特許第5688148号(P5688148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテル・コーポレーションの特許一覧

特許5688148重複するネットワークにおいてワイドチャネルにアクセスするメカニズム
<>
  • 特許5688148-重複するネットワークにおいてワイドチャネルにアクセスするメカニズム 図000002
  • 特許5688148-重複するネットワークにおいてワイドチャネルにアクセスするメカニズム 図000003
  • 特許5688148-重複するネットワークにおいてワイドチャネルにアクセスするメカニズム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5688148
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】重複するネットワークにおいてワイドチャネルにアクセスするメカニズム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20150305BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20150305BHJP
【FI】
   H04W72/04 111
   H04W74/08
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-526076(P2013-526076)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2013-537783(P2013-537783A)
(43)【公表日】2013年10月3日
(86)【国際出願番号】US2011048679
(87)【国際公開番号】WO2012027292
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2013年3月12日
(31)【優先権主張番号】12/861,086
(32)【優先日】2010年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ミンヨン
【審査官】 石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−511972(JP,A)
【文献】 特表2009−512399(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/113031(WO,A2)
【文献】 特表2011−514114(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/010906(WO,A2)
【文献】 特表2010−534023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドチャネルの複数のナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出する段階と、
前記ワイドチャネルのナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出する段階の後に、前記ワイドチャネルの複数のナロウチャネルに共通のバックオフカウンタを始動させる段階と、
前記バックオフカウンタを始動させる段階の後に、前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出する段階と、
前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出したことに応じて前記バックオフカウンタを停止させる段階と、
前記バックオフカウンタを停止させる段階の後に、前記複数のナロウチャネルのそれぞれが再度アイドル状態になったことを検出する段階と、
前記複数のナロウチャネルのそれぞれが再度アイドル状態になったことを検出する段階の後に、停止した時点の値から前記バックオフカウンタを再度始動させる段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記バックオフカウンタの期限が切れたことを検出する段階と、
前記バックオフカウンタの期限が切れたことを検出したことに応じて、前記ワイドチャネルでの送信を行う段階と
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バックオフカウンタを再度始動させる段階は、前記再度始動させることの前に、分散インターフレームスペース(DIFS)だけ遅延させる段階を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出する段階は、ガードインターバル検出技術を用いる段階を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ワイドチャネルのナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出する段階は、エネルギー検出技術およびプリアンブル検出技術の少なくとも1つを用いる段階を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
プロセッサ、無線装置、およびバックオフカウンタを有する無線通信デバイスを備える装置であり、
前記無線通信デバイスは、
ワイドチャネルの複数のナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出し、
前記ワイドチャネルのナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出した後に、前記ワイドチャネルの複数のナロウチャネルに共通の前記バックオフカウンタを始動させ、
前記バックオフカウンタを始動させた後に、前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出し、
前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出したことに応じて前記バックオフカウンタを停止させ、
前記バックオフカウンタを停止させた後に、前記複数のナロウチャネルのそれぞれが再度アイドル状態になったことを検出し、
前記複数のナロウチャネルのそれぞれが再度アイドル状態になったことを検出した後に、停止した時点の値から前記バックオフカウンタを再度始動させる、装置。
【請求項7】
前記無線通信デバイスはさらに、
前記バックオフカウンタの期限が切れたことを検出し、
前記バックオフカウンタの期限が切れたことを検出したことに応じて、前記ワイドチャネルでの送信を行う、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記バックオフカウンタを再度始動させることは、前記再度始動させることの前に、分散インターフレームスペース(DIFS)だけ遅延させることを含む、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出することは、ガードインターバル検出技術を用いることを含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出することは、エネルギー検出技術およびプリアンブル検出技術の少なくとも1つを用いることを含む、請求項6から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記無線装置に結合されたアンテナをさらに備える、請求項6から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
ワイドチャネルの複数のナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出する手順と、
前記ワイドチャネルのナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出する手順の後に、前記ワイドチャネルの複数のナロウチャネルに共通のバックオフカウンタを始動させる手順と、
前記バックオフカウンタを始動させる手順の後に、前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出する手順と、
前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出したことに応じて前記バックオフカウンタを停止させる手順と、
前記バックオフカウンタを停止させる手順の後に、前記複数のナロウチャネルのそれぞれが再度アイドル状態になったことを検出する手順と、
前記複数のナロウチャネルのそれぞれが再度アイドル状態になったことを検出する手順の後に、停止した時点の値から前記バックオフカウンタを再度始動させる手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
前記バックオフカウンタの期限が切れたことを検出する手順と、
前記バックオフカウンタの期限が切れたことを検出したことに応じて、前記ワイドチャネルでの送信を行う手順と
をさらに実行させる、請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記バックオフカウンタを再度始動させる手順は、前記再度始動させることの前に、分散インターフレームスペース(DIFS)だけ遅延させる手順を有する、請求項12または13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記複数のナロウチャネルの少なくとも1つがビジー状態にあることを検出する手順は、ガードインターバル検出技術を用いる手順を有する、請求項12から14のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記複数のナロウチャネルのそれぞれがアイドル状態にあることを検出する手順は、エネルギー検出技術およびプリアンブル検出技術の少なくとも1つを用いる手順を有する、請求項12から15のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
IEEE規格802.1la/nに準拠する無線ネットワークなど、いくつかの無線ネットワークにおいては、それぞれが20MHzの帯域幅を有する2つのレガシー「ナロウ」チャネルからそれぞれ成る、40MHzの帯域幅を有する「ワイド」チャネルが利用される。IEEE規格802.1lacに準拠する無線ネットワークなど、他のいくつかの無線ネットワークにおいては、それぞれが20MHzの帯域幅を有する4つのレガシーチャネルからそれぞれ成る、80MHzの帯域幅を有するワイドチャネルが利用される。いずれの場合でも、デバイスは、ワイドチャネルで送信を行う前に、全ての関連付けられたナロウチャネルがアイドル状態にあり、当該送信が、それらナロウチャネルの1以上を用いている可能性がある他のデバイスと干渉しないことを判断しなければならない。複数のデバイスがアイドル状態にある同一のチャネルの利用権を同時に得ようとし、同時に送信を試みるといった状況が発生する確率を減らすべく、各デバイスは、(バックオフカウンタによって計測される)ランダムに選択されたバックオフ期間、待機する。その後、関連付けられたナロウチャネルが当該バックオフ期間の後もアイドル状態にあるものと想定し、ワイドチャネルで送信を行う。許容される最大バックオフ期間は、「コンテンションウィンドウ」により定義される。この方法において、特定のデバイスの媒体へのアクセスの失敗は、著しい輻輳状態にあるネットワークにおいて頻繁に起こり得る。この状況が発生すると、デバイスのコンテンションウィンドウのサイズが大きくなり、よって、平均バックオフ期間が長くなる。さらに、バックオフカウントダウンの間にチャネルの1つがビジー状態になったことをデバイスが検知すると、カウントは最初から再度始動させられる。これらの2つの動作によってネットワークの輻輳は緩和されるかもしれないが、より短いバックオフ期間を有する他のデバイスがチャネルの制御権を先に取得するので、任意のデバイスが直ぐにチャネルの制御権を得られる可能性はさらに低くなる。
【0002】
サービスエリアが重複する2つの独立したネットワークが同一のナロウチャネルのうちいくつかを使用している場合、同一のプロトコルに準じることにより、あるネットワーク内での送信が、他のネットワーク内での受信に干渉する確率を低くする。しかし、この状況においては、特定のネットワークが不利を被ることとなり得る。例えば、あるネットワークが大きなデータトラフィックを有している場合、当該ネットワーク内のデバイスのコンテンションウィンドウは、他のネットワーク内のデバイスのコンテンションウィンドウのサイズよりも大きくなる可能性が高い。(コンテンションウィンドウが大きいことによって)長い平均バックオフ期間を有するデバイスがチャネルの利用権を得ることが出来る可能性は、より短い平均バックオフ期間を有するデバイスよりも低い。或いは、4つのナロウチャネルを必要とするデバイスがそれら4つのチャネルの全てがアイドル状態にあることを検出できる可能性は、2つのナロウチャネルのみ必要とするデバイスが2つのチャネルがアイドル状態にあることを検出できる可能性よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本願発明のいくつかの実施形態は、本願発明の実施形態を示すのに用いられる以下の説明および添付の図面を参照することにより、さらによく理解される。
図1図1は、本願発明の一実施形態に係る重複するネットワークを示す。
図2図2は、本願発明の一実施形態に係る、送信するべく無線媒体へのアクセス権を得る方法のフロー図を示す。
図3図3は、本願発明の一実施形態に係る、ワイドチャネルにアクセスするプロセスのタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明において、様々な具体的な詳細を示す。しかし、本願発明の実施形態は、それらの具体的な詳細を用いずとも実施出来ることを理解されたい。他の例においては、説明の理解を曖昧にすることを避けるべく、周知の回路、構造および技術が、詳細には示されていない。
【0005】
「実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」、「様々な実施形態」などと言及する場合、それらによって説明される本願発明の実施形態は、特定の特徴、構造または特性を含んでよいことを示し、全ての実施形態がそれら特定の特徴、構造または特性を含む必要があることを示すわけではない。さらに、いくつかの実施形態は、他の実施形態に関連して説明される特徴のいくつかまたは全てを含んでもよく、或いは、全く含まなくてもよい。
【0006】
以下の説明および請求項において、「結合」および「接続」といった用語、およびそれらの派生語を用いることがある。これらの用語は互いの同義語として用いられるわけではないことを理解されたい。むしろ、特定の実施形態において「接続」とは、2以上の要素が互いに、物理的または電気的に直接接触することを示す。「結合」とは、2以上の要素が互いに協働する、または相互に作用することを示し、それらの要素間には、介在する物理的または電気的な部品があってもなくてもよい。
【0007】
他に特記がなければ、請求項で共通の要素を示すべく用いられる「第1」、「第2」、「第3」などの序数の形容詞は、それら同様の要素の異なる例が言及されていることを単に示しており、それらによって説明される要素が、時間的、空間的、階層的、或いは他の面で、所与の順番でなければならないことを意味するわけではない。
【0008】
本願発明の様々な実施形態は、ハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアのいずれか、あるいはこれらの任意の組み合わせにより実施されてよい。本願発明は、本明細書に説明する段階の動作を可能とするべく1以上のプロセッサによって読み取られ実行されるコンピュータ可読媒体に含まれる命令として実施することも可能である。コンピュータ可読媒体は、1以上のコンピュータによって読み取り可能な形態で情報を格納する何らかのメカニズムを含んでよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置などの有形記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
【0009】
「無線」という用語は、非有形媒体を介して、変調された電磁放射を用い、データ通信を行う回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するのに用いられる。「無線」という用語は、関連付けられたデバイスが何ら配線を有していないことを意味するわけではない。無線デバイスには、少なくとも1つのアンテナ、少なくとも1つの無線装置、少なくとも1つのメモリおよび少なくとも1つのプロセッサが含まれる。無線装置は、データを表す信号をアンテナを介して送信し、データを表す信号をアンテナを介し受信する。プロセッサは、送信されるデータ、および受信されたデータを処理する。プロセッサは、送信も受信もされない他のデータの処理も行ってよい。
【0010】
本明細書で用いられる「ネットワーク制御装置」という用語は、ネットワーク内の他のデバイスによる無線通信の少なくとも一部のスケジューリングおよび制御を行うデバイスを包含する。ネットワーク制御装置は、基地局(BS)、アクセスポイント(AP)またはセントラルポイント(CP)などとしても知られ、或いはネットワーク制御装置の機能性を表す他の用語で呼ばれることもある。
【0011】
本明細書で用いられる「モバイルデバイス」という用語は、行う無線通信のスケジューリングおよび制御の少なくとも一部がネットワーク制御装置によって行われる装置を包含する。モバイルデバイス(MD)は、移動局(MS)、STA、加入者局(SS)またはユーザ機器(UE)などとしても知られ、或いはモバイルデバイスの機能性を表す他の用語で呼ばれることもある。モバイルデバイスは、そのような通信の間、その物理的位置が変化するものであってもいが、そのような位置の変化は必須ではない。
【0012】
本明細書で用いられる「ナロウ」チャネルは、周波数スペクトルにおいて事前に定義された連続する帯域幅を有するチャネルであり、「ワイド」チャネルは、これらナロウチャネルのうち複数によって占められる周波数スペクトルの組み合わせられた部分を有するチャネルである。つまり、特定の複数のナロウチャネルは、総体として、特定のワイドチャネルを構成する。いくつかの実施形態において、ワイドチャネルは隣接するナロウチャネルのみを含むが、他の実施形態において、これらのナロウチャネルは隣接しているものでなくてもよい。つまり、ワイドチャネルに含まれる2つのナロウチャネルは、当該ワイドチャネルに含まれない1以上のナロウチャネルによって、周波数スペクトルにおいて隔てられていてよい。説明を簡便にするべく、ナロウチャネルは、20MHzの帯域幅を有するものとして説明し、ワイドチャネルは、例えば40MHzまたは80MHzなどの、20MHzの整数倍の帯域幅を有するものとして説明する。しかし、他の実施形態においては、20MHz以外のナロウチャネル帯域幅を用いてよい。本明細書において、「チャネル」という用語は、ワイドチャネルと示されない限り、ナロウチャネルを指す。
【0013】
様々な実施形態において、デバイスは、(1つの一次ナロウチャネルおよび1以上の二次ナロウチャネルから成る)ワイドチャネルの送信権を得ようとする際、バックオフカウンタを用いる。デバイスは、カウンタを始動させ、カウンタの期限が切れるまで送信しない。「バックオフカウンタ」という用語は、当該カウンタの期限が切れるまで送信する機会からバックオフする(手を引く)べく(送信せずに待機するべく)用いられるカウンタを指す。デバイスは、他の目的に用いられる他のカウンタを有してもよい。バックオフカウンタがカウントダウンしている間に二次ナロウチャネルの1つがビジー状態になった場合、バックオフカウンタを停止する。全てのナロウチャネルが再びアイドル状態となったことが検出されると、従来のシステムでそうであったように新たなカウント値から新たにバックオフ期間を開始するのではなく、バックオフカウンタは、停止した時点の値から再度始動させられる。いくつかの実施形態においては、二次チャネルがアイドル状態にあるかビジー状態にあるかの検知にガードインターバル検出技術を用いてよい。(恐らくは0に向かって)カウントダウンするものとして説明されるが、カウンタは、期限が切れるまで、任意の値から他の任意の値までカウントアップまたはカウントダウンするようプログラムされていてもよい。この変形例は、当業者の能力で設計出来る範囲に十分含まれる。
【0014】
図1は、本願発明の一実施形態に係る重複するネットワークを示す。第1ネットワークにおいて、ネットワーク制御装置NC1は、モバイルデバイスMD1、MD3、MD5と無線通信を行っている。第2ネットワークにおいて、ネットワーク制御装置NC2は、モバイルデバイスMD2、MD4、MD6と無線通信を行っている。MD1とMD2とは互いに十分近いので、一方の通信による信号が十分に強い信号強度で他方によって受信され得、干渉が起こり得る。よって、これらのネットワークは、重複するネットワークに当てはまる。信号強度は、ネットワーク制御装置からの物理的距離とは関係のない多くの事象に依存するので、ネットワークが重複しているとされるには、各デバイスが事前に定義された物理エリア内にあることが必須なわけではない。2つのネットワーク内の他のデバイスによってもネットワーク間干渉は起こり得るが、原理を示すにはMD1およびMD2の説明で十分であろう。
【0015】
本例においてはさらに、デバイスMD1が、複数のナロウチャネルから成るワイドチャネルで、(NC1などの)自身が属するネットワーク内の他のデバイスと通信を行おうとするものとし、デバイスMD2は、それらナロウチャネルの少なくとも1つを用い、自身が属するネットワーク内で通信を行えるものとする。よって、MD1およびMD2は、同時に同一のナロウチャネルを使用しようとすることもあり、このことによって、ネットワーク間干渉が起こる。
【0016】
図2は、本願発明の一実施形態に係る、送信するべく無線媒体へのアクセス権を得る方法のフロー図を示す。示される例において、デバイス(例えば、図1のMD1)が、複数のナロウチャネルから成るワイドチャネルで、コンテンションベースのアクセス期間に他のデバイスへの送信を希望するものとする。ワイドチャネルを使用する多くのネットワークにおいて、デバイスは、ワイドチャネルを選択肢としていくつか有し、それぞれのワイドチャネルは、異なる組の、事前定義された複数のナロウチャネルからなる。よって、本プロセスは、210において、送信で用いることを希望するワイドチャネルを選択して特定のナロウチャネルを選択することから開始する。図2の残りの説明に関しては、「チャネル」という用語は、ワイドチャネルと特記されない限り、ナロウチャネルを指す。
【0017】
いくつかの実施形態において、デバイスは、210で選択された全てのチャネルがアイドル状態であると215で判断するまで、処理を進めない。他の実施形態においては、全ての選択されたチャネルがアイドル状態にあるかどうかをモニタリングする前に、カウンタ値を設定する(220参照)。「アイドル状態」という用語は、他のデバイスがチャネルを使用していないことを示し、或いは他のデバイスが使用している場合には、デバイスが検出する受信信号の強度が、問題とならない程度に弱い状態であることを示す。反対に、「ビジー状態」という用語は、他のデバイスがチャネルを使用しており、受信信号の強度が、一定の閾値よりも強いことを示す。いくつかの技術においては、信号が他のデバイスから出力されるものとして特定できなかったとしても、チャネル上の一定レベルのエネルギーを検出するだけで、チャネルはビジー状態であると見なされる。他の技術においては、送信されるプリアンブルが検出されると、チャネルはビジー状態としてみなされ、それに関連する送信が停止するまでは、ビジー状態にあるものと見なされる。いくつかの実施形態においては、これらの技術が組み合わされる。送信の完了は、OFDMシンボルのガードインターバルを検出することにより検出される。ガードインターバル検出器を任意の実現可能な方法で実装してもよい。
【0018】
220において、デバイス内のオフセットカウンタを任意の値にプログラムし、カウンタの期限が切れるまで、当該カウンタは一定の期間はカウントを続けなければならない。オフセットカウンタは、ハードウェア、ソフトウェア、これらの組み合わせ、または他の任意の実現可能な手段により実装してもよい。カウンタは225において始動させられる。230でカウンタの期限が切れる。
【0019】
選択されたチャネルがアイドル状態であると235で判断され続ける限り、カウンタは、カウントダウンを続け、230〜235のプロセスを繰り返す。しかし、1以上のチャネルがビジー状態になると(例えば、カウントダウン期間中に、他のデバイスがチャネルで送信を開始すると)カウンタは、240で停止させられ、再び全てのチャネルが245でアイドル状態となることが検出されるまで、停止したままとなる。全てのチャネルが再びアイドル状態になると、カウンタは、225で再度始動させられる。いくつかの実施形態において、デバイスは、全てのチャネルがアイドル状態にあることを検出してからカウンタを再度始動させるまで一定期間、処理を遅らせる。分散インターフレームスペース、つまりDIFSは、本例において250における遅延期間として示されている。しかし、他の遅延値を用いることも可能である。
【0020】
デバイスは、カウンタの期限が230で切れるまで、このように段階225〜250を続ける。いくつかの例において、1以上のチャネルでトラフィックが検出されることにより、カウンタは複数回停止させられ、そして再度始動させられる。カウンタの期限が切れた後、デバイスは、260においてワイドチャネルで送信することにより、当該ワイドチャネルの制御権を得る。いくつかの例において、送信は、選択されたナロウチャネルのサブセットのみを用いて行われるが、他の例においては、選択されたナロウチャネルの全てを用いて行われる。
【0021】
いくつかの実施形態において、デバイスは、プロセスを通じて継続的に選択されたチャネルをモニタリングし、それら選択されたチャネルがアイドル状態にあるかビジー状態にあるかを判断する。他の実施形態において、アイドル/ビジー状態のチェックは、周期的に行われる。当該モニタリングは、様々な技術を用いて行うことが出来る。
【0022】
図3は、本願発明の一実施形態に係る、ワイドチャネルにアクセスするプロセスのタイミング図を示す。本例において、ワイドチャネルは、4つのナロウチャネルから成る(PRIの符号が付された1つの一次チャネル、SEC−1、SEC−2およびSEC−3の符号が付された3つの二次チャネル)。典型的なシナリオにおいて、ナロウチャネルはそれぞれ20MHzの帯域幅を有し、よってワイドチャネルは80MHzの帯域幅を有する。しかし、他のチャネル幅を用いることも出来る。本例において、4つのナロウチャネルの全ては最初、いずれかのデバイスが当該ワイドチャネルで送信を行っているので、ビジー状態である。送信が完了した後に1つのDIFSから成るインターバルを置く。
【0023】
ここで、ワイドチャネルでの送信を希望するデバイスは、バックオフカウンタを始動させる。バックオフカウンタの期限が切れた後(最後までカウントダウンした後)、デバイスは、4つのナロウチャネルのそれぞれがまだアイドル状態であれば送信を行う。カウントダウンを開始する前に、(現在選択されているコンテンションウィンドウの範囲内で)ランダムに、または擬似ランダムに選択された値で、カウンタの事前設定を行ってもよい。
【0024】
しかし、本例では、バックオフカウンタがカウントしている間に、二次チャネルSEC−2での送信が検出されている。現在のネットワーク内のデバイスは当該ネットワーク制御装置の制御下にあり、当該ネットワーク制御装置はそのような予期せぬ送信を防ぐことが出来るので、この検出された送信は、他のネットワーク内のデバイスからのものである可能性が高い。しかし、いくつかの例においては、送信は同ネットワーク内からのものである可能性もある。SEC−2での送信が検出されると、バックオフカウンタは停止させられ、4つのチャネルの全てが再度アイドル状態となるまで停止したままとなる。4つのチャネルの全てがアイドル状態であることが検出されると、他のDIFSを置いて、その後カウンタは再度始動される。
【0025】
バックオフカウンタの期限が切れ、4つのチャネルの全てがまだアイドル状態である場合、デバイスは、ワイドチャネルで送信を行う。これにより、ワイドチャネルの制御権を得て送信を行う、という当初の目的を達成できる。本例では、カウントダウン期間、1つのナロウチャネルにおいて、1つの干渉する送信のみが発生するものとした。しかし他の例においては、複数の干渉する送信が発生してもよく、またそれらが複数の二次チャネルで発生してもよい。場合によっては、2以上のチャネルが同時に、同一のワイドチャネル送信により占められることもある。また場合によっては、第2ナロウチャネルでの干渉する送信が、第1ナロウチャネルでの干渉する送信が完了する前に、検出される。
【0026】
しかしこれらのいずれ場合においても、バックオフカウンタは、関連付けられたナロウチャネルの全てがアイドル状態であることを検出されたときのみカウントを行うべきであり、バックオフカウンタは、他のデバイスからの干渉する送信があり停止させられた後、新たにカウントダウンを最初から開始するのではなく、停止した時点の値から再度始動される。
【0027】
上述した説明は例示として示されており、限定を目的とはしていない。当業者であれば変形例を思いつくであろう。それら変形例は、以下の特許請求の範囲によってのみ定められる本発明の様々な実施形態に包含される。
図1
図2
図3