうのは、基板の方向が異なると、機械的特性が異なり、収率の強さが、ある方向が別の方向より高くなり得るからである。一般に、結晶化の方向を示すために基板にノッチが設けられる。基板904(
図9A及び
図9B)の表面には、任意であるが、ステップ1324において、熱的向上層が被覆されてもよい。この熱的向上層は、酸化物の緩衝層の上に、高い吸収特性をもつ材料、例えば、ドープされたポリシリコン又は窒化シリコンを設けることにより作られるか、及び/又は反射防止特性をもつ材料から作られる。この熱的向上層は、基板表面の状態に対して不感性を生じさせるのに役立つ。例えば、基板の表面が、反射性が強いか又は非均一である場合には、この熱的向上層は、基板の実質的に均質な熱露出を維持する上で役立つ。
【0119】
[0138]次いで、基板は、ステップ1326において、連続波放射モジュール902(
図9A及び
図9B)から放出された連続波電磁放射の線で照射され、これにより、基板の表面を所定の電力密度で所定長さの時間中加熱する。所定の電力密度は、30kW/cm
2より高いのが好ましく(好ましくは100kW/cm
2)、所定の時間は、100マイクロ秒から100ミリ秒であるのが好ましい(好ましくは約1ミリ秒)。これは、基板の表面を、約500℃未満の周囲温度から、約700℃より高いプロセス温度へ加熱する。Siにおけるデバイス構造体の最大深さの10倍のような、表面から所定の深さにおける温度は、周囲温度に、プロセス温度から周囲温度を引いたものの半分を加えたものより低く保たれる。
【0120】
[0139]上述したように、連続波電磁放射の線は、基板の表面全体を横切って延びてもよいし、その一部分を横切って延びてもよい。
【0121】
[0140]反射器1110(
図11)を有する実施形態では、反射器に向けられた反射又は散乱された光が、ステップ1328において、放射の線に向って反射されて戻される。
【0122】
[0141]次いで、放出電力が、ステップ1330において、放出電力検出器(1つ又は複数)912(B)により測定されて、コンピュータシステム914(
図9A及び
図9B)へ送信される。次いで、反射電力が、ステップ1332において、反射電力検出器912(A)により測定されて、コンピュータシステム914(
図9A及び9B)へ送信される。コンピュータシステム914(
図9A及び
図9B)は、ステップ1334において、反射電力を放出電力と比較し、それに応じて、ステップ1336において、連続波電磁放射ソースへ供給される電力を制御する。例えば、連続波電磁放射ソースは、同じ放出電力で異なる基板を異なる仕方で加熱してもよい。コンピュータシステムは、電源916(
図9A及び
図9B)の電力を制御し、これは、次いで、個々のレーザダイオードモジュールを制御するか、レーザダイオードモジュールのセットを制御するか、又は全てのレーザダイオードモジュールを同時に制御してもよい。このように、個々のレーザダイオードモジュール、又はレーザダイオードモジュール(又はゾーン)の組み合わせをリアルタイムで制御してもよい。
【0123】
[0142]別の実施形態では、測定された放出電力及び反射電力に基づいて、調整メカニズム(
図14A−Dを参照して以下に述べる)が、ステップ1335において、ステージの高さをリアルタイムで調整することができる。ステージの高さを調整すると、基板の表面を焦点に入れたり出したりすることができ、これにより、基板の表面における連続波電磁放射の線の電力密度を、全電力とは独立して制御することができる。
【0124】
[0143]次いで、ステップ1338において、測定された反射電力及び放出電力を使用して、基板の反射率、基板の放射率、基板により吸収されたエネルギー及び/又は基板の温度を計算してもよい。反射率は、反射電力を放出電力で除算したものに比例する。ウェハからの熱放出信号は、連続波電磁放射ソースより長い波長において光学系及びインターリーブ合成器により光学的に測定される。
【0125】
[0144]同様に、温度は、放射電力から反射電力を引いたものに等しい吸収電力に比例する。計算された真の温度は、検出器の校正を受けた反射電力と放出電力との差から導出される。厳密な方法は、この技術で良く理解されているように、RTPに使用される既存の放出率補償構成と同様である。これらの計算は、米国特許第6,406,179号、第6,226,453号、第6,183,130号、第6,179,466号、第6,179,465号、第6,151,446号、第6,086,245号、第6,056,433号、第6,007,241号、第5,938,335号、第5,848,842号、第5,755,511号、第5,660,472号に説明されており、これら特許は、全て、参考としてここに援用するものである。
【0126】
[0145]熱的向上層は、もしこれが設けられていれば、通常、ステップ1340において除去される。
【0127】
[0146]更に、別の実施形態では、オーバー走査により熱露出均一性を改善することができる。オーバー走査は、基板の幅より長い放射の線を使用する。各走査の後に、放射の線は、ステップ1341において、その長さに沿って若干シフトされ、低速軸均一性が時間と共に低下する場合に全熱均一性が改善される。線をシフトすることで、基板の熱露出が効果的に平均化される。
【0128】
[0147]
図14Aは、自動収束メカニズム1400の部分断面側面図であり、
図14Bは、
図14Aに示されたツール基板及びステージ1414の、14B−14B’線に沿った上面図である。自動収束メカニズム1400は、連続波電磁放射モジュール902から基板の上面に連続波電磁放射の線を収束するのに使用される。
【0129】
[0148]収束メカニズム1400は、ステージ1414に埋設された多数のフォトダイオードセンサ1408を含むのが好ましい。フォトダイオードセンサ1408の各々は、コントローラ1404に電気的に結合される。好ましい実施形態では、5個のフォトダイオードセンサ1408が設けられるが、一般的には、以下に述べるように、ピッチ(X軸の周り)、ロール(Y軸の周り)及び高さ(Z軸に沿った)の変化を考慮するために少なくとも3個のフォトダイオードセンサ1408を設けなければならない。フォトダイオードセンサ1408は、システムの設定中に、ツール基板の上面が連続波電磁放射ソースの焦点面にあることを確認するために使用される。
【0130】
[0149]好ましい実施形態では、中央のフォトダイオードセンサは、ステージの高さの設定に使用され、この中央のフォトダイオードセンサの左右のフォトダイオードセンサは、ステージのチルト即ちロール(Y軸の周りの回転)を実質的に排除するために使用される。先端及び後端のフォトダイオードセンサは、ステージのチップ即ちピッチ(X軸の周りの回転)を排除するために使用される。調整は、フォトダイオードセンサの信号を最大にすることに基づいて行なわれる。
【0131】
[0150]このような確認には、基板ロードロボットによりステージ1414にツール基板1412をロードすることが必要である。このツール基板1412は、各フォトダイオードセンサ1410の真上にピンホールアパーチャー1410を有する。これらピンホールアパーチャーは、その直径が線の幅より小さく、せいぜい焦点の幅である。
【0132】
[0151]また、コントローラ1404は、調整メカニズム1402にも結合される。この調整メカニズム1402は、連続波電磁放射の線をツール基板の表面に収束するためにコントローラにより要求されるように、ステージ1414を上昇又は下降し(Z軸に沿って)、ピッチを調整し(X軸の周りで)、又はロールを調整する(Y軸の周りで)ように構成される。
【0133】
[0152]好ましい実施形態では、調整メカニズム1402は、少なくとも3つのラック・ピニオン駆動装置1406を備え、その各々は、ラック・ピニオン駆動装置のスクリューの一端においてステージに回転可能に結合される。使用中に、3つのラック・ピニオン駆動装置1406が全部一緒に上昇又は下降された場合には、ステージ904も上昇又は下降される。しかしながら、個々のラック・ピニオン駆動装置1406が下降又は上昇された場合には、ステージのピッチ及びロールを調整することができる。しかしながら、いかなる適当な調整機構1402を使用してもよいことが明らかであろう。
【0134】
[0153]また、コントローラ1404は、連続波電磁放射ソース908(A+B)とステージ904とを互いに移動するための並進移動メカニズム218にも結合される。
【0135】
[0154]
図14Cは、基板の上面に連続波電磁放射の線を自動的に収束するための方法を示すフローチャート1420である。この方法がステップ1422において開始されると、ステップ1424においてツール基板1412(
図14A)がステージに配置される。次いで、連続波電磁放射ソース908(A+B)は、ステップ1426において、第1のフォトダイオードセンサ1408(
図14A)、例えば、ツール基板の中央部の下に配置された中央のフォトダイオードに放射を与える。この第1のフォトダイオードセンサは、絶対高さの調整に使用される測定値を与える。この第1のフォトダイオードセンサは、ステップ1428において、連続波電磁放射の強度を測定し、この強度をコントローラ1404(
図14A)へ送信する。次いで、コントローラは、ステップ1430において、ステージの高さを調整するように調整メカニズム1402(
図14A)に命令する。この高さは、光の線が第1フォトダイオードセンサの前方のアパーチャーにおける焦点に来るまで、調整メカニズムでステージ904(
図14A)をZ軸に沿って上昇または下降することにより調整される。
【0136】
[0155]次いで、コントローラは、ステップ1431において、連続波電磁放射モジュール及びステージを互いに並進移動して、次のフォトダイオードが放射の線に整列されるように、並進移動メカニズムに命令する。次のフォトダイオードセンサ1408(
図14A)は、次いで、ステップ1432において照射される。このフォトダイオードセンサにおいて測定される連続波電磁放射の強度が、ステップ1434において測定されて、コントローラ1404(
図14A)へ送信される。次いで、コントローラは、ステップ1436において、必要に応じて、X及びY軸の周りでステージを傾斜させることによりステージのピッチ及び/又はロールを調整するように調整メカニズム1402に命令し、光の線がこのフォトダイオードセンサにおける焦点に来るよう確保する。次いで、コントローラは、ステップ1438において、設定が完了したかどうか、即ち全てのフォトダイオードセンサから測定値が得られたかどうか決定する。この方法が完了しない場合には(1438−ノー)、次のフォトダイオードが放射の線に整列されるまで放射モジュールとステージが互いに並進移動されて、次のフォトダイオードがステップ1432において照射され、次いで、この方法は、光の線が基板の表面に沿った全てのポイントにおいて焦点に来るまで繰り返される。この方法が完了した場合には(1438−イエス)、ステップ1440においてプロセスが完了となる。
【0137】
[0156]このプロセスは、反復性であってもよい。或いは又、調整の前に全ての検出器に対してZ方向の完全な走査を行うこともできる。このように、ツールウェハの平面が、焦点面に対してシステムに分かるようになる。このとき、3つのサーボが適切な調整を行なって、2つの平面を一致させる。
【0138】
[0157]好ましい実施形態では、高さが調整された後、ステージにチルト即ちロール状態がある場合は左右のフォトダイオードセンサを使用してこれらを異なる高さの焦点に入れたり出したりして、チルト即ちロールを排除する。チルト即ちロールが排除されると、基板を先縁フォトダイオードセンサへ移動し、別の経焦点(through focus)データセットを収集する。ピッチ即ちチップは、中央のフォトダイオードセンサと先縁のフォトダイオードセンサが同じ高さにおける同じ経焦点データを有するときにゼロ化される。後縁フォトダイオードセンサは、ステージが真に水平であることを確認するために使用される。
【0139】
[0158]
図14Dは、測定されたエネルギー密度(正規化された信号)1454と、アパーチャー1410(
図14A)におけるステージの高さ、ゼロがせいぜい焦点、とを示すグラフ1450である。経焦点は、1452として示されている。明らかなように、光の線がアパーチャーに収束されたときには、1456において、エネルギー密度が最高になる。また、スポットサイズ、即ちエネルギーが拡散されるエリアも示されている。スポットは、レーザダイオードの像が焦点面内のどこにあるか示すものである。分析を簡単にするために、回転対称レンズを仮定し、即ち分析にスポットを使用するが線は使用しない理由はこれにある。しかしながら、実際には、スポットは、拡散する幅をもつ長い線であるのが好ましい。
【0140】
[0159]従って、収束メカニズム1400(
図14A)は、全ての基板に対して良好な焦点を保証する。また、熱レシピが、移動可能な光学系に依存する必要なく線の幅を変更するのを許容し、即ち連続波電磁放射ソースにより出力される全電力を調整せずにステージの高さを調整することにより基板の表面における電力密度を独立して調整することができる。
【0141】
[0160]更に、上述したシステム、装置又は方法は、いずれも、インプランテーション装置又はプラズマドーピング(PLAD)に使用されてもよい。また、上述した方法は、UV又はその付近で動作する高電力の連続波電磁放射レーザソースの使用を必要とする後端熱プロセスに使用されてもよい。このような後端熱プロセスが銅のリフローである場合には、このようなレーザソースにより発生される波長は、銅を含むほとんどの材料により強く吸収される。
【0142】
[0161]更に、上述した装置及び方法は、基板表面からホトレジストをエッチングするような等方性エッチング及び/又はアッシングに使用されてもよい。このような等方性エッチング及び/又はアッシングは、プラズマの使用を必要とせず、それ故、高温電子により生じるようなプラズマダメージの関連問題はいずれも生じない。
【0143】
[0162]更に、上述した装置及び方法は、全てのフラットパネルアニールに使用されてもよい。現在のレーザ再結晶化プロセスは、フラットパネルの表面を横切ってレーザスポットをラスタ走査する。再結晶化は、一般に、急速に進行し、従って、速度及びオーバー走査が重要なプロセス制御変数となる。しかしながら、本発明を使用すると、再結晶化は、広い連続的な前方部から進行し、再結晶化のための自由度が少ないために大きな粒子が形成される。しかしながら、本発明では、再結晶化が放射の線の前方及び後方にしか生じず、走査速度が重要な変数となる。
【0144】
[0163]更に、上述した装置及び方法は、アモルファス−結晶界面をa−cとすれば、a−c/Si界面を越えて活性化して、p−n接合の漏洩を改善するのに使用されてもよい。現在のアニール方法に伴う問題は、元のa−c界面にある全ての欠陥がアニールされるのではないことである。これらの欠陥は、アモルファス化インプランテーションに対するエンド・オブ・レンジ(EOR)欠陥である。これらの欠陥が、電圧を持続しなければならない接合(空乏領域)に留まる場合には、シリコンに対する規則的アレイの仮定が完全に至らず、漏洩が生じることになる。しかしながら、本発明では、EOR欠陥を越えた深部へ接合を移動するに充分なほど熱露出を長くすることができる。パルスレーザは、短いパルス長さがマイクロ秒以下であるために拡散が生じ得ないので、これを行なうのに充分適していない。
【0145】
[0164]本発明の特定の実施形態の前記説明は、例示及び解説のためのものである。これらは、余すところのないものではなく、また、本発明を、ここに開示した正確な形態に限定するためのものでもない。明らかに、上述した技術に鑑み、多数の変更や修正が考えられる。例えば、連続波電磁放射を反射電力検出器912(A)及び放出電力検出器912(B)の両方に向けて反射するために1つのビームスプリッタを説明したが、2つ以上のビームスプリッタが使用されてもよい。本発明の原理及びその実際の用途を最もよく説明し、これにより、当業者が、本発明、並びに意図された特定の使用に適するような種々の変更を伴う種々の実施形態を利用できるようにするために、前記実施形態を選択して説明した。更に、前記方法におけるステップの順序は、必ずしも、前記シーケンスで生じるように意図されていない。本発明は、特許請求の範囲及びその等効物により定義されるものとする。更に、前記参考文献は、参考としてここに援用するものである。